4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第12章 再会
 午後からは殿上の間で大政官のみの審議が急遽行われることとなった。審議の前に右大臣は息子の左近少将を連れて少将の元にやってきた。左近少将は同僚の三の姫のすぐ上の兄にあたる人で、親友というほどではなかったのだが、一緒に宿直もしたことがある。左近少将は先ほどの殿上の間での出来事をまったく知らない様子で、声をかけてくる。
「久しぶりだな右近殿。妹姫との一件は、本当に驚いたよ。ところで、右大臣である父上からの伝言で、あの日のことは許すから今日帰りにうちに寄ってほしいと・・・。何か急な審議が入ったらしいので、あとから戻って話がしたいと・・・・。変だね父上はあれほど右近殿を嫌がっていたのになあ・・・。まあいい、これから帰るのだろ。同じ牛車に乗るといい。」
「ありがとう・・・・。でも・・・。」
「遠慮などするなよな。せっかくあの父上が一緒に酒でも飲もうといっているのだから。」
「ああわかった・・・。」
 右大臣家につくと、左近少将が客間に案内した。案内されるまま、少将は座って長々と左近少将の話を聞いている。帰郷といろいろな出来事で疲れがたまっているせいか、少しぼおっとしてくる。この客間から姫のいる対の屋までどれくらいあるのだろうか。  
 右大臣邸は内大臣邸と同じように結構広い。東三条邸は庭がきれいなことで有名で、庭の手入れが行き渡っている。特に今の季節、庭に植えられたもみじが色づき、それを眺めながら、くだらない左近少将の話を聞きながら適当に返事をしていた。声高らかに笑う左近少将をうっとうしく思えるほど、疲れきっていた。次々と出てくる豪華な料理を眺めながらもため息も出てくる。お腹はすいているはずなのに、なぜか食欲がわかない。いつになったら右大臣が帰ってくるのか。きっと今日の審議は東宮の廃太子と、少将の立太子の件でもめているのかも知れない。東宮の今後の処遇も、気になり、自然と少将は上の空になる。
 一方、姫の対の屋では、本日のお妃教育の予定を終え、くつろいでいるところにいろいろな女房の話が姫の耳に入ってきた。
「客間に左近様のお客様がいらっしゃっているらしいわよ。まあ珍しいこと。」
「急にですって。同僚の方って聞いたけど?」
「どのような方かしら?左近様のお友達なのでしょ。」
「どの女房も誰か教えてくれなのよねえ・・・左近様の女房ってケチで嫌よねえ・・・誰かそっと見てきてくれないかしら?」
「ねえ聞いて!私後姿なら見たわよ!とても素敵な方でしたわ・・・・。すらっとして気品に満ちていて・・・本当に左近様のお客様?って感じかしら。でも束帯が武官束帯なのよねえ・・・。きっと束帯の色からして左近様と同じくらいの近衛府の方か、衛門府の方かしら・・・。もう私ったら素敵過ぎてその場で気絶しそうだったわ。」
姫は女房達の言葉に気にもしなかったが、騒がしかったので、コホンと咳をすると女房達は静まった。すると桔梗が姫に申し上げた。
「姫様、このようなことを申し上げてもいいものかわからないのですけれど、姉の桜から文がありまして・・・。あの・・・今朝早くあの少将様が早馬で吉野からご帰郷に・・・。」
姫は顔色を変えながらも冷静に振舞おうとしたのか、「そう」といって物語などを読みはじめた。
(宇治の君は帰られたのね・・・お許しでも出たのかしら・・・でも私は・・・。)
と思うと一筋の涙が流れる。同じ敷地内に宇治の君がいるなど知る由もない。
 日がかげりだした頃、やっと右大臣が帰ってきて客間に入る。そして左近少将を下がらせ、二人きりになり話し始めた。
「遅くなってしまいました。申し訳ありません。結構審議が長引きまして・・・。」
「はあ・・・。」
「誰も反対したものなどはなかったのですが、東宮の処遇がなかなか決まらず、結局先の関白縁の嵯峨野の別荘に身を置かれることとなりました。そしてあなたの立太子の日程もひと月後と・・・。」
「兄上はいつごろ御所を出られる。」
「陰陽寮に占わせましたところ、明後日の朝が一番早いとのことで、帝も了解されました。」
少将はため息をついて言う。
「そう・・・。いつまで少将として出仕できるのだろうか・・・。できれば兄上について嵯峨野までお見送りしたいのだが・・・。」
