4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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四神降臨 復活編 第1章 始動 (7) 青勾玉
 校門に差し掛かったころ、一台の車が校門の前に止まる。そして一人の男の子が降りてきた。

「あ、生徒会長の九条竜哉(たつや)先輩だ。理事長さんのお孫さんなの・・・。」

すると私の胸元に掛けてある3個の勾玉のうちのひとつが震えだす。こんなことはここ数百年なかったことだ。

「朱央さん、どうかした?」
「いや・・・。何でもありません・・・。何でも・・・。」

なんだろうこの感覚は・・・。あの少年の顔・・・どこかで・・・。
私は色々思い起こしてみる。今までであった様々な人の顔を思い出してみる・・・。なかなか思い出せないまま、理事長室に入り、私は赴任の挨拶をするのだが。

「あなたが源朱央さんですか?文科省から伺っております。もともと文科省におられていたとか?史学専門で・・・。」
「はい・・・。文科省では史学について管理しておりました。」

そう私は文部科学省からここの学校へ派遣されたことになっている。もちろんそれは正しい歴史を教えるためというかなんというか。政府から依頼され受け入れた理事長は大喜びで、この私を疑うこともなく受け入れるのだ。まあ私は非常勤と言うことで担任は持たず、授業以外は自分の机に向かっているだけ。そして史学準備室というものがあり、そこを私の自室のように使っていいといわれている。まあ特命教師として動くわけだから、このような部屋は必要だ。

 あんなに震えていた青の勾玉。今はもういつもの静けさに戻っている。どうしてだろう。もしかして四神、青龍に関する者が現れたのか?そうだとしたら・・・今起こっている天変地異や、様々な不可解なことはもしかして・・・。

それならばこれはやばいことになりそうだ。
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四神降臨 復活編 第1章 始動 (6)新生活
 私はいつものように朝5時に起き、身を清めた後、御神体に祈りをささげる。熱心な信仰者は私と共に朝晩の勤めを行うのだ。お勤めが終わったあと、もちろん色々相談にのったりしている。ほとんどがお年寄りだけどね。みな私を慕い、頼ってくれる。よく家族間のトラブルの仲裁を頼まれたりするものだ。別にそういうことは苦ではない。そうであるからこそ、私のことを外部に公言しないのかもしれないね。

「朱央さま、そろそろ時間ですよ。」
「ああ、亜樹か。今母屋に行こうと思っていたんだよ。」

私は信仰者にお勤めの礼を言うと祠を出る。今日から私はいち教師である。特命教師であるけれどね。

朝食後、私は着替える。昨日用意したスーツを。着替え終わると神主をはじめ皆は驚く。

「んん・・・朱雀様、本当に普通の青年のように見えますよ。」
「キャーかっこいい!さすが朱雀様。」
「朱雀様は体形がよろしいからですわ。はい、お弁当です。亜樹のいる高校は学食がありますが、お口に合わないといけませんので、当分お弁当を・・・。」
「あ、ありがとうございます。」
「それと、これは定期です。亜樹とでしたら電車に乗れますか?使用方法は亜樹に聞いてください。」

 私は大き目のカバンにすべてを詰め込む。そのカバンを肩からかけ、神社を出る。小学生の登校時間に重なるのか、子供達が私の側に詰め寄り、挨拶をしていく。

「生き神様!おはよう!!!今度の休みさあ、境内で一緒に遊ぼうよ。」
「ああ、そうだね。早く学校へ行きなさい。」
「はあい!いってきます!!」

本当にこの町内の子供たちはいい子達ばかりだ。この町内の空気は活気に満ち溢れ、平和そのもの。そして昔ながらの交流も盛んな理想的な町・・・。居心地いい。
 
亜樹と共に、電車に乗る。実は初めてだ。なんとか亜樹のいうとおりに人でいっぱいの電車に乗り、何個目かの駅でおり、学校へ向かう。亜樹と同じ制服を着た生徒たちが続々と集まってくる。

「亜樹おはよう!あれえ?隣の人は誰?」
「私のいとこの朱央さんだよ。いい男でしょ。今日からうちの先生なんだよ。」
「へえ・・・亜樹にこんなかっこいい従兄がいたんだ。初耳・・・。」
「でしょ。ずっと遠いところで学生していたからねぇ・・・。」

私は照れながら亜樹の友達に挨拶を・・・。
おかしくないか?
普通の青年に見えるか?
それだけが心配だ。
本当にこの私は心配性みたいだね。

四神降臨 復活編 第1章 始動 (5)繁華街
 今の京都は昔ながらの風景を残しつつ、繁華街と言われるところもある。もちろん繁華街など行ったことはない。まずはJR京都駅前で色々探してみる。ここは百貨店というものがあり、いろいろここで揃ってしまうのだから便利なものだ。やはりこういうところは来たことがないから私はキョロキョロしてしまう。それを見て奥さんと亜樹はくすくすと笑う。

「そんなにおかしいですか?」
「もう朱央様ったら、イケメンの顔して行動はまるで・・・・くくくく・・・。」

イケメン?今時のかっこいい男ってことなのか?何度か亜樹からそういう言葉を聞いている。もちろん私は照れ笑い。

「ねぇママ、こうすると私と朱央様って恋人同士に見える?」

といって亜樹は私の腕に手を回してくる。

「どう見ても兄妹かしら・・・。まだ亜樹は16歳ですものね・・・。」
「え~~~そんな。ママったら意地悪。」

本当にこの家族は暖かくて居心地いい。代々この家系はそうだ。だからずっとお世話になっているのであろう・・・。

 たくさんの身の回りのものを買い揃え、帰路につく。やはりすごい量だ。大型の乗用車いっぱいになるもんだからね。もちろん私には母屋に私の部屋まで用意される。この日買った物を家具に整理していく。どう見たって私は現代人だ。私の今回の身分設定はここにいる亜樹のいとこになっている。そしてきちんと戸籍まで与えられるという徹底振り・・・。あとはどれだけ私が現代の人として振舞えるかどうかだねえ。

四神降臨 復活編 第1章 始動  (4)朱雀神社

「朱雀様、これを着てください。」


と、散髪屋のご主人。今時の髪型に散髪したあと、ご主人がこの私に今時の服をくれたのだ。


「すみません、息子のお下がりで・・・。こちらには息子さんがおらんから丁度いいと思いまして・・・。神主の私服ではねぇ・・・。これで四条河原町でも買出しにいけますよ。」

私は微笑み、散髪屋のご主人に礼を言う。もちろんこういう服は何度か近所を散歩の際に神主のものを借りたことがある。着方ぐらい知っている。そこまで私は時代遅れではない。試しに着てみると着物と違って楽でいい・・・。まあ和服の場合は気が引き締まっていいものだが。

「さすが朱雀様、どう見ても今時の青年ですね!かっこいいかも。」

神主の奥さんも私の姿を見て微笑んでいる。

「そうですね。我が家に息子がいればこういう感じかもしれません。さ、朱雀様、お買い物に行きましょう。それといつまでも朱雀様ではねぇ・・・。」

ホントそうだ・・・。もちろん私の本名朱央(すおう)と呼んでもらうこととなった。今日から私は朱央さんと呼ばれる。朱雀ではなく源朱央。

 我が朱雀神社は京都中心部から南、伏見の辺りにある。小さい神社だから地図にはあまり載らない。別名、火神神社。火の神を祭っているという意味だ。もちろん朱雀は火の鳥といわれる神獣。一部の古来から火を取り扱っている者が信仰しているほかは地元のものしか知られていないというべきか・・・。

「本当に朱雀様にはお世話になりっぱなしで・・・ここ何十年もいや何百年もこの町内では火事ひとつ起こらない。そしてやけどをする者も少ない・・・。消防団などないのも等しい・・・。また朱雀様のお札を頂戴していきますよ。」

「いえ、私の力だけではありませんよ。町内の皆さんが心がけているからこそ火事が起こらないのです。油断は禁物です。いいですか?」

私はお札の紙にササッと呪文を書き、息を吹きかける。これが朱雀神社のお札となる。まあこれがこの私の収入源となる。いつも気持ちだけの代金をもらうのだけど。ま、気持ちだけだからすごい人はど~~んと置いていく人もちらほら・・・。



四神降臨 復活編 第一章 始動  (3) 未解

「朱雀様。もう時間ですよ。」


と、私の末裔に当たる源亜樹が声をかける。ここの神社の神主の娘。巫女をしながら私の身の回りの手伝いをしてくれる。そしてこの時代のありとあらゆる情報を教えてくれるのだ。


「おはよう。亜樹殿。」

「もう、朱雀様たら、亜樹ちゃんでいいよ。今日は明日からの服とかをママと買いに行くんだから・・・。早く起きてご飯食べて。」

「ああ・・・。」

私と亜樹は母屋へ向かい、いつものように朝食をとる。本当にこう長く生きていると朝食も様変わりするものだ。私の場合、いつもはご飯食だが、亜樹の場合はパンとコーヒーを食べる。はじめてこれらを味わったときは驚いたが・・・。

「ねぇ朱雀様、今日は髪を切らないといけないよ。いつまでも垂らし髪じゃねぇ・・・。おかしいよ先生になるのに・・・。」

「後ろで結えばいいじゃないか・・・・。髪を切るなんてねぇ・・・。」

「そんな髪、流行らないよ・・・。近所の床屋さんが今時の髪型にしてくれるって言うから切ろうよね。今時出張してくれる床屋さんもいないよ・・・。みんな朱雀様を思ってやってくれるんだから・・・。」

まあ今まで近所以外公に姿を見せたことはなかったから、今時のことをしないといけないのは必然なのであろう。龍哉様がこの私の姿を見たらきっと苦笑されるであろうな・・・。

「もう、嫌なことがまた起きたねぇ・・・。行方不明だなんて・・・。」

テレビのニュースで入る速報。なんと米軍の潜水艦が日本海溝あたりで行方不明になったという。最近多い。日本海溝あたりで頻発する船や飛行機の行方不明事件。確かこの事も調査対象に入っていた。


先生をやりながら調査などできるのであろうか。


本当に疑問である。



四神降臨 復活編 第1章 始動 (2) 夢枕

 ああまた同じ夢を見てしまった・・・。龍哉様の夢を・・・。もうあれから150年近く経とうとしているのに・・・。本当にここ半年のうちに何度も・・・。それまでは龍哉様の夢など見たことはなかった・・・。


 この私、源朱央は今年で470歳を超えてしまった。私は人じゃないからね。私は朱雀の第2皇子。見た目はまだ青年なのだが・・・。朱雀の者は四神の中で最も長生き。数千年は生きるとされている。不死鳥という者もいるが、もちろん寿命はある。500歳に満たない私などまだまだひよっこで、父である朱雀王はもうすでに1000歳を超えている。昔、私は長年宮中に仕え、隠居された後陽成院に三百年も仕えてきた。院がなくなられてからは私の末裔が守っている朱雀神社に住み、近所の者に生き神様といわれ親しまれている。まあ、私が生き神として生きていると知っているのはこの近所の者達だけだが・・・。誰も公にする者などいない。暗黙の了解というべきか。


 私はここまでさまざまな出来事を見てきた。幕末の動乱、明治政府の成立、第一次世界大戦、関東大震災、第2次世界大戦など・・・いい事から嫌な事まですべてだ。今は平成という時代。龍哉様から数えて18代目の帝(今の時代天皇というが・・・)の御世。私が生まれ育った時代とは違い、科学が進歩し、神道、陰陽道など誰も信じようとはしない。もちろん、四神の存在など伝説としてしか扱われない。本当であれば、龍哉様たちが生きていた時代に実際に起こったことを書き記し、代々伝えておきたいところなのだが、そういうことは書物にて書き記すことは禁じられている。私の記憶にのみ存在するのだ。まあ、書き記してあったとしても、伝奇物小説として扱われるのであろう・・・。本当に複雑である。

