4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第122章 彩子が彩子に戻る日
 帝が譲位をし、後二条院(院号)として二条院に入る。無事に東宮は即位の儀礼を済まし、帝になった。後二条院の七の宮として生まれた生後三ヵ月の良仁親王は、帝の弟宮として立太弟し、東宮となる。もちろん摂関家の中宮腹の三の宮四の宮を差し置いて生まれたばかりの宮を東宮にしたことに異を唱えた者は居たが、新帝がこの宮を是非にと決めた。もちろんこの宮が新帝の隠し子とは皆は知らない。東宮即位の儀礼は行われたが、儀礼中泣いたりするので、なかなか進まず、普段の倍以上かかった。彩子についていた小宰相や大半の女官は新東宮につき、彩子には数人の女房のみが付いている。

「彩子、このように少ない女房たちでいいのかい?鈴華にはあのようにたくさんのものたちがいるのに・・・。」

と、後二条院が心配する。もちろん入内するまでこのような生活をしていたので、彩子はなんとも思ってはいない。

「もうこの院から出るのですから、今までいてくれたものたちで十分です。今まで着ていた華やかな衣装も、お道具も私には必要ありません。この衣装もお道具も綾子に譲ります。」
「しかしね・・・。」
「私はもう右大臣家の養女ではありませんもの・・・。右大臣家にお借りした女房たちもお返ししましたし・・・。泰明も、身一つでもいいと・・・。ですから・・・。」
「話は変わるけれど、彩子は良仁ともう会わなくていいのかい?」
「すべてを小宰相に頼みました。院と離縁し、新帝の臣下に嫁ぐのですから、もうあの宮には会えません。母であるとも言えません。私に生母という称号もいりません。私はもう大和守二の姫の彩子です。こうして院の側にいることさえ恐れ多い身分になりました。綾子にも誠仁にも、もう会いません。」

院は寂しそうな顔をして言う。

「母宮も遠慮なく遊びに来なさいと言っていたでしょう・・・。彩子は母宮のお気に入りなのに・・・。鈴華には悪いけど・・・・。気が向いたらでいい、遊びにおいで・・・。」

彩子は微笑んでうなずく。

「本当であれば、ずっと彩子が側にいてくれるといいが、彩子の想いは私ではない。手放すのは心苦しいが、あの者に彩子を譲ろうと決めたのだから・・・。もう明日なんだね・・・。」
「はい・・・。」
「彩子、最後に彩子を抱きしめてもいいかな・・・。彩子の馨りや感触を覚えておきたい・・・。」

彩子はうなずくと、院は彩子を引き寄せ抱きしめる。何時間も夜が更けるまで抱きしめる。

「院・・・?」
「何?」
「明日は早いので・・・。」
「あ・・・彩子すまない・・・。私は部屋に戻る・・・。ゆっくりお休み・・・。」

院は彩子を話すと立ち上がって、彩子の部屋を退出する。彩子は溜め息をつくと、寝所に横になると扉が開き、声がする。

「お母様、一緒に寝ていい?」

綾子は誠仁の手を引き、彩子の部屋に入ってくる。姫宮と若宮付きの女房がやってきていう。

「お休みのところ申し訳ありません・・・。宮様方が、どうしてもと・・・。なかなか寝付かれず・・・。」
「別に構いませんよ。さあいらっしゃい・・・綾子、誠仁。母様と一緒に眠りましょう・・・。」
「お父様は?この前みたいに四人で寝たかったな・・・。」
「そうなの?では呼んできていただきましょう・・・。武州、院がお休みになられたか籐少納言に聞いてきてくれないかしら・・・。宮たちが一緒に寝たいといっていると・・・。」
「綾子もいく!」

武州は姫宮を連れて院の部屋には向かうと、院もなかなか寝付けないようで、綾子を抱いて彩子の部屋にやってくる。

「お母様、お父様がいいって・・・。さあ、お父様ったら・・・。早く綾たちとねえ~~。」
「彩子構わないかな・・・・?最後の夜を四人で・・・ちょっと狭いし暑いけれど・・・。」
「はい。」

