4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第29章 節会
 清清しい春が過ぎ、青々と茂る草花が眩しい頃、東宮は関白を呼んで話しをする。関白は春宮傅を兼任しており、いろいろ漢学やら政治に関しての指導の傍ら、相談にものっている。

「伯父上、お願いがあるのです。まもなく端午の節会があります。今年は若宮が初節句ですので、私も参加したく思いまして・・・・。」
「何をですか?もしや・・・。」
「競射馬術の催しです。久しぶりに出てみたいと思いまして・・・。」
「何と・・・・そのような・・・・いくら当代一の腕をお持ちとはいえ、東宮の身分で・・・。」
「わかっています。少将であった三年間は毎年帝にお褒めを頂きました。今年は若宮のお祝いも兼ねておりますので、ぜひ。もちろん驚かせたいので帝には内密に・・・。」

関白は少し考えて、答えを出す。

「わかりました。近衛府の大将殿や四衛府の督に根回ししておきましょう・・・ホントに私は東宮に弱いですな。」
そういうとどのように潜り込もうか、二人で話し込む。すると、関白は晃を呼んでさっと書いた文を渡すと耳打ちする。晃はどこかに出かけていき一時すると、政人と晃で馬を一頭連れてきた。
「この馬は・・・もしかして・・・。」
「そうです、東宮が少将の頃より可愛がられていた駿馬でございます。祭りの時も、節会の時も御使用になられました馬でございます。今まで関白家が譲り受け、大事に世話をしてまいりました。どうぞこちらをお使いください。」

以前は葦毛のせいか、黒がかった灰色をしていたが、今は色が変わり白に近い灰色になっていて姿かたちもよく、足は速く飛ぶように走り、大変利口な駿馬である。以前の祭りの際、この駿馬から落馬したきり、この駿馬には乗っていなかった。東宮は庭に下り、その駿馬の駆け寄ると、撫でて背に乗る。さすがに利口な馬なのか、東宮が乗っても無駄な動きはせずに、指示を待っている。指示を与えると今度はきちんと手綱の指示通りに動き出した。やはり乗っていても気持ちがいいようで、颯爽と庭を走り回られる。女房達は始め心配そうに眺めていたが、東宮の手綱捌きに皆感嘆する。関白もこれなら大丈夫だと確信し、東宮の希望をお受けすることにした。早速その日のうちに、大将や督に根回しをすると皆驚かれたが、当代一の腕を久しぶりに拝見したいと、了解された。もちろん当日までは帝などには内緒のことである。

 当日帝を始めたくさんの殿上人や宮家の者達が武徳殿に端午の節会のために集まった。その中には若宮も初節句ということで、参加している。久しぶりに参内した若宮を帝はたいそう喜ばれた様子で、膝の上に座らせて、節会の催しが始まるのを待った。その隙に東宮は抜け出し、昔少将の頃に着ていた武官の束帯に着替えて、準備をする。そしてこっそり参加者に紛れようとしたが、東宮女御綾子の兄上の左近中将やら、昔の同僚達に見つかってしまう。

「東宮様、なぜこのような格好で・・・。」

と左近中将たちが言う。すると東宮は微笑んでいう。

「別にいいではないか?若宮の初節句であるし、久しぶりに出たくなってしまったものだから。正々堂々とお願いしますよ。」
「東宮様の腕にはかないません。少将であられた時は毎年帝にお褒め頂くほどであられたのですから・・・私達と対等には・・・。」

東宮は微笑まれて、葦毛の騎馬に乗ると順番が来るのを待つ。
最後東宮の順番が回ってくると、帝に向かって会釈し、技を披露する。帝たちはたいそう驚かれて、

「あれは東宮ではないか・・・なぜあのような・・・・。」

といい、東宮の技をご覧になり腕がまったく落ちていないことに感嘆される。後宮の方々や、東宮女御たちも突然の東宮の参加に驚かれたが、昔と変わらない姿に東宮女御たちは喜んだ。

「おお、今年は何とよい趣向か。皆の者も腕を上げられたが、東宮、そなたの腕にはやはり感動を覚える。今年の催しはとても満足に値する。褒美として皆の者に節会の宴を与える。ゆっくり楽しむがよい。」

そういうと、帝は催しを退出される。東宮も騎馬を降り晃に渡すと、若宮たちと共に、東宮御所に戻って行って今度は若宮のための私的な宴を御所で行った。

 この宴は、東宮主催で、帝や後宮の方々、そして関白家、右大臣家、中務卿宮家など、親族の方々だけの身内の宴である。東宮は、催しの束帯のまま帰ってきたので、着替えようとしたが、帝や皇后など皆そのままのほうが面白くてよいと、着替えずに宴を始めることとなった。若宮はもう伝い歩きが出来るようで、乳母に両手を引かれて少しずつ歩いてこられる。ますます可愛くなられ、東宮も若宮を呼び寄せてみるが若宮は人見知りが始まったのか、乳母の後ろに隠れて出てこなかった。東宮女御綾子は若宮を抱き上げて、東宮の前に連れて行き、東宮が手を差しのべおいでというと、少し考えながら東宮のもとに手を伸ばした。

