4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

第16章 しばしの別れ
 親王が車に乗って東三条邸あたりにつくと、関白の指示通り、従者に声をかける。
「政人、晃を呼んできてくれないか。疲れているのか、気分が悪い。」
「は!」
そういうと先導している晃を呼んでくる。
「若君、お呼びでしょうか・・・。」
「晃、なんだか車に酔ってしまったようだ・・・どこか休めるところはないかな。」
「そうですね・・・この辺ではやはり右大臣邸が良いかと。今から聞いてきます。少々お待ちを!」
「うん頼むよ。」
すると馬を走らせて右大臣邸の門前までやってくる。
「頼もう!右大臣様にお伺いをいたしたい。」
すると門衛が言う。
「どちらの家のものか。」
「われは恐れ多くも今上帝の二の宮常康親王様の従者。親王様が途中車の中で体調を崩されたのだ。こちらで少し休ませていただきたいと思い伺いました。そうお伝え願いたい。」
「は!少々お待ちを!!」
と言うと慌てふためいて、聴きに入る。少しすると、慌てて帰ってくる。
「すぐにおいでくださいませとの右大臣様の直々のお許しが・・・。どうぞお入りください!」
「助かった、そう親王様にお伝えする。」
と言うと馬を走らせ、車の側まで来ると政人に伝える。
「ただいまより右大臣家にお世話になる。早く若君をお連れせよ!」
「わかった。」
と言うと車の横で親王に申し上げる。
「右大臣邸に今から参ります。」
「わかった。晃あとは頼むよ。」
「は!」
すると晃は先導し始めた。右大臣家につくと、邸内は大騒ぎになっていた。車を寝殿に着けると、親王は扇で顔を隠しながら車から降り、出迎えた右大臣に挨拶をする。右大臣は客間に案内をした。そして親王を上座に座らせ、話し出す。
「本日はお疲れのところ、よくいらっしゃいました。」
「いえ、関白様の心遣いのおかげと言うか・・・。右大臣様には本当に気を使わせて申し訳ありませんでした。今日しかこちらに伺えないと思い・・・。」
「本当に・・・関白殿はあなたのお気持ちを良く御存知であられる。偶然を装ってこちらに来られた方が、この立太子の前の親王様には都合がいいですから。」
「姫はこの私がこのような立場になったと言うことを知っているのでしょうか・・・。あれから半月何度か文を交わしましたが・・・。」
少し考えて右大臣は親王に言った。
「私の口からいっていませんが・・・・。先日も少将様はいつ嵯峨野からお帰りかと何度も聞いてきたことがありましたが・・・。」
「じゃあ知らないと思った方がいいのかもしれませんね・・・。今日を逃すともういつ会えるかもわかりません。関白様はできるだけ早く姫を入内できるように働きかけるとおっしゃっていただきました。」
「それはそれは・・・。」
「早くても夏までは会えないでしょう。明日からは鳥羽のおじい様縁の別邸にお世話になりますし・・・護衛が付くのでそう簡単に抜け出すことは・・・・。別邸の方にはうちの政人に体調不良のため今晩こちらにお世話になると先程文を持たせました。なんというか・・・、その・・・姫と今晩ゆっくりと、話できる時間をいただけますか?」
「どうぞどうぞ。このまま姫と契っていただいてもいいぐらいです。」
親王は真っ赤な顔をして、下を向くと
「それでは当分会えない姫がかわいそうで・・・姫ならきっときちんとした結婚を望むと思うのです・・・。」
と言うと右大臣は扇で口を押さえて笑う。
「ホントに親王は相変わらず真面目でおられる。親王になられて少しは大人になられたと思ったのですが・・・。先日もあのような機会があってもただ添い臥しただけと伺っております。私ならそのまま無理やりでも契っていたでしょうに・・・。まあいいでしょう。お好きになさいませ。あの姫を親王に差し上げたのも同然ですので。」
相変わらず笑いをこらえている右大臣を見て、親王はさらに真っ赤になる。それを見てさらに笑い出す右大臣である。
