4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第88章 亡き者の霊
 あの事件から数日が経ち、鈴華は後宮に戻ってきた。無理やり連れ戻されたようなものだあったが、鈴華はあの出会いがあってから何か吹っ切れたような感じがし、清々しい気持ちで戻ってきた。もちろん帝は例の事件を内密に処理し、何も無かったように鈴華をいつものように笑顔で迎える。


「お帰り・・・、鈴華。吉野はどうでしたか?きっと桜が綺麗であったでしょうね・・・。」
「はい・・・ちょうど見頃でした。雅和様にもお見せしたかったぐらいです。」


鈴華は帝に微笑んで、何も無かったように振舞う。この夜は藤壺にて帝と一緒に過ごす。ちょうど藤壺の藤は見頃になっていて帝と一緒に眺める。鈴華は帝に酒を勧めると、帝は珍しく酒を口にした。


「最近練習しているのですよ・・・。いつまでも苦手だからと言ってられないしね・・・。」


帝は微笑んで、少しずつ酒を口にした。やはり帝は相変わらず酒に弱いようで、立ち上がって、鈴華の手を取ると寝所に連れて行く。


「鈴華、今日はいい?前みたいに拒否しないで欲しい・・・。」
「はい・・・雅和様・・・。」


帝は寝所で鈴華を抱きしめると急に眠気に襲われて、何もせずに眠ってしまった。


(相変わらずお酒には弱いのですね・・・。)


鈴華は微笑んで、帝の側で横になる。夜が更け、ひんやりした風が入ってくると扉が開き、そして勝手に閉じる。


(誰かが閉め忘れたのね・・・。)


鈴華は単を羽織ると、扉を閉めようとそっと寝所を抜け出して扉を閉めようとする。


「姫・・・。鈴華姫・・・。」


気のせいかと思ったが確かに藤棚のほうで鈴華を呼ぶ声が聞こえた。鈴華は呼び寄せられるように庭におり藤棚の下に来ると人影が見える。


「誰?」


すると検非違使の姿をした者が鈴華の前に膝をついて頭を下げている。


「あなたは誰?ここはあなたのような検非違使が来るような所ではありませんよ・・・。」


男は顔を上げ微笑む。


「あなたは・・・?」
「お忘れですか?吉野のことを・・・。」


鈴華はハッとして名前を呼ぶ。


「政弘様?」
「はい・・・しかし私の名は平正守。検非違使少尉でございます。鈴華様は知っておいでではなかったのですか?本当は初恋の君はもうこの世にいないことを・・・。」
「はい・・・。でも認めたくはなかったのです・・・。他人の空似でもいいと思ったからこそ・・・。」
「やはりそうでしたか・・・。本当に楽しい日々でした・・・。私のような身分ではあなたのような姫と関係を持つことなど夢のまた夢・・・。しかしこの関係はあなたの一族を陥れようとしたものの仕業です。私があなたの初恋の君と顔や声がそっくりなことをいいことに仕組まれていたのです・・・。しかし私はあなたを本当に好きになってしまいました・・・。仕事であったのに・・・。そっと姿を消したのも、あなたを忘れるためです・・・。本当はこのようなことをしてはいけなかった・・・。私の一家の再興のために引き受けた仕事・・・。しかし騙されていたのです・・・。鈴華姫・・・いえ中宮様・・・。私はもうこの世にはいません・・・。」


鈴華は驚いて声を失う。


「口封じのために消されてしまったのです・・・。まあ、あなたと関係を持ったこと自体死罪に値することなのですが・・・。私は私を騙した者たちが許せない・・・。きっとあの者たちを・・・。」
「やめてください!もう・・・。死んでも罪を重ねる必要はないでしょう・・・。きっと神仏がその者たちを何とかしてくれると思います・・・だから・・・。」


男は微笑んでいう。


「そうですね・・・そのようなことをしたら中宮様が悲しまれる・・・。わかりました。私は中宮様のために出来る限りのことをいたしましょう・・・。楽しかった現世の思い出を頂いたのですから・・・。あなたの側にいてあなたの障害になることをすべて取り除きます。もちろんあなたが帝のご寵愛を一身に受けられるよう・・・。まずはあなたの妹君ですか?帝のご寵愛のために邪魔なのでしょ。」


鈴華は首を振って男を止める。


「妹の件はもういいのです・・・。私のような出来の悪い姫を帝はとても想っていただけているのです・・・。ありがたいことです・・・。」
「しかし・・・。」
「正守様、自分のことは自分でいたしますわ・・・。あなたの気持ちだけで十分です・・・。」


鈴華は涙を流して男に言う。男は納得した様子で微笑みながら、消えそうになる前に一言言う。


「必ず私は帰ってきます・・・。あなたと帝の子として・・・きっと・・・。そして今度こそ幸せになりたいです・・・。」


そういい残すと男の姿は消えてしまった。鈴華は涙を流し、藤棚の下で立ち尽くす。


「鈴華、そこで何をしている?」


鈴華は振り向くと、帝がすのこ縁に立っていた。


「鈴華、まだ夜は冷える。さあ、中に入りなさい・・・。」
「雅和様・・・。」


帝は藤棚まで降りてくると、鈴華を抱き上げて、部屋に入れる。


「何をしていたの?一人で・・・。」


鈴華は微笑んで帝に言う。


「綺麗な藤を見ていたかっただけです・・・。ふと目が覚めて夜の藤を見ていたかったのです・・・。」
「そう・・・。気が付くと鈴華がいなかったから、一瞬ドキッとしたよ・・・。いなくなったんじゃないかなって・・・。」


帝は後ろから鈴華を抱きしめ、ため息をつく。


「酔いがさめた途端目が覚めてしまった・・・。さ、まだ夜は冷える・・・おいで・・・。」


帝は鈴華の手を引き寝所に入る。鈴華は帝と横になると、鈴華を見つめる帝の顔を見て顔を赤らめる。


「鈴華、もしかして泣いていたの?」
「実は初恋の君の事を・・・思い出していたのです・・・。なんだか涙が・・・。」
「ああ、東三条の亡き少将だね・・・。そういえば亡くなったのは今頃だったね・・・。鈴華、忘れなくてもいいのですよ。あなたにとっていい思い出なのでしょう・・・。無理して忘れようとしなくても構いません・・・。きっと少将殿はあなたのことを見守っている。」


鈴華は帝の心の広さに驚く。鈴華は丁度命日の日に現れた例の初恋の君にそっくりな検非違使少尉平正守は亡き少将政弘君が呼び寄せたのではないかとふと思う。帝は鈴華の気持ちを知ってかしらずか、微笑んで鈴華を抱きしめる。鈴華も微笑み返す。鈴華は久しぶりに帝と夜を共にした。




《作者からの一言》

霊となって再び鈴華の前に現れた検非違使少尉平正守。やはり騙されていたことに無念を感じていたのでしょうが、鈴華の一言に心を入れ替えます。やはり鈴華の事が好きだったんでしょうね^^;少尉の官位がもう少しあって、鈴華が普通の未婚の姫だったら、結ばれていたかもしれませんけど・・・。とりあえず、正守は生まれ変わることで再会をを約束して、正守は昇天したのでした・・・。今度こそ幸せになるといいですね。
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