 民間には知られていないのだが、未だに政府には隠された部署が存在する。それはまあいう陰陽寮の様なもので、神仏や魔族、そして科学では解明されないことに関するものを取り扱い、極秘的に処理されている。私も実はそこに所属していて、事あるごとに依頼を受け、対処してきた。また最近複雑な依頼が来ている。


ここのところ頻繁に起こる異常気象そして頻発する地震・・・。科学では説明できないところを解明せよとの依頼である。そして私に仮の身分が与えられた。


それは学校の教師。何故教師なのかはよくわからないのだが、ある私学の高校の歴史教師としての身分が与えられたのだ。 頻繁に起こる天変地異、そして最近よく見る龍哉様の最期の夢。野生の勘というかわからないが、関連があるのではないかと思ってしまうのだが、どうだろう。私は肌身離さず身につけている3つの赤、青、黒の勾玉を見つめ、私の住む祠にて考え込んだ。



四神降臨 復活編 第1章 始動 (1) 聖天子の死

四神降臨 5-11
「朱央・・・。お前に頼みがある・・・。これをお前に預かっておいて欲しいんだ・・・。」

「龍哉様・・・。」


 あの魔王の戦いから三百年余り。世は幕末の混乱の最中。畿内某所のひっそりとした山荘に住む二人の男。一人は年老い、もう一人は若い男。年老いた男とは半龍半人の元帝、後陽成院こと、龍哉。そして若い男とは元この年老いた男の側近、朱雀の皇子源朱央。半龍半人のために人より長く生き過ぎた年老いた男の命の火は消えようとしていた。年老いた男は若い男に青と黒の勾玉を手渡す。


「もうこれは私には必要ない。朱央・・・お前が持っておいてくれ。いつ魔王が復活するかもしれない。その時のためにお前は生き続け、四神に関わる者たちを導き、この国を守って欲しい・・・。いいか朱央・・・。白の勾玉に関しては西斗の子孫が持っているであろう・・・。朱央のみが頼りだ・・・。生き字引として生き続けよ。」

「龍哉様・・・。」

年老いた者は思い出したように苦笑しながら言う。

「お前もそうだが、長生きはするものではないね・・・。私はどれほど大切な者たちの死を見届けてきたか・・・。最愛の麻耶を亡くした時ほど辛いものはなかった・・・。そして最後まで私を物の怪のように忌み嫌い、近づこうともしなかった我が息子後水尾帝誠仁・・・最後まで和解さえしなかった・・・。孫、曾孫、夜叉孫まで最期を看取ってしまった・・・。それだけじゃない・・・。私から数えて14代もの帝を見てきた・・・。やっと私は麻耶に会える・・・。やっと・・・麻耶に・・・。」

「龍哉様?」

年老いた者は力を失い、永遠の眠りにつく。そしてひっそり江戸時代初期に後陽成帝が埋葬されたとされる墓所に埋葬された。もちろんこの帝が三百年も生きていたことは公にはされていない。








【作者からの一言】


さて始まりました。はい・・・。導入です。舞台は平成の京都でございます。


どうなるかはわかりませんが、これからもよろしくお願いします。






夢~航空会社編 (15)待ちに待った約束
 待ちに待った孝博との約束の日・・・。私は妊娠7ヶ月に入って、おなかが目立ってきた。でもどうしても着たかったウェディングドレス・・・。ゆったり目で、妊婦でも着れて、目立ちにくいものをチョイスして着ることになった。おなかの赤ちゃんは嬉しいのかな・・・。今日に限ってよく動いている。最近ちょっと早めの産休に入って、おうちでのんびりしてたからかな・・・。急におなかが大きくなったの・・・。

ちゃんと検診の日は孝博はフライトを休んでくれて、(というより、フライトのない日かな?)赤ちゃんの経過を見てくれている。孝博は今日のために有給を最大限に使ってくれたの・・・。ここ2、3日一緒に過ごしている・・・。もう前もって昨日私たちは入籍を済ませた。私はもう弐條雅じゃない・・・。源雅・・・。孝博の妻。優秀な副操縦士の妻・・・。やっと10年前の約束、その日がやってきたの・・・。

孝博は最初タキシードを着ようとしたんだけど、やっぱり私が大好きな孝博の航空会社のパイロットの制服にしてもらったの。もちろん孝博ははじめためらっていたけど、私の希望を聞いてくれて、挙式だけ着てくれることになったの。

やっぱり制服姿の孝博はかっこいい・・・・。かっこ良過ぎて気絶しそうよ・・・。ま、これは大袈裟だけどね。

この日を迎えるに当たって、孝博ファンのCAたち(他社も含む)は嘆いているって噂。特に間違って他社のCAになった勘違い女の丹波由佳は泣いて泣いて・・・どうなったかは知らないけどね。孝博は一切浮気もしないで私だけ見ていてくれた。そして私のために小さい頃の夢を諦めて、パイロットになってくれた。

努力家で秀才、そして度胸のある孝博。もちろん会社での評価は非常に高くって、一緒のフライトをしたいって言うキャプテンも多いらしい。

さあ挙式の時間。私はパパに手を引かれて挙式の行われるチャペルへ。パパは涙ぐんでいたのよね。もともと涙もろいパパ。一番かわいがってくれたんだもの私のこと。

チャペルのドアが開き、祭壇へ向かって歩き出す。祭壇の前にはパイロットの制服姿の孝博。白い手袋と、制帽を右手に持って、私のほうを微笑みながら見つめてくれている。パパは一歩一歩孝博のほうへ結婚行進曲に合わせて歩み寄る。今日の孝博は一段とかっこいい。パパは私を孝博に渡し、結婚の儀式が始まる。緊張で全然覚えていない。覚えているのは結婚指輪の交換、そして誓いのキス。私は嬉しさのあまりつい涙が。孝博はハンカチを取り出してそっと拭いてくれた。そして爽やかな微笑み。私の胸は張り裂けそう。

披露宴はすごいの。やはりパパの関係者が多いのよね。政界関係がほとんど。あとは私と孝博の会社関係とか、私の学生時代の友人。そして孝博の防大に友人など。もちろん孝博のお父様の自衛隊関係もちらほら。お父様は最近陸上幕僚監部幕僚長に任じられ、現在単身赴任中。あと2年で定年。もちろんお父様は自衛官の礼装。ホントに嬉しそうな顔。そして私たちのよき理解者だった総理大臣の和気泰明叔父様。いろいろな人達が私たちを祝福してくれたの。

当分私たちは別居になるけど、きっとかわいい赤ちゃんを産んで、家族3人で仲良く暮らすんだ。
どんな子かな・・・。
孝博に似た男の子がいいな。それとも女の子?
早く会いたいな。孝博と私の赤ちゃん。
待ってるね。
夢の約束。
守ってくれてありがとう。
孝博、いえ、旦那様。
これからも色々あると思うけど、よろしくね。


(完)

夢~航空会社編 (14)ダブル・ブルー
 今日のフライトの最終目的地は羽田だった。ということは久しぶりに東京に滞在できるんだ。俺はずいぶん遅い雅の誕生日プレゼントを持って雅の自宅へ。雅は今日休みだという。

「こんばんは!叔父さん。叔母さん。雅は?」
「なんかね、今日一日部屋に籠もっているのよ・・・。たぶんマタニティーブルーとマリッジブルーが両方きていると思うのよ・・・。さ、どうぞ・・・。」

おばさんは心配そうな顔をして、招き入れる。雅は6月1日付で産休に入る。あと十日ほど・・・。立ち仕事はよくないからという早めの産休なんだ。

「雅、入っていいかな・・・。」
「孝博?!」

雅はすぐにドアを開けて迎え入れてくれる。そして俺に抱きつく・・・。

「ごめん、なかなかこっちに来れなくて・・・。俺新米だからなかなか休みが取れないし、来月まとめて休みを取るつもりだったから・・・。」
「わかってるよ・・・。」
「あと、これだいぶん遅れたけど、独身最後の誕生日プレゼント・・・。」
「ありがとう・・・。」

俺は制服を脱ぎ、雅の用意したハンガーにかける。そして持ってきていた私服に着替えた。

「今日はここに泊まるの?」
「んん・・・。叔父さんはいいって言ってくれたし、ゆっくりできるよ・・・。」

雅はベットにもたれかかって座っている俺の側にやってきて、肩にもたれかかる。そして俺は雅の唇にキス・・・。ホント久しぶりに会うもんだから、長い長いキス・・・。

「雅、元気だった?ずっと俺は心配だったんだ・・・。電話の声だけじゃわからないことが多いし・・・。こうして会いたかったんだよ・・・。」
「うん、私も・・・。ずっと会いたかったけど・・・。なかなか会えないもんだね・・・。私ホントにこれでよかったのかな?」
「え?」
「孝博のはじめの夢・・・私のせいで叶えることが出来なかったんだよね・・・。ずっと悩んでたんだ・・・。」
「何言ってんだよ・・・。俺は雅を幸せにすることが夢なんだよ・・・。だから悩む必要ないよ・・・。こうして雅のおなかには俺達の子供がいるんだし・・・。幸せにならないとね・・・。」
「でも、私たちは従姉弟・・・。それは一生消えないんだよ・・・。」
「従姉弟でもいいじゃないか・・・。俺たちは愛し合っているんだし・・・。」
「そうだね・・・。」

また雅は下を向く。俺は雅の肩を抱き、雅のおなかを撫でながら、微笑む。

「そんな顔していたら、俺たちの赤ちゃんに良くないよ・・・。雅のかわいい笑顔が見たいのに・・・。ね?」

雅はやっと微笑んでくれたんだ。もちろん俺は雅にキスをしておなかに気遣いながら、雅を抱きしめた。

「雅、結婚してもここにいなよ・・・。俺は家を空けることが多いし、ここならおばさんがいる。子供が生まれて落ち着いたら、大阪に来ればいいよ・・・。それまでに新居を探しておくからね・・・。いい?」
「え?ん、んん・・・そうだね・・・。」
「それと、仕事に復帰したいのなら、したらいいよ・・・。俺もこっちに転勤できるように希望出しておくしさ、保育所に預けるのもいいし、おばさんに甘えるのもいいんじゃないかな・・・。仕事中の雅の顔は生き生きしていてよかったよ・・・。ホントに好きなんだなって思ったよ・・・。」

雅は微笑んで、俺の胸に顔をうずめた。本当に雅のCA姿は生き生きしていて印象的だった。だから、国内線でもいいから早く復帰して欲しいって思ったんだ。

夢~航空会社編 (13)初出勤
 俺は副操縦士として初めての出勤。朝7時半発1502便羽田行き、ボーイング777-200。俺は初出勤だから6時に家を出る。5時に起きるとシャワーを浴び、身なりを整える。今日から俺の制服の名札に訓練生の文字はない。朝起きてきた父さんにいってきますと挨拶をし、フライトバックを持って父さんの車に乗り、一路伊丹空港へ・・・。

