4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第86章 秋の除目
 ついに秋の除目が発表された。今回は後宮関連の異動も増える。まず、太政官からであるが、大臣クラスしか変動はなく、関白太政大臣に鈴華の父である前内大臣。そして綾乃の実父右大将が再任として内大臣、新たに蔵人別当を兼任。後宮では綾乃が皇后となり、鈴華が中宮、鈴華の妹鈴音は女御となったことで、中宮職とは別に皇后職も設けられ、前中宮職大夫は皇后職大夫となり、中宮職大夫には鈴華や鈴音の兄である前頭中将が就いた。そして新たな頭中将に前左近少将源常隆が昇進した。もちろん土御門の姫君は相当の位を与えられ、従三位尚侍として任じられた。


ほとんど帝の周りは今回の除目によって帝の信頼が厚い者達で固められたのは言うまでもなく、土御門殿はナンバー2の左大臣についているのではあるが、なんとなく疎外感があった。後は尚侍に任命された自分の姫が帝に気に入っていただくことのみを願っていた。


 鈴音が帝の妃になってから、鈴華と鈴音の仲は悪くなり、特に鈴華は帝を拒否し続けている。毎晩のように帝は藤壺に渡る。当たり前だが、毎回藤壷には入れてもらえず、しょうがなく弘徽殿や承香殿に渡ることもしばしば・・・。今日こそは鈴華と話がしたいと、無理にでも帝は藤壺に入る。


「鈴華・・・。今日こそ私と話をしよう・・・。」


鈴華は黙ったままで、几帳の奥で泣いている。帝は女官に几帳を取り除くように命令をすると、女官たちは几帳を取り除いた。鈴華は脇息にもたれかかって泣き崩れていた。鈴華の袖口は涙でぬれている。鈴華はあまり食事ものどが通らなかったようで、ずいぶん痩せてしまっていた。帝は鈴華を抱きしめて言う。


「鈴華・・・ずいぶん苦しめてしまった・・・。こんなに痩せてしまって・・・。」


鈴華は真っ赤な目をして帝を見つめると、初めて口を開いた。


「雅和様・・・私・・・。」
「どうしたの?鈴華・・・とても辛かったのだろうね・・・。悪かった・・・。」
「それだけで痩せてしまったのではありません・・・。たぶん私・・・懐妊したようです・・・。」
「懐妊したのですか?」
「はい・・・帝が二条院にて静養中にわかったことなのです・・・。このことはまだ数人しか知りません・・・。私は産みたくはないのです・・・。」
「どうして・・・私の子なのでしょう。」
「だからです・・・鈴音を妃に迎えた雅和様の子など・・・。もういりません・・・。申し訳ありません・・・。」
「鈴華・・・。鈴華は鈴華・・・女御は女御・・・別に扱っていたつもりです・・・。わかりました。好きにしたらいい。里下がりをしたければしたらいい。ただし、おなかの子を慈しんで下さい。」


そういうと、帝は鈴華にくちづけをして立ち去っていった。帝はうなだれた様子で清涼殿に戻り、そのまま寝所に籠もった。


朝方、中宮職大夫の鈴華の兄が清涼殿に急ぎの用でやってくる。帝は急いで直衣に着替えると、昼の御殿に座る。そして中宮職大夫を御前に通す。


「このように朝早く申し訳ありません。ただいま典薬寮から急遽中宮職に知らせが入りました。」
「どうかしたのですか?」
「は、中宮様、真夜中急に出血され、流産されたとのことです。ご懐妊されていたことさえ知らされていなかったものですからこの私でも大変驚きました・・・。」
「昨日中宮から懐妊を聞いたが・・・そうか・・・流産か・・・。確かなのですか?」
「はい、まもなく典薬寮のものが詳しいご報告を・・・。」


帝は鈴華の流産を聞き、自分を責める。中宮職大夫が下がると、急いで典薬寮の督と、女医が入ってくる。やはり懐妊は真実であり、そして急な出血により、胎児が出てしまったというのである。母体のほうは今のところ命に別状はなく、当分養生したほうがいいと診断した。


