4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第114章 堀川女御の行く末
 彩子の懐妊の正式発表が行われ、ますます彩子は帝のご寵愛を一身に受ける。中宮である鈴華は御年二十九になったので、夜のお召しを控える年齢になったためか、さらに彩子への寵愛が増しているのである。もちろん帝は鈴華のことも大事にしている。後から入ってきた彩子が懐妊したのにも関わらず、未だ懐妊の兆しさえない堀川女御の鈴音は彩子の懐妊に相当ショックを受け、引き籠る事が増えている。もちろん帝は鈴音を大事にし、なぜ懐妊しないのかと悩むことさえある。父君である関白殿も同じである。

(姉の堀川中宮は一度流産をしたとはいえ、三度も懐妊をしているのに・・・。なぜ女御だけ懐妊しないのだ・・・。大和女御が入内すぐ懐妊したというから、帝が原因ではないのだろう・・・。このままでは堀川女御の立場が・・・)

堀川関白殿は悩み悩んである決心をする。もちろんこのようなことは帝の性格から聞き入れてはもらえないことはわかっている。堀川関白殿は承香殿を訪れ、引き籠っている堀川女御と面会をする。大和女御の懐妊を聞いてから、泣き暮らしている堀川女御は御簾の奥に籠もったままである。

「鈴音・・・。」
「お父様・・・。私お父様にどれだけお詫びしたらいいか・・・。」
「鈴音が謝る事はない。鈴音を入内させたこと自体が間違いだったのかもしれない・・・。鈴音、ひとまず帝にお願いをして、承香殿と女御の称号を返上させていただこうと思う。これ以上鈴音の悲しい顔を見たくないからね・・・。その後のことは後から考えればいい・・・。」

鈴音はうなずくと、早速帝の御前に現れ、ずっと悩み考えていたことを打ち明け、帝の意向を聞く。帝は堀川関白殿の気持ちが痛いほどわかるようで、溜め息をつきながら、考え込む。

「堀川邸に戻られた後はどうお考えか?堀川女御が幸せに過ごされるよう、考えておられるのですか?」
「いえ・・・。しかし女御が決して不幸にはならないようにはこれから考えるつもりではございます。何とかしてよい縁談を探してもいいかと・・・。」
「うん、そうだね・・・。堀川女御はまだ若い・・・。あなたの願いを聞き入れましょう。私は堀川女御がいなくなるのは残念だが・・・。年相応で、身分のあるものとの縁談を・・・。そうだ・・・弟宮の兵部卿宮は如何なものか・・・。三歳年下ではあるが、もうそろそろ縁談を考えようと思ったのです。少し頼りない面はあるが、しっかりした女御であれば釣り合っていいのではないか?宮家であれば、のんびり暮らせるであろうし・・・。父院や皇太后とも相談をしてみます。」

堀川関白殿は快く聞き入れた上に縁談相手まで考えていただけたことに感謝し、下がっていった。

 数日後、宇治から院と皇太后が参内してくる。そして後涼殿の一室を借りて、兵部卿宮と対面した。突然の訪問に兵部卿宮は驚き、何事かと思った。兵部卿宮は父院に頭を下げると、型どおりの挨拶をする。

「お前にしてはいい挨拶だ。雅哉。」
「父上今日は何を?邸においでくだされば・・・。」
「いや、今日はついでにお前と会ったまでのこと・・・。今日は帝の新しい女御に見舞いに来た。ところで、雅哉はもうそろそろ落ち着いてはと思ってね・・・。」
「はい?」
「結婚の話ですよ。あまり興味はなさそうだな・・・。まあいい・・・。下がっていいよ・・。」

兵部卿宮が下がっていくのを確認すると院は皇太后に言う。

「綾子、雅哉はどうしてああなんだ・・・。雅孝は実力で内大臣まで上り詰めさらに上を目指せる。雅和は帝として立派にやっている。雅哉は・・・親王であるから兵部卿に取り立ててもらっているが・・・。色々私の耳に入ってきているのですよ・・・。少しでも自覚を持ってもらおうと去年の御幸に同行させ見聞させたというが・・・。身についてはいまい・・・。」