職員専用の駐車場前のコンビニによって朝飯を買ってから、うちの会社の大阪伊丹空港支店運行乗務員部へ・・・。集合時間よりも30分早い・・・。

「おはようございます。本日よりこちらに配属になりました、副操縦士の源です。」

俺は丁寧に挨拶をし、出勤表を出勤状態にする。まだ早い便・・・。ちらほらしか職員がいない。待合室でささっと朝飯を取って集合時間・・・。初めて組む機長の長島機長。だいたいこの人とこれから組む。

「はじめまして、5月1日付で副操縦士になりました、源孝博ともうします。これからよろしくお願いします。」
「はじめまして、噂はいろいろ聞いているよ。私は機長の長島恒夫だ。これからいろいろ大変だろうけれど、がんばっていこうな。」
「はい!」

なんだかいい人そう・・・。今日のフライトはゴールデンウイーク中の繁盛期。朝一番のに近い便なのに満席状態・・・。天候は晴れ。クルーたちも初めての人たち・・・。打ち合わせをしっかりして、いつものように乗務する機体へ・・・。目視による機体最終安全チェックをして機内へ。そして訓練通りに計器チェックからはじまり、出発準備を整える。今頃羽田には雅がいるのかな・・・。羽田に飛んで、札幌、そして伊丹に帰ってくる。初めて副操縦士としてのフライト。ドキドキ。

「源君、今日一日がんばりましょう・・・。」
「よろしくお願いします。」

出発準備が整い、俺は管制塔に連絡を入れ、出発と離陸許可を得る。許可を得ると出発。たくさんの乗員乗客を乗せて俺は伊丹空港を順調に飛び立った。

そしてなんとか無事に定刻どおりに夕刻の伊丹空港に戻ってきたんだ。
運行乗務員室で報告書を書いたあと、俺はどっと疲れが・・・。機長はすごく俺を褒めてくれたんだ。こんなに安心したフライトは無かったよって。

ひとまず初日は無事終わった。
もちろん帰ってすぐに雅にメールを入れずに眠ってしまったのはいうまでもないけど・・・。わかってくれるよね・・・雅・・・。ほんとごめん・・・。


夢~航空会社編  (12)転勤準備
 俺は試験の次の日休みを取った。

早速昨日父さんに電話をして大阪転勤を知らせた。別に社宅でもいいんだけど、実は実家のほうが近かったりするんだよね。実家から車で10分圏内・・・。最近父さんは車を乗らないから、俺が使わせてもらって、通勤する事になったんだ・・・。

俺は独身寮に戻って荷物の整理。5月1日付での転勤。
ゴールデンウイーク中の無茶苦茶忙しい時だ。
転勤まであと5日・・・。
たまり溜まった有給をもらって休みを取り引越し準備。もちろん父さんも爺ちゃんも俺が大阪に転勤が決まって喜んでいる。いつまでこっちにいるかわからないけれど、雅と結婚するまではこちらでお世話になることになった。

6月中旬の結婚。もちろん東京で。移動費用は俺がパイロットだから実は無料・・・。家族みんな。閑散期だから難なく移動できそうだ。もともと独身寮の荷物は少ないから、宅配便の単身赴任パックで十分。即俺の実家に送っておいた。

俺の住む予定の場所近辺は総理大臣である和気泰明叔父さんの選挙区・・・。俺は叔父さんにアポを取って、公邸に訪れていい物件は無いか、どのへんがいいのかを聞くことにしたんだ。ファーストレディーになった彩子叔母さんは、テレビ局を退社してフリーアナウンサーという立場になった。その叔母さんが公邸に訪れた俺をやさしく迎えてくれた。叔父さん叔母さんの息子泰孝はもう10歳になったんだね。叔母さんと叔父さんのいいところばかりとって落ち着いたいい子に育っているんだ。叔父さんは親身になって俺の新居を地元の秘書に探してくれるって言ってくれたんだ。ホントに助かる。

雅は東京勤務だし、俺は毎日仕事でゆっくり物件探しできないからね。
社宅暮らしは雅が苦労するだろうし。昔の俺の母さんのようにね。

「お兄さんだあれ?」

って泰孝が俺に言う。

「泰孝のいとこだよ。」
「ふうん・・・。」
「泰孝、孝博兄さんはね、パイロットなんだよ。」
「え~~~~~僕さ、パイロットになりたいんだよ!どうしたらなれるの?いいないいな・・・。」

叔父さんは目を輝かせている泰孝君の夢を聞いて苦笑していた。もちろん叔父さんは泰孝君を後継者として育てたいんだろうけれど。そのために泰孝君は早稲田実業の小学部に通っている。おばさんは俺に言うんだ。

「無理に政治家にするつもりは無いわ・・・。泰孝が行きたい道に進めば・・・。それは和気さんもわかっている事なの・・・。でも和気さんはね、出来れば跡を継いでほしいって・・・。私としては夢を実現させてやりたいと思うわ。その時はよろしくね・・・。」

そっか・・・理解のある叔父さん叔母さんなんだ・・・。
結婚17年でやっと出来た泰孝君。
かわいくてしょうがないんだ。
雅の21歳年下の弟もそう。
叔父さんは無理に政治家にはさせないって・・・。

 俺は雅の両親に挨拶をして実家に戻った。
爺ちゃんは伊丹空港まで迎えに来てくれて、久しぶりに帰ってきた俺を喜んだ。そういえば社会人になってから、あまり戻っていないんだもの。父さんは中部方面総監部の総監。順調に出世して陸将。休みを取ることが出来なかったんだってね。

俺の荷物は明日届く。実家に着くと、爺ちゃんは俺にお茶まで入れてくれて、父さんの帰りを待つ。

「孝博、自衛官にならなかったのは残念だったけれど、こうして最短で副操縦士になったんだもんな・・・。私は嬉しいよ・・・。雅と結婚して、秋には子供が出来るし・・・。」

嬉しそうな反面、従姉弟と結婚するそして子供まで・・・堅物だった爺ちゃんはきっと嬉しくないはず。本当なら雅じゃなくって、他の女の人というのが理想かもしれない。でも俺は雅じゃないとね。
父さんが帰ってきて和やかな夕飯。
男ばかりだけど久しぶりに楽しい。やはり父さんもなんだか複雑な表情。言いたい事はわかるよ。言いたい事はね・・・。それを父さんは押し殺しているんだもの・・・。一卵性親子のようにそっくりな父さんと俺、心の中もなんだかわかる。きっと俺を自衛官にさせたかった父さん、そして別の女性と結婚させたかっただろう。そして結婚式の日も、母さんと会いたくないだろう。まだまだ言いたい事はたくさんあるんだろうけどな・・・。俺だって複雑な気分だよ・・・。

夢~航空会社編  (11)副操縦士昇級試験

 孝博はもうすぐ昇級試験を受ける。ホント異例の早さ・・・。きちんと受かるんだろうかとちょっと心配・・・。


「雅、実はね、この前の着陸、俺がやったんだ。機長と副操縦士が、一回やってみないかって・・・。ドキドキだったけどね・・・。」

え、じゃあすごく静かに着陸したのは孝博だったの?すごく機長に褒められたって自慢・・・。ホントに才能だわ・・・。度胸もあるし・・・。ああ、これで受かってくれると結婚か・・・。


実はパパが会場のホテルを押さえてくれている。4月末に孝博の昇級試験があるから、それが終わって、パパが国会の本会議が終わる6月中旬・・・。なんとジューンブライドよ・・・。


私は妊娠5ヶ月になって、おなかも少し目立ってきたの。先日戌の日にはママがお守りと腹帯を用意してくれて、戌の日のお祝いをしてくれたの。ホントは2人きりで挙式して写真だけにしようと思ったんだけど、パパは国会議員・・・。付き合いとかがあるから、きちんとする事になったの。


場所はパパとママが披露宴をしたホテル。私はおなかが目立たないようなドレスを着る。ホントに楽しみで、早く孝博の試験が終わらないかなって指折り数えていたの。新居もだいたい決まって、孝博の結果が出次第、高輪台の新居に引っ越す。もちろん孝博は独身寮を出るの。


休みの日は出来るだけ二人で結婚準備。結構楽しい。そして今日は孝博のお母様の会うことになっているの。もちろん、孝博のお父様と一緒に披露宴に出てもらうためよ。それが孝博の願いだった。復縁して欲しいとは言わないけれど、お祝いの席ぐらいは一緒にいて欲しいと思ったらしいのよ。

「そう、結婚するのね・・・2人は・・・。」

「母さん、お願いだから、俺の母さんとして父さんの横に立ってくれないかな?」

「え?博雅さんの?」

「復縁しろとはいわない・・・。母さんは俺の母さんだから・・・。」

「博雅さんはどう思うかしらね・・・。」

「父さんは俺が説得するから・・・。」

孝博は驚くことに涙を流しながら、孝博のお母様に土下座をしていた。孝博のお姉ちゃんの静さんはお母様に寄り添って説得している。

「ママ、私だって孝博の言う事わかるわ・・・。孝博は立派になったのよ、秋にはお父さんにもなるし・・・。孝博のお願い聞いてあげてもいいじゃない・・・。私だって私が結婚する時はパパに出席して欲しいもの・・・。何事も一生懸命ないいパパだった。何も落ち度の無い・・・ただパパとママの考え方が違うだけだったしね。ねえ孝博、パパにすぐ電話したらどう?」

孝博は兵庫県にいるお父様に早速電話。あまり激しい口調で話さない孝博が、結構な声で話している。いがみ合った離婚じゃなかったのにね。私と静さんは顔を迎え合わせて苦笑・・・。

「父さん、今母さんと替わるから二人で話せよ!!!」

お父様とお母様の長い会話。こうして2人が電話でしゃべるのは何年ぶり?なんとか二人は納得して、結婚披露宴の時、2人は孝博の両親として出席する事になったの。

 ついに孝博の昇級試験・・・。私は羽田空港の搭乗口から孝博を見送る。私と孝博の婚約はみんなが知っている。そして私の妊娠も・・・。マタニティーの制服を着ているから・・・。

「がんばってね、孝博・・・。」

「うん・・・。なんとかなるよ・・・。シュミレーターはなんとか上手くいったし・・・。あとは定期航路試験だけだから・・・。」

孝博は珍しく社員のみんなが見ている前で私を抱きしめる・・・。

「源君、さ、これから実地試験を・・・。まずは機体の目視から・・・。」

孝博は顔を真っ赤にさせながら、私を放しいう。

「じゃ、がんばってくるね、雅。行って来る。」

試験官の後ろを孝博はついていき、機体の安全確認目視から始まる。孝博のB777-200は結構でかいんだもの。私は搭乗口の窓から、その様子を伺う。


羽田-福岡-大阪伊丹-札幌-羽田。


帰ってくるのは夕方。それまで私はドキドキ。暇を見つかると腕時計を見ながら、今どこかなあなんてね。お昼休み、食堂で職場の仲間とランチ。みんな私に気を使ってくれているのかな。そういえばこの人たち、孝博と私の仲を知った時、いろいろされてしまった。まあ一種のいじめ?みんな孝博を狙っていた人たちだし、そして孝博の子を妊娠・・・。でもいろいろ一緒に仕事をしているうちにみんな私をいたわってくれるようになったの・・・。

「源さん、受かるといいわね・・・。」

「大丈夫よ、訓練生の中で何十年に一度の才能の持ち主だって言われているんだし・・・。」

「あの訓練中の事故の時も経験浅いのに、難なく無事に帰還できて・・・。」

「大丈夫よ、弐條さん・・・。」

ホントみんな励ましてくれる。最近は私のおなかの中の赤ちゃんの胎動がわかるようになって、赤ちゃんも私を励ましてくれる。(様な気がする・・・。)

 夕方、一番混みあう時間、無事に孝博が乗務している伊丹空港発のB777が羽田に戻ってきた。伊丹空港からのお客様をすべて降ろし、続々と乗務員が降りてくる。中には私の同期のCA。私はそのCAを引っ張っていうの。

「立花さん、どうだった?」

「コクピットはよく知らないけど、上手くいったんじゃないかな。もうすぐ降りてくるよ。いい結果だといいね・・・じゃ私はこれで・・・。」

そうか・・・運行は上手くいったんだ・・・。どんな内容の試験か良くわからないけれど、運行乗務員の3人が降りてくる。


夢~航空会社編⑪
機長、試験官、そして孝博。孝博は緊張した顔つきで降りて来て私に苦笑。だめだったの?

