4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第105章 忍び愛 【第3部序章⑥】
 彩子は毎日のようにお妃教育に精を出した。見る見るうちに習得していく彩子を見て小宰相は驚きを隠せなかった。


(これなら半年後の入内も夢ではないわね・・・。)


小宰相は微笑みながら、一生懸命お妃教育をしている彩子を見つめる。そして右大臣を通して毎日のように文をよこしている。それを見た帝は二条院に行くのが待ち遠しくてたまらなかった。


「帝、中宮様がおいでですが・・・。」


と籐少納言が声をかけると、帝は急いで文箱の中に入れて、几帳の奥に隠す。


「今日は何?」


籐少納言は苦笑して言う。


「本日は中宮様の夜のお召しですけれど?お呼びしてよろしいでしょうか?」
「そうだったね・・・。呼んでいいよ。」


すっかり鈴華のお召しの日を忘れて、帝は小宰相の報告書を読んでいたのだ。文箱を二階厨子になおすのも忘れていた。


「何かいい事あったのですか?」


と、鈴華は帝にいうと帝は慌てた様子で言う。


「何にもないけど?どうして?」
「最近とても楽しそうになさっているので・・・。」
「そうかな・・・。」


そういうと帝は鈴華を引き寄せる。鈴華は几帳の隙間から見える文箱に気付く。


「雅和様、あのようなところに文箱が・・・。」
「ああ、読んでいる途中なんだ・・・。また後から片付けるから気にしなくていい。」
「私に構わずに・・・。」
「ちょっとね・・・。」


帝はドキドキしながら鈴華と一夜を過ごす。こうして毎日誰にも気付かれることなく文を読んでいる。


 師走に入り、宮中は大忙しである。帝が内裏を抜け出す暇もない。明後日に事始めであるので、何とか内裏を抜け出せないか、兄である内大臣と相談する。


「わかりました。右大臣殿からもいろいろ聞いております。何とかいたしましょう・・・。」


と困った顔でいう。次の日帝はいつものように内大臣と入れ替わり、二条院に入る。もうあれから数回はこうしてお忍びで二条院にやってきている。そしていつも、彩子に会い、一刻程して内裏に戻ってくる。


「姫、これからいろいろありまして抜け出すことは出来ません。次は年明け・・・それもだいぶん先でしょうね・・・。」


彩子は寂しそうな顔をして、下を向く。すると帝は気分を変えるように話を変える。


「だいぶんお妃教育が進んでいるって聞いたよ。会えない間、文の交換でもしようか・・・。」
「はい・・・。私、今歌集をいろいろ覚えています・・・。」


すると、小宰相が言う。


「宮様。姫様は、万葉集も、古今和歌集もほぼ覚えられましたわ・・・。先日の養女お披露目の宴でも滞りなくこなされましたし・・・。来年中には入内可能でございます。丁度いいかもしれません。来年末は帝の在位十年でございます。」
「ああそうだね・・・。あれからもう十年経つのですね・・・。来年はいろいろあるらしい・・・。まだはっきりとは言えませんが、都を出て遠いところへ行幸に行こうと思っています。内緒ですよ・・・。」


そういうと、彩子の耳元で、どちらに行くかを告げる。彩子は微笑んで、うなずくと帝に抱きつく。帝は周りの目を気にすることなく、彩子を抱きしめた。


「姫、いつまでこうして忍んで会わないといけないのだろうか・・・。早く入内していただけたらいいのに・・・。今日はこのまま夜が明ける前までこうしていたい・・・。」
「でも、早くお戻りにならないと、内大臣様がご心配になられますわ・・・。」


周りの者は気を使ってか下がっており、部屋には二人きりとなっていた。二人は見つめあうと、帝は微笑んで彩子に初めて口づけをした。


「姫、約束だよ。もしその頃までに入内していたら、きっと連れて行って差し上げます。その時はご案内お願いしますね・・・。」
「はい・・・とても素敵なところをいっぱい知っています。きっと気に入っていただけると思います。」
「楽しみだね・・・。それまでに入内できるように願っているよ・・・。じゃあ内裏へ戻ります。」


この日から、毎日のように忍んで文と歌の交換をするようになった。日に日に彩子の歌が上手になっていくのを見て、帝は彩子の入内宣旨の時期を考え出した。中務卿を兼任している内大臣は、帝の願いを聞き、年間儀礼やさまざまな臨時の儀礼を考慮して内密に入内の日取りを決めていった。


 年が明けてもなかなかはっきりした日取りが決まっていかないが、夏頃がいいのではないかという内大臣の報告を密かに受けた。右大臣もその大体の日取りに従って彩子の入内の準備を始めた。もちろんまだ摂関家の者たちや都の者達は気付いてはいなかった。


 一通り正月の儀礼が終わると、久しぶりにいつものように内大臣に扮して二条院に入る。そして彩子の部屋に入ると彩子に駆け寄り、彩子を抱きしめて言う。


「夏に入内できると思うよ・・・。あとは太政官の者たちに私の意向を伝えるだけ・・・。誰にも反対させないよ・・・。きちんと私の気持ちを皆に伝えるから・・・。」


とても早い入内話に彩子は驚き言葉が出なかったが、彩子は帝に微笑んだ。その微笑に帝は魅了された。
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