4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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どりーむ・くえすと (8)7人目の彼&旦那様、政界のサラブレッド・和気泰明と・・・・
「彩夏、久しぶりにモデルの仕事だよ。」

後期試験が無事おわり、春休みに入った2月最終週のはじめ。そういってマネージャーから電話が入った。

ホント久しぶり。モデルの仕事って・・・。

なんと来年春用の新作のウェディングドレスをたくさん着るんだって・・・。京都まで仕事って珍しいな・・・。京都か・・・。ああはじめて・・・ウェディングドレスを着るのって。

依頼主は京都で大手のウエディング総合企画会社。新作としてカタログに載せたいらしい・・・。めずらしく1泊2日のお仕事。旦那様に週末会えないのは辛いけど・・・。

実はテストや仕事でひと月ぐらい会っていないのよね・・・。元気にしてるかな・・・。まあメールのやり取りとかはしているから元気なんだろうけれど・・・。

私は指定された時間に品川駅の新幹線のホームに着いた。朝早い6時台の新幹線。9時前には京都に着く。いろいろメイクとかで時間がかかるって聞いたからね・・・。新郎役とかいるのかな・・・。もしかして私一人の撮影?

京都に着くと、依頼主の会社の人が迎えに来ていた。私はマネージャーとともに用意された車に乗る。2月末だから結構京都は冷える。でも今日は違ってなんだか小春日和・・・。この前まで雪が降っていたと聞いたのに、暖かい春のような陽気で・・・。

ロケ地は京都市の北山通り沿いにある小さな教会。結構お洒落で素敵なの。もちろん今日一日貸切。その一室を借りてヘアメイクをする。側には5点ほどの素敵なドレスとそれにあわせたブーケ。そして小物たち。手馴れたスタッフでテキパキと支度をする。ここに入る前にみた撮影隊は本格的なスチール写真撮影用の人たちで、きちんと挨拶をしたわ。

ホント久しぶりモデルのお仕事・・・。事前にサイズを報告してあったのか、ドレスのサイズはぴったりで、本当に結婚するみたい・・・。

4点までは教会前の素敵な庭で一人でいろいろポーズをつけて撮影・・・。道路に面しているためか、ギャラリーが増える。もちろん土曜日だもん。

(あれって、北野彩夏だよね・・・すごい仕事中???)
(超可愛い!)
(テレビで見るよりも細い!)

私はいろいろなポーズと表情で何枚も写真を撮った。カメラマンは「いいよいいよ!」って言ってくれて、スタッフもさすが元カリスマモデルという。

また私は控え室に入って最後の1着に着替えるんだけど、もうお昼を過ぎて、おなかすいたから、ひとまず休憩。ちょこっと軽食。おなかいっぱい食べたら体の線に出ちゃうから、少しおなかに入れておくだけ。終わったら食べたらいいしね・・・。

さあ仕切りなおし・・・。またメイクからはじめる。

「次は新郎もいるんですよ・・・。」

と、スタッフが微笑みながら私に言った。きっとどこかのモデルさんよね・・・。よくあるパターンだもの・・・。イケメン系の・・・。
最後は私のお気に入りのAラインの素敵なドレス・・・。清楚なんだけど、どこかのお姫様みたいな・・・。今回はベールもつける。本当に今から結婚するみたいな感じで・・・。次は教会内で撮影なんだって・・・。    

 私は支度が整い、撮影場所と新郎役の準備が整うまで控え室で待つ。

「北野さん、どうぞ!」

女性スタッフが私に声をかけ、スタッフに手を引かれながら、教会の十字架の前に向かう。やはり何でこのドレスを屋内で撮るのかわかったわ。だってドレスの後ろの裾が長いの。そしてベールも長い。私の後ろにはスタッフが数人付いて、すそがどこかに引っかからないかみているの。それほど長い立派なドレス・・・。

礼拝堂内に入ると、十字架の前で新郎役の人が立って十字架を眺めていた。モデルじゃないよね・・・。モデルのような8頭身じゃないもん・・・。もしかして一般公募の人?

すらっとしているけれど結構肩幅があって・・・・。あの後ろからみた感じ誰かに・・・ううんあの人がいるわけないもん・・・。だって今日は仕事だよって・・・。
すると私がバージンロードの中間に来たころ、その人は私のほうを振り返るの。

「わ、和気さん????」

そう相手は私の旦那様、和気さんだった・・・。そういえば旦那様はダイエットしているって言ってた。すごく痩せて以前に比べてかっこよくなっている。

旦那様は私の顔を見て微笑んだ。私も旦那様の顔を見て微笑み、私は旦那様のもとに歩き出した。旦那様も私のほうへ来ると、私を抱きしめてくれた。

「驚いた?彩子。」
「和気さん・・・。すごく痩せて・・・。」
「うん、10キロ落とした。彩子、すごくきれいだよ。良かった似合って・・・。さ、おいで・・・。」

旦那様は私の手を引いて十字架の前へ・・・。後ろを見てみると、旦那様のお父さん、お母さん、お兄さんお姉さん弟。そしてうちのパパ、お姉ちゃん夫婦、そして二階堂さんが立っていた。

「撮影のついでに挙式も出来ることになったんだよ・・・。」

そういうと、旦那様は私の手を腕にかけて、一緒に十字架の前に立った。そして挙式が始まった。神父に誘導され、聖歌や誓いの言葉、旦那様が用意してくれてたんだろう結婚指輪。旦那様は私の薬指に結婚指輪をはめてくれ、私も旦那様の指にはめる。そして私は少ししゃがんで旦那様がベールを上げて誓いのキス・・・。これは模擬結婚式じゃない。私と旦那様の本当の結婚式なんだ・・・・。

もちろん式最中はプロのカメラマンが何枚も撮ってくれている。式が終わり、祭壇の前で、撮影・・・。いろんな表情で・・・。旦那様はとても緊張していたけれど、私の笑顔を見て緊張がほぐれたのか、微笑んで私の顔をみた。これってモデル用の撮影?それとも・・・。

祭壇前の撮影を終えると、私たち2人は礼拝堂を出てごく身内の人からのライスシャワーを浴び、祝福されるの。そして身内だけ教会前で記念撮影・・・。本当に仕事半分挙式半分で、嬉しかった・・・。やっと旦那様と正式に結婚できたんだもの・・・。

私たちは嬉しさのあまり、人目を気にせずにキス。もちろん前の道を行き交う通行人は足を止め、私たちのことを見て驚く。

「もういいんだよ、公にして・・・。」

って旦那様が言ったの。

「え?」
「事務所、そして就職先のテレビ局、スポンサーから許可が出た。もう公にして、堂々と二人で過ごそう。もうこそこそ過ごすのはごめんだ。いいね、公にして・・・。」
「うん!」

あたしは旦那様に抱きつき、私からキス。

身内のみんなは本当に微笑んで私たちを祝福してくれた。もちろん沿道の見知らぬ通行人たちも・・・。祝福の大きな拍手に包まれて、私たちは正式に夫婦になった。ああこれからは旦那様の正式な妻としている事が出来る。そして堂々と和気彩子として就職できるんだ。嬉しくてたまんないよ・・・。

ありがとう旦那様、そして祝福してくれたみんな。私は幸せになるんだから・・・。
ホント旦那様っていい人だね。だってこうしてサプライズ挙式をしてくれるんだもの。旦那様らしいわ。

次の日私たちの結婚が公になった。もちろん幸せそうな写真が世の中に出回る。噂されていた私たちの突然結婚に世間は驚いたの。

左薬指の指輪を見せての結婚記者会見はなかったけれど、これでいいのよ。公にさえなれば。

私はアナウンサー、彼は代議士・・・。どんな夫婦生活になるかわからないけれど、きっと周りがうらやむような仲睦まじい夫婦になるんだ。

約束よ、旦那様。

(完)
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どりーむ・くえすと (7)日曜朝の戦隊モノアイドル・須藤脩登(すどうしゅうと)
今日は日曜日・・・。旦那様も休みなんだよね・・・。

 ふと早く起きてしまったからテレビをつけるの。朝7時半か・・・。ちょっと早いな・・・。と思いつつ、チャンネルを変えていくの。私が内々定をもらって断ったテレビA。朝は子供向けの番組ばかりしているのよね・・・。戦隊モノって子供にも人気なんだけど、その母親が出てくる俳優のファンになるってケースがあるんだって・・・。子供よりも母親のほうが熱心になっちゃて、最近の戦隊モノはちょっと大人向けな構成・・・。ドラマ調なのよね・・・。きっと母親世代を意識して作ってるわね・・・・。

 初めてじっくりとこういうものを見てしまった。フムフム主人公は5人なのね・・・。やっぱりかっこいい人ばっかり使ってるし・・・。ママ世代がはまるのもわかるよねって思ったの。

 すると一人のリーダー格の男に目が行くの。この人って・・・・。私は新聞欄の出演者を見てみた。

『須藤脩登』やっぱりね・・・。

この人は6番目の元彼。現在25歳。

昨日会った高島巧と別れた後すぐに付き合った人で、一昨年の12月まで付き合っていたの。今の旦那様と出会う直前までね・・・。

この人は元モデルで、モデル時代は同じ事務所だったの。私は大学入学と同時に今の事務所の大阪支部から本部に移ってきて、この人と出会ったの。ちょくちょく一緒にモデルのお仕事をしていたのよね・・・。そして仲良くなって、高島巧と別れたと聞いたこの人は私にアタックしてきたわけ。

その時の私は、ちょっと男性不信だったのよね・・・。散々な嘘と浮気をされたわけだから・・・。その時に相談にのってくれていた人がこの人で・・・。そういうパターンで付き合うってこと多いでしょ。私は彼のやさしさに惹かれて付き合っちゃったのよ。

まあそのやさしさは上辺だけだったってあとから気づいたけどね・・・。

結局私は彼のお飾りだったのよ。あの人はただのナルシスト。自分を引き立たせるために私を利用したのよね・・・。1年ちょっと付き合ってた私も馬鹿だけど・・・。 

結局彼はほかの事務所に引き抜かれちゃって、モデルから俳優に転向。もともと俳優をやりたいといってたからいいんじゃないの?

引き抜いた事務所は私の事務所のライバルプロダクション。もちろん事務所は付き合いを知って反対されたわよ。

でも違う目線で見たら彼が私を本当に好きじゃないってわかったのよね。私を愛してたんじゃなくって、自分を愛してたのよ。そして私は彼の欲求を満たすための道具だったってこと・・・。

それに早く気が付いてよかったわよ。即効彼を振ってやったわよ。深く傷つく前にね・・・。彼の別れの言葉にはむかついたわよ。

「あ、そう?」

だもん。

あれほど私に好きだよって言ったのは嘘で、私に言ってたんじゃなくって自分自身に言ってたのよね。

ああ今考えただけでもむかつくわよ・・・。

私は速攻テレビのチャンネルを変えたの。

「彩子、えらい起きるの早いなあ・・・。」

あ、旦那様が起きて来たのね・・・。

「さっき見ていた子供番組・・・。」
「何?」
「出てたよね・・・・。須藤脩登。彩子の元彼・・・。」

また???何で知ってるのよ。うちの旦那様・・・。

「隠さなくってええよ・・・。ほとんどのこと知っているんや・・・。すまんな、勝手に調べて。」
「和気さん、何で?」
「ちょっと気になってな・・・。ある筋に調べさせたんや。でもな、彩子がもう元彼のこと何も思ってないことわかったからええんや。こうして俺の側にいてくれるんやし。俺の愛にちゃんと答えてくれるしな・・・。過去は過去や。過去はもう消されへん。ええ思い出もよくない思い出も、誰でもあることやし、俺はもう気にせえへんことにしたんや。今こうして側にいてくれるだけでええんやから。今が大事やろ。」
「和気さん・・・。」

なんて心の広い旦那様なんだろう・・・。
私は改めて旦那様をもっともっと好きになっちゃいました。

そのあと私たちは朝からイチャイチャ。久しぶりの夫婦生活を・・・。

でもちょっと待って?旦那様の一言・・・。

「散々調べても出てこんのが一人・・・。彩子の4番目って誰やろ・・・。俺よりも長くつきあっとるのに存在が出てこえへんのや。悔しいな・・・彩子の青春の一番いいとこもっていった男って誰やろな・・・。」
「まあ、気にしないで。もう過去のこと気にしないって言ったところでしょ。」
「そ、そうやったな・・・すまん。」
「4番目の人は、とても真面目で素敵な人だったけれど、和気さんのほうが素敵だし、大好きだよ。」

多分このことを調べたのは二階堂さんなんだろうな・・・。きっと二階堂さんはバレたくないからごまかしているに違いないわ。
 私と旦那様はますます絆が深まったのよね。 
でもいつになったら私達の関係を公に出来るのかしら?

どりーむ・くえすと (6)5人目の男、六本木ヒルズの住人・IT社長 高島巧
「ねえ、彩夏ちゃん、お願いがあるんだけど・・・。」

ってモデル友達の凛ちゃんに声をかけられた。

「何々???」

まあこの子のお願いって大体いつも同じ・・・。

「あのね、彼氏が新年パーティーをするんだけど、女の子の人数が足りないんだ。来てくれないかな。」

やっぱりね・・・。この子はいつも私にお願いするのは合コンかパーティーの人数合わせ。まだ私はモデル仲間にさえ結婚していることを報告していないから、(だって誰からバレるかわからないよね・・・芸能界ってそんなところよ・・・。)気軽にお願いされる。

「彩夏ちゃんが来てくれるとみんな喜ぶのよ。だからお願い・・・。彼氏いるのは知ってるわよ。」

知っているのなら誘わないで欲しいわよ。きっと旦那様は行っちゃだめって言うんだろうな・・・。

「凛ちゃん。返事ちょっと待ってくれる?」
「どれくらい?明日の夜なのよ。」
「え~~~~!!」

私はすぐ旦那様にメールを入れたの。今は通常国会前の準備で忙しいからきっと返事は遅くなるんだろうな・・・。するとすぐに返事が返ってくる。

『行けば?明日は丁度党の新年会が入っているからね・・・。時間と場所教えてくれる?出来るだけ早く帰って来いよ。ちょっと心配・・・。』
『お言葉に甘えて行ってきます。場所は六本木ヒルズ。時間は18時からなの。終わったら電話するから、迎えに来てくれると嬉しいな・・・。でないと誰かに送ってもらうかもよ^^』

なんてちょっとからかってみた。やっぱり焦ったようにすぐに返事がくるんだ。わかったわかったって・・・。一度二人の仲を書かれたことあるし、結婚さえばれなかったらいいかなって思ったの・・・。また会いたい病が・・・。

 次の日私はお気に入りのパーティードレスを着て、凛ちゃんと待ち合わせして六本木ヒルズへ・・・。

 凛ちゃんの彼氏は今ときめくIT企業の社長さん。それも大手の・・・。

今日のパーティーはIT企業の社長さんの集まりらしくって、総勢10人強。見たことあるIT企業の社長さんばかり。中にはもちろん既婚者もいるのよね・・・。女の子たちは皆モデルとか芸能人の女の子ばっかり。それも皆華やか系の・・・。

「貴史さん、彩夏ちゃん連れてきたよ。」

すると凛ちゃんの彼氏が私を迎えてくれた。凛ちゃんは彼氏の腕に手を通し、パーティーが行われているリビングへ・・・。こういうパーティーは初めてじゃないけどね・・・。IT社長ってどうしてタレント好きなんだろう。

参加者最後の私がリビングに入ると、いろいろな社長さんが名刺片手に挨拶に来るの。

「北野さん、やっぱり可愛いなあ・・・。」
「今度俺のポルシェでデートしない?」
「おいしいレストラン見つけたんだけど、今度食事しない?」

ああいつものように・・・これをあしらうのは面倒なのよね・・・。するとぽつんと窓の外を見つめている男の人・・・。私はその人を見つめる。

(何であの人一人なのかな・・・。)

「どうしたの?彩夏ちゃん。あ、あの人?あの人最近伸びてきた会社の社長さんよ。独自のシステムを開発してね、近いうちに株式上場するって聞いたけど?確か高島巧さん。」

(高島巧???)

凛ちゃんは高島巧の手を引いてこっちに連れてくる。

「高島さん、この子、北野彩夏ちゃんよ。今をときめくCMタレントの・・・。」
「知ってるよ・・・。俺のモトカノだから・・・。」

一同は高島さんの発言に驚く。

 そうこの人は私の5人目の元彼。東大の先輩で、3歳年上。東大在学中にIT関連の会社を興して5年目かな・・・。24歳の若きIT社長ってことね・・・。1年の時に声をかけられて、なんとなく付き合っていた人。結局半年で彼が浮気してこっちから振ってやったのよ。

何かにつけて嘘ばっかりの人で、うんざり・・・。何度デートをすっぽかされたことか・・・。信用できないわよこの人は・・・。それでよく会社の社長をしているわよね・・・。ま、私と付き合うようになってから、会社が上手くいったのは確かで、上手くいったからこそ、浮気をするようになったのよね。嘘をつくようになったのもその頃からかな・・・。

パーティー中、彼はいろいろな社長さんと話をしていたのよね。そして時折私を見て微笑む。私は別に人数あわせに来ただけだから、つまんなくって、これなら参加しなかったほうがよかったかなって・・・。旦那様と食事に行ったほうがましだったかな・・・。党の新年会は夕方までだから、きっともう帰っているよね・・・。相当飲んでいるのかな・・・。迎えに来てっていわなかったらよかったかな・・・。六本木ヒルズからタクシー拾って帰っても家までそんなにかからないしね・・・。

すると私の側に彼がやってきてそっと肩を抱くの。

「彩ちゃん、なんだかつまんなそうだね。よかったらうちに来て飲みなおさない?うちはこの部屋の下だから・・・。いいだろ。」

私は彼の手を降りはらって言ったの。

「いかない。」
「まだ怒ってるの?もう過去のことじゃないか・・・。」
「あんたみたいな最低な男!」

すると無理やり抱きしめられてディープキス!!!私は思いっきり彼をひっぱたいたわ。

「何するの!!!」
「いいじゃないか、減るものじゃあるまいし・・・。ホント以前よりもきれいになって、惚れ直したんだよ。その気が強いところも好きなんだよね・・・。」
「私帰る!」

私は彼を突き飛ばして玄関へ・・・。

「例の男のところへ行くの?代議士かなんか知らないけどさ、あんなさえない男・・・。彩ちゃんには似合わないよ。」

私が一番腹立つこといったわね!旦那様の悪口言われる事が一番腹が立つ!!!

「和気さんはね、さえない男なんかじゃないの!!やさしいし、誠実で、嘘なんかつかない!めがねかけているからさえない様に見えるけど、取ったら結構いい男よ!!あんたなんて最低!裏では悪いことやっているくせに!」

そうよ私知っているんだから。最近開発したといわれるシステムだって、お金で買ったものなんだから・・・。裏では詐欺まがいのこともしているって噂よ。

 私はコートを着てそのまま帰ることにしたの。そして私は旦那様に連絡を入れようとしたんだけど、マンションの玄関口に旦那様が立っていたの。こんな寒い日なのに・・・。

ホント旦那様はめがねを取ると別人。知らない人が見ると代議士和気泰明だってわからないんだから・・・。

「和気さん!!!」

私は旦那様の胸に飛び込んだ。すると追いかけてきた彼と旦那様は鉢合わせ。

数分の沈黙が続いたあと、旦那様が話したの。

「君は高島巧さんだね。いろいろ調べさせていただきました。遅れましたが、私は彩子の夫、和気泰明と申します。」
「お、夫???」
「はい。これ以上彩子にちょっかいを出さないでくれませんか?彩子は私の大事な妻です。」
「彩ちゃん・・・結婚してたの???」

え???

旦那様ったら・・・なんで私の元彼を知っているの???この前もそう・・・教えてもいないのに上杉友哉の名前が出てきたし・・・。どこまで知っているの???

