4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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朧月夜の恋~さくらの木の下で  (9)さくらと共に・・・【完結】

 無事に将直さんは日本に帰ってきてくれたの。とても苦労したみたい・・・。とても痩せてしまって、こっちに帰ってきてひと月くらいちょっと表情に生気がなかった。私は精一杯の愛で、将直さんを慰め、助けてあげたの。するといつもの明るくて優しくて爽やかな将直さんに戻ったの。将直さんは海外での生活のことを詳しく話さないけれど、きっといろいろ大変だったのかなって思った。そして将直さんは昇進して一等陸佐になったの。

朧月夜9
 そして博雅は防衛大学校に首席合格。はれて幹部自衛官への道を踏み出したの。防大は全寮制・・・。私は将直さんが非番の日、博雅を連れて、必要なものを買いに行ったり、いろいろ忙しい日々を過ごしたの。




 最近ちょっと体調が悪いのよね・・・。きっと風邪なんだわ。それとも更年期障害かしら・・・。もう私もいい歳だもの・・・。




 この日は博雅の入校式。私はとびっきりの着物を着てみんなで防大前で記念撮影。将直さんは防大の防衛学の教官としてこの春から派遣されたの。私たちも防大近くの官舎に引っ越してきた。博雅は入校式のあと私に笑顔で行って来ますと敬礼。これから近くに住むって言っても博雅は学校内の宿舎だし、週末にのみ私たちと会うことが出来るの。本当にここ数年で博雅は大人になってひとり立ちしていく。私は今まで博雅の子育ての苦労が一瞬でとんでいったような気がしたの。ホントにいい子に育ってくれた。親孝行のいい子に・・・。




 私は数日後、体調の悪さから病院に行ったの。すると先生は将直さんを呼んで何か話しているのよ。そして即入院。




「将直さん。どうして入院を?」


「ん?子宮筋腫だって・・・。手術しないといけないらしいから、即入院になったんだよ。綾子、いい休みをもらったと思ってゆっくりしたらいいよ・・・。」




なんか将直さんの態度がおかしいの。将直さんは嘘が苦手な人・・・。すぐ顔に出てしまうのよ。もう20年も一緒にいるのよ。それくらいわかる。




きっと何か重病なんだわ・・・。筋腫くらいで即入院だなんてありえない。




「将直さん、何か隠していない?はっきり言って・・・。嘘ついているんでしょ。もしかして私、癌???」




すると将直さんは重い口を開いたの。




「じゃあはっきり言うよ。綾子が言うように癌だったんだよ・・・。それも・・・末期の・・・。」


「え?」


「先生に余命1年といわれてしまった。でもこれは何もしなかったときのことだから・・・。治療すれば延ばすことが出来るって・・・。」


「でも死んじゃうのは確かなんでしょ。まだ私には小さな娘たちがいるのよ。」


「でもしょうがないんだ。全身に転移している可能性があるんだから・・・。だから今度手術して少しでも悪いものを採って、抗がん剤で治療を・・・。綾子、がんばろう・・・。少しでも子供たちのために長生きできるように・・・。」




私は決意したの。まだ小さな娘たち、そして博雅のためにも少しでも長く生きることができるように・・・。




もちろん子供たちには私の病名は言わなかった。私は副作用に襲われながら一生懸命生きる努力をしたの。いい新薬が出来たと聞くといろいろ試したりもした。神戸から将直さんのお母様も私の看病のために出てきてくださって・・・。みんな一丸となって私が少しでも長生きできるように、がんばったの。




 外にはさくらが見える。綺麗なさくら・・・。まるで将直さんと出会った頃と同じような綺麗なさくら・・・。もうこのころの私は頭を動かすことも精一杯で、綺麗なさくらを眺めるのも大変だった。毎日のようにお見舞いに来てくれる娘たち。週末になるとやってきてくれる博雅。そして出来る限りそばにいてくれる将直さんとお母様。ホントに感謝しなきゃ。




 ひにひに弱くなっていくのが自分でもわかる。もうそろそろだめなのかな・・・。このさくらが全部散れば私はきっとこの世からいなくなる。そう私は感じたの。頑固だったけど私を愛してくれた仙台の父、そして私のよい理解者だった母。いつも優しかったお兄ちゃん。そして心から私の幸せを願ってくれていた弐條常康さん・・・。会いたいよ・・・。




 私はふと目が覚めた。外はなんともいえない朧月夜。そして春の嵐。このままではさくらが散ってしまう。側には将直さんそして子供たち。私は目を閉じた。生まれて物心がついたころから今までの思い出が走馬灯のように浮かんでは消え浮かんでは消える・・・。そして遠くから聞こえる私を呼ぶ声・・・・。私はすべての苦痛から解放され、気がつくと仙台の実家にいた。いつもどおり頑固な父と父を支える母。私は父と母の体を触ろうとしたんだけど、触れない・・・。そして次はお兄ちゃんの部屋?幸せそうに奥さんと微笑んでいる。そして最後は・・・遅くまで官邸で仕事をしている常康さん・・・。常康さんはふと私のほうを見つめて言う・・・。




「綾子さん?そんなはずは・・・。官邸にいるわけないよな・・・。」




私はそっと彼の机にさくらの花びらを少し置いておいたの。私は会いたい人みんなに会えた。




きっとこれは神様の仕業?ご褒美なのかな・・・。




 私は朧月夜、さくらの花びらと共に永遠の旅に旅立った。ありがとう将直さん。ありがとう子供たち、そして私を愛してくれた人たち・・・。きっと私は生まれ変わって戻ってくる。そう私の大好きなさくらと共に・・・・。




(完)

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さくらと空 
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