4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第103章 養女 【第3章序章④】
 あれから数日後、右大臣が帝の元にやってくる。そして人払いをすると、帝に言う。


「右大臣家に養女を迎えることにいたしましたので、ご報告をいたします。この姫の父君がどうしても京職の者との縁談を進めたがっているものですから・・・・。」


一応、右大臣家クラスになると、養女を向かえる際帝に報告をしないといけないことが暗黙の了解で決まっている。もちろん右大臣が養女に迎えようとしている姫君が誰であるかは帝にはわかっていた。


「うむ・・・。いろいろ縁談のほうは来ているのですか?」
「まあ・・・いろいろありますが・・・。」
「わかった、好きになさい。でもあなたが養女を迎えられるということはちょっとした騒ぎになるのでしょうね・・・。」


もちろん右大臣の養女の件で、ほかの者たちはいろいろ噂をしているのは確かな話である。でもその噂というのは帝に対してではなく、内大臣である一条院宮雅孝親王であって、右大臣の養女を内大臣は側室として所望しているというのだ。内大臣はなんといっても帝の兄宮であり、親王である。帝位継承順位も、帝の四の宮に次ぐ第四位に位置づけられている。いくら側室といっても、やはりそれなりの姫君ではないといけないので、右大臣家が後見となって話を進めているというのだ。もちろんそれだけの噂ではない、帝の弟宮である、御年十七歳である兵部卿宮雅哉親王の正妻として入られるのではないかという噂もある。もちろんこの親王も帝位継承順位は五位で正妻になるのにはそれなりの姫君ではないといけないのである。もちろん噂はうわさであって、実際はそんな話など全然ないのだが・・・。帝は右大将を呼ぶと、噂の真意を問いただす。


「やはり右大臣の養女とは大和守の?」
「はい。大和守の二の姫彩子姫でございますが・・・。何か?」
「噂の真意を聞きたい。兄上の側室なのか、それても弟宮の正妻か・・・。」


右大将はすべての噂がデマであることを知っている。しかし彩子の養女の件は帝のためであることなど言うわけがない。


「さあ・・・。内大臣様にそのような浮いた話は・・・。もともと結姫様との仲は睦まじく、お子様も三人いらっしゃるのです。今年親王様が生まれたばかりでありますし・・・。」
「そういえばそうだね・・・。兄上には側室など必要ない・・・。では兵部卿宮か?父上からは縁談の話は聞いてはいないし、弟宮であっても宮家の者の結婚は私の許しがないと・・・。」


右大将は苦笑して言う。


「あくまでも噂は噂。群臣の噂を信じられるとは・・・帝らしくありませんね・・・。どちらにせよ、宮様方の結婚に関しては、まず帝に報告が来るはずですよ・・・。今日兵部卿宮は参内されています・・・。良ければお呼びいたしましょうか?」
「いや、いい。噂だし・・・。」
「気になられますか?彩子姫のこと・・・。」


帝は黙り込んで、右大将を下がらせる。


 一方右大臣邸である二条院では、この日彩子が養女として迎えられていた。正式な養女の発表はまだ先である。彩子は綾乃が一時期暮らしていた部屋を与えられ、そして綾乃の側にいた女房たちが彩子の身の回りの世話をする。国司の姫として育った彩子は右大臣家の華やかさに驚く。何もかもが華やかで、今まで数人であった女房の数も、右大臣家の養女となると十数人を超えている。国司の姫であったので、乳母はおらず女房の筆頭として小宰相が側に付き、いろいろと女房たちに指示を飛ばしていた。彩子は圧倒されて黙り込んでいた。


