4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第22章 ある姫君
 東宮には、幼馴染といわれる姫君がいる。どうして幼馴染なのかというと東宮のおばあさまとその姫のおばあさまが元々幼馴染で親友であったから、よく幼い東宮と、その姫はおばあさまに連れられてお互いの邸を行き来していた。おばあさま同士もお互いの孫を結ばせたいと思っていた。そうとは知らずか、東宮は覚えていないようだが二人はある約束をしていた。
 15年ほど前のある夏の日、いつものようにおばあさまに連れられて、姫のお邸に遊びに来た。すると幼い姫は泣いていた。
「和姫どうしたの?」
「大好きなお母様がこの前死んじゃったの・・・和は寂しいの・・・夜もお母様がいないと寝られないの・・・・。」
「和姫、僕がいるよ。僕が一緒に遊んであげるから寂しくないでしょ?」
それでもまだ泣いているので、常康は姫の顔を覗き込むと、姫は常康に言った。
「常康君、ずっと和の側にいてくれる?大きくなっても、いてくれる?」
「うんいいよ!僕和姫大好きだもん。和姫がいると楽しいもん。」
「必ずよ。絶対和を北の方にしてね。和は常康君が大好きだもん。」
常康は北の方という意味を知らないで返事をする。このやり取りを見ていたおばあさま方も小さい子供達の微笑ましいやり取りとして本気にはしていなかった。二人が成長しても本気にしていたのは姫君の方。成人するまではよく文のやり取りをしていたが、常康が元服し、出仕してからというもの、ぱったり会うことも文もなくなっている。
 出仕したての頃からもちろん少将として斎宮代の護衛で葵祭に参加している少将を一目見ようと、和姫は毎年のように祭り見物に来ている。そして少将の姿を見てこの人が自分の将来のお相手になるのだと感じながらの見物する。年頃になって様々な縁談が来ると右近少将ではないと結婚しないと、父の中務卿宮にいって断り続けている。もちろん常康の初恋の姫は右大臣家の綾姫であることは知らない。常康が東宮になった今でも、姫の父君の中務卿宮はいまだ東宮であり妃がいてお子様も御出来になると言えずじまいである。東宮が少将の身分であったのならば、姫と対面させて納得させるつもりであるが、そうもいかないと悩んでしまう。
(どうすればうちの和姫は納得してくれるのだろうか・・・。あれほど常康様の北の方ではないと嫌だ、出家するとまで・・・・。東宮の側室としてならば入内させてやれる身分でもない。当代一、二を誇る美人で聡明な姫と言われているのだから・・・。19になってしまった姫に対しての縁談がますます減ってきた・・・どうにかしなければ・・・。)
そう思うと夜も寝られない。
 東宮は右大臣家に女御を残し、御所に戻ってきてひと月。すると、中務卿宮がどうしてもお会いしてお話がしたいとやってきたみたいである。東宮は、では会いましょうと言う事で、部屋に通す。
「東宮様、こうしてゆっくりとお話しするのは初めてですね・・・・。」
「そうですね、幼少の頃はよくお世話になりました。今日は何か?」
中務卿宮は少し黙っていたが、意を決した様子で言い始める。
「覚えておられますか?うちの一人娘和子のこと・・・。」
「ええ、よく幼い頃は遊びましたね。とてもお美しく成長されたと噂で聞いております。」
「それが・・・・その姫の入内を承諾していただきたいのです。和子は常康様ではないと結婚しない、昔約束したのだと言い張って・・・・。東宮が女御様以外の姫を入内させることにいい顔をなされていないのは知っていますが・・・。」
「約束?覚えてはいませんが・・・。そうですか・・・。」
「一度姫に会っていただけないでしょうか?無理は承知の上です。決して他のものに口外はいたしません。」
「わかりました、何とか理由をつけてそちらにお邪魔いたしましょう。そういえば、おばあ様の遺言で、遺品を姫にと書いてありました。それを名目に行って話してみましょう。」
中務卿宮はうれしそうに退出していく。元々出世欲もほとんどなく入内に関してはあまり乗り気ではない方なので、安心なのは安心なのですが、何を約束したのかわからないのが気になって承諾してしまったのである。早速、東宮は和姫の文を書く。
『お久しぶりです。何かと公務などで、おばあさまの遺品をあなたにお渡しするようにとのおばあさまの遺言を実行できずにいました。三回忌も終わり、そろそろお渡ししないといけないと思いますので、良き日を選んで私が直接おばあさまの遺品をお届けにあがろうと思っております。常康』
晃を呼び、この文を中務卿宮に渡させる。すると中務卿宮は丁寧に挨拶をして、お邸に戻られた。晃が戻ってくると今度は、関白邸に行って東宮のおばあさまの遺品である鏡を持ってくるように命令する。また陰陽寮に連絡して、良き日を占ってもらった。
『東宮様。明後日が外出なさる方角の良き日となります。これを逃すと、半月以上先となりますので、ご報告いたします。』
という占い結果を受取ると、早速中務卿宮の邸に日程報告の使いを出した。
 当日、車に乗り込み中務卿宮家邸に着くと、まず中務卿が出迎えに来る。東宮はドキドキしながら、寝殿の中に入る。もちろんこの日の訪問は非公式のことではあるが、右大臣邸にいる女御の耳にも入っている。そしてこの訪問終了後、女御のもとにお見舞いに行くことしていた。
 東宮は案内されるまま上座に座ると、中務卿宮は姫が来るまで話し相手をしていた。なかなか来ない姫に中務卿宮は苛立ち、姫付の女房を呼んだ。
「姫はどうした。お客人がたいそうお待ちだ。」