彩子は微笑んで院と宮たちを迎える。院と彩子の間に宮達が入る。宮達は二人の間に挟まれて安心したのか、すぐに寝てしまった。院は微笑んで言う。
綾子&誠仁
「帝であったら考えられないことだね・・・。こうして宮達と眠れるってこと・・・。ほんとに可愛らしい宮達だ・・・。新帝康仁にも、斎宮篤子にも、帥の宮雅博にも、式部卿宮雅盛にもこのようなことはしてやれなかった・・・。今夜はいい思い出になったよ彩子。ありがとう・・・。」

彩子も微笑んで宮達の寝顔を見つめる。そして二人は一晩中手をつなぎ眠った。

 次の朝、光がさしてくると院と彩子は目覚め、顔を見合わせる。まだ宮達は眠っていたが、とても幸せそうな寝顔であった。院は名残惜しそうに彩子の部屋を出て戻って行った。彩子は時間が許す限り、この宮達の寝顔を見つめる。

(連れて行けるものなら連れて行きたいわ・・・。本当に可愛い宮達だもの・・・・。)

起床の時間が来ると女房たちが彩子を起こしにくる。

「まあ、宮様達がこちらにお泊りに?どういたしましょうか?早くご用意をされないと大和守様の迎えの車が来てしまいますわ・・・。」
「寝かせておやり、私は隣の部屋で準備をするから・・・。」

彩子は朝餉を食べ、隣で準備を整える。

「彩子様、宮様たちを部屋に戻さなくてよろしいのでしょうか?出立は、宮様たちが寝ている間にこっそり行う予定でしたのに・・・。起きられたらきっと彩子様についていくと駄々を・・・。」

彩子は微笑むと黙々と着替えを済ます。寝殿のほうは、大和守が到着し、院に挨拶をしているようで院の女房が彩子を呼びに来る。彩子はその女房と共に寝殿に入り、院に最後の挨拶をする。

「院、長い間大変お世話になりました。とても可愛がっていただけ、彩子は幸せでした。院、残していく宮達のこと、よろしくお願いします。お元気で・・・。」
「んん・・・。彩子も元気で・・・。和気殿と仲良くな・・・。幸せになるのですよ・・・。」
「はい・・・とてもありがたいお言葉に感謝しております。」
「またいつでも遊びにおいで。気兼ねなど要らないから・・・。」

彩子は院に深々と頭を下げると、寝殿前に横付けされた大和守の車に乗り込む。車が動き出し、二条院を出ようとしたとき、邸から誠仁の泣き声が聞こえる。

「母様!母様!どこ?母様!」

そして綾子の泣き声も聞こえる。

「お父様。お母様はどこ!起きたらいないの!お母様の女房達も!お母様はどこ?ねえお父様!」

彩子は涙をこらえながら、二条院を後にした。鴨川の畔に来ると大和守は車を止める。

「彩子、泣いているのか?彩子の気持ちはわからないこともない・・・。しかししょうがないこと・・・。和気家に宮様たちを連れてはいけないからな・・・。」
「わかっています・・・。わかっているからこそ涙が・・・。お父様行って・・・。」
「わかった・・・。」

再び車が動き出し、上賀茂にある和気邸に向かった。

 和気邸では彩子を迎えるために朝早くから準備を整えた。典薬頭も泰明もこの日休みを取り、彩子の到着を待つ。泰明はついに彩子が和気邸に入るというので、昨夜は眠る事が出来ず、今日も朝からそわそわして落ち着かない様子であった。

「泰明殿、朝餉も食べず、大丈夫ですか?嬉しい気持ちはわからないでもないが婚礼の日取りはまだまだ先のこと・・・。」

典薬頭は微笑んで泰明を見つめている。典薬頭も嫡男である泰明に嫁が来るのを楽しみにしている。特にこの嫁は先帝のご寵愛を一身に受け、泰明に褒美として与えられた元女御である。公達にとって、帝から寵愛を受けた妃を賜ることは大変栄誉なことであった。