「どうだった?」

「ん?結果は運行乗務員部に戻ってからだよ・・・。合格したら支店の辞令が出るし・・・。じゃ・・・。」

孝博は言葉少なげに羽田支店の運行乗務員部に向かっていった。私は早出だったからこの便で仕事を終える。私は羽田支店のロッカーで着替えを済ますと、孝博が出てくるのをロビーで待った。受かっていたら、明日から数日孝博は休みを取るらしい。そう、見事副操縦士になれたら所属の支店が決まる。東京だったらいいな。地方だったら私たちは新婚早々別居?副操縦士になって数年は国内線乗務だしね。B777が飛ぶ路線って限られるんだけど。羽田?成田?千歳?大阪?関空?福岡?それとも那覇?那覇ってことはないよね。受かった時、久しぶりに取る4日間の休み。その休みを使って配属先の支店によっては新居を探さなきゃね。

「雅・・・。」

ちょっと暗い表情の孝博。もしかして落ちたの?

「辞令が出た・・・。どこだと思う?」

辞令が出たって事は受かったんだよね?孝博は辞令の書かれた紙を私に見せる。

『辞令 源孝博副操縦士 大阪伊丹空港支店運行乗務員部配属とする。』

大阪伊丹空港???

「欠員が出てね・・・。伊丹空港だよ・・・。あそこは結構むずいんだよ・・・。狭いけど主要路線だし・・・。飛び立つとすぐに山があって・・・旋回しても六甲山があって・・・。気流の関係とかも・・・。」

実家の近くだからいいといえばいいけど。当分実家から通おうかなって言ってた孝博。

「孝博、まあ受かったんだから、お祝いしようよ!」

「うんそうだよね・・・。とりあえず訓練生を卒業して、副操縦士になったんだから・・・。」

私たちは電車に乗って広尾に帰ったの。そして孝博は無事に合格した事をパパに報告。そして伊丹空港支店の辞令の話も。私たちの新居の件は白紙。伊丹空港近辺で探さないといけないのよ。それどころか私は???


ひとまず明日、上司に事情を話して、伊丹空港支店に転勤願いを出すしかないかな。



夢~航空会社編  (10)10年ぶりの再会
 私は機内に入ると、搭乗前の準備に取り掛かる。

特に私の担当のファーストクラスはVIP中のVIPが搭乗予定・・・。宮家の人たちらしい・・・。どこの宮家の人だろう・・・。それとあといつものお客様山崎様ね・・・。あと数人一般の人・・・。

 搭乗時間になり、お客様が続々と入ってくる。そして例の山崎様・・・。私は会釈して微笑むと、山崎様も微笑み返す。そして最後の最後に例の宮家ご一行様・・・。たくさんのSPらしき人に取り囲まれながらやってくる宮様・・・。

その宮様は・・・。

私はこの宮様と会ったことがある。というよりも婚約寸前までいった宮様。

私は宮様よりも孝博を選択したの・・・。

宮様は私に気がつくと、言ったの。
「弐條雅さん?」

「ご無沙汰しております、康仁王(やすひとおう)様。」

未だ独身のこの宮様。もう30におなりかしら・・・。もし孝博を選ばずこの宮様を選んでいたら、私はきっと20歳くらいでこの宮様と結婚していたのかもしれない・・・。

でもこの宮様は宮様のイメージをではない面がある。遊び人というか・・・。誠実じゃないのよね・・・。私は宮様を席まで案内して、少し小声で話を・・・。

「そうですか・・・雅さんはCAに・・・。」

「はい・・・。」

「あの時婚約内定をご辞退されたときは大変驚きましたが・・・。」

「本当にその節は大変申し訳ない事を・・・。どうしても宮様と結婚できない理由がございましたので・・・。」

「本当にあの時は数日寝込んでしまいましたよ・・・。本当にお元気そうで何よりです・・・。」

「宮様も・・・。では、ごゆっくりおくつろぎくださいませ・・・。」

私は頭を下げると離陸準備に入る。山崎様は宮様と話している内容に驚いたようなの・・・。

だって普通なら宮様を選ぶんだろうけれど、私は孝博を選んだんだから・・・。

 これが独身最後のフライトだと思うと、なんだか体の辛さは感じなかったの。私が妊娠している事を知っているチーフは度々私の様子を伺ってくれるの。

「大丈夫?弐條さん・・・。少し座ったら?もし何か起こったらお父様に申し訳ないわ・・・。あと源君にも・・・。」

「いいえ、辛くなったら休みますから・・・。あと5時間ですし・・・。」

無理やりチーフに交代させられて、私は休憩・・・。

やっぱりちょっと無理しているのかな・・・。

おなかが少し張っているの・・・。痛みは無いからいいんだけど・・・。

やっぱりミールサービスの時が辛いのよね・・・。まだ少しつわりが残っているもんだから、ファーストクラスのお食事の準備が大変・・・。食事を盛り付けたりなんかもするでしょ?匂いがきついものはちょっとね・・・チーズとか・・・。

だから私はその時だけ裏で準備・・。

お酒とかいろいろな雑用・・・。

あとコクピットに届けるミールとか・・・。

私はコクピットにミールを届けた。食中毒を予防するために、一人一人メニューが違う・・・。そして食べるタイミングも・・・。機長、副操縦士、訓練生の孝博の分を順に運ぶ。機長と副操縦士は知っているのかな・・・私と孝博の関係・・・。

「ありがとう雅・・・。後は俺がしておくから・・・。」

と小声でいう。孝博は心配そうな顔で、ミールを受け取ると、機長たちに配っていく。

 なんとか仕事をこなし、そろそろ着陸準備を行う。眼下には日本が見える。着陸態勢に入るとベルトチェック・・・。私は機内アナウンスを任される。ちょっとドキドキしながら、もうすぐ成田に着くこと、ベルト着用をアナウンス・・・。その後最終確認をして、私たちCAも座ってベルト着用・・・。すると少ししてす~っとしずかに着陸した。無駄な揺れもなく、本当に降りたの?って感じ・・・。ブレーキ代わりの逆噴射で、着陸したってことがわかった・・・。上手ね・・・この機長・・・。

到着するとお客様のお見送り・・・。

常連で私にプロポーズしてくださった、山崎様が、私に小さな包みを・・・。

「受け取ってください。独身最後のフライトと、ご結婚のお祝いです。当分弐條さんに会えないのは寂しいですね・・・。次お会いする時は別の名前ですか・・・。どうぞ、旦那様と仲良く、そして可愛いお子様を・・・。」

「ありがとうございます。ありがたく頂戴いたします・・・。」

すこし、うるっとしちゃった・・・。そして他のお客様が出たあと、宮様が立ち上がって私に言う。

「最後のフライトなんですか?そしてご結婚まで・・・。そうか・・・もうあなたを待ち続ける事は出来ないのですね・・・。」

そういうとうなだれた様子で宮様は出て行かれたの・・・。宮様がご結婚されなかった理由って、私が宮様に振り向くのを待っていらしたって事?もうあれから10年も?そんな馬鹿な?きっとあの宮様の事だから口から出任せよ・・・。

 機内の最終確認が終わると、やっと機体を離れる。そして客室乗務部にて報告書を書くと解散・・・になるんだけど・・・。クルーのみんなは私にたくさんのプレゼント・・・。

「弐條先輩!今夜空いていますか?」

「ごめんね・・・彼と約束があるの・・・。」

すると客室乗務部の入り口で覗き込んでいる孝博・・・。

後輩たちは孝博の登場にはしゃいでいたけど・・・。

「雅!終わった???」

と孝博・・・。私を見つけると、ニコニコ顔で近づいてきて、私の手を握っていうの・・・。

「今日これから病院だろ?早く行かないと診察時間終わるぞ・・・。」

そして孝博は後輩たちの目を気にせずに私の手を引いていく。

そう今日は検診日・・・。今日は孝博と検診に行く約束をしていたんだ・・・。

もちろん私の相手が孝博というのを知った後輩たちは、固まっていた。

「先輩のお相手って・・・あの源さん???」

「そうよ。源孝博さんは私の10年来の彼氏なの・・・。」

「いや~~んショック!!でもお似合いです・・・。美男美女で・・・。うらやましいわ・・・。」

「じゃ、またね・・・。これから私当分羽田にいるから、見かけたら声をかけてね・・・。」

私は後輩と別れ、孝博と一緒に広尾の自宅に・・・そして着替えたあと、表参道の和気泰明叔父様のお姉さまが開院している表参道の産婦人科へ。もちろん結果は順調で、予定日は9月中旬。孝博は赤ちゃんの超音波写真をもらって大はしゃぎですごく喜んでいた。これからは無理しない程度に地上勤務。私は多分搭乗口勤務かな・・・。

夢~航空会社編  (9)嫌な人物との再会
俺はホテルで帰国の準備をする。夕刻発の便。俺は制服に着替え、荷物の確認をすると、チェックアウトを済ませて集合場所へ・・・。雅はすでに集合場所にいた。そして独身最後のフライトを惜しむかのように同じクルーの仲間たちと話している。時間が来ると、会社が用意したバスに乗り込んで空港へ・・・。空港に降り立つと、機長を先頭に歩く・・・。

「孝博君!?」

俺は声のするほうを振り返る。なんとそこには敵対航空会社のCAの制服を着た丹波由佳・・・。防大の友人にそれとなく聞いていたんだ。丹波由佳は俺を追ってCAになったって・・・。でも俺が丹波由佳を嫌っている事を知っているので、もうひとつの会社のほうへいったと嘘をついてくれたみたいだ・・・。でも日本ならわかるんだけど、どうしてこんなところで・・・。

「いくら経っても会えないわけだ・・・。孝博君は違う会社だもん・・・。」

相変わらずのニヤッとした表情で俺の事を見つめている。

「源!何している、行くぞ!」
「はい!また追いかけます!!!」

雅は丹波由佳の姿に気がつくとむくれた様子で、歩いていった。

「パイロット姿の孝博君、やっぱりかっこいいな・・・。今から帰るの?」
「ああ・・・。」
「じゃあ一緒ね。私は関空へ帰るの・・・。今度会えないかな?」
「断る。」
「いつも一緒の事言うのね・・・。そういう態度を取る孝博君が好きだよ・・・。」
「悪い、俺結婚するんだ・・・。もう付きまとわないでくれる?」
「え?誰と?」
「弐條雅。雅のおなかには俺の子がいるんだ・・・。」
「うそ!!!2人は従姉弟でしょ!!!」
「嘘じゃないよ。じゃ、さよなら・・・。」

俺は走ってクルーを追いかける。
案の定、乗務員控え室で、雅は機嫌悪そうな顔であとから入ってきた俺を見つめていた。

「源、あのCAは誰?」

と、副操縦士の酒井さんが声をかける。

「高校と、防大の同級生なんです・・・。ちょっとしつこくて・・・。数日だけなんですが付き合ったことがあるだけで・・・。」

俺の話に耳を傾けているCAたち・・・。

(えええ!!他社のCAが彼女なの?)
(彼女がいるって聞いてたけど?結構綺麗な子だったよね・・・。)

俺の彼女じゃないって言ってるだろ。
数日高校時代に付き合っただけなんだ。
俺の彼女は雅だし、結納済み・・・。

「さて、弐條さん、これで独身最後のフライトですね・・・。」

雅の上司であるパーサーの一言で、クルーみんなは驚いている。

「実はですね、弐條さんは10年来の恋を成就されて結婚するんですよ。弐條さん、今日のフライトがんばってくださいね・・・。」
「はい。がんばります。」
「それと、無理をしないように・・・。体調が悪くなったら休みなさい・・・。今日はファーストクラスは満席です。」
「お気遣い頂きましてありがとうございます。」

打ち合わせがはじまり、機長から天候やルート、速度などの詳しい説明が入る。そしてチーフから乗客の人数などの説明もあわせて知らされる。

「ファーストクラス担当の弐條君、遠藤君、本日は宮内庁関係者が御搭乗です。特にある宮様が、ご視察の帰りに当機に御搭乗ですので、粗相のないように・・・。」
「はい。」

宮家ねえ・・・。そんなおえらいさんが搭乗するのか。雅は大丈夫だろうか・・・。
ま、高校時代宮家の人物と婚約寸前までにいったんだから、そういうのは大丈夫だろうけど?

