4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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明るい家族計画 (8) 内閣官房副長官私設秘書・和気の恋 2

 俺は12月31日、弐條の自宅を再び訪れたんや。


なぜって?年明けまでここに彩子ちゃんがいるって聞いたしな・・・。


「あれ?和気さんどうしたんですか?」


「あ、弐條。」


何俺は驚いてんやろか・・・。当たり前やないか・・・ここは弐條の自宅やし、弐條も俺も仕事納めを済ませて何かない限り出勤しなくていいんやから。


あとは仕事始めまで休みって言うわけや。(ま、急な休日出勤はあるときはある。)


「彩子さんいるかな?」


「あ、いるけど・・・。彩ちゃーん!」


彩子ちゃんは昨日と変わらない笑顔で、俺の前に現れたんや。やっぱしかわいいやん!


「あ、和気さん!なに?」


「ちょっと近所まで来たから・・・今空いてる?」


「うん。いいよ。」


俺は彩子ちゃんを誘って広尾のお洒落なイタ飯屋に誘ったんや。ここは前々からええでって弐條に聞いてたイタ飯屋や。


ランチをご馳走にして、いろいろこの前の話の続きをしたんや。そんで俺は意を決してデートに誘ってみたんや。


「よかったら、二人で初詣いかへんかな・・・。もしかして友達や彼氏と?」


「ううん・・・。予定はないよ。うれしいな・・・。友達はみんな彼氏とデートだし、彩子は今彼氏いないもん。」


そっか、彼氏いないんだ・・・。やった!


「じゃ、今夜の11時くらいに迎えに行っていいかな・・・。お父さんはいつ帰ってくんの?」


「パパ?3日だったかな・・・。今、年越し演習中だから。11時ね。待ってるよ。」


なんて嬉しそうな顔をするんやろうか・・・。むっちゃかわいいやん。俺は彩子ちゃんを弐條のマンションまで送って別れたんや。もちろん携帯の番号交換は赤外線通信で・・・。ああこれが俺らの赤い糸やったらいいのになあ・・・。


「和気さん、これもって帰ってよ。うちの奥さんの手作りだから。お裾分け・・・。」


「え?」


「おせちだよ。関西風だから美味いよ。」


「ありがとう・・・。」


え?弐條の嫁さんって若いのにおせちまで手作りするんや・・・。すごいかも・・・。


家に帰って開けてみたらやっぱりすごい。どっかで買ったやつみたいや・・・。黒豆もしわひとつない綺麗な状態で煮てあるし、きちんと慣例どおりの物を詰めてある。弐條ってホント幸せやなあ・・・。そういえばいつも持ってきている弐條の愛妻弁当はいつも幕の内のような弁当だった。料理うまいんや・・・。うらやましい・・・。彩子ちゃんはどうなんだろ・・・。


俺は大晦日の夜11時に弐條の自宅に彩子ちゃんを迎えに行ったんや。俺は気合入れてお洒落したんやで。もちろん彩子ちゃんは神戸ファッションでお嬢様って感じの格好。やっぱりセンスいい子や。そこらのコギャルやお水っぽい女なんて目じゃないやん。やっぱし俺の目は確かかもしんない。きっとこの子もお姉さんのようにむっちゃ綺麗な子になるで・・・。


「ちょっと待たせてしまったみたいでごめんなさい。」


「いいよ。構わん。」


彩子ちゃんはちょっと顔を赤らめて苦笑する姿・・・。おお!!って感じ。


俺は東京で有名な明治神宮に初詣にいったんや。やっぱし人、人、人で、俺らの密着度は最高!迷子になりそうやったから、俺は彩子ちゃんの手を握ったんや。そしたらぎゅっと握り返してくれてなあ・・・。もう俺の心臓は爆発しそうやった。


やっとのことで賽銭箱の近くについて俺は賽銭を投げて神頼み。


(彩子ちゃんといい関係になれますように・・・。出来れば結婚したい・・・。)


なんて祈ってたんや。今考えると恥ずかしいこと・・・。

明るい 初詣デート
人ごみを外れて夜の表参道を手をつなぎながらあるいたんや。やはり年が明けたばかりの夜や。周りはカップルばかりで、気分は最高潮・・・。ぶらぶら渋谷まで歩いて、俺の自宅近くの恵比寿まで・・・。


「うち来る?お腹すいたやろ?今日弐條のとこでおせちもらったから一緒に食べへん?」


「ん、んん・・・。」


やった。部屋を大掃除しててよかったぜ。俺の家は恵比寿郵便局の近く。弐條みたいにいいマンションやないけど、一人暮らしするにはいい大きさの1LDK。家賃は10万台。地元宝塚でもここまで高くないんやけど。給料の三分の一は飛んでいくんや。まあ仕事仕事であまりお金使うことないからたまる一方で、マンションの頭金ぐらいの蓄えはある。

俺は彩子ちゃんを紳士的に招きいれて、お茶を入れる。彩子ちゃんは微笑んで僕の入れたお茶に口をつける。俺は昼間もらった、弐條の家のおせちを出して食器棚から小皿と割り箸を出す。そして彩子ちゃんは未成年やから、温かいお茶を入れなおし、俺は冷蔵庫から缶ビールを取り出す。彩子ちゃんはいろいろ取り分けてくれて、一緒に話しながら食べたんや。やっぱし弐條の嫁さんの料理は美味い。もしかしたら料亭の大量生産されたおせちよりもうまいかもしれん。


「彩子ちゃんのお姉さんって料理美味いなあ・・・彩子ちゃんも料理すんの?」


「ん?彩子はするけど、お姉ちゃんほどうまくないよ。パパはおいしいって食べてくれるけどね。」


「じゃあ、彩子ちゃん、今度、俺のためになんか作ってくれへんかな・・・。」


「え?」


「この俺でよかったら付き合ってくれへん?」


俺は彩子ちゃんの手を握って意を決して告白したんだよ。彩子ちゃんはすごく嬉しそうな顔をして承諾してくれて、そのまま一緒に朝を迎えたんやけど・・・。


彩子ちゃんは俺のベッド、そして俺の胸の中で、スヤスヤ眠っていたんだ。出逢って数日でこういう関係になるなんてね。まあ同意の上での関係だから、問題はないと思うんやけど、彩子ちゃんのお父さんにばれたら殺されるかも知んないや。


完璧に日が昇ったあと、俺は弐條のマンションまで彩子ちゃんを送ったんやけど、弐條は俺の疑いの眼差しで見つめてたんや。


「もしかして和気さん・・・彩ちゃんを・・・。」


「え?何のことやろ?まあこれから彩子ちゃんと付き合うことになるからよろしくな。」


「なんかあったらきちんと責任取るんですよ。結局和気さん、モテるんじゃないですか。前まで俺はモテへんとかいっちゃって・・・。」


「弐條!またいろいろアドバイス頼むな!特にお父さん攻略を!」


「まあまあ・・・誠意を持って彩ちゃんを大事にしたら大丈夫だと思いますよ。」


ホント弐條ののほほんとしたところはちょっとむかつく事があるけど、反対していないようやし、ま、安心かなあ・・・。


ホント俺って運がいいかも・・・。


学生時代まではいろんな女と付き合ってたが、みんな俺の家目当てだったし、(世に言う玉の輿?)まあ今回彩子ちゃんはそんなことなさそうやな・・・。


目標はもちろん結婚!まあそれまでにはお父さんって言う大きな壁がある。それを乗り越えないといけないんやろな・・・。ああ今度お父さんに会うことにしよう・・・。それまで弐條にお父さん攻略法をレクチャーしてもらわないとあかん。


あ、でも彩子ちゃんは俺と結婚する気あるのかな?


それが一番の問題だ・・・。

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明るい家族計画 (8) 内閣官房副長官私設秘書・和気の恋 1

 

明るい 和気2
 俺の名前は和気泰明っていうんや。年は25。今は俺は母方の伯父で官房副長官平清治氏の私設秘書をしてるんや。


出身は兵庫県宝塚市。宝塚歌劇で有名なところやねん。実家は阪急雲雀丘花屋敷って言う駅の近くにあって、大阪平野を一望できる家に家族は住んでるんや。


うちの実家は関西でも有名な総合病院を数軒持っている、医者一家。兄弟四人いる中で一番上の兄さん、姉さんは医者。そして俺で、下には阪大医学部にいる弟。俺だけがなぜか文系で、東大を出た。これはもうおかん(お母さん)の遺伝やなあ・・・。まあいうおかんはもともと政治家のお嬢やから・・・。


まあほかに文系を選んだわけもあるんやけど・・・。実は血が苦手、グロイ映像、もちろんホラー系はだめなんや。おとん(お父さん)は医者やない俺のことだめ息子のレッテルを貼りやがって、母方の伯父のところに掘り込まれたっていうんや。


まあ今の仕事は好きやし、小さい時の夢は総理大臣。子供のいない伯父さんの後継いでいずれ出馬。今はそれに向けて修行中ってわけや。世間では俺のこと政界のサラブレッドやっていうけどな・・・・。


 同僚にはすごいやつがいるんや。


 そのすごいやつ、それは弐條雅和。父親は現在の総理大臣、おじいさんも総理経験あり。叔父さんは参議院議員。今は官房長官の公設秘書しとるわ。頭も、顔も、スタイルも抜群で、もちろん家もいいとこの坊ちゃん。あと24歳って言う若さなんやけど、嫁さんがおって、もう可愛いってなんの。神戸美人なんや。でもすごく清楚で、微笑んだ顔なんてそこらのモデルや女優顔負けや。やはり弐條みたいなやつにそういう子は集まるんやな・・・。


総理Jrといっても仕事はバリバリできる。(そういや歴代の総理の息子に俳優してるやつおったなあ・・・。)雑用も文句言わないでてきぱきやって、この前の忘年会なんかな、幹事の一人として、先輩秘書たちに頭を下げるんや。ホンマに腰の低いやつ。


 この前、弐條の自宅にいったんや。広尾の閑静な住宅街にあって、低層マンションの最上階角部屋。3LDKなんやけど、100平米以上ある。そうやな、俺の目利きで2億はくだらんやろな・・・。いやもっとかも・・・。多分嫁さんの趣味なんやろな、すごく品のいい調度品やカーテンじゅうたん、食器・・・。ホント趣味のいいものばかり。こんな生活に憧れるっちゅうか・・・。


今、弐條の嫁さんは妊娠中で、それも双子って言うから、安静指示が出てるらしくって、弐條が生まれ育った芦屋から光子さんって言うお手伝いさんが来ているんだよな。一応医者の家庭で育っているから、知識はあるんや。もちろん双子妊娠っちゅうのはリスクがある。それも彼女は結構細いからなあ・・・。しょうがないやん。で、そこで知り合った彩子ちゃん・・・。弐條の嫁さんの妹らしくって、俺と同じ東大に通っている才女。やはり姉妹だな・・・。よく似てる。でもこの彩子ちゃんはちょっとお姉さんとタイプが違うみたいや。やはり関西で育っているから、おもろいもんが好きみたいや。お姉ちゃんは癒し系やけど、この子はその場を盛り上げてくれるような子かな・・・。活発ではきはきしてて・・・。俺はこっちのほうが好みかも。いろいろ地元兵庫のはなしやら、大学のはなしで盛り上がってなあ、いい感じなんや。


別れ際も、「また会えるかな?」って可愛い瞳で見つめてくれるもんやから、俺はマジで彼女を好きになってしまったわあ・・・。


でも親父さんが相当厳しいらしいからそれが心配かもな・・・。


明るい家族計画 (7)妊夫生活~綾乃の兄、陸上自衛官・源一等陸尉編



明るい 兄迷彩服
 俺は源博雅。現在30歳。職業は陸上自衛隊中部方面第3師団所属の一等陸尉。一応幹部。家族は俺と今年春に一緒になった妻、美月とお腹にいる子供。美月は妊娠6ヶ月で早々実家の代官山に里帰り。もちろん俺は中隊長やってるから、最近演習が多くて留守がちになりだしたから、美月のお父さんが早く里帰りをしろと命令したんだよ。


 美月と俺は見合いだった。当時幕僚監部幕僚副長の親父の上官幕僚長に縁談を持ち込まれて、防衛庁長官の一人娘と見合い。断りきれずにそのまま婚約。半年くらい結婚前提のお付き合いをして、春に神戸北野で邸宅ウェディング。


美月はちょっとそこらの女の子とは感じが違っていて、いかにも箱入り娘。実は俺の仕事内容を知らなかったと言う経歴の持ち主。世間知らずもいいところだ。


 結婚当日の初夜からそうだった。今まで防衛庁長官の一人娘と言うから、手も握らず、キスさえせずにただ会って話すだけの関係で、結婚までたどり着いたんだけど・・・。


あれは忘れはしない。 2次会を終えて宿泊予定のホテルへ帰ってさ、初夜にやることってひとつ。抱きしめて、キスして、そのまま・・・って言うのが筋書きだろ?まあキスは結婚式の時初めてしたんだけど、軽く唇と唇を当てただけ。それでも美月は目をまん丸開けて、驚いた表情だった。おかしいなって思って、向かえた初夜。俺はまず美月を抱きしめて、ディープキス。すると美月に頬をたたかれた。


「何するの!苦しいじゃない!」


「え?俺たち夫婦だよ?」


ああ、そういうことかと思ったよ・・・。まったくそういうことに初心だってこと。


幼稚園からずっと超お嬢様学校にいたといっても普通こういう行為ぐらい興味持つときあったはずなのに、なかったってことかな・・・。そこまで箱入りだとは思っていなかったよ。ああ変な子と結婚してしまったって思ったよ。俺が1からレクチャーしないといけないってことか・・・。今の時代、化石級の人物かもしれない・・・。

家族計画 兄
「いい?美月さんは俺が好きだから結婚したんじゃないの?」


「ん、んん・・・。だって制服姿がかっこよかったから・・・。」


なに?俺の制服姿に惚れたって言うのか???あちゃー・・・。


「でも今は博雅さんのこと好きよ。」


「じゃあいい?今からすることは、好きな人同士がすることなんだ。だから驚かないで、俺がすることそのまま受け入れてよね。わかった?」


「は、はい・・・。」


俺はまず上半身を脱いで、次は美月をベッドに横にして、キスをしながら美月のワンピースのボタンを外していった。美月は一生懸命目をつぶって我慢しながら、俺の愛情表現を受け入れてくれたんだよね・・・。まあ何度も何度も止められたのは言うまでもないし、最後のほうはわんわん泣いてた・・・。


俺はいろいろな女を抱いたことあるけど、こんな子初めてだよ・・・。


次の日ショックを受けて、一言もしゃべってはくれなかったけど・・・。新婚旅行も指一本触れさせてはくれないほど・・・。


でもこういう子はハマると怖い・・・。新婚ひと月で快感を覚えたのか、俺が夜勤以外の日は・・・。行ってきますのキス、お帰りのキス、そして夫婦生活・・・。こんなに甘い新婚生活が待っているなんて思わなかったよ。すると新婚3ヶ月で出来ちゃいました。


まあ妊娠話はいいとして、ホントに何も知らない子で、家事一切した事がないのか、何も出来ないんだよね。しょうがないから俺がひと月かけて家事を仕込んでいったんだ。まあのみこみがはやいほうだったからよかったんだけど・・・。傍目から見ると、すごく俺が家事を手伝っていい旦那さんに見えるのかもしれないんだけど、出来ないんだから俺がするしかない。新婚当初は俺が買いもん行って美月に教えながら料理して、洗濯の干し方から掃除の仕方、いろいろ手助けしながら教えた。そのせいか今では下手だけどきちんと自分でやってくれるようになってホッとした。まあ未だに食料の買出しは2人で待ち合わせしていくけど。


俺らはJR伊丹駅近くに住んでいるんだけど、毎日俺は30分かけて自転車通勤。まあ運動は嫌いじゃないから苦にはならないけど・・・。週に数回、駅前にあるイオンで買い物をする。もちろん俺は制服で通勤しないといけないから、引っ越してきたころはみんなじろじろ見られてたな・・・。でも今ではもう店員さんと仲良くなってしまって、お勧めのものとかを教えてくれる。


「あれ?源さん、奥さんは?」


「東京の実家に里帰りなので・・・。」


「えらい早いお帰りだねえ・・・。」


「まあ俺が最近留守がちだから・・・。」


「そういえば、中東に派遣されるかもしれないんだってね?」


「んん・・・うちの部隊はどうかわかりませんが、もしかしたらいくかもしれませんね。」


「じゃ、奥さんは大変だ・・・まだ新婚さんなのに・・・。」


どの店員さんにも同じようなことを聞かれる。


本当にそう。未だに中東はまだ情勢が良くないから、国連の決議によっては陸、海、空の精鋭部隊が人道支援のために派遣されることになる。


以前イラク戦争のときも中部方面隊を始め日本中の精鋭部隊が派遣された。まあその時はまだ俺は防大にいたから、行かなかったけれど、現在、第36普通科連隊の中隊長である俺はきっと派遣されるに決まっている。


まだそのことは美月にいっていないけれど・・・。いずれ美月のお父さんである防衛庁長官から美月に伝えられるのかな・・・。年度末までには行くか決まるんだよね・・・。だから最近日本中のどの部隊も演習、訓練などが多いんだ。親父のいる東部方面もそうさ。親父は偉すぎていかないだろうけれど、俺は幹部とはいえ、まだ一等陸尉の立場だから、行かないとね・・・。


美月は喜んで送り出してくれるかな?


多分現在の首相の弐條さんは憲法9条を擁護する保守的な人だから任期が切れる9月まではもしかしたら行かないかもしれない。まあ俺が決めることではないからね・・・俺は命令に従うのみ・・・。


それならいっそ清原先輩みたいに事務的職に収まったほうがいいかもしれない・・・。 ああ、うちの家庭はどうなるんだろう。幸せそうな妹の綾乃夫婦がうらやましい。





明るい家族計画 (6) 妊夫生活~永田町秘書仲間との飲み会編 3

 「うちで飲みなおしましょう!!!」という僕の提案に皆が賛同してきたんだよね・・・。まずったな・・・。ほんとに・・・。和気さんだけ呼ぶつもりが・・・。


僕は自宅に電話して5人も連れて行くといったら、光子さんが快く承諾してくれた。でもうちは基本的にお酒を置いていないから、赤坂にある酒屋でいろいろ買い込む。そしてお酒の飲めない三浦さんに僕の車を運転してもらって、タクシー1台と共に広尾の僕の自宅へ・・・。みんな新婚家庭に興味津々・・・。でもなんで田村さんまでくるんだ?まったく興味なさそうなのに・・・。きっと橘さんみたいなタイプだと思うよ。独身貴族タイプ。


「ただいま。」


「おかえりなさい。」


綾乃が笑顔で僕を合わせて総勢6人を迎えてくれた。ちょっと顔は引きつっていたけど・・・。僕は綾乃の耳元で言った。


(ごめん・・・遅くに・・・。)


(いいよ。たまにだし、彩子が来てるから・・・。)


(彩ちゃんが???)


(パパが年末恒例の年越し演習に行ってるのよ・・・。だから当分泊まるって・・・。)


まあいっか・・・。いいことないかな・・・?光子さんと綾乃は冷蔵庫にあるもので適当につまみを作ってくれて、わいわいがやがややっていた。本当に光子さんがいて助かったよ・・・。綾乃も本当なら安静にしないといけないのに・・・。綾乃は綾乃で妹の彩子と楽しそうに話していた。

家族計画 彩子
「なあ、弐條。あの子、誰や?」


「あの子は奥さんの妹です。そういえば和気さんの後輩に当たりますよ。東大文Ⅰだから。」


「ふうん・・・可愛いなあ。奥さんによく似て・・・。」


「よければ紹介してあげたいけれど、お父さんが厄介なんだよ。」


「え?」


「お父さんは陸上自衛隊東部方面総監だからね・・・。こわいかも?!」


「じゃよく奥さんと結婚できたなあ・・・それも学生結婚やし・・・。」


「お父さんは権力に弱いからね。父さんに協力してもらったんだ。まあ僕も誠意を見せたけど。」


なんか和気さんは彩ちゃんがえらい気に入った様子。


 和気さんは兵庫県宝塚市出身。仕事中は標準語しゃべるけど、プライベートでは関西弁。この人といれば僕もつられてたまに関西弁になる。ホント仕事以外では関西気質の面白い人。彩ちゃんと6歳違うんだよね・・・。紹介してあげてもいいけれど、多分お父さんが許さないかも。


 和気さんは酔った勢いで、早速彩ちゃんにアプローチしていた。彩ちゃんもこの関西弁で同じ兵庫県出身、東大卒の和気さんと話が合うみたいだ。超地元話で持ち上がっていたんだよ。もちろん東大の話でも。彩ちゃんもすごいすごいって言って、まんざらでもなさそうだ。綾乃がいいと言ったら縁結びでもしてやるかな・・・。和気さんは伯父さんが代議士だし、お父さんは結構有名な総合病院の理事長。お兄さんは若いが腕のいい院長という地元でも有名な開業医さん一家だし・・・。


ホントに僕の周りにはそんな家系が多いな・・・。


ところで異様におとなしい田村さん。みんなわいわいがやがややっているのに、一人黙って飲んでいる。田村さんの視線の先には綾乃と彩ちゃんそして和気さん。和気さんは関係ないとして、彩ちゃん?それとも????時折フッと口元がにやける。本当にこの人は何考えているかわからない。僕は立ち上がって綾乃を呼ぶ。


「綾乃、もう横になっておいでよ。無理したらだめだから・・・。」


「ん?んん・・・。」


「お腹張ってない?気分は?」


「大丈夫だよ。じゃあ横になってくるね・・・。」


綾乃は寝室に入って横になりに行った。僕は田村さんの視線の先を見つめる。やはり綾乃か・・・。気のせいであって欲しいけど・・・。やっぱ綾乃は綺麗だもんな・・・特に結婚してからは・・・。


相変わらず和気さんは彩ちゃんと盛り上がっている。


「あ、もうそろそろ帰る。明日地元に帰るからさ。」


「俺も!」


「そうだな・・・。弐條遅くまで悪かったな。奥さんによろしく。」


まず地方組が先に帰っていく。僕は下の玄関ロビーまで見送り、3人をタクシーにのせ手を振る。


「田村さんの自宅は?」


「俺?元麻布。じゃ、帰るわ。遅くまですまなかったね、弐條君。」


「いえ、また皆さんで遊びに来てください。」


「んん・・・。ところで、弐條は出馬するのか?」


「いえ。田村さんは?」


「んん・・・。じいちゃんの選挙区で、出馬予定だよ。神奈川4区でね。」


「そうなんですか・・・。がんばってください。」


きっと当選なんだろう・・・あのルックスで・・・。若者受けする顔だもんな・・・。鎌倉か葉山出身なのか・・・。神奈川はうちの党ひとり勝ちだからな・・・・。


ところでいつ帰るんだ?和気さんは・・・。


「和気さん、もう12時過ぎたんですけど・・・。もしかして泊まる気ですか?」


「え、そんな時間????じゃ、帰るわ・・・。ごめんな弐條。」


「いえ。楽しそうでしたからなによりで・・・。いつ帰郷ですか?」


「今年は帰らへんよ。帰っても楽しくないしなあ・・・。自宅でのんびりするほうが性に合っているんや。で、奥さん大丈夫なん?」


「はい。双子を妊娠中ですので、安静指示が出ているから・・・。」


「それは大変やね。お大事にな。じゃあ帰るわあ・・・。」


「家まで送りましょうか?」


「いいわあ、広尾病院や恵比寿郵便局の近くやからすぐすぐ。酔い覚ましにいいしな。じゃ、お休み。」


すると彩ちゃんが走ってくる。


「和気さんお休みなさい!また会えるかな?」


「ん?どうかなあ・・・またな。じゃおやすみ。」


和気さんは手を振ってマンションを出て行った。彩ちゃんは嬉しそうな顔をして部屋に戻っていく。彩ちゃんは和気さんのこと好きなのかな?