私は信じられなさそうな彼の顔を見て言ってやったの。

「そうよ!和気さんは私の大事な旦那様なんだから!!!」

彼はあっけらかんとしていたわよ。すると旦那様が・・・。

「高島さん、私と取引しませんか?丁度あなたの会社の資料が先ほど私の手元に入りましてね・・・。拝見させていただいたのですが・・・。結構悪いことしていますね・・・。私はこれでも弁護士の資格をもっていますので・・・。」
「な、なんだよ!!!取引って・・・。」
「いやあ、簡単なことです。私と彩子が結婚していることを口外しないで欲しいだけです。それと、もう彩子のことを忘れてください。」

彼はうなずいて取引内容を飲んだのよね・・・。

旦那様と私はタクシーで議員宿舎へ帰ったの。私は今夜旦那様の宿舎に泊まる事になった。私と旦那様は同じベッドの中でさっきの続きを話したの。

「悪いことって何?」
「ああ、あれね。ちょっと試してみたんだよ。あの焦り具合からわかるだろ。本当に悪いことしているよ、あいつは・・・。前あったでしょ。大手のIT企業がやってたこと。あれと同じことだよ。それと、出資法違反かな・・・。いずれ表に出ると思うよ。裏ではいろいろ調べているって聞いたからね・・・。」

旦那様は笑ってたのよね・・・。でもなんで私の元彼知っているの?聞こうとする前に、旦那様は私の横でもう寝てたのよね・・・。せっかく一緒に寝てるのに、キスひとつしないで・・・。

でも旦那様が助けてくれてよかった・・・。
ゆっくり眠れるわね・・・。

どりーむ・くえすと (5)新人賞総ナメ!お笑いタレント・徳島拓斗
 前日、2番目の元彼、JRA若手トップジョッキー竹下悠と7年ぶりの再会をして、旦那様はとても機嫌が悪い。

ホント去年の12月から私は元彼に出会ってしまう。はじめは一人目の元彼、現在プロ野球選手の上杉さんから始まり4番目の彼だった現在旦那さまの私設秘書をしている二階堂さん。そして昨日の悠君・・・。このままだったら3人目、5人目、6人目まで出てきてしまう。

和気さんは7人目の彼・・・そして旦那様・・・。

今日はMBSラジオで深夜番組の収録。私は大阪梅田にマネージャーと集合して、梅田茶屋町にあるMBSへ・・・。

ああここって私が入社試験受けたところよね・・・。結局最終選考で落とされたけれど・・・。

まず収録前に打ち合わせ。MCのタレントさんと、台本見ながら流れを確認していく。実は初めてのラジオ出演なんだよね・・・。打ち合わせをしていると、あるゲストが遅れて入ってくる。

「すんません!前の営業が押してしまって・・・。」
「遅い!あれ?片割れは?」
「まだ移動中なんで、本番までには・・・。」

私は声のするほうを振り返ったの。なんとそこにいるのは3番目の元彼、徳島君。

「あ~~~彩ちゃんやろ?覚えてる?俺のこと。高1の時つきあっとった徳島拓斗や。」

そう、私はこの男と付き合っていたというか・・・。強引に連れまわされてたというほうが近いかも・・・。

出会いは予備校通いの電車の中。初めて予備校に通う時に阪神電車の中で痴漢にあってこの徳島拓斗が助けてくれた。そして彼も同じ予備校。クラスは違ったけれど、その事が縁で付き合い始めたって言うか・・・。まあ強引って言うか・・・。

「助けてやったんやから付き合え!」とか言ってね・・・。

かっこよくて面白かったって言う印象しかない。夢は吉本に入るって言ってたな・・・。

付き合ったのは二階堂さんと付き合う直前までで、やはり強引さにつかれたって言うか、束縛がひどくって・・・逃げたって言うか・・・。あまり良い印象がないこの男は・・・。
打ち合わせが終わって、収録前の休憩。拓斗くんは私にコーヒーを買ってきてくれて、昔の話をする。

「ほんま、北野彩夏が売れ出した時はびっくりしたわあ・・・。あ、彩ちゃんって思って・・・。」
「そう・・・。」
「あの時はごめんな・・・。いろいろ迷惑かけて・・・。あの頃は若かったからな・・・。彩ちゃんがほかの男としゃべったりしてるのが許せんかったんや。独り占めしたかったって言うのかな・・・。ホンマ短い4ヶ月やったけど、たのしかったんやで・・・。」

風の噂で、拓斗くんは関西大学に受かってすぐに吉本の養成所に入ってデビューして、去年の漫才の新人部門を総ナメにした、「ブラックボックス」っていう漫才コンビの片割れ。イケメンとブサイク男が面白い漫才をするってことで人気があるんだって・・・。

「ホンマなん。新しい彼は代議士やって?もしガセやったら、この俺ともう一度付き合わんかな・・・。」

そういえば、年末に一部スポーツ誌に旦那様が私を家まで送ってくれた時、車に乗った私達を激写されてしまって、「北野彩夏の新恋人は代議士W氏」と書かれたのよね・・・。事務所が何とかして立ち消えになったんだけど・・・。

「ガセじゃないよ・・・。ホントなの・・・。」
「そうか・・・。幸せか?」
「うん・・・。」
「ところでどこの局に内定もらった?」
「フジだよ。」
「じゃ、また会えるかも知れんな。春から俺、東京進出で、フジ中心でレギュラー番組もらったから・・・。」
「そう・・・。」

拓斗くんは私の手を握り締めていうの。

「ホンマ友達からでいいんや。お願いやから、やり直してくれへんかな・・・。まだ彩ちゃんが大好きなんや・・・・。」
「友達ならいいけど、それ以上は絶対無理だから・・・。ごめんね・・・。」
「そうだよな・・・。今いい人いるんだもんな・・・。いいよ友達で。メルアド教えてよ・・・。」
「彼に怒られるから教えないよ。ブログのほうに遊びに来てよ・・・。」

私たちは何もなかったようにラジオ番組を収録した。そして手を振って別れる・・・。

7年も経つと人格変わったね・・・。結構芸人になるのに苦労したのかな・・・・。

これからも大活躍するのを見守っています。

どりーむ・くえすと (4)2番目の彼、白馬の王子様・竹下悠
 年明け早々、私は京都競馬場にいる。もちろん仕事よ。今年1年のJRAのイメージキャラの1人になったもんだから、今年初の京都金杯というレースの表彰式に出ることになっているの。表彰式はメインレースのあとだから、お昼に会場入りして、振袖に着替えて控え室に待っているのよね・・・。

今日私が京都競馬場に来ていることを知っているファンが詰め掛けているらしいわ・・・。競馬はあまり興味はないんだけど、アナウンサーになったらこういう関係のお仕事もするかもしれないでしょ。これもひとつの勉強かな・・・・。

レース内容が書かれたものをペラペラめくる。そしてある名前に目が行くの。

『竹下 悠』

若手トップジョッキーで、22歳のイケメン。第二の武豊なんて言われ、女性ファンも多い。そして彼は私の2番目の元彼だったりする。

彼と出会った(つきあった)のは中学2年の夏。悠君は同じ学校のひとつ年上で、関西で有名な乗馬クラブの次男。はじめの印象はああ小さな先輩・・・。私の身長は165センチだから、私よりも5センチ低い160センチ。乗馬部の部長さんで、いろいろな賞をもらっていた。それなのになぜか希望進路はJRAの競馬学校騎手課程。

悠君は毎日私を校門で待ち伏せて、しつこいくらい付き合おう付き合おうって言うから、しょうがなく付き合った感じの彼。顔がよくって、乗馬している姿はまるで王子様のようで、結構女の子たちには人気があったんだけど・・・。馬から下りるとホントに小さくてイメージが・・・。手をつないでデートしたくらいの関係・・・。でもなんだかんだ言って悠君が競馬学校に入学するまで一緒にいたかな・・・。遠距離恋愛が嫌で別れたんだけど・・・・。

 まったく知らなかったんだけど、旦那様である和気さんのお父さんって馬主さんやってるのね・・・。(すごいお金持ちなんだあ・・・関西で一番の医者一家だから?)

 今日のメインレースの一番人気。冠名は『ワキノ』。ゼッケンナンバー7番ワキノカミカゼ・・・。鞍上は竹下悠。パドックの映像に和気さんのお父さんがいて驚いちゃった・・・。すごくきれいな芦毛の馬。和気さんちの勝負服を着た悠君が入ってきて、ワキノカミカゼに騎乗する。

話によると悠君は旦那様のお父さんのお気に入りらしくって、ほとんどの持ち馬に乗せているらしい。去年の2歳の牝馬GⅠレースにも出走して見事無敗優勝。今年のクラシックレースの注目馬に挙がっているワキノヒメギミ。もちろん鞍上は悠君で、お父さんの馬。悠君のGⅠ勝ち鞍数のほとんどはお父さんの馬らしいの。へ~~~。

 レースが始まって、やっぱり断トツ人気のワキノカミカゼがレースを引っ張って敵無しって感じの6馬身差の圧勝・・・。そして私はそろそろ準備をする。そこで旦那様のお父さんと久しぶりに会った。お父さんはジャケットに馬主のリボンをつけてもらっていた。もちろんお互い声をかけることが出来ないので、目で挨拶。もちろん悠君は私の姿を見て何か言いたげな顔・・・。

表彰式が始まる。私は馬主、騎手、厩務員、調教師などの人に花束を渡す役目。放送で私の名前を呼ばれると、場内は大歓声ですごい数のフラッシュ。私は馬主の和気さんのお父さんから順番に花束を渡していった。お父さんは私に微笑んでくれた。もちろん私はお父さんのお気に入りだし・・・。(唯一ご家族の中で理解してくださっているの・・・。)そして騎手の悠君に渡す。

悠君は私に向かって何か言ったの。歓声で聞こえなかったけれど確かに口の動きからして・・・。

『この後会えるかな・・・。』

私は聞こえていないふりをして知らん振りしたけれど・・・。表彰式のあと、ワキノカミカゼと共にみんなで記念撮影・・・。このあとの最終レースに騎乗しない悠君まで入って、それも私の横に立つ。そして私の顔を見て満面の笑みで見つめるの・・・。

記念撮影が終わる。今日は旦那様と会うことになっている。ホントに嬉しい・・・。

「お疲れ様でした。」

そういうと私は控え室で着替えて北野彩夏から和気彩子に戻る。旦那さまは二階堂さんの運転する車で京都競馬場の関係者駐車場で待ち合わせをしているの。旦那様はわざわざ地元で会合があったのにも関わらず、ここまで迎えに来てくれた。(運転しているのは二階堂さんだけど・・・。)もう出るよって電話していたからか、出口に横付けしてくれていて、二階堂さんが私のためにドアを開けてくれた。ドアの奥には旦那様の微笑んだ顔が見える。

「彩ちゃん!」

車に乗り込もうとする私を呼び止める声。もちろんドアを開けている二階堂さんや車の運転席後ろに座っている旦那様はその声の主のほうを見るの。声の主は竹下悠。急いで私を追ってきたのか、息を切らしながら、私の前に立つ。そして息を整えると、この私に言うの。

「彩ちゃん、こっちにいつまでいるの?明日にでも会える?もしだめなら、僕が関東遠征のときに会えるかな・・・。」

旦那様は身を乗り出して私の手を引き、車に乗せる。二階堂さんは車のドアを閉め、運転席に座る。

「二階堂、行ってくれ・・・。」
「はい・・・。」

車が静かに走り出す。悠君は唖然として旦那様の車を見つめていたの。旦那様は不機嫌な顔で何も言わないまま京都方面に向かう。

「どこに行くの?」
「父さん主催の祝勝会・・・。ま、馬関係の新年会も兼ねているけど・・・。」
「そう・・・。この格好でいいのかな・・・。」
「いいんじゃない?公式じゃないからね・・・。ま、母さんは来てないから安心して。」

旦那様は会場に着くまで何にもしゃべらなかった・・・。待ち合わせの時間までちょっと時間をつぶしたりなんかした。

会場は京都市内の某料亭・・・。お座敷に通されると、20人くらいのお客さん。さっき会った調教師さんや、厩務員、調教助手、そして・・・。私は悠君と目が合う。旦那様は私と悠君の目が合ったことに気がついたのか、私を引き寄せて肩を抱くの。

「おお、泰明、遅いぞ!さ、座りなさい。彩子さんも・・・。」

お父さんはもうすでにお酒が入っているのか、ご機嫌な様子。旦那様は立ち上がると、名刺を取り出し、一人一人に挨拶をしていく。そして最後に悠君のところへ・・・。

「はじめまして、私は衆議院議員の和気泰明です。いつも父の馬に乗ってくれて・・・大活躍らしいね・・・。」
「はじめまして、竹下悠です・・・。」
「私の妻とお友達みたいだね・・・。」
「え?」

旦那様は立ち上がって祐君の側を離れると、私の隣に座りなおす。和気さんのお父さんは私を紹介するの。

「この子はね、うちの次男の嫁なんですよ。まだ公にしていないから、ここだけの話ですよ。ま、今日ご覧のとおり、北野彩夏としてがんばっているんだけど。」

招待客はみんな驚いていたんだけど、悠君以外はみんな私たちを祝福してくれた。悠君は不機嫌そうな顔をして黙々と食べている。相変わらず、旦那様は悠君をにらみつけたりなんかして・・・。

帰りの車の中で、旦那様は私にこう言ったの。

「あの竹下悠って言う騎手、彩子の何?普通の友達じゃなさそうだけど・・・。」

私は旦那様の顔を見ながら、考え込んだ。

「あのね和気さん、あの人は私の中学の一年先輩で・・・・。あのその・・・。」
「付き合っていたってこと?西武の上杉みたいに?」
「うん、2番目の元彼・・・。今日久しぶりに会ったの・・・・。ほんとよ・・・。」
「そう・・・あと何人元彼が出てくるんや?」
「・・・。」

旦那様は上杉君のことも知ってたんだ・・・。私は黙り込んでしまった。ホントになんとも思っていないし・・・。あっちが勝手に想っているだけ・・・。ホントに辛い・・・。4人目の元彼二階堂さんが目の前にいるし、今の旦那様の和気さんがいるんだもん。

「和気、やめとけ。奥さんがかわいそうやろ。聞かれたくないこと聞くな。お前はそんな嫉妬深いやつやとは思わんかった。」
「別に嫉妬深いわけじゃない。気になるだけや。特に彩子の初めてのやつはどんなやつやったか・・・。」

私と二階堂さんは一瞬焦ってしまったの。私の初体験の相手はここにいる二階堂さんな訳で・・・。
ホント重苦しい車内だった・・・。
ああ誰か助けて・・・。

ホント去年から今年にかけて厄年かしら・・・。

それとも大殺界?

どりーむ・くえすと (3)4番目の彼、驚きの再会・二階堂正輝
 ある日、私は旦那様が暮らす議員宿舎にいた。別に用事はなかったんだけど、なんとなく会いたくなってタクシー飛ばしてやってきたの。ここの宿舎は地下駐車場ってモノがあるからいいよね・・・。いつもここに来る時はタクシーを地下駐車場の出入り口まで入れてもらってそのままエレベーターで旦那様の住む10階まで誰にも会わずにいけるって訳。プライバシー守られているからいいわ。普通なら警備員に止められるかも知れないけど、旦那様が何とかしてくれているんだと思う。この10階は同じ与党代議士さんで、旦那様と仲のいい人ばかりだから、みんな私と旦那様の関係を知っているのよね。だから私は赤坂議員宿舎の中に入って10階までたどり着くと安心。

 合鍵を使って中に入るの。今日は旦那様がお休みだから、朝に来たのよ。旦那様を起こして一緒にブランチ。旦那様はおいしいおいしいって食べてくれる。これが私の唯一の安らぎかもしれない。

 すると昼過ぎにお客様。私は出る事が出来ないでしょ。だから旦那様が出たの。

「和気、例のものを・・・。」
「あ、ありがとう。まあ上がれよ。お茶でも飲んでけ。」

するとスーツ姿の荷物をいっぱいかかえた男の人が入ってきた。

「二階堂、今日はうちの嫁さん来てるんや。前言ったやろ、入籍したって・・・。」

その男は荷物を旦那様の執務室においてこっちに戻ってきた。ああ、なんかみたことある顔・・・。


「彩子、この人はね、俺の中学からの友人で、地元で秘書をしてくれているんや。今臨時国会で忙しいからな、手伝いに来てもらってるんやで。名前は二階堂正輝。これからいろいろ世話になる事があると思うからよう覚えとき。」

 やっぱりこの人って私が高校1年の夏から2年半付き合ってた人だわ・・・。もちろん彼は私の顔を見るなり驚いて固まっていた。

「始めまして奥様。二階堂と申します。和気からいろいろ惚気話を聞いていますよ。よろしく。」

彼は初対面のふりをして私に挨拶をしてきた。もちろん私も同じように初対面のふりをしてご挨拶。

 ああなんで最近立て続けに元彼に会ってしまうんだろう・・・。それもこの人、旦那様の私設秘書でしょ。旦那様が議員を辞めない限りそして彼が秘書を辞めない限り雇い主の妻として付き合わないといけないんだよね・・・。

 実はこの人、私のはじめての人なの。それまではキス以外をしていなかった。4番目の6歳年上の元彼氏。本気で付き合った人。

 出会いは高1の春。私は大阪にある予備校に通っていたの。そこでチューターって言う予備校生の相談にのったり雑用をしたりするバイトをしていた彼。そして私のクラス「東大、京大、阪大クラス」の担当だったの。いろいろ相談しているうちに仲良くなってしまって、夏休みの大阪でも有名な平成淀川花火大会。一緒にいく約束をしたの。私はとびっきりの浴衣を着て、うっすら化粧。待ち合わせの阪急十三駅で彼に会い、迷子にならないように手をつないで会場へ・・・。きれいな花火を眺めながら、時折彼と目が合ったりなんかして・・・。花火が終わった帰り道、彼が話があるって言うから横道にそれて話をしたの。

「え?二階堂さん、予備校辞めちゃうの?」
「ああ、4年なのにまだ就職決まってないし、大学院にでも行こうと思っているからね・・・。勉強しないと・・・。」
「やだよ・・・。さみしいな・・・。」

彼は私をぎゅっと抱きしめて、キスを・・・。

「源さん、いや彩ちゃん。この俺でよければ付き合ってくれないかな・・・。彩ちゃんの側にいたいんだ・・・。」

私は彼が大好きだったから、うなずいて付き合うことになったの。

 当時彼は大学近くで一人暮らし・・・。京都から通える距離だったけれど、朝起きるのが苦手らしくって一人暮らししていたらしいの。週末は彼の部屋に行って、勉強をみてくれていたの。そして付き合って初めてのクリスマスイブ・・・。デートのあと、彼の部屋でひとつのケーキをつついて食べていた。彼は私の唇についたケーキの生クリームをなめたのよ。そしてそのまま私をそっと押し倒して、キスを・・・・。

「二階堂さん???」
「彩ちゃん、どういうことかわかるよね・・・。もう付き合って4ヶ月だし・・・。」

私は黙ったまま、彼を初めて受け入れたの・・・。これが私の初体験。私はそのあと泣いてしまって、彼はそのままの姿で私を抱きしめて何度も謝ってくれたの。

「ごめんな・・・。半分無理やりみたいなものだったな・・・。」
「ううん・・・いい・・。だって6歳も年上の二階堂さんとつきあっているんだもん。こういうのは当たり前だよね・・・。」
「家まで送るよ・・・。次はいつ会える?」
「・・・。」

私はそれ以上何も言わなかったの。彼は車で神戸の実家まで送ってくれた・・・。

 なんだかんだ言って3年近く付き合って、彼が大学院卒業、私が高校卒業と同時に別れてしまったの。まあ理由は私が東大に合格して、遠距離恋愛になってしまったことと、彼は結局就職が決まらないで、京都の実家に戻ってしまったから。

 ホントいがみ合った別れじゃなかったのよね・・・。嫌な思い出のなかった唯一の元彼・・・。もし旦那様より先に再会していたら、この人と結婚していたかもしれない。それほど好きな人だったのよね・・・。

 旦那様は所用で家を出たの。私は彼と2人きりになった。

「彩ちゃん、元気だった?」
「うん・・・二階堂さんは?」
「元気だったよ。彩ちゃんが和気の奥さんだったなんて・・・。」
「私だって和気さんの私設秘書が二階堂さんだったなんて・・・。」
「不思議な縁だね・・・。俺のこと忘れたかなって思ったよ・・・。」
「忘れるわけないよ・・・。私の初めての人なんだもん。一番長く付き合った人なんだし・・・。」
「でももう俺のことなんとも思っていないんだろ?」
「そんなことないよ。私にとって二番目に大切な人だよ。」
「一番目は和気ってことか・・・。」
「うん・・・。」
「じゃあ俺、彩ちゃんをキャンセル待ちしていいかな?」

彼の言葉に一瞬ドキッとしたんだけど、今は旦那様が一番好き・・・。一番大事。

「もうキャンセルできないの。和気さんと彩子は・・・。だからキャンセル待ちは受け付けてないんだよ。」

私は苦笑して彼を見つめたの・・・。

「キャンセル待ち不可か・・・残念だな・・・。」

それ以上の話はしなかったの。もちろん私たちの仲が戻るわけないの。
でもいい思い出だった・・・ありがとう二階堂さん。
これからも私の旦那様をよろしくね。

どりーむ・くえすと (2)初めての彼・白球の貴公子 上杉友哉
 ある日、私は某都内ホテルで行われるCMのイメージキャラ記者会見を終了後、ばったりある人と会った。それは初めて付き合った元彼、上杉友哉。彼は現在プロ野球選手。23歳。5年前、鳴り物入りで阪神に入団した彼。一時はすごく活躍して白球の貴公子とも言われた逸材だった。

今はというと、いい若手選手が増えてしまって、金銭トレードで西武に入団したと聞いた。その話で私が記者会見していたホテルに来ていたらしいの。

「彩ちゃんだよね・・・。久しぶり・・・。元気そうで嬉しいよ・・・。」
「友哉君・・・?」
「あ、これ俺の連絡先。話があるんだ・・・連絡くれるかな・・・。いつまでも待っているからね・・・。」

そういうと、私のコートのポケットにぐいっと携帯番号とメルアドが書かれた紙を入れて立ち去って行った・・・。

 上杉友哉と出会ったのはいつだったろう・・・。 そうそう・・・出会ったのは中1になってすぐのこと。 私はお父さんの赴任先イギリスから港町神戸に戻ってきたの。私はここで生まれたんだけど、お父さんの仕事の都合で国内だけではなく、韓国、インドネシアそしてイギリスと小学校時代を過ごしたの。そして神戸のちょっと有名な学園の中等部に編入したのよね。