俺は機長や副操縦士ともに、CAたちと別れ、機体の最終安全確認に入る・・・。


夢~航空会社編 (8)独身最後のフライト

 最後のフライト・・・。成田発ロサンゼルス行き。孝博もこの便に訓練乗務。もちろん偶然・・・。つわりはなんとか治まって、元のファーストクラス担当・・・。クルーの打ち合わせ中、孝博は、私を心配してか、ちらちら私を見る。チーフパーサーが、みんなに報告。


「弐條君が、このフライトをもって当分の間地上業務になります。よろしく頼みますよ。」

私はいつものメンバーに妊娠報告をしていなかった。知っているのはチーフのみ。やはりまだ結婚していないのに妊娠したんだもの。内緒なの。後輩たちは私が地上業務につく事を不思議に思って、いろいろ聞いてくるの。

「ちょっと体調がよくないから・・・。」

ってごまかしておいたけどね。今日のお客様には例の常連さん。クリスマスイブの日にプレゼントをくれた・・・例のあの人。

「久しぶりですね、弐條さん。最近エコノミークラスにいたと聞きましたが・・・。」

「ええ、今回のフライトで、戻ってまいりました。」

「次のフライト予定を聞かせてくれないかな・・・。弐條さんの乗る便に乗りたいから・・・。」

「実はこの往復のフライトが終わると地上勤務になります。今までありがとうございました・・・。」

「どうかしたの?」

「少し体調のほうが優れませんので・・・。」

「それならうちにおいでよ・・・。」

お客様は私に名刺を渡したの。なんとこのお客様は開業医・・・。いつも学会か何かで月一回世界中を飛び回っているらしい。お客様は私の手をとっていうの。

「弐條さん、結婚前提にお付き合いしていただけませんか?」

実は今日のフライト・・・ファーストクラスはこのお客様のみ。それをいい事に私にプロポーズ?

「申し訳ありません・・・。私、婚約者がおりまして早ければ初夏、結婚する事に・・・。」

「え?そうなの???弐條さんのお相手って誰なんですか?やはり政治家?医者?それとも同じ業界の人?」

私は微笑んで、何も言わないことにした・・・。お医者様ならなんとかわからないのかしら。私の格好を見て・・・。ゆったりした制服にヒール無しの靴・・・。お化粧だって最低限に抑えている。本当に忙しい便じゃなくって良かった・・・。暇さえあればお客様の見えないところで座って休憩・・・。なんだかんだ言っても、妊婦。まだ安定期にも入っていない・・・。少し気圧の関係で気分が優れないことがあったりする。


なんとか行きのフライトを終え、ぐったりしながらホテルへ。ホテルにつくと私の部屋に孝博がやってきて、心配そうに私を見つめてくれるの・・・。

「雅、大丈夫?」

「うん・・・少し横になったら随分楽になったから・・・。」

孝博も乗務で疲れているのに、一晩中私についていてくれたの・・・。そして時折私のおなかを撫でるのよね・・・。

「お腹空かないかな?ねえご飯食べに行こうよ・・・。」

「うん・・・。」

私たちは朝食をとらないでいたから、お腹が空いていたの。もうお昼だから、ホテル内のレストランへ・・・きっとクルーの人たちは、出かけていないと思う・・・。もう私達の関係が知られてもいいんだよね・・・。私たちはいろいろ話をしながら、楽しくランチ。せっかくロスまできたのにホテルから一歩も出ずにね。

夢~航空会社編⑧
すると声を掛けられる。

「あ、弐條さん。お食事ですか?」

その声の主は例の常連様。孝博はその男の顔を見てむすっとする。もちろん孝博とお客様の目が合い、火花が・・・。

「弐條さんこの方は?」

「え?昨日お話した私の婚約者です。」

「若い方ですね・・・。すみません、失礼ですが、何を?」

孝博は苦笑していう。

「弐條さんと同じ会社でパイロットの訓練をしています。」

「へえ、パイロットの卵か・・・。」

いかにも2人の間には火花が散っている・・・。孝博は機嫌が悪くなって、黙々と食事を食べ出した。

「山崎様、私、彼とは10年のお付き合いになります。やっと2人の夢が叶おうとしているんです・・・。ですから・・・。昨日のお気持ちは大変嬉しかったのですが。実は彼の子供を今妊娠しています・・・。そして、彼がこの春昇格試験を通れば結婚する事になっているのです。昨日あやふやなお返事をしてしまいまして、申し訳ありませんでした・・・。」

「そう、それならしょうがありませんね。では明日のフライトは独身最後のなのですね・・・。では帰りの便を楽しみにしています・・・。」

お客様はうなだれた様子で、レストランを出て行ったの。



夢~航空会社編  (7)愛の結晶
 1月末、私はヒースローからの帰りの便で急にめまいがして倒れそうになっちゃったの。

もともと気分が優れなくって、帰りの便はビジネスクラス担当に変更してもらってたけど。
もちろんそれがどうしてなのかはなんとなく・・・。例の月のモノが来ていない。私自身生理不順だからまさかねって思ったりしたんだけど、そういえば、ロンドンでの夜・・・。

 私は生理不順で相談している和気叔父様のお姉様の病院に行って検査してもらったらやはり、おめでた・・・。
孝博の子供を身籠っていたわけ・・・。
愛の結晶がおなかにいるのよね・・・。
パパ怒るかな・・・。出来ちゃったんだもん・・・。でもママには相談したほうがいいよね・・・。

私は早速ママと相談・・・ママは驚いていたわよ・・・。何しているの?!って・・・。孝博は4月中旬の昇格試験を受けることが決まったし・・・。私だって今の状態じゃ勤務できない・・・。フライト業務はねえ。理由を説明して地上業務に期間限定で変えてもらわないと・・・。産休ももらわないとね。

もちろんママは国会から帰ってきたパパに報告。すぐに孝博を呼べ!って。すごい剣幕で怒っていたの。

でも実はこの妊娠、計画妊娠なのよね・・・。
孝博には安全だよって・・・。
だって早く結婚したいから。
出来てもいいやって思ったのよ。

丁度この日、孝博は大阪伊丹発羽田行きに訓練乗務。
8時半につく便。
今丁度到着した頃だから、携帯にメールをしてみる。

『至急電話ください。』

すると30分位して電話がかかってきた。もちろんパパが電話に出る。

「孝博か?」
『叔父さん???』
「話がある。今すぐこちらにきなさい!!!」
『はい!!!終わり次第そちらへ!!!』

孝博は1時間位すると、慌てて広尾の私の実家へやってきた。
パパは孝博をソファーに座らせると、じっとにらみつけて黙っている。

「あの叔父さん・・・話って???」
「孝博、順番が違うんじゃないかな?」
「え?」
「孝博に雅をやるとは言ったが、結婚前に妊娠させてもいいとは言わなかったぞ。」
「に、妊娠????」

孝博は目を丸くして私を見ている。

「孝博、お前たちはもう年頃だから、そういう行為をしてはいけないとは言わないけど、それなりの責任というものがあるだろう・・・。まだ結納もしていないし、入籍もしていないんだよ・・・。」

 パパはもちろん夜遅かったけれど、孝博のお父さんに電話をしてたの。もちろん孝博のパパはすごい剣幕で孝博に怒っていた。そういうのにはとても厳しいお父さんだから・・・。結局今度2人の休みが重なる日曜日に急遽結納を交わすことになったの。
別れ際、孝博は私に言うの・・・。

「雅、あの時大丈夫だっていっただろ・・・やってくれたな・・・。約束が違うだろ・・・。まあ、叔父さんもなんとかしてくれるみたいだし・・・。再来月の昇格試験落とせないな・・・。」
「ごめんね・・・孝博・・・。」
「いいよ別に・・・。でも驚いたよ・・・。父さんが結納の準備をしてくれるって言うし・・・。」

孝博は成田の独身寮に戻っていったの。

 ある晴れた日曜日、私たちはあるホテルで結納を交わした。孝博のお父さんはこの日のためにわざわざ東京までやってきてくれたの。孝博は私に改めて指輪をくれた。そして私から孝博に結納返し・・・。パパが選んでくれたオメガのスピードマスター200万以上する。もちろん孝博が仕事につけられるようなタイプ。

あとは孝博の昇格試験の合格を待つのみ。私は上司にきちんと妊娠を報告。もちろん、未婚だったから、驚いていたのよ。私は2月末付けで、地上業務に配属される。

配属先は羽田空港・・・。
まあなんとか計画通り・・・かな?