「彩ちゃん泊まるの?」


「うん。パパがね、ここにお世話になりなさいって言うから。」


「そっか。じゃあ遠慮せずにゆっくりしなよ。」


「うん、ありがとうお兄ちゃん。」


本当に嬉しそうな顔・・・。こんな顔、綾乃も高校時代していたな・・・。やっぱり恋をしているぞ。彩ちゃんは・・・。


「お兄ちゃん、和気さんっていい人ね。面白いし・・・。」


「・・・。そうかな・・・。官邸ではすごく真面目でがり勉タイプ。バリバリ仕事をこなすタイプだよ。気に入ったんだ・・・。良かったら連絡先教えてあげるけど?」


「ホント?」


「でもお父さんはどういうかな・・・。まあ和気さんは有名な医師一家だからね・・・。実家は立派だよ。」


彩ちゃんはホントに和気さんが好きになってしまったんだね。


縁結びするしかないかな?







明るい家族計画 (6) 妊夫生活~永田町秘書仲間との飲み会編 2

 今年はちょっとお洒落な焼肉屋。本店は池袋にある。やはり案の定入り口に女の子たちが待ち構えて品定めをしている。僕は下っ端なので、先輩秘書官たちを案内するんだ。今日は公設も私設も関係ない。年功序列・・・。いくら僕が下積みが長い上に総理大臣の息子だったとしても下っ端は下っ端。

家族計画 和気
 独身組の一番若い和気さん。東大出身の超エリート25歳。官房副長官の私設秘書。未来の代議士。官房副長官の甥っ子さん。僕の同期でライバルであり、大親友。顔は普通。がり勉タイプ?その和気さんが一緒に案内係を手伝ってくれた。



 結構官邸ではお堅い人も、こういう場では和やか。意外な一面が見えたりする。 一番年上の武田さんが乾杯の音頭を取る。一斉にわいわい言いながら会食。自然と若者組みと中年組に分かれて飲んでいる。こういう場でも派閥が出来る。まあ僕は中立と思っているんだけどな。


「おーい!弐條!酒ないぞ!」


「こっちも!」


「肉追加!」


僕はゆっくり座る暇はない。ビールを挨拶しながら注ぎに回ったり、店員さんに注文したり・・・。もうくたくた。見かねた和気さんが代わってくれたから良かったもの・・・。


「弐條の奥さん、妊娠中なんだって?」


「は、はい。」


田村さんが珍しく僕に声をかけてくる。あんまり田村さんと話したことないんだよね・・・。官邸では結構黙々と仕事をこなす人で、僕と同じように党本部や地元との橋渡しのような仕事をしているし・・・。


「ホント田村さんと弐條が並ぶと、まるでファッション雑誌のようやな・・・。」


と、いつものように和気さんが口癖のように言う。周りの若手独身族も同じことを言うんだけどね・・・。


「ホント弐條は政治家にならんのならモデルか俳優やな・・・。うらやましいやん・・・。田村さんもそうや。秘書やめてモデルしたらええんとちゃうかな?」


田村さんはまんざらでもなさそうだけど、僕は恐縮・・・。


「ところで弐條、奥さん妊娠中だって?いつ生まれるん?」


「え!そうなの?まだ奥さん学生だよね。」


「奥さんすごく綺麗なんだよね・・・。聞いたよ、元ミス慶應!」


そう一度にいわれても、困るんだけど・・・・。


すると一番年長の、官房長官政策担当秘書の武田さんが言うんだ。


「ちょっと聞いてくれ皆さん。うちの官房長官つき公設秘書弐條君の奥さんがご懐妊だ!6月生まれるんだ!弐條、総選挙前の忙しい時に・・・。まあお祝い事はいいもんだ。」


その言葉を聞いて、秘書仲間が順番にお酒を注ぎに来る。ホントに恐縮。みんな総理Jrの僕を特別扱いしないから助かるよ。


そろそろお開きの時間。前もって預かっていた会費を持って僕が会計をする。前もって一人いくらで決まっているので、お釣はなし。そのあと僕は近所に停めてある自分の車に戻って、用意した人数分の手土産を持ってくる。そして配っていく。みんなとても機嫌良さそうな顔をしてある者は地下鉄で、ある者はタクシーある者は運転代行を呼んで帰路に着く。まだ残っているのは若手独身組。なんだか集まってわいわい語り合っている。


「おう!弐條。幹事ご苦労さん!今から2次会行くんだけどお前も行くか?」


「そうだよ弐條!たまには付き合え。」


いくら若手独身組とはいえ、僕の先輩たちだ。断れず2次会に付き合うことになった。やっぱりエリート集団。自然と知らない女の子たちが寄って来る。やっぱり田村さんにたかっている。なんだか知らないけれどこの僕にもたくさん寄って来る。僕は独身じゃないってば・・・。


「どこにお勤めなんですか?」


とかいろいろ聞いてくる。うっとうしい・・・。さすがだ田村さんは普通にあしらっている。僕は苦手・・・。こういうときの田村さんはいつもと違う。やっぱり噂どおりプレイボーイなんだ・・・。嫌な顔ひとつせずに微笑みながらあしらっているんだもの・・・。


「和気さん、やっぱ帰ります。奥さん待ってるから・・・。」


「え~~~弐條!付き合い悪いで!」


「付き合い悪くてもいいんです。」


「ああ、わかってるで、未来のファーストレディーが待ってるんやからな。ホントにご馳走様。いいね新婚さんは・・・。俺も早く落ち着きたい・・・。で、来年の選挙でるんか?」


「いえいえ・・・。まだ父も健在ですし・・・。もうちょっと修行を・・・。和気さんは?」


「う~ん、伯父さんは勧めるんやけどな・・・。まだ俺も自信はないなあ。弐條なら絶対親の七光りで当確だと思うんやけど・・・。」


まあ最近こういう会話ばかり・・・。来年総選挙だからね・・・。僕は総選挙あたりに25歳になる。そして出馬できる。親の七光りを使ってまで当選はしたくはないな・・・。


「そうだ、和気さん。うちで飲み直しませんか?和気さんの自宅確か恵比寿のほうでしたよね。うちは広尾ですから歩いてでも帰れますよ。一度遊びに来て下さいよ。ちょうど聖心女子の近所ですから。」


「そうやな、いっぺんいってみようかな・・・。」






(つづく)


明るい家族計画 (6) 妊夫生活~永田町秘書仲間との飲み会編 1

 うあー。うちの奥さん双子を妊娠中!妊娠でさえ予定外の上、3回目の検診で双子発覚!こういうときの男って弱いもんだね。奥さんは驚いていたけど、少し経つともう落ち着いてたよ。子供たちのパパである僕は未だに落ち着かないんだよ。おろおろしている。


 診察後、早速父さんに報告したら驚いてたっけ・・・。 そういえば僕も双子で生まれたんだけど、生まれてすぐに妹が死んじゃってね。僕だけが生き残ったわけ。母さんはそのあと産後に肥立ちが悪く、病気がちになってね・・・。東京に住まずに芦屋で兄さんと僕と一緒に過ごしてたんだけど、父さんは政治家でしょ。いろいろ気苦労があったんだろうね、僕が小学1年のときに亡くなってしまったんだよね・・・。その時僕はとても父さんを怨んだよ。だから僕はずっとおじいちゃんのいる芦屋に住んでいたんだよね。綾乃と出会うまで東京も嫌い、政治家なんてもってのほかって思っていたんだ。綾乃と出会って、綾乃を守ってやりたいって思うようになってね、なぜか政治家を目指すようになってしまった。ホント不思議・・・。


  なんとなくだけど、今回の綾乃の妊娠は死んじゃった妹が戻ってきたような気がしてね・・・。きっと一人は女の子だって思うんだ。出来ればもう一人は男の子であって欲しい・・・。まあ贅沢なことだろうけれど・・・。 昨日夜、ベッドの中でいろいろ話したんだ。


「性別って聞く?僕は聞きたいな・・・。名前とか準備とかあるでしょ。」


「うんそうだね・・・。双子だもんね・・・。でもあたしは聞きたくないかな・・・。楽しみにしたいのよね・・・。でも聞きたいような・・・悩んじゃう。」


僕は綾乃にキスだけしてそのまま眠ったんだけど、夢の中まで赤ちゃんたちのことでいっぱいで・・・。朝起きたら綾乃の腹部をなでていたんだ。


「もう、赤ちゃんたちばっかりね。ホントに雅和さんは親ばかなんだから・・・。」


といってやきもちを焼く綾乃がすごく可愛いと思って、綾乃の唇にキスをして布団から出る。


「綾乃も大好きだよ。もうちょっとゆっくり寝てなよ。」


「うん・・・。」


朝ごはんは光子さんが作ってくれる。僕はシャワーを浴びて出勤の準備。そして新聞を見ながら朝ごはんを食べ、身支度をしていつもの時間に自動車通勤。


「光子さん。今日遅くなるから、綾乃のこと頼んでいいかな?」


「はい。お坊ちゃま。」


「光子さん。もうお坊ちゃまはやめてよ。来年僕は父親になるんだから。」


「そうですわね。」


光子さんは微笑みながら綾乃の代わりに見送りをしてくれる。光子さんがいてくれるおかげで安心して仕事が出来る。


今日は仕事納め。忘年会が入っているから、帰りは運転代行を頼むつもりで車に乗って出かけた。今日はいつもと違って官邸内の駐車場の止めさせてもらった。


 今晩は官邸に詰めている秘書官たちの忘年会。総理大臣つき、官房長官つき、副総理つき、官房副長官つきなど総勢数十人の飲み会!会の名前は「永田町同盟会」。赤坂で開始!今年の幹事、官房長官付きの秘書が会場設定から、運転代行、タクシーの手配まで行う。会費は結構高い。男が多いからわいわいがやがやうるさい。でも一流の秘書たちばかりだから、赤坂でも毎年注目の的。この日にあわせてどこかの女子大生やら、OL達が独身秘書官を狙って集まってくるのも確か。まあ去年は僕は休みを頂いていたから、出席してないけれど、結構すごい。一種のコンパ状態になる年もあるらしい。まあみんな立場をわきまえているから、警察のお世話になる事はないけど・・・。僕は一番若いから、一番動かないといけないんだよね・・・。


官邸秘書官の中で独身秘書官は6人。もちろん僕は入っていないけど・・・。下は25歳上は40歳。


明るい 橘
 お勧めは30歳副総理つき若手出世頭の公設秘書田村さん。実はこの人のおじいちゃんは元政治家。結構背が高くってハンサムだ。お母さんがイギリス人でハーフ。どこかのモデルかと思うような姿。まあ10代のころはモデルしてたらしいけれど・・・。この人は僕の大学の先輩。綾乃には会わせたくないんだよね・・・。かっこよすぎて・・・いろいろ噂もあるし。


そしてかっこいいのに結婚できないんじゃなくってする気のないチョイ悪オヤジ風のうちの父さんの公設秘書橘さん・・・。この2人がいつも人気だ。何で橘さんは結婚しないだろう。六本木ヒルズに住んで一人暮らしをエンジョイしている。早大政経出身。彼女多数。(昔から知っているけれど・・・信じられないよな・・・。彼女多数ってのは・・・。)


もちろん女性秘書官もいるよ。ホント数人だけど。なんだかんだ言って男の職場だね。




(つづく)


明るい家族計画 (5) 妊婦生活~驚き編 2

 いつもの診察のあと、いつものように先生は雅和さんを呼んで、あたしの横に座らせたんだけど、先生は少し困った様子であたし達を見つめる。もしかしてあたし達の赤ちゃんになんかあったの?


「すみません。こちらの落ち度で今まで見つけられなかったのです・・・。」


先生何言うの?もしかしてなんか異常が見つかったの?


やめて!


すると先生はあたし達に超音波写真を何枚も見せる。


「角度の関係でもう一人見つける事が出来なかったようです・・・。実はよくみてください・・・。」


先生は超音波写真に指差して詳しく説明をする。


「実は双子ちゃんです。一人隠れていたんですよ・・・。今回随分大きくなってきて見えやすくなったのでしょうか・・・。おかしいなと思って角度を変えたらもう一人・・・。」


「ええええええ!!!!!!」


あたし達は驚いたわよ。双子ちゃんよ、双子ちゃん!一気に二人のパパとママになるの?あたし達。まあ雅和さんがもともと双子だから、家系的に出来る確率はあるらしいけれど、(一卵生の場合のみね)どうよ!


「この時期ですから、一番危険な一卵生で同じ部屋にいるのか、二卵生の一番安全なものなのかは詳しく調べてみないとわかりませんが、まあこれからいろいろ制約があるので、がんばってください。もちろんできるだけ安静に・・・。次半月後に来てください。普通の妊婦さんよりも管理が大変なので、回数は増えますし、何かあったらすぐ来て下さいよ。予定日は半月からひと月早まることも頭に入れてください。あ、そうそう先月の血液検査は異常無しです。ただ双子ちゃんなので、鉄分カルシウムを多めに摂って、塩分は控えめに・・・。では再来週お待ちしています。お大事に・・・。あ、母子手帳もう一冊用意してくださいね。」


あたし達は驚いて言葉も出なかったわよ・・・。


安静と言うことは年末のクリスマスも、お正月も・・・。


自宅にいろってことか・・・。


まあ派閥の新年会は出なくていいのはラッキーだけど・・・。


明るい 雅和引く
 雅和さんの驚いた顔ったら忘れられないわ・・・。まあ驚くのも無理はないけれど。 診察のあとまた渋谷区役所へ・・・。


役所の人に「またですか?」と言うような表情で見られるのは気のせいだろうか・・・。こういう時は半公人のあたし達は不利ね・・・。


 母子手帳発行の書類に必要事項を書き込む。もちろん第何子のところは第2子になるんだかど、そこは大きめに書いておいたわ。そうしたら担当者は驚いていてね、いまさら「双子ちゃんなんですか?」って声をかけてくる。もしかして再発行だと思ったの??双子ちゃんだからもう一冊もらいに来たんじゃない!


 すると今度はもらう時に違う職員が言うのね。


「おめでとうございます。先月もいらっしゃいましたね。双子ちゃんなんですね。まあ一気にお子様がお2人も・・・。」


あたし達はテレながら逃げるように区役所を出て行ったわよ。職員なんだからあたし達の相手をしないでしっかり仕事しなさいよ。こういうところからマスコミにばれたりするんだろうか・・・。ちゃんと個人情報を保護してよね・・・。


よく見ると母子手帳のデザインが違う。切り替わったんだね・・・。まあ間違わなくっていいんだけど・・・。


あたしはもらった母子手帳を母子手帳ケースに入れて、大事に保管する。


さすがに自宅に戻ると雅和さんはどこかに電話をかけていたの。多分お父さんなんだろうな・・・。きっと大騒ぎに違いない。あたし達の双子ちゃん。ホントに不安だらけだけど・・・。


雅和さんったら面白いの。きっと男の子と女の子だって言い張って、名前まで付けちゃって、暇さえあればお腹に話しかけてるんだもん。まだあたしは胎動を感じてないから、実感なんてわかないけどね。


こんな姿を見て、雅和さんのばあや光子さんは微笑んでいたわよ。


「本当に昔の旦那様と奥様を見ているようですわ。」


なんて。


ふうん雅和さんのお父さんとお母さんってこういう感じだったんだね。詳しくは話してくれないけれど、きっと幸せだったのだろうね。




(一言)


実はうち、3回目の診察で双子を妊娠している事がわかったのです。驚き!!!さすがに1週間寝込んでしまいましたよ。そして母子手帳のデザインもちょうど切り替わりの時で、二人は違うんです・・・。私の場合は、すぐに転院してくださいって言われました。同じように一卵生か二卵生かで安全性が違うからって・・・。今回のお話は半分実体験のようなことです。はい・・・。^^;



明るい家族計画 (5) 妊婦生活~驚き編 1



明るい 綾乃と雪
 街はもうクリスマス一色。恋人たちはみんなお洒落してヒルズや表参道なんかのロマンチックな夜景を楽しんでいる。


あたし達夫婦ももちろん一緒。


お腹にはあたし達の愛の結晶。もう4ヶ月になって、つわりも治まってきたし、お腹も少しだけど目立ってきた。(雅和さんはあたしに太ったって言うけど・・・。まあ、つわりが終わった分食欲が・・・)


 明日は今年最後の検診日。前回は検診終了後、すぐに区役所行って母子手帳をもらいに行ったのよね。超音波写真も明日で3枚目。もらったらすぐに雅和さんたらコピーして自分の仕事用のカバンに入れる。そして自分のデスクマットに挟んでいるらしい・・・。もう官邸内は親ばかで通っているらしいけれど。未だ公に発表はしていないし。(総理大臣の息子とはいえ、ただの秘書だから必要ないと思うけど・・・。)


「ホント大丈夫?お腹はったり痛くない?」


「うん大丈夫だよ。」


いつものように雅和さんはあたしとあたしのお腹をいたわってくれる。


階段なんていつも落っこちないように手を引いてくれるし、もちろん荷物なんかも持ってくれる。ちょっとした段や滑りやすいところもそう。まああたしはドンくさい方だからね。

 今日は国会も終わって、早めに帰ってきてくれたから、久しぶりのデート。家から出るときも体が冷えたらいけないからって、いっぱい着せられてしまった。反対に暑いってなんの・・・。靴もヒールのないブーツ。それも滑りにくいようにゴム底のやつね・・・。


ホント過保護?


まああたしは論文も仕上がって提出済み。あとは年明けの秋季試験を受けて合格点取れば卒業できるのよね・・・。卒業すれば専業主婦になって、お腹の赤ちゃんが生まれてくるのを指折り数えて待つの。赤ちゃんのために何かつくろうかななんて考えたり・・・。


 最近ね、雅和さんのお父さんが、芦屋のおうちから雅和さんのばあや、光子さんを呼び寄せてくれてね。家事の手伝いをしてくれることになって助かっているの。官房長官夫人もちょくちょく遊びに来てくださって、いろいろアドバイスもくださるし、楽しい話も聞かせてくれるのよね・・・。ホントみんなに助けられて妊婦生活をしているって感じ。


もちろん旦那様のいつもの素敵な笑顔もあたしの元気の源。仕事で疲れていてもあたしとあたしのお腹の赤ちゃんを慈しんでくれるんだもん。ホント感謝しないとね・・・。


 そして次の日、愛育病院の検診予約日。いつものように受付を済ませて順番を待つ。すると誰かがあたしを呼ぶの。


「綾乃さん!お元気?」


「あ、美月さん。」


美月さんはあたしのお兄ちゃんのお嫁さんで、防衛庁長官のお嬢様。兵庫県の駐屯地近くに住んでいるんだけど、どうしたのかな?


「ええ?うそ、綾乃さんも妊娠しているの?今何ヶ月?」


「4ヶ月なんです。6月中旬が予定日で・・・。美月さんはどうして?」


「東京で産むことになったから、今日入院予約に来たのよ。パパもこっちで産むようにって言っているもの。そっか、弐條さんのところもね・・・。私たちよりも早く結婚したから・・・。知らなかったわ。博雅さん何も言っていなかったけれど・・・。」


「まだ正式には言っていないの。安定期に入ってからにしようと思って・・・パパに報告したら結構驚いてたわよ・・・。そっか、美月さんここで産むのね・・・。いつ里帰り?」


「実はもう帰ってきているのよ。ちょっと早すぎるけれど、博雅さんったら最近演習とかで家を空ける事が多いから、私のパパが心配だって・・・。」


「なるほど・・・。」


「実家は代官山だからまた遊びに行くわね。いいかしら、弐條さん。」


雅和さんは微笑んで承諾してくれた。ああこれで妊婦仲間が出来て嬉しいわ。そして今度代官山のおうちに遊びに行く約束までしたわ。


「綾乃、名前呼ばれたぞ。」


あたしはいつものように診察室に入って、内診や触診、超音波などをしたの。でも今日はなんだか超音波が異様に長いんだよね・・・。いつもの倍以上かかっている。そして何枚も超音波写真を取り出している。何?なんかあったの?気になるじゃない!