泰明は部屋でじっとしている事が出来ず、邸を抜け出した。少し経つと、大和守の車が到着し、和気邸に入る。典薬頭は大和守と彩子を寝殿に案内する。

「大和守、これはこれはよく大和から来ていただきました。即位の礼以来ですなあ・・・。あの時は祝宴で杯を交わしましたね。」
「こちらこそ・・・。ほんとに和気殿は酒に強い。今日は土産に大和の酒をたくさん持参しました。」
「ああ、ありがたい。今夜は祝いの宴を催すのでゆっくりして行ってください。」
「で、泰明殿はどちらに・・・せっかく・・・。あの者は小さい頃から要領が悪いというか・・・。いつも彩子姫の後ろをビービー泣きながらついていたのですよ。そのものがあのように立派な青年となるとは・・・。大和に埋もれずに良かったよかった・・・。大和にいれば未だ少目のままであった。」
「あの歳で従五位下に叙されているのだから・・・。私でもあの歳は名も無き医師だったが・・・。本当に泰明はすばらしい・・・。しかし・・・汚点が・・・。」
「汚点?」
「あの事件で腕をやられましてな・・・。左手の感覚が戻らないようなのです・・・。あれからもう数ヶ月・・・。もう完治していてもいいものを・・・。利き手でなかった事が不幸中の幸いとはいえ・・・本当に残念なこと・・・。」

彩子は泰明の腕について聞き驚く。大和守は知っているような口調で言う。

「そうですな・・・泰明の兄、智明も同じようなことを・・・。何とか治らないものか・・・。」
「全力を尽くして治療を試みております。左手の件は典薬寮にも、帝にも内密にしておりますので、そのように・・・。」

大和守はうなずき、溜め息をつく。彩子は典薬頭に問う。

「あの・・・泰明様はどちらに・・・。」
「そうだそうだ・・・。彩子姫がこちらにいらしたのだった。ちょっとお待ちください。」

典薬頭は従者を呼び、泰明の行き先を問うと従者は邸の東の薬草園にいるといった。

「彩子姫、泰明は東の薬草園にいるようです。呼びに行かせましょうか?」
「いいえ、私が行きます。」
「しかし姫様が・・・。」

彩子は立ち上がって、邸を出ると、東の薬草園に入り、泰明を探す。泰明はまだ生育途中の薬草をいじりながら、溜め息をついていた。

「泰明、ここにいたのね・・・。心配したじゃない・・・。」
「彩子様・・・もう着かれたのですか?」
「だからここにいるのよ。」

そういうと彩子は泰明に胸に飛び込んだ。泰明は顔を赤くして彩子を抱きしめた。

「彩子様・・・。」
「泰明、私はあなたの妻になるのよ。『様』をつけないでちょうだい。」

泰明は照れながら言う。

「彩・・・子・・・。」
「なに・・・?」

泰明は彩子に微笑むと、言う。

「よく来てくれましたね、彩子。ずっとこの日を待っていました。本当にいいのですか?このような私のもとに嫁いで・・・。昔あなたの後ろを泣きながらついていた泣き虫泰明ですよ。」
「いいのよ。今は立派なお医師様じゃない。都中のものに尊敬される・・・。そして慕われている・・・。私が泰明を独り占めにするのよ。あなたを狙っていた姫君や女官達に殺されそうだわ・・・。」

彩子が微笑むと泰明は言う。

「それは大変ですね。これからは私があなたをお守りしますから安心してください・・・。」

そういうと、泰明は真剣な顔をして彩子のあごに手を当てると、彩子に口づけをした。彩子は口づけの後、泰明の胸にうずくまった。

「もう離さないでね・・・泰明。」
「もう離しませんよ・・・。院に返して欲しいと言われても。」
「私は子供が三人もいて、一度結婚しているわ・・・それでもいいの?」
「何を言っているのですか?私もそうですよ。蘭もいるし・・・。お互い様です・・・。さあ、邸に戻りましょう。皆が心配しているはずです。」

泰明は彩子の手を引き、邸に戻った。


《作者からの一言》
やっとのことで彩子は先帝の側室という身分から解放され、大好きな泰明のいる和気邸に入ります。どうしてまだ婚儀の日取りは先かというと、後ほどわかります。とりあえず、和気家に入って泰明と共に過ごすことになりました。

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