皇太后は溜め息をつく。

「本当に・・・。一番下の親王でしたから、甘やかせ過ぎたのでしょうか・・・。あの子だけですもの・・・問題のある子供は・・・。何とかならないかしらね・・・。」

二人は溜め息をつき、清涼殿に向かう。清涼殿では、堀川関白殿は院が到着すると、深々と頭を下げる。

「話は帝から伺いましたよ。本当に兵部卿宮は親である私たちであっても訳のわからない息子だ・・・。環境を変えてやると、いいかもしれないがな・・・・。本当にあなたの二の姫を宮の正妻に迎えてもいいものであろうか・・・。家柄的には申し分はないのだが・・・。私自身土御門摂関家の血筋・・・。あのような頼りのない宮と・・・。」
「いえ、当家の姫は帝の女御として入内した身・・・。再婚相手として宮様の名前が挙がったこと自体嬉しいのです。こちらこそ当家の姫をもらっていただいていいものかと・・・。宮様より三つも年上・・・。」

 三日後に堀川女御は御殿と称号を返上し、堀川邸に戻ることになっている。この日、院と堀川関白殿は女御が落ち着いた後、兵部卿と女御の顔合わせの宴を行うことに決めた。もちろんこのことは群臣どころか、宮にも内密に事が運ばれる。この日の夜、帝との最後の夜を迎える。帝はわざわざ承香殿に足を運び、名残惜しそうに鈴音と会話をしたりする。

「鈴音・・・。本当に残念なこと・・・。このようなことになったのは本心ではないが・・・。」
「わかっております。もともと私のわがままで帝のお側に・・・。実家に戻ったあとのことまで決めていただきました・・・。感謝しております。」

帝は鈴音を引き寄せ、抱きしめる。

「鈴音・・・幸せになってくれよ・・・。あなたのお相手は私の弟宮である。色々噂で聞いているかもしれないが、元は優しい弟だ・・・。きっと鈴音を大事にしてくれると思うよ・・・。」
「はい・・・長い間、お側に置いていただき、ありがとうございました・・・。」

朝までゆっくり最後の夜を過ごした。

 堀川女御が後宮を去る日、登華殿に帝、鈴華、彩子が上座に座り、堀川関白殿とともに鈴音は帝に挨拶をする。

「堀川女御、今まで長い間、私の側にいてくれ、本当に助かったよ。女御にこれを・・・。」

籐少納言が、帝から帝愛用の扇を受け取り、鈴音に渡す。


「これを私と思い大事にしなさい。ここにいたよい思い出まで忘れなくてもいいよ。」

鈴音は帝から賜った扇を胸に当てると、ほろりと涙を流す。すると鈴華が鈴音に駆け寄ってあるものを渡す。


「鈴音、今まで色々辛い思いをさせてしまってごめんなさいね・・・。あなたがとても欲しがっていた櫛を持っていきなさい。これは亡きおばあ様の形見だけれど、あなたなら大事に持っていてくれるものね・・・。」
「お姉さま・・・。」

鈴華と鈴音は抱き合い、涙を流しあうと、彩子は感動してつられて涙を流した。鈴音は彩子のほうを見ていう。


「大和女御様、短い間でしたけれど、あなたのいつも遠慮がちなところ・・・とても印象に残ったわ・・・。私は一度も帝の御子を懐妊しなかったけれど、元気な御子をお産みくださいね・・・。」
「堀川様・・・。お幸せに・・・。」
「あなたもね・・・。」

もう一度帝に深々と挨拶をすると、鈴音は立ち上がって、堀川関白殿とともに後宮を立ち去っていった。珍しく鈴華は苛立ち、彩子にいう。


「あなたが入内さえしなければ、あなたが懐妊さえしなければ・・・。鈴音はずっと大好きな帝の側にいられたのよ!かわいそうな鈴音・・・。好きでもない人と再婚するのよ!」

