4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第131章 中務卿宮の怒りと康仁帝退位計画
 年が明け春の日差しが感じられる頃、中務卿宮の説得のおかげで彩子は出産間際になって里下がりの許可が下りる。急いで中務卿宮は彩子を二条院に迎え、出産の準備に取り掛かる。やはり側に帝がいないためか、彩子は以前のように鈴華や綾子とともに楽しそうに過ごしている。宮中では見せない笑顔に中務卿宮安堵し、あと泰明さえいれば本当の彩子の戻るであろうと思ったのである。

 もちろんこの邸での出産の条件として、泰明を近づけないことであるが、なんとかこの邸にいる間一度だけでもあわせてやろうと思うのである。中務卿宮はこっそり泰明を招きいれ、彩子と会わす。二人は嬉しそうに見つめあうと、安心しきった表情で彩子はいつもどおりの彩子に戻っていく。

「元気そうで何よりです。姉上から色々彩子様のことを聞いております。たいそう御腹の御子を慈しんでおられたとか・・・。」
「だって泰明と約束したでしょ・・・。この子はあの方のお子だけど、泰明の子だと思って慈しんできたわ・・・。」
「そうでしたか・・・。私も遠くからでしたが、彩子さまのご健康をお祈りしておりました。まもなくのようですね・・・。」
「ええ・・・。」

彩子は緊張がほぐれ安心しきったのか、泰明が帰ったその日の夜、帝に似た皇子を産んだ。その日のうちに帝に伝えられ、帝は皇子の誕生に大喜びし、儀礼の準備を整わせる。儀礼が済み帝は無理を言って新宮に会うために二条院にやってくる。帝は文箱を抱え、横になっている彩子の前に現れると、彩子は座り帝に頭を下げ、帝から文箱を受け取る。帝は新宮の顔を見て微笑むと、乳母にいって新宮を抱く。

「やはり私の子だったね。私によく似ている。生まれるまで不安でしょうがなかった・・・。父上や泰明に似ていたらどうしようかと思ったよ。皇后、その中はこの宮の命名書きがはいっている。」

彩子は文箱のふたを開けると、命名書きが入っていた。

「いい名前だろ。「博仁」って言うんだ。賢い子になって欲しいしね・・・。」

帝は新宮を乳母に預けると、彩子を抱きしめ耳元で言う。

「どうして姫宮を産まなかったの?姫宮が欲しかったのに・・・。まあいい、今度は姫を産めよ。」
「え・・・。」

彩子はこれで帝から解放されると思ったが、この一言にショックを隠せなかった。帝は満足そうに二条院を出て行くと、彩子は寝所に潜り込み泣く。心配になった中務卿宮は彩子の寝所の前に座り、問いただす。

「帝に何を言われたのですか?」
「宮様・・・。帝は姫が欲しかったようなのです・・・。新宮が姫でなかったことで次は姫宮を産めと責められました・・・。」

中務卿宮は怒ってこぶしで床をたたく。

「なんということを・・・。彩子を自分の欲望道具にしか思っていないとは・・・。帝の父としてなんとかしないといけない・・・。いい?彩子。今から言うことは内密に頼むよ・・・・。」

中務卿宮は彩子にこれから起こす行動を事細かく彩子にいい、彩子は顔を青ざめる。

「それでは宮様のお立場が・・・。」
「私の立場などいいのだよ。先帝として自分勝手な帝を放っては置けまい。ましてあれは私の息子だ。私が責任を持って処分しないと・・・。実はねまだ院としての権限はなくなっていない。最初から兼任という形をとっていたのですよ。これから大臣たちに根回しをしないといけない・・・。時間はかかるかもしれないが、きっと彩子を泰明殿にお返しするよ。いいね・・・。今話した事は内緒だよ。」

彩子はうなずくと、中務卿宮は微笑んで部屋を退出する。

 次の日から中務卿宮は帝に感づかれないように先帝時代の側近中の側近である右大臣、内大臣、右大将などと内密に会い、話を進めていく。もちろん帝に異を唱えるものたちは多く、摂関家筋でも密かに進められていた。もちろん帝の後見人である右大臣も数々の帝の奇行にうんざりし、同じ後見を持つ帝と彩子の子である御年三歳の東宮に譲位を迫るように意を決した。

 中務卿宮が行動に移してから一年。また春がやってきた。承香殿にはいつものように女御たちが集まり今日はなにやらひそひそと話をしている。

「ついに決行の時がきたそうよ。ねえ麗景殿さま。」
「はい。摂関家と源家、中務卿宮家が同じことを考えていたなんてね・・・。お父様も先帝が先頭に立たれると聞いて安堵していましたわ。」
「そうよね・・・。なんといっても帝のお父様ですもの・・・。後宮でももう帝の味方になるものなどいないと思うわ・・・。帝のお父様にがんばっていただかないと・・・。あと説得するのは帝の側近中の側近、私のお兄様頭中将だけらしいわね・・・。」

彩子は驚きながらも着々と計画が進んでいくのを見届ける。もちろん都のものたちは皆先帝である中務卿宮に賛同し、帝の味方になるものは帝の叔父であり、小さい頃から帝に仕えている頭中将源博雅だけである。中務卿宮は二条院に博雅を呼び出すと、説得にかかる。
頭中将源博雅