 日が傾きだすと、右大臣は親王に姫の対の屋の行きましょうと誘った。親王は少し照れ笑いをしながら、右大臣の後ろをついて姫の対の屋に向かう。姫の対の屋では急なお客様がおいでというので、部屋を片付けたり、姫を着替えさせたりとバタバタしていた。
「ねえ萩。どなたがおいでになるの?この衣装だって新調したばかりの物ばかりで・・・。」
「姫が大変驚かれる方だと大臣様から聞きましたわ。うふふふ。」
「萩は知っているのね!そういえばさっき寝殿が騒がしいといって出て行ったもの・・・。」
萩は右大臣から聞いているのか、親王になられたことも、立太子されることも、姫はいずれ入内されることも知っているが、姫には内密と言われているので、黙っている。それだけ萩は姫の反応が楽しみでしょうがないのだ。すると桔梗が走ってきた。
「姫様!今そこに大臣様が来られましたわ!お客様はなんと!宇治の君様ですわ!」
「え!そのような文は・・・。そういえばそろそろ嵯峨野からお帰りになられると思っていたわ。きっとそのまま来られたのかしら・・・。」
といって姫は真っ赤な顔をして自分の身なりを整えだした。
少し経ち、外が騒がしくなると、親王が入ってくる。すると親王は額を押さえながら顔をしかめている。右大臣つきの女房は、冷たい水でぬらされた布を急いで持ってくると親王に手渡した。それを額に押しあてて案内されたところに座った。
「常康様。どうかなさいましたの?」
すると親王は恥ずかしそうに照れ笑いをする。
「常康殿は先程つまずかれて柱に額をぶつけられたのだよ。」
「右大臣殿・・・皆に見られてしまって恥ずかしい限りです。」
姫は一息ついて右大臣に言う。
「だから先程たいそう騒がしかったのですね。お父様、私が常康様のお手当てを・・・。」
右大臣は扇を鳴らすと、
「そうだな!姫が手当てをするといい。あとで塗り薬を届ける。」
というと、一同を下がらせて自らも部屋を出て行った。姫は御簾からそっと出てくると、親王の側に寄ってきて、額を見る。
「まあ・・大きなこぶが・・・。おかわいそうに・・・痛い?」
「いえ、姫の顔を見たらふっと痛みは去っていきました。心配しないでください。」
「でも・・・。」
親王は微笑んで、姫を抱きしめる。
「お会いしたかった・・・。今までいろいろと忙しかったものですから、文もあまり出せないですみませんでした。」
「いいの、わかっています。」
すると姫は萩を呼んであるものを持ってこさせた。
「今日はゆっくりしていただけるの?大事な束帯を汚したりしわにしてはいけないと思って・・・。」
というと、萩が持ってきたものを広げた。
「狩衣一式ですか?」
「ええ。これに着替えていただけると、綾はうれしいです。」
姫は頬を赤く染めて恥ずかしそうに親王に狩衣を渡した。
「これは姫様が初めて縫われたのですよ。一生懸命一針一針・・・。」
「そう姫が・・・初めて縫われたのですか?ありがとう。早速着替えます。」
すると早速萩に着付けの手伝いをしてもらいながら、着替えた。なんとぴったりに仕上がっており、親王は感動し、親王は姫の手を取り、
「姫改めてありがとう。あ、姫の手、傷だらけ・・・・。」
姫は恥ずかしそうに手を引っ込めた。
「お母様に教えていただいて縫ったのよ・・・。いっぱい針で刺してしまって・・・。でも常康様の喜ぶ顔が見たくって。」
親王は一生懸命針で怪我をしながらこの狩衣を縫う姫の姿を思うと、とてもいとおしく思った。
「初めてにしては大変お上手ですよ。大切にします。また作っていただけますか?」
姫はうなずくと、恥ずかしそうに扇で顔を隠した。右大臣の女房が塗り薬を持ってくると、萩が受け取り姫に渡し、姫は親王の額に塗った。親王は姫の手のひらを、自分の頬にあてにっこりと笑う。つられたように姫も微笑み返す。いつの間にか部屋に二人きりとなっていた。いろいろ世間話をしているうちに、夜が更けていった。
「姫、本当に明日からは当分こうして会える機会はなくなります。しかし必ず暇を見つけて文も出します。必ずあなたをお迎えにあがります。それまでは右大臣様の言われるとおりにしてください。そうすればきっと・・・。実はこれから簡単に行動できる立場じゃなくなるのです。こうして出歩くことも。」
