4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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うまのきもち~ある競走馬物語 (11)僕と竹下悠の結末 【完結】

 僕は獣医さんのところにいた。


いろいろ検査されて、痛い足に何かをつけられ、やっと帰ってきた栗東の厩舎。


厩舎のみんなが僕の周りを取り囲んで何か話している。もちろんオーナーのおっちゃんも一緒・・・。すごく残念そうな顔で僕を見ている。


ここに帰ってこれたってことは故障して安楽死ってことはなくなったってことか?


数頭そういうやつを見てきた。


レース行ったっきり帰ってこなかったやつを・・・。


僕はどうなるんだ?


するとオーナーのおっちゃんがやってくる。

「とりあえず、北海道の生まれた牧場に帰ろう・・・。そのあとはまだ決まっていないけれど・・・。もうレースに出なくていいからね・・・。」

ええ!もうレースに出れないって???


厩務員さんは僕を撫でながら言ったんだ。

「もう競争能力をなくしたんだ・・・。怪我が治ったら走ったりは出来るんだけどね、レースは無理なんだって・・・。」

そうか・・・もう競争できないんだ・・・。


結構楽しくなってきたところなのにな・・・。


人を乗せるってこともやめたほうがいいらしい・・・。


ということは乗馬行きって言うのも無理か・・・。


 数日して僕は北海道に戻った。


厩務員さんともお別れ・・・。


厩務員さんは泣いていたんだよね・・・。


オーナーのおっちゃんは僕の行き先が決まらなかったら、引き取るっていってくれたんだ・・・。


でも北海道につくと僕の行き先が決まったんだ。


それは種牡馬ばかりいる牧場。


なんと僕は種牡馬になるらしい。


母さんのいい血統と、父さんの血統を残すため・・・。


妹は牝馬2冠馬だし・・・。ということで第二の人生を歩むんだ。


うまのきもち 完結
竹下悠はというと、例のの宝塚記念の故障事故以来、妹の騎乗変更をされ、もうオーナーのおっちゃんは竹下悠を一切使わないと断言。


(なぜか他のオーナーのおっちゃんたちも使わなくなったんだよね・・・。)


それから活躍もなくなって、いつの間にか忘れられて、競馬界から姿を消したって聞いたよ。


(実家の乗馬クラブを継いだという噂・・・)


まあそこまで落ちてしまうって事は珍しいかもしれないけれどね・・・。


ちょっと同情かな・・・。


【完】


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うまのきもち~ある競走馬物語 (10)レース中!やばい!!!

 僕は急いで全力で走った。


初めから全力で走ることって滅多にない。


ずんずん最後尾と差が縮まる。


竹下悠は早すぎる僕の手綱を引っ張ってスピードを落とそうとしているんだけど、そんなことをしたら1着にはなれないんだよ!


この馬鹿!!!


おっちゃん、調教師さん、厩務員さん、そして姉ちゃんと優勝するって約束したんだ!!!


竹下悠!お前の言うことなんか聞くもんか!!!


 僕は竹下悠の制止を無視してずんずん飛ばして一頭また一頭と抜かしていく。スタンドは大騒ぎしているのがわかる。


そして最後の直線!


あと3頭抜けば優勝だ!!!


一歩一歩先頭集団に近づき、一頭一頭抜かしていく。


あと一頭。


一番人気のやつ!!!


僕は後ろ足に違和感を覚えながらも必死に走った!


やっと捕らえた先頭のやつ!


一歩一歩差が縮まる。


そしてゴール寸前!


頭の上げ下げで鼻差でゴール!!!


勝ったか???


多分勝ったと思うんだ!!!