 ある日私は学校の友人に連れられてあるグランドに行ったの。

「彩ちゃん、ごめんね付き合せちゃって・・・。お兄ちゃんがね、どうしても来て欲しいっていうから・・・。」
「ううん・・・いいよ。」

私はあまり野球には興味なかったんだけど・・・。試合が終わって、ある男の子が近づいてきたの。

「お兄ちゃん、お疲れ!!!」

その男の子はかぶっている帽子を脱ぎ、私に挨拶をするの。

「源彩子さんだよね・・・。」
「はい・・・。」
「僕は君と同じ学校の3年。上杉友哉って言います。今日はすみません・・・妹に頼んで呼んだのはこの僕なんだ・・・。」

このとき私は告白されたの。ずっと私を見ていたんだって・・・。親友のお兄ちゃんを振るなんて出来ないじゃない・・・。ま、いいかって感じで付き合うことに決めたの。

 彼はお父さんが元プロ野球選手。今はどこかの球団の職員をしていると聞いた。うちの学校には野球部がなかったから、地元のシニアリーグに在籍して活躍していた。家が近所だったから、毎朝一緒に登校して、帰り、彼は練習があるからって別行動。週末は彼の練習や試合を見に行ってた。付き合うっていっても友達の延長って感じで長々付き合った1年間。ついに別れる時がきたのよね・・・。

 彼はスポーツ推薦で高知の明徳義塾に進学する事が決まってね。卒業式の日に校舎の裏で初キス。

「彩ちゃん、遠距離恋愛になるけど、きっとこっちに帰ってくるから、待っていてくれる?」
「え?」
「必ず連絡するから。手紙も出すよ。だから待っていてくれる?」

私は何も言えなかったのよね・・・。
彼は高知に旅立ったの。はじめのうちは電話とかメールとか、手紙をやり取りしていたんだけど、彼が入学後すぐにレギュラーに選ばれてからやり取りがなくなってしまって自然消滅。3年連続甲子園に出場して、会う機会があったけれど、もうその時には別の彼がいたから会う気もしなかった・・・。あっちからも連絡なかったしね・・・。

 彼は高校ドラフトで阪神に鳴り物入りで入団。背も高くっていい顔していたから、高校時代からファンも多くて阪神入団後も白球の貴公子とかなんとか言われて騒がれてたわよ。私はなんとも思っていなかったから気にもしなかったけどね・・・。

 あれから何年も経ってこうして再会・・・。私は連絡先をもらったけれど、もちろん連絡を取らなかった。すると、私の公式ブログにメッセージが入ったのよね・・・。

『彩ちゃん、電話かかってくるのを待っていたんだよ。僕はずっと君とは別れていないと思っていたんだよ。別れの挨拶なんかしてないじゃないか・・・。君と会いたいんだ・・・。今まで大阪にいたからなかなか会えなかったけれど、僕は所沢にいるから、これからいつでも会えるよね・・・。未だに僕は君の事が好きなんだよ。決して君のことを忘れたことないんだから・・・。連絡待っているよ。  上杉友哉』

私はフリーメールを使って返事を出した。

『ごめんなさい。私には大切な人がいるから・・・。 彩子』

もちろんしつこくメールされるのが嫌だから速攻そのメールアドレスは解約。その数時間後、私の携帯に電話があったの。誰に聞いたんだろう。ちょうど私は旦那様の議員宿舎にこっそりいたのよね・・・。旦那様はちょうどいなかったのよ。 何度も何度もかかってくるからきちんと言ったの。

「もうかけないでくれる?迷惑なの・・・。私には心に決めた人がいるし、今その彼の家にいるから・・・。だからもうかけないで・・・。」
『でもさ。彩ちゃん・・・。』

私は電話を切ったの。もうそれっきりかかってくることはなかったけれど・・・。

 私がアナウンサーになってスポーツ担当になったらまた会う機会があるんだろうな・・・。

ちょっと億劫だけど、今は大切な旦那様がいるから、しょうがないよね。

どりーむ・くえすと (1)序章 タレント北野彩夏
 私の芸名は北野彩夏。本名は源彩子って言う超古風な名前。私が言うのもなんだけど、元カリスマモデルで、今は超有名タレント。現在21歳。東大在学中。

 私は一度、事務所に作られたイメージに悩んでカリスマモデルって立場を捨ててある男性に飛び込んだ。彼の名前は和気泰明。当時私は20歳で、彼は26歳で駆け出しの代議士さんだった。

 カリスマモデルといわれる前から、お姉ちゃんの旦那様(当時官房長官公設秘書)の紹介で当時、彼が代議士秘書をしている時に知り合ったの。彼と付き合うようになってから有名になってしまって、蝦ちゃんや優ちゃんと肩を並べるようなモデルになったの。

 でもそれと反比例してさらに事務所に作られた自分になっていく。それが耐えられなくなって、衆議院総選挙運動中の彼の事務所に泣きながら飛び込んだ。彼も与党選挙対策本部に女性関係はご法度といわれ、独身でクリーンなイメージでの選挙運動をしていたの。それなのに彼は選挙事務所の前で一目をわきまえずに私を抱きしめてくれた。周りのスタッフや党から派遣された選対スタッフは超驚いて、選挙運動がどうなるか心配だったらしいけれど、何とかギリギリ当選してくれた。

 彼が代議士になって彼に言われたの・・・。

「何で、作られた芸風で仕事せなあかんねん?辛いんやったら辞めたらええやん。彩子らしい北野彩夏でもいいんとちゃうの?それで世間に認められんかったら辞めたらいい。この俺が・・・彩子の面倒・・・見たるから・・・。」

ああ、いろいろな人と付き合ったことあるけど、こうして私のことを一番理解してくれた人って初めて・・・。そしてプロポーズまで・・・。私はとても嬉しかったの・・・。もちろんだいぶん先のことだろうけど、承諾したの。

 こそこそ彼と付き合って、そして彼のいうように徐々にだけど、華やかな芸風から、自分らしい清楚な芸風に変えていった。そしてモデルからタレントに転向。比例するように人気が出てしまって、CMに出ればその商品は大ヒット、番組に出ると視聴率はいい。ホント売れっ子になっちゃって、彼とすれ違いの毎日だった。

 ある日、私達の関係が彼の所属する与党の派閥内にばれちゃって、怒った彼の伯父さん(内閣官房副長官)がいきなり彼に某大手企業の令嬢と見合いをさせようとしたから、彼は焦って私に婚姻届と、婚約指輪をくれたの。私は悩んだんだけど、彼と別れるのが嫌だし、これからずっと寄り添っていこうと決意してたから、署名捺印して役所に提出したの。もちろん事務所や親に相当怒られたわ。でも何とかわかってくれて、スケジュールを消費次第引退することにしたの。

理由は学業優先として・・・。もちろんそれも一因があるし、私には夢があったの。それは女子アナ。今までの仕事はそれのステップだと思っていたから引退することに抵抗はなかった。彼は赤坂の議員宿舎から自宅の南麻布に、ますおさん状態でやってきた。まあ私の親のひとつの条件なんだけど・・・。いくら私が芸能界を引退したといっても、彼は代議士。そして彼と私のお付き合い自体、与党内やお母さん、そして親戚達、後援会の人達が反対しているから、入籍は公に秘密にしていた。

普通のお嬢さんだといいんだろうけれど、私はもう辞めたとはいえ、元タレント。そして一度だけど男性誌のちょっとエッチなグラビアをした事あるからってことも・・・。しょうがないわよね・・・クリーンなイメージが売りの代議士さんだから・・・。そして彼は未来の大臣クラスを約束されている政界のサラブレッド・・・。


彼はとても私の夢を応援してくれているの。私の夢はアナウンサー。もちろん履歴書を出さないといけないでしょ。自分に嘘つくのは嫌いだから、きちんと彼と結婚していることを書くことに決めたの。もちろん応募規定に独身に限るとは書いてないでしょ。だからだめもとで11社応募してみたの。

今は3年生なんだけど、年々人気のある職種は、いい人材を確保しておきたいのか、3年の秋くらいに就職試験が行われるの。だから私もそれに合わせて応募したの。すると半分の5社からの書類選考の返事・・・。2次試験に挑むわけ。キー局3社と関西ローカル2社。何とか関西1社の内々定。そして最終の取締役面接にキー局2社から返事が来たの。そして、面接後に2社とも内々定・・・。私の即戦力とキャリア(?)で是非来て欲しいと熱心さをアピールしてくれたF社と、普通の内々定の返事だけど、自宅から自転車で通えるA社。そして関西のA社。この3社いずれかに返事をしないといけない羽目に・・・。結局悩み悩んで私に来て欲しいと熱望していただいたF社にお世話になりますと返事をしたの。

彼はとても喜んでくれたの・・・。

ああこれでゆっくり学業に専念できるって思った途端、私はいまだ復活を願うファン達のおかげ(?)で、芸能界再デビューすることになっちゃった!!!!

わあ~~どうしよう!!と思う暇なくあれよあれよと決まるCM出演依頼、そしてキャンペーン参加依頼・・・。

またまた以前のような生活に戻ってしまいました・・・。

ああまたこそこそとした生活。

彼は私に気を使って、また議員宿舎に逆戻り・・・。せっかくの新婚生活がすれ違い別居生活よ・・・。

人気が再燃するにしたがって出るわ出るわ私の元彼たち・・・。中には元彼だったって自慢して売名行為する芸能人の馬鹿もいる。でもそういう人に限って元彼じゃなかったりするのよね・・・。

今回の再デビューのおかげか知らないけれど、元彼と偶然再会!って事が増えちゃって困っている。だってみんな私に同じことを言うのよ・・・。

『まだチャンスってあるよね・・・・。』

って・・・。

ないない・・・。

みんな私が結婚していることを知らないから勝手なことを言うのよね・・・。

馬鹿馬鹿しい・・・まあたいてい何とか理由をつけて諦めてもらうんだけどな・・・。

そして私にはすごい秘密があると巷ではささやかれている。嘘だと思うだろうけれど、今まで付き合った人みんな、自分の夢をかなえているのよね・・・。

だから夢を叶えたいという男が近づいてくる・・・。

無視無視!!!

きっと偶然だから・・・。




【なお^^から一言】

これは別名で書いている自作小説の番外編です。

日記調の文なので小説とはいえませんが、ブログを読んでいる感じで読んでいただけるとうれしいです。

彼女には7人の男性歴がいます。もちろん7股ではありません。その人たちの再会から思い出を書いていくつもりです。もちろんブログ風で・・・。ですから起承転結はあまりありません。ちょっぴり大人なところもあるかもしれませんがこれからもよろしくお願いします。

ドリーム・クエスト (40)夢を求めて・・・【完結】

 ああやっと大学最後の試験が終わった!!!もちろん合格点の自信はある。きちんと卒論も通ったし、あとは卒業のみ。相変わらず和気さんは通常国会で忙しくって、週末以外はほとんど家にいないのよね・・・。

記念撮影
ついに来た来た卒業式!!


私はおねえちゃんと総理大臣夫人の伯母様に着物と袴を着付けてもらって、卒業式に出席。


もちろんパパと母親代わりとして伯母様が出てくださった。


伯母様はファーストレディーなのに嫌な顔ひとつせずにね・・・。


「いいのよ。彩子ちゃんは私の娘みたいなんですもの。遠慮しなくていいのよ。」


ホントお母さんが生きていればこういう感じで、私の卒業式を祝ってくれるんだろうな・・・・。


私は卒業式の後、伯母様と総理公邸に・・・。


実の娘じゃないのに、公邸に遊びに来るなんてね・・・。


みんな揃って食事をしましょうってね・・・。


もちろんお姉ちゃん夫婦や和気さんも来るの。


パパもね・・・。


伯父様は公務を早めに切り上げてくださって、和気さんや弐條のお兄さんと共に公邸に入ってくるの。


なんと、お婆さまも来てくれてね・・・。


私の東大卒業を心から喜んでくださったのよね・・・。


「彩子ちゃん、今度は就職ね・・・。彩子ちゃんがテレビに早く映るようになって欲しいわ・・・。仙台で応援していますからね。」

「はい、お婆様。」

「ホント幸せ。孫を諦めていたのに・・・。こうして曾孫までいるのですもの。生きいてよかったわ・・・。」


お婆様は本当に喜んで涙を浮かべていらしたのよね・・・。


弐條&和気
ホント私たちの家系って政治一家ってことね・・・。


ママの実家が弐條のお兄ちゃんの一家と肩を並べるような政治家家庭。


なんだか偶然って怖い。


和気さんも私が総理の姪ってことで、将来有望だね・・・。


官房長官平氏の甥っ子と、内閣総理大臣の姪っ子夫婦・・・なんだかくどいけどね・・・。


お姉ちゃんとこもそうよ。


歴代の総理が両方の家系にいるってことで、この上ない血統だわね・・・。


うんうん・・・。


でも知らない人から見たら何で私たちがここにいるんだろうと思うんだろうね・・・。


うふふ・・・。


 今夜パパは久しぶりに南麻布のマンションに泊まったの。


ホント最近心のつかえが取れたみたいでなんか晴れ晴れ・・・。


明日は仙台に行ってお爺様のお墓参りに行くんだって。


そして仙台から飛行機で神戸に戻るって・・・。

彩子うふふなんていうのかな、すべてが丸く収まったって感じで、私も安心して就職できるってわけ。


さあ、私、小さい頃からの夢だったアナウンサーになるんだもん!


和気さんだってそう。


小さい頃からの夢「総理大臣」に一歩一歩近づいているのよね。


さあ!がんばらないとね!




(完)
















【作者からの一言】


一応このシリーズを完結いたしました。というよりさせました^^;


彩子と和気さんの将来については


『happyquest メンバールーム「創作広場」』

http://ameblo.jp/happyquest


にて発表済みです。


ちょこっと本編と違うところがありますが・・・。


こちらのほうでは主人公を変えた更なる未来を連載!


ドリーム・クエスト  (39)綾乃と彩子の母の過去と和解

春になり、私の旦那様弐條雅和は元総理大臣のお父様に言ったのね。


「父さん、いつまで宿舎住まいする気?もうそろそろ僕たちと一緒に住もうよ。光子さんも芦屋に返したことだし、一部屋空く。」


今までお世話になっていた光子さんは結構ご高齢だから、これ以上私たちのために大変な思いをさせるのは辞めようって二人で決めたの。ホントにお世話になりっぱなしだし・・・。雅と彬だいぶん手が離れてきたことだしね・・・。2人で何とかなると思ったの。そして前々から雅和さんのお父さんと一緒に住みたいねって・・・。そのほうがお父さんも楽でしょ。食事も何もかも私がするわけだし、可愛い孫との生活なんだもの。


雅和さんはお父さんを説得して、年明け早々一緒に住むことになったの。

「すまないね・・・。お邪魔してしまって。」

「いいんだよ父さん。もともとここは父さんと住むつもりで爺ちゃんが買ってたんだから・・・。遠慮はなしだよ。」

「そうです、お父様。雅や彬も喜びます。」

そう、雅と彬は、大好きなお爺ちゃまが一緒に住むもんだから喜んじゃって・・・。


毎日お父さんに抱っこをせがんだりするのよね・・・。


お父さんはもう大変って感じ。


でも結構爺馬鹿だから嬉しくてたまらないみたい。


 ある日お父さんは私が持っている家族写真を見て言うの。その写真は十六年前の写真。まだ小学校の時、お兄ちゃんが防衛大学校の入学式の時の写真。私はその時9歳。家族みんなで写っているの。もちろん大好きだった亡きママが写っている。


この1年後にママは亡くなったんだ・・・。


とびっきりの着物着て、微笑んでいる最後の写真。


このあとすぐに癌が見つかって、43歳で亡くなってしまった。


パパはすごくショックを受けて、階級に合わない海外勤務を志願して・・・。


「綾乃さん、この人はお母さんかな?」

「はい、16年前になくなった私の母です。」

「もしかして名前は綾子さん?旧姓藤原綾子さん?」

「旧姓は知りませんけど・・・。綾子です。母の名前は・・・。」

「そう・・・綾子さんは、君のお父さんと結婚していたのか・・・。」


え?何でお父さんはママの事知っているの?


「実はね、彼女は私と結婚するはずだった・・・。生まれながら親同士が決めた婚約者だったんだよ。この私が雅和の母と駆け落ち同然になって、そして彼女も好きな人がいた。そういえば綾子さんは街でであった自衛官と恋に落ちたって聞いたよ・・・。それが綾乃さんのお父さんだったって事か・・・。はじめ綾乃さんを雅和から紹介された時驚いたんだ。その時はきっと他人の空似だと思ったのだけれども・・・。」

「母と、お父様が・・・・?そのような・・・?」

「ま、私としても綾子さんが源さんと結ばれたおかげで、雅和の母和子と一緒になれたわけだし、そしてこうして雅和と綾乃さんが結婚してくれた。あなた達が出会うのは運命だったのかもしれないね・・・。と、言うことは・・・綾乃さん。」

「はい?」

「今の総理、藤原君は綾乃さんの伯父さんになるわけだね・・・。綾子さんは彼の妹だから・・・。」


え?あの藤原さんってママのお兄さんなの?


全然知らなかったよ・・・。


だからよく藤原さんは私を見て優しく微笑んでいたのかしら?


妹に似ていたから?


 もちろんパパに確認したわよ。


そしたらまさしくそうだった。


ママの旧姓は藤原で、宮城出身。


初めて派遣された東北方面総監部がある仙台で知り合ったんだって・・・。


毎日出勤中のパパと通学途中のママが顔見知りになって・・・。


恋に落ちて・・・。


ママの両親に反対されてパパの転勤を機に駆け落ちしたって・・・。


それ以来ママは一切実家に連絡をしないでそのままパパと結婚、そして私たち三人の子供が出来た。


きっと私の仙台のお爺様はママが死んだことなんて知らないんだわ。


でもママとパパは幸せだった・・・。


パパは驚いてたわよ。雅和さんのお父さんがママの元婚約者で、そして今の総理大臣がママのお兄さんだったって事・・・。


多分藤原って名前はありふれているから気が付かなかったのかな・・・。


私はパパからママの若いころの写真をもらったの。


丁度パパとママが駆け落ち寸前のころの・・・。


やっぱり私と似てにいたの。


ママは21歳。パパは24歳。


丁度パパが幹部候補学校を卒業してすぐのころ・・・。

朧
それだけじゃない。そのあと区切り区切り数枚の写真。


パパは藤原さんに渡しなさいって何枚もくれたの。


パパだっていろいろ大変だったし・・・。


雅和さんのお父さんを通して藤原総理にママの写真が渡ったの。もちろん驚いておられたって雅和さんが言ってたのよ・・・。だって私は藤原さんの姪ってことでしょ。それも最愛の妹の子だから。

 半月ほどして、パパとあたし達兄弟は雅和さんと共にママの故郷仙台へ行ったの。パパはママの形見を持って・・・。もちろんこれは藤原総理のご好意によるもの。


今、総理のお父様、あたしのお爺様なんだけど、ご病気で入院中なの。


雅和さんは藤原総理の元公設秘書だから、ママのお父様と面識があるのよね。


だからあたし達を案内してくれたの。


 ここは某病院の個室・・・。雅和さんはドアをトントンってたたいて先に中に入った。


「綾乃、入っていいよ。総理もおいでだから・・・。」

「うん・・・。パパ・・・はいろ。」


パパはとても緊張した顔をしてあたしと共に中に入ったの。


「父さん、わかる?綾子の・・・。」

「んん・・・。わかっている。」


パパはお爺様の前に土下座して言ったの。


「今まで長い間、ご迷惑をおかけいたしまして、申し訳ありませんでした!!!大切にしておられた綾子さんを勝手に連れ出し、許しも得ず結婚し、そして・・・そして・・・。」

「顔をお上げなさい、源君。もう君のことは恨んでいないよ。先日妻から聞いた。詳しい住まいなどは知らせてこなかったが、何かあるごとに綾子は手紙を妻によこしていたらしい。妻は私の性格をよく知っているから、今まで手紙や写真を隠していたみたいだけど・・・。全部手紙や写真を見ましたよ。結婚したから始まって、そこにいる博雅君が生まれた、幼稚園に行った、小学校に入った、綾乃さんが生まれた、彩子さんが生まれたとか・・・毎年最低1通は手紙をよこしてくれていたらしい。そして必ず最後には「私は幸せですから安心してください。」と書かれていたんだよ。そして最後は博雅君の防大入学の家族写真で終わっていたけどね・・・。ホントに幸せそうな写真ばかりだった・・・。だから私は源君のことを感謝しているのですよ。43歳という短い人生だったが、幸せだったのだから・・・。」


パパはお爺様と手を取り合って、2人で謝りあっていた。


そしてパパはお爺様にママの形見のひとつを渡したの。


「これは綾子が一番大切にしていたものです・・・。」

「こ、これは・・・綾子が20歳の祝いにやった時計・・・。そうか・・・。」

「これをお返しします。」


パパとお爺様は和解したの。


そしてうちの雅と彬を見て微笑んだのよね・・・。


だって突然曾孫が現れたんだもんね・・・。


総理にはお子様がいらっしゃらないから・・・。うんうんっ言って・・・。


 その半月後、お爺様は亡くなった。とても幸せそうな顔をしてね・・・。眠るように・・・老衰で・・・。きっとお爺様は天国でママと再会しているんだわ。


 もちろん葬儀にはみんなで参加。


パパ、雅和さん、和気さん、彩子、お兄ちゃん、美月さん、あたし・・・。


親戚の人たちはあたし達の存在に驚いていたわ。


お婆様や総理が親戚に紹介してくださって・・・。


もちろんあたしがママにそっくりだったから、みんな納得してたのよ。


 私はママが大事にしていた着物をお爺様の棺おけの中に入れたの。


最後に家族で撮った写真で着ていた訪問着・・・。


あれはわたしが形見としてもらったんだけど、やっぱりお爺様に差し上げたくって・・・。


お婆様はとても感謝しておられたわ。


その代わり、お婆様はパパがお爺様に差し上げたママの形見の時計を私にくださった。


私が総理大臣の姪であることは公にはならなかったけれど、この日から伯父様である総理は私や彩子のことを実の娘のように可愛がってくださったの。


ママが私たちを引き合わせてくれたのかな・・・。


ドリーム・クエスト  (38)クリスマスパーティー

 和気家は結構パーティー好きだ。


事あるごとに自宅でホームパーティー。特に年末年始は盛大。何年ぶりだろう、年末年始のパーティーに出るのは・・・。俺自身こういうのは好きやないから、年末帰りたくなかったんや。