「え・・・?」
親王は自分の立場を言うべきか少し考えながら、大きく深呼吸をすると、姫を引き寄せ、抱きしめた。そして姫の頬に手をあてる。
「常康様、いつ・・・いつまで待てばいいの?」
「そうですね・・・以前再会した祭の頃かもしれません。」
すると姫はほろほろと泣き出した。親王は驚いて、姫の涙をぬぐうが、ぬぐってもぬぐってもあふれ出てくる涙に、ある決心をする。親王は姫を抱き上げ寝所に運び姫を座らせると自分も座って話し続ける。
「私もこれから会えないことに寂しいのです。」
「綾はこの半月、ずっと寂しいのを我慢していました。半月でも胸がつぶれそうなほど、寂しくておかしくなりそうなの・・・。なのに今度はもっともっと会えないなんて・・・。綾は耐えられません。」
「そうですね・・・。姫、決して私は心変わりなどいたしません。姫なしでは生きていけません。わかってください。」
そういうと親王は姫を横にし、キスをする。
「今日は・・・いいですか?」
姫は軽くうなずき親王を受け入れた。
 夜が明ける前に親王は目を覚まし、火照った姫の顔を見つめながら、自分の心の整理をしていた。今までの身分であれば、このまま一緒に連れて行こうと思うが、そういう訳にもいかない。姫も目を覚まし、うつむいたままでじっとしていた。親王は立ち上がると、自分が束帯の中に着ていた衣を姫に掛ける。
「姫、本来の結婚のようにあと二日あなたに通うことはできませんが、この衣を私だと思って、大切にしてください。姫はもう私の妻同然です。」
姫は黙っていたが、親王の衣を抱きしめて、涙を流した。親王は夜が明ける前にここを立とうと、束帯に着替え、姫にもらった狩衣をたたみしっかりと抱き、姫の対の屋を出て行く。
「晃、今から帰るよ。準備はできている?」
「はい。こちらの方に車を寄せましょう。」
「頼むよ。あと鳥羽の別邸についたら、文を姫と右大臣殿に届けて欲しい。」
今朝は良く冷えると思ったら初雪が降り出した。車が来るまで、親王は空を見上げ、雪がちらちらと降るさまを見て、物思いにふける。晃が用意した車に乗ると、親王は姫が縫ってくれた狩衣を顔に当てて昨晩の出来事を思い出した。
(姫は納得していただけたのであろうか・・・・。きちんと今の現状を姫に言えばよかったのかな・・・。)
そう思うと昨日のことは姫にとっても自分のとっても良かったものなのかとさらに物思いにふける親王であった。
 一方姫は女房が起こしに来るまで、放心状態で脇息にもたれかかっていた。そこに萩が親王からの文を差し出した。
『今こうして文を書きつつ、昨日のことはあなたのとってよかったのかと悩んでいます。もっとあなたを苦しませてしまうのではないでしょうか。本当に申し訳なく、心苦しい時をすごしています。』
すると姫は返事の文を書き出した。
『何を言っておられるの?あなたに捨てられるのではないかとすごく不安だった私を助けていただいたのはあなたではないかしら?あなたの想いを感じることができた私はとても幸せです。』
そう書くと、返事を待っていた晃に渡すように萩に渡した。この返事を見た親王は、安堵して、姫のために何か送ろうと晃に手配をさせた。



《作者からの一言》

ついに二人は結ばれました^^しかしですね・・・正式に結婚できなかったんですもの・・・。かわいそうかも?とりあえず常康は自分の愛用の単を綾姫に送り、自分と思って待っていて欲しいと言ったのです。もちろん、その衣には彼の香の香りがたっぷりとついているのです^^;

気が昂って躓いて柱に頭を打つほど姫に会うのがうれしかったのでしょうか???それとも疲れてる?いろいろな場面は想像にお任せします^^;
スポンサーサイト

Comment

 秘密にする

Track Back
TB*URL

Copyright © ねぇね2人と双子っちのママのお部屋。別館. all rights reserved.
さくらと空 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。