彩子は鈴華の意外な言葉に傷つき、部屋を飛び出し弘徽殿に戻っていった。

「鈴華!」

帝は非常に怒った表情で鈴華にいう。

「身重な大和女御になんということを言うのだ!鈴華も懐妊中に同じことをされたであろう!もう鈴華のことは信じられない!顔も見たくはない。部屋で謹慎しなさい!」

帝は彩子を追いかけて部屋を出て行った。鈴華はつい心に秘めていたことを言ってしまったことを悔やむ。彩子は弘徽殿の寝所に潜り込んで、泣く。

「彩子・・・。」

帝は彩子の側に寄るとなだめる、彩子は帝の胸に飛び込んで泣き叫ぶ。

「彩子、当分の間、清涼殿の局で過ごしなさい。いいね彩子・・・。全然彩子は悪くはない・・・。中宮が言い過ぎたのだ・・・。あれは妹思いであるからね・・・。私は彩子を守るといっただろ。だから今日から清涼殿で暮らしたらいい・・・。では準備が出来次第移りなさい。」

帝は小宰相に指示をし、弘徽殿から清涼殿の彩子の局に移る準備をする。そして帝は堀川邸に使いを出し、即堀川関白殿を参内させ、慌てて堀川関白殿は殿上し、御前に息を切らしながら座る。

「どうかなさいましたか?」
「堀川殿、たった今中宮に謹慎を言い渡した。」

堀川関白殿は顔を青ざめ、帝に伺う。

「なぜ中宮を!」
「身重の女御に対して中宮らしくないひどいことを言ったのですよ。妹思いなのはいいがあそこまで・・・。今日から中宮の目に女御が触れないよう、この清涼殿の局に移した。堀川殿には罰などは与えないが、親として中宮に注意するように・・・。中宮が入内して十年・・・。このような事がないおとなしい奥ゆかしい姫だと思っていたが・・・。信じられない・・・。」

早速御前から下がると、藤壺の中宮のもとに足を運び、中宮に真実を問いただす。もちろん帝が立腹したことについては真実であり、中宮もこのようになってしまったことに対して大変反省していた。

「本当にお前というやつは何かしら問題を起こしてくれる・・・。最近やっとおとなしく落ち着いてきたと思いきや・・・。もしこれで大和女御の御子が流れる事があれば、お前は鈴音同様後宮を出す。父からもお前に謹慎をさせる。帝のお許しが出るまで、儀礼があろうとも、ここから出ることは許さん。いいな!」
「でもお父様!どうして女御の入内を認めたの?」
「あれは右大臣と内大臣が仕組んでいたのですよ。帝も・・・。知らされたときにはもう遅かった。日程まで組まれ、意に反するものは処分するとまで言われたからな・・・。女御一人でここまでの騒ぎになるとは思わなかったが・・・。いいか、三の宮、四の宮のためにも我慢をしなさい。」
「はい・・・お父様・・・。」

堀川関白殿は溜め息をつきながら後宮を後にする。

 鈴音が里下がりをして数日後、堀川邸では表向きは鈴音を励ます宴として催されている。様々な公卿や公達を集め、盛大に行われた。もちろん裏向きは鈴音と兵部卿宮との見合いの宴だが、一部の者しか伝えられていない。招待を受けた者は帝の元女御であり、教養があり美しく利発であると評判の鈴音を一目見てみたいと、続々と鈴音のいる寝殿の御簾の前へ挨拶にやってくる。他の者より少し遅れて到着した兵部卿宮はいつもと違って品のよい布袴を着て現れ、さすがに性格以外はすべて整っており、堀川邸の女房たちは魅了される。出席者たちもいつもと違った感じの兵部卿宮を見て驚く。

(あれがあの毎日頼りなさげに出仕してくる宮か?)
(やはり兄宮内大臣様に似ておられる・・・。でも意外だな・・・。)

兵部卿宮は周りを気にしながらも、堀川殿の前に座り挨拶をする。

「お招き頂きまして、ありがとうございます。私は人の多いところが大変苦手でして・・・。このようなところは恥ずかしく、お招きいただいたお礼のご挨拶のみさせていただいたら、下がらせていただこうと思っております。」

堀川殿はこの言葉を聞いて、ハッとする。

(ああ、この宮様は極度の上がり症なのではないか?だから毎日頼りなさげにされていて、兵部省では部屋に籠もっておられるのか・・・。仕事はきちっとはされているようだし・・・。なるほど・・・。)