「とりあえず、明日急遽親王宣旨が下ります。正式な立太子宣旨は半月後となりますので、それまでは少将としてのご身分でいいと思われます。」
「そうですか・・・。」
右大臣は少将に酒を勧めると、少し口をつけ、疲れと酔いからか、いつの間にか脇息にもたれかかって眠ってしまった。右大臣は少将の従者橘晃を呼び、内大臣宛に文を書いた。
『親王様は疲れからかこちらで眠ってしまわれたので、今晩はこちらでお預かりいたしますので、ご安心ください。』
「これを内大臣殿にお渡しするように・・・。お前も帰っていいよ。明日の朝早く迎えに来ればよい。決してお前が心配しているようなことはないから。」
「はい。かしこまりました。」
というと晃は右大臣家を出ようとすると、萩に声をかけられる。
「あなたは右近少将様の・・・・。」
驚いた様子で晃は振り返り、一礼をすると立ち去った。
(もしかして・・・客間のお客様は・・・・)
萩は急いで姫の対の屋に戻った。そして姫の耳元に屋敷内で晃に出会ったことを告げた。
「そう・・・ただの文のお使いかもしれないのだから、軽々しく言いふらさないように・・・。」
「でも姫様・・・。」
冷静そうに振舞う姫を見て、萩は立ち上がって姫に申し上げる。
「姫さま!これでよろしいのですか?もう少将様とお会いできないかもしれませんのよ!私この目で見てまいります。」
「萩!お父様に怒られてしまうわ!」
「姫様のためですもの!私が勝手にしたことですので姫様は怒られませんわ!」
というと萩はさっさと客間のほうに向かっていった。
 客間では慌しく後片付けをしていた。中をそっとのぞくと、客人は脇息にもたれかかって眠っている。萩はほかの女房に紛れ込むと、上着を掛け直すふりをしてそっと顔をのぞいた。
(この顔は・・・やはり少将様。衣の匂いからして間違いないわ!)
「そこのあなた!客人を寝所まで運ぶのを手伝って!」
と、ほかの女房に声を掛けられ、一瞬ビクッとしたが、何とか女三人で寝所まで運び、束帯を脱がせて横にさせた。そして衣をかぶせると、寝所を後にし、姫の元へ急いだ。萩は姫に近づき、耳元で報告する。
「ほかの女房に知らせると何ですので・・・・。お客人なのですけれど・・・やはり少将様でしたわ。右大臣様のお客様として参られたようで、不思議ですこと・・・。どうされます?」
「そう・・・宇治の君・・・わ、私には関係ないこと・・・・。」
「姫様!ほんとによろしいですの?」
姫は我慢できなくなったのか、萩の胸元で泣き出した。
「会いたい!最後に一度でいいから宇治の君に抱きしめられたい!未だにあの日のぬくもりや感覚が忘れられないの。あの方は心から暖かい方なの・・・。華奢であられるのだけれど、そう思えないような包容力があって・・・・。やはりあの方じゃなきゃ・・・。」
「姫様・・・。わかりましたわ・・・みなが寝静まった頃に忍び込みましょう。」
「ありがとう萩・・・。」
 夜が更けると、そっと対の屋を抜け出した姫と萩は、ゆっくりゆっくり客間に向かう。そして周りを伺いながら部屋の中に忍び込んだ。姫は一息ついて、寝所のほうにゆっくり進んでいった。
(これで宇治の君じゃなかったら・・・・)
寝所に入るとそっと几帳の影から覗き込んだ。宇治の君と思われる客人は相当熟睡しているのか、姫がすぐ近くにいるのに気づかない様子だった。
 一方右大臣の寝所には女房がそっとやってくる。
「殿、お休みでございますか?」
「うむ、いい何だ?」
「あの・・・・三の姫様が客間に・・・・。」
「わかった。そのままにおくといい。そのほうがこちらには好都合だから。」
「でも・・・あの一件のことがありますので・・・。」
「私は知らないふりをしておくから、お前達もそっとして置くように・・・いいな。」
「はい、かしこまりました。」
右大臣はにやけて思う。
(思ったとおりの展開になったぞ・・・。萩が客間に入っていったのを見てきっと姫の耳にはいるだろうと思っておった・・・。これで親王が姫と契って頂けたら、こちらも本望だ。今日の審議で入内が白紙になったからな・・・。これで安心だ・・・。)
そう思うと右大臣は眠りについた。
 客間では姫がそっと寝ている少将を覗き込み確認すると、横に座って少将を眺める。
「あの・・・姫様・・・・。」
「萩、外で誰かが来ないか見ていて頂戴。誰か来たら知らせてね。」
「はい・・・。」
