4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第95章 童殿上
 時が経ち、東宮は八歳になった。帝は内大臣を呼び、話をする。


「内大臣殿、ずっと考えていたことなのですが、博雅君を東宮侍従として童殿上していただけないでしょうか・・・。」


内大臣は驚き、帝の話を聞く。


「もう博雅は十歳になったのでしょう。噂に聞いています。利発で何でもこなせる子だと・・・。綾乃が十歳の時にそうであったように、博雅を東宮の教育係兼遊び相手として童殿上していただきたいのです。童殿上でありながらも、きちんとした官位を授けます。東宮侍従として・・・。将来東宮が即位した際に最も信頼の置けるような側近になって欲しいのです。」


内大臣は頭を下げ、内諾すると、帝は続けていう。


「先日母宮から文を頂きました。ますます院に似てこられたという・・・。やはり院に似てとても賢く、武術や漢学、そして教養も並ではないそうですね・・・。」
「はい、博雅は院によく似ています。帝と同腹のご兄弟でありますが、女王に似ていらっしゃる帝と違い、まさしく院そっくりに・・・。いつかきっと私の子ではないと気が付く事があると思います・・・。」
「そうですね・・・いずれ話さないといけない日が来るかもしれません・・・。しかし今は血が繋がっていなくても、親子には代わりありません・・・。父上もたいそう内大臣殿に感謝しておりました。私も弟宮を見て内大臣殿がどんなに愛しんで育ててこられたかわかります。私自身も博雅を側に置きたいのです。お願いしますね・・・。もちろん綾乃にも話してありますので、ご安心を・・・。」
「御意・・・。」


帝は安堵した表情で、内大臣が下がっていくのを見つめる。


 童殿上の許可が正式に下り、侍従の官位を帝から賜った博雅は内大臣と共に、内裏を訪れる。まずは中務卿宮に会うため、後涼殿の一室に通され話をする。侍従は中務省の管轄下に置かれているため、中務卿宮は上司となる。また異母兄弟であるので、中務卿宮も博雅に会いたがっていた。


「あなたが内大臣殿のご子息、源博雅君ですか?私は中務卿宮雅孝です。恐れながら帝の兄であります。まあ母が違うのですが・・・。」


博雅は頭を下げて言う。


「よろしくお願い申し上げます。未熟で、ご迷惑をおかけするかもしれませんが・・・。」


中務卿宮は微笑んで言う。


「構いません。もともと殿上童は見習いなので・・・。いろいろとわきまえないといけないところさえきちんとわかっていれば、いいのです。もちろん帝とあなたは同じ母宮から生まれたわけですが、身分は相当違いますので、気をつけてください。特に内裏内、清涼殿内では・・・。いいですね・・・。」
「はい!」
「いい返事です。そろそろ清涼殿に東宮様が来られる刻限ですので、そろそろ誰かが呼びに来るかもしれません。」


中務卿宮、内大臣、博雅は人が呼びに来るまで、何気ない会話をしていると、帝の侍従が呼びに来る。


「内大臣様、帝がお呼びでございます。」


中務卿宮が言う。


「侍従殿、私も御前に上がってもいいかな?」
「はい、構いません。帝もその方がお喜びになられます。」


三人は立ち上がって侍従の先導のもと、帝の御前に上がる。御簾の中には帝と、東宮、そして御生母の皇后こと綾乃が座っている。三人は御前に通されるの、座って深々と頭を下げる。すると内大臣は帝に申し上げる。


「この度、東宮侍従として童殿上して参りました、私の長男源博雅でございます。」


博雅は緊張した様子で、帝に挨拶をすると、帝はいう。


「久しぶりだね博雅。あの時は大変楽しい日々でした。今日からここにいる私の一の宮である東宮康仁の教育係や遊び相手として、がんばってお勤めしてください。さ、東宮。東宮侍従の源博雅君だ。いろいろ知恵がある者だ。仲良くするのですよ。」


東宮は元気よくうなずくと、御簾を出て博雅の前に座る。


「これ、東宮。はしたなくてよ。」


と綾乃が言うと、ふくれた顔で振り返る。


「母上様は黙っていてください。父上様から聞きました。あなたは僕の叔父上にあたるそうですね・・・。異父兄弟と聞いたけれど、お爺様の内大臣や二条院のおばあ様に似てないね・・・。近いといえば、中務卿宮の伯父上・・・。」


