4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第93章 中宮職大夫の恋
 中宮職大夫という者は藤壺中宮の二歳年上の兄である。もちろん父は堀川関白太政大臣であり、中宮職大夫は長男である。

 兄弟は四人で、中宮職大夫を筆頭に長女藤壷中宮である鈴華、次男十八歳の少納言、そして末は次女の承香殿女御こと鈴音である。家柄から言えば、中納言になってもいい歳ではあるが、妹君が中宮、女御として後宮に入っていることから、従四位の中宮職大夫として官位を頂いている。中宮職大夫は名前を藤原良忠といい、鈴華に似たすっきりとした顔立ちで、背も高く、帝の信頼も高い。仕事柄後宮に出入りする事が多いため、中宮職大夫を慕う後宮の女房たちも多い。鈴華にとっても良き兄であり、頼りになる存在である。

 帝も鈴華の兄であるため、暇を見つけると頭中将と共に談笑をしたりして暇をつぶしたりする。帝に対してよく話をする頭中将に比べ、大夫は口数が少なく聞き上手である。ただ聞いているだけではなく、きちんと相槌も打ち、聞かれたことに対しては答える。頭中将は帝にとって、異母兄妹である妹宮の夫であり、中務卿宮時代からの親友である。もちろん大夫は帝の妃の兄君であるから、頭中将と同様に義理の兄弟に当たる。いつの間にか今日は好きなタイプの女性像の話題となり、帝と頭中将は盛り上がっている。


「帝はすでに三人の妃をお持ちですので、あまり関係ない話題でしょうね。とても麗しい御妃様ばかりですし・・・。」
「そうだね、しかし皇后と中宮、女御は感じが違うのですよ・・・。皇后は童顔で可愛らしい感じの妃だが、何もかもが完璧で芯は強くとても頼りになる。中宮と女御はやはり姉妹なので、顔は良く似ているが、性格は正反対なのです。中宮は少しうっかりでおっとりなところがとてもいいのですよ。なんというか中宮を見ると和んでしまうというか、安心感を得られるのです。女御はしっかりしていてとても元気なところがいいのですよ。私に生きる気力を与えてくれるのです。私自身あまり家柄であるとか、美しさがどうとかはこだわりがないのですけれど・・・。この三人の妃がいてくれるからこそ、こうして毎日堅苦しい内裏で生活が出来るのかもしれません。ところで、大夫殿はまだ正室を迎えられていませんが・・・。」


大夫は自分にこのような話題が振られるとは思わず、顔を真っ赤にしていう。


「そうですね・・・。父もいろいろと縁談を勧めていただけるのですが、中宮の事が気になってしょうがないのです・・・。中宮は小さい頃からあのような性格でして、目が話せなかったのです・・・。後宮に入っても何をしでかすか心配で・・・。妻を迎えることを忘れていました・・・。」


帝は微笑んでいう。


「もう中宮は心配ありませんよ。あれでももう三人の若宮の母君だ。入内されたときと比べたら。大夫殿、もうそろそろ落ち着いたらいかがでしょう・・・。中宮にはこの私がついています。好きな姫などはいないのですか?」


大夫は少し考えていう。


「いるにはいるのですが・・・。もちろん家柄も良く、とても知的な姫君です・・・しかし・・。障害があるのですよ・・・。」
「障害?関白殿の嫡男なのにですか?」


大夫は困った顔つきで苦笑して言う。


「親同士の仲が良くないのです・・・。またその姫は好きな方もおられ、私よりも位が高い・・・。従四位の私になど振り向いては・・・。」


帝はその姫がなんとなくわかった。帝はその姫の名前を大夫に言ってみる。


「大夫殿が思っている姫は土御門尚侍なのでしょう・・・。確かに土御門左大臣殿と堀川関白殿は仲が良くないね・・・。」


大夫はさらに顔を赤らめて下を向く。帝は大夫と尚侍をくっつけようと考えた。


「常隆、このことは内密に進めよう。いつもでも尚侍を内裏に置いておく事はできないから・・・。もともと出仕させたのは父である院のご意向であって、私の妃として尚侍は必要ない。」
「帝、いいのです・・・そこまでしていただかなくても・・・。」
「あなたには中宮の件で良くしていただいていますから。」


帝は微笑んで、二人をくっつけようと策を考える。夜になると、綾乃が夜のお召しでやってくる。帝は床についてもなにやら考え事をしているので綾乃は不思議に思う。


「雅和様、どうかなさったのですか?」
「ん?うん・・・何かいい案はないかと思ってね・・・。そうだ綾乃、何か知恵を貸してくれないかな・・・。」


帝は綾乃に昼間話していたことのついて話すと、綾乃は言う。


「難しいですわ・・・。雅和様はお優しいから、尚侍にはっきりお気持ちを言っておられません・・・。尚侍の気持ちはご存知なのでしょう?」
「ん、んん。」
「まずははっきりしないと先には進めませんよ。一方的な大夫様の気持ちだけでは・・・。それと大夫様は何もなさっていないのでしょう・・・。きちんと自信を持たれたらいいと思います。あのように鈴華様に似たすらっと背の高いすっきりした方ですのに・・・。結構私のところの女房で慕っているものは多いのですよ。ただ、妹姫思いが過ぎるところがね・・・。」
「なるほどね・・・。」
「土御門様にもきちんとお話を・・・。堀川様と仲が悪いのは知っておりますが・・・。本当はお二人ともいい方だと伺っております。出世に話になるとちょっと争われるのですが・・・。まずは雅和様がはっきり土御門様と尚侍に言わないと・・・。」
「そうだね・・・ありがとう綾乃・・・。やはり綾乃は頼りになるよ。」


