4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第115章 彩子の里下がり
 帝の弟宮である兵部卿宮の婚儀が盛大に行われ、お祝いムードでいっぱいの都。その華やかな裏では彩子の臨月が近づき、里下がりをする。彩子は初産であるため、実家である大和の国から父君の大和守と母君が右大臣家別邸の五条邸にやってきて、彩子の出産準備に当たる。もちろん右大臣家の養女であるため、それなりの準備を右大臣家でも行っている。

「本来であれば実家の大和で産ませてやりたかったが、身重な体では無理だ・・・。」
「お父様、本来であれば、右大臣家本邸での出産なのですが、右大臣様が家族水入らずになれるとのことで、こうして五条邸にしていただいたのです。」
「それはそうではあるが・・・。」

大和守は初孫になる彩子の子に期待を掛けていた。

「右大臣様はぜひ皇子をとおっしゃっていた。右大臣様のお孫様東宮お一人では権力の維持が出来ない・・・。東宮様は母君亡き皇后を亡くされてからというものお体があまりよろしくないという。心配なのですよ、右大臣様も・・・。帝は彩子の子は権力争いに加えず、お子と認めになるものの、皇子であった場合でも継承順位には加えないと仰せなのだが・・・。」
「お父様、私が帝に願ったことなのです。皇子であれば元服後、臣籍に下って源の姓を賜り、姫宮であれば今はいない伊勢斎宮にとお願いしたのです。」
「うむ・・・。帝に・・・。そのように申し上げたのか・・・。右大臣様が聞いたら・・・。しかし彩子はもともと権力争いに加えないという条件での入内。右大臣様はそれを承知で彩子を養女に迎えていただけたのだし・・・きっとわかっていただけるであろう・・・。」

大和守は苦笑して、彩子の部屋を去る。彩子は人払いをして母君と二人きりになると、母君に言う。

「お母様、三月ごろ、帝の父院にお会いいたしました。私のお見舞いに来られたのですが、本当に私は亡き皇后に似ているのですね・・・。あと宇治院はお母様の行く末を知っておられました。そしてこの私を通してお母様に詫びられたのです。ずっとお母様のことを気に掛けていらっしゃったみたいです・・・。」
「そう・・・。院が・・・。」
「あと、皇太后様はお母様の従姉妹であられるとも聞きました。お爺様の亡き前式部卿宮様の兄宮様の姫であると・・・。本当にお母様と皇太后様が似ておられるのには驚きました・・・。でもなぜ・・・亡き皇后様と私が似ているのかが疑問なのですが・・・。」
「まあ色々とあるのでしょう・・・。そう・・・あの綾子様が・・・私と従姉妹・・・。」
「お母様、もう院のことをお許しになられてはいかがですか?院はお母様が後宮を出られた経緯をきちんとお話になられたのです。お爺様がはじめに当時の帝に申し上げたようです。院も摂関家筋の帝ということで、立場上お母様を大切に出来なかったと仰せでした。しょうがなかったと・・・。」

彩子の母君は黙り込んで立ち上がると、彩子にいう。

「あの頃は私も若かったから、何も政治について知らなかったわ・・・。今なら院のお気持ちはわかる・・・。でもあの頃は悲しくて悲しくて・・・あなたに亡き皇后様の代わりとして入内して私と同じ気持ちを味わせたくわなかったから・・・。でも彩子はとても幸せそうにしているのです。帝のお子もすぐに懐妊して・・・。大切にしていただいているのは良くわかるわ・・・。もういいのよ・・・私の昔のことは・・・。あなたさえ幸せになれば・・・。」

母君は彩子に微笑んで彩子の部屋を出て行った。時の流れが院と母君の問題を解決していたようだ。その事がわかった彩子は安心して、御子が生まれるのをひたすら待つことにした。

 里下がりから半月後、五条邸の右大臣家のものから朝方連絡が入る。

「お休みのところ申し訳ありません。」

と、宿直中の侍従がやってきて右大臣家の者から連絡を伝えようとやってきた。

「いい。申せ・・。右大臣家からであろうな・・・。」
「はい。先程未明。大和女御様姫宮様ご出産とのことでございます。」
「そう。二人とも無事か。」
「母子ともにお健やかであるとの報告が・・・。」
「わかった、昼ごろに勅使を送ると伝えよ。」