「姫様、右大臣様の北の方様がおいでです。さ、きちんとお座りになられて・・・。」


と小宰相が彩子をきちんと座らせると、右大臣の北の方である和子女王が入ってくる。彩子はさすが優雅な身のこなしは右大臣家の北の方であると感心して見つめる。


「あなたが彩子様ね・・・。殿からいろいろお聞きいたしました。あの藤壺更衣様の姫君なんて・・・。よく存じ上げておりますのよ。」
「お母様をですか?」
「はい。私も右大臣様と結婚する前は後宮にいましたのよ。麗景殿中宮として・・・。まあいろいろありまして、後宮を自ら出たのですけれど・・・。」


和子は微笑むと、女房達に言っていろいろ持ってこさせる。


「お道具は殿の一の姫様の使っていた物で申し訳ありませんが、これは私からの贈り物です。右大臣家の姫として身だしなみをきちんとなさって・・・。」


そういうと、蒔絵の入った箱を手渡す。その中には櫛やら鏡やら入っていた。そしてさらに彩子の為にたくさんの衣装を用意した。


「こちらの邸は今上帝の御里ですので、稀にこちらに行幸される事があります。きちんとした身なりで・・・。」


すると小宰相が、彩子の耳元で言う。


(姫様、こちらの御方は帝の御生母様です。いろいろありまして右大臣様の正妻になられますが、度々帝は母宮様のご機嫌伺いに参られます。ほとんどは勅使の事が多いのですが・・・。)


彩子は驚いて和子を見つめると確かに帝の顔に似ている。


「小宰相、十日後に養女お披露目の宴があると殿から聞きました。姫君のことよろしくお願いしますね・・・。」
「かしこまりました・・・。」


そういうと和子は退出する。和子は右大臣から聞いて彩子はいずれ入内させるつもりであることを知っている。もちろん今日初めて彩子と面会して、綾乃に思ったよりも似ていることに驚いたのは言うまでもない。


今日は早めに帰宅している右大臣に和子は言う。


「殿、本当に綾乃様によく似た姫君ですこと・・・。本当に雅和は優しすぎです。」
「ああ、そうだね・・・。内大臣からも聞いた。本当は側に置きたいと仰せらしい。しかし、姫の気持ちが大事だという・・・。帝にあなたのご機嫌伺いに来るように策を練りましょうか・・・。」
「そうですわね・・・。優しいあの子のことですから、私が寝込んでいると聞いたらすっ飛んでくるでしょうね・・・。」


次の日早速右大臣は帝の御前で和子のことを言う。


「最近、女王の調子が良くありません・・・。」
「え、母がですか・・・?」
「はい・・・今年に入ってから一度も二条院のほうにいらしてない・・・。」
「そういえば、皇后のことで頭がいっぱいで母宮に会いに行っていなかったね・・・。さぞかし母宮は寂しい思いをされたかもしれないね・・・。わかった、今夜お忍びでそちらに行くことにします。」
「御意・・・。」


帝は内大臣を呼んで話す。内大臣は右大臣からそれとなく聞いていたので、急遽清涼殿に宿直することにした。帝がお忍びでやってくるというのを聞いて、二条院は慌しくなった。もちろん小宰相も張り切って、準備を整える。


「小宰相、どうかしたの?なんだか邸内が騒がしいの・・・。」


小宰相は微笑んで言う。


「帝がお忍びでこられるのです。内大臣として・・・。お忍びにこられるときはいつもこうなのですよ。形式上では帝の御使者として内大臣様をお使いになるのです。今回は帝なのですけれど・・・。今回は急遽母宮様のご機嫌伺いとか・・・。姫様もきちんとなさってくださいね・・・。」


彩子はうなずくと、胸がときめく。


(あの帝にお会いできるかもしれないのね・・・。本当に素敵な方ですもの・・・。あの方なら皇后様の身代わりでもいい・・・。堅苦しい後宮でも我慢できそう・・・。)


彩子は顔を赤らめると、早く夕刻にならないかとドキドキする。



【作者からの一言】
彩子は帝に同情して入内しようと決心しました。これが良かったのか悪かったのかはこれからわかってきますが・・・・。
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