萩が出て行くのを確認すると、姫は少将の右手をそっと手にとって姫の頬にあてた。
(ここには夢にまで見た宇治の君がいらっしゃる。なのに・・・。)
そう思うと一筋の涙が、少将の額に落ちる。
「うう・・・。」
姫ははっとして少将の手を放し後ろを向いた。少将は目を覚まし起き上がると、薄暗いことに気づきいう。
「今何時かな・・・つい寝入ってしまった。あの・・・女房殿、私の従者を呼んでいただけないでしょうか・・・。家の者が心配しているかもしれないので・・・。あの・・・」
(そうだったわ!私桔梗の衣を借りてきちゃったんだった!!!どうしよう。)
と姫は困った様子で、そっと少将のほうに顔を向ける。薄暗い上にまだ寝起きで意識が朦朧としているのか、姫であることなど気がついていない様子で、また横になる。
「あ、あの・・・少将様・・・私・・・。」
少将はふっと気がつき急に起き上がる。
「その声は姫?!綾姫ですか?!」
綾姫は恥ずかしそうにうなずくと、少将は、小袖姿の自分に気づき、すぐに単をまとった。そのあわてように姫はクスクスと微笑んだ。つられて少将も微笑んだ。
「そこじゃ寒いでしょ。こちらに・・・・。」
と、少将は恥ずかしそうに姫を誘う。
「はい!」
そういうと姫は少将の胸元に飛び込んできた。少将は姫を抱きしめると長い沈黙が・・・。じっと見つめる姫に少将は頬を赤らめる。
「私の顔に何かついていますか?きっと長い間吉野にいて、村の者と交流していたから鄙びてしまったかな・・・。それとも・・・。」
綾姫は微笑んで言う。
「夢にまで見た宇治の君がここにいらっしゃるのですもの・・・。次はもうないかもしれないので、今のうちに・・・。」
すると少将は急に真剣な顔つきになっていう。
「姫・・・明日から当分会えないかもしれません。明後日は兄・・・いえ東宮の静養に半月ほどお供しようと思いますので・・・。しかし、きっとあなたのことをお迎えに上がります。どのような形であっても、きっとあなたを私の妻に・・・・。それまで待っていただけますか?」
「はい!」
姫の返事を聞いて満面の笑みで微笑むと、姫にキスをした。姫は真っ赤になって、少将の胸にうずくまった。姫は少将の張り裂けそうな鼓動を聞いて、さらにうずくまる。
「ひ、姫。もう遅いし・・・その・・・。もう寝ないと・・・一緒に・・・どうかな。決して何も・・・その・・・」
少将は照れながら姫を離すと、小袖になって横になった。姫は少将のまじめでかわいらしい態度に微笑み袿を脱いで一緒に横になった。少将は姫の額にかかる前髪を手でかきあげ、その手を頬に当てると、再び姫にキスをした。姫は少将の小袖の胸元を、ぐっと握った。姫はこのまま少将を受け入れるつもりでいたが、今はそれ以上のことはないようなので、少将にうで枕をされながら姫は眠りについた。少将は姫の髪をなでながらじっと見つめている。
(きっと姫を妻にして幸せにするから・・・。今まで悲しませた分きっと・・・。)
そして自分も眠りについた。夜が明けそうな頃、萩が姫を起こしにくる。
「姫様、早くお部屋にお戻りにならないと・・・他の者に見つかってしまいますわ・・・。起きていらっしゃいますの?」
すると姫は目を覚まし、まだ眠っている少将の頬にキスをすると、袿を着てさらっと文を書き残してそっと部屋を出て行った。
『私達の春の訪れは遅いのだけれども、きっと来ますよ、暖かい春が。それまで私は厳しい冬でも耐え忍んで待っています。』
部屋に帰った姫は、何事もなかったように寝所で眠りについた。少将は、姫がいないことに気がつくと、枕元においてある姫からの文を朝日が差し込むところで、読み始める。とても短い文だけれど、少将にとっては大変大切な文となった。すると女房が、格子を上げにやってきたようで、大事な文を胸元にしまって、小袖のみの格好だったので、急いで単を羽織ると、脇息にもたれかかって、考え事をしていた。どんどん女房達は角だらいやら何やらを持ってきて朝の身の回りの世話をしてくれる。髪を結い直す者、朝餉を用意する者たちでばたばたしている。朝餉を済ますと、今度は代わる代わる束帯を着付けてくれる。なんと言う女房の多さか。圧倒されていると、右大臣が客間にやってきた。
「昨晩はたいそうお疲れの様子でしたね。よく眠れましたかな。」