「原因は?」
「はい・・・様々な要因があると思われますが・・・・やはり一番は心労からでしょうか・・・。」


典薬寮の者を下がらせると再び中宮職大夫を呼ぶ。


「大夫、中宮の里下がりを許す。十分養生させるよう。そのようにあなたの父君関白殿にも言いなさい。いいですか?中宮がこちらに戻りたいというまで堀川邸でも別邸でも別荘でも好きなところで養生させたらいい。」
「御意。」


中宮大夫が下がると帝は溜め息をついて考え込む。すると綾乃が知らせを聞いて清涼殿に来た。


「鈴華様のこと、聞きました・・・。今からお見舞いに行ってきます。同じ女として鈴華様の力になって差し上げたいのです・・・。」
「綾乃、頼んだよ・・・。」


綾乃は藤壺に向かうと、鈴華の見舞に行く。綾乃は寝所に寝ている鈴華を見て涙ぐむ。


(鈴華様・・・相当心労が溜まっておられたのね・・・。)


鈴華の乳母が、鈴華に声を掛ける。


「中宮様、皇后様がこちらにおいでです・・・。」


鈴華は綾乃に気が付くと、起き上がろうとする。


「鈴華様、そのままで結構です・・・。養生なさって・・・。」


綾乃は鈴華の手をとって涙ぐむ。


「皇后職大夫から聞きました。なんということ・・・同じ女として同情いたします。御子は残念な結果でしたが、鈴華様がこうして無事で何よりです。鈴華様、病明けからの帝の行動・・・私にも目に余るものが・・・。あれ程嫌っておいでだった土御門の姫君も尚侍の位をお与えになる始末・・・。しかし、帝は鈴華様のことを大切に想っておいでなのは確かです・・・。私は鈴華様の味方です。なんでもご相談ください。」
「綾乃様・・・。本当は懐妊したことはとてもうれしかったのです・・・。でも昨日帝にひどいことを言ってしまいました・・・。この子はいらないと・・・。だから流れてしまったのです・・・。私はなんと言うことを・・・。帝になんとお詫びしたらいいか・・・。」
「鈴華様・・・そんなにお悔やみにならないで・・・。自分をお責めになりますと、大事なお体が回復しません。さ、ゆっくり養生を・・・。」


鈴華はうなずくと再び眠りについた。綾乃が退出すると、急いで参内してきた関白が中宮職大夫を伴い藤壺を訪れる。


「父上、中宮様は今お休みになっています・・・お会いになるのはもうしばらく・・・。」
「うるさい!鈴華はいつもそうなのだ。懐妊の発表もせず、流産だと!またうっかり姫が転んだりなんかしたのであろう!大事な帝の御子を流産しよって!堀川家の恥もいいところだ!」
「父上!今中宮はお心を傷めております。大きな声でそのようなことを・・・。」
「あのようなうっかり姫を帝が気に入って頂けていると言うだけでもありがたいことであるのに・・・。大事な御子を!!帝から直接里下がりの命を受けるなんて・・・いい恥さらしだ!」
「父上、里下がりといっても養生のためであって・・・。中宮を見放されたわけでは・・・。」
「同じようなものだ!期限無しの里下がりなど聞いたことはない!これ以上堀川家の恥さらしを後宮においておく必要はない!今すぐにでも連れて帰る。養生先も都から一番遠い吉野の山荘にせよ。」


関白は中宮付きの女官に言って里下がりの準備をすぐにさせ、その日のうちに堀川邸に鈴華は入った。体が落ち着いたと同時に鈴華は冬が始まったばかりの吉野の山荘に向けて旅立った。中宮職大夫によって知らされた帝は寂しそうな顔をして言う。


「そう・・・中宮は吉野へ・・・。冬の吉野は相当雪深いだろうね・・・。大夫、中宮のこと頼みましたよ。出来るだけ早く養生明けすることを願っています。」
「御意・・・。」



《作者からの一言》

やはり相当ショックだったのでしょうね^^;それしかいえません^^;父君である関白の怒り様はちょっと焦点がずれています^^;もともと鈴華に対して何でも鈴華のせいにしてしまうところがあるのです^^;もちろん帝も鈴華を思って無期限の里下がりを命じただけなのですが・・・。
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