4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第8章 密通
朝、少将は枕もとの文に気づいた。
「晃、これは何?」
「驚かれる方からの御文でございます。朝餉をお済になられてからごゆっくりご覧ください。」
少将は急いで朝餉を済まし、ゆっくり立ち上がってすがすがしい風が流れて気持ちのよい泉殿にゆったりと腰掛け、例の文を読んだ。
『右近少将様 峠を越されたということで安堵しております。先日私の網代の前で落馬され負傷された時は大変驚きました。それからというもの、心配で心配で夜も寝られず、食事ものどを通りませんでした。私の父右大臣はいつもいつも宇治の君、少将様の悪口ばかり・・・。少将様は私のことをお忘れではありませんか?私はあれ以来少将様のことをお慕い申し上げておりました。お会いしたいお会いしたいと思いつつ日々慎ましく過ごしておりました。願いがかなうなら、今からでも少将様のもとに鳥のように飛んでいって看病をして差し上げたいと思うのですが、叶う訳もなく、泣き暮らしております。もしよろしければ、従者を通じて、妹君四の姫様の女房の桜に文を渡しうちの女房の桔梗に渡れば、きっと無事に届くと思います。     綾子』
少将は少し照れながら文を胸元にしまおうとすると後ろから声が聞こえる。
「想い人からの文ですか?宮中では見たことのない表情だな・・・。」
振り返るとそこには東宮が立っていた。そして少将の文を胸元から取り上げてお読みになった。
「心配して抜け出してきた・・・・。療養していると思ったのに、このようなところで想い人からの文を読んでいるとわな・・・。なになに・・・・。」
「東宮!お戯れを!!お返しくださいその文を!」
「少将の想い人は右大臣の三の姫か。まもなくこの姫は私のところに入内になるだろうね。まもなく入内宣旨が下る。今のうちせいぜい恋人ごっこをするといいよ。いずれこの私のものとなるから。」
「恐れながら、東宮はいつも私のものを取り上げになる。小さい頃からそうでした。」
東宮はムッとした表情で言い返した。
「昔からお前は気に食わなかった!母上が実家にお帰りになった時はいつもお前をそばに寄せて私そっちのけでかわいがっておられた。少し転んだだけで、側の者にちやほやされ、私に向かって皆は体の弱い者をいじめるなとしかられた。まったく同じ顔のせいでよく比べられた!知っていたか?反対だったらよかったのにと先の帝にいわれたこともあった。もう帰る!」
といって綾姫からの文を投げつけ、たいそう怒った様子で帰られていった。晃は驚いて駆け寄った。
「若君!今争うような声が聞こえましたが、東宮様と何か!」
「黙っていろ!一人にさせてくれ!」
今まで見せた事のない形相で、晃をしかりつけた。少し考え込むと、立ち上がって近江を呼びつけると、狩衣を用意させ、晃が使っている馬に乗り、痛みをこらえつつ都の内大臣家に向かって走り出した。
 内大臣家に付くと、早速部屋に籠り、家のものを退けてなにやら考え出す。突然帰ってきた少将に皆は驚き、ついには内大臣まで仕事を切り上げて内裏から帰ってきたのである。内大臣まで部屋の中に入れようとせず、籠りっきりで、考え事をしていた。
「どのようにすれば、入内を阻止することが出来ようか。」
早速後から追いかけてきた晃を呼び寄せて、四の姫の女房の桜を呼び出した。桜は初めての呼び出しに驚きつつ、少将のいる対の屋に向かった。少将は、桜が来たことを確認すると、他の者を下がらせ、部屋を閉め切りなにやら文を書き始めた。
「君が桜という女房か、これを君の桔梗という妹に託し、右大臣家の三の姫に渡すように。決してうちの者や、あちらのうちの者に見つからないように頼んだよ。」
「しかし・・・・。」
「口答えは許さん!今すぐ急いで欲しいのだ!」
桜は頭を下げると急いで、東三条邸に向かい、裏口から妹の桔梗にこの文を渡し、そして桔梗が綾姫にこの文を渡した。姫は桔梗と萩以外を追い出して部屋を閉め切ると、早速この文を読んだ。
