4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第28章 若宮が去る日
 弥生に入り、東宮の喪が明けると、今まで滞っていた行事が一斉に行われた。いろいろ忙しい中、東宮は残り少ない若宮との日々を楽しんでいる。若宮は成長が早く、ちょこちょこと東宮のあとをはいはいで追いかけるので、東宮はたいそうかわいらしく思い時間を見つけては若宮の相手をする。度々帝の御前にも連れて行って、微笑ましい光景が殿上人たちを和ませた。帝も若宮がこのまま御所に留まって欲しいなどとお思いになるが、母方の実家で育つのが慣例のためにお諦めになる。そして明日、右大臣とともに東三条邸に戻っていくのである。
今晩は、若宮のために帝主催の宴が清涼殿にて催される。殿上人はもちろん、宮家、後宮など高貴な方々がおいでになられた。帝の同じ御簾の中には皇后を始め後宮の女御の方々、東宮、東宮女御綾子、若宮、若宮の乳母そして東宮女御和子が同席される。若宮はたくさんの方々に驚いて始めは泣いていたが、東宮が膝にのせてあやすと、機嫌がよくなった。周りの方々も、かわいらしい若宮の表情を見てお笑いになられる。東宮女御綾子と桐壺女御は久しぶりの対面に喜び、仲良く話される。
「若宮様はたいそう東宮がお好きなようですね、綾姫。うらやましいわ・・・私も姫でもいいから授かりたかったわ・・・。」
「おねえ様ったら・・・・。明日若宮とお別れなのです・・・。東宮様もホントはお寂しいのでしょう。今朝から若宮をお放しになられないのです・・・。若宮もお慣れになったようで・・・・。明日から私も東宮もいない右大臣家でお育ちになるなんて・・・・。」
「しょうがないわ、慣例なのですから・・・。そうやって東宮様もお育ちになったのですわ・・・。でもお父様が度々一緒に参内なさってくださるそうですし、またいろいろ行事がありますわ。その度にお会いになれますわ・・・。」
「そうですが・・・。」
そういうと若宮の方を悲しそうな眼で見る。桐壺女御は東宮女御綾子を慰めながら、自分も御子が欲しいと思われる。
 若宮が眠ってしまったので、若宮は乳母に連れられて、東宮女御綾子と共に御所に戻っていった。それを見て東宮も下がろうとしたが、帝がまだいらっしゃるので、お開きになるまで残っていた。
次の朝、東宮は公務を休んで右大臣が迎えに来るまで若宮と一緒に過ごす。東宮女御綾子も当分会えない悲しみを吹き飛ばすように精一杯愛情を与えた。
夕方になって右大臣が若宮を迎えに来る。
「右大臣殿、この若宮のこと頼みますよ。大事な親王です。何事も慎重に・・・よろしくお願いします。養育係として、但馬を就けることにいたしました。但馬がいればきっと何事にも即対処するでしょう。」
「お父様、雅孝親王のことよろしくお願いします。」
「わかりました。責任を持ってお預かりいたします。それでは失礼いたします。」
そういうと、乳母に合図をすると、若宮と共に東宮御所を出て行った。東宮女御綾子は悲しみのあまり、泣き崩れた。その東宮女御を東宮は抱きしめる。すると東宮女御綾子は悲しそうに部屋を後にする。御所は若宮がいなくなったことで、明かりが消えたように静かになった。
「橘、今晩は和姫ではなく、綾姫の側にいてやりたいのだが、だめかな・・・。」
「東宮様、和姫様との婚儀もお済ではなく、本日より三日を逃すと、次はいつになることか・・・・。綾子様には誠に申し訳ありませんが、仕方がないことでございます。」
「そうか・・・。綾姫の前を通るとお互い心苦しい・・・。どうにかならないものか・・・。」
「それでしたら、女御様をお召しになさいませ。それでしたらいかがなものかと・・・。」
「わかった。橘、頼むよ・・・。」
そういうと橘は数人の女房を引き連れて、女御の部屋に向かう。女御の部屋では、今晩のお迎えの準備に忙しそうにしているところに橘が現れ、東宮から女御の教育係として就けられた女御付の女房が対応をする。
「橘殿、何かございましたか?」
「本日はこちらには東宮は参られず、女御御召という形になりました。綾子様の部屋の前を通るのが心苦しいとの仰せで。ですから決められた刻限に私がお迎えにあがりますので、それまでにお召しの準備をされますよう、女御様にお伝えください。」
そうして女房に耳打ちする。
「本日東宮様も綾子様も若宮のことでかなり意気消沈されておりますのであまり波風をお立てにならないよう、女御様、女房などにご指導ください、わかりましたね播磨殿。」
「心得ております。」
「よろしく頼みましたよ。」
そういうと橘は東宮の元に戻っていった。播磨は女御の御簾の前に座り、いろいろ注意点などを申し上げる。女御はうなずくと、身の回りの世話をする女房達に指示をする。