(つづく)



明るい家族計画 (4) 妊夫生活~親ばかのはじまり編 2

 次の日綾乃は、つわりがひどいのに、きちんとお弁当まで作ってくれた。


「綾乃、つわりが治まるまで無理してお弁当は作らなくていいよ。議員会館の食堂で食べるから・・・。」


「だって外食は栄養のバランスが悪いし・・・。忙しい雅和さんにはお弁当が一番なんだよ。」


僕は綾乃からお弁当とカバンを受け取ると綾乃にいつものように「行ってくるよ」のキスをして自宅を出た。そして朝一に議員会館に寄らずに官邸へ。まず総理大臣執務室に向かう。


いくら総理大臣の息子だと言っても官邸内では特別扱いはない。いち官房長官の公設秘書として扱われる。執務室前の秘書官たちに面会を申し出て、少し待つと、秘書官によって呼ばれ、執務室に入る。


「どうした?こんな朝早く。」


父さんは国会に行く準備をしていた。


「あのお話が・・・。」


「急いでいるから手短に頼むよ。」


「あの、父さん。私的な話で申し訳ないんですが、綾乃に子供が出来ました。」


「え?それは本当か?いつ生まれる?」


「今3ヶ月で、6月中旬に・・・。」


「そうか、この私もおじいちゃんか。また綾乃さんにお祝いの電話を入れておくよ。じゃ、急ぐから。」


父さんは嬉しそうに足早に執務室を出て行く。今日は党首討論が行われるから、本当にたくさんの秘書官や取り巻きに囲まれながら官邸を出て行ったんだ。


後は官房長官なんだけど、長官はもう国会にいってしまって、不在。


僕は官邸のデスクで国会中継を見ながら仕事を行う。先輩秘書たちは国会に行ってしまったから、僕だけ電話番。外部からの電話も扱うけれど、主に国会からの電話を受け持つ。たまに資料が足りなかったり、急な報告類をまとめたり運んだりするのが今日の僕の役目。

明るい 雅和写真を見る
 僕はデスクのシートの間に僕たちの赤ちゃんの超音波写真のコピーを挟んで暇さえあれば見つめて微笑む。先日2回目の検診に行ったところだからこれで2枚目。本当だったら写真をいただけないんだけど、無理言って毎回写真をもらうようにして、大事にコピーをし、持ち歩いている。


 前回はまだ丸くてこれが赤ちゃん?って感じだったけれど、今回は違う。頭、胴体、そして可愛い手足がきちんと付いている。まだ5センチぐらいで10gぐらいしかないけど、一生懸命心臓を動かして動いていた。本当に感動ものだった。


先生はもうそろそろ流産の危険性はなくなってきたって言ってくれて安心したけど、まだ安定期に入っていないって言うから、出来るだけ無理させないようにしないと。


お昼の休憩時間になると、続々と先輩たちが帰ってくる。僕は写真の上に本を置いて恥ずかしそうに隠してみる。ホントに僕って親ばかかもしれない。


官房長官は総理大臣である父さんとお昼を食べながら会議をするらしい・・・。だからこちらには戻ってこない。いつものように僕はお弁当を取り出し、官邸の職員がお茶を持ってきてくれる。今日に限って職員が思いっきり写真の上の本にお茶をこぼしてくれた。


「あ、すみません、今からふきますから!」


「いいよ!僕がするから!」


職員は本を一冊ずつふきながら別の場所に移していく。僕は濡れた資料を一生懸命拭いていた。


「あ~~~~弐條さんなんですかこれ?!」


忘れてたよ、超音波写真のことを・・・。


見つかってしまった・・・。


案の定先輩たちが集まってきてしまって、みんなに見られてしまった・・・。


「実は僕の子供・・・。今、奥さんは妊娠3ヶ月なんです・・・。」


「だから最近早く帰るのか・・・・。なるほど・・・。官房長官は知っているのか?」


「今日話そうと思いまして・・・。父には朝、報告はしましたが。」


もちろんからかわれたよ・・・。


やっぱり新婚だねとか言われたりなんかして・・・。


嬉しいやら恥ずかしいやらで・・・。


一応まだ公に出来る状況でないからとくち止め・・・。


口止め料として今度の飲み会は僕のおごりになってしまった・・・。


普通おごってくれるもんだろ!


まあいいか・・・気分はいいし・・・。


やっと報告できたのは帰るギリギリ・・・。


官房長官はすごく喜んでくれて、困った事があったらなんでも言ってくれっていってくださった。まあこの人は僕らの仲人さんでもあるし、ご近所に住んでおられるからね・・・。綾乃に奥様は母親のように接してくれているし、綾乃はよく相談とかもしているらしいから、安心かもしれない・・・。これからいろいろ配慮してくれるらしいし、仙台行きも僕の代わりに私設秘書がしてくれるらしいから助かったよ。


まあお手当て分の給料は減るからしょうがないか・・・。


まあ周りの人たちに報告できたから安心・・・。


あとは綾乃のお父さんだよね・・・。


約束と違うから怒られるかな・・・。


ちょっと怖い・・・。








(作者から^^;)


イラストの超音波写真はまさしく私のなのです^^;うちの双子っちが写っています。


よく見たら赤ちゃん状のモノが見えるのがわかりますか?あれはうちの3女です。


体形でわかるんです。丸々ぷっくり体形・・・。そしてなんとなく右側に見えるのがうちの長男。


おなかの中でもがりがり君。




実はこの小説、妊娠時の場面は実際の話がベースになっているんです。


予想外、想定外の話から・・・。すべてじゃないですけれど、詳しい描写はやはり経験者じゃないと・・・。


そういえば3回目の妊娠はみんなに怒られたんですよ・・・。双子だったから・・・4人になるわけでしょ。もう四年も前のことです。




また該当する場面が出てきたら、こうしてご報告を・・・。


明るい家族計画 (4)妊夫生活~親ばかのはじまり編 1

 10月中旬、僕の奥さん綾乃の妊娠が発覚した。まだ綾乃は学生だから、家族計画をきちんとしていたつもりだったのに、いきなりの妊娠発覚。まあ僕たちは結婚しているんだから遅かれ早かれ出来て当たり前。そしてもちろん夫婦生活っていうものはきちんとしていたんだし・・・。


「あれって100%じゃないから!」 って綾乃に言われた時はまさしくそうだと思うしかなかった。なんで?なんで?って思う前に、もともと一年程前から、子供が早く欲しいなあなんて思っていたわけだから、もうすぐ僕はパパになる!っていう思いのほうが強くって、もう避妊の失敗なんてどうでも良くなったんだよね。


 もう本当に嬉しくって、近所にある愛育病院に決めたんだよね。ここはいろんな人から勧められていて、ここしかないかなって思っていたわけで、僕は休みを頂いて、綾乃を連れて診察に行ってきたんだ。綾乃はここ最近気分が悪くって、しんどそうにしているから、全部僕が手続きをしてあげて、辛そうな顔をしている綾乃に寄り添ってあげたんだよね。


 名前を呼ばれてはじめに綾乃だけが診察室に。診察時間は数十分もしないのに、すごく長く感じちゃって、看護師さんに診察室に入るように言われても気づかないほど緊張していた。


「さあ、ご主人どうぞ。」


綾乃の横の椅子に腰掛けて、診察結果を聞く。


「おめでとうございます。奥様は確かに妊娠されていますよ。現在5週目2ヶ月になります。」


先生は超音波の画像を見せてくれてちっちゃいけど、胎嚢(たいのう)っていう袋の中に確かにまだまだ小さな赤ちゃんが入っていたんだ。(と言ってもまだおたまじゃくしのような形らしい・・・。胎芽って言うんだ。)その画像をにやけながら見てたんだけど、先生が考えられないことをいったんだ。


「奥様は一度今の時期に流産経験がありますので無理は禁物ですよ。・・・・」


え?!流産?今回が初めての妊娠じゃなかったってこと?何で黙っていたわけ?多分僕の子だと思うけど・・・。綾乃は浮気するような子じゃないし・・・。(僕は一度だけあったりなんかするが・・・。)


一度流産・・・って言う言葉がすごく頭に残って、そのあとの先生の言葉なんて頭に入らなかったんだよね・・・。そのまま会計済ませて何も言わずに車に乗って自宅に帰った。

明るい 雅和3
 そのあと何がなんだかわからなくなって、仕事に行くって嘘ついて自宅を出たんだ。ひとりで車を運転しながらいろいろ考えてたんだ。もしかして僕の子じゃなかったとしたら誰?


時期にもよるかもしれないけれど、綾乃を取り巻くいろんな男の顔が僕の脳裏に浮かんだ。


自衛官幹部の清原?


それともにっくき丹波?


丹波の場合は2年ほど前からちょっかいかけていたけど、綾乃はすごく嫌っていたし、清原は?清原ねえ・・・あるとしたらこいつか・・・。


でも綾乃は清原のことをお兄ちゃんみたいな人と断言してたからね。じゃあ今回みたいに避妊の失敗か・・・。でもそれなら僕に言ってくれてもいいのにな・・・。もしかしたら、独身時代のことだからばれたくなかったのかな・・・。


なんだかんだ言いながら、海を見ながら考えた。でも結局綾乃のお腹の中に僕の子がいるわけだから、最後のほうなんてどうでもよくなって、お昼食べてなかったし、そろそろ夕方になってきたから、横浜そごうに車を止めて、夕飯を買って帰ったんだ。


ホント僕はまだ子供だよね・・・・つまらないこと(?)でショックを受けて、こうして家を飛び出したんだから。綾乃もいろいろと心身ともに不安定な時期だからできるだけ一緒にいてあげないといけないのに・・・。


今はそっちのほうが大事。僕は家に帰ると綾乃に謝って、一緒に夕飯を食べたんだ。もう以前の妊娠のことなんて聞く必要はないからね。今確かに綾乃のお腹の中には僕達の愛の結晶がいるわけなんだし。これから残業や休日出勤を控えて綾乃の側にいようと決めたんだ。そして検診の日にはきちんと付き添って、もちろん両親学級や立会い出産なんかも考えるよ。


やっぱり早くみんなに公表したいなあ・・・。嬉しくってたまらないし。父さんも喜ぶだろうな・・・。


次の日から僕は仕事にさらに張り合いが出て、みんなが驚くぐらいに早く仕事をこなしていくんだ。そして何かない限り(国会の時間延長とか・・・そのほか急なことなど)ほぼ定時で家に帰る。そして下手だけど、つわりで苦しい綾乃の代わりに夕飯の準備をするんだ。


綾乃は卒論を書きながらなんだか気を紛らわせていたようだけど、日に日につわりがひどくって、大学も休みがち・・・。でも春には卒業しないといけないから、できるだけがんばっているのはわかっている。やっぱりこれからいろいろ休んだり、出張とかをお断りしないといけないことが出てくるから、周りの人だけでも公表しないと・・・。


「ねえ、綾乃。父さんや官房長官には言ってもいいかな・・・。だってよく考えてみてよ、僕たちにはお母さんがいないだろ、僕がさあ、仕事中や出張中に何かあったらどうするの?他の人に頼めないこともあるかもしれないから、僕が出来るだけ側にいてあげないと・・・。急に病院に行かないといけないときに理由を言わないで出れないでしょ。」


「うん、そうね・・・。」


「今でもつわりがひどくなっているのに、残業なんか出来ないじゃないか・・・。出来るだけ早く帰れるようにしないと・・・。」


2人でゆっくり相談して、父さんと僕の上司(?)の官房長官にはきちんと事情を説明しておくことになったんだ。



(つづく)



踊るサンタを製作しました^^
描いたイラストが踊るというサイトを発見。
サンタを書いてみました。
サイトはこちら・・・
http://roxik.com/pictaps/index.html

どうぞ作ってみてください。

明るい家族計画 (3)予想外・想定外編 3

 雅和さんは朝一番に官房長官や秘書仲間に月曜に休みたいと連絡してたのよね。まあ普段欠勤はしていないから難なく休ませてもらったみたいだけど・・・。


 ホントにニコニコしちゃってさ。買い物していても、荷物を全部持ってくれたり、夕飯も珍しく作ってくれたりしたの。ホントにマメなんだから・・・。


「まだ公表しちゃだめよ。はっきり病院で見てもらっていないんだから・・・。」


「え~~~早くみんなに知らせたいよ・・・。」

明るい 病院
  月曜日になって、朝一番に愛育病院へ。雅和さんは初診手続きまですべてしてくれる。恥ずかしくないのかな・・・。


初診手続きを済むと待合室へ。やっぱり人気病院ね・・・。朝早く受け付け済んでも結構待つ。だんだん雅和さんは緊張してきたみたいで、なんともいえない顔。名前を呼ばれてあたしだけ診察室へ・・・。あたしはやはり妊娠5週目。予定日は6月中旬。問診でいろいろ聞かれるんだけど、妊娠歴なんかも聞かれたわけ。あたしはつい、4年前の流産の件を言ってしまったの。ちょうど今頃の流産。そのことで、先生は雅和さんを呼んで、言ったの。


「ご主人。奥様は一度流産経験があるようですので、安定期に入るまでは無理は禁物ですよ。何か変わった事がありましたら時間外でも構いませんから診察に来てください。」


「え?流産?」


雅和さんは複雑な顔をして、あたしを見つめてるの。


「まああまり心配の必要はないと思いますよ。順調な大きさですし。ではひと月後に来てください。」


雅和さんは車の中で、ずっと黙っていたの。そりゃそうよ。雅和さんは今回の妊娠を初めてだと思ってたんだから・・・。雅和さんは自宅に帰ると、スーツに着替えて出勤準備をするのよね。


「やっぱり仕事行ってくる。まあゆっくり寝てなよ。夕飯は何か買ってくるから。」


「雅和さん。」


「またゆっくり前回の妊娠について話をしよう。」


そういうとお昼を食べずに家を出て行ってしまった。やっぱり怒ってるんだ・・・。隠してたから・・・。言わなければよかった・・・。でもこういうのは言わないといけないって聞いたし・・・。でも前回の相手が雅和さんじゃなくって、清原さんだなんて言えないよ・・・。やはり相手は雅和さんだって言い張るしかないか・・・。


 雅和さんは百貨店の紙袋を持って帰ってきた。なんとなく雅和さんは仕事に行ってないんじゃないかと思ってたの。だっていつも持っていくパソコンを持って行っていなかったし・・・。こういうことははじめて。百貨店の紙袋だって、仕事場近くのじゃなくって、横浜そごうのだし・・・。きっと海を見に行ってたんだ・・・。


「綾乃、惣菜で悪いけど、何か食べなよ。」


「う、うん・・・。」


「あのさ、綾乃・・・急に出て行ってごめんな・・・。なんかいろいろありすぎて・・・。」


「ううん・・・あたしだって流産したこといえなかったから・・・。ごめんなさい・・・。」


それ以上雅和さんは聞いてこなかったけれど、お腹の中に授かったばかりの赤ちゃんがいることは確か。本当に2人にとって予想外、想定外ばかりの数日間になった。もちろん次の日雅和さんは普段の優しい雅和さんに戻っていた。


ごめんね雅和さん・・・ほんとのこと言えなくて・・・。



明るい家族計画 (3)予想外・想定外編 2

 あたしは食事を済ませてお待ちかねのケーキ!お紅茶入れて、雅和さんと一緒に食べる。


大好きなはずなのにおかしいなあ・・・。夕飯食べすぎたかな・・・。普段ならケーキ2,3個ぐらい別腹で食べる事が出来るのに・・・。1個全部食べられない。おいしいケーキなのに・・・。


「また明日食べるね・・・。」


「どうかした?大好きなケーキなのに・・・。」


胸焼けのひどいやつって感じ?食中毒?でも雅和さんはなんともなさそうだし・・・。

明るい 綾乃ショック
もしかして????


でもちゃんと出来ないようには・・・・。前回はこんなことはなかったし、そういえばあれが数日遅れてる・・・。


「綾乃があんまり食べないのなら、もったいないね・・・。彩ちゃん呼ぶ?」


「うん、彩子もケーキ好きだし・・・。」


彩子はあたしの三歳年下の妹。東大文Ⅰにこの春入学して南麻布の実家に住んでいる。雅和さんは彩子に電話してくれた。彩子は喜んでうちに遊びにきたわよ。まあおいしそうに食べること・・・。ペロッと3個食べちゃったのよね・・・。そして笑顔でさっさと帰っていったのよね・・・。さすがあたしの妹だよ・・・。


でも気分は良くならなくって・・・。せっかく休み前日だから、ゆっくり夜を過ごそうと思ってたのにそれどころじゃなくなったのよね・・・。


「大丈夫?明日土曜日だから午前中病院に行こうか。」


「いいよ、大丈夫だから。」


「じゃあ明日になっても治らなかったら、月曜日に行こう。休み取るし・・・。綾乃がつらそうな顔見るの辛いし・・・。」


時間見たらまだ8時前・・・。どこか薬局開いてるかな・・・。


「ちょっと薬買ってくるね・・・。」


「あ、僕が運転してやるから・・・。」


雅和さんはあたしを連れ出して薬局探し・・・。なんとか六本木ヒルズ近くで見つけて、車の中で待っていてもらって、検査薬を買いに・・・。なんとか購入して、結局ドライブ。コンビニに車止めて、雅和さんは水を買ってきてくれた。


「薬飲むんでしょ。ほら。」


「薬は薬でもね、飲むものじゃないから・・・。」


「胃薬とかじゃないの?何買って来たわけ?」


「ん?んん・・・家に帰ってから使うから・・・。」


「じゃあドライブやめて帰ろうか・・・。」


本当に雅和さんはあたしを心配してゆっくり車を進めてくれた。


ごめんね、心配かけちゃって・・・。まあ原因はわかってるし・・・。まあそれを確かめるために薬局に買いに行ったのよね・・・。


早速自宅に帰ったら、トイレへ・・・。


5分待つって書いてあるのにすぐ結果が・・・。ああやっぱりね・・・。


帰ってすぐにトイレに駆け込んだあたしを不思議に思っていた雅和さんはトイレの前であたしを待っているの。あたしはそっとトイレから出ると雅和さんはあたしを見つめるの。


「やっぱり辛いの?」


「あのね・・・あたし・・・できちゃった・・・。」


「え?何が?」


「だから、赤ちゃんが・・・。」


「嘘!だって・・・・きちんとやってたじゃん・・・。」


「ああいうのは100%じゃないの!」


「そっか、そっか!できたか!」


雅和さんは心配そうな顔から一変すごく嬉しそうな顔してあたしを抱き上げてくれたの。


やっぱり嬉しいんだね。あたしも嬉しいけど、前回は流産したし、今は学生の身分・・・。


雅和さんはまだ赤ちゃんが宿ったばかりのあたしのお腹をさすって喜んでた。


「男かな?女かな?双子だったらビックりだよね・・・・。実は僕、双子だったんだよ。」


「え?」


「まあまたこのことはゆっくり話すよ。ちょっといい話じゃないからね。」


双子だったの?はじめて聞いた・・・。もう一人がいないってことは死んじゃったのかな?でも嬉しそうにまだお腹をさすっている。すると思いたったようにパソコンを立ち上げて、病院を調べだした。


「やっぱり麻布の愛育病院だよね。ここから近いし、有名だから。でも明日は休みなんだあ・・・。よし!月曜日は休みを取るぞ!綾乃も大学休みだよね。」


愛育病院ってのはここらで超有名な有名人御用達産婦人科。設備はもちろん、夫の立会いOKらしいし、このあたりでは一番のところ。


雅和さんはああでもないこうでもないとぶつぶつ言いながら、楽しそうにしている。


よっぽど嬉しかったんだ・・・。そうだよね・・・1年前くらいからよく言ってたもん・・・。子供欲しいよねって。まああたし達は結婚しているし、周りもあたし達の子供に期待しているみたいだから、いいか・・・。パパだってわかってくれるよ。






明るい家族計画 (3)予想外、想定外編 1

 あの強姦未遂事件からひと月後、もうそろそろ風が冷たくなってきた頃のことね。


あの事件があってからますます一緒に行動する事が多くなったあたし達。あたし自身卒論で大忙しだから、婦人会の会合はお断りし続けているの。もちろんわかってくれてるけどね・・・。


当分「子供は?」「まだ?」攻撃から開放されて、卒論に集中できるわけ。春季にだいぶん単位をとってしまったから、あとはゼミと数講座。図書館で文献を借りてきて、まとめている状態。


官房長官公設秘書の旦那様は臨時国会が12月はじめまで開催されているから、残業も多い。たまに国会が伸びて、伸びて、その日の閉会が午前様になったことも数回あり。その時はさすがに議員会館の事務所に泊まり込んで仕事してたりね・・・。


まあそんな時はたんまりお手当てをもらってきてくれるんで助かるわ。


何もないお休みの日はラブラブモード全開!もちろん新婚だから、一日中いちゃいちゃしてるのよ。その時ばかりは卒論のことは忘れる。旦那様も携帯の電源切って仕事の話はシャットアウト。ホントにゆっくり出来ちゃう。


 いつものように「今から帰る」コール。その電話にあわせて夕飯支度の仕上げをする。夕方はやはり道が混むから、いつもの倍以上かかる。今日は早いなあ・・・。そうか明日は国会がないのか。だから早いんだね。そして休み?最近休日出勤も増えてるからどうかな?


「ただいま。」


「おかえり。」


雅和さんは何か包みを持っている。ニコニコしながら・・・。


「なにこれ?」


「今日官邸で、防衛庁長官に頂いたんだ。おいしいケーキらしいよ。綾乃にどうぞって。」


「ケーキ?珍しいね。」


「今日はすごくニコニコされていてね。」


雅和さんはあたしにケーキの入った袋を渡してスーツを脱ぐ。あたしはこっそり中のケーキを見る。無茶苦茶おいしそう。それもいっぱい。


「横浜のおいしいお店らしいよ。食後に食べようよ。ケーキ大好物だろ?」


「うん!」


防衛庁長官の一人娘の美月さんはあたしの義姉さん。陸上自衛隊幹部であるお兄ちゃんの奥さん。性格が結構天然で、乙女チックな箱入り娘のお嬢さん。ままごとのような新婚生活だって聞いたけど?