帝たちはひやっとしていう。


「東宮もういいでしょう・・・。さあ、東宮御所に戻りなさい。」


東宮は中務卿宮と、東宮侍従を連れて、東宮御所に戻って行った。下がったことを確認すると、帝が内大臣に言い出す。


「東宮があのようなことを・・・。やはり博雅が元服前に本当のことを言っておくべきでしょうか・・・。こういうことは、院にも相談しないと・・・。」
「そうですね、いずれわかってしまうことですし、あの子が院の実子であることを知っているものたちも多い。きっと遅かれ早かれ耳に入るのでしょう・・・。まずは院と女王に相談しないといけませんね・・・。」
「では私は院に文を書きます。内大臣は母宮に・・・。」
「御意・・・。」


帝は早速宇治の院のところに文を書き、早馬で行かせる。するとすぐに返事が戻ってきて、わかった、帝に任せるという返事が返ってきた。もた、内大臣も二条院にいる女王に文を出すと、急いだ様子で返事が返ってきた。もちろん女王も話すことに同意したようだ・・・。それなら早いほうがいいと、帝と内大臣は梨壷の東宮御所に向かう。東宮と博雅は梨壷で話をしていた。内大臣が博雅を呼び、常寧殿まで呼ぶ。常寧殿では、帝が上座に座り博雅がやって来るのを待っていた。帝の前に博雅を座らせると、帝は人払いをして、内大臣が話し出す。


「博雅、お前に言っておきたい事がある。これはとても大事なことであるから、口外はしないように・・・。これはお前が将来どうなるかに関わること・・・。いいですか?」


内大臣は博雅の目をじっと見つめて真剣な顔で言う。もちろん今までこのような顔を見せたことのない父を見て、博雅は驚いた。


「博雅、これは本当に大事なことなのですよ。博雅の気持ちによっては博雅の立場が変わってしまうのです。ここにおられる帝はあなたの実の兄君である事は知っているね・・・。今までは私が博雅の父であるというように育ててきたが、本当は違うのですよ。異父兄弟として御育てしてきましたが、あなたが母宮の御腹にいるときに後宮を出て私の元に・・・。あなたの父君は、本当はここにいる帝と同じ先帝の宇治院なのですよ。」


博雅はもうひとつ理解できないよう表情で帝を見つめる。すると帝が言う。


「博雅、本当に父君はお前を七の宮として親王宣旨をしたかったのですが、内大臣と母宮がそれをご辞退されたのです。親王として育つよりも内大臣家の若君として育ったほうがいいと思ったのでしょう。もしあなたが親王としてこれからを過ごしたいと思うのでしたら、院に頼んで親王院旨をしていただくことになりますが・・・。どうしたいですか?」


博雅は困った様子で言う。


「よくわかりません。しかし、今まで通りのほうがいいような気がします。」
「そう・・・それならそれでいい。急にこのようなことを言って悪かったね・・・。これからいろいろ周り者たちに言われるかもしれないけれども、気にしないでお勤めをしなさい。何かあればこの私に相談すれば言い。実の兄なのだから・・・。異母兄弟である中務卿宮でもいい。」


と、帝は微笑んで博雅の頭を撫でた。


「さあ、私は公務があるので戻るよ。ゆっくり内大臣とこのことについて話すがいい。」


そういうと、帝は立ち上がって清涼殿に戻って行った。内大臣と博雅はじっくりと話をする博雅は、納得したようで微笑みながら、内大臣に言う。


「父上、僕は例え親王であっても内大臣家に生まれてよかったと思っています。父上が本当の父でなくても今まで父上は私を大変可愛がってくれたではありませんか・・・。僕は親王の称号など要りません。今までの立場で十分です。」
「そう・・・。そのように帝や院に伝えておくよ。」


内大臣は微笑むと、博雅の頭を撫でて、涙ぐむ。もちろん博雅は複雑な気持ちで、内大臣を見つめる。



《作者からの一言》

ついに帝は博雅を自分の真実の弟であることを告げました。しかし博雅は今の立場のほうが幸せになるであろうと悟ったのでしょう。親王の称号を断り、内大臣の息子として生きていくことに10歳で決めたのです。どうでしょう^^;本当に幸せになるのかどうか・・・。
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