そして僕は少しずつスピードを緩め停止する。


冷静になって後ろ足が超痛いのに気がつく。


痛い足を蹴りあげながら、痛さのあまり嘶く。


竹下悠は僕の異変に気づき僕から降りて後ろ足を確認する。

「あぁ!しまった!!」

竹下悠 泣く
そういうと僕からゼッケンと鞍をはずし、呆然とする。


そしてたくさんの職員に囲まれた僕を見て膝をつき、座り込んだ。


僕の近くに馬運車が用意される。


急いでやってきた厩務員さんに引かれながらその馬運車に乗せられ獣医さんのところに連れて行かれたんだ・・・。


場内はすごいブーイングの嵐・・・。優勝した僕が故障・・・。


どうなるんだろう・・・。このまま帰って来れないのかな・・・。










うまのきもち~ある競走馬物語 (9) 嗚呼!宝塚記念!!!

 何とか宝塚記念にエントリー完了ってことで、そのレースに向けて調教をがんばっているんだ。


初めてのGⅠさ・・・。


オーナーのおっちゃんは気合入っちゃってさ、休みになると僕の顔を見に来る。そして大好物の甘いニンジンを置いていってくれる。


相変わらず竹下悠はレース中以外はおかしい・・・。


溜め息ばっかり・・・。


この前の妹が優勝した桜花賞もオークスも竹下悠の初恋の人が来ていたもんだから、余計に溜め息だらけ・・・。


相手は結婚してるんだろ・・・。


そろそろ諦めろよって感じ・・・。


そしてレース当日のことなんだけど・・・。朝一番に僕の厩舎にやってきて僕を撫でてまた溜め息・・・。


「はあ・・・また彩ちゃんが来るんだ・・・。今日はオーナーさんと一緒なんだよねぇ・・・。旦那も来るのかなあ・・・。GⅠだしなあきっと来るだろうね・・・。」


来ても来なくったってもいいじゃないか・・・。


どうせ竹下悠の恋なんて叶うわけないよな・・・。


また溜め息をついて立ち去っていったんだ。


彩子うふふ
それと入れ替わりで、例の姉ちゃんが入ってくる。そして厩務員さんと何か話すと僕のところへ・・・。

「カミカゼ・・・久しぶりね・・・。今日は大丈夫そう?」

ぶるるる・・・。

姉ちゃんは僕をそっと撫でてくれる。ホントやさしい微笑で・・・。

「和気さんのお父さんのために今日はがんばるんだよ・・・。きっとカミカゼなら勝てるよ・・・。じゃあがんばってね・・・。」

って言って僕に大好物のニンジンをくれたんだ。

 そしてパドック!僕は緊張して固くなっていた。だってさあ、みんなGⅠホースばかりで・・・。僕なんかまだひよっこ・・・。厩務員さんが首元をそっとたたいてくれて、落ち着かせてくれる。


今日は厩務員さんいいカッコしている。


やはり宝塚記念だからだよね・・・。


もちろん厩務員さんもはじめての大きなレースだからね・・・。


緊張している。


あ、オーナーのおっちゃんだ・・・。


そして姉ちゃん。その隣がおっちゃんの息子か・・・。


姉ちゃんと仲良く話しているんだもんなあ・・・。


ホント姉ちゃんの嬉しそうな顔といったら・・・。


すると竹下悠が僕に乗ってパドックを回る。


竹下悠はじっと姉ちゃんのほうを見ているんだよね・・・。


溜め息ついて・・・。


ホントならパドックに入ると人が変わる竹下悠・・・・。


今日はなんか変だ・・・。


ずっと溜め息ついて気合いのかけらもない。


やばいぞこいつ・・・・。


僕は鼻を鳴らして竹下悠に気合を入れてみるんだけど、まったくだめ・・・。


上の空って感じで・・・。


ファンファーレを聴くときっと普段の竹下悠に戻るかと思ったんだけどさ、まったくその気配がないままゲートイン。


おい大丈夫か!!!竹下悠!!!


そう思っているときにゲートが開く。


しまった!!!出遅れた!!!


やっと出遅れたことに気づく竹下悠。


僕は随分遅れてのスタートになった。



うまのきもち~ある競走馬物語 (8)竹下悠の片思い

 京都金杯のあとから、僕のパートナー竹下悠がおかしいんだ。


いつも暗い顔しちゃって、僕の顔を見るなり、はぁって溜め息・・・。

竹下悠 はぁ
「聞いてくれよ・・・カミカゼ・・・。俺の好きな人が結婚していたんだよ・・・。」


竹下悠の好きな人???


