4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

第83章 院の訪問
 まだ残暑が厳しい秋口。良き日を選んで院と皇太后が宇治から姫宮と東宮に会いにやってくる。東宮は久しぶりの院たちの訪問に喜び、朝早くから起きて今か今かと待つ。その姿を見た綾乃は微笑んで、東宮を見つめた。昼を過ぎたころ、執務を早めに切り上げた帝が、弘徽殿へやってきた。


「まだおいでになってないようですね・・・。早めに公務を切り上げてきたのに残念だな・・・。」


帝は苦笑して東宮を抱き上げてあやす。


「おとうちゃま、あちゅい・・・。」


と東宮が帝の額を触って言う。


「そうかな・・・。急いでこちらに来たからかな・・・。そんなに熱いかな・・・。」


微笑みながら帝は自分の額に手を当てて見る。


(これくらいの熱、なんでもないか・・・ちょっと風邪でも引いたのかな・・・?また後で侍医でも呼べばいいか・・・。)


そう思うと帝は綾乃の前に座って話し始める。すると女官長が現れて、帝に言う。


「院、皇太后様が参内なされ、麗景殿にお通しいたしました。」
「そうか御着きになったか・・・。わかった今から行く。藤壺と姫宮も麗景殿へ・・・いいね・・・。」
「かしこまりました。」


そういうと帝は立ち上がって東宮を抱き、麗景殿に向かう。麗景殿につくと東宮は帝から降りて、院や皇太后に向かって走り出す。


「おじいちゃま!おばあちゃま!」
「東宮、相変わらず元気がいいね。」


院が微笑んで、東宮を膝に乗せ頭をなでる。帝は遅れて麗景殿に入ると、綾乃とともに院と皇太后に挨拶をする。


「まあ元気そうね。お二人とも・・・。あら?藤壺女御様と姫宮はまだですか?」


と皇太后が言うと、帝はいう。


「まもなくと思います。藤壺はちょっとうっかりしたところがありますので、焦らせてしまうと・・・。まあそういうところがかわいいくていいのですけれど・・・。」


帝は恥ずかしそうに顔を赤らめて言う。すると表で騒がしくなると恥ずかしそうな顔をした鈴華が入ってくる。


「藤壷何かあったのですか?すごい騒ぎだったけれど・・・。」


鈴華は恥ずかしそうに苦笑して言う。


「急いでこちらに来たので途中つまずいてしまって・・・体をぶつけてしまいました・・・。遅れてしまって申し訳ありません・・・。」


一同はこの話を聞いて微笑む。鈴華はハッとして院と皇太后に挨拶をすると、姫宮を乳母から預かり、帝に渡す。帝は院と皇太后の側に座り姫宮を見せると、皇太后は姫宮を抱いてあやす。


「まあなんとかわいらしい姫宮だこと・・・。帝によく似て・・・。和子様にも見せて差し上げたいわ・・・。」


と、皇太后が言うと、院が微笑んで姫宮の頬を触る。姫宮は急に泣き出し、院は驚いたが、皇太后が乳母を呼んで乳母に姫宮を渡した。


 夕刻になると、帝は仕事を終えた中務卿宮も呼び、楽しく歓談する。綾乃は帝の顔色に気づくと側による。


「ちょっと失礼しますね。」


というと綾乃は帝の額と首筋の手を当て様子を見る。


「何?綾乃?」
「雅和様、お熱がありますわ。顔色もあまりよくないご様子・・・。」


帝は綾乃の手を離して言う。


「大丈夫だよ。せっかく院がおいでだからこういうことは後に・・・。心配してくれてありがとう綾乃・・・。」


そういうと微笑んで普段どおりに院と話し出す。確かにいつもと違う帝の顔色に一同は心配して侍医を呼ぶように薦めるが、帝は断る。一同揃っての食事も帝は少しむせながらある程度食べ、箸を休めてしまうと、一同は心配して、帝を見つめる。すると帝は立ち上がって一同に言う。