「はいそれが・・・・ああではないこうではないと衣装に時間を・・・間もなくこちらに・・・。」
東宮は少し微笑んで言う。
「相変わらずの姫ですね。小さい頃から衣装にはうるさい姫で・・・。気に入るまで私は庭に待たされたことがありましたよ。」
「大変申し訳ありません・・・昨日までに用意しろといったのですが・・・。」
すると几帳の後ろで気配がすると、女房の一人は姫が来ましたと告げる。姫は初恋の君の東宮(まだ東宮に就いていることは知らない)が目の前にいるのを確かめると、うれしさのあまり顔を真っ赤にして扇で顔を隠しながら几帳の後ろに座った。姫はそっと几帳をめくって、布袴姿の東宮に見とれた。
「本日はわざわざ和子のために来ていただき、和はとてもうれしいです。」
東宮は少し微笑んで、言う。
「本日はおばあさまの遺品の唐渡りの鏡を持参して参りました。前々から行かないといけないと思っていたのですが、いろいろ公務がありまして、おばあさまの三回忌を過ぎてしまいました・・・。讃岐、姫に例のものを渡して。」
そういうと、東宮付の女房の讃岐が朱塗りの箱に入れられた鏡を箱ごと姫に渡した。
「まあこれが常康様のおばあさまがいつも言われていた鏡ね。おばあさまが降嫁される時におばあさまのお母様にいただいたという鏡・・・。おうちに遊びに行ったときにいずれくださるってお約束だったのです。成人して、常康様のお嫁さんになったらくださるって・・・・。」
するとあわてて父君の中務卿宮は姫に進言する。
「何という約束をしたのですか!東宮いえ常康様はもう妃がおられる上に御子様ももうお出来になるのだ!」
「え?うそよ・・・どうして東宮様なの?常康様、約束をお忘れですか?四つの頃、母を亡くした私と・・・。私を北の方にしてずっと一緒にいてくださるって!」
「私が四つの頃?よく覚えていませんが・・・。そういえば・・・そのような・・・。」
姫はショックを受けてしまったのか、泣き続ける。父宮はなだめつつも現実を姫に話す。
「よく聞くのだよ、姫。こちらは東宮様。もちろんお前の幼馴染の常康様であるが、理由があり東宮として昨年末になられたのだ。東宮が変わったのは知っているね。年始めの皇后主催の歌会にも来られていたのだよ。そして女御であられる右大臣家の姫を見初められて、今その女御様は御懐妊中だ。もうすぐお生まれになる。これは本当の話なのだよ、姫。今日、形見分けの件は表向きで、姫に真実を知ってもらって東宮様との縁談をあきらめてもらおうと思ったのだ。お願いだ!これ以上この父にわがままを言わないでおくれ!もう正妻にはなれないのだから。」
そういうと涙を流されながら姫に土下座をする。姫はまだ納得できない様子で泣き続ける。今光景を見て東宮は一言姫に言う。
「和姫、あなたの初恋は私かもしれませんが、多分当時の私は幼馴染の友人としてあなたのことが好きだったのかもしれません。私の初恋の姫である女御は元服前に宇治で出会った姫でやっと結ばれたのです。今のところ、女御以外は入内させるつもりはありません。申し訳ないのですが・・・。」
すると姫は几帳の陰から飛び出してきて、東宮に抱きついた。東宮は顔を真っ赤にしながら姫を引き離す。姫の顔は想像以上に美しく、少し心が揺らぎそうになったが心を鬼にして姫の顔を見ながら言う。
「あなたが今の状況でも望まれるのであれば、入内されてもかまいません。しかしながら、女御以外は愛せませんので、あなたが入内されても飾り物になってしまわれます。姫を不幸にさせたくないのです。ですからあきらめて他の方と幸せになった方がよろしいかと思うのです。わかってくださいますか?」
姫はムッとした顔で泣きながら、
「常康様のうそつき!ずっと一緒にいてくれるっておっしゃっていたから、今までお迎えに来てくださるのを待っていたのです。お飾りでも構いません!常康様のお側にいたいのです!正室はだめでも・・・私も常康様以外は好きになれません!お父様!いいでしょ。最後の和子のわがまま聞いてください。常康様じゃないと嫌!」
東宮は何もいえないまま、ずっと座っていた。姫は女房に支えられ、泣きながら寝殿をあとにした。中務卿宮も申し訳なさそうに姫の後姿を見つめていた。中務卿宮は土下座をしながら東宮に申し上げた。
「私も一人娘の和子がかわいくてならないのです。お願いします。姫の願いを聞き入れていただけないでしょうか。」
「わかりました、前向きに考えて見ます。女御とも相談して・・・。」
さらに中務卿宮は土下座をして動かなかった。
「すみません、もう帰ります。これから女御の見舞いに行かないといけないので。これで・・・。またこの件は帝にも相談しないといけません。きっと入内が決まると他の人たちも騒がしくなるのでしょうね・・・。」
そういうと東宮は中務卿宮家邸を後にして、東三条邸にいる女御のもとに向かった。このことを女御に相談するべきか否か、車の中で相当悩む。女御はどう思うのだろうか?幼い頃とはいえ、なんともしてはならない約束をしてしまった自分を東宮は責めるのでした。



《作者からの一言》

実は幼馴染の姫宮がいたのです^^;それも変な約束までしてしまった^^;

中務卿宮家の子供はこの和姫のみ。実は下に弟宮がいたのですが、生まれてすぐに亡くなりました。そして母君も産後の肥立ちが悪く亡くなったのです。この和姫、この先もいろいろ出てきます。気が強い振りをして実はとても繊細で雅を好む姫君なのです。本当に箱入り娘で育った姫なのです^^;ちょっとわがままなところもありますが・・・。
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