「俺の初恋の人なんだけど・・・。ずっと好きだったんだよね・・・。でも会う機会が無くて・・・。やっと会えたと思ったら、カミカゼのオーナーの次男と結婚してた。知っているはずないよな・・・。公にしていないんだから・・・。」


そういや厩務員さんが言ってたよな・・・。北野彩夏がどうのこうの・・・。


ホント綺麗な姉ちゃんで・・・。馬の僕でさえ気に入ってしまったんだから・・・。厩務員さんなんかさあ、その子のポスターにサインもらって大事にしているって聞いたぞ・・・。


その姉ちゃんはオーナーのおっちゃんの息子と結婚してるんだって厩務員さんが言ってたよ。


その姉ちゃんが好きなのか、竹下悠は・・・。


今のところ調教中とか、レースの時は普通に乗ってくれるだけましなんだけど、これ以上おかしくなったらきっとオーナーのおっちゃんは怒ると思うよ。


しっかりしろよな、竹下悠。









うまのきもち~ある競走馬物語 (7) 初のGレース



 デビューが遅かったから、クラシックレースには間に合わなかったんだけど、僕は何とか順当に勝ちあがり、年が明ける。


「カミカゼ、初めてのグレードレースが決まったよ・・・。GⅢの京都金杯だ!!!がんばろうな。」

って厩務員さん。

 スポーツニッポン賞京都金杯(GIII). 芝コース・右まわり・ 1600m サラ系4歳上 オープン戦なのだ・・・。オーナーのおっちゃんは意気込んでいる。だってさ、僕の妹が年末のGⅠをとったんだって。最優秀2歳牝馬に選ばれたらしい・・・。


まったく父母の同じ僕に期待するおっちゃんたち。もちろん妹のワキノヒメギミはクラシック最有力馬。さすが3冠馬の娘だって言われている。


僕はどうだ・・・。


まったく同じ兄妹なのにまだオープンになったばかりで・・・。


おっちゃんは別にのんびり行こうって言ってくれたからいいけどさ・・・。

竹下悠
 そして迎えた京都金杯。


雪で真っ白な京都競馬場。


そして僕は真っ白・・・。


最近面子とブリンカーを取った。


芦毛だけど白馬のように真っ白な僕。


コースに入ると、準備運動。


僕のはく息が超白い。相変わらず僕の鞍上は竹下悠。デビュー戦以来ずっと・・・。もちろん妹もこの竹下悠。いつものように僕の首をポンポンってたたいて気合を入れてくれる。そして僕はブルルルって言って返事をするんだ・・・。


グレードレースのファンファーレがなる。今回はゼッケンナンバー3番。10頭だて・・・。奇数番号からのゲート入り・・・。僕はすっとゲートイン。そして最後のやつが入るとゲートが開く。最近僕は先行馬に転向。


いいスタートだ。


あれって感じでなぜか僕が逃げている。


別に飛ばしているわけでもないのにずんずん差が開く。


さあ直線。


竹下悠は後ろを気にしながら一発鞭を入れる。


さらに僕は飛ぶような走りで一気にゴール。


なんと大差勝ち・・・。


え?って感じで終わってしまった・・・。


まだまだ余力があるんだけど・・・。


 そして今まで味わったことのないような表彰式・・・。


首からなんか掛けられて竹下祐やオーナーのおっちゃん、そしてオーナーの家族、キャンギャルって言うきれいな着物着たおねーちゃんとみんなで記念撮影。


おっちゃんたちの嬉しそうな顔・・・。


記念撮影のあとおっちゃんが言った。

「カミカゼ。今日の走りはまるでカミカゼの父馬を見ているようだったよ。飛ぶような走り・・・。カミカゼの能力がやっと開花したねえ・・・そう思わないかい、竹下君。」

「そうですね・・・。この走りならG1いえ海外レースも夢じゃありません。もうちょっと距離を延ばしてがんばらせて見ましょう。」

って・・・。


さあ、これからは第一目標の夏の宝塚記念を目指してトレーニング開始!!!



