4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第130章 七夕節会の夜の密会
 彩子が皇后に立后してから三月がたち、帝は相変わらず彩子のみを寵愛する。彩子は毎日が苦痛でたまらない。帝の独占欲は相当のもので、養父である中務卿宮でさえ、彩子の御殿に殿上を許さない状態である。

女官の機転で取り上げを免れた泰明からの思い出の品を度々出して来て眺めたり、帝に内緒で飼っている猫の白を可愛がる事が彩子にとって唯一の安らぎである。もちろんこのことは彩子に同情的である内裏中の女官たちは帝に言うことはない。先に入内していた土御門摂関家の麗景殿女御や右大臣家の弘徽殿女御も彩子に同情的であり、彩子を励まそうと度々やってきて、双六をしたり碁を打ったりして暇をつぶす。

「皇后様、今夜は七夕節会ですわね。帝の主催で節会後に帝出御で宴を催すのをご存知?」
「いいえ・・・。帝は何も・・・。」
「おかしいですわね・・・。私と麗景殿様はお呼ばれされているのですよ・・・。」
「弘徽殿様、やはり群臣の目に皇后様が触れるのを嫌っておいでではありませんか?」
「たぶんそうね・・・。私も以前そうでしたもの・・・。あの方は本当に独占欲が強い方・・・。皇后様に同情いたしますわ・・・。」
「本当に皇后様は私たちの御殿でさえ行く事をお許しにならないのですもの・・・。清涼殿へお召し以外は御殿から出る事が許されていない籠の鳥のようなお方・・・。」

彩子は苦笑して二人の女御に言う。

「いいのです・・・。帝の言うとおりにしないと元夫の和気に迷惑がかかるのです・・・。私さえ我慢をすれば・・・。」
「何をおっしゃるの?我慢していては身が持ちませんわ・・・。」
「いいえ、特に最近まだ帝の御子を懐妊しない私に苛立っておいでなのです・・・。これ以上波風は立てられません・・・・。」

女御の二人は悲しそうな顔をして見つめあうと、溜め息をついて承香殿退出しようとする。

ふと弘徽殿女御が思い出したように一言告げる。

「そういえば、典薬頭和気様は今朝、殿上していないようでしたわ・・・。他の侍医様が殿上を・・・。うちの女官は本日宿直ではないかと言っていたわね・・・。和気様はもともと宴がお好きでないみたいだから、いつも節会が終わると典薬寮に戻っておられます。もしかして今日もそうじゃないかしら・・・。」
「安子様・・・・?」
「私は内裏どころか大内裏に至るまでの情報は何でも知っています。色々手を回せばわかることです。そういえば今日は内裏中の警備が手薄になる日ですわよね・・・。麗景殿さま。」
「ええ。大体帝出御の宴がある日は・・・。」

そういうと二人は微笑みながら退出する。彩子は脇息にもたれながら考え込むと今夜後宮を抜け出すことを考える。

(七夕の夜くらい泰明と会いたい・・・。話がしたい・・・。)

彩子の女官たちもなんとか少しの時間でも彩子をこの御殿から出して差し上げようと策を考えている。夜になり、彩子は決心がつかず悩んでいると、女官達が彩子を取り囲み、彩子を着替えさせる。

「な、何???」

彩子は女官たちに外出用の被衣(かづき)姿にし、袿を被せ御殿の周りを警戒しながら弘徽殿の女官に彩子を渡す。

「さ、こちらへ・・・。安子様より伺っておりますので・・・。」

彩子は安子の指示でやってきた女官に案内されながら、ある門にやってくる。その門には誰かが待っていた。

「どこへ行くの?彩子。」
「宮様??」

中務卿宮は微笑むと、彩子の手を引き典薬寮の前に連れて行く。

「彩子、一時ほどしたら出てきなさい。泰明の部屋は以前と同じだから・・・。私は宴に戻るよ。帝に怪しまれる。」

彩子は宮に頭を下げると、典薬寮に入り、頭に被っている袿をとると足早に泰明の部屋の前に向かう。やはり皆節会の宴ほうに行っているようで誰もいないようだった。泰明はやはり在室している。部屋から明かりが漏れているのである。彩子は胸の高鳴りを感じつつ大きく深呼吸をして扉をたたく。すると扉が開き、泰明が顔を出した。

「さ、彩子様!」

泰明は驚いた表情で彩子を部屋の中に入れ、扉に鍵を掛ける。

「ど、どうしてここに????」

彩子は泰明に飛びつき、泰明も彩子を抱きしめる。
七夕の密会

「とても会いたかったの・・・。今日は七夕でしょ・・・。女官たちや中務卿宮様が私を御殿から出してくれたの・・・・。」
「そう・・・。でも驚いた・・・。やはりやつれたね・・・。おかわいそうに・・・。」

泰明は彩子の頬に手を置き、やつれた顔をじっと見つめる。

「泰明・・・。」
「はい・・・。」

彩子は泰明の肩に手を回すと、泰明にくちづけをする。

「泰明・・・私・・・。」
「なんですか?」
「私ね・・・帝の子を懐妊したかもしれない・・・。でね、この子を流す方法ってないかな・・・。」
「何を言っているのです。せっかく授かった命ですよ!出来ないことはありませんが、私は命を殺めることなど出来ません!」