『今日の朝、姫からの手紙を拝見し、とてもうれしく思いました。私も、あの宇治の一件より、あなたのことが忘れられないまま、現在に至っておりました。いろいろな縁談を父上より頂いたのですが、すべて断り、あなた一筋に想っておりました。しかし、今の状態では、私たちが結ばれることはなく、水面下であなたが東宮のもとに入内することが内定しているということをある人より直接耳にしました。一度お会いしたいと思っておりますが、まだ怪我が癒えていない状態で内大臣邸に戻っており、どのようにすればよいか考えている最中です。私があなたに会える様、手引きしていただけるのなら、私は怪我をおしてでもあなたに会いに行きたいと思っています。』
姫は萩にこの文を見せると、萩は耳元で姫に話した。
「姫様、さっき大臣様の女房が言っていたのですが、四日後になにやら急に宴を催されるようなのです。その時になら、この対の屋が手薄になると思うので、その日は如何でしょう。」
「姫様、桔梗にお任せください!きっと少将様をこちらまで無事にお連れしますわ。」
「そうね、萩は昨日お父様にしかられてきっと動けないだろうし、桔梗ならお父様も知らないわ。頼んでもいいかしら。今から少将様に文を書くのでお姉さんを通じて渡してもらってくれないかしら。」
桔梗は張り切った様子で返事をして、姫の書いた文を内大臣邸の桜のもとに届けた。桜は文を急いで少将のいる対の屋に届けると、早速返事を読んだ。
『少将様。私もとても会いたいと思います。そのままどこかに行ってしまいたいぐらいです。私も少将様でなければ、一緒になりたくはありません。萩が四日後に右大臣家で宴が催されるといっていましたので、その時に裏門までおいでくださいませ。桔梗が手引きいたします。必ず少将様とわからないような格好でおいでください。もし門の者に聞かれた場合は、桔梗の恋人と申してください。そうすれば通してくれると思います。私も心待ちにしております。』
「桜、わかったとき今日に伝えてくれないか。」
桜はお辞儀をすると、裏門に待たせていた桔梗に少将の意向を伝えた。
 右大臣が宴を催される日の朝、姫の前に軽やかな足取りでやってきて、うれしそうに話し始めた。
「姫よ、今日の宴の事は知っているであろう。今日はお前の祝いの宴のようなもの。先日急に東宮様よりお前を入内させたいと直々に仰せられた。まだ正式に決まったわけではないが、ほぼ決まったのも同然!偉い方もいろいろいらっしゃるのでな、おとなしく部屋にいてくれよ。さあワシは準備で忙しいから、萩あとは頼んだぞ。」
というと忙しい忙しいといいながら寝殿のほうでの宴の準備に向かった。
「萩!どういうこと?私のための宴だなんて・・・・。」
「何もなければいいのでしょうが・・・・。」
姫はなんだか不安を感じつつ、夜が来るのを待った。
少将は狩衣を着込んで、牛車に乗り東三条邸の裏門近くに着くと、下りてそっと裏門前まで歩き出した。裏門の前では桔梗らしき女房が明かりを持って立っていた。
「お待ちしておりました。」
「うむ。」
門の者はなぜか皆酔いつぶれて寝てしまっていた。起きないようにそっと忍び込むと、姫のいる対の屋に案内した。
「こちらです、さ、お静かに・・・。」
「桔梗、ありがとう、感謝するよ」
と満面の笑みで桔梗にお礼を言うと、少将は戸を開けて、そっと中に入っていった。几帳の奥には姫らしい影が見えていた。物音に気づくと姫は几帳の奥から出てきた。姫の顔は祭の日に目にした顔よりも少しやつれていたが、満面の笑みで少将を迎えた。やはり以前の姫君よりも美しく成長していて、少将は顔を真っ赤にして、姫を抱きしめた。
「私を心配してくださっていたのですね。こんなにおやつれになって・・・・。」
「宇治の君はお怪我のほうは?」
「だいぶんよくなりましたよ。腰をちょっと打ちまして・・・・。」
と少将は照れた顔で姫を見つめた。姫も少将の照れ笑いを見て微笑んだ。
「姫様、桔梗と萩は、お外で誰か来ないか見張っていますわ。ごゆっくりお語らいなさいませ。少将様も。」
「ありがとう。女房殿・・・。感謝するよ。」