侍従は御前を下がっていくと、籐少納言を呼び、儀礼の準備をするように命じる。

「まあ、姫宮様ですか。きっとかわいらしい姫宮様でしょうね・・・。」

帝は御帳台から起き上がると、上着を着て脇息にもたれかかる。

「籐少納言、彩子が無事に出産したことだし、中宮の謹慎を解くと伝えてくれないか・・・。」
「今からでございますか?」
「いや、夜が明けて中宮が落ち着いてからでいい。私はこのまま起きておくから・・・。」

鈴華の謹慎が解かれ、早速鈴華はお詫びを言うために清涼殿に現れる。まだ帝は鈴華に対して不信感を持っているのか、御簾越しでの話となった。

「この度は大和女御様の姫宮ご出産おめでとうございました。」
「んん。中宮は女御の新宮が皇子ではなく、さぞかし安堵したことであろう・・・。」
「そんな・・・。私はあの言葉のお詫びを・・・。」

帝は溜め息をついて言う。

「本当かな・・・。大和女御は中宮と比べても家柄はたいそう劣る。色々聞こえてくるよ。中宮の周りからね・・・。」
「そんなことは・・・。」
「あなたはどうして新しい妃と仲良く出来ないのですか?亡き皇后は後から入ってきたあなたをどう扱いましたか?何もいわずに仲良くしていたではありませんか・・・。なのに・・・。」

「わかっています・・・。誤解です。ただあの時は・・・つい心にないことを・・・。」
「そうかな・・・。いいですか?中宮。私は大和女御を新皇后に立てるつもりでいます。もちろん最近元気のない東宮の母代わりとして・・・。これ以上中宮が改心しないようでしたら、女御に降格もありえることを覚えておくように・・・。」

帝は鈴華に下がるように命じ、鈴華は命じられるまま下がっていった。帝自身、鈴華に対してきついことを言ってしまったことに悩んだが、現実鈴華の女官あたりから彩子のあることないこと噂として耳に入ってきているのである。鈴華はそれに気付かなかった。もちろん鈴華は女官たちに叱りつけたのは言うまでもないが・・・。

 姫宮の誕生から七日後、命名の儀が行われた。新姫宮の名前は「綾子(りょうこ)」と名づけられた。綾子はとても帝と彩子のいいところばかりにてかわいらしく、大和守は初孫可愛さに離そうとはしなかったが、数日で彩子と共に後宮に戻っていくのを残念に思う。

「冴子の懐妊がふた月早ければ、この姫宮の乳母をさせたのだが・・・。」
「でもお父様、お姉さまもやっと懐妊したのですよ・・・。結婚してもう数年・・・。もうすぐお姉さまにも生まれるのでしょ。楽しみね・・・。私、お母様みたいに綾子に乳母をつけずに育てたかったけれど、この子は帝の子であり、右大臣様の孫だもの・・・。しょうがないわね・・・。ある程度経つと、右大臣家で養育されることだし・・・。」

彩子は姫宮を右大臣家が用意した乳母に預ける。この乳母は右大臣家や大和守と同じ源氏の流れをくむ受領の妻である。わざわざ東国武蔵国から乳母になるために都にやってきた。武蔵国は武州ともいい、大和国と同じ大国のひとつである。もちろん武蔵守も妻と共に上京し、右大臣と大和守に会うとすぐに自分の国に戻っていった。右大臣はこの妻を武州と呼ぶ。この武州は彩子より十歳上で、国に三人の子供がおり、ふた月前に生まれた姫を連れ都に来たのである。都出身の者ではないので、彩子はこの武州と気が合い、姉のように慕った。小宰相は右大臣に頼まれて、この武州の期間限定ではあるが、宮中での作法なども教えることになっている。本当に途中である彩子のお妃教育と、この武州の宮中作法の指導に毎日大忙しの小宰相なのである。

 産後半月が経ち、産養を終えた彩子は綾子を連れて後宮に入る。御殿は後宮で一番近い承華殿に移動となり、当分の間の姫宮の寝所も用意された。姫宮はとてもよい子で、お腹がすいたり、おしめが濡れた時以外は泣かず、あとはよく眠る姫宮である。