彩子は悲しそうな顔をして座り込んだ。

「言うと思った・・・。また私は苦しい思いをして帝の子を産まないといけないのね・・・。」
「彩子様・・・。本当に懐妊しているのですか?」
「まだ明日香には診てもらっていないけれど・・・。たぶん・・・。」

泰明は彩子の手をとり、脈診をし、溜め息をつく。

「確かにそうですね・・・。」
「そう・・・。当たり前よね・・・。」
「彩子様、早まらないでください。きっと姉上がなんとかしてくれます。健やかな御子をお産みください。きっと帝はお喜びになるから・・・。」

泰明は悲しそうな顔をすると、文机の前に座り、書き物の続きを始める。沈黙が続き、約束の時間が訪れる。

「もう時間だ・・・早く出てこないと見つかってしまう。」

中務卿宮が泰明の部屋の前まで迎えに来て、声をかけると、泰明は彩子に袿を被せ、中務卿宮に彩子を預ける。

「泰明、今度はいつ会える?」
「来年の七夕にでも会いましょう・・・。」
「うん・・・。」

二人は別れを惜しみながら手を振り別れる。なんとかバレずに後宮に戻った彩子は早速泰明の香の匂いを消すようにすぐ着替えると部屋中に香を焚き染める。徐々に彩子の体に染み付いていた泰明の香のにおいが消えていくのを感じ、彩子はまた涙を流す。心配そうに待っていた明日香に彩子は気が付くと、彩子は明日香に抱きつく。

「どうかしたのですか?彩子様・・・。」
「明日香、私ね懐妊しているの・・・・帝の子を・・・。でね、泰明に流してって言ったら怒られちゃった・・・。当たり前だよね・・・。泰明は命を守る立場ものだもの・・・。でも泰明に会えてよかった・・・。また来年の今日会う約束をしたのよ・・・。」

明日香は何も言わずに、泣いている彩子の話を聞き、落ち着くまでそっとしておいた。

 懐妊が確定的になった頃、明日香は清涼殿に殿上して彩子の懐妊を報告する。

「おめでとうございます!皇后様、ご懐妊でございます。ご予定はひな祭りの頃でしょうか・・・。」
「それは確かか?今から承香殿へ行く!」

帝は公務をそのままにして急いで彩子の御殿に向かう。

「皇后!」

急なお出ましに承香殿中慌てる。彩子が抱いていた猫を急いで女官が隠し、何事もなかったように振舞う。帝は彩子に抱きつき、嬉しそうに話す。

「やっと懐妊したんだね!うれしいよ!元気な子を産んでよね!」
「はい・・・。」

しかし一転、険しそうな表情で彩子に言う。

「ほんとに私の子?父上や泰明の子じゃないよね・・・・。」
「そんなことは・・・。」
「どうかな・・・。まあいい。生まれてきたらわかることだから。」

すると彩子付の女官が言う。

「皇后様は清涼殿へ向かう以外はこの御殿を出ておりません!養父であられる中務卿宮様でさえ殿上をお許しになっておりません!帝以外考えられないではありませんか!そのように皇后様をお責めになられるなど、皇后様がお可愛そうです!皇后様をお守りしている私たちは我慢できません!」

帝は怒ってその女官に対して手を上げようとするのを彩子が止める。

「帝、お止めください!この女官は真実を述べているだけです。お願いします!」

帝は手を止め、御殿を飛び出していく。彩子はその女官に詰め寄って謝る。

「ありがとう。私をかばってくれて・・・。ごめんなさい・・・。」
「皇后様・・・恐れ多いことを・・・。女官である私たちはきっと皇后様をお守りいたします。」

これ以来女官たちは一致団結して彩子を守り、何があっても動じないようになった。

 相変わらず毎晩のように彩子は清涼殿にお召しをする。懐妊中でありながら、帝の側で添い寝をし、帝は嬉しそうに徐々に大きくなっていく彩子のおなかを撫でる。

「皇后、いつになったら以前のように麗しく微笑んでくれるの?こうして皇后のおなかの中には私たちの子がいるのに・・・。」
「はい・・・。」
「さあどっちかな・・・。皇子っぽいな・・・。毎日元気に動いているしね・・・。でも姫宮も捨てがたいな・・・。可愛いだろうな・・・・私たちの子だから・・・。」
「そうですね・・・。」
「東宮も最近、特に私に似てきて可愛らしいのだよ。今度あわせてあげるよ。」

帝は彩子のおなかを撫でながら眠りにつく。彩子は泰明と約束したようにおなかの子を慈しみ、早く里下がりが実現しないかと願った。


《作者からの一言》
七夕です。会ってはいけない二人の再会です。これくらいは許してあげましょう。
嫉妬深い帝に喝を入れたいのは私だけ?

さあそろそろクライマックス突入!
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