4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第17章 歌会にて
 親王立太子の儀礼も滞りなく終了し、年が明けた。御年19の東宮は、新年を迎え、様々な行事に出席するようになり、初めてのことが多く戸惑ったが、何とかこなしていた。以前少将のころはなんとも思わなかったことも東宮ということで気苦労も増えたのである。
 ある日、皇后からの文が届けられた。
『三日後に関白家の土御門邸で歌会をしますからあなたも出席なさいね。この歌会はあなたの妹宮幸子(ゆきこ)が弥生に降嫁する前の思い出にと私が主催します。』
幸子内親王は東宮よりも三つ年下の同腹の妹に当たる内親王で、弥生三日に関白の嫡男である参議殿に降嫁されることになっていて、その前の思い出作りに同年代の貴族の姫君を呼んで歌会をいたしましょうと言うのは表向きの話で、本当は東宮のお妃候補選定のひとつとして開催されるようである。それを知らないのは東宮と、御招待された宇治の姫君のみ。この歌会を考え出したのは、もちろん関白殿で、いろいろな殿上人が東宮妃候補にと根回ししてきたので、公平にという事(本当は公平ではないが、形だけは公平)で、このような縁談の歌会を開催するように決めて、皇后主催と言う形での歌会になった。同時期に宇治の姫君こと右大臣家の綾姫にも右大臣を通じて皇后から届けられた。姫はとても困惑したが、皇后から招かれたということでしょうがなく出席を了解した。
 歌会当日、様々な姫君が競うように関白邸に集まった。色とりどりの十二単を身にまとい、きれいに化粧をしている。その中には浮かない様子の綾姫も案内された場所に座っている。やはり姫君たちは家柄順に席順が決められており、まず上座から、右大臣家の綾子姫、内大臣家の四の姫冬子姫、中務卿宮家の和子姫、大納言家の響子姫、右近大将家の庸子姫など総勢十名近くの姫君が順番に座っている。やはり家柄からいっても、綾姫はいいようで、皇后たちがいる御簾の近くに座っている。
「皆様、間もなく皇后様をはじめ東宮様、内親王様が参られます。」
と、皇后つきの女官がいうと寝殿内は静まりかえった。
 歌会が始まると、お題が出されそれにしたがって即興で歌を作り、発表する。様々な姫君たちは東宮に気に入られようと一生懸命歌を詠んだ。綾姫はほかの姫とは違って、やはり浮かない様子で歌を考えているのを見て、東宮は心配しながらじっと綾姫を見つめた。
「まあかわいらしい姫君たちだこと・・・。微笑ましいわねえ・・・ねえ東宮。」
「ええまあ・・・。」
「お兄様、皆様お歌がうまいですわね。さすが家柄の良い方達ばかり。私、圧倒してしまうわ。」
「そうだね。」
すると皇后は、東宮の耳元で囁く様に言った。
「あの方ね。東宮の宇治の姫君って方は。まあなんとかわいらしい気品のある方でしょう。一番趣味の良い唐衣をお召しで・・・。」
「ええ。あれは私が選んで差し上げたものです。」
「あの姫なら姑としてうまくやっていけそうだわ。」
「まあお母様ったら。お兄様がお困りよ。ねえお兄様。」
顔を真っ赤にさせながらまだ綾姫をじっと見ている。
(体調でも良くないのかな。ずっと浮かない顔をして一向に歌を書かないなんて・・・。)
何とかできた歌もいつもの文に書いてあるような歌の出来ではない。
 歌会が終わり、続々と姫たちは満足そうに帰っていく中、綾姫はいまだ座って浮かない顔をしている。一緒についてきた萩も心配そうに声を掛ける。
「姫様。どうなさったのですか。あんなにお得意な歌を・・・。」
ひとつため息をつくと、御簾の中から声が聞こえた。
「綾姫、今日はどうなさったのですか。あれほど得意な歌を期待していたのに。御簾の中からひやひやしてしまいました。」