夢~航空会社編 (6)X’mas IN London
 孝博は定期航路での訓練に入ったの。この訓練は、はじめのうち、まだ操縦桿は持たせてもらえないんだけど、いろいろな空港の特徴や管制官とのやり取りなどを学ぶの。そしてこの訓練の中盤、そして今日はクリスマスイブ。ロンドンヒースロー行き・・・。私は乗務する。そして孝博は・・・?
 いつものようにクルーの打ち合わせ。機長、副操縦士が現れる。そしてその後ろには・・・。

「皆さん、このフライトには運行乗務員訓練生が同乗します。紹介しましょう、源孝博訓練生です。」
「訓練生の源孝博です。初めての国際定期便になりますので、よろしくお願いします。」

自己紹介をする孝博に、独身CAはもうめろめろ。孝博は私と目があうと微笑むの。それを勘違いする後輩たち・・・。

「弐條先輩、やっぱりかっこいいですよね・・・。憧れちゃいます。」
「先輩、イブに同じクルーだなんて・・・なんだかねえ・・・。期待しちゃいます。」

私は苦笑しながら後輩達がはしゃいでいるのを見つめるだけ・・・。
ということはロンドンで一緒に・・・。ちょっと期待・・・。
フライトの打ち合わせが終わると各自持ち場へ・・・。
もちろん運行乗務員は機体の最終確認。目視して機体に異常がないかなどを調べている。計器類もそう・・・。私たちは機内にてお客様の受け入れ準備。未だにはしゃいでいる後輩たち・・・。ああ、婚約指輪、持ってきて正解だった・・・。きっと一緒にロンドンをデートできる・・・。

今回のフライト、相変わらず私はファーストクラス担当・・・。最近常連さんに声を掛けられることがあって、今日はクリスマスイブでしょ、お断りしたんだけど、無理やりプレゼントをもらってしまったの・・・。中を見るとひとつ最低100万もするブランドの時計・・・。ああこんなのもらっちゃったら・・・。多分下心ありありなんだけどな・・・。案の定到着後お見送りの際に、お誘い・・・。

「今晩、ロンドンに滞在するんだろ?どうかな食事でも・・・。」
「申し訳ありません、お客様・・・。先ほどもあのような高価なものを・・・。」
「いいんだよ、いつもお世話になっているお礼だから・・・。帰りの便も君だと嬉しいな・・・。」

私はやんわりお断りをしてお見送り・・・。

「あのお客様、相変わらずの方ですね、先輩・・・。」
「んん・・・。(早く正式に婚約したいな・・・。パパの事だから結納とかきっちりしないと怒るだろうな・・・。)」

すべての業務を済まし、ロンドン市内の系列ホテルでステイ・・・。
明日、明後日は休み・・・・。
ホテルはハイドパーク近くにあって、ここに泊まった日の朝は散歩するのよね。チェックインを済ませ、自分の部屋へ。今回はなんとかひとり部屋。孝博はどうなのかな。制服を脱いで、シャワーを浴びる。夕刻についたからお腹空いちゃった。さっき孝博に私の部屋番号をメールで教えておいたから、来てくれるのかな。

私は着替えを済ませると、孝博にメールを入れる。するとこういう返事。

『ごめん、一緒に食事は無理。機長に誘われてさ。だから今晩はCA仲間で食べてよ。明日のOFF1日付き合うからさ。』
「了解。」

結局一番仲良しの後輩、遠藤遥さんを誘っていつもの日本食レストラン・・・。
女2人で・・・。
イブによ。
なんとなく寂しくて孝博にもらった婚約指輪を指にはめて眺めてたのよ。

「先輩?左薬指の指輪・・・。」
「初めて見せるよね・・・。彼からもらった婚約指輪よ・・・まだ結納はしていないけれどね・・・。」
「先輩婚約者がいたんですか???」
「まあね・・・10年も付き合ってるんだから・・・。遠距離恋愛もしたけれど・・・。去年初めてのボーナスで買ってくれたの・・・。どんな高価なプレゼントよりも嬉しかった・・・。」
「どんな人ですか??やっぱり政治家さんの息子さん?」
「違うよ。どんな人だと思う?ホントは今日ロンドンでデートする予定だったんだけどね・・・。いろいろあってドタキャンよ・・・。明日は1日付き合ってくれるらしいけど。」

後輩との食事を終え、部屋に戻ろうとすると、孝博が部屋の前で待っていたの・・・。

「雅・・・。」

ほんのり酔った顔の孝博。やっぱりイブの夜、私をひとりにさせてしまった責任からかな・・・。私は周りに誰かいないか確認して孝博を部屋に入れる。

「ごめん雅・・・。今日のフライトでキャプテンにすごく気に入られちゃって・・・。食事をご馳走になったんだ・・・。」
「いいよ・・・べつに・・・。」
「その代わり、夜は一緒にいようよ・・・明日は休みだからゆっくりできるし・・・俺さ、ロンドン初めてだから、いろいろ案内してくれると嬉しいんだけどな・・・。」
「じゃあ、孝博、キスしてくれたら許してあげる・・・。」

そういうと満面の笑みで私にキス・・・。そしてそのままベッドへ・・・。クリスマスイブ、そして初めて海外での二人の夜・・・。私達が何も無いわけないじゃない・・・。もちろん未明までいちゃついて、私は孝博の胸の中で眠ったの。

「おはよう、雅・・・。」
「おはよう。」

ご挨拶のキスを交わすと、私はベッドを出てシャワーを浴びる。孝博はそのままの格好でタバコを吸っているの。

「雅、年末の予定は?」
「ん?大晦日仕事・・・。ソウル便に臨時でね・・・。チャーター便だから・・・。」
「そっか・・・今年も元旦会えないのか・・。じゃ、俺は実家に帰るよ・・・。」
「ねえ、いつ昇格試験?」
「4月くらいかな・・・運がよければ・・・。でも数年は国内定期便だよ・・・。国際線はまだだよなあ・・・。」

国内勤務か・・・どこの支店に在籍するんだろう・・・。羽田か成田ならいいな・・・。

この日一日中デート。2人でいろいろ話したり、買い物したり・・・。そして夜、今度私は孝博の部屋へ・・・。もちろん何も無いわけないよね・・・。またいつ会えるかわかんないから・・・。今回だって知らなかったのよ、同じ飛行機に乗るなんて・・・。
ホントは事前にどの便に乗るか知ってるくせに・・・。孝博の意地悪・・・。

まあなんとか今回の訓練も孝博は無事に済ませ、嬉しそうに独身寮へ戻っていった。

夢~航空会社編  (5)危機一髪!

 年を越し、孝博は東京の訓練センターで旅客機ライセンス取得のための訓練に入ったの。休みの日が合うときは、東京でデートしたりなんかして、愛を育んでいた。孝博は本当に訓練生の中で飛び抜けて優秀で、運行乗務員中の噂になるくらいだったのよねえ。もちろんCA中の独身女性が、将来の機長を何とかGETしようと意気込んでいる。だって才能がある上、顔もいいし、性格もいい、背が高い・・・8頭身のモデル体系・・・。防大中退、航大首席卒業、楽々小型ライセンスGETで・・・。将来を約束されているんだもの・・・。ほかの航空会社のCAまで狙っているって噂・・・。そして夏になり、孝博は最終実機離着陸訓練と機種限定のライセンスを取得するための型式限定審査を受けるため、アメリカのモーゼスレイクへ旅立った。これが終わると定期路線航路に訓練乗務して、あと数ヶ月で副操縦士の昇格試験を受ける事になっているの・・・。


この試験に合格すれば、彼は晴れて副操縦士・・・。遅くてもあと1年で結婚・・・。早ければ春かあ・・・・。早くしないと私29、30になっちゃうよ・・・。同期の子達は孝博を諦めてほかの人と結婚しちゃう子も出てきたしね・・・。

夢~航空会社編⑤
 相変わらず孝博は、暇を見つけるとメールをくれるの。


昨日なんか飛行機の側で写した写メを送ってくれて、訓練生だけど、パイロットの制服を着こなしている孝博を見てついにんまりしてしまう。孝博は希望通りに777のライセンスを取るようで、今日ライセンス取得試験らしいの・・・。


こっちは夜で、あっちは昼。私はハワイ行きの最終便に乗務するための打ち合わせ(ブリーディング)をしているところだったの。


「おい!速報を見ろ!!!テレビテレビ!!!」


社内にあるテレビをつけるとほとんどの局で速報をしている。もちろんみんなはテレビの前に集まるの。


「うちのモーゼスレイク訓練所でライセンス試験中の777の機体が故障らしい!」

「誰が乗っているんだ!!!」

「教官1名、試験官1名、訓練生1名計3名。訓練生は、源だって!!!」


報道によると、油圧関係の故障で、車輪が出てこないらしい・・・。何をやってもだめなので、今は旋回して燃料を空にしているの・・・。もう胴体着陸しかないらしくって、空港内は消炎剤を撒かれ、いつでも胴体着陸できるように準備している。呑気な事を言ってられない!!孝博が操縦しているんだ・・・777を・・・。


みんな時間を忘れて、テレビに食いつく。私は見てられないんだもの・・・。私は携帯を取り出して、待ち受けで微笑んでいる孝博のパイロット姿を見つめながら祈った。すると周りは歓声!なんとか無事に胴体着陸を決めたらしい・・・。もちろん胴体が地面についたときはものすごい火花が飛び散ったんだけど、胴体がひっくり返る事もなく、まるで車輪が付いているかの如くスーッと着陸したらしいの・・・。そしてその機体の周りを消防車や救急車が取り囲む。すると孝博が、教官か誰かを支えながら、無事機内から出てきたの・・・。そして念のため、救急車で運ばれていった・・・。まあ何とか二人軽症で済んだらしいんだけど、孝博は無傷・・・。


それどころか、あとから聞いた話、教官連中は焦りに焦って何も出来ず、結局孝博が着陸させたらしいのよね・・・。


「マニュアルに従って操縦しただけだよ。でもB777を1機駄目にしちゃったねえ・・・。」


って呑気な声で話す孝博の電話の声を聞いて私は呆れたわよ。もちろんライセンスは文句なしにもらえて、ほんと呑気な顔で帰国してきた。もちろん社内では英雄扱い。でも気にせず普通に生活している孝博。


あんたはすごい男だよね・・・。


孝博はちょこっとだけど、休暇をもらえて飛行機乗ってどこかにいこっかなあなんて・・・。事故機を操縦したんでしょ孝博は・・・。(普通乗りたくないとか言うじゃない?)私はどれだけ心配したと思っているのよ・・・。


でも実はある筋から聞いちゃった・・・。あのあと病院で腰を抜かしてたって・・。


うふふふ・・・。孝博らしいわねえ・・・。照れやさんなんだから・・・。



夢~航空会社編 (4)待ちに待ったもの

 毎日じゃないけど、孝博はまめにメールをくれる。やはり孝博ね、何事もスムーズにこなしていくの。もちろん的確な操縦技術は高く評価され、同期の訓練生の中ではトップ評価だという。


そして年末のクリスマスイブ、彼は帰ってくる事になった。超満席のためのダブルブッキング。エコノミーに乗るはずの孝博は、ファーストクラスのチケットを手渡されたらしい・・・。丁度唯一残っていた最後の1席・・・。その便は私の乗務する便・・・。私はファーストクラス担当。運悪ければ、次の便?それか年明けになっていたかもしれない。だって今、年末の一番忙しい時期なんだもの・・・。もちろん孝博が同じ便で、ファーストクラスに乗ってくる事を知ったのは出発時刻ギリギリの事だった・・・。お客様の最後に入ってきた孝博。ファーストクラス前に立っている私の前に立ち、笑顔でチケットを見せて言うの。

「あの、案内してくれるかな?」

初め誰かと思ったわ。驚いてしまって少し沈黙・・・。先輩に声を掛けられて気がついたというか・・・。私は孝博を席まで案内・・・。座席位置なんか知っているくせに、わざとだね・・・。ホントにフライト中はドキドキで、何とかとちる事はなかったけれど、暇さえあれば熱心に勉強している彼を見て、うっとりする私。もちろんそれは私だけではないの。


就寝時間には孝博はシートを全部倒して横になった。私は毛布を掛けなおす振りをして孝博の側に行くの。すると孝博は私の手首を掴んだの。そして小さな声で・・・。

「雅・・・これ・・・。」

夢~航空会社編④
といって小さな紙切れを渡す。そして再び孝博は眠りについた。私はそっと化粧室に入ってその紙切れを開くの。

「いつものホテルのロビーで・・・。もちろん一緒にイブを過ごそう・・・。孝博」

今年のイブはだめだと諦めていた私・・・。なんだか嬉しくなってしまって、顔が緩んでしまったの。そして成田に着き、いつものホテルへ・・・。もちろん孝博は先にチェックインしてロビーで待っていてくれたの。