ま、今年は彩子と正式に結婚して、初のクリスマスパーティーやしな・・・。


出たらな親父がかわいそうやろ。


親父はえらい彩子を気に入ってるんや。


才色兼備やし・・・。うんうん・・・。


特に今年は彩子が北野彩夏としてイメージキャラになったJRA で親父の馬が見事GⅠタイトル取りまくりで・・・。親父は彩子のことを幸運の女神やっていっとった。


初めて牝馬3冠を取ったワキノヒメギミにはじまり、怪我で引退したけど、ワキノカミカゼが宝塚記念を取った。その他諸々の馬がGⅠを取り、あわせて六つ。馬主中でも注目の的だった。


あ~あワキノカミカゼの引退がなかったら、有馬記念はうちの父さんのものだったのに・・・。


ま、来年クラシックが楽しみな牡馬がいるからな・・・。親父は牡馬3冠や!!!って気合入りまくり。


今のところワキノサプライズは無敗のGⅠ1勝2歳牡馬。


ホントに彩子は幸運の女神的素質があるかも知れんな。


彩子に宝くじでも買ってもらおうかな・・・。


冗談はこれくらいにしてな、今夜は政財界、医師会、競馬界総勢100人くらい集まるんだよね・・・。100人入るうちもすごいけど・・・。もちろん料理はどこかのシェフを貸切。立食形式のパーティーや。苦手だけど、名刺をたくさん名刺入れに入れておかないとね・・・。あと2年でまた選挙があるから顔を売っておかないと・・・。


 彩子は俺の部屋でパーティーの準備。お気に入りのパーティードレスを着込んで、今髪の毛を整えている。化粧も念入りだ・・・。ま、俺はブラックスーツでええから楽だけど・・・。

「あ、これ母さんからのプレゼントや。ドレスに合わしたらええ。」

そう、母さんが彩子のために御用達の真珠屋さんで特注した淡いピンク色のパールのネックレス、イヤリング、指輪のセット。彩子は喜んで、それをつけることにした。俺は彩子の後ろからネックレスをつけてやった。

「ありがとう和気さん・・・。すごくきれいよね・・・。お母さんにお礼を言わなきゃ。」

彩子は薄いピンクの体の線がはっきり見えるロングドレスを着て、準備を整えた。

「どうかな・・・。おかしくない??」

すごくきれいで、この俺が独り占めしているなんて信じられないくらいだ。

「むっちゃ綺麗やで、彩子。」

俺は彩子を抱きしめて、キスをした。

「和気さん、口紅着いちゃったよ・・・。」

「いいよ。あとで拭いたら取れるし、もう一回キスさせて・・・。」

「もう和気さんったらもぅ一回だけだよ。」

ホント俺たちってラブラブだな・・・。こうしている時がもっと続けば言いなって思ったんだけど・・・現実は違うよね・・・。

「あ、今日議員バッチつけるの?」

「う、うん・・・。」

彩子はいつも着ているスーツから議員バッチを取って俺のスーツにつけてくれる。

「悪い、もう一回キスさせて・・・。」

ホント俺って彩子とキスをするのが好きみたいだ・・・。

「和気さん、いい加減にしないと怒るよ。終わったらいっぱいしてあげるから。」

彩子は口紅を塗りなおして俺の口についた彩子の口紅を拭いてくれる。


そしてむっちゃ綺麗な微笑み・・・。


ホント最近まで若手超人気タレントだったんだもんな・・・。


俺たちは会場に降りて、招待客にご挨拶。やはり来ている人はみんな華やかな人ばかり・・・。元タレントの彩子の登場で、みんな俺たち二人の注目の的。もちろんこういうのが苦手なんだよね・・・。俺は一人一人に名刺を配りながら彩子と挨拶に回る。さすが彩子。笑顔が絶えないんだよね・・・。彩子は母さんを見つけると、さっきの御礼に行く。


「お母様、先ほどはとても素敵なものをありがとうございました。」

「まあ、彩子さん。よくお似合いでよかったわ。いいのよ。泰明の大切な人ですものね・・・。」


わき合い合いで話している2人を見て俺は安堵。去年の今日は嫌味たらたらで電話をかけてきた母さんが・・・。

敏明&泰明
「やっぱし綺麗だよな・・・姉さんは・・・。」

「敏明・・・。」

「泰にいはいいよな・・・俺なんて親の決めた相手としか結婚できないんだもんな・・・。」

「そんなことはないよ。俺もはじめはそう思ってたんだから。でもきっといい出会いがあるよ。俺みたいにね。」

「そうかな・・・。」

「ほら、あの子はどうかな・・・。可愛いよな・・・。」

部屋の隅のほうで一人つまらなそうな女の子を見つけた。


結構可愛い女の子で、きっと誰かが連れてきたんだろうな・・・。


彩子ほどじゃないけど、結構可愛らしい18歳くらいかな・・・。


早速敏明は声をかけていたよ。


その子は敏明が声をかけると微笑んで、つまらなさそうな顔から一転楽しそうな顔になったんだ。


「にい!今度会う約束しちゃったよ。」

「どこの子?」

「神戸の子でね、山の手学園の理事長のご令嬢だったよ。堀川鈴音ちゃんって言って・・・。歳はお姉さんと同じだよ。」

「え?22歳?見えないよ。山の手って言ったら彩子の出身校だよ。」

「何々?何はなしてるの?」


母さんと話を終えた彩子がこっちにやってきた。


「堀川鈴音って知ってるか?」

「うん知ってるよ。中学の時一度同じクラスになった。」


俺は彼女のいるほうに指を差す。


「あ、ホント。鈴音ちゃんだ。ちょっと会って来るね。」


彩子は鈴音ちゃんと話をしている。同級生の登場に2人は懐かしそうな顔をしていた。俺は敏明にいう。


「付き合うつもりか?堀川鈴音さんと。」

「出来るならしたいね。ええとこのお嬢さんなら親父も文句はいわんやろし・・・。」

「まあがんばれよ。応援したるから。お前も去年母さんを説得してくれたんやろ。彩子の事・・・。」

「ん?知ってたのか?」

「お前しかおらへんやん。母さんと面と向かって話せるのって・・・。急に母さんが綾子のこと何も言わんようになったのはおかしいと思ったんや。だから今度は俺がなんとかしたるわ。」

「にい・・・。」


結局敏明は付き合うことになったみたいや。


正月恒例のパーティーに振袖を着た堀川鈴音ちゃんが来てたのは驚いた。


もちろん敏明は親父と母さんにこの子と結婚前提に付き合うって言ってた。


突然の出来事に母さんは驚いてたけど・・・。


父さんは堀川さんのお父さんと友人やったから、すんなり決まったんだけど・・・。


あちらさんも和気家に嫁いでいいんかと言ってたみたいで・・・。


でも、結婚は3歳年上の姉ちゃんがまだお嫁に行っていないからって、そっちが決まってからになった。


結納は敏明が春、大学を卒業するし、堀川鈴音ちゃんも春卒業ってことで、それが済んでからってことになったんや。


驚いたのは弐條の嫁さんと鈴音さんのお姉さんが親友だということ。


世の中って狭いかも知れん。


それよりも、敏明、お前医師免許の国家試験どうなっとるねん・・・。






 



第215回「困った間違い電話」 困った宅配便
間違い電話ですよね・・・。ここんとこ多いのがですねぇ・・・。宅配便のお問い合わせというか、不在通知のこと。

携帯に知らない電話がかかってくるほぼ100%はこれ。
でると・・・。
『すみません、不在通知が入っていてぇ~~~~~。』
『P便さん?』←違うっていってるのに無視して延々と希望時間まで言っているおばちゃん。
『え?違うってぇ?あんた誰や?』←変なおじちゃん。私が聞きたい。

ついに嫌になった私はP便のお問い合わせにメールしたさ。担当営業所をきちんと調べて。

もう半月経っても何も言ってこないさ。
無視かよ無視!!!

はあ・・・。問い合わせしてからぱったりなくなったって事はなんだか対処したって事だよねえ・・・。それならそれと報告ぐらいせんか!!!

もうあんたとこの宅配はつかわへん!

あぁスッキリした!!!!



ドリーム・クエスト  (37)旦那様の地元事務所

 和気さんの事務所は実家の隣の市にある。


同じ条件で家賃が安いらしい。


3LDKのマンションを借りてそこを事務所にしている。


そしてその1室を二階堂さんが借りているという感じ。

とても素敵なデザイナーズマンションで、壁はコンクリートのうちっぱなし。これが賃貸だなんて・・・。


玄関はオートロックだし、4階建てなのにエレベーターがあって、そこの最上階72平米の角部屋。


駐車場1台付で13万!


さらに来客用に1台駐車場を借りている。


近くの駅から歩いて10分。


大阪空港まで車で5分ちょっと。


のどかなところだけど、事務所にするにはいい環境かもしれない。


東京に比べたら破格よね・・・。


ホントお洒落なマンション。


玄関を入ると12畳のリビング。


ここを事務所にしているの。


スタッフが二階堂さん入れて3人。


3部屋は和気さんの執務室(ほとんど使わないけど・・・。)、資料倉庫、そして二階堂さんの自室。


二階堂さんがここに住んでいるおかげで24時間体制で動けるのよ。スタッフの2人はバイト。ま、電話番や雑用をしてもらっているって感じ。政治家って儲からないのよね・・・。養う人が多すぎ。


和気さんはスタッフに挨拶をして私と一緒に執務室へ。


一応和気さん用のデスクにパソコンが置いてあって、立ち上げる。


ここの部屋にはソファーと机。そこに私は座って和気さんの仕事を見ているの。


和気さんは官邸の弐條のお義兄さんと連絡を取り合ってパソコンに向かいながら仕事をしている。普段の仕事姿ってこういう感じか・・・。スタッフの一人が私と和気さんにお茶を入れてくる。


あ、そうそう・・・私事務所の人に差し入れを・・・。


私はケーキを差し入れたの。


「すみません奥様。みんなで頂きます。」


執務中の微笑み
ホント真剣な顔して仕事している旦那様の顔・・・。初めて見たかも知れない。これが官邸内での表情なんだ。

時折和気さんは私の顔を見ると微笑んで、何かパソコンに打ち込んでいるのよね・・・。

「彩子、悪い、そこの本棚の六法全書とって。」

私は立ち上がって六法全書を手渡す。法律関係の絡んだ仕事か?こういうことは弐條のお兄さんよりも詳しいから急な仕事が入ったんだね・・・。

「終わった、終わった!!!さ、これを弐條にメールして完成!!!」

和気さんは体を伸ばして机を片付けだした。


片付け終わると、和気さんは私の横に座って私の肩を抱き、キス。


「ごめんね彩子。せっかくのデートを邪魔しちゃって・・・。今夜も気を使って大変だろうけど、頼むよ。また埋め合わせするし・・・。」


今夜は和気家恒例のクリスマスパーティー政財界、医師会その他諸々100人くらい集まって和気さんの実家で行われるのよね。


私ははじめて和気家次男の嫁として出るの。


ちょっときんちょー。





ドリーム・クエスト  (36)ショッピング!

クリスマスイブの昼下がり。私たちは車に乗ってお買い物。近所でもよかったんだけど、なんとなく品揃えの面もあって、車で30分くらいのところにある大型の商業施設に行ったのね。

和気&彩子デート
「今日は何買うの?」

「ん、そうやな、パソコンもそろそろ買い換えたいしな、服もほしいし・・・。今日はイブやし、彩子の欲しいもんなんでも買ったるわ。」

ホントにこういうところでいいのかな・・・。和気さんってホントに庶民的。最近私服はユニクロ。シンプルでいいんだけどね・・・。

「彩子にコーディネイトしてもらったらユニクロもええブランドに見えるから、よろしくな。」

「で、どんなの欲しいのよ。」

「上から下まで。適当に選んでよ。」

国会議員が、全身ユニクロだなんて・・・。ユニクロがだめって言うわけじゃないけどね・・・。


ま、ここだけじゃなくって、いろいろなお店で和気さんの服を買ったのよ。


28歳の和気さん。


私の付き合うようになっておしゃれになったよね・・・。


昔なんて仕事ばかりの服で、私服は少なかったのよ。ま、秘書時代、休みは一日中疲れて寝てたって言うしね・・・。


結局今日は和気さんの服とパソコンを買ったのよ。私はというと、なかなかこれという欲しいモノが見つからなかったから、保留にしてたのよ。

「ホンマにないの?じゃあね・・・時計でも買う?また仕事で使うやろ。そうや、ペアっぽいの買おうか・・・。俺らペアっぽいのって結婚指輪だけやしな・・・。いくらのでもええで、予算はいっぱいやからな・・・。」

「いくら?」

和気さんは私に向かって3本の指を見せる。

「30万?」

「0がひとつ足りんひんよ。」

300万????もともと和気さんはいつもニコニコ現金払いって人だから、それだけ持参しているのね・・・。

「ま、足りんかったらカード使うけどな・・・。」

300万も何買うのよ・・・・。


車でも買う気?


結局ブランドやさんで気に入ったのがあって、それの決めたんだけど・・・・。


「彩子、カバンとか欲しいもんあったらついでにええよ。」

「いいよこれで・・・。」


和気さんはぽんと現金で100万の封付きピン札を出してたわよ。ホント使う時は使う人だわ・・・・。


すると携帯がなるの。


仕事の話みたいね・・・。


和気さんはちょっとここで待っててといって人ごみから外れたところで真剣な顔で話している。私はというと、近くにあった椅子に腰掛けて、荷物番?すると変な男に声をかけられる。

「ねえ彼女、一人?」

「違います。」

こういうの嫌いなんだよね・・・。

「可愛いね。お茶でもどう?」

「結構です。」

「彼女、よく北野彩夏ににているって言われない?」

(本人だよ・・・。)

もう無視無視・・・。私は和気さんのほうを見つめて早く電話が終わらないか願う。

「ねえねえ。」

(うるさい・・・・。)

やっと終わったのか、和気さんがこっちい歩いてくる。

「彩子ごめんごめん。」

「和気さん遅い!」

和気さんと変な男と目が合い、和気さんはその男をにらみつけると男は急いで逃げて言ったわよ・・・。

「和気さん、私をひとりにしないでくれる?で、誰から電話?」

「弐條。ちょっとごたついた事があってさ、ちょっと今から事務所行くわあ・・・。デートはここまで。」

「ええ~~~~~。」

「しょうがないやん。まだ仕事納めやないし、今日は平日やで。今せっせと弐條が官邸につめて動いてくれてんのにさ・・・。仕事が出来たんやから仕事せな・・・。まあちょっとやと思うし、事務所にいたらええよ。」


なんて・・・。


ゆっくりデートできると思ったのにな・・・・残念。 



ドリーム・クエスト  (35)庶民的な国会議員?

 12月中旬。今年は臨時国会が早く終わって、初めて年末年始を和気さんの実家ですごすことになった。もうすぐで和気さんと一緒になって2年・・・。


今年に入ってあれほど反対していた和気さんのお母さんが、私たちの仲を許してくれたの。そしてお母さんはまるで実のお母さんのようによく東京に出てきて、親身になって私達の相談に乗ったりしてくれるの。ホントに変わったの。年末年始はいらっしゃいねってこの前言ってくださって、私たちはお母さんの言葉に甘えていくことにしたの。和気さんだって、地元選挙区の挨拶回りもしないとね。ずっと二階堂さんに任せっきりなのも・・・。

 私たちはクリスマスイブイブに宝塚に帰省。23日ってこと。和気家のみんなは私たちを迎えてくれて、わきあいあいと過ごしたの。

「彩子、明日のイブ、どっかいこか・・・。」

「うんそだね・・・どこ行く?」

「買い物いこか。そろそろ冬もんのスーツ新調したいしな。彩子もなんか買ったるわ。」

「和気さんが何か買ってくれるなんて珍しいね・・・。」

「失礼だな・・・俺も買ってやる時は買ってやる。」

和気さんは倹約家。あまり消耗品にはお金をかけないの。100円均一大好きだし、スーツだって弐條のお兄ちゃんのようにブランドにこだわらない。百貨店でオーダースーツを作らずにスーパー系や紳士服専門店のオーダーでも平気。外食でもそうよ。記念日以外はファミレスやファーストフード、コンビ二でも平気。この前、牛丼食べに行ったのよね・・・夜中に・・・。


ホント庶民的な人。


でも出す時は惜しげなく出す。


この前南麻布に引っ越したときも家具とか家電はいいものばかり即金で買ったのよ。


普段私に何も買ってくれない。まあ私は結構ギャラがあるから。お洒落したかったら自分で買えという。働いた金があるだろって。初めは変な人って思ったけど、ケチでいってるんじゃないってことは知ってる。買ってくれる時は文句言わずにどーんと買ってくれるのよ。

ドリーム 和気&彩子2
 夜、和気さんの部屋で、いろいろ話した。

「和気さん、みんなに気を使わせたみたいね・・・。」

「んん・・・。気がついた?」

「何?」

「みんな俺たちのことすごく丁寧に扱ってない?」

「何で?」

「たぶん、俺たち、子供が出来にくいこと知ってるからね・・・。だから急に母さんは彩子のことにやさしくなったんだと思うよ。結婚してすぐのころは、父さんだって俺に子供はまだかってしつこいくらいに聞いてきたんだけど、今はないからね・・・。聞きたくてもいえないんだと思う。そういうことに触れない様にきっと気を使ってるんだと思うよ。」

「そうだね・・・。いずれ授かるわよ。ね。」

私は和気さんにそっとキスをした。その夜、和気さんと私はベットの中で、愛し合う。やっぱりいままでいくら危険日に愛し合っても兆候すらないのよ。やっぱり出来ないんだね・・・。まあ今はいらないから、あと4年ぐらいしたら考えるかな・・・。

「あのさ、彩子。」

「なに?」

「いつまで俺のこと和気さんって言うつもり?もう結婚して2年になるし、彩子も和気なのにおかしいよ。名前で呼んでくれると嬉しいんだけどな・・・。」

そうか、そうよね・・・。そういえば私ずっと和気さんって呼んでたな・・・。


泰明さん?


泰明?


やすくん?


どう呼べっていうの?名前で呼んだことないから照れるわよ・・・。


子供がいたりなんかしたらパパでいいかもしれないけどね・・・。



ドリーム・クエスト  (34)北野彩夏の引退

 私の最後の仕事、秋の編成番組のドラマ。もちろん主役格を頂いてた。もちろん私の就職内定先のFTVの金9。9月から12月のオンエアで、この撮影がクランクアップしたら私、北野彩夏は引退するの。もう復帰なんかしない。1年限定の北野彩夏だったから。ただし12月末までの契約のCMは流れるんだけどね。ホントハチャメチャな恋愛ドラマだったから、面白かったのよね。


 そして今日は横浜みなとみらいでロケ・・・そして私の出番最後の日・・・。昼ごろ撮影に入ってもう夕方・・・。


「はい!OK!」

「お疲れ様でした!!!」


このふた声で、スタッフみんなは私を取り囲み、花束を渡してくれる。


「おつかれ!彩夏ちゃん!!もう北野彩夏に会えないと思うと残念だな・・・。」

「でも私、春からここのアナウンサーですから、またお世話になりますね。」


私はスタッフや共演者といろいろ話しながら、後片付けを手伝う。そして今夜私の引退と、ドラマの打ち上げを兼ねて、新橋で飲み会?