東宮はそういうと、御簾から出てきて綾姫の前に座る。綾姫はフッと我に返り、顔を上げる。萩は東宮に一礼をすると後ろに下がった。
「その唐衣、似合っていて良かった。気に入ってくれた?」
「え?どうしてここに常康様がいるの?」
萩はあせって言う。
「姫、東宮様ですよ!」
「いいよ萩、姫にはちゃんと説明してないのだからびっくりするのは当たり前だ。」
「え、どうして?」
「ちゃんと御簾の中から見ていましたよ。浮かない顔してどうしたのですか?まあ今回の歌会はなんか仕組まれているような気がするのだけどな・・・。どう見たっていろいろな姫君との顔合わせにしか思えなかったよ・・・。まああとでゆっくり話してあげるから、さあ元気を出して。久しぶりにあなたの笑顔を見たい。」
すると姫は急に顔を青ざめると、気を失った。
「萩、どこか部屋を貸していただけるか聞いてきてくれないか、あと薬師も!早く!」
「はい!」
萩は急いで聞きに走った。東宮は唐衣の帯を緩め、姫の顔をなでる。少し経つと、皇后が急いで寝殿に入ってくると、東宮に言う。
「東宮!早く私の部屋に移して!大事な姫様でしょ。早く!薬師はもうすぐ来ます!私から右大臣家に姫御倒れと知らせておきますからついてあげて!良いわね!」
「母上、はい!」
そういうと、姫を抱き上げ、皇后のいる部屋に運んだ。そして寝所に寝かすと、女房が持ってきたぬれた布を額に乗せた。
「萩、姫はいつからおかしかった?今日もずっと調子悪そうだった。」
「はい、年が明けてから気分がすぐれないと・・・よく臥せっておいででした。」
「それを知っていたらこのような歌会など・・・。」
急いで薬師が入ってくると、脈をはかったり、額を触ったりしたあと、萩にこっそりと何かを聞くと、御簾の外に出てきて微笑んで東宮に申し上げた。
「おめでとうございます。ご懐妊の兆候とお見受けいたしました。御予定は、秋口でしょうか・・・。今の時期は何かと不安定な時期ですので、ご安静に・・・。」
そういうと薬師は、深々と頭を下げると帰っていった。
「まあ!何ということでしょう!お相手はどの殿方でしょう。まあ一人ではできないものですし、ねえ東宮。」
東宮は、信じられない様子で、顔を扇で隠す。
「東宮になられてすぐにこの喜ばしい知らせ・・・。帝も私が入内すぐに懐妊した時は東宮みたいに大変驚かれていましたわ。この私に孫ができるのね。確かに東宮のお子でしょうね。」
「一度きりでしたけど・・・・何というか・・・・。」
「一度であっても出来る時は出来るのよ!でもまだ入内させていない姫が懐妊だなんて・・・・。帝と関白のお兄様に相談しないと・・・。とりあえず、この姫はこの私がお預かりしてよろしい?私は当分里帰りしているし・・・まあおめでたいことには違いないわ。」
すると女房が入ってくる。
「申し上げます。右大臣家の北の方様が右大臣様の名代で来られましたが・・・。」
「すぐにお連れして・・・。」
女房は頭を下げると、姫の母を連れてきた。
「まあ、静宮様!お久しぶりでございますわ。」
「まあ、皇后様・・・私の姫綾子が倒れたと聞き、飛んでまいりましたの。お久しゅうございます。何年ぶりかしら?」
「東宮、この静宮様は帝よりも年下であられますが、帝の叔母上様ですのよ。右大臣家に降嫁されたと聞きましたが、三の姫様のご生母でしたの?私が入内間もない頃よく御相談にのって頂きましたのよ。ところで、綾子姫様なのですけれど・・・。」
静宮様は不安そうな顔を半分扇で隠し、皇后の言葉を伺った。
「あのですわね、大変喜ばしい反面、少し難儀な問題がありますのよ。」
「皇后様、包み隠さずはっきりと。皇后様と私の仲ではありませんか・・・。」
「実はですね、ここにあられる東宮の御子をご懐妊されたようですの。元々東宮と姫は恋仲であられたので問題はないのですけれど、まだ姫は入内されていない状態。水面下では入内の話が進んでいたのですけれど、これでは入内をどうにかして急がせなければならないかもしれません。」