「今日は宮様とお話がしたいと思い、別室に膳を用意させております。さあ、こちらへ・・・。」

堀川殿は兵部卿宮を客間に案内し上座に座らせる。そして話し出す。

「宮様は想っておられる方はいらっしゃるのですか?」
「はあ・・・なにぶんこのような性格です・・・。ただの憧れで・・・。たぶんその人はもう結婚されているのでしょう・・・。もう十年ほど前に見かけた方ですので・・・。」
「ほう・・・宮様にもそのような方が・・・。どのような出会いを・・・。」
「出会いって言うほどでは・・・。十歳の頃に見た年上の舞姫を・・・。元服前のことですので・・・。そうあれは兄上が即位された年で、盛大な豊明節会・・・。父院に連れられて見に行った節会の舞姫の中に・・・。」
「もう十年も前・・・。あの節会ですか・・・。舞姫はどのような・・・。」
「そうですね・・・一番小さな姫君でした。どこの姫君かは存じ上げませんが・・・。中でも一番小さな・・・。」

堀川殿はその舞姫が誰であるかがわかった。もちろんその姫君とは鈴音のことである。

「宮様、その姫君を知っていますよ・・・。今は独身です・・・。」
「え?でも私のような頼りないと評判の宮では・・・嫌われるでしょう・・・。」

兵部卿宮は苦笑すると溜め息をつく。堀川殿は女房に言って鈴音を連れてこさせる。

「宮様、会わせたいものがおります。当家の姫なのですが・・・。」

堀川殿は合図をすると鈴音が入ってくる。鈴音は兵部卿宮の前に座りお辞儀をし、兵部卿宮は鈴音の顔を見るなりびっくりして言う。

「この方は・・・。もしかして・・・。」
「宮様がおっしゃっていた舞姫はこの当家の姫かと・・・。」

兵部卿宮はうなずくと、今まで見せたことのない表情で微笑む。堀川殿は宇治院から預かった文を兵部卿宮に渡し、兵部卿宮は今日の宴は見合いの宴である事を知る。もちろん鈴音は帝の面影があるこの兵部卿宮を気に入り、微笑んだ。堀川殿は鈴音の一言言う。

「この宮はお前の舞姫姿を見初められていたそうだよ・・・。」
「え・・・もう十年も前の話です・・・。」

兵部卿宮は鈴音の顔を見つめ続けている。

「宮様。この姫をもらっていただけますか?しかしこの姫は先日まで帝の女御であられた・・・。それを承諾していただかないと・・・。」
「構いません・・・。この姫をいただけるのですか?私の初恋の姫を・・・。」
「はい。出戻りですが・・・。よろしければもらってください。いいね鈴音・・・。」

鈴音はうなずき微笑むと兵部卿宮と見つめあう。堀川殿は安堵の表情で、二人を見つめた。兵部卿宮と鈴音は寝殿に戻り、管弦の宴を楽しみ、御簾越しではあるが、二人は楽しそうに会話をする。周りの者達ははじめて見る兵部卿宮の別人のように楽しげな表情に驚く。宴がお開きになったあと、名残おしそうに兵部卿宮は鈴音に挨拶をすると、自分の邸に戻っていった。

 次の日、堀川殿は兵部卿宮とともに御前に鈴音との結婚の許しを得ようと現れる。もちろん帝は堀川殿から二人の馴れ初めを聞き、大変驚きつつも祝福し、兵部卿宮の結婚を許す。このことは宇治の院にも伝わり、早速婚儀に向けての準備が始まった。もちろん都の者達は、鈴音の里下がり後すぐに鈴音の縁談がまとまり、その相手が兵部卿宮であることに驚いたのはいうまでもない。そして婚儀が行われる三ヶ月後までの間にあれほど内気で頼りなかった兵部卿宮はまるで別人のように晴れやかな顔つきで毎日出仕し、「頼りない宮」という呼ばれ方はなくなった。帝や父院、そして皇太后は生まれ変わった兵部卿宮を見て安堵し、この見合いは間違いではなかったと思ったのである。

masaya&suzune



《作者からの一言》

少し主人公が変わった番外編・・・。
兄弟の中でも出来の悪い宮としっかり者の女御とのお話です。
まあこれからこの二人は出てくることはないのですが・・・・。
少し短編チックになったでしょうか???

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