刻限が近づくと、橘がやってきて、女御のご機嫌伺いをする。準備が整ったとの播磨の報告で、女御は部屋を出て東宮の部屋に向かう。途中東宮女御綾子の部屋の前を通ると、東宮女御綾子であろうか、かすかに泣き声が聞こえる。橘は気になって、播磨に先導を変わると部屋に入って東宮女御綾子を慰める。そして東宮から預かっていた文を渡し、東宮女御綾子が読むと少し落ち着いた様子で、橘にお礼を言う。橘は安心して、女御御召の列に戻っていく。
東宮も意気消沈し、脇息にもたれ掛かって橘が用意したお酒を飲みながらいつも若宮が遊んでいた辺りを眺め、ため息をつく。眼を閉じると、若宮のかわいらしい声や姿がよみがえってくる。東宮は部屋の周りが騒がしくなっても気づかない様子で、お酒をあおる。
「橘はいるか、酒がなくなった。持ってまいれ。」
周りの女房達は東宮の変わり様に驚きつつも、言われたとおりにお酒を運んでくる。ちょうどその頃、橘が部屋に入ってきて東宮に申し上げる。
「まあ!東宮様。飲まれすぎですわ。誰か、東宮様にお白湯をお持ちしなさい。東宮様、和子様の御召ですよ。」
東宮は橘の顔をにらみつけるという。
「和姫か・・・。まあいい。」
橘は他のものから白湯を受取ると、東宮に差し上げる。
「東宮様これを飲まれて正気になりあそばせ!お酒に溺れられてはいけません。さ、ご用意を。」
「そうだね・・・すまなかった橘。少し取り乱してしまったよ。和姫をこちらに・・・。」
橘は廊下で待っている女御を案内し、播磨と共に女御が入ってくる。そして東宮の前に座り頭を下げると、他のものは下がっていった。
「少し外で待たせてしまったようですね。見苦しいところを見せてしまった。若宮がいなくなった寂しさからかつい酒をあおってしまって・・・。昔から橘は躾に関しては相当厳しかった。大人になってもしかられるとは・・・。情けないな・・・。」
すこしはにかみながら微笑まれた東宮を見て、女御は微笑む。東宮はまだ酔いがさめていないようで、赤い顔をして脇息にもたれかかるとため息をつき、東宮は女御を見つめる。
「和姫、今まで辛くあたってきて悪かったね・・・。きちんと綾姫との身分差を和姫はじめ、和姫の女房達にもわかって欲しかったし・・・。わかっていただかないと争いごとが耐えないのも嫌なもので・・・。はは・・・。」
そういうと、立ち上がって女御の手を取ると、御帳台の中に招き入れる。そして東宮は女御を抱きしめると女御の顔をじっと見つめ女御の頬に手をやり、キスをする。
「酒臭いでしょ・・・。和姫、私のこと嫌いになってしまわれたのかな・・・。」
女御は顔を赤くして照れながら、首を横に振る。東宮は装束の帯を解き、酔った勢いで、女御との一夜を過ごした。
 朝方東宮が眼を覚ますと、東宮の胸の中で女御は静かに眠っていた。少し経って、女御は東宮が起きているのに気がつくと、自分の乱れた小袖を調え、恥ずかしそうに下を向く。そういう姿を見て、東宮は和姫をなんとも愛らしい女御だと思った。東宮は起き上がると、女御に単をかぶせ、自分も小袖の上に単を羽織り、脇息にもたれて女御の方を見つめる。女御は恥ずかしそうに、頭から単をかぶる。東宮は立ち上がって、御簾の外に出て、紙を取り出し、さらさらっと歌を書くと、御簾の中にいる女御にそっと渡した。
「和姫、こうして私達は夫婦になったわけだけれど、入内前に言った気持ちは変わっていないから、わかってくれないだろうか・・・。あくまでもあなたは形だけの女御・・・。これから悲しい思いを多々されると思いますが、我慢してください。あなたがそれでも言いとおっしゃったから・・・。さあ部屋にお戻りなさい。綾姫の部屋のものたちが気づかないうちに・・・。」
東宮たちが起きたのがわかったのか、橘や播磨がそっと扉を開け、女御のもとに行くと、さっと唐衣を着付けたり髪を整えたりして、準備を整える。
「和姫、部屋に戻ったらゆっくり眠ったらいい。今日は誰も起こしに来ないようにしておくからね・・・。」
「東宮様・・・。」
「何?」
「東宮様って本当はお優しいのですね・・・。」
女御はそういうと、東宮の部屋を下がっていった。東宮は女御を見送ると、再び寝所に入り込んで横になる。
(昨晩のことはよく覚えてないのだけどな・・・それよりも頭が痛い・・・。)
起きた時の現状を見て昨晩の自分の行動は想像出来たが、まあしょうがないことと思って眠りについた。



《作者からの一言》

若宮が御所を去って悲しい思いをする東宮と綾子姫。生まれた親王が母親の実家で養育されるというのが慣例かどうか、資料がないためよくわかりませんが、私の文では他所に預けられて養育されている設定にしています。そして皇族の婚儀も男性の部屋に行くのか、女性の部屋に行くのかはっきりわかりませんでした^^;たぶん皇族は嫁入り婚なので、男性のところに行くのでしょうか???一般貴族は男性が女性の元に通う通い婚なのに・・・。ほんとにあやふや・・・。
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