(だって居酒屋なんだもん・・・。)

「ごめんね、彩夏ちゃん。予算の都合でこういうところで・・・・。本当ならパアッとお洒落なバーとかがいいんだろうけど・・・。」

「構いませんよ。私こういうところ好きだし・・・。私これでも結構庶民的なの。」

そう。和気さん自体余りお洒落なレストランとか苦手らしくって、ちょっと食べに行こうとかいう時は居酒屋行ったりするの。


ま、多分お付き合いでいいとこ行ってるからかもしれないけれど・・・。


 スタッフさんたちとホントわいわい言いながら飲んで食べて・・・。ホント楽しかったの。


「ホントに・・・和気彩子になっちゃうんだよね~~~~~。芸名のままで女子アナになればいいのに・・・・。」

「やっぱり就職するわけですから、本名でないと・・・。」

「でも彩夏ちゃんが代議士さんの奥さんだなんてね・・・。そっちも信じられないよ・・・。政界の貴公子って言われる将来有望な政治家だしね・・・。女子アナやめても大丈夫だよね・・・。」

「うちの旦那様は貴公子って言うような顔じゃありませんよ。ごく普通ですもん。」

「じゃ、和気内閣補佐官のどこがよくて結婚したわけ?」

「さあ・・・。性格かな・・・でもそれ以上に何か惹かれるものがあって・・・。それ以上はいえませんよう・・・」


ホント和気さんの話になると照れちゃう。ホントに私のために尽くしてくれる。ホントいい旦那様。もちろん私も和気さんにできることは一生懸命するつもりでいるからね・・・。

和気驚く
 すると、人が入ってくる。

「すみません、遅くなって・・・。あ!」

「和気さん????」

和気さんが入ってきたのよね・・・。実は私のマネージャーが和気さんを呼んだらしいのよ・・・。話があるって・・・。


もちろん和気さんが来て盛り上がっちゃって・・・。私の旦那様だし、これでも国会議員で補佐官・・・超有名人。するとマネージャーが言うの。

「和気さん先日はお世話になり、ご馳走までしてもらって・・・。」

そうこの前、うちにマネージャーが仕事の打ち合わせできたのね。そして和気さんがお得意の粉モノ料理を作ったのよ。それはお好み焼き。和気さんの一番の得意料理。関西風のお好みよ。マネージャーなんて、国会議員に料理までご馳走になって、それもすごくおいしいもんだから、恐縮してたわ。

「和気補佐官はすごくお好み焼きが上手なんすよ。驚きました。」

「和気さんはね、粉ものなら何でも得意よ。たこ焼きも、いか焼きも・・・。っていってもイカの丸焼きじゃないけど・・・。」

ホントに和気さんは庶民的というか、根っからの関西人で・・・。

関西人の和気さんが加わって、その場はとても楽しくなって、思い出深い打ち上げになった。ホントに・・・。ああこれで私は引退するんだ・・・。もう北野彩夏は居なくなる。これからは和気彩子として生きるんだ・・・。寂しいけれど、もう決めたんだもんね・・・・。


ドリーム・クエスト  (33-2)宝塚記念

 朝一番の飛行機に乗って伊丹空港に着く。


伊丹空港から阪神競馬場まで30分もかからない。ここ阪神競馬場は和気さんの地元宝塚市にある。結構大きくてきれいな競馬場。


今日は宝塚記念。今年の上半期の総決算のようなレースで、まあいうオールスターばかり集まるのよね・・・。


和気さんところのワキノカミカゼは初めてのGⅠレース。人気は中間くらい。でも評価は高い。早く来すぎたので初めて競馬場内の厩舎を案内してもらったの。そして最後に訪れた厩舎には前の日にここに入ってきたワキノカミカゼ。私を覚えているのか、鼻をヒンヒンならして私を見ているの。普段はちょっと気の荒い馬みたいなんだけど、私が近づくと、とても落ち着いた様子で私に撫でてとねだる。

「触ってもいいですか?義理の父の馬ですから・・・。」

「いいですが・・・大丈夫かな・・・怪我しませんか?」

私はワキノカミカゼの鼻と首筋を撫でてやると私の頬に顔を寄せてきたの。そして嬉しそうにヒンヒン鳴く。厩務員はとても驚いてたわよ。

「カミカゼ、がんばって優勝して、和気さんのお父様を喜ばせてあげてね・・・いいこだから・・・。」

ホントに私の言葉がわかるのかな・・・気合いを見せてくれる。私はワキノカミカゼにさよならを言って別れたの。

 昼休み、トークショー開始。宝塚記念と開催日である上に私が来ているからか、阪神競馬場は入場制限。


人人人で酔いそう・・・。


司会者に誘導されてトークショーが始まる。時折ファンが私を呼ぶから、微笑んでその声のほうに手を振ってみる。


和気さんと正式に結婚して人気が落ちると思ったんだけど、現状維持かな・・・女性ファンが増えてるよってマネージャーが言ったの。


和気さん今日来てくれるのかな・・・。


国会の本会議も終わったし、今日は日曜。


休みのはずよ・・・。


私は和気さんがいないかなって探しながら話していたから、何を話したか覚えていない。


何とか終わって、抽選会の当選者のみ私の宝塚記念のポスターにサインをつけて、当選者とポラロイド写真を撮る。


こんなに人がいるなかで10人なんだもの。相当の倍率ね・・・。


いろいろ花束もらったり、プレゼントもらったりして、さばいていく。


あ、いたいた和気さん。


やっぱりきたんだ・・・。


今日は議員バッチつけてないけど、オーナールームに行くわけだから、スーツ着ている。


私もこれが終わったらきちんとワンピース着て帽子をかぶって和気さんのお父様のいるオーナールームに行くことになっているの。


和気さんは不機嫌そうな顔をして私を見つめている。


もしかして焼いてる?


これは仕事だよ・・・。


仕事が終わって私はフリー。私は北野彩夏から和気彩子になる。


今日は上半期の最大レースだもん。


きちんとフォーマルで・・・。


髪形も変えて、メイクも変えて、清楚に・・・。


そして荷物は、関係者の駐車場にある和気さんの車に和気さんと積みにいって、和気さんとともにお父さんの待つオーナールームへ・・・。お母様もお兄様も、敏明君もきていたの。敏明くんったら私のフォーマルワンピース姿を見て顔を赤らめてたの。

「お姉さん、トークショーよかったよ。」

敏明君は私よりもふたつ年上なんだけど、お兄さんのお嫁さんってことでお姉さんと呼んでくれる。

「あのポスター欲しかったな・・・。」

「じゃ、今度送ってあげる。そんなに欲しいの?いろいろあるよ。CM関係とか・・。」

「欲しい欲しい。特にJALのが欲しいな・・・あれが一番いいよね・・・。むっちゃ楽しみ・・・。」

和気さんはゴホンと咳をして盛り上がっている私と敏明君を黙らそうとしているんだろうな・・・。


私は和気さんの腕を掴んでじっと和気さんの瞳を見つめてごめんね表情。


和気さんは顔を赤らめて、照れ笑い・・・。


これが一番効くんだよね・・・。


宝塚記念のパドックが始まる。みんなでパドックまで降りていろんなオーナーさんと話しながらパドックを見つめてた。


結構オーナー同士棘のある会話なのは笑ったけどね・・・。


あたしと和気さんはそっとみんなにわからないように手をつないでた。


相変わらず和気さんのグローブのような分厚い手・・・。


そして暖かい・・・。


このまま別に子供がいなくたって、いいんじゃないかな・・・。


2人でこうしている事が一番の幸せなんだもん・・・。


相変わらず竹下悠は私のほうを見ていた。


もちろんそっと手をつないで和気さんとラブラブモードの私を・・・。

竹下悠
そしてレースが始まる。宝塚記念独自のファンファーレが流れ、一頭、一頭ゲートにはいって行く。そしてゲートが開いたんだけど、いつも出遅れる事がなかった竹下悠がこの日に限って大幅に出遅れ。中盤まで一番後ろを走っている。


和気さんのお父さんは相当怒っているのよね・・・。


すると竹下悠は何もやっていないのにワキノカミカゼ自身が動き出し、ずんずん前に行くのよ。ああ、馬が急ぎすぎと思ってか、竹下悠が手綱を引っ張って速度を落とそうとするんだけど、言うことを聞かず、最終コーナーにはもう先頭を走っている。


必死に走っているのがわかるのよね・・・。


竹下悠も手綱を緩めてもうやけくそ状態って事が素人の私でもわかるよ・・・。


鞭さえ入れずに何とか2着馬と鼻差で優勝したのはいいんだけど、竹下悠はゴール後すぐ馬を降りてワキノカミカゼの歩様を確かめる。


なんだかおかしい歩様。


後ろ左足を異様に気にしている。


竹下悠はゼッケンなどをはずすと、たくさんの職員が集まってきてワキノカミカゼを取り囲み馬体検査。


ついには馬運車まで入ってきて、ワキノカミカゼを乗せてコースを出て行くの。


場内は優勝馬の故障に大騒ぎ・・・。


特にこれからという馬だったから、お父さんは相当怒って、オーナールームを出て行った。

 優勝馬無しの表彰式・・・。もちろん記念撮影なんてない。


お父さんは期待していた馬の故障にうなだれ、獣医の診察結果を待つ。


ひどい場合は安楽死。


お父さんは竹下悠を呼びつけ、レース内容を問い詰める。


きっと無理して一生懸命走ったのが原因だろうな・・・。あんなに出遅れてしまったんだから・・・。

「竹下君、もうお前は使わん。今度の秋華賞は武君に頼むからもういい。もううちの馬に乗らんでくれ。特に今度は牝馬3冠がかかっているんだからな。いいか。」

「はいわかりました・・・失礼します・・・。」

竹下悠はうなだれた様子でお父さんの前から立ち去った。

 次の日、ワキノカミカゼの診断結果が出た。


予後不良という安楽死は免れたものの、競走馬としての能力を失い、引退後種牡馬として引き取られていったのよね・・・。


これもしょうがないこと・・・。


スポーツ新聞の一面は宝塚記念優勝馬の故障と、引退、そして種牡馬入りの記事。


そして小さく竹下悠が騎乗をはずされた記事も書かれている。


もちろん今までの優勝経験のほとんどはお父さんの馬のおかげだったから、忘れられる存在になるんだろうか・・・。


かわいそうだといえばそうかもしれないんだけど、レースに集中しなかった彼が悪いんだから・・・。


ドリーム・クエスト  (33-1)政界パーティーデビュー

「彩子、今度の土曜日の夜仕事?」


っておねえちゃんから電話があった・・・。別に予定が無かったから承知したのよね・・・。


夏のある日のことなのよ。


テレビ局から正式に内定をもらって、あとは就職を待つのみ。


パーティは何度も行ったことある。


特に和気さんのお父さんの馬が桜花賞にオークスを勝って牝馬2冠馬になった時には、私は牝馬GⅠレース のイメージキャラみたいなことをしているから、和気家の嫁としてではなく、北野彩夏としてパーティーに出席したの。


これだけじゃない。よくブランドの新作発表の時とかも呼ばれるの。たまになぜか和気さんも呼ばれたりして・・・。今年のいい夫婦の日に選ばれたりして?


だからパーティーは大丈夫だと思ってたのよね。

姉妹
私はおねえちゃんと広尾のお洒落なお店へ・・・。

「いい?今日はみんな政治家の奥様たちなの。特に私達が一番若いから気をつけてね・・・。失敗したら旦那様の恥になることだから。」

え?ということは政界関係???これは初めて・・・。


そういえば私は代議士の妻だった・・・。


「あと、子供のこととかいろいろいわれると思うけど、はっきり言っちゃだめよ。まだとかいらないとか・・・。わかった?やんわりとね・・・。」


きっとおねえちゃんも結婚した20歳の時に言われたんだわ・・・。


私も和気さんと正式に結婚して半年・・・。


入籍も入れたら1年半。


言われてもいいかもしれないよね・・・和気さんも28だし・・・。


 案の定、興味津々なおば様方が私に詰め寄ってくる。特に私はタレント北野彩夏。サインや写真を求められることもあった。お子様が私の年代が多いのかな・・・。


息子がとか娘がとか言って・・・。


そしてお姉ちゃんというとおり・・・。


「お子様はまだ?和気補佐官の奥様はタレントですものね・・・。」

「弐條補佐官のところみたいにお子様がいれば、和気補佐官もきっと張り合いが出ていいでしょうね・・・。」

「あ、来春アナウンサーになるんですよね・・・失礼しました・・・。まだまだということね・・・。」


やはり私が学生だし、働いていることを知っているからみんな私が言うまでに退散していくのよね・・・。


まあ安心・・・。


お姉ちゃんの言うとおり、微笑んでさえいればいいってことよくわかったわ・・・。


でしゃばらないことが一番なのよ・・・。


私が一番若い代議士の妻なんだから・・・。


帰り道、お姉ちゃんは私に言う。


「あんたはいいわよね・・・学生だし、働いているから、婦人会のお茶会に参加しなくていいんだもの・・・。来月総勢12人の奥様がうちにお茶しにくるんだから・・・今から何お茶菓子を作ろうか悩むのよ・・・。ま、あんたと違ってお子様攻撃は無いけどね・・・。今度はうちのこの幼稚園の話になるわよ・・・。もうそろそろ考えないとね・・・。お受験するならそれなりにしないと・・・もう2歳だし・・・。」


ホント溜め息ついてたの。


専業主婦だから大変よね・・・付き合い大変そう・・・。


そういえば、明日朝一番の飛行機で大阪空港に行って即阪神競馬場・・・。


宝塚記念の前に昼休みにトークショーが入っているのよね・・・。


もちろん和気さんのお父さんの馬、ワキノカミカゼも出るらしくって・・・。


ということはあの竹下悠とも会うのか・・・。


牝馬2冠馬ワキノヒメギミが優勝した時会って一緒にみんなで写真を撮ったんだ・・・。いつも私のことばかりじっと見てね、うっとうしいのよね・・・。


和気さんのお父さんが悠君を使う限り、今年いっぱいは会う回数が多いよきっと・・・。


(つづく)



ドリーム・クエスト (32)新生活

 4月、彩子のお父さんから、マンションを受け継いだ。お父さんは3月末までに名義変更をしてくれて、この俺の名義にしてくれたんや。もう築7年。内装だけでもリフォームしようと思って、俺と彩子はリフォームが終わるまで2人で議員宿舎に仮住まい・・・。ま、二階堂もいるわけなんだけど・・・。


工事中は近所迷惑だから俺と彩子は近所に挨拶にいた。もちろん公人である俺と彩子が挨拶に来たもんだからみんな驚いてたりしたけど・・・。5月末には完成。そして引っ越す。ここで新しい生活が始まるんだ。


もちろん完成後は、もう一度引越しのご挨拶に回り、議員宿舎のほうは返上した。ま、二階堂はビジネスホテル住まいをしてもらったんだけどね・・・。もう堂々と2人で夫婦生活が出来ると思うとうれしくてたまんないよ。

 新生活が始まるということで、俺は姉貴の言ったとおり、彩子を連れて表参道近くの姉貴の病院へ行く。もちろん彩子にいっていない。姉貴は日曜日というのに俺たち夫婦のために診察室を開けてくれる。

「なに?どこに行くの?和気さん。」

「ん?ちょっとな・・・。将来のためにしておかないといけない事があるんや。」

そう・・・この俺には後継者が必要や。姉貴が言うようにもし子供が出来にくい体だったら???


姉貴の病院は結婚前にこういう検査をしましょうって言うことを推奨しているんだ。出来るだけ早めに治療していたほうがいいというし・・・。でもこれはあくまでも二人の意思を尊重した上でのことで・・・。でもうちの場合は死活問題。政治家やからね・・・。

「え、ここって・・・。」

彩子は産婦人科の前だったから驚いてたよ。というより怒ってた。

「何で?私妊娠してないし、どこも悪くないし・・・。」

「ここは姉貴の病院だよ。姉貴と約束しているんだ。」

「嫌よ。」

「いいから、俺たちには子供が必要だろ・・・。まだ先だといっても・・・。姉貴の話を聞くのもいいんじゃないかな・・・。」

姉貴
なんとか彩子は姉貴に会ってくれた。姉貴はやさしくそして詳しく彩子に話してくれて、何とか納得してくれた。

「そうだよね・・・欲しい時に和気さんの子供が出来なかったら悲しいもんね・・・。わかった・・・。」

「ごめんな・・・。」

こういう検査は結構辛いって聞いたんだ。案の定彩子はつらそうな顔をして俺の顔を見た。そして俺は彩子の手を握り締めて、終わるのをまったんや。

 姉貴は彩子の診察結果と、先日受けた俺の結果を見て溜め息をつく。

「姉貴、ちゃんと言ってくれよ。」

「んん・・・いい?ショックを受けないでよ・・・。」

俺と彩子は向かい合ってうなずいた。

「まず泰明、この前の検査の結果なんだけど・・・。あんたは数が少ないよ。普通の数%ってところかな・・・。まあ原因はお母さんから聞いたからわかったけどね・・・。彩子さんは卵管が癒着していて・・・。それをなんとかしないと・・・。もしかしてそれだけじゃないかもしれないけれど・・・。どうする?大変だけど、治療するの?彩子さんは何とかなるかもしれないけれど、泰明がね・・・。二人でよく相談して決めなさい。私がちゃんと協力してあげるから・・・。」

姉貴はうなだれながら、診察室を出て行く。


やっぱりこの前できなかったのはそういうことか・・・。


最悪な結果・・・。

俺たちは姉貴の病院を出て自宅に戻った。複雑・・・。


「和気さん、私まだ子供要らないから、欲しくなったら病院行くよ。まだ私たちには必要ないからきっと出来ないんだよね・・・。」

「きっと神さんが僕らに必要になったら授けてくれるんだし、まだ気楽に過ごそうか・・・。」

「うんそうだね・・・。」


ま、このときはホントに子供はまだまだだと思っていたから、治療はしないことにしたんや。


この選択が将来苦労するきっかけになるなんて思ってなかったけどな・・・。


ドリーム・クエスト (31)自衛官清原との関係

あたしは次の日光子さんにちびちゃんたちを頼んで四谷の清原さんのマンションへ。


『今から行きます。』


と一言メールを入れて・・・。


『了解、待っているよ。』


と即返事のメール。


あたしは電車を乗り継ぎ、指定された四谷のマンション前に立つの。あたしは深呼吸をして清原さんの部屋の前に立ち、玄関のボタンを押す。すると待ってましたというように清原さんが出てきて、あたしの手を引き抱きしめキスをする。そしてあたしの左薬指から雅和さんが留学中ニューヨークで買ってきてくれた結婚指輪をはずし、玄関の靴箱の上にそっと清原さんは置いた。そして鍵とチェーンをかける。


「よく来てくれたね。綾乃。あがりなよ。」


今まで綾乃さんって言ってた人が急に呼び捨て。あたしは今日はっきり話をつけようとここに来たのよ。


結構新しい1DKのマンション。清原さんはまずあたしにお茶を入れてくれて、ソファーに座らせる。


「変なものは入っていないからお茶くらい飲んで・・・。」

清原にやり
ここまでは前の清原さんと同じなんだけど・・・。


(キスとハグは別!)


これからあたしに何をしろというの?清原さんはあたしの顔をじっと見て言う。


「ホント、きれいになったよね・・・。あの頃は可愛い感じだったのに・・・女になったって感じで。もう24だもんな・・・・。そういや俺は10年前から知っているんだもの。」


そう、清原さんとはあたしが14の時、パパがイギリス駐在中に知り合ったんだ。


「今日だけにしてくれる?お願いだから・・・。これっておかしいと思うの。」

「何がおかしいの?俺は夫婦ごっこがしたいだけなのに・・・。」

「夫婦ごっこ???」


そういうと清原さんはあたしを抱き上げてベッドの上に横にする。そしてあたしを押さえつける。


「今日の綾乃は俺の妻だよ。旦那が妻を愛するのは当然じゃないか・・・。」


そういうとあたしにキスをし、耳元で言う。


「弐條に言うよ。それとも弐條のHPにコメント書き込んだほうがいい?奥さんの初妊娠の相手は弐條じゃないって・・・。そのほうが効果的かな・・・。」


そんなの困る。はじめの妊娠は雅和さんの子だって雅和さんに言ったの・・・。


あたしは言われるがまま、清原さんに愛される。


ああ私の悪いくせ・・・。


雅和さんのことを出されると・・・。


あたしは清原さんに愛された後、うなだれながらシャワーを浴び、着替えて帰路につく。


このような二重生活が2ヶ月続いた。


月に2回・・・。


今日はこれで4回目・・・。


もう精神的に辛くなってきた。


月に2回昼に清原さんに愛され、夜はいつもの雅和さんとの夫婦生活。


何がなんだかわからなくなった。


もちろん清原さんの一方的な愛・・・。


清原さんに愛されている途中、玄関のベルがなる。


はじめ、清原さんは無視してあたしを抱いているんだけど、しつこいから清原さんは途中でやめて服を軽く着て、玄関を開ける。


博雅怒る
今日はチェーンをかけ忘れたのかな・・・。バ~~~~ンって扉が開く。


「源!突然なんだ!」

「清原先輩!綾乃がここにいるんだろ!入らせてもらいます!」


お、お兄ちゃん!!!!


あたしは布団を被り、こっちに向かってくる足跡におびえるの。清原さんとお兄ちゃんはいろいろ言い合いながらあたしのいるベッドへ・・・。


「あ、綾乃・・・・。き、清原~~~~~!!!!」


お兄ちゃんは清原さんに掴みかかって一発殴った。二人はホント喧嘩になって、警察沙汰になる寸前!