明るい お父さんのおねだり
「あのさ、今日すごく防衛庁長官が機嫌がよかったのはね、何だと思う?」


「なに?」


「美月さんがね、妊娠したらしいよ。春に生まれるんだって。えらく自慢されちゃったよ。」


「それでもしかしてうちはまだか?って言われたの?」


「よくわかったね・・・。父さんも困ってたよ。ボソッと早く孫が欲しいって言ってたけど。」


やっぱりそっちにきたか・・・。なんだかんだ言ってままごと生活のお兄ちゃんたちもすることしてるんだ・・・。ふうんいいな・・・。





明るい家族計画 (2)しつこいあいつ!綾乃危機一髪! 3



明るい 綾乃2
 丹波さんが新しく持ってきたオレンジジュースを半分くらい飲んだ後、あたしは急になんだかわからないけど意識が朦朧となって・・・。


意識が薄れる中であたしは誰かに抱き上げられて・・・・。


あたしはなんか夢の中で雅和さんに愛されている夢をみたんだけど・・・。だんだん意識が戻ってきて・・・・。気が付くと・・・。


「キャ~~~~~~~~~!!!!!!!!」


この男、丹波があたしをベッドで横にしていやらしいことをしてる!


「ち、少なかったか・・・。もうちょっとだったのに・・・・。」


「何すんのよ!」


「もうここまで来たんだから最後まで・・・。」


「お断りよ!最初からこれが目的だったってこと?!」


あたしはこの男を蹴り飛ばしてやったわよ。それでもしつこく迫ってくるこの馬鹿!


なんとか逃げ出して車飛ばして自宅まで帰ったわよ。あの時帰らなかったあたしも馬鹿だけど、飲み物に薬入れてあたしを襲うあいつが悪い!もう絶対あいつに同情なんかしない!今度しつこく言ってきたら警察に訴えてやるから!未遂だけど絶対許せない!


もちろん意を決して、雅和さんに報告したわよ。すごく叱られたりなんかしたけど・・・。でもそのあとちゃんとケアしてくれて・・・。


後日政調会長にご報告したらしいわ・・・。もちろん政調会長は驚いて、訴えないでくれってすごく謝ったらしいわよ。


もちろん甥っ子の不祥事だから、公になった時は退任だもんね・・・。


まああれから政調会長夫人はあたしが出る会合には顔を出さなくなったの。雅和さんはもうパーティー関係には一人で行っちゃだめって言ってくれて、ちょっと安心かな・・・。


噂で聞いた話によると、あの男は伯父さんの政調会長にすごく怒られ、父親にも報告されて、家を追い出される寸前だったとか・・・。もちろん父親は総理大臣である雅和さんのお父さんの東京後援会長を辞退したわよ。


もうこれでちょっかいかけられることはなくなったの。まあこの男に関しての問題は解決。一応私は傷ついたけど・・・・。ああ今でもむかつく!!!


明るい家族計画 (2)しつこいあいつ!綾乃危機一髪!2

 指定された住所に着いてみると山の上の結構でかい別荘。駐車場だけでも何台とめられるんだろうって思うぐらいで、ここってホテル?って言うようなでかさ。止まっている車もいい車ばっかりで、プリウスなんてうちぐらいなもん。プリウスが軽自動車のように見えるわよ・・・。パパの車借りてくればよかった・・・。失敗・・・。


何がなんだかわからなくなって案内されるまま別荘の中へ。なんかみたことある顔ぶれがちらほら・・・・。誰だったっけな・・・。いろいろ今まで出会った人の顔と名前を思い出していると、ついに今日の主人公登場ってことで、みんなその人物の周りに集まっていたのよね・・・・。するとその人物はあたしのほうに近づいてくるじゃない!あ!誰だかわかった!

明るい家族計画 丹波
「綾乃ちゃんよく来てくれましたね。伯母様に頼んで正解だった・・・。」


 あたしに馴れ馴れしい態度をするのはただ一人!医学部6年の丹波!なるほど・・・みたことある顔ぶれってみんな慶応義塾大学の医学生&丹波さんの取り巻きだったんだ!もちろん政調会長夫人なんて来てるわけない!仕組まれたのよ。誕生日は本当みたいだけど、学生ばかりだもん。この馬鹿はあたしをここに呼ぶために伯父さんの権力を使ったってこと?政調会長の甥っ子があんたってわかってたら断ってたわよ。最近おとなしくなったと思ったらこういうこと計画してたんだ・・・。渡すもん渡したらさっさと帰るか・・・。もう雅和さんの立場なんて関係ないもんね。

招待されたみんなはあたしを見てこそこそ何か話しながら怪しそうな表情であたしを見てたのよね・・・。何かあるわこれは・・・。

「綾乃ちゃん、俺のために来てくれたんでしょ。」

「あんたって知ってたら来ないわよ。」

「つれないな・・・。本当にますます綺麗になったね。それだけ弐條に愛されているのか・・・。」

あたしは渡すもん渡して帰ろうとしたんだけど、腕を掴まれて引き寄せられて抱きしめられた。あたしはひっぱたいてやったわよ。

「この俺に恥をかかせるの?みんな見てるのに・・・。せっかくの俺の誕生日だよ。」

この男はあたしを引っ張って、プールサイドの椅子に座らせたのよ。

「綾乃ちゃんがここにいてくれるだけでいいよ。俺はみんなに挨拶してくるからさ。」

今が帰るのにいいチャンスなのに・・・。あの男のすごく残念そうな顔を見てしまったら動けなくなっちゃったのよね・・・。あたしも馬鹿かもしれない。何であの男に同情してんだろ・・・・。あたしはプールに浮かんだ小さな葉っぱを眺めながら、いろいろ考えていた。するとあたしの目の前にグラスに入ったオレンジジュースが置かれる。

「はいどうぞ。今日車だろ。ジュースでいいよね・・・。変な物はいっていないから安心してよ・・・。」

なんだかんだ言ってこの男は結構優しい。あたしにいろいろ食べるものを取り分けて持ってきてくれたりなんかして、あたしの隣に座って微笑んだりしている。こういうところがモテる要素なのかもしれない。雅和さんも結構マメだけど、この男はそれ以上マメ?

「今日は来てくれてありがとう。ホントにいい誕生日だよ。大好きな綾乃ちゃんが横にいてくれるんだから・・・。」

「・・・・。」

「もう弐條と結婚して1年半たったよね。もうそろそろ子供なんか考えてるの?それとももうお腹にいるのかな?」

この男もそういうこと考えるのか?至る所で言われるのって・・・。ああなんか気分悪い・・・。嫌な予感・・・。

「いるわけないよ・・・。だってまだあたし大学生だし・・・。」

「そうか・・・じゃあこの僕にもチャンスはあるのかな?弐條よりもかわいがってあげるよ・・・。」

「え?」





(つづく・・・)


明るい家族計画 (2)しつこいあいつ!綾乃危機一髪!!1




 セレブパーティーからひと月後、もう秋の訪れが感じられるようになったの。もう9月なんだな、もうすぐ夏休みも終わりか・・・なんて考えながら、いつものように婦人会のお茶会に出席している。


 今日のお当番は政調会長夫人。とても気さくでいい人なんだけど、旦那様は雅和さんのお父さんと同じ派閥であり、ライバル同士。次期総裁は政調会長、官房長官、そして幹事長が候補になっているの。まあ最近任期延長が決まって、あと2年総裁をすることになった雅和さんのお父さん。とういうことはあと2年総理大臣ってことよ。あと二年ということは雅和さんは25歳。比例代表で出馬?という噂が流れている。もちろん雅和さんはまだ無いって言っていたけどね・・・。まあまだお父さんが健在だからね・・・。でも水面下では雅和さんの出馬が検討されていると、このお茶会で聞いてしまった・・・。だから余計にこのおば様連中はあたしに「子供」「子供」と迫ってくるんだろうか・・・。本当にマインドコントロールされそうな感じ・・・。


たまにもうそろそろいいかな・・・なんて妊娠時期と出産時期を逆算してみたりなんかして・・・。ああだめ、だめ!大学に通う妊婦になるのはちょっと・・・。


ひどいおば様なんて、子供が明るい雅和2
出来ないのはあたしに原因があるんだとか雅和さんに能力が無いとか影で言っているひとがいるのは確か。まあそういう人って、お父さんと違う派閥の人が多いんだけど。もしかしてあたしの妊娠・出産まで政治の駆け引きに使われるってこともあるわけ?これでもし女の子だったら?それはそれで生まれてすぐに婚約させられたりなんてしないわよね・・・。あたしって、ドラマの見過ぎかな?


「綾乃さん?」

「は、はい・・・。」

「お疲れのようね?」

「い、いえ・・・。」

「遠慮なさらなくていいのよ。新婚さんですものね。」

ああ、また子供攻撃が始まるんだわ。案の定、始まってしまったけれど。その攻撃が辛いのよ。やっとのことでお開きになったら、政調会長夫人があたしに声をかけてくる。

「今度の土曜日のお昼間ご予定ある?」

「いいえ何も・・・。主人は仕事ですし・・・。」

「では甥っ子の誕生日パーティーに来ていただけないかしら?鎌倉の別荘でするのですよ。人数あわせで来ていただけるだけで構わないから・・・。こちらにいらしてね。」

半強制的に住所を渡されて、有無を言えない状態・・・。しょうがないよね・・・。断ったら雅和さんの立場がね・・・。ホントに付き合いって大変ね・・・。このことを雅和さんに相談したら、驚いたわよ。しょうがないねって。何、手土産を持って行けばいいんだろう。噂によるとあたしぐらいの歳の人って言うし。ということは社会人なんだろうか・・・。別荘でするって言うくらいかだからそれなりの家柄の人なんだろうな・・・。


 まああたしは適当に見繕って当日雅和さんの車を借りて鎌倉へ・・・。雅和さんはしょうがなく電車通勤・・・。泣いてたわよ・・・。嫌だ~~って。いつまでも電車怖いって言ってられないでしょ・・・子供じゃあるまいし・・・。あたしは運転歴2年・・・。普通に運転できるわよ。ナビも付いてるから、住所を入力して準備万端。開始時刻11時に間に合うように出発したの。ああ、どんなお宅でどんな人なんだろう・・・。緊張するわ・・・。



明るい家族計画 (1) 明るい家族計画~お節介編2
 夏休みに入ったから、ゆっくり出来るって思ったんだけど、婦人会の中でも超セレブな党幹事長の奥様にあるパーティーに誘われちゃって、もう大変・・・。どんなの着て行ったらいいかわかんなくって、一応官房長官夫人にアドバイスを頂いて、雅和さんと表参道で待ち合わせ。雅和さんったら待ち合わせ時間前に修理に出すため立ち寄った時計屋さんでテレビ局の変な取材を受けたって言って笑ってたけど・・・。まああたしが言うのもなんだけど、雅和さんは背も高くって、モデル体形、顔も整っているからね・・・。そりゃ表参道とか歩いてたら声かけられるわよ。もしかしてテレビに出るの?って聞いたら断ったって・・・。当たり前か・・・。なんだかんだ言っても知る人ぞ知る有名人だし・・・。

(でもこの前偶然見た番組でモザイクかかった状態で映ってたわよ・・・。あれよ、あれ、セレブが何ちゃらって言う番組・・・。うちはセレブじゃないってば・・・。たぶん・・・。)

「ねえ雅和さん、本当に買ってもらっていいの?」
「いいよ。先日賞与が出たところだし。やっぱり付き合いでいるものを買うわけだから、いいものを何点か買っておこうよ。」

ホントいろいろ買ってもらっちゃった。上から下までね・・・。カバンも・・・。それを今度のお誘いに着ようと思うのね・・・。ホントに雅和さんはセンスいいから助かるわ・・・。

「本当に一人で大丈夫?行けるものならついて行ってやりたいけど・・・。」
「いいよ。仕事でしょ。まあなんとかなるから。」

なんて雅和さんを心配させないようにいったんだけど、自信ないよ・・・。まあその日の朝一番に美容院とネイルサロンに行ってとことんがんばったんだから・・・。あたしが失敗したら雅和さんが恥をかくわけだし・・・。

広尾にあるお洒落なイタ飯屋。まあ何度かここには雅和さんと来た事がある。オーナーさんはイタリア人。とっても気さくな人で有名だけど。この店は結構セレブや有名芸能人御用達で・・・。今日のパーティーってなんだろうなんて思いながら、ホントに近所だから、歩いて指定された時間に到着する。あたしはお店の前でおどおどしていたら、ベンツに乗った幹事長夫人が降りてきてあたしに微笑むの。

「まあお早いご到着ね・・・。さ、いらっしゃい。」
「は、はい・・・。」

あたしは夫人に誘導されて会場に入るの。やっぱりセレブのパーティー。いかにもどこかの企業の御曹司とか、ご令嬢、そして某海外ブランドのお孫さんとか、デザイナーとか・・・。時計とか靴を見れば大体のランクの人かがわかるのよ。時計で言えばバセロン、パネライとか・・・。まあ雅和さんが時計好きだから、なんとなく知識はあるけど・・・。1000万円以上もする時計を平気でつけている。まああたしも以前いい時計を買ってもらったけれど、せいぜい数百万。一桁違うのよ・・・。いろんな人をご紹介してもらって、いろいろ話すんだけど・・・。何なのこのパーティーは???後から聞くとただの半年に一度のお食事会というか、親睦会というか・・・。やっぱりレベルが違うわ・・・。

「まあ、この方ね。未来のファーストレディーは・・・。」
「そうよ、とても可愛らしい若奥様でしょ。綾乃さん。この方は某有名商事の会長夫人よ。」

あたしはとびっきりのスマイルできちんとご挨拶。続々とあたしに話しかけてくる。そしておば様連中は口癖のように「お子さんはまだ?」って聞いてくるんだよね・・・。もううんざり・・・。正式に結婚してまだ1年経ってないって・・・。どうしておば様方ってこう言う話題が好きなのかな・・・。まああたしも雅和さんとの子供はほしいわよ・・・。でもまだ学生だし・・・。

日が陰りだして、やっとのことでお開きになった。まあなんとか印象はよかったみたいだけど・・・。すると店の前で雅和さんが待っていてくれたのね。
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「あれ?雅和さん。今日は残業って・・・。」
「心配になってね・・・。こういうところ初でしょ・・・。早く切り上げてきたんだ。上手くいったの?」
「うん・・・。まあね・・・。」

あたしは雅和さんの手を握って、歩き出した。

「雅和さん、おなか空いたでしょ。家にあるもので何か作るね・・・。」
「うん。僕も手伝うよ・・・。気疲れしたでしょ。さあ帰ろう・・・。」

雅和さんはホントに心配してくれてたんだね・・・。あたしは緊張や挨拶回りであまり食べてないからおなか空いちゃった・・・。自宅に帰るとあたしは着替えて、冷蔵庫の中をあさって適当に作ったの。まあ雅和さんはいろいろ手伝ってくれて、何品か作って食べたの。雅和さんは相変わらず、おいしい、おいしいって言ってくれてね・・・。微笑みながら残さず食べてくれるの。まあ明日のお弁当にちょこっとだけ残しておいたけど・・・。

ああ、いつまで「子供まだ?」攻撃が続くんだろうね・・・。こんなこと雅和さんに言ったら、喜んで子作り宣言するんだろうけど・・・・。まあ内緒にしないと・・・。ホントお節介よ・・・。


明るい家族計画 (1) 明るい家族計画~お節介編1
明るい 綾乃

 あたしは弐條綾乃。大学4年の21歳。そしてあたしの旦那様は雅和さんって言って、官房長官藤原氏の公設秘書のもちろん新米秘書、23歳なの。あたし達は6年前の高校時代、お互いの初恋を見事成就させてなんとか去年見事ゴールイン。まあそれまでに雅和さんが電車脱線事故であたしの記憶を失くしたり、あたし自身ちょっとした誤解から浮気してしまって違う人の子供を妊娠流産(誰にも内緒なの!)してしまったり、出会って6年の間にいろいろありました。

雅和さんは超高支持率の総理大臣を父に歴代の総理大臣の祖父を持つ有名な超お坊ちゃん。そして次男でありながら将来の後継者として今修行の身なのよね・・・。

あたしの家系もすごいもので、先祖代々お国のために武官をしている家柄で、パパは陸上自衛隊東部方面総監部総監だし、お兄ちゃんは陸上自衛隊中部方面隊第3師団の一等陸尉の中隊長。

まあ、あたし達の結婚の際も総理大臣の息子と、陸上自衛隊の上層幹部ってことで結構もめたりもしたんだけどね・・・。まあなんとか認めてもらってラブラブな新婚生活を送っているのよね・・・。

 超ラブラブで、周りではもうそろそろ子供は?って言われるんだけど、あたしが大学卒業までだめだって、あたしのパパと約束して予定より随分早い結婚を認めてもらったわけだから、今は明るい家族計画実施中ってわけ・・・(笑)。

子供好きの雅和さんは今すぐにでもほしいって言ってるけど、事情を知っているから我慢してもらっているのよね・・・。といっても夫婦生活がないわけじゃないし、きちんと基礎体温とか測ったりなんかして家族計画を行っています。

 結婚して旦那様の仕事関係でいろいろお付き合いが増えちゃって、まだ旦那様が議員じゃないのに所属している与党議員婦人会に入れられちゃって、もう大変・・・。暇さえあれば、ランチはどう?とか、みんなで観劇はいかがとか、誘われちゃうのよね・・・。そういう場にいくと必ず出てくるのが、「そろそろお子様は?」って言葉・・・。ホントにお節介なご婦人が多いもんだから困っちゃう。欲しくたって、あたしはまだ学生の身分だから、だめだって言うのに・・・。まあそんなこと人前ではいえないから、笑って「いずれ」とか、「考えています」とかあやふやな返事をしてその場を逃げるのよね・・・。

 この前なんか月一回のお茶会をしたのね。これは持ち回り制なんだけど、あたしがなぜか当番になっちゃってもう大変・・・。朝、旦那様を送り出してすぐ準備開始・・・。家中のティーカップや近所の実家のものをかきあつめて人数分揃えたり、暗黙の了解(一番仲のいい官房長官夫人に教えてもらったのよね・・・。)でお茶菓子を手作りって言うから、ケーキやクッキーを焼いたりしたのね。まあ喜んでもらえたからよかったけれど・・・。

(この日ほど料理やっててよかったって思ったことはないわよ。)

きっと新婚家庭をのぞきたいって言う興味本位からなんでしょうね・・・。うちは広尾の高級マンションだから堂々と見せてあげたわよ。40代50代の旦那様がみんな大臣や党幹部クラスの奥様ばっかりだから案の定「さすが弐條さんの息子さん宅ね。」って喜んでたわよ。

次は1年半後・・・憂鬱・・・。


次回シリーズ「明るい家族計画(新婚編)」のお知らせ

ホント自己満足な自作連載小説「うれしはずかし恋愛生活~東京編」(結婚まで編)が終了し、次は新婚編「明るい家族計画」に入ります。で、人物設定を・・・。ホント無茶苦茶な・・・。

家族計画 綾乃
主人公①:弐條綾乃・・・総理大臣次男と初恋を成就させて学生結婚した女の子。大学四年で、元ミス慶応。見た目は清楚だが結構はっきりものを言う性格。ちょっとドンくさいというか、後先考えずに行動するところが旦那様の悩みの種。実は旦那様に言えない秘密がある。

ちょっと顔を大人っぽくさせて見ました。これでも若奥様ですもんね・・・。


女の子は書くのが苦手ですね^^;特に服がかけません^^;




雅和お台場
主人公②:弐條雅和・・・総理大臣の次男で、慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、官房長官公設秘書として働いている。23歳。しっかりしているように見えて、結構マヌケな事がある。ひとつのことに集中すると周りが見えなくなったりするので、綾乃は結構困る。初恋の綾乃と結婚し、幸せな日々。21歳の時に特急脱線事故に遭い助かったが、精神的後遺症がある。




子供が欲しくてたまらない彼。いつになったら綾乃との子供を抱く事が出来るのか?でも今は「明るい家族計画」実施中です^^;




家族計画 和気
新キャラ:和気泰明・・・25歳 伯父である官房副長官の私設秘書。東大卒、弁護士免許あり。(在学中の特例試験で司法試験合格、大学卒業後1年地元で弁護士修業していた。) 兵庫県出身、実家は総合病院を持つ医師一家。主人公雅和と同期。良き親友であり良きライバル。26歳の時に衆議院総選挙に出馬する。




無茶苦茶な設定の彼です。自作小説の中で唯一関西弁をしゃべるめがねキャラ。(仕事の時のみ着用。普段はしていないのです^^;)


次のシリーズ(新婚編)ではあまり出てこない彼も、その次の代議士編ではちょっと主役格だったりします。




家族計画 彩子
新キャラではないけど:源彩子・・・綾乃の3歳年下の妹。東大文Ⅰ在籍中。和気泰明に一目惚れ。綾乃と違って恋多き女の子。代議士編では彩子は実はカリスマモデル兼タレントという一面を持つ。普段は普通の女の子なんだけど、仕事用のヘアメイクをすると別人。でもそれは所属事務所によって作られた人格なので、相当悩むが、和気によって自分らしいタレントとなる。代議士編では過去の男性遍歴がばれます。




丹波見つめる
まだ出てくるしつこい男:丹波正信・・・まだしつこく綾乃を追い掛ける。慶應義塾大学医学部6年生。ちょっと勘違い男。楽天家のプレイボーイ。この男のせいで綾乃はいろいろ苦労する。




代々医者家庭に育った超お坊ちゃん。西の和気家、東の丹波家といわれるほどの有名なご家庭。


別に和気泰明と絡んだりはしませんけれど・・・・。


あとは・・・・




家族計画 兄


源博雅・・・綾乃のお兄ちゃん。陸上自衛官。


源美月・・・お兄ちゃんのお嫁さん。能天気で乙女チックな天然お嬢様。




その他諸々新キャラも出てきます。そしてますますありえない設定^^;


そして気が向いたら挿絵を描くというのんきな私・・・。




ま、今回は長々書かずに小出ししていこうと思います。




もちろんフィクションですし、真面目な政治小説ではありませんので、よろしくお願いします。ちょっとハチャメチャしています。



うれしはずかし恋愛生活 東京編 (27)祝福の鐘の音~あたしたち幸せになるね!!
 あっという間にきてしまった12月23日・・・。朝一番の飛行機に乗ってあたし達は地元神戸で行われる挙式のために前入り・・・。ホントこの3ヶ月は怒涛の如く過ぎていったわ・・・。今日はホテルとコンチェルト両方の最終打ち合わせに挑む。あたしはこの日のためにダイエットしたり、ブライダルエステに通ったわよ。髪の毛もきちんとセットしやすいように軽くウェーブかけてみたり・・・・。準備万端なんだから・・・。