うまのきもち~ある競走馬物語 (6) 初レースの出来事

 さあ!初レース!


ゲート前で準備が整うのを待つ。


そしてファンファーレ・・・。


新馬戦だから、皆ドキドキしているのがわかる。


ドキドキしすぎてゲート入りを拒むやつ、後ろ足で蹴るやつ・・・。


「あ!危ない!!!!」


って竹下悠が僕に言った。


なんと暴れたやつが後ずさりして僕にぶつかりそうになったうえに、僕を後ろ足で蹴ろうとしたんだ・・・。


このときは竹下悠が何とかしてくれたからぶつからなかったけどね・・・。


ふう・・・。


なんとなくこのレースは荒れそうだ・・・・。


そしてこの暴れたやつのせいでレース開始時間が大幅に遅れる。


暴れたやつの馬体検査のせいさ・・・。


何とかゲートに入ったやつらも一度出されるもんだから、みんなはパニクってる。


僕だけが落ち着き、遠目で見ているんだ。7番の大外だからかな・・・。


その馬体検査したやつは過度の疲労で競争除外・・・。


6頭だてでのレースとなる。


「なんだかいやな予感・・・。」


って竹下悠がポツリつぶやく・・・。


そしてもう一度、ゲート入り・・・。


やはりみんなは落ち着かない・・・。

うまのきもち スタート
そしてゲートが開く。


まずまずのスタート。


僕は一応追い込み馬ってことで後ろからのスタート。


十分力を蓄えてから直線で一気にっていうプラン。


そして中盤あたりで事故発生!!!


中間を走っているやつが躓き転んだ・・・。


そのやつに躓きもう一頭・・・。


その後ろを走っていた僕・・・。


やばい!!!止まれない!!!巻き込まれる!!!


「カミカゼ!飛べるか?!もう避けられないから飛ぶぞ!!!!」


(おう!!!)


僕はブルルルと返事。


すると竹下悠が躓き転んだ馬と騎手に言う。


「伏せて!!!!」


そして僕は一気に地面を蹴って飛ぶ。


まるで障害競走のように・・・。


着地は転びそうになたんだけどなんとか持ち直し、一気に先頭集団を目指す。


直線・・・。


前には3頭・・・。


僕はずんずん近づき一頭一頭抜く。


スタンドは新馬戦にも関わらず、まるでGⅠのように歓声・・・。


あと1頭・・・。


そしてもうすぐゴール!


あと1頭!!!!


そしてゴール!!


あぁ抜いたと思ったんだけどなあ・・・。


鼻差の2着。


なんとかああいう出来事があったのに無事ゴールできた。


オーナーのおっちゃんはああいう出来事があったのに、こうして2着に入った僕をたいそう褒めてくれて、厩舎に帰るとご褒美のニンジンをたくさん差し入れてくれたんだ。


それも特別甘いおいしいニンジンを・・・。



うまのきもち~ある競走馬物語 (5)パドック!!

僕はデビュー当日。ドキドキしながら馬運車に乗り込んだ。相変わらず一緒に乗り込んだ馬たちは俺のことを馬鹿にする。まあ馬鹿にされることは慣れてしまったんだけど・・・。


 さあ僕のデビュー戦。2R。厩務員さんは僕に母さんの形見のブリンカーつきの面子をつける。


ゼッケン番号7番。


ラッキー7だ。


うまくいくかな・・・。


ゼッケンと鞍をつけられ、そしてパドックへ・・・。


みんな僕のことを見ている。人も馬も・・・。


あ、オーナーのおっちゃん!じっと腕組みしながら僕のことを見ていたんだ。

「あれが3冠馬の息子か?白いぞ!」

って言う人・・・。


だから僕は母さん似なんだ・・・。


厩務員さんが、僕の鼻を撫でて言うんだ。

「がんばれよ。カミカゼ。きっとお前は勝てるよ。いつもどおりに走ればね・・・。」

(わかってるよ・・・。)

僕は鼻をブルルルって鳴らして厩務員さんに返事をした。


僕の軽い足運びを見てくれって言うように歩いてみせる。


そしてあごを引いて気合を見せてみる。


「カミカゼ、いい気合だねえ・・・。」


って厩務員さんが褒めてくれる。

ワキノカミカゼ&竹下悠
係員さんの掛け声で出てくる騎手たち。


騎手の竹下悠は僕にさっと乗った。そして首元をポンポンとたたく。


「がんばろうなカミカゼ・・・。いい気合だよ・・・。」


って竹下悠・・・。


僕はがんばる!


