4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第112章 帰京~成就
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 帝は大和の彩子からの文を、右大臣を通じて渡された。そこには明日香から帰京の許可が下りたことと、お腹の子供が動いたのを感じたことなど、様々な内容であった。帝は嬉しさのあまり、右大臣と内大臣を呼び、人払いをして彩子の帰京について話をする。

「そうですか、大和女御様の帰京の許可が・・・。それなら今から陰陽寮に吉日を占わせましょう。女御様の帰京となりますと大和まで派遣する者たちの人数も要りますので、少し時間をいただけますか?」

と内大臣が言うと、数枚の紙に用件を書き、部下の者たちに、関係各所にこの紙を配らせる。おくれて右大将が現れ、御前に座る

と、右大臣から帝の意向を聞き、すぐに近衛府が準備できる人数を考える。

「では右近衛府に護衛の全権を任せる。常隆、衛門府にも通達をお願いしたい。検非違使からも警護にあたらせよ。」
「御意。」
「右大臣、女御の車のほうも頼みましたよ。いつ大和女御のことを発表すべきか・・・。」

帝は次の日に大晦日前の忙しい時期にも関わらず、大和女御の帰京の時期について、大臣たちに言う。そして関係各所の者を集めて話をする。

「日程については右大臣が中務省から陰陽寮に伝えて任せてある。警護のほうも右近衛府に一任した。さて、宮内卿殿にはただひとつお願いがあるのです。」

鈴華の実の兄である宮内卿が帝の話を聞く。

「宮内卿、典薬寮から医師を一人派遣して欲しい。大和女御は大和国の医師から帰京の許可が出たが、まだ病み上がりなので、帰京途中に何があるのかわからない。医師を側につけよ。そうだな・・・。侍医和気殿の助手であり、大和出身の医師和気泰明に行かせたらいい。腕は確かである。」
「しかし・・・女御様を診るなど・・・。女医をつけたほうが・・・。」
「いいのだよ宮内卿。大和の医師と和気泰明は兄弟であるから、引継ぎもきちんとできるであろう。よろしく頼んだよ。」
「御意。」

帰京は儀礼が落ち着く1月下旬の吉日に決まった。日程の報告に帝は大和に使者を送った。帝も大和守や彩子も日程が決まり安心して年を越す事が出来た。

 年を越し、年始の様々な儀礼が落ち着いた頃、大和女御の帰京の報告が発表される。混乱を避けるため、懐妊発表は帰京後とされた。帰京準備のため、女御お出迎えの一行は帰京の四日前に大和国に入った。帝の使者であり女御の迎えであるので、特別に東大寺の行宮使用が許可され、彩子は帰京の前日にこちらの行宮に入ることになっていた。一行と一緒に大和入りした泰明は、久しぶりに実家へ戻ることにした。束帯のまま馬に乗り込み、大事な医術の道具を懐にいれて行宮から実家のほうに馬を向けた。町の民たちは三ヵ月見ない間にずいぶんと大人びてきた泰明に声をかける。泰明は相変わらずの笑顔で、民の者たちに応対する。実家近くの川にさしかかると、懐かしい後姿が見える。

「彩子様?」
「え?」

泰明は馬を下り、川縁にたたずむ彩子に声をかけると彩子は振り返って微笑む。

「泰明、父上から聞いたわ。帰京の一行に加わるんですって?」
「はい、帝に命じられまして・・・。」
「そう・・・。帝に・・・。」
「彩子様、供もつけずに・・・。いくら慣れた町内であっても、まもなく日が暮れます。どうしてこのようなところに・・・。」
「ここの所こうやって散歩しているの・・・。体力をつけないとね・・・。ついこの川の流れを見ると、泰明と川遊びをしてことを思い出してね・・・。あの頃が一番幸せだったのかな・・・。帰京を心待ちにしていたのに変だね・・・。」

彩子は泰明に苦笑して言う。泰明は彩子の言葉に我を忘れかけた。彩子が帝の妃であることを忘れそうになったのだ。しかし自分の気持ちが抑えられなくなって、つい彩子を抱きしめてしまい、無理やり彩子にくちづけをした。

「泰明!」

彩子は泰明からはなれ、お腹に手を当てて言う。

「泰明、あなたの気持ちには答えられないの。もう私のお腹には帝の御子がいるのよ。泰明のことも好きだけど、私は帝を愛しているから・・・。ずっと側室であっても構わないのよ。だって私の身分では本当なら後宮にさえ入れないもの・・・。」
「え・・・・?僕は一人で殿上を許されるまでになりました。彩子様、僕はあなたをお守りしたいのです。あのような窮屈な宮中に彩子様がいるのですから・・・。」
「泰明も帝と同じことを言うのね・・・。帝もね、私を堅苦しい宮中から一生守ってくださると求婚してくださったの・・・。ありがとう、泰明。あなたの気持ちだけで十分よ。もう帰るね。」