「あら、東宮様って・・・4年前宇治でであった若君様?お懐かしいございます。」
すると東宮は会釈をすると、少し照れながら姫が気になっているのか、そちらの方ばかり振り向かれる。
「うちの姫は一度入内の宣旨を受けておりますので、いつでも入内できるように出来ておりますが、何とかごまかさないといけない部分が出てきますわね。」
皇后と静宮様は日が暮れるまでごそごそと相談をしている。東宮は、姫の手をとりずっと看病をしていた。すると内裏から関白が帰ってきたようで、表が騒がしい様子だった。その騒がしさが、この皇后のいる部屋まで近づいてきた。
「皇后、何ですかしんみりして、おかしいですよこの雰囲気は。東宮様もまだ御所にお帰りにならないと大騒ぎでしたが・・・。」
「兄様!どうにか右大臣の三の姫を早く入内できないかしら!すぐにでもよ!」
関白は困り果てた表情で、答える。
「尚侍などなら早く宮中に入ることは出来ようが、東宮妃となると・・・最低半年、いや!3ヶ月はかかるかもしれませんよ。何を馬鹿なこと!」
すると皇后は扇を鳴らして言う。
「そうよ!とりあえず東宮の尚侍として宮中にお入れして、頃合を見て東宮女御として入内よ!さすがはお兄様!そのように根回ししてくださらないかしら。帝には私からも文を書いて知らせておきます。」
関白は不思議そうな顔をして言う。
「どうしてそんなに急がれるのですか?」
「そう言っていられない事態になってしまったの。実は姫君は東宮の御子をご懐妊されたのです。」
「え?ご懐妊ですと?そんな馬鹿な・・・いつ?もしかして・・・。」
「お兄様心当たりがおありですのね・・・。」
「ちょうど立太子の宣旨を受けられた日に右大臣家に東宮は行かれてお泊りに・・・。」
「そ、それですわ!」
「まさか東宮がそのような・・・。」
「東宮もれっきとした殿方ですよ。いくら堅物で真面目といわれる方であっても、ついということが!」
「本当に懐妊されているのですね。わかりました何とかしてみます。この件に関しては内密に事を運びますので、いいですね東宮。」
すると東宮は返事をしてまた黙り込む。3人は夜が更けるまで、話し合い、段取りを話し合った。決して右大臣にはいわないように、静宮にも釘をさす。そうでないとこの計画が漏れてしまうというのは確実であるからです。とりあえず、皇后が里帰りを終え、後宮に帰る時に綾姫も一緒に後宮に入り、尚侍の宣旨が下るまで待ち、ある程度日が経つと今度は東宮の御子をご懐妊として報告し、生まれた後に東宮妃になるという計画を立てた。これでうまくいくかはやってみないとわからないのだが、皇后はこの件について帝に文を書くと、すぐに返事が返ってくる。内容はそのようにせよとのご命令である。明日前触れもなく、勅使を右大臣家に出し、急遽尚侍に決まったからすぐに御所に入ると命を下し、明後日ごろに姫と静宮を連れて皇后が御所に行くという内容が、こと細かく帝の文に書かれていた。いずれにせよ内密にと言うのは一緒であった。
 朝方、姫は目を覚ました。東宮は一睡もせず姫の看病をしていたようで、少し疲れた様子で、ずっと横に座っていた。東宮は姫の目覚めに気がつくと静宮と皇后を呼んだ。すると、お二人とも、うれしそうな顔で御簾の中に入ってきた。姫はまだ気分がすぐれないようで、起き上がるのもやっとであったが、東宮に支えられて起き上がった。とりあえず東宮は姫に白湯を飲まし落ち着かせると、静宮が話し出した。
「綾姫、いいかしら。」
「お母様・・・私はどうしてここに?常康様?」
「綾姫、あなたはご懐妊されているのよ。誰がお相手か心当たりはありますわね?その件で皇后様よりお話があります。」