オーナーのおっちゃんのため、そして天国にいる母さんのために・・・・。






















うまのきもち~ある競走馬物語 (4) ついにデビュー?

 僕は母さんのことを忘れようと一生懸命競走馬になるためのトレーニングをした。そしてめきめきと上達。デビュー前から注目の的。厩舎も決まった。先輩競走馬がこっちを向いて何か話しているんだ・・・。そっと耳を済ませてみる。


「あれか?例の・・・。」

「あの3冠馬の?」

「ホンマか?あいつ芦毛やん。」


わははは!!!!という風に僕にいいよる。芦毛芦毛芦毛ってうるさいなあ・・・。毎日毎日。ホントに僕は父さんの子なんだろうかと疑問に思うようになった。この芦毛は母さんの毛色なんだ!知らないだろうすごく綺麗だった母さんの芦毛・・・。きっと僕は母さんのように真っ白い芦毛になるんだ。最近だいぶん白くなってきたんだから・・・。


「やあ、カミカゼ。今日から俺がお前の世話をするんだよ。」


と、新人厩務員。僕の綺麗な芦毛を撫でながらブラッシング・・・。ああ丁寧なかけ方・・・。気持ちいい・・・。この人なら信用できそうだ・・・。


「この馬房はね、カミカゼのお母さんがいたところなんだってね・・・。そういやむっちゃ綺麗だったな・・・シラユキ・・・。馬主さんも結構可愛がっていてね・・・暇さえあれば栗東まで来ていらしたらしいよ・・・。」


そっか・・・ここは母さんのいた馬房・・・。そう思うとなんだか・・・気持ちが安らぐ・・・。(様な気がする・・・。)調教師も、調教助手もとてもいい人ばかり。ただし・・・競走馬連中のいじめ・・・・いじめ・・いじめ・・・。調教中にわざと寄ってきてぶつかりそうになったり、ウッドチップを僕に当てるやつ。噛み付いてくるやつ!!芦毛芦毛芦毛・・・。もうやになっちゃうよな・・・。そのせいで僕は対馬恐怖症・・・。あんなに上手くいっていた調教も受け付けなくなる。困った調教師さんは馬主さんを呼んだんだ。


kamikazetakesitayuu
「和気さん、このままではレースに出すことは出来ません・・・。どうしましょうか・・・。」


馬主さんは悩んでいた。その姿をみたほかの競走馬たちは・・・


(処分!処分!処分!!ぎゃはははは!!!!)


「わかりました。もうちょっと様子を・・・。デビューは年明けになっても構いませんから・・・。それとこれを・・・。」


馬主さんは厩務員さんに面子を差し出した。


「これはシラユキのかぶっていた面子です。これにブリンカーをつけてやってみてはどうですか?シラユキも怖がりでした。そのせいで勝てなかったんです・・・。」


え、母さんのだって???とても綺麗なスカイブルーも面子・・・。次の日からこの面子にブリンカーを装着しての調教。僕はもちろんがんばったさ・・・。母さんが側にいる、一緒に走るんだ・・・・。走って走って天国にいる母さんの期待に添えるような競走馬に・・・。

 ついに決まったデビュー!鞍上は竹下悠って言う若手ジョッキー。馬主さんのお気に入りと聞いた。ちっちゃい男・・・。いろいろのジョッキーの中でも小さいんじゃないか?パドックで馬主さんと何か話している。さあデビュー!!もちろん注目馬。一番人気。よしがんばって母さんを喜ばせてやるんだ!!!そして馬鹿にした競走馬たちを黙らせてやる!!!











