もちろんあたしの旦那様は毎晩のように「きれいだよ」って言ってくれて愛してくれるし・・・。やっぱり愛の力が・・・って馬鹿なことは言わないけど、まあそれに近いかもしれない・・・。

神戸空港から車で宿泊するホテルに向かうんだけど、ホテルに向かうタクシーの中で運転手さんが言うんだよね・・・。

「今日はなんでこんなに角々に機動隊が立ってるんやろな・・・。だれか偉い人が来るんやろか・・・。」

もちろんこれは雅和さんのお父さんである総理大臣が挙式出席のため神戸に来るからであって・・・。前日であるのにもう機動隊が出てもう警備してるって訳・・・。まあ公務の都合で、お父さんは朝一の羽田発伊丹空港着の飛行機で急いでやってくるんだけど・・・。やっぱりすごいよね・・・。ホント大騒ぎ・・・。あたし達は運転手さんの言葉にちょっと笑ってたんだけど・・・。でもホントに多いよね・・・。明日はもっと多いかも・・・。

ホテルに着くと、最終打ち合わせと、衣装の確認。無事東京から一式到着していたから安心・・・。あと明日の引き出物の件とか、なんやら・・・まあこういうことはお父さんの私設秘書さんがしてくれるって言うから任せたわよ・・・。(だってややこしいのよ・・・何種類も引き出物種類があって間違えないように配らないと・・・。出席者によって種類が違うんだから・・・。)

あとはコンチェルトの担当者と打ち合わせ・・・。まあこれもなんとかなりそうね・・・。今日は両方の司会者と初顔合わせ・・・。いろいろ世間話をしながら和やかに話していたのよね・・・。

本当にいよいよ明日って思うとドキドキしちゃって・・・。夜はあたしのパパやお兄ちゃん、そしてお兄ちゃんの婚約者と一緒に会食したのね。お兄ちゃんの婚約者は防衛庁長官のお嬢さん。まあ雅和さんとは顔なじみだけどね・・・。ホントお兄ちゃんはシスコンっぽいところがあるから、あたしのことすごく心配してくれて・・・。もうあたしは入籍して1年になるのに・・・。まあ嬉しいけどね・・・。パパもホント涙ぐんじゃって・・・。あたしとお兄ちゃんの婚約者の美月さんと結構話したんだけど、この人天然・・・。さすが箱入り娘って感じの人よ・・・。世間知らずって言うか・・・。乙女チックって言うか・・・。お兄ちゃんもなんだかんだ言って気に入っちゃって、来年の春結婚することになってるの。

「私も綾乃さんたちみたいに船上ウェディングに憧れるわ・・・。ねえ博雅さん、私たちもしましょうよ。」
「もう無理だよ・・・。ああいうのは一年前から予約入れないと・・・。俺たちの会場もやっと取れたんだから・・・。」

お兄ちゃんたちは今流行の邸宅ウェディング。神戸北野の洋館でするんだって・・・。そっちもいいじゃない・・・。家だってお兄ちゃんは官舎を出て、駐屯地近くのマンションに住むらしいのよ・・・。お兄ちゃんはまあいう転勤族だから、分譲じゃなくって賃貸。それも自転車通勤。ホントに幸せそうでよかったじゃない。

あたしと雅和さんは明日早いからって、早めに会食を切り上げて、ホテルに戻ったの。明日は早いってなんの・・・。雅和さんは1時間前でも間に合うけれど、あたしの場合は3時間前から準備に取り掛かるから、8時からホテルの一室を借りて準備するのよね・・・。あたしはすぐに寝ちゃったけれど、雅和さんは緊張してしまってよく眠れなかったよう・・・。

 朝6時に目覚ましがなって、あたしは飛び起きたわけ・・・。あたしは雅和さんの頬にキスをして起こすんだけど、なかなか起きてくれない・・・。しょうがないから、あたしは上に乗って顔中にキスしてやったわよ。

「おはよう綾乃・・・。今何時?」
「もう6時だよ・・・。早く朝ごはん食べに行こうよ!」

雅和さんは仕返しにあたしを押し倒して、キスしてくる。じゃれあっているうちに7時よ・・・。急いでシャワー浴びて着替えてから朝ご飯食べに行ったの。ほんとギリギリ・・・。ご飯を急いで食べて、あたしは急いで準備に向かう。雅和さんは伊丹空港に到着したお父さんと携帯で話しているのよ。

あたしは雅和さんのおかげでちょっぴり遅刻。もちろんちょっぴり・・・。あたしが部屋に入るとスタッフが待ち構えていたわよ・・・。もちろんおばあちゃんももう来てたのよね・・・。だってあたしにはお母さんがいないじゃない。おばあちゃんがあたしのお母さん代わりで来てくれたのよね・・・。もちろん興味本位であたしの妹、彩子も・・・。彩子じっとあたしを見てたわよ・・・。

「お姉ちゃんきれい!!!」

なんて何度も言いながら・・・。お世辞言っても何もでないわよ・・・。ほんと念入りに髪の毛を整えて、ドレスを着てから、お化粧するの・・・。これでもかって言うほどね・・・。まあこれくらい化粧しないとドレスと合わないって言われて。なるほどって思ったわよ。やっぱり一番髪の毛に時間がかかったのよね・・・。1時間ちょっと・・・。ううん・・・やっぱり疲れるわ・・・。

来賓の挙式受付開始30分前にやっと仕上がったときにはもうくたくた・・・。するとドアがトントンってなって、誰かが来たのよね。もちろんパパとお兄ちゃんたち。パパとお兄ちゃんは陸上自衛隊の礼装を着ている。パパは陸将だから肩から金色の飾り緒をつけてるのよ。まあお兄ちゃんは一等陸尉だから普通の礼装制服だけどね・・・。美月さんはすごく品のいい振袖着てやっぱりお嬢様って感じ・・・。美月さんったらあたしのドレス姿にすごく感動しちゃって妹と一緒になってはしゃいでいるのよね。

もうそろそろ移動の時間・・・。あたしは控え室を出て、ロビーに出たの。ロビーでは雅和さんと雅和さんのお父さんが待っていてくれたの。やっぱりタキシードを着た雅和さんはかっこいいわあ・・・。あたしの姿を見た雅和さんは顔を真っ赤にさせて照れていたわよ・・。ホントにそういう顔ってかわいいって思っちゃう。まあホテル側の配慮で報道陣はシャットアウトしてあるし、周りのお客さんに迷惑かけられないから、さっさと用意された車に乗り込んで数分のところにあるコンチェルトの待合室近くまで移動・・・。招待したホントに親しい人達があたし達を迎えてくれたのね。

雅和さんはあたしが車から降りるときにわざわざ走ってきてくれて、あたしの手をとって降ろしてくれたの。

本当に今日はいい天気。風ひとつなく暖かい。春かと思うくらい・・・。あたし達の日ごろの行いがいいのかな・・・。
コンチェルト

まず11時からあたし達と親戚での記念撮影をしたのね。停泊場所はモザイクっていうショッピング街の真横だからもちろん注目の的・・・。私服警官もいっぱい。見た目にはわからないけど、まあしょうがないわよね・・・。買い物客にまぎれてマスコミもちらほら。望遠レンズをこっちに向けてるよ・・・。本当に雅和さんったら緊張しすぎて顔が強張っているよ・・・。

さてさて・・・みんなで船に乗り込んで、船長さん立会いのもとの人前挙式・・・。指輪を交換したり、誓いのキスをしたりなんかして・・・。ほんとにみんなに祝福されてあたしは感動して泣いちゃった・・・。案の定パパったら号泣よ!自衛官の制服で号泣しないでよ!お兄ちゃんも困り果ててたわ・・・。相変わらず美月さんは感動しっぱなし・・・。雅和さんも緊張しっぱなしでホント笑える結婚式だったわ・・・。披露宴だってそう・・・。友人が多いから、結構ドンチャン騒ぎだし、楽しい披露宴・・・。雅和さんも、お父さんもパパもすごく楽しそうにしててホッとしたけど・・・。ああこれが終わったら超堅苦しい後援会やパパの仕事関係の披露宴・・・。今のうちに楽しんでおこう・・・。

無事に一番楽しい披露宴が終わって、ホテルの控え室・・・。次の披露宴までまだ2時間あるから、ゆっくりできる。雅和さんはほろ酔いで、ニコニコしながら楽しそうにしてた。あたしはそれどころじゃないわよ・・・。一番苦手なのよ・・・後援会関係が・・・。

「綾乃、どうかしたの?」

一応心配してくれるところが雅和さんらしいけど・・・。雅和さんは山のように積まれた祝電を一つ一つチェックしてた。一時間前になるとお化粧を直して準備・・・。雅和さんのお父さんやうちのパパは招待客に挨拶回り・・・。雅和さんも控え室を出て挨拶を始めたのよね・・・。あたしも準備を済ませてホテルのスタッフとともに会場へ・・・。やっぱり後援会中心だから、おじさんやおばさんばっかり・・・。おばさん連中なんて興味本位であたしのことじろじろ見て、「きれいよね・・・。」とか「かわいいわ・・・。」とかいかにもお世辞っぽいこというの。

ああ、堅苦しい、肩こりそう・・・。気分も悪くなっちゃった・・・。

雅和さんは気分悪そうな私に気がついて、心配そうに寄り添ってくれたのね・・・。

「本当に大丈夫?」
「ん?んん・・・。」

まあなんとか披露宴が厳粛なムードで始まって・・・。なんかお祝いって感じじゃないのよね・・・。いろんなえらいさんの長い言葉を聞いてはニコニコ・・・。ホントずっとニコニコしてたような気が・・・。披露宴って言うよりなんかの会合?懇親会?あーあ・・・東京の披露宴もこんな感じなのかな・・・あっちはもっと代議士とかも多いし・・・。まあ最後のほうはお祝いっぽくなったけど・・・。ホント疲れただけ・・・。お開きになったあとは招待客にきちんと挨拶して立派な妻を演じておいたわよ・・・。

雅和さんのお父さんは明日公務があるからって新神戸から新幹線で東京に帰っていったの。 部屋に戻ったあたし達は、ホントに疲れきってたわよ・・・。これで二次会とかあったら死ぬわよ・・・。さっきの披露宴の料理はもう緊張と疲れで食べてないしね・・・。雅和さんも一緒。やっぱりクリスマスイブだからスカイラウンジに予約いれて少し横になってから行くことにしたのよね・・・。本当なら予約取れないんだろうけど、披露宴もしてるし、宿泊してるから、窓際のいい席とってもらえたらしいの・・・。一眠りして、予約入れた九時頃に17階へ向かったのよね・・・。やっぱり予約入れててよかった・・・。イブだからいっぱいなのよね・・・。案内された席に座ったの・・・。

「おなか空いたよね・・・。何でもいいよ。食べたいもの注文したら?」
「雅和さんは?」
「何でもいいよ。綾乃が食べたいもんをつつくから。」

雅和さんはなんだかわからないけど1杯お酒を注文してちびちび飲んでいた。そしてあたしが注文したものをつついて食べてた。すると、ウェイターがあたし達の前に何か持ってくる。

「本日はご結婚おめでとうございます。こちらは当ホテルからのお祝いでございます。」

そういうとケーキと花束をくれたの。やっぱりこういうのって嬉しいよね・・・。あたしは嬉しくって雅和さんの顔を見て微笑んだのね・・・。雅和さんもつられて微笑んでくれた。やっぱりこの人と結婚してよかった・・・。ホントに幸せよね・・・。あたしも普段飲まないお酒を注文して2人で正式に結婚したことを祝ったの・・・。

部屋に戻ってきたあたし達・・・。普通ならここで初夜ってことになる。でも雅和さんはあたしを押し倒したまではいいんだけど、疲れと酔いであたしの上に乗っかったまま眠ったのよ・・・。重いってば・・・。なんとか雅和さんをどけてあたしもそのまま眠っちゃった・・・。

朝起きたら雅和さんったらなんだかニヤニヤしてるのよね・・・。

「おはよ、綾乃。」
「なに?ニヤニヤしちゃって・・・。」
「別に・・・。」

何か隠しているな、この表情・・・。

「なによ、気持ち悪いよ・・・。」
「実はね、昨日朝、藤原さんに電話したんだけど、なんて言われたと思う?」
「わかんないよ。クビにでもなったの?」
「朝から冗談言うなよ。あのさ、休みいっぱいもらえたんだよ。1月7日までね。」

すごい・・・あと半月も休みもらえるってこと?東京の披露宴が1月5日だから、ゆっくりできるね。

「何して過ごす?」
「そうね・・・。」

ホントにこんなに長く一緒にいるのって久しぶり・・・。今までやりたいこといっぱいあったのに実際たくさんの休みをもらってしまうと、何から手をつけたらいいか迷ってしまって、結局予定通り26日の朝にチェックアウトして、とりあえず自宅に戻ることになったのよね。

東京に帰ったら帰ったで、じゃんじゃんお祝いの電話なんかがかかってきて、ゆっくり出来ずにいて、結局いつものようにあたしは大掃除したり、簡単だけどおせち作ったりして年が明けてしまったのよね・・・。

またあっという間に東京での披露宴が行われる日になっちゃって、朝からバタバタ。12時からの宴会なんだけど、ホントに代議士やら、一部上場企業の社長さんやら、東京の後援会の人やら、あとパパの上官の人とかいっぱい。ちょっとした新年会のノリなのよ・・・。ちょっと違うのは党の有力議員さんの奥様達が出席だから、華やかって言うか・・・これからこの奥様たちとのお付き合いもあるんだなって緊張したのよね・・・。何からお付き合いを始めるか心配・・・。雅和さんはやっぱり神戸と違って仕事関係の人ばっかりだから、和やかだったわ・・・。

すると急に雅和さんの顔が曇ったのね・・・。その視線の先を見ると、清原さん・・・。未だ雅和さんは清原さんのことを嫌ってる。あたしを取られるんじゃないのかなって思っているのかな・・・。清原さんはスーツ着て、じっと立ってたけれど、お兄ちゃんが話しかけて、なんとか少し笑ってたりしたんだよね・・・。まあパパが清原さんを呼んだんだけど・・・。

「雅和さん、まだ清原さんのことで怒っているの?もう大丈夫だよ。清原さんには彼女いるもんね・・・。」
「誰?」
「鈴華ちゃんだよ。だから安心していいよ・・・。もう何にも関係ないから・・・。」

まあ一生言えない秘密はあるけれど、もう関係ないんだから。清原さんがお兄ちゃんとあたし達のところにやってきて、言ったの。

「綾乃さん、弐條君。今日はおめでとう・・・。今までいろいろあったけど、お幸せに・・・。」
「ありがとう清原さん。鈴華ちゃんと仲良くね・・・。」
「え?知ってたの?はずかしいな・・・・。」

この清原さんのすごく照れた表情を見て雅和さんは安心したみたいね・・・。なんだか仲良さそうに握手なんかしちゃってさ・・・。ホント今まで仲のよかった友人みたいに接してたのよね・・・。

ホントいろんな人たちに祝福されて、やっと夫婦として認められたの。もちろんマスコミにも公式発表をされたんだけど、やっぱり控え気味な発表で安心した。まあ雅和さんは23歳、あたしはもうすぐ21歳のとても若い夫婦だけど、みんなに支えられて成長していくんだろうなって実感したのよね・・・。

もっともっと幸せになって、一生寄り添って生きていくんだから・・・。がんばるよ、あたし達。

(完)




(作者からの一言)

一応区切りました。実はまだまだ続きます。ごめんなさい^^;

次は「明るい家族計画」って言う題で、書いていきます。これは結構短いかもしれません。雅和と綾乃のどたばた新婚生活1年間がメインなんですけど・・・。しつこいキャラや新キャラが登場します。まだまだ続きますけどね^^;もう番外編に域を出てしまいましたね^^;だれも見たくはないですよね^^;こんな話^^;

うれしはずかし恋愛生活 東京編 (26)ああ!結婚準備が忙しい!!!
 さあ秋季授業開始よ!そしてあたし達の結婚式まで三ヵ月を切ってしまった!!!少しでも4年生になったとき楽したいから、履修できるものは履修!取れるだけ取ったわよ。だから朝一から最終講義までほとんどの毎日埋まってしまった。まあ他の子達と違ってバイトしたりとかはないし、家に帰ったところで、あたしの旦那様雅和さんは毎日帰ってくるのが遅いんだもん、別に苦はない。でも秋季試験は大変だろうな・・・。

毎日あたしは朝早く起きて雅和さんとあたしのお弁当を用意して一緒に家を出るの。雅和さんはたまに大学まであたしを送ってくれたりなんかするけど、なんだかんだ言ってもまだ官房長官の新米公設秘書だから忙しいのよね・・・。

午前の講義が終わったら、友人と一緒に学食。あたしはお弁当に何か追加して食べる。まあ毎日のことだけど、友人たちと一緒にいろいろ話しながら食べるのはやっぱり楽しいのよね・・・。ホントあたしは女子大生してるわ・・・。

「やあ、昨年のミス慶應さん。」
丹波1
しつこい男・丹波
ああまたあんた・・・。あたしはもう雅和さんと入籍して人妻なのに、未だに言い寄ってくる医学部5年の丹波さん。知ってて言い寄ってくるんだよね・・・。医学部は信濃町キャンパス。ここは三田キャンパスでしょ。随分離れているのに昼休みを狙ってこの三田までやってくるのよね・・・。もううんざり・・・。何言ってもだめ・・・。まあ適当にあしらうんだけど・・・・。いつもあたしの横の席に座って別に相手しているわけじゃないんだけど、友人との話に入ってくる。

「ねえねえ、今度の週末の予定は?」
「週末は永田町。」
「どうして?」

どうしてって言われたって・・・・わかるでしょ、今あたし達は忙しいんだから・・・。週末はわざわざホテル側とか、クルージングウエディングの担当者が入れ替わりやってきてくれて、公邸で打ち合わせするんだから・・・。だってお父さんがホテルで打ち合わせに同席できないでしょ・・・。いろいろ配慮してもらってんだから・・・。その後はいつものようにお父さんと一緒に夕飯食べて帰って来るってパターン。特に今週末は注文していたドレスが出来るのよね・・・。ホテル側もそれにあわせてあたしのドレスに合う付属品とか、あと雅和さんの衣装とかを持ってきてくれるって言うし・・・。もうそろそろ招待状の準備もしないといけないでしょうが・・・。

「あのね、丹波さん。あたしは人妻なんです。永田町でバリバリの秘書官してるラブラブな旦那様がいるの。」
「知ってるよ・・・やっぱり人妻っていいよね・・・。なんだかドキドキするよ。この僕と不倫してみるのもいいんじゃないかな・・・。もちろん弐條よりも大事にするし・・・。」

やっぱりこの人って楽天家って言うか、なんだか・・・普通の人よりずれているのよね・・・。普通なら人妻に手なんか出さないでしょ。それもあたしと雅和さんは新婚なのよ・・・。人前で不倫する?って言う?普通・・・。馬鹿じゃないの?あんたのせいで毎日午後はブルーよ・・・。あたしに構っていないで、医者になる勉強すればいいのに・・・。5年ともなれば臨床実習とかあるって聞いたわよ。そっちに集中しなさいよ・・・。まあこういう人はろくな医者にはならないわね・・・。

まあなんとかお昼が終わるとあの男は退散してくれたけど・・・。あんたのせいであたしはすごく迷惑してるんだから・・・。

今日は珍しく雅和さんが大学まで迎えに来てくれた。まあ明日はどちらもお休み。仕事上雅和さんは突然の休日出勤もありえるわけで、休みの日は都内を出る事が出来ないのよね・・・。夜だってそう・・・。急に呼び出しかかる場合もあるからゆっくり夫婦生活ってのも・・・。まあ新婚だからみんな気を使ってくれているみたいだけど、なんだかんだ言って旦那様は官房長官の公設秘書でしょ。そうもいかない場合がある。この前もどっかの国でごたついて夜中に緊急招集かかって大慌てしたこともあったしね・・・。そういうこともあるって事よ。まあ基本的に週末官邸で公務がない場合はお休みだけどね・・・。ホントにもうって感じかな・・・。ま、最近週末は官邸横の公邸にいるわけだから、何かあってもすぐ行けるんだよね・・・。

「ちょっと太った?」

雅和さんがあたしの体を見て言うのよ・・・。そういえば最近友達とよくおやつ食べてたわ・・・。やばいなあ・・・今日ドレス入らなかったらどうしよう・・・。

あたしは朝抜きで雅和さんとともに公邸にいったのよ・・・。やっぱり朝抜きは辛いわよね・・・。ドレスの下に補正下着を着るでしょ、締め付けられてちょっとふらっと来ちゃったのよね・・・。まあなんとか入ったから助かったけれど、苦しいわよ・・・。ダイエットしないとね・・・。やっぱり雅和さんは見てないようで見てるのよね、あたしの体形・・・。今日は衣装の最終打ち合わせのようなものだから、簡単に髪の毛をアップにしてテイアラとかベールもつける。本当に本番に近い感じ・・・。雅和さんは別室で、タキシードの準備をしてたの。まあ持ってきてもらったものがぴったりで結局それになったんだけどね・・・。今日はあたしのパパもきてくれて、衣装を見てもらったんだけど、パパったら本番じゃないのに涙ぐんじゃって・・・。あの堅物のパパがよ!きっとこれを東部方面総監部の人達が見たら驚くだろうな・・・。あの堅物総監が・・・って。本番だったら多分号泣するんじゃない?