「博雅、もうお前だけだよ・・・私の側についていないのは・・・。お前は父母を同じにする兄弟。歳は離れているが、同じ血が流れている。お前は賢い。元服前より康仁に仕え、兄弟のように育ってきたのは知っている。しかしここ最近の帝の奇行ぶりは都中を混乱させている。このままでは皆が黙っていない。なんとも感じないのか?」
「兄上、もちろんわかっております。しかし私が帝のお側にいなければ、いけないのです。譲位されるとすれば私がずっと側におります。出家されるのであれば私も共に・・・。」
「まだお前の子は幼い。その子達はどうするつもりだ。お前は養子とはいえ代々続いている村上源氏の当主ではないか。最近では清和源氏の者達が地方で武士として勢力を伸ばしているが、源氏でも最高権威、源氏長者である村上源氏を廃らせていいのか?」

博雅は悩み悩んで決意をする。

「わかりました・・・。兄上に従います。しかし私は裏切り者といわれようとも、康仁親王様の味方です。とりあえず朝廷のために兄上に賛同いたします。帝の譲位後は、康仁親王様が寂しい残りの生涯をお過ごしにならないよう見守って行くつもりです。」
「んん・・・。よく決意してくれた。康仁は寂しいことはないよ。安子は再婚をせず、側にいるといっていた。もちろん土御門の女御もだよ。でも残念なのは右大臣の醍醐源氏が廃れることかな・・・。まあこれは仕方がないこと・・・。」
「醍醐源氏の流れをくむ親王が一人いるではありませんか。皇后彩子様と兄上の宮であられる六の宮誠仁親王様が・・・。彩子様はれっきとした醍醐源氏筋・・・。昨年中宮大夫になられた皇后の父君は右大臣様の従兄弟・・・。誠仁親王を、右大臣家の養子にされたらいいのです。そうすれば廃れることなど・・・。」
「んん。右大臣殿に頼んでみよう・・・。博雅、そうとなれば善は急げ、明日決行をする。」

 次の朝、主要な人物が殿上の間に集まり、段取りを話し合う。賛同したはずの博雅は殿上の間の隅っこで、複雑な顔をして座り込んでいる。異様な雰囲気に朝の診察を終えた泰明は驚いてさっさと典薬寮に戻っていった。複雑な表情をしている博雅を見て、中務卿宮はいった。

「博雅、博雅はそこにいるといい。一番辛い立場だからな・・・。」
「しかし!」

中務卿宮は微笑むと博雅のみを殿上の間において中務卿宮、関白、大臣たち、各省の卿、各府の督などが一斉に帝の御前に上がる。帝は何事かという顔をして驚いている。

「帝に申し上げたい事がございます。今日は中務卿宮としてではなく、先帝としてここにいるものたちを代表して言わせていただく。」
「なんですか、皆改まって・・・。父上・・・。」

宮は深呼吸をすると、ゆっくりとした口調で帝に言う。

「帝の退位を要求する。」
「え!どういうことですか父上!」
「理由はたくさんある。いいかよく聞くように。各省や府の者たちの意見を聞かず、有無を言わさず自分勝手に事を運ぶ。無理難題を申し付ける。慣例に従わない。そしてここ最近の目に余る奇行の数々・・・。どういうことかわかっているね。もう誰も康仁に従わないといっている。あなたが退位を受け入れないのであれば、私を始め、ここにいるものや各省、府の者達が出仕を控えるであろう。」
「しかし・・・。」
「どうしますか?」
「考えさせてください。皆の言いたいことはわかった・・・。父上以外は下がっていい・・・。」

中務卿宮が合図をすると皆は下がっていき殿上の間で様子を伺う。中務卿宮は御簾の中に入ると、説得を試みる。

「よく聞きなさい。お前の親として今日まで大変恥ずかしい思いをしてきた。お前を退位させることは大変辛いが、親としてけじめをつけなければならない。お前の母綾乃も同じことを言うであろう。お前は皆に対する思いやりがない。皆を物のように扱い、思い通りにならなければ、叱り付ける。そして今まで何人の者達が処分され、流刑にされたか・・・。特に皇后彩子姫はどうだ。姫に自由を与えず、意見も聞かず、大変傷ついたに違いない。典薬頭和気殿もそうだ。いきなり離縁を迫り、二人の仲を引き裂き、近づくことさえ許さないとは・・・。承諾したとはいえ、それはあの二人の意に反したこと・・・。お前の権威を利用し、無理やり承諾させたではないか・・・。お前のすることはすべて皆を不幸にしている。そのようなものに国の頂点に立つ資格はない!譲位後、彩子姫は和気殿に返すのだ。譲位後は宇治にある亡き宇治院の院に籠もるのもよし、出家するのもよし、好きにしなさい。ただし、安子姫たちはお前についていくと言っている。どうする。まあ選択肢は一つしかないが・・・。」

帝は悩み悩んで父宮に対し退位を承諾する。そして御年四歳の良仁親王を帝位につけ、東宮として二の宮博仁親王を皇太弟とすることとした。その日のうちに譲位が宣言され、良き日を選んで即位の儀礼が行われることとなった。


《作者からの一言》
ついに退位。みんな帝に背を向け、一人になった帝。もちろん自業自得ですが・・・。
これで彩子は解放されます。しかし・・・・。

ついに次クライマックス。
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