「やっと父上様とわかられましたのね。本当にお久しぶりですもの・・・。」

と東宮女御綾子がいうと、東宮は若宮を抱き上げると頭を撫でて頬と頬を合わせる。若宮はたいそう喜んで笑った。

「本当に久しぶりで父上の顔を忘れたか雅孝?」

そういうと、宴が行われる寝殿に連れて行く。

 寝殿に着くと、もう招待を受けた方々がもう揃っていたので、着席後に東宮は皆に挨拶して、宴会が始まる。宴会が中盤になると、ほんのり酔われた帝が提案をする。

「常長、お前の得意な馬術をもう一度見せておくれ、今日の催しはとてもよかった。」
「まあ、帝、そのようなことを・・・少し酔われたようですわ・・・東宮も少しお酒が入られていますし・・・。ねえ東宮。」
「いえ、構いませんよ。そんなに酔っておりません。」

東宮は晃を呼んで先程の駿馬を連れてこさせると、寝殿前の広い庭に下りて駿馬に乗られる。そして先程の技を披露すると、招待されたものたちは大喝采で、帝もたいそうご機嫌がよく東宮をお褒めになった。東宮は若宮の乳母を呼び若宮を受取ると、自分の前に座らせ、馬に乗せる。

「雅孝、親王であろうと馬術は出来ないといけないよ。また大きくなったら教えてあげよう。」

そういうと馬を歩かせ庭を一周すると、若宮は大変喜んだ様子で、馬を降りようとしなかった。すると関白が東宮に申し上げる。

「その馬は関白家が譲り受けたものですが、それなら若宮様に初節句のお祝いとして献上いたしましょう。とてもおとなしく利口な駿馬ですのできっと成長された若宮様にぴったりだと思います。」
「ありがとうございます伯父上、きっと若宮ももう少し大きくなられた時に乗りこなすことでしょう。」

そういうと、東宮と若宮は馬を降り、席につく。若宮は少し疲れた様子で乳母に抱きつき、すぐに眠ってしまった。乳母は若宮を抱き退出していった。宴はたいそう盛り上がり、お開きになる。

 東宮が部屋に戻る途中、東宮女御和子は東宮を呼び止めると、空いたお部屋に入っていただいて他のものを遠ざけて申し上げる。

「東宮様、お願いがあります。きっとわかってはいただけないと思って申し上げます。」
「何ですか?このようなところに呼んでまでの話でしょうから、きっと他の者に聞かれてはいけないこと?言ってごらんなさい、出来る限りのことは前向きに考えてあげるから。」

女御は顔を赤らめ一息ついて東宮に申し上げる。

「きっと東宮様は形だけ妻であるの私の願いなどは聞いていただけないと思っておりますが、どうしても欲しいものがございます。それは・・・。」
「どうしたのですか?言ってごらんなさい。寂しい思いをいつもさせていますから、何か猫でも用意させましょうか?鳥でも何でもいいですよ。」

女御はよこに首を振って申し上げる。

「いつもかわいらしい若宮を見て、思いますの・・・その・・・私にも一人でよろしいから東宮様のお子を賜れないでしょうか?内親王でも構いません。願いいれては頂けない事と承知しておりますが・・・。」

東宮は少し驚いた様子で顔を赤くして少し考えていう。

「前向きには考えておきます。こういうことは・・・頃合を見て・・・。」

顔を赤くして、東宮と女御は部屋を出てきたので、女房達は少し変に思ったが、あとは何事もなかった様子で、東宮の部屋に入られていくのでなんでもなかったのだと思ってそのままにされる。東宮の部屋にはすでに東宮女御綾子と若宮が待っており二人で遊ばれているのを見て、東宮は二人中にお入りになると、女御和子も呼んで若宮と一緒に遊ばせになった。東宮女御綾子も今まであまり近くに呼んでも来なかった女御和子の若宮と遊ぶ姿を見て、驚いた反面自分のことを敵対されてないのだと思い安心される。

「綾子様、とても羨ましいですわ。私も若宮のようなかわいらしい御子がいればいいのですが・・・。」
「いずれよき日が来ればきっと和子様にも授かりますわ。」
「綾子様・・・。このような私にも御子が出来るでしょうか?」

女御に微笑まれて、縦にうなずき返事をする。和やかな二人を見て東宮は安心する。



《作者からの一言》

本来この時代の端午の節句は男の子の節句ではありませんでした。武士の世の中になってかららしいです。健康を願う節句となっています。だから若宮の初節句という表現はおかしいのです^^;

綾子も和子も本当は行き違いというだけで、仲が悪かったわけではないのです^^;これから二人は友人のように、姉妹のように仲良くなるのです。
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