「待って!!!やめて!!!お兄ちゃん!!!」


特別国家公務員の2人と代議士の妻のあたしが警察沙汰になったらもうみんな身の破滅だよ。


特にあたしなんか不倫だよ・・・。


マスコミに知れたら雅和さんはいい笑いもの・・・。今の補佐官を辞任しないといけないんだもの・・・。


お兄ちゃんはあたしの服をかき集めて渡して優しくこう言ってくれた。


「綾乃お前は悪くない。悪いのは清原だ。おととい美月から聞いたんだ。職場から綾乃の家に電話してもいないし、携帯も出ない。市ヶ谷駐屯地に問い合わせたら清原は非番だと・・・。だから俺は綾乃のために朝霞を抜け出して急いでここに来たんだよ。今は俺のほうが上官だ。俺のほうが階級が高いんだ。先輩後輩なんて関係ない!!!清原、俺はお前のこといい先輩だと思っていたが、違った。もう絶交だ。もちろん、また綾乃に手を出すようだったら防衛部長に報告する。元陸上幕僚長の娘を脅したって言えば、きっとただではすまないだろうね。さ、綾乃行くぞ。」


着替え終わったあたしをお兄ちゃんは連れて帰ってくれた。そして車の中でお兄ちゃんは言ったの・・・。


「安心しろ。弐條君には言わないから。お前も辛かったんだもんな・・・。もう忘れよう。また何かあれば兄ちゃんが何とかしてやるからな。親父にも清原と付き合わないように言っておくよ。もちろん理由はいわないけど。いいな綾乃。」

「うん・・・ありがとうお兄ちゃん。感謝するね・・・。」


お兄ちゃん,清原さんに殴られたあざをなでながら微笑んでくれたの。


美月さんがお兄ちゃんに言ってくれて、お兄ちゃんが助けてくれなかったら、あたしいつまでも二重生活をしなくちゃいけなかったんだよね・・・。


ホントありがとう・・・。


妹想いのお兄ちゃんでよかったよ・・・。


あの後清原さんは自ら志願して実家のある西部方面隊に異動したって聞いた。もちろん出世なんて関係ない部署に配属されたらしいのね。もうこれで会わなくていいんだよってお兄ちゃんは言ってくれた。また雅和さんにはいえない秘密が出来てしまったんだけど、今度はお兄ちゃんがあたしを守ってくれるんだと思うと、なんだかホッとしたの。



ドリーム・クエスト  (30)綾乃の意を決した告白

 雅和さんは南麻布の家にパパと彩子を送り届けて、広尾の自宅に戻ったの。なんだか少し機嫌が悪いのかな・・・。帰ってくるとすぐに夜行くお店に電話して人数の追加の確認をしている。官邸の人たちでよく昼食会に使うお店だから融通が聞くらしいの。予約時間は18時。紀尾井町だから、ここから車だとそんなにかからない。


さっきまで雅と彬は光子さんが見ていてくれた。雅と彬はあとひと月で2歳だからよく言いつけを聞いておとなしく美津子さんと待ってくれるから助かるわ。お食事会はこの2人を連れて行かないと・・・。お行儀はいいから安心。彬は口数が少ないんだけど、雅は2歳になっていないのによくしゃべる。


「ママァ~~~あきが・・・・。」

「どうしたの?雅。」

「パシンしたのよ。」


彬は口数が少ない分たまにだけど、雅に反抗する時に叩いたりするのよね・・・。


「ねえねきあいら。(ねえね嫌いだ)」


また雅が彬のおもちゃを取ったんでしょうね・・・。それくらいしか怒らないもん彬は・・・。雅よりひとまわり小さな彬。よく風邪引くし、熱を出すのよ。小さく生まれたんだもん仕方ないか・・・。しょっちゅう病院通い。いつまでも光子さんにお世話になりっぱなしはだめなんだけど、ついね・・・。


「綾乃、用意できたか?」

「ちょっと待ってよ・・・。」


あたしは雅と彬にお出かけ用の服を着せて、マザーバックに必要なものを詰め込む。


「パパ、あっこ(だっこ)!」

「雅は甘えたさんだな・・・。」


雅和さんは雅と彬に靴を履かせると、雅を抱き上げて家を出る。その後あたしは彬の手を引いてついていくの。


「光子さん。留守番お願いします。」

「はい、若奥様。」


あたしは地下にある駐車場に向かう。雅和さんがプリウスの後部座席のチャイルドシートに雅と彬を乗せてくれるの。ホントにうちのちびちゃんたちは大きくなったよね・・・。ひと月半早く生まれた二卵生の双子ちゃん。雅はあたしの小さい頃、彬は雅和さんの小さい頃にそっくりらしいわ。


「さ、出発進行!」


雅和さんがそう声をかけると、彬が喜んで同じように言うの。


「チュッパチュシンコ~~~」


彬はとても電車好き、大きくなったら電車の運転手になるんだって。お気に入りの電車のおもちゃを握り締めて雅和さんと電車の話で盛り上がっている。


彬のおかげかな・・・。雅和さんは最近電車が怖いと思わなくなったのは・・・。雅和さんはいつも彬のためにいろいろ電車の名前とか一生懸命覚えているのよ。


パパ好きの雅はそれが気に入らないみたいで、よく彬のおもちゃを取り上げている。それでよく喧嘩になるのよね・・・。


ホテルのロビーには、もうお兄ちゃん家族が着いていた。お兄ちゃん、美月さん、うちのこと同じ生年月日の静ちゃん。そして年末に生まれた孝博君。雅と彬はいとこの静ちゃんを見つけると走っていく。


「しずた~~~ん」

「み~~~た~~~~ん!あ~~~た~~~~ん!」


キャッキャッと騒ぎ走り回る3人を見て躾に厳しいお兄ちゃんはすごく怒っていた。それを見てあたしと雅和さんは笑ってたんだけど・・・。すると、パパと彩子が合流。


「あれ?彩子、和気さんは?」

「赤坂議員宿舎から歩いてくるんだって。すぐそこだもん。」


すぐそこって言っても歩いて20分くらいはかかるんじゃないかな・・・。ここは紀尾井町。赤坂議員宿舎は赤坂の南だし、端から端まで歩かないといけないのよ。


「だって、和気さんは油断すると太るって言うから、毎日国会まで歩いて行ってるんだよ。紀尾井町までなんてちょろいもんよ。」

「まあそうかもしれないけれど・・・。」


パパは4人の孫を一人一人抱き上げると、微笑んで言うの。


「清原は少し遅れるそうだよ。先にどうぞって・・・。雅、お前は一番重いぞ。」

「じいじだいちゅきよ。」


そういうと雅はパパの頬にキスするちょっとおませさん。パパも一番雅が可愛くってしょうがないみたい。


遅れて和気さんが入ってくる。ホント以前に比べてスリムになったのよね・・・。はじめて会った時は結構ガシッとして太目の上に彩子と結婚して10キロ近く太ったって言ってたもんだから・・・・。一月前の挙式までに彩子のために20キロダイエットした努力はすごいと思うわよ。聞いた話によると、毎日議員会館までジョギングして、和気さんの事務室で着替えてから官邸や議事堂に行ってたらしいし、赤坂の議員宿舎にはジムも完備されているから、暇さえあれば汗を流していたらしい。もちろん食事にも気を使って・・・・。いまだに続けているって言うのもすごいよね・・・。雅和さんも体力づくりしないとね・・・。でも太りにくい体質の雅和さんだもん・・・いいわよねえ・・・。


清原さん以外みんな揃ったし、時間になったから、お店に入ったの。ここのお店は結納があったとき以来。雅和さんは何度か来ているようだけど・・・。ちょっとしたら清原さんが謝りながら入ってきて、パパの退官祝いのお食事会が始まった。


みんなで乾杯して始まる。あたしはバックから雅と彬のエプロンを取り出して、特別に作ってもらったこの子達のお子様ランチを手助けしながら食べさせる。落ち着きのある彬は大体一人で食べるんだけど。雅はペラペラしゃべりながら食べるので大変よ・・・。


「ママ、おいちいね・・・。」

「そうね、彬。」


彬がゆっくり食べるのに対して雅は早いのよ・・・。もう好きなもの一通り食べちゃって、彬が大好物でおいてあるイチゴを狙っている。手を伸ばしてくる雅に対して彬は怒る。


「ねえねだめ!!!あきのいち!」


みんな微笑ましい光景としてみているんだけど、こっちは冷や冷やもの・・・。大騒ぎにはならないんだけど、もうちょっとしつけないと、ホテルで会食はちょっと・・・。まあこの年の子達に比べるとじっと座っているし、ちゃんと食べてくれるからお行儀はいいほうなんだろうけどね・・・・。


ああなんか視線を感じるんだよね・・・。やっぱり清原さんがこっち見ているのよ・・・。じっとあたしのほうを・・・。


うちのちびちゃんたちは食べるだけ食べると、おねむになる。そういえば光子さんが今日お昼寝していなかったって言ってたし・・・。あたしと雅和さんは一人ずつ抱いて、エプロンを脱がせると、横抱きして寝かしつけるの。彬も雅も指を吸って、すぐに寝てしまう・・・。これでゆっくり食べる事が出来る。座布団を借りそこにタオルを引いて寝かせると持参した毛布をかける。ああ静かになったわ・・・。ま、これが当たり前のあたし達の生活なのよ・・・。


お食事会も終盤に近づくと、雅和さんの携帯がなる。雅和さんは席を立ち、外で話をするの。一瞬ちびちゃんたちが起きそうだったんだけど、なんとか寝たままでホッとしたの。


「和気さんちょっと・・・。」


雅和さんは和気さんを呼んで何か話している。あの顔は仕事関係の電話なんだ・・・・。


「すみません、こういうときで申し訳ないのですが、緊急招集がかかりましたので、官邸のほうに行かないと・・・。」

「和気君もかね?」

「はい。内閣府関係者全員ですから・・・。北海道で地震がありまして、災害対策本部が出来ましたから。」


雅和さんはお兄ちゃんに今日の代金が入った袋を渡すと、和気さんと共に急いで店を出る。こういうことがあるかもしれないから、こうして紀尾井町のホテルの中のお店で会食なのよ。


私は雅和さんの忘れ物に気がついて、届けに行ったの。何とかロビーで渡せたから良かったんだけどね・・・・。あたしは元のお店に戻る途中、目の前に清原さんが立っている。


「清原さん・・・。」

「ちょっと時間いい?」

「戻らないと・・・。」

「ちょっとだけでいい・・・話がしたいんだ・・・。」


あたしは清原さんに引っ張られてここのホテルで有名な日本庭園へ・・・。もう夜だもん薄暗くって・・・・。ちょっとした明かりのみ・・・。

清原&綾乃「なんですか?清原さん。」

「綾乃さん、立派にお母さんしているんだね・・・。」

「ええ、何?そうそうなんで鈴華ちゃんと別れたの?結婚するんだって言ってたでしょ。鈴華ちゃん相当ショックだったのよ。」

「鈴華ちゃんからあることを聞いてしまったから・・・。」

「あること?」

「高校三年の11月、綾乃さんは流産したんだってね・・・。もしかして・・・?」


そういえば、ちびちゃんたちが生まれたころ、チラッと鈴華ちゃんに話した事があった・・・。


「もしかして俺の子じゃなかったの?弐條はきちんとしているから・・・・。その子は俺の子だろ!」


あたしは黙ったまま清原さんに背を向けてたの。すると清原さんはあたしを後ろから抱きしめるの。


「否定しないところを見るとホントなんだろ。どうしてあの時言わなかったんだ。言ってくれてたらそれなりの責任を・・・・。」

「だってあの時もう雅和さんと婚約していたし・・・。あのままだとしても堕胎させていたわ。」


すると清原さんは無理やりあたしにキスを!




「な、何を・・・!」

「弐條にばらされなかったら、この俺と付き合え。」

「脅迫するつもり?!」

「脅迫じゃない。契約だ。」

「脅迫じゃない!どこが契約なのよ!」

「俺は7年前の償いをする。綾乃さんの家庭を崩壊させない程度にね。俺は7年分の綾乃さんへの愛情を注ぎたい。、毎日会おうとかそういうものじゃない。時折あって、夫婦のように過ごしたい。あのとき、綾乃さんと弐條が婚約していなかったら俺は綾乃さんの妊娠を知って無理にでも結婚してたよ。」

「いやよ!」

「弐條は驚くだろうね。初めての妊娠は俺の子なんだから・・・。」


清原さんはあたしのポケットに何かを入れて立ち去っていく。


なんてひん曲がった考え方?鈴華ちゃん別れて正解だったよね。


あたしはもといたお店に戻ろうとしたの。振り返るとそこには美月さん・・・。あたしと美月さんは目があったの・・・。見られた?聞かれた?


「あ、綾乃さん・・・。彬君が起きて・・・・。」


美月さんは青ざめながら彬が起きたことを知らせてくれた・・・。


「美月さん・・・ありがとう・・・。」


あたしは今あったことを隠して二人でお店に戻った・・・。


「綾乃さん、さっき・・・。」

「な、何?」

「ううん・・・いい・・・。」


やっぱり美月さんにあたしと清原さんの関係を見られたみたいね・・・。清原さんは用事があるとか言って先に帰ったってパパが言ったの。彬は起きていてあたしに飛びついてくる。雅も丁度起きたようで、パパの膝の上に座ってパパのイチゴを食べていたの。


「綾乃、遅かったね・・・。雅ったらお前のイチゴまで食べたよ。」

「ちょっとね・・・。」


パパは子供や孫に囲まれてホントに幸せそうだったの。きっとあたしが一番信頼している部下にあんなこと言われているってきっと知らないんだろうな・・・。


家に戻るとちびちゃんたちと一緒にお風呂に入って寝かしつけた。ちびちゃんたちはよほど楽しかったのか、眠りながら笑っている。あたしは溜め息をついて子供部屋から出る。そして今日着た服をクリーニングに出そうと、ポケットを漁るの。


そしたら・・・そういえば清原さんは別れ際にあたしのポケットに何か入れてたんだわ・・・。


あたしは寝室に入って、それをみた。そこには合鍵と、住所、携帯番号と携帯アドレスと、シフト表。


非番の時に来いってことかな・・・。


官舎を出て今、四谷に住んでるんだ・・・。


どうしよう・・・雅和さんにばれたらきっと・・・。だからって従うのは・・・。


傷ついているのはあたしよ。さらに傷を深めるなんて・・・。


一番早い非番の日は明日。行くべきか行かざるべきか・・・。


雅和さんは夜遅く帰ってきた。思ったよりも被害が少なくって本部は一応解散。宿直の職員に任せて帰ってきたらしい。


雅和さんは寝ているちびちゃんたちの寝顔を見て微笑むと、スーツを脱いでお風呂に入り寝る。あたしは雅和さんと同じ布団の中で眠ろうとしている雅和さんに言ったの。


「雅和さん・・・明日急に友人と会うことになったの・・・。出かけていいかな・・・。」

「んん・・・行っておいでよ。遅くなるようだったらちゃんと電話を入れるんだよ。僕は明日本会議があるからもう寝るよ・・・。光子さんにちゃんとベビーシッターを頼みなよ。」

「うん。」


あたしは従うって言うか、明日きちんとケリをつけようと思ったの。


つける事が出来たらいいけれど・・・。



ドリーム・クエスト (29)陸上幕僚長の退官式

「弐條!早く出ないと間にあわんぞ!」


もう3月の末だ。


随分春を感じる日々。僕は同僚代議士で、義理の兄弟である和気さんに声をかけられ、休憩時間を使って国会議事堂を出ることになっている。休憩時間以降は欠席する。


早退早退!

ま、こんなことは初めてなんだけど・・・。先輩議員に挨拶をして僕たちは議事堂南にある衆議院門に横付けされた和気さんの私設秘書、二階堂さんの運転する車に乗り込んで、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地へ・・・。


そう今日は綾乃のお父さんの退官式。今日定年退官するんだ。お父さんは陸上自衛隊トップの幕僚長。やはり盛大な退官式だろう。僕と和気さんは家族として出席する。もちろん綾乃と綾乃のお兄さん夫婦、彩ちゃんも来る。朝霞駐屯地にいるお兄さんはこの日のために休みを取ったらしい。


市ヶ谷駐屯地の正門に着くと、前にはうちのプリウス・・・。ああ、綾乃たちだ・・・。前もってもらっていた許可書を見せて、車中荷物検査。ああじれったい・・・。さ、和気さんの車の番だ。国会議員の特権で検査無しで入れないだろうか・・・。和気さんは珍しくイライラしているようだ。


「早くしろ!」

「まあまあ和気さん慌てずに・・・。」


ホント僕はのんびりだなあ・・・。


何とか終わった車内検査。門番の自衛官に指定された駐車場へ向かう。駐車場では綾乃と彩ちゃんが待っている。


「和気さ~~~ん!」


彩ちゃんが手を振り、和気さんのところに走ってくる。ひと月前、正式に結婚したといっても、すれ違いの日々らしい・・・。ホント久しぶりに彩ちゃんに会うんだって。彩ちゃんは満面の笑みで和気さんを見て和気さんの腕に手をかける。本当に嬉しそうな顔だね・・・。綾乃も僕のほうに歩いてきて微笑んだんだ。


お兄さん夫婦も合流。すると、一人の自衛官がこちらに走ってくる。するとお兄さんがその自衛官に声をかける。


あ、例の清原さんだね・・・。久しぶりだ・・・。


「清原先輩、お久しぶりです。」

「おう!源。弐條さんに・・・和気さんですね。お待ちしておりました。さ、こちらへ・・・。」


昔いろいろあったんだよね・・・。この男と綾乃。いろいろ疑惑を持ったこともあった。


親友の響貴の妹と一時期付き合っていたらしいんだけど結局破局。


今34歳の独身。


いまだに綾乃のことを想っているんだろうか・・・。


綾乃は下を向いて僕の後ろを歩く。


「清原先輩、まだ結婚しないんですか?」

「もうしないよ。このまま一人でいるのが気楽でいい。」


そういうと綾乃のほうを見ているんだよね・・・。


やはり未だに・・・。


もちろん綾乃は僕と結婚して子供を産んでさらに女に磨きがかかった24歳。若き代議士夫人としてよくやってくれている。付き合いも大変なのに嫌とも言わないで僕のためにがんばっているんだもん。


綾乃は清原さんと何かあるのかな・・・。


目をあわそうとしないんだよね・・・。


時折溜め息なんかついたりしているし・・・。


僕たちは、清原さんに講堂(体育館かな)の退官式会場に案内され、家族用の椅子に座る。続々と退官式に出席する自衛官が入ってくる。やはり結婚発表してもいまだ人気がある彩ちゃんこと北野彩夏がいるからだろうか、若い一般自衛官たちが騒がしくする。


(おい!あれって北野彩夏だよな・・・。どうしてここにいるんだ?)

(もしかして幕僚長のお嬢さんか?お嬢さんは2人いるしな。)


幹部自衛官である清原さんが騒いでいる自衛官を怒鳴っている。


「静かにしろ!今日は幕僚長の退官式だぞ!わかっているのか!」


清原さんの一言で辺りは静まる。部隊は違っても位が上の幹部の言葉は絶対だからね・・・この世界は・・・。


源陸上幕僚長退官式
退官式が始まる。いろんな人の挨拶から始まり、そして陸自ナンバー1のお父さんの挨拶。そして次期幕僚長に任命された人の挨拶があって、そして家族による花束贈呈。一人一人紹介され、渡していくんだ。


『東部方面朝霞駐屯地所属後方支援部隊長、源博雅陸二佐殿そしてご夫人美月様』


綾乃のお兄さんはお父さんに花束を渡すと、お父さんに向かって敬礼をする。お父さんも敬礼をし、お兄さんの肩を叩く。


『内閣総理大臣広報担当補佐官衆議院議員、弐條雅和殿そしてご夫人、綾乃様。同補佐官衆議院議員、和気泰明殿そしてご夫人、彩子様・・・。』


僕たち4人一斉にお父さんに花束を渡し、一人一人と握手をするんだ。お父さんは珍しく泣いているんだよね・・・。


そして盛大な拍手。ホント大きな拍手・・・。お父さんはみんなに慕われた幕僚長だったしね・・・。厳しい人だったけれど、人情があって・・・・。僕もお父さんのことを尊敬しているんだよ。ま、以前の事故で助けていただいたって事もあるけれど・・・。


無事に退官式が終わると、たくさんの自衛官に囲まれて、見送られる。ここには陸自のほかに、海自、空自も入っているから、各幕僚長や上層幹部クラスの自衛官が見送りに来ているんだよね・・・。さらに防衛大臣まで?


お父さんは各幕僚長や防衛大臣と握手を交わしてお互いを称えあっている。ホント和やかの雰囲気でお父さんは市ヶ谷駐屯地を去った。きっとお父さんの人柄なんだろうね・・・。


「なあ弐條君。今晩の食事会なんだけど、清原君も呼んでいいだろうか・・・。」

「え?」


僕は今日のお父さんの定年退官のお祝いの席を用意したからだろうか、僕が運転する帰りの車の中でお父さんは僕に言ったんだ。清原さんはお父さんが一番可愛がっていた部下だからね・・・。以前は家族ぐるみの付き合いをしていたし・・・。しょうがないか・・・ちょっと嫌だけど・・・。


「ええ、構いませんよ・・・会場に連絡をしておきます・・・。」

「そうかありがとう。私も清原君に連絡を入れるよ。」


お父さんは早速清原さんに電話をしていたんだ。もちろん清原さんは来ることになって、僕と綾乃が結納を交わしたホテル内の料亭にすぐに追加の連絡を入れた。


なぜか綾乃は複雑な顔をして下を向いている。


なんなんだろうこの胸騒ぎは・・・。



ドリーム・クエスト (28)公になった二人の関係 2

 俺たちは夕方の新幹線で東京に戻った。


品川駅に着くと改札に彩子のマネージャーが待っていた。俺はマスコミ用の写真データを渡して、ここで彩子と別れる。俺は二階堂と共に赤坂にある議員宿舎に戻らなければならないんだから・・・。その日のうちに彩子の事務所はマスコミ各社にFAXを流す。


「マスコミ関連会社各位  当社所属タレント北野彩夏(21)は昨日内閣補佐官であり、衆議院議員和気泰明氏(27)と京都北山の某教会にて挙式いたしました。詳しい内容につきましては後ほど記者会見をさせていただきます。」


 俺は議員宿舎に着くと早速パソコンを立ち上げて北野彩夏のブログを見る。書いてるかいてる・・・。


『皆さんこんばんは!(*^ー^)ノ


昨日はブログUPしなくてすみませんでした。(。-人-。)


そういえば一昨日のブログで、京都でモデルの仕事って書いてましたよね。


でも実は私の大好きな人と挙式していました(///∇//)


でも私は知らなかったんです。仕事だと思っていったらそこには彼がいて・・・。実は結婚式だったんですよ。ま、半分仕事だったんですが・・・。携帯の写真で見にくいかもしれませんが、こういう感じです(///∇//)


お相手は代議士の和気泰明さん。2年前から付き合っていました。


当時私は普通のモデルで、和気さんは某代議士の秘書さんでした。だから私は和気さんが代議士だから結婚したんじゃないんですよ。(*^.^*)


和気さんったら私のための年末から20キロもダイエットしてくれてね。太目の彼が普通の彼になりました。そしてかっこよくなったのよね・・・。(//・_・//)


また記者会見とかできちんとお話しますので、ちょっと待ってね。とりあえずご報告まで。

北野彩夏。 


あ、一応和気さんのHPのリンクを張っておきます。(/ω\)  』


ええ、リンク張ってるの?