「少し気分が優れないので夜風に当たってきます。藤壺、ついてきてくれる?弘徽殿は父上達のお相手を・・・。」


そういうと、鈴華をつれて麗景殿を出て庭に下りると、夜風に当たりながら歩き、中秋の名月を眺める。


「鈴華・・・綺麗だね・・・夜風が涼しくて気持ちいいよ・・・。」


そういうと鈴華を抱きしめる。


「雅和様、やはり綾乃様の言うようにかなりお熱がありますわ・・・。清涼殿に戻られて侍医に・・・。」
「いいよ・・・ただの風邪だから・・・。ただ・・・。」


そういうと帝は意識が朦朧として、鈴華にもたれかかる。鈴華は帝を支えきれずにその場に座り込んでしまう。


「きゃ!帝!誰か!帝が御倒れに!!!」


その声に気がつき、控えていた近衛の者や女官たちが集まり、丁度宿直をしていた鈴華の兄である頭中将が鈴華と帝に駆け寄る。


「お兄様・・・帝が・・・。」


鈴華は帝を抱えながら泣くと頭中将が言う。


「鈴華は黙っていなさい!私が帝をお運びするから・・・。」


頭中将は頭を下げると帝を抱え、女官の案内で承香殿へ運ぶ。頭中将は女官が準備した寝所に帝を横にすると、直衣を緩め、女官が帝に衣を掛ける。


「誰か侍医を・・・。鈴華、帝のお側に・・・。私は麗景殿の院にご報告に言ってくるから・・・。」


そういうと頭中将は、鈴華をその場に残し麗景殿に向かう。そして麗景殿の入り口に座り深々と頭を下げると、頭中将は院に言う。


「申し上げます。帝はただいま承香殿前にて御倒れあそばしました。ただいま侍医を呼び承香殿におられます。側には藤壷女御様がおられますので、少々こちらでお待ちいただきますようお願い申し上げます。」
「頭中将であったな。ご苦労。病状がわかり次第こちらに報告を・・・。」
「御意。」


そういうと頭中将は下がっていった。一同は心配して侍医の診察結果を待つ。


「最近少しはやり病があると聞きましたが、それでなければいいのですが・・・。」


と皇太后は院に言うと、院は心配そうに侍医が来るのを待つ。しばらくすると侍医がやってきて、院に申し上げる。


「帝の病状でございますが、やはりはやり病の類のもの・・・。あまりひどい症状ではないと思われますが・・・。この病は一度かかると一生ならないものです。」
「なんと言う病だね・・・。」
「麻疹でございます。ですのでかかっておられない方はこれ以上お近づきにならないように・・・。」


この中では小さな姫宮と東宮のみがかかっておらず、この二人を半月ほど、様子を見るようにと侍医が指示した。以前二十年程前にはしかが都中に流行った事があり、院をはじめ大体のものはかかったが、帝のみ何故かかからなかった経緯があった。その後も何度か流行ったことがあったが、いずれも帝はかからなかった。帝の病状が落ち着くまで、院達はこの後宮に残ることになった。帝の急な病に、急遽太政官たちが参内して殿上の間に集まり、病状がよくなるまでどうするかを検討に入る。すると土御門左大臣がいう。


「ちょうど院が参内中であられる。ちょうど良い、院に帝の代わりをして頂いたら良いのではないか?あれほどやり手であった先代の帝だ・・・。」


すると右大臣が言う。


「なるほど・・・。関白太政大臣のいない今、やはり院に頼んだほうが良い策かもしれませんな・・・・。」


次は内大臣が言う。


「院政って言うものですか・・・。ではいつまでも後宮に御在所を置くわけには行けないので、皇太后様のご実家東三条邸を仮の御在所にしては?あそこなら内裏にも近い。亡き東三条殿は皇太后様の兄上であられるし・・・今住んでいるのは東三条殿の正妻のみ・・・。頼んでみましょう・・・。」


すると、外が慌しくなり、侍従が殿上の間にやってきていう。


「院がこちらに・・・。」


太政官たちは慌しく院を迎えると、院はため息をついて太政官たちに言う。


「帝ははしかのようだ。軽いはしかのようなので命には別状はないが、当分良くなるまでかかると思う。さてこの先どうすればいいものか・・・。」


すると左大臣が太政官達の意見として今まで話していたことを伝えると、院はうなずき当分院が帝の代わりをすることとなった。もちろん仮の院の御所として東三条邸が使われることになり、中務省を始め、様々なものたちが、一時の院政の準備のために走り回る。