やっと二人きりになり、二人はひっそりと昔の話などを語り合い、いい感じになってきたとたん、表で何か騒がしくなってきて、萩が姫に申し上げた。
「姫さま!御簾の奥にお隠れあそばして!こちらに大臣様とお客様がいらっしゃいます。早く少将様を!!!」
姫は少将を御簾の奥のほうに案内すると、几帳で隠し、じっと静かに待った。
「大臣様!姫様はもうお休みに!!!」
「姫に大事な話がある、そしてこの御方が姫に会いたいと仰せでな!」
「大臣様!あ!」
「姫はおるのか?恐れ多くも東宮様がお前に直々に会いたいとこちらに・・・。」
すると別の声が聞こえてきた。
「ありがとう右大臣殿、姫とゆっくり話したいので二人にさせていただけないか。」
姫はその声に驚いた。まるで、少将の声にそっくりなのである。香のにおいは違うものの、御簾から見える姿かたちは少将そのものであるのに、姫は絶句した。すると東宮は何かに気がついた様子で、女房や大臣を遠ざけると、扉の鍵を閉め話し出した。
「姫らしくない気配がもう一人・・・・姫は奥に誰かを隠しておられる。それが誰かは見当がついているが・・・・。なあ、右近少将藤原常康。」
少将と姫はたいそう驚き、絶句する。
「まじめで堅物のお前がこのような振る舞いをするとは考えられなかったが、恋と言うものは人を変えてしまうのですね。今すぐ出て来い!隠れたってもう無駄だから!でてこなければ、人を呼び、ここにあるものすべて取り除かせることが私にはできる。」
すると少将は立ち上がって御簾の外から出て東宮に頭を下げる。
「申し上げます。私はこの姫でなければ嫌なのです。お許しください!この姫の入内をお諦めください!」
「うるさい!私には選ぶ権利がある!姫の父親もお前の事は許していないのだ。下がれ!」
すると東宮は少将を振り払うと、御簾の中にいる姫に向かって歩き出し、腕をつかんで姫を御簾の外に引っ張り出した。
「きゃ!」
東宮は姫のあごに手を当てると、
「これが少将の初恋の君か・・・・。想い人か。面白い。ますますこの姫が気に入った!今晩だけ恋人ごっこをしたらいいよ。姫、私と少将はまったく同じ顔。しかし、あいつよりも位はある。一生かけても越えられない身分の違いがね。」
すると姫はぽろぽろと大粒の涙を浮かべる。すると少将は姫に駆けより、姫を抱きしめる。
「おやめください。もうおやめください!」
「少将、私に歯向かうのか?お前どうなってもいいのか?わかった、帝にそのように伝えておく。私はもう帰るよ。覚えておけ!」
東宮は大きな音で扉を開けると、そのまま帰っていってしまった。網代まで見送った右大臣は驚いた様子で姫の部屋に入っていく。
「姫!東宮に何をしたのだ!お、お前は!右近少将!うちに大事な姫と何を!」
「お父様!少将様は悪くないの!私がお呼びしたのだから!」
「このままではうちの名誉に傷がつく!少将!うちの姫を傷物に!よくも!!!」
そういうと、太刀を持ち出して、少将に向ける。
「お父様!少将をお咎めになるのなら、私は自害します!私はこの方としか結婚しません!お許しにならないのなら、このまま尼になります!」
すると少将は姫に
「姫、私はあなたから身を引きます。このままでは官位を失うのも時間の問題。そうなればあなたにも害が及ぶでしょう。私はこのまま都から離れて謹慎します。場合によっては出家も考えなければなりません。」
「少将様・・・私も連れて行ってくださいませ!」
「きっと入内なされたほうが、幸せだと思います。私のことなどお忘れください。」
そういうと、うなだれた状態で、部屋をあとにする。姫は少将を引きとめようとするが、右大臣が姫を力づくで引き止めた。
《作者から一言》

おお始まった東宮と少将の姫の取り合い・・・。東宮はほとんど少将に対する嫌がらせ?まぁ本当は双子なんだから同じ人を好きになるって事もあるのだけど・・・。やはり少将は身を引くしかないのです^^;かわいそうに・・・。でもこれで終わらない・・・。これも序章?かも知れません^^;
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