そして部屋へ・・・。なんとエグゼクティブスィート・・・。部屋でのディナー。ホント嬉しくって、涙が出てきたの。


そして孝博は私に小さな箱を・・・。


「え?」

「雅、これ・・・。俺の初ボーナスで買ったんだからな・・・。まだ訓練生の俺だからいいもんじゃないけど形だけ・・・。受け取って・・・。」


包みを開けると小さいけれどダイヤの指輪。でも相当奮発したんだろうな・・・。孝博は改まって私に言うの。


「雅、あと1年の我慢だよ。俺が777の操縦ライセンスを取って副操縦士になったら、結婚しよう・・・。今のところ希望通り777に乗れそうだから・・・。」

「うん・・・。待ってるね・・・。」


その日の夜、私たちは久しぶりに愛を育んだ。






「あ、孝博にプレゼント買うの忘れた・・・。」

「ん?いいよ、こうして雅と会えたんだから・・・最高のプレゼントだよ・・・。」




そういうと孝博はさらに私の事を愛してくれたの。






つづく



夢~航空会社編 (3)苦悩

 私の2歳年下の彼、孝博は、ブリッジ訓練のため、アメリカに旅立った。旅立つ前日、2人で夜を過ごした。そしてなんとアメリカ行きの便は私の乗務する便だったの。孝博は驚いていたんだけど、私はファーストクラス担当で、彼はエコノミークラス。同僚は担当になってすごく喜んでいたんだけどね・・・。休憩中にわざわざ私のいるファーストクラスにやってきて、言うの。


「聞いて聞いて!訓練生の源君にありがとうって、微笑まれちゃった・・・。かっこいいよね・・・源君・・・彼女いるのかな・・・。」

「さあ・・・。」

もちろん孝博の彼女は私。そして婚約者。孝博はフライト中ずっと本を読み漁っていたらしいの・・・。今日のファーストクラスって政府関係者ばかり・・・。知っている顔もちらほら・・・。もちろんミールサービスの際もいろいろ声を掛けられたの。

夢~航空会社編③
「ん?弐條?もしかして君は・・・。元首相弐條代議士の?」

この人知っている。パパと敵対する派閥の若手議員さん。私より3歳年上の30歳。ちょっとキザで・・・。あまり好きじゃないなこの人・・・。でもお客様だから・・・。

「いつも父がお世話になっております。本日はご視察な何かでしょうか?たくさんの方々が・・・・。」


「まあそんなものかな・・・。乗務終わったら時間あるかな?」

お誘い??まあ、適当にあしらって・・・。


「申し訳ありません・・・。お客様。」


私は微笑んでやんわりと断る。ま、ここ担当になってこういうことは多々ある事。


はじめは結構混乱したけど、もう大丈夫。適当にあしらう方法を身に着けたから・・・。適当にあしらわれてしまった代議士を見た他の代議士は苦笑している。


私は早く乗務が終わらないかななんて思いながら業務をこなしていく。もちろんお客様なら適当にあしらってバイバイで済むんだけど、最近いろいろ言い寄られて困っていたりなんかするの・・・。


この前なんか、副操縦士にホテルのラウンジに呼び出されて何かなって思ったの。すると小さな箱を取り出して言われたの。


「あの・・・これ・・・・。受け取ってくれないかな・・・。」

「え?」


なかはダイヤの指輪。


「このようなものはいただけません・・・。」

「この俺と結婚して欲しいんだ・・・。」

「ごめんなさい。私には心に決めた人がいるんです・・・。」

「どんな人?弐條さんの相手だから政治家の息子とか?」

「いえ、普通の人です、だから・・・すみません・・・。」


もちろん私はすぐに出て行ったわよ。そういうことが年に数回・・・。親に会って欲しいとも言われたこともあったわよ。付き合ってもいないのにね・・・。


私は孝博だけなんだから・・・。


 無事到着すると、私はお客様を送り出す。ファーストクラスの政治関係者ご一行様の独身男性陣がみんな私に微笑みながら名刺を渡していくの。与党だけじゃなくって、野党議員も・・・。一般お客様がいなくなったのを見て、最後に孝博がやってきた、孝博ファンの乗務員はみんな孝博に向かってがんばってくださいねなんて・・・。


私と孝博は目で挨拶をしたの。孝博はいつもの爽やかな微笑で出口を出て行ったの。誰も私達の関係は知らないんだと思う。






夢~航空会社編 (2)久しぶりのデート
p> 私は寮を出て広尾のマンションに住んでいる。ここは私が生まれ育ったマンション。パパは私がいないと寂しいからって、同居。双子の弟、彬は総理大臣の和気泰明叔父さんの私設秘書。今は一人暮らし。だからうちはパパとママと、21歳年下の弟、6歳の雅司と4人暮らしってわけ・・・。


でも私は今日は帰りたくなかった。


私は客室乗務員控え室で時間をつぶし、孝博の退社時間を待つ。


同僚たちはいつまで経っても帰ろうとはしない私を見て不思議そうにしているの。


私は携帯を取り出して、孝博にメール。


『いつ退社?』


今一番忙しいのかな・・・。なかなか返事が来ない・・・。返事が返ってきたのは1時間後・・・。


『何?今日は早上がりだから、もうすぐ終わるけど?』


『じゃ、今から会える?』


『了解。今広尾?』


『まだ成田。』


私は通用口で孝博の退社時間を待つことにしたの。


続々と帰っていく社員さんたちを見つめながら、孝博の姿を探す。

夢~航空会社編②
いたいた!!!孝博は私の姿を見つけると、満面の笑みで近づいてくる。


「待った?まだそんな格好してるの?一度帰宅したのかなって思ったけど・・・。」


「帰る気しなかったんだ・・・。」


「今日は合コンじゃなかったの?明日休みでしょ。俺も休みなんだ・・・。今日俺んち泊まる?独身寮だけど?」


結局私たちは成田にある会社と同じ系列のホテルをとって過ごすことにしたの。もちろんパパとママには孝博といるから帰らないって言っておいたけど・・・。独身寮に潜り込むってことできないでしょ。


「さ、行こう・・・。」


孝博は私の荷物を持ってくれて、部屋へ・・・。


孝博が入社して2ヶ月・・・。


夏季入社の彼・・・。


いつまで地上業務なのかな?


孝博は部屋に入るなり、私を抱きしめてキスをしてくる。


「雅、俺、来月アメリカに行くんだよ。ブリッジ訓練に入るんだ・・・。」


ブリッジ訓練って言うと、小型飛行機から大型ジェット機へ移行するための訓練。孝博は小型飛行機のライセンスは持っている。大型旅客機のライセンスを取るための訓練に入る・・・。


アメリカ行っちゃったら2ヶ月会えないんだよね・・・。年末まで会えないのか・・・。


その後は東京にひと月いて、そのあとまたアメリカのモーゼスレイク空港にあるうちの航空会社の訓練センターなどで、ライセンスを取るために行くんだ・・・。ライセンスさえ取れば、定期便で路線訓練・・・。最短1年半・・・。あっち行ったりこっち行ったりで・・・。訓練に入ると余計に会えないんだ・・・。


「どうせ操縦するならB777がいいな・・・。B777のライセンスが欲しいな・・・。」


本当に楽しみでしょうがない様子・・・。今のところ孝博は最短でライセンスを取れそうな気配・・・。地上業務だって一生懸命さと、的確な業務が高く評価されて、運よく早めの訓練開始になったらしいの。


私は私服に着替えて、孝博とディナー。こうやってゆっくり2人で食事するのも久しぶりで・・・。社会人になった孝博はひとまわりもふたまわりも大人になっていた。


相変わらずの素敵な笑顔と、マメな性格。よく周りに気がついて、ささっと行動できるし、冷静だし・・・。私達が従姉弟同士じゃなかったらもっとよかったんだけど・・・。いつになったら改めて私にプロポーズしてくれるのかな・・・。


早く正式に婚約したい・・・。



夢~航空会社編 (1)私の彼は操縦士の卵
私は弐條雅(にじょうみやび)、某航空会社のCAになって3年。外国のいろんな街を飛び回って、充実した毎日を過ごしています。そして私の彼、源孝博は5月に航空大学校を優秀な成績で卒業し、私の勤務してる航空会社に見事採用されたの。彼ははじめ自分の夢だった幹部自衛官を私のために諦め、防衛大学校を中退して、航空大学校に進路変更したのよね・・・。だって私の父は元総理大臣。生まれながら政治家の娘として育ったわけだから、私をきちんと養おうと、高給取りとして有名なパイロットに転向したわけ。
 今彼は成田空港で地上勤務。航空会社とはどういうものかと研修中。もちろんこれはお客様を乗せる飛行機のパイロットとして大切な事。だってお客様に接していないとわからないことってあるでしょ。だからだと思うの。
彼は搭乗受付口に立って、チェックインをしたり、搭乗口でお客様を誘導したりと、大忙し・・・。私が側を通っても気がつかなかったりするのよね・・・。彼の航空会社の地上業務の制服姿を見てうっとりする同僚も多いのよね・・・。だってかっこいいもん私の彼・・・。身長180センチはあるし、すらっとしているんだけど、防大で鍛えた体は脱いだら筋肉すごくって・・・。顔だってすっきり私好み。微笑む顔はもうかわいい!!ああこの人が私の将来の旦那様になるんだもん・・・。早く副操縦士になってくれないかな・・・。
 同じ会社にいても休みがなかなか合わなくって、孝博が入社してから一度も二人で会っていないのよね・・・。会いたくて会いたくてしょうがないのに・・・。

「雅。今夜空いてる?お願いがあるんだけど・・・。」

「何?」

こういう時は必ず合コンなのよね・・・。私に婚約者がいるって公表していないから、よく先輩たちにも声を掛けられるの・・・。

今日はロンドンヒースローからの便・・・。そして搭乗口で、次の搭乗準備をしている孝博を発見。

「ねえねえ・・・例の卵君、今日はここなんだね・・・。」
「うんそうみたいね・・・。」
「いつ見てもかっこいいよね・・・。年下ってのが悔しいわ・・・。でも2歳くらいならいいか・・・。ところで雅、どう今夜?お医者様よ、合コンの相手。ねえ雅ったら!」

夢~航空会社編①

その同僚の言葉で孝博がこちらを向いて目が会っちゃった・・・。ちょっとムッとした表情で私を見つめているの。いかにも「合コンいくつもりか?」って・・・。そのあとプイッとしてもとの業務に戻る。
同僚は孝博と目が合ったって勘違いしているの。キャーキャー言っちゃって・・・。
まあ合コンの件は断ったんだけど・・・。

自作小説「四神降臨~復活編」のキャラ紹介
まだアメブロで連載中なんですが、四神に関わる者のイラストが四神分揃いましたので載せておこうかと・・・。

以前こちらでも発表した「四神降臨」の続編。舞台は現代日本。
苦手な系統のためやばい・・・。中断してしまうかも・・・。起承転結の「転」までは進みましたけれど・・・。荒い流れも出来たんですが、細かい描写が出来ない。一応予告と言うことで、いつ更新できるかわかりませんけどね・・・。(その前に「夢~航空会社編」を更新しなければ・・・。)
なんだかんだ言ってこちらは倉庫。校正して出しています^^;

青龍
20070515095700.jpg

青龍に関わる者、今回は九条竜哉(右)。前回の龍哉(左)の子孫であり、生まれ変わりの18歳。通っている高校の理事長の孫で生徒会長。

朱雀
20070515095559.jpg

朱雀に関わる者、今回は紫苑(右)。ここからはネタバレになるのでやめておきます。前回の朱雀の皇子・源朱央(左)は今回四神にかかわるものを探して導く者として動きます。