 一方承香殿では、綾乃と鈴華が交代で帝の看病をする。何とか帝は落ち着き、意識を取り戻したが、熱のためまだ意識が朦朧としている。すると侍医が入ってきて、二人に言う。


「お子様たちの件がありますので、できるだけ中宮様、女御様はお近づきになられないように・・・。」


綾乃と鈴華は残念そうな顔をして退出しようとすると、控えていた鈴音が声を掛ける。


「中宮様、お姉さま、私が帝の看病をさせてください。私も小さいときにかかった病でございます。」
「そうね・・・それが良いかもしれませんね。鈴音・・・無理はいけませんよ・・・。」


と鈴華が言うと、綾乃も鈴音に看病を頼む。何日も何日も鈴音は籐少納言とともに帝の看病をする。帝の熱はそう大して高熱ではないものの、上がったり下がったりでとても苦しそうな息遣いで、眠っている。たまに起き上がって重湯を飲んだり薬湯を飲んだりしているが、それ以外はほとんど寝ている状態であった。もちろん意識が朦朧としているためか、誰が側にいるのかさえ見分けられない様子なのである。


 帝の意識が戻ってきたのは発病して半月ほど経った時である。朝日で目が覚めた帝は側で座ったまま眠っている鈴音に気づく。


「鈴華?」


その声に鈴音は気づき、帝の手をとり、首を横に振る。


「私は更衣です。やっとお目覚めになられたのですか?失礼します。」


といって鈴音は帝の額に手を置き、熱を見る。見事に帝の熱は下がっており、鈴音はほっとした様子で籐少納言を呼ぼうと立ち上がる。


「梅壷がずっと側にいてくれたのですか?」
「はい・・・。」
「そうですか・・・看病疲れでしょうか・・・痩せましたね・・・だから鈴華と間違えてしまった・・・。ほかの女官はたくさんいるので頼んだら良かったのに・・・どうしてですか?」


鈴音は赤い顔をして答える。


「私、帝のことを想っているので・・・。」


それを聞いて帝は初めて鈴音の気持ちに気づく。すると帝は鈴音の手を引き、鈴音を抱きしめる。そして耳元で鈴音に言う。


「ありがとう・・・君は命の恩人のようなものだね・・・。」


鈴音は爆発しそうな胸の高鳴りを気にして帝から離れる。


「籐少納言様にご報告してきます。」


そういうと真っ赤な顔をして退出していった。帝は座って鈴音のことを考える。すると帝の乳母である籐少納言が入ってきて側に座ると、涙ぐんで話しかける。


「帝、いえ雅和親王様・・・籐少納言はずっと心配しておりましたのよ・・・。まもなく侍医が来ますので、お待ちを・・・。母宮様も大変ご心配なさっておりました。」
「大袈裟だな・・・。もう調子はいいよ。ほんとみんなに心配させてしまったな・・・。ところで寝込んでいた間、どうなったの?」
「院が帝の変わりに・・・。何とか都は平静を保っております。」
「そう・・・。更衣はどこ?」
「梅壷に戻られましたわ。大変お疲れでずいぶんお窶れに・・・。ずっと帝の側を離れず看病をなさっておいででしたから・・・。」


帝は考えて女官長に言う。


「私が元気になったら、夜清涼殿に呼んでほしい・・・。」
「はい?更衣様をですか?」
「もちろん。いずれ女御として迎えたい・・・。梅壷更衣を当分の間部屋でゆっくりさせてやって欲しい・・・。いいね籐少納言。」


女官長は深々と頭を下げて承知する。帝はまた横になって侍医の診断を受ける。侍医は回復の兆しがあると判断し、あと半月静養するようにと帝に申し上げる。帝はうなずいて、侍医にお礼を言うと、侍医は深々と頭を下げて承香殿を退出していった。



《作者からの一言》

更衣はついに帝に気持ちを打ち明けました。もちろん更衣が必死に看病していたことに感激し、更衣の想いを受け入れることにしました。もちろんこれが鈴華と鈴音の対立を生むのですが・・・。

当時はしかという言い方であったかは疑問ですが、何度かこの時代に流行ってたくさんの人たちが命を落としています。今と違っていい薬などないのですから・・・。
スポンサーサイト

Comment

 秘密にする

Track Back
TB*URL

Copyright © ねぇね2人と双子っちのママのお部屋。別館. all rights reserved.
さくらと空 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。