和気HP
俺は即自分のHPを見る。


かなりの勢いでアクセス数が増えてるんだよね・・・。


写真はダイエット前の写真。ああ写真を差し替えないといけないな・・・。


おおサーバーダウン寸前かも・・・。


弐條と違ってまったく今までメッセージが入らなかったのに・・・すごい数。


祝福メールならいいが、文句たらたら書いてるメール、脅迫まがいのものまで・・・。う~~~ん明日は二階堂に議事堂まで送ってもらうか・・・。報道陣もいそうだしな・・・。


「二階堂、今からで悪いけれど、適当に文章作っといてや。それを近所のコンビニでたくさんコピーしてさ、もし明日の朝報道陣がいそうだったら俺の代わりに配っといてや。」

「了解。」


ほんま二階堂は有能なやつや。俺がいった事を疲れているのに、いやとも言わず、自分のパソコンを出して仕事を始める。そして俺がHPの更新中に原案を出してくる。


「んん・・・これで頼むわあ・・。ひとまずプリントアウトしてさ、100部コピーしてきてや。領収書ももらってこいや。」

「了解。」


30分ほどしてコピーした紙と、夜食と朝食を買ってくる。ホントに気が利くいいやつだ。俺は夜食、朝食分の代金を渡して、領収書を受け取る。もちろん領収書は経費落としという事で、それ専用のファイルに入れておくのを忘れない。

ま、こんなやり取りはおいといて、俺は今日二階堂が撮ってくれた選りすぐりの写真から、トップページの写真を今の写真に変え、プライベート日記のところに彩子との婚礼写真のスナップを載せておいた。彩子が洋装を載せていたから、俺は装束を・・・。きちんと解説も載せて。

「昨日、私、和気泰明は挙式いたしました。


お相手はタレント北野彩夏さん。


我が和気家は代々昔ながらの装束で婚礼写真を撮るのが慣例でして、私は束帯を、彩夏さんは本式の十二単を着て撮影いたしました。


うちの秘書が撮った素人写真ですが、ご覧ください。


和気泰明」


はじめは載せるかどうか悩んだけどな・・・。


とても彩子がきれいに写っているスナップがあったから、これに決めたんや。


さ、明日、朝が怖いな・・・。


次の日、俺は朝早く起きて、身支度を整える。


さすがいつものように二階堂は朝が早い。


昨日、登院は車でって伝えておいたから、多分車をきれいにしてくれているんだろう。


あいつはそういうことするのは好きだからな・・・。


俺は車には疎いけれど、去年の春二階堂と相談して買った黒のアリスト。


買ったのはいいけれど、結構忙しすぎてあまり乗っていない。実は埃まみれ・・・。きっと二階堂は朝から洗車してくれているんだろう・・・。案の定、二階堂は汚れたタオルをかかえて戻ってきた。


「車洗車しといたぞ。ばっちりワックスもしといたからな。」

「で、外の様子は?」

「そうだな・・・。ちらほらいるぞ・・・。報道関係者。俺は顔を知られていないから、声さえかけられなかったけどな・・・。覚悟しとけよ。」

「んん・・・。」


朝食をとると、さあ出勤準備。きちんと髭を剃り、寝癖を治す。


二階堂は準備が整ったようで、身支度中の俺に声をかける。


「和気、車を正面玄関ロビー前までまわしとくから、早く降りて来いよ。」

「んん・・・。頼むな。コピー忘れるなよ。」


二階堂がスーツにIDをつけながらコートを着て部屋を出て行った。


俺も忘れ物がないか確認し戸締りをして下に降りる。俺は登院前に官邸へ行かないといけないので、ほかの代議士よりも早く宿舎を出る。案の定マスコミがいっぱい。玄関ロビーから出てくると一斉にマスコミが俺に近づいてくる。二階堂は運転席から飛び出してきて、車のドアを開け俺を乗せドアを閉める。


「和気さん!北野彩夏さんとのことで一言!」

「和気さん!」


二階堂は昨日作ったコピーの半分をマスコミの中の一人に渡す。


「これに和気補佐官の言葉が書かれておりますので、勘弁してください!」


二階堂はそういうと、車に詰め寄ってくるマスコミをどかしながら、運転席に乗り車を出す。


「官邸まで頼むよ。ごめんな二階堂。」

「いやいい。」


赤坂2丁目にある議員宿舎は歩いて官邸に行ける距離なんやけど、今の状況じゃ行けんやろ。


二階堂に官邸前で降ろしてもらって、官邸内に入り、自分のデスクに座る。もう同僚弐條は来ていた。


「和気さんおはようございます。朝から大変そうですね・・・。」

「ああ。朝からマスコミに囲まれたよ。」


ま、ここではみんな俺が北野彩夏と結婚していることを知っているから大騒ぎにはならないんだけどね・・・。


昼過ぎからは彩子が記者会見をするって言ったから、結婚会見は彩子のほうに任せよう・・・。


俺は国会で忙しいからね・・・。


はあぁ・・・・・・・





ドリーム・クエスト (28)公になった二人の関係 1

 1日目の挙式兼撮影を終え、俺と彩子はホテルにたどり着く。


疲れたけれど、今日は両家みんな揃っているから、夕食は両家会食となった。


俺の家族は父さん、母さん、兄貴夫婦、姉貴夫婦、そして弟の敏明。


彩子の家はお兄さんは自衛隊演習のため来れなくって、お父さんと彩子のお姉さんとその夫同僚の弐條。


うちの母さんが出席してくれるなんて信じられなかった。ずっと俺たちの関係を反対していたのに。


敏明が説得してくれんやろか・・・。


母さんは機嫌よさそうに彩子と話していた。


ひと安心だな・・・。


いろいろな和やかな雰囲気で会食が進んでいく。


「泰明君、春からは南麻布のマンションに彩子と住みなさい。」


と、彩子のお父さんは言う。彩子のお父さんは3月24日付で陸上自衛隊を定年退官する。そして神戸の家におばあさんと一緒に住むというのだ。


「ローンは完済しているし、あとは管理費とか固定資産税を払うだけだから安心していいよ。もちろん名義は泰明君に変えるから。ま、2人の結婚祝いかな・・・。」


ホントにお父さんには感謝せなあかんな・・・。


ま、会期が終わるまで議員宿舎にいるとするか・・・。


二階堂と同居やしな・・・。


次の日は例の衣装を着る。


和気家代々の平安装束。


彩子は朝早く起きて髪を黒く染め、ストレートにする。


撮影場所は京都でも有名な神社の境内。


何とか無理を言って撮影の許可を得たらしい・・・。


社務所を借りて着付けてもらう。


今日は父さん母さんが見守っているんや。


ホント彩子の十二単は本式なので相当重いと聞いた。


俺も普段着ない束帯を着付けてもらいながら、父さんと話していたんや。


「泰明、お前がきちんと和気家の慣例を守ってくれるとは思わなかったよ。こうして泰明の束帯姿を見れるなんてな・・・。ホントいいものだ。」


着付ける人はうまいのか全然苦しくない。


準備が整うと、撮影場所に・・・。


するともう彩子は撮影場所に立っていた。


ああ、これは夢でみたことがある・・・。


京都に墓参りに来たときにみた昔の夢・・・。

彩子十二単
彩子は撮影用に敷かれた赤い敷物の上に立ち、スタッフによって、きれいに写るように裾などを整えられている。


ホントに要望通りの垂らし髪に冠をつけた古式のスタイル。


もともと彩子の髪は肩甲骨下まであるので、それより下は付け毛。


彩子の白い肌に真っ赤な紅をつけて、どう見ても平安時代のお姫様って感じ・・・。


さすがモデルのプロだ。


重いはずなのにそんな表情など見せていない。


彩子は俺の束帯姿を見て微笑む。


俺はそっと彩子の側に立って背筋を伸ばす。


そして彩子の顔を見て微笑む。


今日は日曜日だから、観光客が多い。もちろん外国人御一行も多いんだよね・・・。

和気束帯突然の束帯と十二単の撮影にみんな足を止め、写真を撮る。誰もここにいち代議士と、人気タレントが婚姻写真を撮っているなんて気づかないだろうね・・・。


俺は杓(しゃく)を持ち、担当者に言われたようなポーズをとる。


時折風で動いた裾や髪などを直しにスタッフがやってきて直していく。


そして撮影が始まる。


カメラの後ろにいる父さんと母さんは俺たちの晴れ姿に涙ぐんでいる。


そしてたくさんの人人人・・・。


宮司さんもやってきて、嬉しそうにうなずいている。


「はい!お疲れ様でした!!!」


カメラマンが声をかけると、彩子は大きく息をして顔をゆがめる。


そしてスタッフからの大きな拍手。


つられてギャラリーまで。


「ああ終わった!!!重かったあ!!大変だね・・・昔の人は・・・。」

「いつもじゃないよ・・・。こんなの着るの・・・。」

「和気さんかっこいいよ・・・。似合うよね束帯。」

「彩子もホントに平安時代のお姫様のようだよ。」


もったいないから、二階堂にスナップ写真をいっぱい撮ってもらった。


二階堂はとても満足そうに俺たちを見てたよ。


時間かけてきつけたのにもう着替えないといけないんだよね・・・。


母さんも彩子の控え室で彩子の十二単姿をいっぱい撮っていたらしい。


もちろん俺も控え室で数枚撮ったよ・・・。


着替え終わると俺はスーツに着替えて、緊張のため忘れていたんだけど、宮司さんに名刺を渡して今日のお礼を言った。


もちろん俺の名刺を見て驚いていたんだよね・・・。代議士なもんで・・・。


彩子も着替え終わり、染めた黒髪を揺らしながら俺のところに走ってくる。そして俺の腕を掴んだ。


「終わったね!和気さん!これから何するの?」

「お昼食べてさ、昨日と今日の写真を選びに行こう。」


今はいいよね・・・デジカメだもん。すぐのパソコンとかで見る事が出来る。マスコミとかに結婚報告の写真を配らないといけないからね・・・。


「今日帰るんだよね・・・。もう1日和気さんと京都にいたかったな・・・。」

「しょうがないだろ、明日は議事堂に行かないと。通常国会の会期中だから・・・。」

「ああ残念・・・。また会えなくなるの?」

「ううん・・・。堂々と議員宿舎に来るといいし、俺も南麻布のマンションに行くよ。」


彩子は満面の笑みでこの俺に飛びついた。


「さあ行くぞ。」


父さんが俺たちに声をかけ、神社を出た。


ランチのあとは二階堂の実家の会社に言ってうちの両親と写真を眺めながら、ああでもないこうでもないといって写真を決めていく。さすが彩子はプロだ。失敗した顔などない。


マスコミ用にはお気に入りの昨日の写真を使うことにした。


一番きれいで微笑ましく写っているんだ。


一番俺たちらしい笑顔の写真。


「二階堂さん。今回の請求書は二階堂に渡してください。改めてお振込みを・・・。」

「いえいえ・・・いりませんよ。今回は来年に向けてのモデル撮影を前提にしたのですから・・・。宣伝費用と思えば安いもの。特に北野彩夏さんのモデル費用なら相当かかりますからね・・・。ギャラを差し上げたいくらいですよ・・・。」


なんと無料だって???


なんか法律に引っかからないだろうか・・・。


ちょっと心配・・・。


帰ったら六法全書を見ないと。


つづく



ドリーム・クエスト (27)京都での仕事?

 「彩夏、久しぶりにモデルの仕事だよ。」


後期試験が無事おわり、春休みに入った2月最終週のはじめ、そういってマネージャーから電話が入った。


ホント久しぶり。モデルの仕事って・・・。


なんと来年春用の新作のウェディングドレスをたくさん着るんだって・・・。


京都まで仕事って珍しいな・・・。


京都か・・・。


ああはじめて・・・ウェディングドレスを着るのって。


依頼主は京都で大手のウエディング総合企画会社。新作としてカタログに載せたいらしい・・・。めずらしく1泊2日のお仕事。


和気さんに週末会えないのは辛いけど・・・。


もう随分会っていないな・・・。


大阪での出来事以来だもん。


最近内閣府関係の会見は弐條のお兄ちゃんばかり出てるし、元気にしてるかな・・・。まあメールのやり取りとかはしているから元気なんだろうけれど・・・。


 私は指定された時間に品川駅の新幹線のホームに着いた。朝早い6時台の新幹線。9時前には京都に着く。


いろいろメイクとかで時間がかかるって聞いたからね・・・。


新郎役とかいるのかな・・・。もしかして私一人の撮影?


京都に着くと、依頼主の会社の人が迎えに来ていた。


私はマネージャーとともに用意された車に乗る。


2月末だから結構京都は冷える。


でも今日は違ってなんだか小春日和・・・。


この前まで雪が降っていたと聞いたのに、暖かい春のような陽気で・・・。


ロケ地は京都市の北山通り沿いにある小さな教会。結構お洒落で素敵なの。もちろん今日一日貸切。その一室を借りてヘアメイクをする。側には5点ほどの素敵なドレスとそれにあわせたブーケ。そして小物たち。手馴れたスタッフでテキパキと支度をする。


ここに入る前にみた撮影隊は本格的なスチール写真撮影用の人たちで、きちんと挨拶をしたわ。


ホント久しぶりモデルのお仕事・・・。


事前にサイズを報告してあったのか、ドレスのサイズはぴったりで、本当に結婚するみたい・・・。


4点までは教会前の素敵な庭で一人でいろいろポーズをつけて撮影・・・。


道路に面しているためか、ギャラリーが増える。


もちろん土曜日だもん。


(あれって、北野彩夏だよね・・・すごい仕事中???)

(超可愛い!)

(テレビで見るよりも細い!)


私はいろいろなポーズと表情で何枚も写真を撮った。


カメラマンは「いいよいいよ!」って言ってくれて、スタッフもさすが元カリスマモデルという。


また私は控え室に入って最後の1着に着替えるんだけど、もうお昼を過ぎて、おなかすいたから、ひとまず休憩。


ちょこっと軽食。


おなかいっぱい食べたら体の線に出ちゃうから、少しおなかに入れておくだけ。


終わったら食べたらいいしね・・・。


さあ仕切りなおし・・・。またメイクからはじめる。


「次は新郎もいるんですよ・・・。」


と、スタッフが微笑みながら私に言った。


きっとどこかのモデルさんよね・・・。


よくあるパターンだもの・・・。


イケメン系の・・・。


最後は私のお気に入りのAラインの素敵なドレス・・・。


清楚なんだけど、どこかのお姫様みたいな・・・。


今回はベールもつける。


本当に今から結婚するみたいな感じで・・・。


次は教会内で撮影なんだって・・・。


私は支度が整い、撮影場所と新郎役の準備が整うまで控え室で待つ。


「北野さん、どうぞ!」


女性スタッフが私に声をかけ、スタッフに手を引かれながら、教会の十字架の前へ向かう。


やはり何でこのドレスを屋内で撮るのかわかったわ。


だってドレスの後ろの裾が長いの。そしてベールも長い。私の後ろにはスタッフが数人付いて、裾がどこかに引っかからないかみているの。それほど長い立派なドレス・・・。


礼拝堂内に入ると、十字架の前で新郎役の人が立って十字架を眺めていた。


モデルじゃないよね・・・。


モデルのような8頭身じゃないもん・・・。


もしかして一般公募の人?


すらっとしているけれど結構肩幅があって・・・・。


あの後ろからみた感じ誰かに・・・ううんあの人がいるわけないもん・・・。


だって今日は仕事だよって・・・。


すると私がバージンロードの中間に来たころ、その人は私のほうを振り返るの。


「わ、和気さん????」


そう相手は私の旦那様、和気さんだった・・・。


そういえば和気さんはダイエットしているって言った。


すごく痩せて以前に比べてかっこよくなっている。


和気さんは私の顔を見て微笑んだ。私も和気さんの顔を見て微笑み、私は和気さんのもとに歩き出した。和気さんも私のほうへ来ると、私を抱きしめてくれた。


「驚いた?彩子。」

「和気さん・・・。すごく痩せて・・・。」

「うん、20キロ落とした。彩子、すごくきれいだよ。良かった似合って・・・。さ、おいで・・・。」


和気さんは私の手を引いて十字架の前へ・・・。


後ろを見てみると、和気さんのお父さん、お母さん、お兄さんお姉さん敏明君。そしてうちのパパ、弐條のお兄ちゃん、お姉ちゃん、そして二階堂さんが立っていた。


「撮影のついでに挙式も出来ることになったんだよ・・・。」


そういうと、和気さんは私の手を和気さんの腕にかけて、一緒に十字架の前に立った。そして挙式が始まった。神父に誘導され、聖歌や誓いの言葉、和気さんが用意してくれてたんだろう結婚指輪。和気さんが私の薬指に結婚指輪をはめてくれ、私も和気さんの指にはめる。そして私は少ししゃがんで和気さんがベールを上げて誓いのキス・・・。


これは模擬結婚式じゃない。


私と和気さんの本当の結婚式なんだ・・・・。


もちろん式最中はプロのカメラマンが何枚も撮ってくれている。


式が終わり、祭壇の前で、撮影・・・。


いろんな表情で・・・。


和気さんはとても緊張していたけれど、私の笑顔を見て緊張がほぐれたのか、微笑んで私の顔をみた。


これってモデル用の撮影?それとも・・・。

和気&彩子挙式
祭壇前の撮影を終えると、私たち2人は礼拝堂を出てごく身内の人からのライスシャワーを浴び、祝福されるの。そして身内だけ教会前で記念撮影・・・。本当に仕事半分挙式半分で、嬉しかった・・・。やっと和気さんと正式に結婚できたんだもの・・・。


私たちは嬉しさのあまり、人目を気にせずにキス。もちろん前の道を行き交う通行人は足を止め、私たちのことを見て驚く。


「もういいんだよ、公にして・・・。」


って和気さんが言った。


「え?」

「事務所、そして就職先、スポンサーから許可が出た。もう公にして、堂々と二人で過ごそう。もうこそこそ過ごすのはごめんだ。いいね、公にして・・・。」

「うん!」


あたしは和気さんに抱きつき、私からキス。身内のみんなは本当に微笑んで私たちを祝福してくれた。もちろん沿道の見知らぬ通行人たちも・・・。祝福の大きな拍手に包まれて、私たちは正式に夫婦になった。


ああこれからは和気さんの正式な妻としている事が出来る。


そして堂々と和気彩子として就職できるんだ。


嬉しくてたまんないよ・・・。


ありがとう和気さん、そして祝福してくれたみんな。私は幸せになるんだから・・・。

ホント和気さんっていい人だね。だってこうしてドッキリ挙式をしてくれるんだもの。和気さんらしいね。



ドリーム・クエスト (26)計画

 さあ通常国会が始まる。今年は俺の私設秘書・二階堂が会期中、上京してくる。


公設秘書2人では手が足りないからだ。


二階堂は議員会館の俺の事務所に詰めてくれる。会期中はこの俺と議員宿舎に同居することになるんだけど・・・。ま、俺の場合週末は南麻布に戻ろうとは思っているんだけどな・・・。


明日は会期開始前々日、朝一番の飛行機で二階堂はやってきた。もちろんたくさんの荷物は前もって宅配便で送ってきている。三ヵ月の同居だもんな。ずっとソファーで寝てもらうのもなんだから、簡易ベッドでも買おうか・・・。折りたたみ式のよく通販で売っているやつ。3LDKの部屋やから。一部屋空いているんで、そこを使ってもらおうと思っている。


「わかってるやろな。家賃はいらんから、光熱費は割り勘やで。そして女連れ込みも・・・。ここは議員宿舎やからそれなりの行動はせなあかん。近所には元総理の弐條さんもいるし・・・。この階は結構えらいさん多いから。気をつけろや。」