「ついつい寝入ってしまいました・・・。お恥ずかしい限りで・・・。朝餉までご馳走になりありがとうございました。」
すると右大臣は扇を広げ、ニヤニヤしながら少将の耳元でこっそり話す。
「もううちの婿同然の方ですからね・・・これくらいは・・・。」
「へ?」
「いえいえなんでもありませんよ・・・(あの状況で何もないとしたら相当な馬鹿か生真面目なのか)」
ちょうどそこに内大臣家から迎えの網代が来たようで、車宿あたりが騒がしくなる。そして晃が客間の前の庭までやってきて右大臣に礼を言う。
「うちの主人が大変お世話になりました。内大臣様もたいそう心配されておりましたが、右大臣家のお泊りということで安心されており、文を預かってまいりました。」
というと、右大臣付の家来に文を渡し、右大臣が受け取った。
『そなたの思惑は見え透いておるわ!どうせ親王と三の姫を既成事実に持ち込もうというつもりだろ!まあ親王はまじめな方だからそのようなことはなさらないと思うがな。三の姫の入内が白紙になり、親王がうちの嫡男でなくなった以上、うちの四の姫もそのうち入内させてやるから覚えておけよ。今回は多めに見ていてやるが、親王の後見人は私であるから、勝手な真似はなさらぬように。最後に昨晩親王を泊めていただいたことだけはありがたく思うことにしよう』
(いつまでたっても嫌味なじじいめ。見ておれよ。やはりこの親王はまじめで人柄の良いかただ。やはり内大臣の息子ではなかったな・・・。)
右大臣のころころ変わる表情を見て、晃はだいたい書かれている内容がわかったようだが、そういうところに疎いのか、少将は気づいていない様子だった。そろそろ出仕の時間が近づいているので、少将は丁寧に感謝の挨拶をすると、内大臣家網代に乗り込み、参内した。
 一方姫の対の屋では、萩がほかの女房達を遠ざけて、昨晩のことを聞きに来る。
「姫昨晩はさぞかし楽しい夜だったでしょうね・・・あのその・・・少将様とは・・・・?」
姫は真っ赤な顔をして言う。
「乳母子の萩だからこそ言うのよ。いい?何もなかったのよね・・・でもちゃんと私のことを求婚してくださったの・・・。お優しい言葉で・・・。そんな真面目で優しいところがすきなの・・・。」
「普通ああ言う状況でしたら・・・てっきり・・・。」
「まあ、あの方はそのような方ではないのよ。きっと私のことを想って正式に決まるまではと思っていらっしゃるのだわ。」
そんなことを知ってか知らずか、ニコニコしながら出仕前に右大臣は姫の元にやってくる。
「昨晩は・・・さぞかし楽しい夜であったろうな姫・・・。満月の美しい夜であったのできっとどなたかのところでゆっくりと・・・。」
すると姫はカアッとなって右大臣に言う。
「お父様!もしかして・・・・。」
「昨日は急な客人で言っていなかったのだが、お前の春の入内が白紙になった。理由は言えないが、とにかく白紙になったことだし、昨晩はもちろん・・・・・。」
すると萩が大臣の耳元で申し上げる。
「それが・・・何も・・・。」
右大臣はよっぽど驚かれたのか、腰を抜かしたまま動けなくなった。
「あの状況で何もなかったと!!!せっかくの機会を作ってやったのに!」
「お父様!あの方はそのようなお人ではありませんわ!でもちゃんと正式に求婚をいただきました・・・。」
「そうか!それがあればまだマシかもしれん。お、そうだ今日はそれどころではなかったのだ。今日は大事な宣旨が大極殿で・・・。右大臣のこのわしが遅れるようであれば、また内大臣に先を越されてしまうわい!」
そういうとさっさと参内する。
(お父様があんなに嫌われていた少将様なのになんだか変ね・・・)
と不思議そうに思った姫だったが、昨晩こっそり眠る前、少将からいただいた扇を大切に胸元にしまいこみ、昨晩の思い出の品として、大事にすることにしたのです。
《作者からの一言》

なんで?せっかく右大臣がお膳立てした夜にもかかわらず、何もないとは・・・。やはり少将は相当馬鹿です。姫も覚悟の上で少将に飛び込んだのにね^^;まぁすごく疲れきっていたというのもあるのでしょうが・・・。この時代の男としてはだめな男かも?
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さくらと空 
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