4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第107章 初めての遠い御幸 IN 大和
 7月の婚儀が無事終わり、とても暑い夏が訪れる。帝は暑い暑いといいながら、弘徽殿を訪れる。いつもならば奥の上座に座るのであるが、今日はさわやかな風が流れる入り口近くに座り、側に彩子は座って扇で帝を扇ぐ。


「彩子、御幸の日程が決まったよ。もちろん彩子を連れて行く。『彩子も』になるんだけどね・・・。」
「え?」
「中宮も行くことになっているのです。大和には摂関家の菩提寺興福寺がありますよね・・・。中宮はそちらに摂関家出身の宇治院の使者として維摩会に出席予定になっています。春日大社は藤原家の氏神でもあるし・・・。本来ならば、わが姫宮である斎宮のみが私の使者として春日大社に参詣予定であったのですけれど、まだ姫宮はまだ八歳・・・。斎宮と共に中宮に行っていただくのですよ。昨年夏の大和の国の暴風雨で、東大寺の大仏殿に被害があったでしょう・・・。今回の御幸は、改修が終わったので、その法要で行くのですよ。まあ私ではなく勅使でもよかったのですが・・・。今年の末で私が即位して十年となります。区切りとしていくのにはいいかと思ってね。本当であれば、来年春の聖武帝の法要のときに行くつもりでしたが・・・。早く行きたいと思ってこの時期に早めたのですよ。」


もちろん昨年の暴風雨はすごかった。大和国でもたくさんの死者や怪我人が出た。彩子は国司の姫であるのにも関わらず、天災で怪我をした者や家をなくしたものの世話をした。もちろんこの時だけでなく、彩子が小さい頃から天災で被害が出るたびに父の国司と共に大和の国を回り被害を調べ、そして人々を援助する。彩子も熱心に父を見習って被災者の世話などをするので国の者達に大変慕われている。昨年、舞姫に選ばれた際も、彩子を慕っていた者たちが、都へ旅立つ彩子を大勢で見送ってくれたのである。あれから一年以上大和に帰っていなかった。もちろん中宮が一緒についてくることが残念でしょうがないのであるが、一年ぶりに里帰りできることに喜んだ。


 夏が終わり、十月の行幸に向けて着々と準備が整っていく。彩子も実家である大和守邸に文を書いた。大和の国でも帝の御幸のために準備をする。もちろん女御となった娘の里帰りに大和守を始め、縁のあるものたちはとても楽しみにした。


「彩子、父君に文を書かれたそうですね。」
「はい。もうすぐ里に帰る事が出来ると思うと楽しみで・・・。夜眠れないのです・・・。」


清涼殿の夜の御座の御帳台で帝は彩子を引き寄せ微笑む。


「でも・・・中宮様が一緒なので・・・。私中宮様が苦手なのです・・・。」
「どうして?中宮は摂関家であることとかを鼻にかけたりしない人だよ。何かあったの?」
「やはり私は皆様と身分が違います・・・。こうして右大臣様の養女として入内できましたが、養女の話がなければ、このようなところには・・・。気が引けてしまって・・・。」


帝は溜め息をついて言う。


「私はあなたを守りますと言ったでしょう。何かあったらいいなさい。あなたの身分など気にしていないから・・・。中宮が興福寺に行っている間は私たちや右大臣などの摂関家以外のもので、東大寺の法要の前に大和国一の宮である三輪明神に参詣に行くのです。あちらには歴代の帝が祀られているでしょう。そちらにも在位十年の報告と泰平祈願を・・・。彩子なら大和国のことを良く知っているのでしょう?案内よろしくお願いしますね・・・。」


彩子はうなずくと微笑んだ。帝もとてもこの御幸を楽しみにしているようで、一晩中彩子と共に大和国について語り合った。


 十月に入り御幸の日、帝は輿に乗り内裏を後にする。今回はたくさんの者達が同行する。大臣たちをはじめ、中宮、斎宮の姫宮、彩子、近衛府の大半など、たくさんの者達が列を成して大和古道を下っていく。そしてまずは大和の東大寺境内にある東南院を行宮(かりのみや)とし、帝はそちらに宿泊することになっている。


まず到着すると、彩子の父である大和守が挨拶に訪れる。彩子は久しぶりに会った父君とゆっくり話したかったが、女御という立場のために、何も話せないまま大和守は退出していった。東大寺の僧侶やらなにやらの挨拶が一通り済むと、帝は他の者を下がらせて、話し出す。


「彩子、御簾の中からであったけれど、とてもいいところですね。やはり昔の都です。人々もとても良い人が多いようだ・・・。」


彩子は微笑んでいう。


「皆私の知っている者たちでした。懐かしい者達が出迎えてくれた様で・・・。ところで中宮様は?」
「中宮や摂関家縁の者達は興福寺にお世話になるのですよ。こちらでは到底数が多すぎて受け入れられませんしね・・・。法要もあるのでいいではありませんか・・・。姫宮もあちらに行っている。摂関家の者達がいない分私も羽が伸ばせる。明後日の朝、三輪に向けて出立します。それまではこちらでゆっくりとね・・・。右大臣殿、常隆、ちょっと明日彩子と共にこちらを抜け出すから・・・。もちろん大和守にはいってあるし・・・。」


右大臣たちは驚いた表情で帝を見つめるが、とても楽しそうに彩子と話している姿を見て黙っていた。


「兄上もこちらにこればよかったのに・・・。」


と帝が言うと、右大臣は言う。


「しょうがないではありませんか・・・。都を留守にするのですから・・・。内大臣殿は中務卿も兼任していますし・・・。留守をしていただかないと・・・・。今回関白殿も来ておりませんよ。」
「うんそうだね・・・。明日は皆ゆっくりするといいよ。」
「しかし・・・誰が帝をお守りに・・・。」


と心配そうに右大将が言う。


「それは・・・常隆がついてきてくれてもいいのでしょうけれど、武官姿ではねえ・・・。私は明日直衣ではなくて、狩衣で散策するつもりだから。大和守は数人の随身をつけてくれるというし・・・。彩子の郷だから心配はないよ。」
「では私も、帝と同じように狩衣で・・・。」
「常隆、いつも私の警護をしてくれるのは嬉しいけれど、今回は・・・また頼むよ。」


右大将は残念そうな表情で帝を見つめた。




《作者からの一言》

大和(奈良)への行幸です。帝の行幸は大変だったに違いありません。ぞろぞろ群臣もついてきます。迎えるほうも並大抵ではないでしょうね・・・。
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