 午後からは昼食をとった後、招待客の打ち合わせね・・・。招待客のリストを渡して代筆してもらうの。あとだいたいの席順とかも決めないといけないし・・・。ああじゃないこうじゃないって言いながら打ち合わせするのが一番楽しい・・・。ああ、あたし結婚(入籍してるけど)するんだって実感するんだよね・・・。幸せ感じてんのよ一人で・・・。 まあこういう感じであたし達の結婚準備が整っていくわけで、あっ!という間に12月に入っちゃった・・・。

マスコミたちも少しずつだけど、騒ぎ出してね・・・。予定よりも随分早い挙式に「もしかしてご懐妊???」って言う情報も流れてきてあたしは笑っちゃったのよ・・・。まあ一部の政府関係のマスコミしかあたし達の入籍を知らなかったわけだし、驚くのは無理ないか・・・。まあこれ以上周りに迷惑がかかるってことでマスコミに騒がないでほしいと釘をさしていたらしいけれど・・・。

雅和さんは総理大臣の息子で後継者だけど、官房長官の秘書ってことで・・・。あまり騒ぎにはならなかったわね・・・。

で、あのうっとうしい男、丹波さん。まだあたしにちょっかいをかけてくるもんだから、雅和さんはすごく怒って、はっきりきっぱり丹波さんに言ったらしいわよ。でも丹波さんのお父さんが雅和さんのお父さんの東京後援会の代表者だってことには驚いた・・・。ってことはもうこれからも丹波さんのところとお付き合いしないといけないってことであたし達はもううんざりしたわよ・・・。

ホントにこの日本って言う国は広いようで狭い・・・。 どうなるんだろうね、あたし達の結婚生活って・・・。


うれしはずかし恋愛生活 東京編 (25)倦怠期?それともマリッジブルー?
 ホントに僕って一点に集中すると、何か忘れたりするんだよね・・・。

 この前も綾乃に「新婚旅行は?」って聞かれて、ハッとしたんだ。そうだ!新婚旅行を計画してなかったよ・・・。ああやばいよね・・・。年が明けて少ししたら通常国会が始まるから、6月末まで休みは取れないんだよね・・・・。だからそれ以降になるんだけど・・・。夏ごろになっても父さんの任期の件があるからそれでもバタバタしないといけないんだ・・・。もし父さんが任期延長を受け入れないのだったら、僕のお仕えしている官房長官の藤原さんが父さんの派閥で党の総裁候補になるから、もしそうなったら総裁選挙の件で全国行脚しないといけない・・・。となるともっと後になる。綾乃だって来年大学4年でしょ。卒論とかで忙しいはず・・・。なんだかんだ言って綾乃の卒業後の上、夏以降ってことになる。

 新婚旅行の件で綾乃は口を利いてくれない・・・。その上僕が「子供ほしい」ってしつこく言ってしまったからかもしれない・・・。

東京に戻ってからもいつもどおり愛妻弁当を作って渡してくれるんだけど、なんだかね、違うんだよね・・・。溜め息をつきながらの毎日の通勤・・・。いつものように党の駐車場に車を置いて、官邸に出勤。官房長官執務室のデスクに座ってパソコンを立ち上げ仕事を始める。時折溜め息をつくもんだから、先輩秘書たちにからかわれるんだよね・・・。

「弐條くんどうしたの?やっぱり新婚さんはお疲れかな?まだまだ若いからってがんばりすぎだよ・・・。」
「いえ、そんなんじゃないです・・・。」

まあこういうからかわれ方は日常茶飯事だからなんとも思わないんだけど、やっぱり綾乃にきちんと話して謝らないといけないかな・・・。僕は愛妻弁当を取り出し、女性職員が入れてくれたお茶を飲みながら、お昼を食べる。僕ぐらいだよね、お昼デスクでお弁当広げて食べてるの・・・。やっぱり怒ってるんだよね・・・。内容が最近ワンパターン・・・。まあ冷凍食品とかは使わないんだけど、いかにも昨日の残り物をほりこんだ感じ?まあまずくはないんだけどね・・・。

久しぶりに今晩外食に誘ってみるかな・・・。でもこういうときに限って何かしら用事が入ってしまって、残業なんだよね・・・。残業になると党の駐車場がしまってしまうから、官邸の駐車場に車を移動しないといけないし・・・。もう面倒だから、帰りはタクシーにしよう・・・。明日は地下鉄にチャレンジしてみるかな・・・。

やっぱり残業で午前様・・・。でもちゃんと綾乃は起きていてくれる・・・。

「ごめん起きてたの?」
「ううん、本読んでたから・・・。」

きちんと夜食も置いてある。僕は温めて遅すぎる食事を取る。そして寝て起きる。

「綾乃今日はお弁当要らないよ・・・。昼食会議が入ってるから・・・。」

まだ口をきいてくれないんだよね・・・。

「明日は休みだからどこかに行こうよ・・・聞いてる綾乃?」

無視すんなよな・・・。まあ僕が悪いといえば悪いけど・・・。

僕は早めに自宅を出て、地下鉄の広尾駅から霞ヶ関駅まで行く。やっぱりちょっと辛いから、乗りかえせずに霞ヶ関から徒歩で国会議事堂の前を通り、議員会館によって、総理官邸へ行く予定・・・。ちょっとズルして身分証明書を見せて議事堂正面の門から入れてもらって、議事堂内の地下道を通って議員会館へ・・・。ホントはいけないんだけど・・・。結構国会議事堂はでかいからね・・・。少しはワープしたかな・・・。今日は一般公開の日で助かったよ・・・。もし閉鎖されてたらこういうことできないしね・・・。

まあなんとか今日は残業なさそう・・・。意を決して綾乃に電話をする。

「綾乃、夕飯どこかに行こうよ。なんか食べたいものを考えててよ。永田町出るときに電話するから。いい?」
『うん・・・。』

僕は早く仕事を済ませて5時ぴったりに官邸を出て、そして綾乃に電話して永田町を車で出る。マンション前で綾乃を拾って、綾乃とドライブ。

「どこ行こうか・・・何食べたい?」
「なんでもいいよ・・・。」

僕は車を走らせてお台場へ・・・。明るいうちからゆっくり食事をして、ゆっくりその後夜景を見ようと思ったんだよね・・・。なんだかんだ言って綾乃はきちんとおしゃれしてきているんだよね・・・。
雅和お台場

僕はお台場の自由の女神が見えるレストランに入って食事をする。ホントに神戸から帰ってきてはじめての外食だよね・・・。適当にあれこれ頼んで、つつきながら食べる・・・。

「ねえ綾乃、今までごめんな・・・忙しい忙しいって言って綾乃の相手をしなかったし、新婚旅行のこととか、子供のこととか・・・。怒らせてしまったね・・・。」
「ううん、そんなんじゃない・・・。はじめはそれで怒ってたんだけど、今はそれじゃない・・・。」
「何?」
「あたし雅和さんの誕生日の日、ちゃんといろいろ用意して待ってたんだよ。それなのに雅和さんったら・・・。」

そっか・・・10日前僕の誕生日だったんだ・・・。忘れてたよ・・・。あの日は残業の上、付き合いで飲んで帰ってきたのは午前様だった・・・。ああそうか・・・せっかく用意してくれてたものをだめにしてしまったんだよね・・・そりゃ怒るわ・・・。仕事とお付き合いだから何も言わなかったんだね・・・。

僕は本当に綾乃が愛おしく思ったんだよね・・・。 僕はきちんと謝って、その上これからのことを詳しく話してね、何とかわかってくれたんだ・・・。

毎年何かしら一緒に僕の誕生日を祝えなかったんだもんな・・・。去年は入院してたし、一昨年は仕事で北海道・・・その前は・・・・言い出したらきりがない・・・。それも入籍後初めての記念日だから、大事にしたかったんだよね・・・。来年こそは一緒に。

家に帰った僕たちは以前のような仲に戻って、愛し合ったのは言うまでもない。もちろん明るい家族計画実施中ということで・・・。まあしょうがないっか。

さあ来月から挙式に向けて休日は大変だよね・・・。





(一言)
もっと動きのある絵を描かないと^^;同じポーズばっかりですね^^;
雅和の服はスーツのまま家で着替えずにここまでやってきたので、仕事用のネクタイとジャケットを脱いだ状態です^^;手が書けません^^;動きが書けません^^;精進しないと・・・。

うれしはずかし恋愛生活 東京編 (24)友人たちの祝福と打ち合わせ
 あたしと雅和さんはあたしの夏休みを利用して神戸に行ったの。もちろん打ち合わせや、雅和さんの高校の同窓会も兼ねて・・・。雅和さんが同窓会の間、あたしは久しぶりに堀川鈴華ちゃんと会うことになっているの。ホントに久しぶり。鈴華ちゃんは大学3年生。あたしと雅和さんが入籍したことを聞いて驚いていたわよ。

「いいなあ・・・。イブに船上挙式・・・憧れよね・・・。」
「あたしもびっくりしたわよ・・・。内緒で押さえていたなんて・・・・。鈴華ちゃん、絶対きてよね。」
「うん、行く行く。だめって言われても行くよ。さすが弐條さんよね・・・やる時はやるね・・・。」
「あたしは大変よ・・・3回披露宴するんだから・・・。で、お兄さん元気?」
「もう元気よ。弐條さんに負けない彼女見つけるんだって意気込んでるわ。」

そう響貴さんは大学を卒業後、司法試験に通って、弁護士研修中。そういえば弁護士になってもっとモテテやるって言ってたな・・・。相変わらずなのかな・・・。鈴華ちゃんは彼氏いるのかな・・・。まあとても可愛いこだからいると思うんだけど・・・。

「鈴華ちゃんは彼氏いるの?」
「うふふ・・・いるよ。誰だと思う?」
「え?あたしの知ってる人?」
「うん、知ってるよ。よく知ってる人・・・。でも今遠距離恋愛中なんだ・・・。」
「誰、誰???」

鈴華ちゃんはあたしの耳元で行ったの。

「清原さん・・・・。」
「え~~~~~~~~。いつの間に?」
「去年夏かな・・・。私おにいちゃんに会いに東京に行ったらばったり会ってね・・・。意気投合しちゃって・・・。清原さんってとってもやさしいいい人よね・・・。この前プロポーズされちゃったの・・・。」
「へえ・・・。」
うれしはずかし 清原制服
清原三等陸佐
清原さん、鈴華ちゃんと付き合ってるんだ・・・。だからか・・・最近パパのマンションに遊びに来ないのは・・・。なるほど・・・。でも清原さんと鈴華ちゃんって十歳の歳の差が・・・・。

「でもお父様ったら、10歳も年上だからって反対するのよね・・・。職業のことはなんとも言わないんだけど・・・。私大学卒業したらきっと清原さんのところに行っちゃうんだから・・・。お父様が反対してもね・・・。」
「強くなったね・・・鈴華ちゃんは・・・。やっぱり愛の力はすごいわ・・・。」

清原さんはとてもいい人だし、出世頭だからいいんじゃないかな・・・。もちろんあたしと一度だけあったことは内緒だけど・・・。鈴華ちゃんも可愛いしね・・・。ホントいい子だもん・・・お嬢様なのにお嬢様っぽくないしね・・・。なんとかやっていけると思うよ。応援しちゃおう。そっか・・・そっか・・・そっか・・・!

「あのね綾乃ちゃん。お願いがあるのよね・・・。」
「なに?」
「私お料理苦手なんだ・・・。今度教えてくれる?」
「いいよ、いくらでも言ってよ。清原さんにおいしい食事を食べさせたいんでしょ。」
「う、うん。綾乃ちゃんはなんでもじょうずだから憧れるのよねえ・・・。」

ホント久しぶりに会った鈴華ちゃん。とても輝いていたわよ。やっぱりいい恋をしてるんだね・・・。ちょっとうらやましかったりなんかして・・・。あたしも雅和さんに対してそういう時があったな・・・。もう付き合って4年ほど経つとねえ・・・。でも今もラブラブだけどね・・・。

もうそろそろ雅和さんの同窓会が終わるころなんだけど・・・。するとあたしの携帯が鳴るのよね・・・。

『あ、綾乃?僕だけど、今出てこれる?』
「なに?今鈴華ちゃんといるんだよ。」
『それなら鈴華ちゃんも連れてくればいいから、同窓会の二次会に出てくれないかな。』
「え~~~~~~。どこでするのよ~~~~~~~。」
『んんっとね・・・わかるかなあ・・・モザイクの上にあるブラジル料理屋・・・。』
「うん・・・知ってる・・・そこに行けばいいのね?」
『そう、待っているから・・・。』

あたしと鈴華ちゃんは指定されたお店に向かったのよね・・・。すると雅和さんがお店の前で待っていてくれたの。

「あのさ、高校のクラスのみんなや先生が僕らを祝ってくれるんだって。いいからおいでよ・・・。鈴華ちゃんも。もちろんおごるから。」

あたしは店に入って雅和さんの元クラスメイトの前に出されて、紹介される。恥ずかしいわよ・・・。もちろん紹介をするのはお祭り男の響貴さん。

「さあ皆さんご注目!さあこの子が、弐條雅和君の高校時代、初恋一目ぼれの相手、旧姓源綾乃さんです。まあここまで一途に初恋を成就させたもんだよ。ホントに弐條ってやつは化石のようなものだね・・・。さあ拍手!」

みんなはあたし達に祝福の拍手をしてくれて、2次会が始まったのよね・・・。

「で、まあまあ聞いてくれ。俺の一番の大親友、弐條雅和君と綾乃さんはこの店のまん前に停泊中のコンチェルトでなんとクリスマスイブの日に挙式披露宴を行うようだ!さすが弐條だよな!うらやましいぜ・・・。もちろん俺らは呼んでくれるよね?まあイブだから、予定のあるやつはこなくていいぞ!」

雅和さんはうなずく。どれだけ呼ぶのよ!1クラス40人よ。まあ最大150人だからいいのかな????盛大すぎるわよ!挙式くらいは落ち着いてしたいわよ・・・。それでなくても披露宴3回はきついわよね・・・。 雅和さんはいろんな仲間にお酒を注がれてほろ酔い気分なのよね・・・。あまり強いほうじゃないのに大丈夫かな・・・。まあホテルはすぐそこだからいいんだけど・・・。あたしも20歳になったから、少し飲んじゃった・・・。

まあ2時間ほどの2次会はお開きになって、もう外は暗くなっているの・・・。もう9時・・・。響貴さんは3次会だって張り切っていたけど、雅和さんはもう限界なのよね・・・。お酒を断れない性質だから、いつもより飲んじゃったんだもん・・・。それでなくても付き合い程度しか飲めないんだし・・・。

あたし達は夜景を見ながらゆっくりホテルの戻ることにしたの・・・。やっぱり神戸の夜景はきれいよね・・・。特にハーバーランドの観覧車のイルミネーションが・・・。

「大丈夫?」
「うん、なんとかね・・・。」
「飲みすぎだよ・・・。」
「まあ今日くらいはいいかな・・・。明日二日酔いになっていないことを願うよ・・・。」

とぼとぼとゆっくりホテルへの道のりを歩く。まあ明日の打ち合わせは今日泊まるホテル内だからいいんだけど・・・。二日酔いだったら辛いんだろうな・・・。

ホテルの部屋に着くと、雅和さんはスーツを脱いで、ベッドに横になる。あたしはスーツをきちんとハンガーにかけて、旅行カバンから明日の着替えとかを準備するの。


「雅和さん、シャワー浴びたら?汗臭いよ・・・。」
「んん・・・今は動きたくない・・・。あとから浴びるわあ・・・先綾乃が浴びたらいいよ・・・。」
「もう!」

あたしは先にシャワーを浴びて着替えを済まし、ベッドルームへ・・・。

あ~あ、寝ちゃってるよ・・・。

部屋がクーラーがんがんにかかってるからあたしは雅和さんに布団を被せたのよね・・・。雅和さんは夜中酔いがさめたのかな・・・。ちゃんとシャワーを浴びて、着替えてあたしの横で横になったの。まあダブルの部屋だから当たり前か・・・。わざわざあたしを起こして言うのよ・・・。

「綾乃?」
「なに?今何時よ・・・。」
「今からいいかな・・・?」
「なんで?もう遅いよ・・・。もしかしてまだ酔ってる?」

無理やりじゃないけど、雅和さんはあたしにキスを求めてきたのよね・・・。なんかあったの?もちろんキスぐらいはって思ってキスしたわよ・・・。

「綾乃、やっぱり早く子供ほしいな・・・。」
「どうかしたの?」
「あのさ、同じクラスのやつの中につい最近子供が出来たやつがいてね・・・。写真見たらむっちゃ可愛かったんだよね・・・。ついうらやましくなってさ・・・。僕と綾乃の子供ってどんなこなんだろうね・・・。」
「だめだよ。あたしは学業優先なんだから・・・。あと1年半待ってよ・・・。今日は危険日だからだめだよ。あたしは眠いの・・・。」
「そ・・・。いいよ。僕も寝る・・・。」

雅和さんは残念そうな顔をして背中合わせで眠ったのよね・・・。時計見たら3時よ!3時にエッチしたいと思う?明日は早いんだし・・・。

やっぱり朝起きたら雅和さんは軽い二日酔い・・・。事故で頭打ってんだから、あまり無理しないほうがいいのに・・・知らないわよ・・・なんかあっても・・・。それなのに懲りずに朝から求めてこないでよ・・・。子供が欲しいってのはわかったから・・・。でもうちは明るい家族計画実施中よ!再来年の春卒業後に妊娠して、年末か、年明けに産むのがベターよ!まあ一度流産している(雅和さんの子じゃないけど・・・。アセアセ)からまたそうなるんじゃないかって怖いけどね・・・。まあこのことは置いておいて・・・。

さあ午前中から打ち合わせよ・・・。まあホテルの打ち合わせは簡単なんだけど・・・。式まであと4ヶ月強・・・。現場を見ての打ち合わせ・・・。やっぱり現場を見ないとわからないってのもあるでしょ・・・。使用する宴会場がちょうど昼過ぎの宴会準備をしているから、どういう感じか席とか、いろいろな配置を見せてもらって、雅和さんがデジカメで撮影・・・・雅和さんはこういうのが得意なんだよね・・・。もともと今の仕事が資料集めとか、宮城の選挙区の現状とかをデジカメとかで撮って報告したりするから、やっぱり慣れてて上手・・・。きちんとポイントを抑えて無駄な撮影はしないのよね・・・。質問も的確に聞くから、担当者は大変そう・・・。まあ本格的な打ち合わせは来月あたりから始まるからいいんだけど・・・。まあこういうことは任せるわね・・・。

「それじゃあ、何かあれば連絡ください。僕は自宅にいる時間が少ないので、この名刺に書かれている携帯か、メールアドレスに連絡を・・・。」

雅和さんは自分の名刺を担当者に渡したの。もちろん官房長官藤原さんの公設秘書の名刺よ・・・。

 『内閣官房長官  藤原 貞利  

       秘書  弐條 雅和      
       〒・・・・・       

       東京都千代田区永田町・・・・・第2衆議院議員会館・・・

           携帯番号 090-・・・-・・・・         

           アドレス masa-nijyo@...............or.jp         』 
担当者は役職見てビビッてたわよ・・・。ただのお坊ちゃんじゃないんだもの・・・。れっきとしたバリバリの官房長官つきの公設秘書なんだから。マヌケなボンボンじゃないわよ・・・。

あと私は雅和さんとドレスを見に行ったの・・・。もともとハーバーランドに気に入ったお店があってね・・・気に入ったものがあったらそこで注文しようってことになったの・・・。着るのは12月末・・・。暖かい日だったらいいんだけど・・・。やはり挙式は少し我慢してでも外の甲板の上でしたい・・・。三田祭で着たマーメイドラインもいいけど、やっぱり可愛いのがいいよね・・・。プリンセスライン?それともAライン?結局Aラインのもので気に入ったものがあって、それに決めちゃった・・・。まあ3回披露宴するんだから貸衣装じゃなくって購入決定よ・・・。

あたしは寸法を測るために別室に入るの・・・。雅和さんはすごく照れながら、いろんなドレスを眺めてたのよね・・・。補正用の寸法を測ると試しにあたしに合うサイズのサンプルを着てみて、ベールや手袋、テイアラ、そしてブーケを持って雅和さんに見てもらったの・・・。

「補正しますので、もう少しぴったりなデザインになりますよ・・・。お外での挙式でしたら、これにケープを羽織られるといいかと・・・。」

店員さんはケープを持ってきてあわせてみるの。すごくいいケープでこれなら寒い外でも我慢できそう・・・。30分くらいだもんね・・・。雅和さんは試着したあたしの姿を写真に撮っていたの。

「綾乃、太らないようにしないといけないね・・・。」
「わかっているわよ。本当に似合ってる?」
「綾乃は何着ても似合うよね・・・。いいんじゃないかな・・・。」
「では一月後にご来店できますか?」
「家は東京なんです・・・。」
「では本店が渋谷にございますので、そちらで最終確認を・・・。」

ああ、渋谷にあってよかったわ・・・。ここではオートクチュールもしているようだから、気に入ったお色直し用のドレスがあれば一緒に買うことにするわ・・・。

「男は損だよね・・・。着るものが限られる・・・。」
「そうよね・・・。結婚式は女の子が主役なんだから・・・。」

雅和さんは貸衣装になるのかな・・・。ホントに楽しみ・・・。もちろんこのあとはコンチェルトの打ち合わせね・・・。本格的な打ち合わせは東京でも出来るそうだから、みんな東京で・・・。これで直前まで神戸に来なくていいんだもん・・・。で、イブ挙式に浮かれていたんだけど、新婚旅行はどうなるわけ?って雅和さんに聞いたらなんていったと思う?

「忘れてた・・・。」なのよ・・・。まったく・・・。

またお預けですか・・・・?