うまのきもち~ある競走馬物語 (3)母さんとの別れと命名

 母さんはまた父さんの子を受胎した。そして母さんは僕を寄せ付けなくなった。


「母さん、おっぱいちょうだい!」


「坊や!もうこないで!」


母さんは僕を蹴るふりをして近づけないようにするんだ。牧場のおっちゃんは僕を母さんから引き離し、同じ頃に生まれた仔馬たちと一緒に暮らすことになった。もちろんこれは競走馬になる第一歩・・・。母離れはしないといけないんだ・・・。


僕は同じ歳の仔馬たちと一緒に競争したり、喧嘩したり、遊んだり・・・。でもなんだか母さんのいない日々は寂しかった。昼間は仲間と一緒に走ったり遊んだりして気を紛らわしていたが、夜ひとり馬房の中で泣いていた。もっと教えて欲しいことがたくさんあったのにさ・・・。泣いて泣いて泣いて・・・・。


そんなこんなでまた春になった。そしてまたあの男がやってきたんだよね・・・。


「やあ、カミカゼ。」


僕はそんな名前じゃない。僕はプイッと男とは反対のほうを向いた。


「お前の名前を決めたんだよ。初めてみたお前の気の強さ。走ったときの勢い。風の様な走り。飛ぶように走っていたお前の父馬のようだったよ。名前はワキノカミカゼだ。いい名前だろ。」


ダサい・・・。もうちょっとかっこいい名前をつけて欲しかったんだけど・・・。まるで父さんみたいに横文字の・・・。


くんくん、いい匂い・・・これは・・・僕の大好物・・・。


kamikase&himegimi
「ほら、カミカゼ。ニンジンだよ。とても甘くていいニンジンを持ってきたんだよ。シラユキもこのニンジンが好きだった・・・・このニンジンがね・・・。」


僕はこのニンジンの匂いに誘われて男のほうへ・・・なんで泣いてるの?この男・・・。


「カミカゼ、お前の母、シラユキは死んでしまった。お前の妹を産んでね・・・。」


え???母さんが???妹を産んで???


「だからシラユキの仔馬のころにそっくりなお前はシラユキの忘れ形見だ。シラユキは私の一番のお気に入りだったんだよ・・・。もちろんお前の妹は私が引き取ることにした。名前はヒメギミ、ワキノヒメギミだ・・・。黒鹿毛の美しい仔馬だよ。」

母さんは妹を産んで死んでしまった。


それも随分前に・・・。


どうしておっちゃんは言ってくれなかったんだろう・・・。


母さん!!!!


うまのきもち~ある競走馬物語 (2) おっちゃんの借金の貸主がやってきた!

 春が訪れ、僕は母さんと一緒に放牧されるようになった。僕はぴょんぴよん飛び跳ねながら、母さんの周りを走っていた。僕の名前は一応ワキノシラユキ01と名づけられている。そう母さんの名前はワキノシラユキ。そのはじめの仔馬ってことさ。真っ白くて綺麗な芦毛の母さん。白毛馬と間違えるくらい綺麗なんだ。それを受け継いだ僕の体の色は今はねずみ色。血統には芦毛と書かれたらしい。


 じっと僕の姿を見て微笑んでいた母さんはふと牧場入り口のほうを見つめた。牧場のおっちゃんは慌てて入り口のほうへ走っていくんだ。すると黒塗りのでっかい車が牧場に入ってくる。


「ああ、あの人が来たのね・・・。」


と母さんがつぶやく。僕はわけがわからず母さんの側を飛び回っていた。


すると嫌~~~~~~な臭いが漂ってくる・・・。


これは・・・僕の嫌いな獣医さんの臭い・・・。


お薬の臭い?