皇后は姫の側によると、手をとってお話になる。
「お相手が東宮と聞いてとても喜ばしいのですが、まだ姫様は入内どころか宣旨も下っておられません。一時宣旨があったとしても、先代の東宮の妃としてでしたからこの懐妊の事は一時伏せておかないと、東宮を始めあなたのお父様など様々な方の信用問題にかかわります。そこで、とりあえず本日東宮は御所に帰られますが、その後に御所の一室を賜り尚侍として宮中に上がっていただきます。そして頃合を見て、東宮の寵愛を受けて御懐妊として発表し、お子様がお誕生になられたら妃になられるよう、帝もご承諾の上のことになっております。良いですか、これはあなたのためでもあります。」
すると姫は東宮の顔を見上る。
「常康様。どうして常康様が東宮になられるの?常康様は内大臣家の・・・。」
「いろいろあってね・・・私は親王だったのです。また落ち着いたらゆっくりと話すよ。今はゆっくり安静に・・・その・・・お腹の僕と姫の子を大切にはぐくんで欲しい。何か食べたいものとかある?萩に持ってこさせるから。参内の準備も静宮様にお任せしたし、姫はゆっくり休むといい。ここの関白家は僕が元服までお世話になったお邸だし、関白殿もとてもお優しい方だから、安心して明日の参内までゆっくりしていたら良いよ。僕はこれから御所に帰らないと皆が心配しているし、姫をお迎えする準備も指示しないといけないから・・・。」
そういうと、東宮は姫を横にすると、御所に戻る準備をし、夜が明けると帰っていった。姫は自分のお腹に手をあてて涙ぐむ。うれしいのか、それとも不安でしょうがないかは定かではないが、姫は萩に看病されながら関白邸にお世話になった。朝早くいきなり勅使がやってきた右大臣家では、案の定大騒ぎで、明日の参内に向けて準備を急いだ。北の方の女房やら、姫君の女房やらがあっち行ったりこっち行ったりと、一日中ばたばたしている。御所に戻った東宮も、帝からの命で尚侍の出仕を形式上知らされ、尚侍用の部屋を片付けさせる。そして尚侍付きの女官や女房の選定やら、こちらもばたばたしている。夕方近くになって、帝がお越しになる。
「父上、お呼びくださればこちらから・・・。」
「いいのだよ。明日の急な尚侍の出仕で呼んでも来ないだろうと思ってね・・・。どうかな、準備は?」
「万端とはいえませんが、なんとか・・・。」
「ところで・・・。」
そういうと、帝は扇を鳴らし、東宮と二人きりにさせた。
「ところで昨日皇后から伺いましたよ。あなたらしくない・・・びっくりしてしまいました。しかし喜ばしいこと・・・。」
「はあ・・・。」
「ほんとにあなたの御子でいいのですね。」
「はい、もちろん。一度きりでしたが・・・。」
「まああの右大臣のことだからほかの公達を通わすということはないであろうし。早く孫の顔を見たい。楽しみにしているよ。姫のお体をちゃんとお守りするのですよ。」
「はい。静宮様もご一緒と聞きましたので大丈夫だと・・・。」
「おお、叔母上もご一緒なら大丈夫だ。私も叔母上に会えるのを楽しみにしているよ。」
そういうと帝は、内裏に戻っていかれた。
 東宮は緊張で寝ることが出来ず、朝を迎えた。



《作者からの一言》

現代でいう出来ちゃった結婚へまっしぐら・・・いいのでしょうか?既成事実ってやつですね^^;この時代はこういうのはあったかもしれませんが、入内前の姫が・・・ってのはないでしょうね^^;ホントにつわりは辛いです^^;

それよりも尚侍として参内に3日というのは異例です^^;というより不可能でしょうね^^;最低でも数ヶ月かかるのではないでしょうか?どうつじつまを合わせろって言うのか?生まれたら出来ちゃったがばれるのにね^^;
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