作者からの一言^^;

実は現在某大臣私設秘書さんの名刺を見たことがあります。何で旦那が持っているのか疑問ですが、その私設秘書さんは地元で動いている人らしいです^^;ああいう感じで書かれていたような気がします^^;

うれしはずかし恋愛生活 (23)成田エクスプレス事故から1年・・・
 毎日が忙しすぎてあっという間に過ぎた日々・・・。気がつくといつの間にか、くそ暑い夏になっていた。無我夢中で官房長官の公設秘書をして何とか周りについていけるようになった。いろいろな代議士の公設秘書先輩にも可愛がられている。もちろん総理大臣の息子だからって特別扱いはなしだ。バシバシ先輩秘書や代議士たちに鍛えられているのは言うまでもない。

 僕は官房長官の窓口的な仕事を受け持っているので東京と官房長官の地元である宮城を行ったりきたりしている。毎日残業はざら・・・。休みもほとんどないに等しい・・・。

 綾乃と入籍して半年以上が過ぎた。綾乃はこんな僕に文句ひとつ言わずに毎日送り出してくれるし、夜遅くなっても起きて待っていてくれるんだ。ホントに綾乃と一緒になってよかったと思っているよ。だから僕は毎日綾乃のために一生懸命がんばっているんだ。

 僕は未だに電車が怖い。最近になってやっと東京-仙台間で移動のために新幹線を利用できるようになったものの、必ず先頭車両には乗らない。ど真ん中を押さえる。どうしても精神的に乗れないときは自費でも飛行機に乗ったり、自分で車を運転して行ったりするんだ。

 脱線転覆事故から1年になる・・・。 もう1年か・・・早いものだ。一応僕は被害者だから、被害者の会というものには登録している。父さんも本来なら入りたいらしいけれど、やはり総理大臣という立場上そうはいかない・・・。よく考えてみてよ。もと国鉄といわれた鉄道会社とそれを管轄する国交省が絡んでくるんだから・・・。でも未だにごたついている補償問題を父さんはなんとか上手くいくように水面下で行動しているのは確かな話・・・。しかし今まで過去に起こった事故補償の例を無視できないから、それも難しいところだ。

事故原因は鉄道会社にあったという見解は真実だからね・・・。車両の整備不良やいろいろな原因が重なって起きた事故だったんだ・・・。まあ綾乃のお父さんがすばやい指示でレスキューと陸上自衛隊災害派遣部隊を迅速に動かして、最低限の死者で済んだ評価は未だに高い。以前起きた脱線事故ではレスキューと自衛隊の意思疎通が上手くいかずに手間取り、生きなければならなかった人たちまで亡くなったという教訓があるんだ。

「レスキューも自衛隊も関係ない!早く救助を!生きるべき乗客を早く助けろ!」と綾乃のお父さんは消防庁から派遣された隊長さんに怒鳴って、自ら陣頭指揮をしながら現場で救助を行ったという・・・。やはりすごい人だ・・・。あれ以来お父さんを悪くいう人はいなくなったって聞いたよ。

やっと事故後1年、お父さんは功績が認められて陸将補から陸将に昇格して、今度定年退職で空席になる東部方面総監に任ぜられることに決まったらしい。誰も文句いう人なんていない・・・。

事故が起こった日、僕は休みを取って慰霊祭に出かける。もちろん父さんは遺族会や被害者の会にお願いされて、出席し挨拶することになった。もちろん僕は最後に助けられた被害者として挨拶をするんだけど・・・。(はじめは断ったよ・・・。)言葉を考えるのに結構徹夜したし、父さんと言葉が重ならないように打ち合わせもした。 綾乃のお父さんは当時の派遣部隊を代表して出席している。もちろん公の慰霊祭だから、礼服に飾り緒、そして帯剣という最高の礼装で出席する。
雅和 成田1年

 まず父さんの挨拶から慰霊祭が始まり、国交省大臣やら鉄道会社、遺族、そして僕が被害者代表で挨拶をした。そして事故が起きた時間に全
員で黙祷をし、献花が行われる。父さんは献花が終わると公務があるから官邸に戻って行ったけど、初めて事故以来事故現場に訪れた僕はなんともいえない気分で関係者が献花しているのを見つめる。

はっきりいって僕の場合は全然覚えてないんだけど・・・。事故前は熟睡してたし、事故後気がついたのは1週間後だったし・・・。救助を待つ間の出来事なんて覚えているはずはない・・・。ホントは挨拶は断ったんだけど・・・。ホント複雑・・・。僕よりももっと苦しんでいる人がいるに違いない。

 僕は慰霊祭が終わっても椅子に座ってうなだれていた。綾乃のお父さんは僕の横に座って肩を叩いていった。

「雅和君・・・。いろいろあって大変だったろうね・・・。君は程度的にも軽いほうかもしれないが、綾乃の記憶を失ったって言う辛い経験もしている。綾乃に聞いたよ、未だ電車に乗るのをためらうそうだね・・・。それをばねにしてがんばって行ったらいいじゃないか・・・。そして君が政治家になったときは被害者の立場になれる人物になったらいい・・・。」
「そうですね・・・お父さん・・・。」

本当にお父さんはいいこと言う。そうだよ、僕が政治家になって同じような事が起こったら、被害者の立場に立って何とかできるように・・・・。

うれしはずかし恋愛生活 東京編 (22)さあ!2人で結婚準備!
 やはり挙式第一希望はクリスマスイブだよね!今年のクリスマスイブは日曜日!それも大安!招待人数は300人強。ほとんど後援会の人や党関係者が多いんだけど、もちろん綾乃の家の関係者も多い。いろいろ下調べして、候補の会場を押さえないと・・・。

政界関係者用の披露宴はなんとかいつも新年会で使うニューオータニ東京。年明け早々。それはやはりコネで取れたんだよね・・・。一応オータニ東京の担当者が、オータニ神戸ハーバーランドブライダル担当者に伝えてくれているらしいんだけど、いい返事はない。やはりクリスマスイブは1年以上前から押さえている人が多いらしいし、一番大きな会場を用意しないといけないらしいから、なかなか取りにくい・・・。でもだめもとで直接ホテルに言ってみることにしたんだ。キャンセルが入るかもしれないし・・・。

 実は綾乃には内緒にしていたんだけど、去年のクリスマス、クリスマスイブのコンチェルトの全船貸切予約を入れていたんだ。もちろんランチクルーズで・・・。もしホテルがだめならここでいいかなって軽い気持ちで・・・。まあ日程が合わないのならキャンセルすればいいかなってね・・・。驚くかな・・・綾乃は・・・。

僕たちはオータニのブライダルサロンへ・・・。オータニ東京の担当者から連絡が入っているのか、待ち構えたように担当者が待っていた。

「お待ち申し上げておりました。弐條さまこちらへ・・・。」

僕たちはなぜか客室に通される。そこでいろいろ打ち合わせを・・・。

「今朝なんですが、キャンセルが出まして、少し小さめの翠鳳の間が空きまして・・・。200人が上限となっております。」
「200????鳳凰の間は?」
「すみませんちょうどほかに予約が入っておりまして。」
「あの、実はコンチェルトのランチタイムの挙式を押さえているんだけど、なんとかならないかな・・・。」

やはり無理らしくって、結局宴会場翠鳳の間を3時に押さえた。披露宴のはしご決定。一応地元神戸の会場は押さえたよ・・・。まあコンチェルトはハーバーランド発着だし、近いからいいっか・・・。コンチェルトはもちろん友人とか身内限定にするけど・・・。綾乃はコンチェルトで挙式することを知って案の定、驚いてたよ。まあイブに取れたってことだけでも運がいいと思わないとね・・・。

僕はきちんと父さんに報告。僕に任せるって言ってくれた。神戸で披露宴を2回するって言ったら笑ってたけどね・・・。父さんもすぐにスケジュールを調整をしてくれることになったんだ。もちろん首相の身での出席になるから、警備の手配もしないといけないって言うこともあるんだけど・・・。

芦屋にいるおじいちゃんにもちょっと遅いけど、直に入籍の報告と、年末に行う予定の挙式披露宴の報告に行ったんだ。おじいちゃんはすごく喜んでくれてね・・・。本格的に行われる打ち合わせまでに後援会やらのリストを用意しててくれるらしいんだ。神戸のホテル側も、打ち合わせは東京まで来てくれて、東京の打ち合わせと同時進行で行ってくれるそうだから何度も神戸に足を運ばなくってもいいので安心した。もちろんコンチェルトのほうはブライダルを企画する会社が東京にあるので、そちらで打ち合わせ可能。最終確認のみの神戸入りでよさそうだ。

僕たちは下見がてらにコンチェルトのディナークルーズ・・・。運よく決まった僕たちの挙式披露宴に綾乃はすごく喜んでいた。

「信じられない・・・。クリスマスイブに結婚か・・・。覚えてる?雅和さん。」
「なに?」
「あたし達が出逢ったのはクリスマスイブの日だったよね・・・。もうあれから5年なんだ・・・。」
「そうだったね・・・あの日はクリスマスイブだった・・・。」
「その出逢った記念日に挙式できるんだもん。あとね、雅和さんがあたしを思い出してくれた日もクリスマス・・・。ホントにあたし達はクリスマスに縁があるんだね。」

綾乃は微笑みながらコンチェルトの甲板から神戸の夜景を眺めている。僕は後ろから綾乃を抱きしめて一緒に夜景を眺めた。

「雅和さん、やっぱり神戸の夜景は最高だよね・・・。横浜やお台場もいいけど・・・。」
「うんそうだね・・・。」
「いつか神戸に住める時が来るのかな・・・。」
「じゃあ、手始めに地方議員からはじめるかな?そうしたら神戸に住めるよ。」
「またまた・・・有能なくせに・・・。」

綾乃はこれからずっと東京に住むことは知っているはず。やっぱり神戸に住みたいって気持ちはわからないわけではない・・・。

「さあ、あさってから仕事がんばらないとね・・・。」
「そうだね・・・。4月1日付けで藤原さんの公設秘書さんだものね・・・。がんばってね・・・。あたしも家事と学業を両立するから。」

綾乃は微笑みながら僕のほうに向かいキスをしてくれた。僕ももちろん綾乃をぎゅっと抱きしめて改めてキスをしたんだ。

さあ!あさってから怒涛の公設秘書生活が始まる。

うれしはずかし恋愛生活 東京編 (21)さあ!行動開始!!!
 僕は卒業に必要な単位やレポートを提出し終え、もちろん卒業間違いなしと決まってから、事故以来やっていなかったバイトを再開した。僕はスーツに身を包み、モバイルパソコンをカバンに詰め込んで出勤する。

「はい。お弁当。お仕事忙しいかもしれないけど、ちゃんと食べてね・・・。」
雅和私設秘書

僕は綾乃から愛妻弁当を受け取り、車で出勤。本当なら、広尾から東京メトロに乗って行かないといけないんだけど、事故以来電車に乗るのが怖い。別に眠ったまま事故に遭ったので怖い思いをしたわけではないが、後からいろいろ映像やら情報を聞かされて、自分がどんなことの巻き込まれたか知って本当に怖くなった。だから僕は特別に車通勤を許された。

党本部の駐車場に止めさせてもらって、今日は議員会館を訪れることになっている。身分証明書を首にかけ、議員会館の官房長官藤原氏の事務所に入る。

「おはようございます。」

僕は与えられた自分のデスクに座ると、まずカバンからパソコンを取り出し、立ち上げる。いくら僕が総理大臣の息子といっても、今は官房長官の私設秘書という身。公設秘書の補助的なことをしている。まあ事務員に近いかな・・・。ほとんど議員会館に詰めて、書類を作ったりなど雑用全般・・・。たまに党務秘書(党との橋渡しなど、まあいう雑用かな^^;)的なこともするんだけど・・・。まあこれも勉強の一環・・・。官房長官は官邸の官房長官執務室にいる事が多いから、たまにしかこちらに来られない。今はほとんど国会や様々な執務のための情報収集や資料集めが僕の仕事・・・。別にこういうのは嫌いじゃないからいいんだけど・・・。

お昼は綾乃の愛妻弁当。もちろん地下には食堂もあるんだけど・・・。出来るだけ節約して生活しようってことになったから、お昼はお弁当なんだ。食べながら仕事も出来るしね・・・。

午後からは官邸の官房長官執務室に行って集めた資料を基に政策秘書の人と話をしながらさらにまとめていく。毎日がこういう仕事。仕事のあと官房長官に呼ばれたんだ。

「弐條君、お父さんから聞いたよ。この春に卒業できるそうだね。」
「はい、なんとか・・・。留年覚悟だったのですが・・・。」
「このひと月、いろいろあなたの仕事っぷりを見せてもらったけれど、卒業したら私の公設秘書として働いてみないかな・・・。党務秘書をしてもらうことになるけれど・・・。この私の窓口的な役をしてほしいんだよ。」
「え?まだ僕には早いです。まだ本格的に秘書を始めたのはここ最近ですし・・・。今までやってきたことは本当に党の雑用ばかりで・・・。」
「弐條君には養わなければならない人がいるんだろ。私設秘書よりも公設秘書のほうが稼ぎもいい。君ならきっとやっていけると思うよ。」

本当にこんな僕でいいのかなって思いながら、いろいろ話していたんだ。官房長官は僕と綾乃の仲人を引き受ける人だから、いろいろ相談事もするんだけど・・・。この官房長官も父さんや僕と同じ政界のサラブレッドといわれている人なので、立場が同じだからいろいろ聞きやすい。

「あの・・・ひとつお聞きしたいのですが・・・・。プライベートなことでも構いませんか?」
「ああいいよ。」
「あの、僕はできれば、今年中に綾乃と挙式をしようと思っているんです。藤原さんは宮城出身じゃないですか・・・。藤原さんが結婚された時って、どのようにされたのかなって・・・。僕としては神戸でしたいと思っているのです。でも父の仕事柄、こちらでしたほうが・・・。」
「私のときは地元と東京でしましたよ。地元は親戚、友人や後援会向きで、東京はやはり仕事関係・・・。弐條君もそうすればいい。でも大変だよ、今年中ってのは・・・。来年秋以降にすればいいのに・・・。総理大臣の息子の結婚となると警備やらなにやらで大変だと思うよ。お父さんの任期切れのあとでも遅くはないと思うんだけど・・・。」
「でも早く挙式をしたいんです・・・。」
「じゃあチラッとお父さんに伝えておくよ・・・。まあ早くしたいってのもわからんでもないけどね・・・。総理のスケジュール抑えるだけでも大変だ・・・。」

やっぱり予想通り大変そうだ・・・。急にできるもんじゃないからだいたいの目途は立てておきたいんだけどな・・・。来年の秋以降は遅すぎる・・・。まあわからないでもないんだけど・・・。父さんは結構忙しい人だからもう任期の切れる来年の秋までスケジュールが入っているはず・・・。何で早くしようと思ったのにもいろいろ原因があるんだけど・・・。

未だにあの丹波のやつが綾乃にちょっかいをかけてくる。綾乃にはできるだけ一人で外出しないようには言っているけどね・・・。でもそれは無理でしょ・・・。

僕は定時よりだいぶん遅れて自宅に戻る。

「ただいま・・・。」

玄関を入るとお客さんのようだ。男物の靴が揃えておいてある。もしかして???

「お帰り。雅和さん、お兄ちゃんが来ているの。珍しいでしょ。」

なんだお兄さんか・・・。一瞬丹波かと思ったよ・・・。
兄迷彩
綾乃の兄。陸上自衛隊の一等陸尉

僕は綾乃にカバンを渡してリビングの入る。

「お邪魔してるよ。新婚さん。」
「あ、お兄さん・・・。どうしたんですか?」
「いや、ちょっと東京に用事があってね・・・。休暇をもらって3日ほど・・・。」

綾乃は僕のカバンから空になったお弁当箱を取り出すと、カバンを僕の書斎までもって行き言う。

「おにいちゃんったら、明日お見合いなのよ・・・。信じられないでしょ。」
「綾乃、兄ちゃんはもう29だよ。そろそろ身を固めないとね・・・。せっかく親父の上官である陸上幕僚長殿のご紹介なんだから・・・。」

お兄さんは防衛庁長官のお嬢さんとお見合いをするらしいんだけど、どうなんだろうね・・・。防衛庁長官のことはよく知っているけど、そういえば僕ぐらいのお嬢さんがいたな・・・。結構箱入り娘で、いくらお兄さんは将来有望な自衛官だとしてもうまくやっていけるんだろうか・・・。防衛庁長官は結構綾乃のお父さんびいきで、去年の脱線事故の際に綾乃のお父さんが消防庁レスキューとともに団結して迅速な救助活動で最小限の死者で済んだというのをたいそう気に入ってしまって、いろいろお父さんの昇級を働きかけているっていう噂を耳にしている。それでかな・・・お兄さんをお嬢さんのお相手として選んだのかな・・・。

「で、お兄ちゃんは決めちゃうわけ?」
「わかんないけどね・・・。俺は親父と違って優秀じゃない。そんな俺に長官のお嬢さんと・・・。」
「何言ってんのよ。お兄ちゃんは同期でも出世頭よ。」

なんだかんだ言って、お兄さんは結婚を決めてしまったんだよ・・・。もちろん長官サイドがすごく熱望してしまって・・・。断れなかったってこともあるらしいけれど・・・。まあお兄さんはちょっとシスコンっぽいところがあるけれど、いい人なのには違いないよ・・・。まあ余談はここまでにして・・・。

官房長官は僕の考えを父さんに伝えてくれたみたいで、父さんとこの先のことをじっくり話したんだ。もちろん父さんは来年の秋以降を提案したんだけど・・・。

「父さん、僕は怖いんだ。また綾乃のことを忘れたらどうしようかなって・・・。最近後遺症なのかな・・・たまにひどい頭痛に襲われて・・・。だから怖い・・・。今のような中途半端な状態ではなくって、公にしたいんだ。本当に僕のわがままだと思うかもしれないけれど、大学を卒業したら今まで以上にがんばるからさ。」
「お前が藤原君のもとで一生懸命がんばっているのは知っているよ。春から公設秘書として働くそうだね・・・。父さんにもいろいろ立場があるんだよ。もちろんはやく公にしてやりたいんだけどね・・・。」

毎日のように僕は仕事のあと父さんを説得した。そして卒業式を目の前にして、やっと前向きにスケジュールの調整をしてくれることになったんだ。

官房長官によると、父さんは来年秋に党総裁の任期が切れるんだけど、未だ高い支持率と、去年行われた総選挙の党圧勝、そして3年後に行われる衆議院の選挙対策のため、任期延長を党内で検討されているらしい。そうなればさらに僕らの挙式は遅れるということになる。それはまずいでしょう・・・。だからはじめ反対していた官房長官も、今年中になんとかできないかと父さんに働きかけてくれたらしい。

数日後には挙式が出来そうな候補日がリストアップされて、僕の手元に・・・。臨時国会が入ったら最悪来年に縺れ込むらしいけれど・・・。とりあえず目途が立って一安心ということで、綾乃と綾乃のお父さんにきちんと報告したんだ。もちろん来年父さんが任期延長するかもしれないってことも付け加えて・・・。

予定日まであと半年・・・。会場を押さえる事が出来るんだろうか心配だ・・・。それもクリスマスが絡んでいるんだから・・・。

僕たちは卒業式を終えたあと、新婚旅行じゃないけど、入籍後初めて会場探しのために休みを取って地元神戸へ出かけたんだ。 どうなるんだろう・・・・。おさえることは出来るかな・・・。

うれしはずかし恋愛生活 東京編 (20)綾乃危機一髪!しつこい男
 婚姻届が受理されたあと、あたしは大学に行く。雅和さんは公邸にいるお父さんに入籍の報告をするためにあたしを大学まで送ったあと、永田町に向かうことになってるの。

「じゃあ、行ってきます。雅和さん、講義終わったらあたしもお父さんにご挨拶に行くから・・・。」
「うん、僕は官邸にいるかもしれないからね・・・。」

雅和さんはキスをしてあたしは車から降りた。そして笑顔で見送ってくれた。今日からあたしは弐條綾乃なんだ・・・。やっぱり大学には言っておいたほうがいいのかな・・・。とりあえず住所変更とか戸籍変更はしないといけないよね・・・。

あたしはいろいろ考えながら、まあとりあえず講義の行われる教室に向かっている。途中大銀杏の前を通る。ここは学生たちの憩いの場所。待ち合わせに使ったり、話し込んでいたり・・・。もちろんあたしも雅和さんと毎日ここで待ち合わせしてランチに行ったり、家に帰ったりしている。講義も終わり、あたしは友達とまたこの大銀杏のところへ来る。

「え~~綾乃、そうなんだ~~~。今度遊びに行っていい?」
「いいよ。いつでも新居に遊びに来て。でもこのことは内緒だからね・・・。」

するとあたしの前に丹波さんが立っている。
丹波2

「丹波さん・・・。なんですか?」
「今日は綾乃ちゃんの誕生日なんだってね・・・。今暇かな・・・。」
「ごめんなさい・・・。これから用事があって・・・。」

わざわざ信濃町キャンパスからあたしに会うためにこの三田まで来たわけ?なんなんだろこの人は・・・。模擬結婚式のときも未遂だけどあたしにキスしようとするしね・・・。

「どこかいくの?よかったら送っていくよ。」
「今から永田町。地下鉄で行くからいいです。」
「お茶くらい付き合ってよ。」
「だから時間が・・・。」

すると突然丹波さんはあたしを抱きしめてキスしてきたの!もちろん大銀杏の人がいっぱいいる前で!友達はみんな驚いていたわよ。もちろん私も・・・。あたしは丹波さんをひっぱたいてやったわよ。

「何するのよ!あたしは・・・あたしは・・・。」
「見た目と違って結構気が強いんだね・・・綾乃ちゃんって。弐條は綾乃ちゃんのそういうところを知ってるのかな・・・。ただのお嬢様じゃないんだ・・・。」
「だからってなんだって言うのよ!雅和さんは・・・弐條さんは・・・あたしのことよく知ってくれてるんだもん・・・。丹波さんはあたしのどこを知っているの?」
「俺は君のことすべてを知りたいんだ。」

あたしは丹波さんを無視して正門を出るんだけど、本当に丹波さんってしつこい。もうしつこいからタクシー止めてそのまま乗っちゃった。あの時あたしがもう弐條になったことを言ってもいいんだけど・・・。まだ公にしていないから、いえない。

この日から丹波さんは側に雅和さんがいないときを狙ってあたしに言い寄ってくる。どうしたら諦めてくれるんだろう・・・。彼氏がいようといなくても平気で言い寄ってくるって言う噂だから・・・。もしかして入籍したって言ったとしてもしつこいんだろうな・・・。

あの日大銀杏の前でいきなりキスされてから、もう大学中は大騒ぎよ!雅和さんの耳に入らないのが信じられないくらい・・・。ホントに雅和さんは何かに集中すると周りの事が耳に入ってこないんだから・・・。その集中力にはホントに脱帽よ・・・。

「え!まだ変更手続きしてなかったの?」

そう・・・丹波さんのおかげですっかり忘れてたわよ・・・。証明書も役所からもらってたのに・・・。雅和さんは本当に呆れてたわよ・・・。

「じゃあ、今から行こう。僕もレポート仕上がったから、提出しに行くしさ・・・。」

あたしは秋季試験の前日に変更届を出しに行ったのよ・・・。まあ今回の試験は旧姓で行うようにいわれたけどね・・・。雅和さんはきちんと指定されたレポートを提出して、後は教授から結果をもらうだけ・・・。いいよね・・・あたしはたんまり試験を受けないといけないのにさ・・・。

まあ試験中はやっぱり丹波さんは来なかったわよ。あっちも試験だもんね・・・。この10日間ちゃんと講義とかに出てるんだろうか・・・。こっちが呆れるわよ・・・。ちょっとなんであたしがあの丹波さんのことを気にしてるんだろう・・・。やばい・・・はまりそうだった・・・。

これがあの人の女の子を落とす手なのかな・・・。

やっと試験が終わって、なんとか単位をギリギリ落とさずに済んだ。ぎりぎりでも単位を落とさないのがあたしのモットー。

春休み突入だ!もちろん雅和さんもきちんと単位をもらえて、後は卒業発表と卒業式を迎えるのみ・・・。

実は今日まで夫婦生活をお預けだったのよ・・・。今まで夫婦なのに寝室は別々・・・。まあしょうがないよね・・・。学業優先なんだもん・・・。

今日からうれしはずかしの同じ寝室・・・。同じベッド・・・。やっぱり夫婦だから夜の営みってするんだろうな・・・。でもあたしが大学出るまで子作り厳禁だからね・・・。これから家族計画しながら夫婦生活するんだよね。ホント二十歳そこそこで恥ずかしいな・・・。

もちろん夜、雅和さんは迫ってきて、キスからはじめる。ああこれからって時にベッドの横にあるサイドテーブルにおいてあったあたしの携帯がなるの・・・。
ラブラブ

「出ないと・・・。」
「ほっとけよ・・・。」
「でも・・・。」

雅和さんはあたしの携帯をマナーモードにしてそのままにしたんだけど、しつこくかかってくるからしょうがなく出ることにした。見たことのない番号・・・。

「はい、弐條じゃなかった・・・源です・・・。もしもし・・・。」
『俺・・・丹波だけど・・・。』
「綾乃?誰?」

あたしの耳元でキスしてくる雅和さんを気にしながらあたしはすぐ電話を切って電源も落とした。

「誰から電話?」
「ん?間違い電話よ。」
「そう・・・。」

こんな状態がもう数日続いている。着信拒否登録しても違う番号でかかって来るんだもん・・・。何台持ってんの?って感じかな?やっぱりそれだけ彼女いるんだろうか?デモなんであたしの携帯番号知ってるんだろう・・・。あんまり教えてないのに・・・。

しつこすぎて、雅和さんは怒ってしまって、今日こそは間違い電話に出るぞって・・・。何で丹波さんがあたしの電話番号を知っているのかと怒るんだろうか・・・。教えたことはないぞ!