彩子は顔を赤らめて実家の邸に向かおうとすると、泰明は言う。

「彩子様、私が邸までお送りします。私の馬に乗ってください。」

そういうと、彩子は泰明の前に乗り、ぎゅっと泰明にしがみついた。泰明も彩子が落馬しないようにそっと彩子の肩に手を当てた。

邸に向かう途中、彩子は泰明にいう。

「泰明、帝よりも早く求婚してくれていたら、あなたと結婚していたかもしれないね・・・。だって小さい頃ずっと泰明と一緒にいると思っていたもの・・・。ここだけの話よ。」
「しかし大和守がお許しにならなかったでしょう・・・。ずっと大和守様は彩子様を都の者と結婚させたいといっておられたのだから・・・。」

彩子は微笑んで泰明の顔を見つめる。

「泰明の束帯姿はじめてみたわ。はじめ誰かと思っちゃったもん。見違えちゃったわ・・・。」

泰明は顔を赤くして照れると、彩子を邸の前で馬から下ろし、和気家の実家のほうに走らせた。邸内ではなかなか帰らない彩子に家の者達は大騒ぎしていたが、彩子の姿を見てみなは安堵した。


「彩子、明日から出歩くのはやめておくれよ。何か起こってしまってからでは遅いのだ。もう帰京の使者一行は到着済みなのだから・・・。さあ夕餉を食べたら横になりなさい。」
「はい、お父様・・・。」

彩子は何か考え事をしながら、部屋に戻る。もちろん泰明の彩子に対する行動に驚いたのは言うまでもなく、彩子は泰明の事が気になってしょうがなかった。気が付くと朝が訪れ、数人の女房が、彩子を起こしに来る。

「姫様、ご気分はよろしいのですか?」
「もうちょっと寝かせてくれる?昨夜よく眠れなかったから・・・。」
「しかし早くお起きになられないと・・・まもなく明日香様が都からの医師の方と診察に・・・。」

都からの医師とは泰明のことである。引継ぎのための診察があると、昨日大和守から知らされていた。泰明は昨夜、姉の明日香や兄の智明から彩子の状況説明を受けていた。昨日の彩子に対する行為を忘れようとするためか、一晩中実家にある医学書を読み漁っていた。明日香も智明も、泰明の行動を不思議に思いながら、就寝する。結局泰明は一睡も出来ず、束帯に着替え明日香とともに徒歩で彩子のいる邸に向かった。邸に入るとまず大和守に挨拶をする。


「泰明殿、都に出られ数ヶ月。以前に比べて落ち着かれましたね・・・。医師としてのお役目はどうでしょうか?」
「本当に都に出てよかったと思っております。侍医様に付き侍医様が帝の診察をされるときは必ず助手として殿上しております。帝や侍医様にも良くして頂き、充実しております。」
「それは良かった・・・。あなたのご両親にあなたたち兄弟のことを託され、無事成人させる事が出来安堵したよ。きっとご両親も喜んでいるであろうな・・・。これからも精進していい医師になるのですよ。」
「はい・・・。では彩子様の診察に・・・。」

泰明は一礼すると彩子の部屋に入る。彩子は昨日の事があったからか、泰明と目をあわさず、脇息にもたれかかって、溜め息をつく。泰明は彩子の前に座ると、深々と頭を下げいう。

「女御様、帝に許しを得ております。診察を・・・。」

いつも冷静な泰明であったが、彩子の脈を取ろうとしても、なかなか診る事が出来ず、深く深呼吸をして脈診に気を集中した。姉の明日香もいつもと違う泰明を見て心配そうに側によってくる。異様に汗をかく泰明は彩子を離れ汗を拭うと言う。


「姉上、これから先は、私は診る事が出来ませんので・・・。」


明日香は女房たちに几帳を持ってこさせ、彩子に立てかけると、明日香は彩子の腹部の触診に入った。明日香は微笑んで彩子に言う。


「本当に順調ですね。ご予定では梅雨時です。泰明、脈診などはどうでしたか?」

「これといって以上は見受けられませんが、少し貧血気味だと思います。あとお子様のためにもよく眠り、栄養のあるものを御召し上がられるよう・・・。蘇や魚を良く御召し上がってください。まずは好き嫌いを無くす事が先決でございます。」

彩子の女房は困った様子で言う。

「彩子様は蘇がお嫌いなのです・・・。牛の乳自体がお嫌いで・・・・。」

泰明は苦笑して言う。

「私も女御様の好き嫌いは存じ上げております。しかし丈夫な御子をお産みになるためには・・・。私も出来るだけ献立について考えて見ますし、都に戻り次第大膳職と相談して女御様の御膳をお作りするようにします。しかし出来るだけお嫌いなものも召し上がっていただいたほうが・・・。」

彩子は未だ不機嫌な様子で明日香と泰明、そして女房たちが話しているのを見る。泰明は彩子に深々と頭を下げると、部屋を明日香とともに退出し、大和守のいる寝殿に戻る。大和守は診察の結果を聞く。