いやだ~~~~~~と思って僕は放牧場を逃げ回った。


でもその男は獣医の格好をしていなかったんだよね・・・。


「坊や、あの人は人間のお医者様よ。この臭いは人間のお薬の臭いかしらね・・・。」


母さんは臭いのする男のほうに近づいて男に鼻をすり寄せている。僕は恐々母さんの側に寄り、隠れる。


「元気だったか、シラユキ。男の子を生んだらしいね・・・。」


ブルルル・・・・(そうよ、見てちょうだい。)


母さんは僕を鼻で押し出し、男の前に出す。僕は怖いから、男が僕を触ろうとした手を思いっきり噛んでやったんだ。といってもまだ大人のような歯じゃない・・・。


「いたた!」


「大丈夫ですか!和気さん!」


その男は苦笑しながら、牧場のおっちゃんと話している。


「武山さん!気に入りました。この子を頂きましょう!もちろんあなたに貸したお金を帳消しにいたしましょう。もう誰にも売らないでくださいよ。」


ママ&カミカゼ
おっちゃんはたいそう喜んであの男と家の中に入っていったんだ。


 母さんはもともとあの男の馬だった。母さんの引退が決まったときに、おっちゃんはあの男に譲って欲しいと頼み込んだらしい。男は条件を出した。それははじめの種付けは僕の父さんですること・・・。もちろんおっちゃんは承諾して、この男からお金を借りて母さんを引き取り、そして父さんの種付けの権利を買ったんだ。そして期待通り男馬の僕が生まれたわけさ。

 母さんは僕があの男に引き取られることが決まって喜んでいたよ。


「坊や。あの人はとてもいい人よ。馬が大好きで、とても大切にしてくれるの。なかなか勝つことが出来なかった私にもやさしく接してくれて、ありがたかったわ・・・。私は何頭粗末に扱われる競走馬を見てきたことか・・・。競走馬は走って勝つことに価値がある生き物なのよ。勝てない私は価値のない馬だったのに大切にしていただいたうえにこうしてやさしい武山さんに引き取られたのだから・・・。坊や、きっとあの人の期待に沿えるようにがんばりなさい。」


 まだ生まれて数ヶ月の僕は母さんが何を言っているのかよくわからなかったんだけど、母さんが言うことだからきっと本当のことなんだろうなって思ったんだ。



うまのきもち~ある競走馬物語 (1)偉大な父を持つ僕の誕生

(1) 偉大な父を持つ僕の誕生



ワキノカミカゼ


 ある春の日差しが感じられる3月末。北海道はまだまだ寒いんだけど、僕は偉大な父さんの初仔、それも一番最初に生まれた。


 父さんは3冠馬、そしてラストラン有馬記念を7冠馬として有終の美を飾った最強馬。母さんは未勝利馬なんだけど、芦毛の美しい外国産馬のお嬢様。もちろん母さんの父は外国でも有名な種牡馬なのだ。


 生まれる前からいい血統なのか超期待された僕。年が明けてからまだ生まれてもいないのに、何人もの購入希望者がわんさか母さんの様子を伺いにきたと聞いた。


 母さんは難産だった。初めての出産だったし、僕はちょっと弱かったかもしれないから?やっと生まれても僕は動きもせず、牧場のおっちゃんが何度もさすって僕を目覚めさせてくれた。母さんもぐったりしながらも僕をなめて早く立ちなさいとせかす。僕は母さんにぶつぶつ言いながら何とか立ち、母さんにおっぱいをせがんだ。なんとおいしいこと・・・。しっかり立ち母さんのおっぱいを飲む僕を見て、期待を一杯に受け生まれた男馬なのか、牧場のおっちゃんは泣いて喜んだとも・・・。


「ああこれで牧場の借金が返せる!」


なんだと?僕はおっちゃんの生活の糧かい・・・。まあそれがこういう世界・・・。


おっちゃんは母さんを買うためにだいぶん無理した上に、父さんとの種付けにだいぶん無理をしたと聞いた。まあその権利を買うためにある人物に頼んだって聞いたよな・・・。


その人物・・・。まああとで出てくるけどね・・・。


何とかおっちゃんの期待通りに生まれた僕。ちょっと弱いって言うのが難点なんだけど・・・。今は優しい母さんに守られながら日々を生きているんだよね・・・。

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