案の定、夜あたしが雅和さんと寝ようとすると、電話・・・。また違う番号なんだよね・・・ここまで来ると呆れるわ・・・。

「僕が出る・・・。」

雅和さんはあたしの携帯を取ると、着信ボタンを押して出る。

「もしもし?弐條ですが・・・誰?」
『何で弐條が綾乃ちゃんの携帯に出るんだよ!』
「誰だよ!名前を先に言え!」
『丹波だ。丹波正信。これは綾乃ちゃんの携帯だろ?』
「そうだよ。何でお前は綾乃の番号知ってんだよ!」
『ある筋から聞いたんだよ。何で?』
「もうかけてくんな!綾乃は僕の奥さんだからな。今度ちょっかいかけてきたら、許さん!」
『え?』
「だからもう綾乃は源綾乃じゃなくって、弐條綾乃なんだよ!まだ公にはしてないけどな。切るぞ!」

雅和さんは携帯を切り、あたしに抱きつくの。

「もしかして毎晩かかってくる電話ってあいつから?」
「ん?んん・・・。しつこく言い寄られて困ってたのよ・・・。入籍を公にしてないから、面と向かっていえないでしょ・・・。ごめんなさい、相談しなくて・・・。」
「綾乃は悪くないから気にしなくていい・・・。それよりも・・・綾乃、明日この携帯解約に行って、新しい番号に変えよう・・・。」
「う、うん・・・。」

次の日あたし達は携帯の解約と、新規契約をしてきた。もう番号変更をみんなに知らせるだけで大変・・・。もちろん大学にも知らせないといけないでしょ。昨日雅和さんがきっぱり言って、これでしつこい丹波さんが言い寄ってこないといいんだけど・・・。雅和さんに任せないといけないな・・・。

ホント最悪・・・。



追伸:挿絵の丹波君は医学部での白衣の丹波君。白衣を書いてみました^^;といっても関係ないか^^;以前書いた丹波君と顔が・・・・^^;
丹波1

↑これです^^;医学生が髪の毛長くていいんでしょうか?
 主人公の雅和と同級生ですが、医学部は6年まであるので、まだ在学します。そして綾乃と同じ年に卒業となるんですよね^^;こいつはまた「うれしはずかし~」のあとの話でも出てきて綾乃を困らせます。

彼は代々1000年以上続く医者家系の開業医のお坊ちゃん。設定では母方の伯父さんも偉い人で、その権威を使って綾乃を苦しめます。まあ罰が当たるんですけどね^^;
でもまた出してみたいキャラでもありますけれど・・・。
綾乃がかわいそうなのでやめておきます。

うれしはずかし恋愛生活 東京編 (19)待ちに待った2人だけの入籍
 毎年恒例の弐條家の年賀状。今年はなぜかあたしまで入っているのよ。この写真を撮ったのは三田祭が終わってすぐ、雅和さんから改めてプロポーズされた次の日・・・。もうあたしは弐條家の後継者の正式な婚約者として結納も済ませているから、あたしは振袖を着て弐條さんの横に並んで営業スマイル(?)。今年の年賀状は総理公邸の庭で撮ったのよ。雅和さんは、この時はまだあたしのことを思い出していなかったけれど、写真用にあたしの肩に手を置いて微笑んでいる。

 あたし達が神戸の旅行から帰ってきて、雅和さんは毎日あたしの自宅に通い、パパと会って、入籍の許しをえようとしてくれるの。もともとパパは厳格な人だから、学生結婚なんて許さないと頑として反対・・・。そしてどうやって学生同士の二人が生活していけるのかと問いかける。もちろんそうだよね・・・。あたしはバイトしてないし、学費やお小遣いをパパから出してもらっているわけだし、雅和さんも以前バイトした時の蓄えはあっても、事故以来まだバイトを再開していないから、収入はなく学費や生活費はお父さんやお爺様が出してくれてるのよね・・・。別にお金には不自由のない家庭に育ったあたし達だけど、パパは結婚するなら自立しないといけないといっているんだろう・・・多分・・・。反対し続けているパパのことを知った雅和さんのお父さんはあたしのパパを説得してくれたの。年を越えてやっと許してもらえたんだけど、条件があるって言うのよ。

1. 学業優先。
2. 雅和さんは今まで通りきちんとバイトすること
3. 親をあてにしないこと
4. 子供はあたしが大学卒業してから

この4点を条件にあたし達は入籍のみ許してもらえた。もちろん結婚式は雅和さんがキチンとした職に就き、二人が生活できるくらいの給料が出るまで・・・。もちろんあたしの学費は今まで通り出してもらえるそうだけど、きっと共働きはしないといけないだろうね・・・当分の間・・・。ということは結婚してもまだまだ子供はだめってことね・・・。まあ雅和さんと一緒に暮らせるならこれくらいいいかな・・・。

 今日は1月5日。今年初めての授業開始日・・・。今日はなぜか雅和さんも大学へ・・・。そういえば初めて一緒に通学するんだよね・・・。雅和さんは大学に呼ばれたらしくって、それで行くらしい。

「ねえ雅和さん。何言われるのかな?」
「ん、んん・・・。まだ復学届けだしてないんだけどな・・・。」

雅和さんは不思議そうな顔をして学生総合センターに入っていくんだよね・・・。単位のことかな・・・。多分卒業に関することなんだろうけど・・・。

あたしは講義を済ませて、お昼を一緒に食べる約束をして、学食へ・・・。

「何呼び出されたの?」
「ん?やはり単位のことと、卒業のことなんだけど、ちょっとややこしいことになっていて・・・。」

雅和さんはあたしにわかりやすく話してくれたの。それでもややこしいんだけど・・・。 雅和さんはアメリカからエアメールで復学届けとか復学に向けての書類を学校宛に送ったのね。それが届かないうちに雅和さんは事故に遭って、あたしが休学届けを出したでしょ。その後復学届けがアメリカから届いて、休学を取り消した状態になっていたの。まあ学校として、雅和さんは不慮の事故に遭ってそれなりの待遇をしようと検討していたらしくって、検討中にワシントン大学から単位認定の書類が届いたの。それを見ると卒業に必要な単位をすでに取得したことになっていたらしいのよ・・・。もちろん雅和さんは勉強が好きでしょ。取れるものはみんな三年の前期までに取っていたのよね・・・。そしてワシントン大学でも、取れるものは全部とっていたから、なんと1年で1年半の単位をすべてとったってこと・・・。まあアメリカだからそれが出来るんだろうけど・・・。

「だからさ、この春卒業でできるらしい。響貴と一緒に卒業できないと思っていたけど・・・。」
「でも卒論は?」
「留学レポートがあったし、僕は事故にあって最近まで通院していたでしょ、だから優遇されて、それを卒論としてくれたんだ。まあ教授に言わせると、卒論と同じ価値がある内容だって言ってたけどね・・・。あと指定された文献を数冊読んでレポートを秋季テストの最終日までに出したらいいんだって・・・。父さんにもそのことを伝えておいたら、すごく喜んでくれて・・・。」

雅和さんはとても嬉しそうに食事をしているの。ホントそうよね・・・。無事卒業できそうなんだもの・・・。主席卒業ってのは無理かもしれないけれど、卒業できたらいいんだもんね・・・。これで雅和さんは晴れて春から社会人になるんだね・・・。あたしは嬉しいよ。しっかり働いてもらって、あたしを養ってもらわないとね・・・。

ちゃんとあたしはパパにもこのことを話したの・・・。パパは思ったよりも喜んでくれてね・・・。 もちろん卒業後の就職先は決まってるんだもの。今まで叔父様の秘書として働く予定だったんだけど、いろいろあって結局官房長官の私設秘書から始めるらしいのよね・・・。でも下積みは長いから、今度は雑用ばっかりじゃないって言ってたけど・・・。なんていったのかな・・・。官房長官の第一秘書で政策関係を受け持つ人について本格的に政策などを学びながら仕事するんだって!雅和さんの瞳は生き生きしてたわよ。昔なんて政治家なんて嫌だって言ってたのに不思議よね・・・。

 この日から雅和さんとあたしは一緒に通学して、あたしは講義、雅和さんは図書館で勉強、そして一緒に帰ると言う毎日。もちろん帰りにはスーパー寄って仲良く帰るんだけど・・・。なんだかんだ言って事故以来あたし達は同棲してるでしょ。もうこれは近所では当たり前の光景なんだけど・・・。まあたまには雅和さんとあたしの麻布の実家に帰ってパパと一緒に食事をしたりする・・・。

パパは最近機嫌が悪い。一緒に食事をしても、すぐに自分の部屋に籠もってしまうんだから・・・。でも来年の4月には妹がこっちの大学を受験して来る予定になっているから、パパも寂しくないよね・・・。きっとあたしが後もう少しでお嫁に行っちゃうからすねてるんだよ。

 今年は派閥新年会に行かないことになってるので、誕生日の前日あたしは久しぶりに非番のパパを連れて、出かけることにしたのよね。パパはあたしと出かけるのが嬉しいらしくって、一日中嬉しそうな顔であたしを眺めてたんだよね。

「何?パパ。あたしをじろじろ見ないでよ。恥ずかしいでしょ。」
「綾乃が明日から弐條君のお嫁さんになるのだから、今のうちに綾乃をよく見ておこうと思ってね・・・。綾乃よくドラマでやるようなことは辞めてくれよ。近所に住んでくれるんだし・・・。」

パパが言うのはあれよ。嫁入りの時にパパにする「今までありがとうございました」っていうような事かな・・・。結構パパって照れ屋って言うか恥ずかしいのかな・・・。

「でもパパ、お嫁に行くって言っても今雅和さんと住んでるんだし、ただ籍を入れるだけだよ。」
「それはそうだけど、パパの戸籍から綾乃がなくなるんだよ・・・。」

まあそれはそうだよね・・・。今日一日ずっとパパと一緒にいたんだよね・・・。もちろん今夜は麻布のマンションの自分の部屋で眠ったの。この部屋も当分帰らないのかな・・・。

パパは誕生日の朝、あたしに通帳とはんこを渡してくれたの。

「これはね、綾乃が生まれた時からずっと綾乃のために貯めていたものなんだよ。困った事があったらこれを使いなさい。」
「パパ・・・。」

ホントにパパっていつもあたしのことを心配して見守ってくれたんだね・・・。ホントに感謝しなきゃ・・。パパ、今日からあたしは弐條雅和さんのお嫁さんになるけど、ずっとパパはあたしのパパだから・・・・。

あたしは迎え来てくれた雅和さんと一緒に車に乗って渋谷区役所に一緒に行ったの。もちろん代理人でもよかったんだけど、やっぱりこういうことはきちんと二人でしようってことになったのよね・・・。あたし達は区役所の窓口に以前書いた婚姻届を出し、無事受理された。今日からあたしは源綾乃から弐條綾乃になったの。

うれしはずかし恋愛生活 東京編 (18)記憶を取り戻す旅 ~最高のクリスマスプレゼント

 12月に入ってすぐ、僕は彼女(綾乃)にあることを提案する。提案するって言ってももう決めてしまったんだ。


「あのさ、今年のクリスマスは神戸に帰ろう。メリケンパークのオリエンタルホテルを予約した。それも23,24,25,26日の3泊4日。飛行機も取ったよ。」


「え?神戸?ホテルを3泊も?」


「うん。君と神戸でゆっくりしたくって・・・。いいでしょ、いまさらお父さんに許可をもらう必要はないよ。いろいろ周りたい所もあるしね・・・。」


「わかった・・・。楽しみにしておくね。」


彼女はすごく喜んで毎日のように指折り数えて旅行の日を心待ちにしていた。 何で神戸にしたかというと、響貴が僕と彼女の出会いからを話してくれたんだ。出会った場所、初デート、そして初キス・・・。そしてはじめてのお泊り旅行。だいたいわかることを響貴は教えてくれた。僕は彼女と入籍する前に少しでも記憶を戻そうと思い出の地と言われる所を辿ってみようと思ったんだ。きっと少しでも思い出すことがあるかもしれない。最近彼女の対する感情がよみがえっているような気がして、主治医の先生にあるきっかけから思い出すかもしれないといわれたんだ。だから僕はこの旅行を企画し、実行したんだ。もちろん彼女のためだけではない、自分のためでもある。


 僕たちは23日の一番の飛行機で伊丹空港に着き、リムジンバスで三宮に到着した。まずホテルに荷物を預け、初めて出会った高校に向かう。


「ねえ、雅和さん、どこに行くの?」


「いいからついてきて・・・。」


「ここって・・・高校よね・・・。」


「うんそうだよ。初めて出会ったのはどこ?」


彼女は僕を音楽室前の廊下の窓から、中庭を眺めさせた。そして彼女は中庭にいる。


「雅和さん、そこからここに降りてきてよ!」


僕は彼女に言われるまま中庭に降り、彼女の前に立つ。


「昔ね・・・丁度今頃だったかな・・・。あたしがねここに転校することになって学校見学に来た日に雅和さんがあの窓から楽譜を落としてしまってね、あたしがここで拾ってあげたの。そしたら雅和さんはあたしを見つめて微笑んでくれて、そして編入試験がんばってねって励ましてくれた。そしてきっと受かるよって・・・。覚えてない?」


「んん・・・・?」


なんとなくそんな事があったように思うんだけど・・・。


次は学校の体育館の裏・・・。ここで僕と彼女は初キスをしたらしい・・・。お互いの初キスを・・・。その後ここでお弁当を食べたとか、学食のこの席は指定席だったとか、いろいろ聞いた。でももうひとつ、ピンと来なかったんだ。


いつも手をつないで歩いた彼女の神戸の自宅までの道のり、そして彼女の神戸の自宅。 この日は高校周辺の思い出の場所を訪ねてみたんだ。


彼女はホテルの部屋できっと思い出すよって言ってくれて、微笑んでくれたんだ。 次の日はクリスマスイブ。この日は午前中、元町をぶらぶら歩く。ここでは僕がはじめて小さなビーズで出来た指輪を彼女にプレゼントしたところらしい。


「ルミナリエも二人でこの時期毎日いったんだよ・・・。もう終わっちゃって残念だけど・・・。」


「そう・・・あのルミナリエを二人で?次はどこ?」


「うんそうだね・・・。おなか空いたからハーバーランドへ行こうかな・・・。いい?雅和さん。」


「うんいいよ。何食べる?」


「昔よく響貴さんや堀川さんと行った店があるんだ・・・。そこでランチでいい?」


 僕たちはハーバーランドの海に面したテラスがあるイタ飯屋に入って、テラスで食事をする。


「ここでよく四人でいろいろ注文して取り分けして食べたんだよ。食べた後必ずあの遊園地の観覧車に乗って・・・・。」


このハーバーランドの南側には小さな遊園地がある。そこには小さい観覧車、メリーゴーランド、そして子供たちが喜びそうな遊具があるんだ。


モザイククリスマス
ちょうどテラスの前の波止場にはクルージングレストランコンチェルトが停泊していた。この船はクルージングしながら食事が楽しめるレストラン船。これにも乗った事があると彼女は言っていた。


ちょうど船上では結婚式をしていた。この時期にはちょっと寒いけれど、すごく幸せそうなカップルが船上でたくさんの招待客に祝福されていた。ああいいなと思いながら僕は言った。


「綾乃、僕らもコンチェルトで結婚式をしようか・・・。」


「え?雅和さん・・・・さっきあたしのこと何って言ったの?」


「なに?なにかいった?」


「さっきあたしのこと「綾乃」って・・・名前で・・・。」


「言ったかな??」


ホントに不意に出た言葉で、自分がなんていったのか覚えていない。もし彼女の名前を言ったのならば、もう少しかもしれない・・・。それとも自分がもう気づかないうちに思い出しているのかな・・・。

僕たちは食事を済ませて思い出の遊園地へ・・・。

綾乃神戸1
遊園地の手前にあるウエディングサロンに彼女は駆け寄って店の外からドレスを見つめていた。


「そういえばここでよくあたしね、立ち止まって眺めていたんだ。雅和さんったら真っ赤な顔して早くあっちに行こうって・・・。早くこんなの着たいな・・・。」


「この前三田祭できたじゃないか・・・。ドレス・・・。」


「あれはあれ・・・。今度は雅和さんのために着たいの。雅和さんのためだけにね・・・。」


「綾乃・・・。」


「え?」


確かに僕は彼女のことを綾乃って言った。なんだか頭の中が混乱してきて、気分が悪くなって座り込んでしまった。


「雅和さん、大丈夫?ホテルに戻る?それとも病院行く?まだ通院しているんだし・・。」


「じゃあ、ホテルに戻ろう・・・。悪いけどタクシーを止めてくれる。近いけど歩くのは無理かも・・・・。」


彼女は僕のために近距離を謝ってタクシーを拾ってくれた。なんとか部屋に戻って僕はベットに横になる。未だ頭の中が混乱して頭痛がする。


「やっぱり病院いこ?だめだよ無理しちゃ。まだ事故から半年も経っていないんだし・・・。」


「いやいい・・・寝たら直るかもしれない・・・。ちょっと薬を・・・。」


僕は彼女から薬をもらって飲んだ。落ち着いたのか、僕はいつの間にか眠っていた。眠っている間、彼女は主治医に相談してくれていたようだ。どれくらい眠ったんだろう・・・。朝になっていた。いつもよりもなぜだろう・・・。清々しい・・・。


「綾乃、おはよう・・・。ああよく寝た・・・。昨日はせっかくのイブなのに、何もしなかったね・・・。今日こそは毎年のようにどこかで食事をして・・・そうだプレゼントを買わないと。去年はワシントンでコートを買ってあげたよね、今年は何がほしい?」


彼女はこの僕を見てきょとんとしている。すると涙を流して僕に飛びついてくる。


「雅和さん!あたしのこと思い出してくれんたんだね!そう去年はワシントンで過ごして、コートを買ってくれた。毎年一緒に過ごして・・・・。」


「え?」


「雅和さん、じゃああたしは誰?詳しく言って・・・。」


「源綾乃19歳。慶應文学部2年。1月15日生まれA型。生まれたのは神戸で、育ったのは東京。そして海外生活をして神戸に東京。自宅は南麻布。お父さんは今市ヶ谷駐屯地で幕僚副長をしていて・・・・え?」


「記憶が・・・。戻ったんだよね・・・。」


「そうみたいだね・・・。」


「あたしにとって最高のクリスマスプレゼントよ。」


「そうだね。この僕にとってもね・・・。」


ホントに神戸にいたおかげかどうかはわからないけれど、僕のなくした記憶が戻ったんだ。綾乃はすごく喜んでずっと僕のことを離してくれなかった。


本当に神様はいるんだね・・・。粋なことをしてくれるんだから・・・。


僕は早速父さんに電話をした。父さんはとても喜んでくれて、以前からお願いしていた用件を承諾してくれた。




それはもちろん・・・入籍と結婚のこと・・・。後は綾乃のお父さんを説得するだけなんだ。

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