帝は微笑んで、そのまま眠ってしまった。


 次の日帝は行動に移す。この日の昼過ぎ、尚侍を清涼殿に呼び人払いをすると、御簾の中で尚侍に話す。もちろん尚侍は帝に呼ばれた上に人払いをしたことに何かいい事があるのではないかと期待した。帝は溜め息をついていう。


「あのね、尚侍。ここではっきりとさせておきたいのですが、あなたの私に対するお気持ちは十分理解しています。しかしながら、あなたは私にとって必要はありません。あなたは麗しく頭のいい方だ。もしあなたが、最初に入内されていたのなら、あなたを迎えていたかもしれません。しかし、今あなたの役割はありません。皇后の頼りがいのある人柄、中宮の和みを与えてくれる人柄、女御の元気を与えてくれる人柄。この三人それぞれの人柄を持つ妃で十分なのです。これ以上はもったいなく、必要はないのです。尚侍、わかってくれますか?他の殿方に目を向けてみませんか・・・。私はあなたに家柄などが見合ういい人を知っています。その方もあなたのことを想っているのですよ。」


尚侍は黙っていたが、ほろほろと涙を流していた。


「あなたには本当にきつい言葉かもしれませんが、きちんとはっきりさせておきたいのです。もしよければ、あなたの縁談の橋渡しをいたしましょう。」


帝は微笑んで、尚侍を見つめると、尚侍はうなずきいう。


「私を想っておいでの方は、どなたなのですか?」
「あなたに見合う家柄、そしてよい姿形を持っている人です。今はまだ官位は低いのですが、いずれ大臣になる人ですよ。その人の名は藤原良忠殿。堀川殿の嫡男で中宮職大夫。物静かな者ですが、まじめでとてもいい方です。そして優しい心の持ち主・・・。きっとあなたを幸せにしてくれますよ。」
「中宮職大夫様が?」


尚侍は何度も後宮で大夫を見かけた事があり、憧れの存在であった。このような兄を持つ中宮や女御をうらやましく思ったときもあった。尚侍は大夫の気持ちを知ると、今までの帝に対する気持ちがふっと消えていった。


「尚侍、良かったらこの話すすめますよ。一番大変なのは土御門殿を説得することですが・・・。」


尚侍は微笑んで言う。


「大丈夫です。意外とお父様は私に甘いのです。」
「そう、それなら良かった・・・私からも土御門殿にいっておくかな・・・。中宮職大夫も喜ぶよ。早くあの者も落ち着かないといけない年頃だから・・・。ありがとう尚侍。もう下がっていいよ。」


意外とうまくいったことに帝は喜んだ。帝は土御門殿を呼び、尚侍の縁談を持ちかける。


「何を申されましたか?聞き間違いでしょうか?帝が当家尚侍の縁談をと?」
「ですから、もうそろそろ尚侍はこちらを出られて結婚されてはと思うのです。もちろん尚侍も承知しています。あなたの許可さえあればいいのですよ。もう尚侍もいい年頃です。きちんとした家柄のものを選んでいますので、ご安心を・・・。もちろん将来を約束されているような者です。」


土御門殿は首をかしげていう。


「誰でしょう。そのものとは・・・。」
「中宮職大夫殿ですよ。堀川殿の嫡男の・・・。尚侍も大夫ならばと承知しています。私自身も土御門殿と堀川殿が仲良くなって欲しいのですよ。これを機会に仲直りされてはいかがですか?これは帝である私の命令です。」


帝の命令と聞いて土御門殿はしょうがなく承知した。もちろん堀川殿にも同じ内容を伝え、何とか両家の許可を得た。帝は中宮職大夫にこのことを伝えると、うれしそうな顔をして、頭を下げると、その日から尚侍に毎日のように文を書くようになった。尚侍は頃合を見て、尚侍をやめて実家である土御門邸に戻っていった。


 秋になると、大夫は秋の除目にて正四位宮内卿に任じられた。この昇進と同時に土御門の二の姫と宮内卿は盛大な婚儀を行い、堀川邸隣の東三条邸を譲り受けて改装し、二人で幸せな結婚生活を始めたのです。もちろん土御門家と堀川家は以前に比べると仲良くなり、帝は少し安堵した。宮内卿はこれを境に東三条殿と呼ばれる様になり、帝の側近として長く長く仕えたのです。



《作者からの一言》

ネタ無しのときに良くする番外編です^^;

鈴華の兄のお話です。
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