「女御様は都に戻られてからずっと規則正しく静かな生活をされていたからでしょうね・・・。帝もたいそう慈しまれていましたし・・・。ですからとても御育てしやすい姫宮になられたのでしょう・・・。」

と小宰相が言うと、武州も続けていう。

「今まで四人産みましたが、これ程まで育てやすい姫は知りません。きっと物静かな姫宮にお育ちになるでしょう・・・。」

彩子の女官たちもかわいらしい姫宮の寝顔を見て御殿中は微笑ましい雰囲気となる。

「女御様、こちらに帝がおいでになりますけれど・・・。」

と、帝の女官がやってきて、小宰相に言う。

「まあわざわざこちらに?今清涼殿へ参ろうと思っておりましたのに・・・。」

小宰相は帝を迎える準備をする。この騒ぎでも姫宮はすやすやと眠っている。彩子は唐衣に着替えると、姫宮を見て微笑む。

「こんなにバタバタしているにも関わらずお起きにならない姫宮はきっと大物になりますわ。何ことにも動じない・・・。」

彩子は微笑んでいう。

「皇子ならきっと立派な公達になられるでしょうけれど・・・。姫宮ですものね・・・。」

表が騒がしくなると、帝が入ってくる。

「彩子、待つ時間が惜しくて来てしまったよ・・・。綾子は寝ているの?」
「ええ、よく寝るいい子なのです・・・。」

帝は姫宮の寝所に向かいそっと姫宮を眺める。帝は姫宮の小さな手を触ると帝の指を姫宮は握る。帝は微笑み、じっと姫宮をいつ起きるのか見つめたままでいる。そして姫宮は小さなあくびをすると、目を少し開け、帝の指を姫宮の口に運びチュパチュパと吸う。すると姫宮はお乳でないことに気付くとかわいらしい声で泣き出す。

「彩子、姫宮が起きたよ・・・。」

帝は姫宮を抱き上げると彩子に渡し、彩子は武州に姫宮を預ける。武州は姫宮を別室に連れて行き、乳を与え着替えをさせると、また彩子の部屋に入ってくる。そして起きている姫宮を彩子に渡すと、彩子は帝に改めて姫宮を見せる。姫宮は満足そうな顔をして、目を開けている。帝は姫宮を抱き、微笑む。

「さすが抱き方がお上手ですね、帝。私など、未だ抱くのが怖いのです。なんか壊れそうで・・・。」
「大丈夫だよ。やはり姫宮はかわいらしくていい。特にこの姫宮はおとなしいね・・・。中宮腹の斎院のときは抱くと良く泣かれたものだよ。」

帝の胸に抱かれながら再び姫宮はスヤスヤと眠りについた。帝は立ち上がって、姫宮を寝所に寝かすと、また姫宮の寝顔を見つめる。帝は本当に姫宮がかわいらしくてたまらないようで、いつまでも姫宮を眺めていた。

「帝、そろそろお戻りになりませんと・・・。姫宮は当分こちらにおりますわ・・・。」

と彩子が声をかけると帝はうなずいて、立ち上がり彩子を抱きしめる。

「とても可愛い姫宮を産んでくれてありがとう・・・。では戻るよ・・・。彩子、ゆっくり体を休めなさい・・・。」

帝は清涼殿に戻っていく。少し経つと鈴華が現れ、彩子は身構える。鈴華は彩子に対して手をつきお詫びをする。

「あの時は本当にひどいことを・・・。なんとお詫びしたらよいか・・・。」
「中宮様・・・。」

鈴華は鈴華の女官が止めるのを振り払って手をついたまま彩子に対して謝り続けた。彩子は鈴華の手をとっていう。

「もういいのです。私こそ身をわきまえず申し訳ありませんでした・・・。こうして無事姫宮を産む事が出来ました。中宮様、姫宮を見ていってください。帝に似てよい姫宮です。」

二人はなんとか和解をした。

《作者からの一言》

帝はまだ中宮鈴華のことを怒っています。普通名前で呼んでいたのを中宮と呼んでいます。
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