「泰明殿、いかがでしたか?」
「順調でございます。都までの道筋、大丈夫でしょう。私も側について様子を伺いつつ同行しますので。昨日はあまり寝ていらっしゃらないよう・・・。出来るだけ睡眠を・・・。」
「それなら良かった・・・。私も心配なのでな、あさって国境まで送ろうと思う。山城守にも書状で行列のことを頼んでおいたからな・・・。泰明殿、彩子のこと、頼みましたよ。」
「はい・・・。」

泰明は大和守に一礼すると邸を出て、実家に戻った。そして狩衣に着替えると、今日の診察についてなど思いついたことを紙に書き記していた。


「泰明、何しているの?」

声のするほうを振り向くと、彩子が立っていた。


「彩子様・・・。これは・・・これは後宮の女医に渡す報告書のようなものです。宮中では僕や姉上が診るわけにはいけないので・・・。彩子様どうして?」
「また抜け出してきたの。お父様は今日一日ゆっくりしなさいって言ったけれど、お父様が役所に言ったのを見てそっと書置きをして抜け出してきたのよ。明日香も智明様もいないみたいね・・・。」
「姉上は往診です。兄上は役所です。」
「そ、それなら良かった。泰明とゆっくり話したかったから・・・。」
「彩子様、そちらは寒いでしょう。中にお入りください。何もお構いは出来ませんが・・・。」
「今日は小春日和だから、温かいわよ。あさってもこんな天気だったらいいわね。お父様ったら雪が降るんじゃないかって毎日そわそわしているのよ。」

彩子は縁の階に座って、微笑む。泰明も彩子の側に座って話を聞く。

「帝は私のことを何っておっしゃっていたかしら。最近文が来ないし・・・。」
「彩子様、帝は一昨日私を呼んでこうおっしゃったのですよ。本当は帝自身が迎えに行きたかったって。でもそれは身分上無理だからって。だから僕をおつかわしになったのだと思います。とても彩子様がお戻りになるのを心待ちにされていたのですよ。未だ都では彩子様のご懐妊発表をされていませんが・・・。」
「そう・・・。」

彩子は泰明の顔を見るという。

「あのね、私あれほど帰京したくてならなかったのだけど、帰京が決まってから怖くてしょうがないの・・・。」
「どうしてですか?」
「はっきりはわからないのだけど・・・。でもひとついえるのはこのお腹の子のことよ。もし皇子だったらって思うと怖いの。皇子だったら養父の右大臣様はお喜びになるでしょうけれど、中宮様はいい顔をなさらないでしょうね・・・。それでなくても東宮様は母君である皇后様を亡くされて立場も危ういのです。摂関家のかたがたは中宮様の三の宮四の宮様が東宮になることを望んでいるらしいわ・・・。そこに私が割って入ったら・・・。帝は私をそのような道具にはさせないと仰せだったけれど・・・。私、姫宮を授かったら、きっと伊勢の斎宮にさせるつもり・・・。そのほうが姫宮も政権争いに巻き込まれなくてもいいでしょ。まだどちらが生まれるかなんてわからないけれど・・・。変な話ね・・・。」


彩子は苦笑してうつむく。


「彩子様、いくら小春日和とはいえ冷えます。さ、中に・・・。」


泰明はそういうと、自分のきている単を脱ぐと、彩子に掛ける。彩子は泰明の部屋に入る。


「泰明、今でも私の事が好き?愛してる?」


泰明は顔を赤くすると焦って言う。


「彩子様、何をおっしゃっているのですか?私は彩子様を愛することは出来ません。彩子様は帝の妃であられるから・・・。」


彩子は泰明の胸に飛び込むという。


「本当の気持ちを言って。決して帝に言ったりなんかしないし・・・。私の心の支えになって欲しいから。今日聞いたらもうこんなこと聞かないし・・・。」

泰明はハッとして彩子に言う。


「もちろん僕は自分に嘘はつけません。彩子様を愛しているから・・・。」


彩子は微笑むと泰明にくちづけをする。すると泰明はそのまま彩子にくちづけをし続ける。

気が付くと日が陰りかけていた。


「もう帰らないと・・・お父様が役所から帰ってくるわ・・・。」


彩子は衣を調えると、泰明の単を返し、泰明の邸を出て行った。泰明はいくら懐妊中とはいえ、帝の妃を抱いてしまったことを悔やんでしまったが、彩子への想いを遂げなんとなく清々しく思った。泰明も脱いだ狩衣をきちんと着なおすと、なにもなかったかのように文机に向かい大和女御の診察報告の続きを書き出した。



《作者からの一言》

懐妊中とはいえ、彩子に手を出した泰明。ついに幼馴染から男と女の関係になってしまったわけです^^;

おいおい^^;自分から泰明を誘う彩子も彩子だけど・・・。


冒頭のイラストは和気泰明です。結構書き分けが苦手なので、帝と書き分けで来ていたらいいかと思います^^;
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