「へ~~あの弐條元総理がこんなとこいるんやね・・・。ええとこ住んでると思ったよ。」

「あの人は独身やし、息子の家に住むのはね・・・。同期の弐條は誘ったそうやけど・・・。」


俺は二階堂と共に買出し。宿舎には俺と彩子の食器しかないから、食器も買わないと・・・。


男同士の同居・・・。


なんか変な感じ。


二階堂用の小さな机も買わないと仕事できんしな・・・。


ホームセンターに行っていろいろ買って帰ってきた。


二階堂の部屋を作り終えるのに1日かかった。


二階堂はありあわせものもで夕飯を作ってくれたんや。


やはり地元で一人暮らししているだけあるわ。


彩子には負けるけど手際がいい。男の料理ってやつかな・・・。


俺と二階堂は二階堂が作った常夜鍋をつつきながら男2人の夕食。


「和気、ダイエットしたんか?痩せたよな・・・。」

「んん・・・。目標20kgや。ひと月で10キロ落とした。高校時代の体重にしたい。」

「そうか・・・高校時代は普通体形やったもんな・・・。再会した時は驚いたよ。」

「んん・・・彩子と出会ってから10キロ近く太ったしな・・・。」

「でもなんで?」

「彩子と結婚写真だけでも撮ろうと思って・・・。年末の体形じゃ彩子と釣り合わんからな・・・。俺も少しぐらいかっこよくならんと。」

「ふうん・・・。」


そうや、彩子の元彼みんな痩せ型あるいは普通体形。俺だけ太ってるんやから・・・。痩せて彩子を驚かせるつもり。


彩子に似合う体形になってから、彩子と写真を撮って公にするなりなんなりする。それが俺の目標。


最近痩せたせいか、以前のスーツが入るようになった。


年末実家の母さんが作ってくれたスーツも入るようになった。


(かあさんったら俺が私設秘書時代の体系のものを作ったから入らんかった・・・。)


あと10キロ痩せたら、全部新調せなあかんやろな・・・。


「二階堂、お前顔広いやろ、どこかで結婚写真を撮ってくれるとこ知らんか?もちろん貸衣装して・・・。」


二階堂は呆れた顔をして俺に言う。


二階堂指差し
「何で俺にいわへんの・・・。俺の実家・・・そういうことしてるやろ、京都で・・・。」


あ・・・そうや灯台下暗し・・・。二階堂の家は京都でも有名なウエディング総合企画会社・・・。今はやりの邸宅ウエディングから、簡単な写真まで・・・。ウエディングに関する全般をしてくれる大きな会社・・・。


はじめっから二階堂に頼めばよかった・・・。


二階堂は男ばっかり3兄弟の3男。


「じゃ、頼んでいいかな・・・。2月の土日やで。もちろんプライバシー厳守。」


二階堂は早速電話をかけてくれた。ま、何とか二階堂の親友である俺が使うってことで、2月末に押さえてもらった。いろいろあるから2日間。もちろん彩子には内緒で。それまでにあと10キロ痩せな・・・。


「二階堂のところはもちろん十二単と束帯あるやろうな・・・。」

「もちろん。お手軽のものから本式の物まである。何で?」

「うちの慣例で、代々結婚写真に新郎は束帯、新婦は十二単を着ることになってるんや。兄貴も姉貴も写真だけは撮ってる。もちろん今のような形ちゃうで、平安時代的なやつや。新婦の髪型は今の皇室がするような結ったやつじゃなくって・・・。」

「んん・・・なんとなくわかった・・・。週末来てくれって父さん言ってたわ。もちろん奥さんのサイズわかってるんやろな・・・。」

「だいたいな・・・。」


そう、うちは奈良時代から続く名家。平安時代末期には衰退したらしいけれど、京都で天皇家の医師として何とか続いてきた家系・・・。それを忘れないためか、代々平安装束に身を包んで挙式するんだけど、父さんの代から写真だけになった。それはしないとだめだろう・・・。ますます母さんは俺の結婚を許してくれないだろう・・・。和気家の慣例に従わないと・・・。


俺は二階堂と共に早速週末、二階堂の実家の会社へ行って要望を話す。


社長室に通され、まず名刺交換。


そして詳しく事情を話す。二階堂のお父さんは事情を知ってくれて、いろいろ聞いてくれた。


「わかりました。こちらも精一杯のことをいたしましょう。いつも正輝がお世話になっていますからね・・・。」


二階堂のお父さんはたくさんの衣装の写真をが張ったファイルを社員に持ってこさせ、俺は一つ一つ眺める。


「そうだ、和気さん。うちの新作を着ていただきましょう。ちょうどモデルを募集していたところですから。新郎が和気さんで新婦が北野彩夏さんでしたらちょうど宣伝になっていい。もちろんいろいろ勉強(サービス)させていただきます。もちろん例の装束も・・・。うちで一番いいものを着ていただきましょう!」


新作だけで10枚以上ある。その中でも彩子にあったデザインを選んでくれるようだ。会場も二日に分けてイメージに合ったところを探してくれるという。


これからの打ち合わせはメールと電話で・・・。俺は、前の週に衣装合わせせなあかんけどな・・・今よりも痩せるつもりやから・・・。俺は彩子のマネージャーに連絡を取ってスケジュール調整を頼んだし、二階堂のお父さんが、電話を代わっていろいろ内容を話してくれた。もちろんマネージャーは上司にすぐ相談して折り返し承諾を得る。


これであとはその日を待つのみ・・・。


予定の日は俺は最終の新幹線に乗って前入り。


国会が延びなかったらいいけどな・・・。


彩子はきっと驚くだろう。早く驚く顔を見てみたい。それまでに目標体重を・・・。





ドリーム・クエスト (25)ドキドキの日・・・

 俺は彩子を入籍記念日に無理やり抱いてしまった。それも超危険日に・・・。


  俺自身姉貴が産婦人科の優秀な医者やから、妊娠についての知識は十分ある。そして彩子のだいたいの周期もわかる。


ああこれで彩子の妊娠は確実かもしれないと、うなだれながら地元兵庫からスケジュールを済ませて議員宿舎に帰ってきたのは1月10日。


今彩子が妊娠したらやばいんや。仕事も絶好調で、来年4月からはアナウンサーになる事が内定している。こんな時に妊娠してしまったらと思うとぞっとする。


彩子は先に東京に帰っていたけれど、やはり売れっ子タレントやから帰ってすぐに仕事がたくさんある。もちろん別居状態。電話どころかメールさえ来ない。もしかしてまだ怒ってるんかも知れんけど・・・。


 最近姉貴は同じ産婦人科医である旦那と、東京表参道あたりで産婦人科病院を開業した。


お兄さんは産科の優秀な医師であり、そして姉貴は婦人科、特に不妊症の若き権威。


以前うちの親父の病院に勤めていた時、姉貴を頼って全国から患者がやってきた。


特に東京の人が多かったからか、こうして東京に独立開業したってことかな・・・。


名前は多田レディースクリニック。


この義兄さんも実は医師で有名な和気家の筋の人。


なんだかんだ言って和気家系の人と代々結婚してるんだよね・・・・兄貴もそうだもん。奥さんは和気家の分家の分家の半井家でだし・・・。(でも奥さんは管理栄養士)


父さんは違うけどね・・・。母さんは平家・・・。まったく和気家とは関係ない・・・。


(ただ当時適齢のお嬢さんがいなかったって聞いた。)


俺は姉貴とアポを取って妊娠しているかもわからない彩子のことを相談したんだよね。

和気姉
俺は表参道のある店で待ち合わせをして姉貴と会った。


もちろん個室のある・・・。


予約がいっぱいで忙しい姉貴はわざわざ俺のための時間を割いてくれた。


「何?泰明。どうしたの?泰明が私に相談だなんて珍しい・・・。」

「実は・・・。」


俺は彩子のことを相談した。


もちろん月のモノがあった日と、終わった日、周期、そしてあの日のことを、こと細かく言った。


姉貴はうなずきながらメモを取り、俺に言った。


「ま、正常な体だったら確率は高いわね・・・。そうね予定日は・・・9月26日ってとこかしら・・・。まあ、100%じゃないからね・・・。20日過ぎても生理が来ないようだったらうちに来たらいいわ。私が診てあげるから・・・。うちなら安心でしょ。ちゃんと秘密は守るしね・・・。」

「ありがとう姉貴・・・。感謝する。」

「あと、今のうちに彩子さん、検査しておいたほうがいいかもよ。あの子細いでしょ。もしかしたら欲しい時にできないかもしれないから・・・。いい、早めに見つけて治すのが一番なんだからね・・・・。」

「ああ・・・。またその時は頼むよ。」

「泰明もだよ、もちろん。女性だけが原因とは限らないんだし・・・。」

「んん・・・。」


姉貴は俺の頼んだものを払ってさっさと出て行った。


ホントにこういうことは姉貴に聞くのが一番だな・・・。


こういうとき、うちが医者一家でよかったよ・・・。


そしてついにその日がやってきた。


どうだろ・・・。


なんかあれば連絡があるんだろうけど・・・。


俺は彩子に電話をかけてみる。


まだ怒っているんやろうか・・・。


「もしもし・・・。俺やけど・・・。今いい?」

『和気さん?何?』

「今何してるの?この前はごめんな・・・。どうにかしてたよ・・・。」

『ううん・・・いいよ・・・和気さんも辛かったよね・・・いろいろな事があったから・・・。今ね、試験勉強中だよ。』

「風邪とか引いてない?気分悪いとかは?おなか痛い?」

『どうしたの?う~んそうだな。生理中でちょっとブルーなの。』


生理中???ってことは・・・できていなかったんだ・・・。


ホッとした・・・。


「彩子、体暖かくして風邪引かんようにな。試験終わったらまた会えるかな?」

『う~んどうかな・・・。私も会いたい。もうすぐしたら国会始まるんでしょ。お仕事がんばってね・・・。』

「うん。がんばるよ・・・。彩子もがんばって・・・。じゃあ・・・。」


俺は電話を切った。


ああよかった・・・。


でも姉貴の一言が気になる。


『あの子細いから・・・・欲しい時に出来ないかも・・・。』


まさかね・・・。


まだ子供が欲しいわけじゃないから・・・。


できていなくて助かった。


ホント結婚しているのになんと言う生活をしているんだろう・・・。


こうして別居だなんて・・・。


いつになったら普通の生活が出来るんだろう・・・。



ドリーム・クエスト (24)元彼に会う

 私は和気さんと無理やりの夫婦生活・・・。ショックでホテルを飛び出した。


あんな和気さんはみたことなかった。


年末から和気さんはいろいろ機嫌が悪かったし、私の元彼が昨日と今日和気さんの前に出てきたことで、きっとパニクってたのはわかる。でもひどいよ。無理やりだなんて・・・。


私はこの前こっそり和気さんの携帯から元彼であり、和気さんの私設秘書、二階堂さんの電話番号を拝借してたの。何かあったときに相談しようかなって思って。だって中学のころからの親友だって聞いてたから・・・。


和気さんのことで悩んだらいろいろ聞こうと思って私の携帯のアドレス帳に登録しておいた。もちろん名前は女の子の名前で和気さんにわからないように・・・。


そして私は二階堂さんの携帯に電話をしたの。


「もしもし・・・二階堂さん?」

『え?彩ちゃん???』

「今から会える?相談したい事があって・・・。」

『今どこ?』

「梅田・・・。今阪神前の陸橋にいるの・・・。」

『わかった今から会おう。30分したらそっちに行けるから、大阪中央郵便局の角で待っててよ。』

「うん・・・。」


私は二階堂さんの言うとおり中央郵便局の角で待った。


ビル風が身にしみる。


ほんの30分が長く感じた。


何度も和気さんから電話があったけど、着信拒否をした。


ホントにひどい・・・。


私の前に一台の車。


見たことのない黒いスカイライン。


窓が開き、二階堂さんが微笑んでいる。


「彩ちゃん乗って・・・。」


私は二階堂さんに言われるまま、助手席に乗る。


さすが車好きの二階堂さん。


きれいに整頓された車内。


大事に乗っているのがすぐわかる。


そのまま二階堂さんは阪神高速に乗って、大阪南港へ・・・


。海の近くに車を止めて、エンジンをかけたまま私に声をかけてくる。


「どうかしたの?彩ちゃんが俺に話って・・・。」


最近、秘書のスーツ姿しかみた事がない私・・・。


私服はやはり以前と同じ、お洒落でかっこいい。


「あのね・・・和気さんが変なの・・・。無理やり・・・。」

「え?!あの和気が???そんな・・・。」


私は二階堂さんに詳しく話した。


二階堂さんは心配そうな顔をして私を見つめてる。


そんな顔をしないでよ。二階堂さんのことまた好きになっちゃうじゃない・・・。


二階堂さんもまだ私の事が好きなのよね・・・。


二階堂さんは私のために近くにあるハイアットリージェンシーに空き室がないか電話してくれて、ツインルームを取ってくれた。


そして私と二階堂さんは同じ部屋に泊まることになった。

彩子&二階堂KISS
私と二階堂さんはまるで恋人同士のように抱き合って、キスをする。


ほんと長い長いキスで・・・・。


まあそれ以上のことはなかったんだけど・・・。


いいよね、これくらい・・・。


昔のことを思い出しちゃった・・・。


きっと二階堂さんはそれ以上のことを望んでいたんだろうけど、私が傷ついているのを察してか、寝ないで一晩中私の側についていてくれた。


何度か和気さんから私の居所を聞く電話があったみたい。もちろん二階堂さんは知らないといっていた。


朝、私は目覚めると、二階堂さんはいなかった。部屋のサイドテーブルの上にはホテル代と、飛行機代、そして伊丹空港までの交通費が置いてあった。


『彩ちゃんへ。きっと和気はおかしかったんだよ。最近いろいろありすぎたからね。許してやって。和気はあんなやつじゃないから。彩ちゃんが一番知っているだろ。俺は仕事があるから先に帰るけど、彩ちゃんはゆっくりして東京に帰ったらいい。  二階堂』


私は二階堂さんに感謝した。


借りを作ってしまったな・・・。


本当に和気さんの親友なんだ・・・。


私をいたわりつつ、和気さんのことも信じている。


二階堂さんはすごくいい人。


昔とまったく変わっていないね。


あのまま別れないでいたら、私は二階堂さんと結婚していたかもしれないな・・・。


ありがとう、二階堂さん・・・。


私は和気さんにメールで先に東京に帰ることを告げ、何とか取れた昼過ぎの飛行機で東京に帰った。



ドリーム・クエスト (23)なんであんなことを・・・

 俺は彩子がラジオ収録から出てくるのを待ち構える。あ、でてきた。


「じゃ!お疲れ様!」


そういって彩子はある男と手を振って別れてた。あれはマネージャーではない。もしかしてあれも元彼か?彩子は俺の姿に気がつくと、マネージャーに別れを告げて俺のほうへ走ってくる。そして俺の腕にしがみつく。今は夕方5時過ぎ。もう結構暗くなっているので、だれも北野彩夏と代議士が歩いているなんて気づかないだろう。俺自身もいつものスーツじゃなくって、OFFの格好だから・・・。


「さっき手を振っていたのは誰?」

「あの人?高校時代の友人だよ。今漫才しているんだって・・・。偶然収録一緒だったの。」


俺はピンと来た。そういえば、彩子の元彼の中に漫才師がいる・・・。ということは元彼か・・・・。


俺はある筋からいろいろ彩子の過去を調べてもらった。でるわ出るわ彩子の過去の男遍歴。俺を入れて総勢7人(ただし一人不明)。怪しい人物さらに2、3人。ただし、高校時代の夏から卒業までが不明・・・。弐條によると、彼氏が途切れたことはなかったって言ってたから、高校時代必ずいたんだろうけど・・・。


一人目はプロ野球選手の上杉修治、2人目はJRAジョッキー竹下悠。3人目吉本所属の漫才師徳島拓斗。4人目不明。5人目今ITで成功している若手起業家高島巧、6人目イケメンアクション俳優須藤脩登。そして7人目の俺。あとは恋人までに至っていない。


俺は彩子と宿泊先のホテル阪急インターナショナルの部屋でルームサービスを取って一緒に食事。


俺は珍しくイラついていた。


普通じゃないよな俺・・・。


今日昼食会を兼ねた関西出身党内議員との会合でも上の空で、弐條元総理に叱られた。叱られてもしょうがない。俺が悪いんだから・・・。


やはり二階堂の言うとおり嫉妬しているようだ。


彩子はもう関係ないからって言ってたけどな・・・。


俺は食べたものを廊下に出して、俺が持参してきたモバイルパソコンを出してブログの更新をしている彩子を抱きしめて無理やり彩子を抱く。


「やめて!和気さん!いや!」


嫌がる彩子を無視して・・・。彩子にたたかれようが引っかかれようが無視して彩子を無理やり抱いた。夫婦だからいいやんと開き直って・・・。


ことを済ませたあと、俺はタバコに火をつけて、夜景を眺めていた。


彩子は布団に包まって泣いている。


初めて彩子を無理やり抱いた。


何でやろ・・・こんなこと初めて・・・。


そして冷静になって気がついた。


やばい!危険日やった!!!もちろんいつものように避妊なんてしていない・・・。


そういや昨日彩子を抱こうとした時に危険日だからって断られたのを思い出した。


ああ、やってしまった・・・。ほぼ確定・・・。妊娠したら9月末あたりやな・・・・。


彩子はシャワーを浴びてから荷物をまとめて部屋を出て行ったのは言うまでもない。


どこにいったんやろ・・・。

和気悩む
俺は彩子に謝ろうと携帯に電話しても着信拒否された。


神戸のおばあちゃんのところかなって思って電話しても帰っていないという。


どこにいったんや・・・。


もしかして・・・・。


俺は関西在住の元彼の名前が頭に浮かぶ。


竹下悠?


徳島拓斗?


もしかして俺よりも長い付き合いをしたといわれる4人目?


俺は頭をかかえたまま、一晩中悩んでいた。


今日は彩子との入籍記念日やったのに・・・・。















ドリーム・クエスト  (22)元彼~3番目 人気漫才師

 前日、2番目の元彼、JRA若手トップジョッキー竹下悠と7年ぶりの再会をして、和気さんはとても機嫌が悪い。ホント去年の11月から私は元彼に出会ってしまう。はじめは4番目の彼だった現在和気さんの私設秘書をしている二階堂さんから始まり、クリスマスに再会した一人目の元彼、現在プロ野球選手の上杉さん。そして昨日の悠君・・・。このままだったら3人目、5人目、6人目まで出てきてしまう。和気さんは7人目の彼・・・そして旦那様・・・。


 今日はMラジオで深夜番組の収録。私は大阪梅田にマネージャーと集合して、梅田茶屋町にあるMへ・・・。ああここって私が入社試験受けたところよね・・・。結局最終選考で落とされたけれど・・・。


 まず収録前に打ち合わせ。MCのタレントさんと、台本見ながら流れを確認していく。実は初めてのラジオ出演なんだよね・・・。打ち合わせをしていると、あるゲストが遅れて入ってくる。


「すんません!前の営業が押してしまって・・・。」

「遅い!あれ?片割れは?」

「まだ移動中なんで、本番までには・・・。」


私は声のするほうを振り返ったの。なんとそこにいるのは3番目の元彼、徳島君。


「あ~~~彩ちゃんやろ?覚えてる?俺のこと。高1の時つきあっとった徳島拓斗や。」


そう、私はこの男と付き合っていたというか・・・。強引に連れまわされてたというほうが近いかも・・・。出会いは予備校通いの電車の中。初めて予備校に通う時に阪神電車の中で痴漢にあってこの徳島拓斗が助けてくれた。そして彼も同じ予備校。クラスは違ったけれど、その事が縁で付き合い始めたって言うか・・・。まあ強引って言うか・・・。「助けてやったんやから付き合え!」とか言ってね・・・。かっこよくて面白かったって言う印象しかない。夢は吉本に入るって言ってたな・・・。付き合ったのは二階堂さんと付き合う直前までで、やはり強引さにつかれたって言うか、束縛がひどくって・・・逃げたって言うか・・・。あまり良い印象がないこの男は・・・。

徳島拓斗
打ち合わせが終わって、収録前の休憩。拓斗くんは私にコーヒーを買ってきてくれて、昔の話をする。


「ほんま、北野彩夏が売れ出した時はびっくりしたわあ・・・。あ、彩ちゃんって思って・・・。」

「そう・・・。」

「あの時はごめんな・・・。いろいろ迷惑かけて・・・。あの頃は若かったからな・・・。彩ちゃんがほかの男としゃべったりしてるのが許せんかったんや。独り占めしたかったって言うのかな・・・。ホンマ短い4ヶ月やったけど、たのしかったんやで・・・。」


風の噂で、拓斗くんは関西大学に受かってすぐに吉本の養成所に入ってデビューして、去年の漫才の新人部門を総ナメにした、「ブラックボックス」っていう漫才コンビの片割れ。イケメンとブサイク男が面白い漫才をするってことで人気があるんだって・・・。


「ホンマなん。新しい彼は代議士やって?もしガセやったら、この俺ともう一度付き合わんかな・・・。」

「ガセじゃないよ・・・。ホントなの・・・。」

「そうか・・・。幸せか?」

「うん・・・。」

「ところでどこの局に内定もらった?」

「Fだよ。」

「じゃ、また会えるかも知れんな。春から俺、東京進出で、F中心でレギュラー番組もらったから・・・。」

「そう・・・。」


拓斗くんは私の手を握り締めていうの。


「ホンマ友達からでいいんや。お願いやから、やり直してくれへんかな・・・。まだ彩ちゃんが大好きなんや・・・・。」

「友達ならいいけど、それ以上は絶対無理だから・・・。ごめんね・・・。」

「そうだよな・・・。今いい人いるんだもんな・・・。いいよ友達で。メルアド教えてよ・・・。」

「彼に怒られるから教えないよ。ブログのほうに遊びに来てよ・・・。」


私たちは何もなかったようにラジオ番組を収録した。


そして手を振って別れる・・・。


7年も経つと人格変わったね・・・。結構芸人になるのに苦労したのかな・・・・。これからも大活躍するのを見守っています。


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さくらと空 
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