白虎
20070515095723.jpg

白虎に関わる者、今回は安倍聖斗(右)。前回の安倍西斗の子孫。もちろん小さい頃より安倍家の嫡男として、陰陽師の指導を受けている。九条竜哉と同級生。

玄武
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玄武に関わる者、今回は近衛麻沙耶(右)。前回の近衛麻耶(左)の子孫。男だけれど初恋は九条竜哉。竜哉とクラスは違うが同級生。ナヨナヨしていて、おとこおんなと言われ、いじめの対象とされている。旧五摂家の嫡男。


ということで・・・。
いつになるかわかりませんが、よろしくお願いします。




模写~コーギー
20070513091046.jpg

挿絵として描いたのですが、犬が大好きな方から耳が小さいからコーギーには・・・・といわれました^^;
だからなんかねえ~~~と思ったのはそれだったんですね。

でも描き直さないところが私です。

画材は無料試用ソフト「Sai」のみ

今までの中で一番いいと言われたもの
20070510104723.jpg

ホンワカ新婚さんという感じで書きました。実は挿絵なんですが・・・。
あと先日更新したイラストを描きなおし。

20070510104843.jpg

少しマシになったなあ・・・。
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萌っぽい絵じゃないよね・・・。
落書きがてらに描いた線画を着色しました。
最近ずっと挿絵しか書いていなかった私がまったく関係ないものを描くなど珍しいことです。
20070508131205.jpg

たぶんこれは拡大したものなので汚いです^^;
色を塗るとこういう感じ・・・。
色を塗るとなんできつい顔になるのか・・・。色の問題かな・・・。


20070508131412.jpg


なんという部類に入るんだろう・・・。
ただ単に急に描きたくなって書いた落書き。
良かったら線画をもらってください。下手ですけど・・・。

mixiのプロフ画像になっていますが^^;
他の人が塗り塗りするとどんな感じになるか見たいです。うん。

ではたまーにこういう風に出して行こうと思います。



夢~防大編 最終章 (2)夢への第一歩

 そして運命の航大入試・・・。1次の筆記、2次の身体検査はなんとかクリアして、3次の面接とシュミレーター試験。試験官の指示通りに出来たと思うんだけどな・・・。


2月運命の発表!!!結果は合格!!!入校は第1期6月・・・。


本校は宮崎県になる。宮崎空港横。早く入校したくて希望を出したら何とか許可が出た。


俺は3月末付で、防大中退願いを出した。もちろん教官たちは成績トップ、学生隊大隊長候補の俺を引きとめようとしたんだけど、俺はもう航大に行く事に決めたんだ。もちろんこのまま防大に残れば、父さんのような幹部自衛官になれたんだろうけれど・・・。俺は友人に見送られながら、防大を出た。夢がかなったら連絡を取り合おうと約束もしたんだ。父さんはわざわざ休みを取って、俺を迎えに来てくれた。

孝博
そしてそのまま総理公邸へ・・・。丁度休みだった雅もわざわざ公邸に来ていた。叔父さんたちは温かく俺を受け入れてくれる。もちろん航大を受けると報告した時は驚いていたね・・・。そして受かったって言ったらホント自分の息子のように喜んでくれて・・・。

「孝博、よかったね。これで私たちの夢の第一歩を歩んだわけだね・・・。待ってるね私・・・。何年でも・・・。孝博が、見事副操縦士になったら、結婚しようね。早くてもあと4年か・・・。絶対私と同じ会社に入って、一緒に仕事したいよね・・・。待てるかな・・・28まで・・・。」

「でももともと10年待って欲しいって言ったんだから・・・。俺一生懸命がんばるからさ、そしてきっと雅と同じ会社に入るから・・・。」

俺たちは初めて夜を共にした日、約束したんだ。俺たちの夢は一緒に仕事をして、一緒に家庭を持とうって・・・。これからがその第一歩なんだ・・・。




(完)









夢~防大編 最終章 新たなる夢の第一歩  (2)いきなり2年後・・・

CA
 2年が経ち、雅は希望通りにCAになった。総理大臣の娘がCAになったってことが結構話題になった。


俺は夢のために航空大学校の受験勉強。もちろんきちんと防大の講義も受けている。もし落ちたら、このまま防大に残って空自に入り別枠で就職を狙うんだ。もちろんいろいろ対策本を買い込んで勉強。


雅だってCAになるために今訓練中。雅もがんばっているんだから、俺もがんばらないと・・・。雅は寮に入って訓練を受けている。根っからのお嬢様の雅ははじめ戸惑ったらしいが、要領のいい雅だから、なんとか毎日が楽しいと、メールが入った。まあ、マナー類は完璧だからね・・・。


制服姿の写メも送ってくれた。俺もお返しに防大の制服だけど、送っておいたんだ。CA制服姿の雅はホントに綺麗で、早く雅と一緒に働けるといいなと思ったんだ・・・。


3ヶ月後、雅は国際線フライト旅客部に配属になった。雅は結構バイリンガル。英語はもちろん、フランス語、ドイツ語などを話せる。忙しすぎて、メールはたまにしかなかったけれど、たまに送られてくる写メを見て元気さがわかる。


 総理大臣のご令嬢なのに鼻にもかけず、一生懸命働く姿は、大変評価されて、先輩たちにも大変可愛がられているという。そして一番心配していた、叔父さんも叔母さんも安堵していたんだ。


この前も彬が乗った飛行機に雅が乗務していたらしくって、感心していたんだ。彬といえば、今慶大を出て、内閣官房長官・和気泰明叔父さんの私設秘書をしているんだよね・・・。そして泰明叔父さん関係の公務でアメリカに行った時に同じ飛行機に乗ったらしい。彬を気にするわけでもなく黙々と仕事していたって・・・。

まあ俺はまだ防大にいるわけだけど、夏から始まる航大入試・・・。防大から数人受けるらしいけど、さ、無事受かるかな・・・。もともと自衛官になることを反対していた母さんは航大受験に大賛成で、何かしら世話を焼く。(受かったら授業料や移動費とかすべて出すって言い張ってたねぇ・・・。まあそこまで甘えるつもりはない。もう俺は20歳なわけだし・・・。)追い込み追い込み!!!



夢~防大編 第3章 もうひとつの道 (5)初めての2人きりの夜

俺は雅の持っているマグカップをもちテーブルに置くと、雅を抱きしめ、そっと押し倒す。そしてキス・・・。俺の胸は張り裂けそうで、我慢できなかった・・・。雅の鼓動も・・・。


「ここじゃやだよ・・・。」

「そ、そうだよね・・・。風呂沸かしてくる・・・。」

雅は真っ赤な顔をして、俺を見つめていた。いいのかな・・・今日は・・・。


俺は風呂を沸かすと、先に雅に入ってもらった。もちろん今夜は2人きりの夜、今日しかチャンスはないと思って、この前先輩にもらったものをちゃっかり用意。そして枕の下に隠す。


雅はパジャマを着て俺の部屋に入ってくる。そして俺も風呂へ・・・。


3年前もチャンスがあった・・・。でも最後の一線は越えられなかったんだよね・・・。あの時まだ俺はガキだったし・・・。でも今は違う・・・。ちゃんと雅の事は想っているし、親に仲を認めてもらっているんだ・・・。

俺は部屋に入り、ベッドに座ってテレビを見ている雅の横に座る。もちろん雅は真っ赤な顔をして下を向いているんだ・・・。

「雅・・・。」

俺は雅を抱きしめ、雅を横にする。

「孝博、電気消して・・・・。」

hajimetenoyoru
俺はテレビと電気を消し、雅にキスをする・・・。3年前とは違い、やはり雅の体は成長しきっていた・・・。俺だってもう男の体だ・・・。雅は目を閉じながらも俺を最後まで受け入れる。雅にとって俺は初めての男だし、ちょっと顔をしかめながらも、受け入れてくれるんだ・・・。最後に俺は雅にキスをして、ベッドから離れる・・・。雅は放心状態で真っ赤な顔をして、天井を見つめている。

「ごめん・・・。」

「うん・・・でもいいの・・・孝博が相手だから・・・。」

実は俺にとっては雅は初めての女じゃない。初めての女は・・・なんていうのかな・・・練習だって言われて先輩に連れて行かれた・・・風俗じゃなくって、先輩の彼女の友達と・・・。いけないんだけど・・・勢いで・・・。先輩に経験ないって言ったら馬鹿にされむかついた事もあるけどね・・・まあこれは雅には内緒だ・・・。



夢~防大編 第3章もうひとつの道 (4)夢変更への決意

 8月のある日、雅がやってきた。父さんは演習で家を空けているし、爺ちゃんは自衛官OBの集まりで東京・・・。俺ひとり・・・。それを知ってかしらずか、雅がうちに泊まりにきた。


「雅、叔父さんにいってきたのか?お爺様には?」

「うん言ってきたよ。でも叔父様たちがいないなんてね・・・・。」

といいながら俺の顔をじっと見る。とにかく、夕飯の買い物に行く事になって、二人で買い物。ああ3年前を思い出す。よく雅と一緒に近所のスーパーに買い物に来たんだよね・・・。雅は俺の腕に手を回し、俺は微笑みながら品定め・・・。

「孝博、どうかした?」

「ん?なんだか夫婦みたいだなって・・・。」

「嫌だあ!孝博ったら。雅嬉しいよ。今から結婚する?」

「それはちょっとまずいだろ?出来ない事はないかもしれないけど・・・。」

俺たちはいろいろ買い込み、夕飯の支度・・・。久しぶりに食べる雅の手料理・・・。結構楽しみなのだ。雅が作ると普段うちでは食べることが出来ない料理が食える。雅が作ったグラタンなんて、ホントにおいしいんだよ。俺たちはちょっと早めの夕飯を摂って、2人っきりの夜を過ごすことにしたんだ。

「雅、話があるんだ・・・。」

「何?」

食後のお茶をしながら微笑む雅・・・。もちろん言う事はひとつ。将来のこと・・・。

「俺さ、自衛官を諦める事にしたんだ。」

「え?だって孝博は自衛官になるのが夢なんでしょ。」

「まあそうなんだけど・・・なんだかんだ言っても公務員だし、はじめのうちは安月給・・・。雅のようなお嬢様を養えないよ・・・。また父さんと母さんの二の舞は嫌だ・・・。だから俺決めたんだ・・・。再来年、航空大学校を受けて、卒業後民間の航空会社のパイロットになるんだ・・・。そうすれば雅を養うくらいの給料は出るし、自衛官の妻よりも、パイロットの妻のほうが雅もいいだろうと思って・・・。まあ受かればの事だけど・・・。」

彬
「そう・・・きっと孝博の頭じゃ受かるよ。秀才だもん・・・。じゃあ私キャビンアテンダントにでもなろうかな・・・。もうそろそろ大学のあとの事を決めないと・・・。私、ぬくぬくお嬢様生活は嫌だもの・・・。やっぱり働きたいし・・・。この前ね、孝博のような事を彬に言われたの・・・。『いいのか?自衛官と結婚したら今のような生活は絶対無理だぞって・・・苦労するぞってね・・・。』最後に極め付けにいわれたのよね・・・。『姉ちゃんは憧れだけで結婚するんじゃないだろうね?』って・・・。そりゃそうよね・・・。生まれながら政治家の娘として育った私だもん・・・。憧れだけじゃ生活は出来ないし・・・。孝博が夢を捨ててまで雅のこと想ってくれているなんて・・・嬉しいよ・・・。」

そういうと雅は俺にもたれかかってくる。








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