4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第32章 月見の宴で
 葉月十五日中秋の観月会が清涼殿にて帝主催で行われる。月見の宴が催され、殿上人に無礼講として酒などが振舞われる。そして後宮でも、皇后主催の宴が催されている。ちょうど、東宮のお二人の妃がご懐妊の兆候がありというので、一人一人順番にお祝いの言葉をおかけになる。もちろん先の帥の宮こと弾正尹宮も出席している。弾正尹宮ただひとり離れたところで、照れながら殿上人たちからの挨拶に対応している東宮を見つめて苦笑される。そして近くにいるある侍従に近寄り、何か話している。

「東宮女御様たちですか?それは大変麗しい姫君たちと聞いております。東宮女御綾子様は摂関家の流れをくむ東三条家右大臣様の三の姫様。そして東宮女御和子様は帝の覚えのよろしい中務卿宮様の姫様であられます。綾子様は東宮の若宮様の御生母であられますので、何度か帝の御前にいらっしゃった折にお見かけはいたしておりますが、噂どおりの麗しい姫君でしたよ。それが何か?」
「いや、最近こちらに戻ってきたのでよくわからないもので・・・ありがとう。」

もちろんこの侍従はこの宮がいろいろ噂されていた人物とは知らない上に帝の弟宮ということで、聞かれるまま返事をした。

(そうか麗しい姫君たちと・・・一度この目で見てみたい)

弾正尹宮そう思うと、立ち上がって宴の会場を離れる。それに気がついた東宮は、側に控えていた晃と政人を呼び、そっと弾正尹宮をつけさせる。そして東宮は先程の侍従を呼ぶ。

「さっき、弾正尹宮と何か話していたようだけど、何を話していたのですか?」
「それが・・・東宮女御様方のことをお聞きになられました。どのような姫君かと・・・。」
「わかった。今から皇后のもとにご機嫌伺いに行こうと思う。このような宴中に申し訳ないが、左近中将をこちらへ・・・。」

侍従は東宮の命を受けると、左近中将が急いで東宮のもとにやってきたと同時に政人が東宮に報告する。

「弾正尹宮さま後宮の方に向かわれました。今、晃がつけております・・・。」

東宮はうなずくと、左近中将と共に後宮の皇后の所へ向かう。帝も東宮の異様な慌しさに気づいたようで、少しの共の者を連れ清涼殿を出て後宮に向かい、東宮と合流した。

「何かあったのか、東宮。」
「弾正尹宮が動きました。今日は宴のために各所警備が疎かになりがちなので、晃と政人を控えさせていたのが正解でした。何事も起こらなければいいのですが・・・・。」
「うむ、適切な行動をされた、さすが東宮・・・。左近中将殿は東宮女御の兄であるから丁度よい。何かあったときに役に立つ。左近殿、何か言うまで影で控えて欲しい。」

左近中将は会釈をすると、皇后の部屋の近くに控えて帝の指示を待つ。東宮は近くの茂みに人影を感じると、そっと庭に降りてその人影に近づいた。そこには晃がいたのだが、晃がある方向に指をさすと、そちらにはやはり弾正台尹宮が立っており、皇后の部屋の様子を伺っていた。皇后の部屋はいろいろな几帳で皇后を始め、後宮の女御様方更衣様方、東宮女御様たちが見えないようにしてあったが時折強い風が入ると几帳がめくれ、一番下にいる東宮女御達の姿が少し見える。お二人とも気づかれていない様子で、歓談している。弾正尹宮が一歩踏み出そうとすると、宮の後ろから声が聞こえる。

「叔父上、ここで何をされているのでしょう。ここはあなたのような方はいてはならないところですが・・・・。」

弾正尹宮は振り返って苦笑する。

「今晩は季節柄珍しいとても麗しい華を二つも拝見させていただきました・・・。本当に東宮は羨ましい・・・あのような華をお持ちとは・・・。」
「私の華に手を出されては困ります。もちろん帝の華にも・・・。わかっておられますね・・・次はあられないとお心得ください。私は以前三年程近衛少将をしておりましたので、腕には自信があります。近くには左近中将殿も控えております・・・。」
「今日のところはこれで引き下がっておくよ・・・。」

そういうと、弾正尹宮は後宮をあとにする。東宮は立ち去ったのを確認するため、晃に後をつかせ、待っていた帝と合流し、左近中将を月見の宴に帰した。東宮の不安そうな表情を悟ったのか、帝は複雑な様子で皇后たちのいる部屋に入っていく。突然お二人が入ってきたので皇后を始め一同は驚いた様子で、会釈される。

「月見の宴を邪魔して悪かったね。こちらの宴はどのようなものかと気になって供もつけずに来てしまいました。気にせずどうぞお続けなさい。」

そういうと、部屋の隅のほうで東宮とともになにやら真剣な表情で話をしだした。その様子を見て皇后は何かあったからこちらにお二人が来たのだと悟られた。すると東宮は立ち上がって、庭の方に出ると戻ってきた晃となにやら話して戻ってくるとまた帝と話し出した。帝は少し表情を緩めると、皇后の側にお座りになった。そして皇后の耳元で何かをお話になる。皇后は驚いた様子で、東宮と東宮妃、女御達の方を見つめていう。

「綾子様、和子様、もうお疲れでしょうからお開きにいたしましょう。大事なお体に触りますわ。東宮、さあお二人と一緒にお帰りなさい。」

東宮は会釈をすると、二人の女房達に指示をして準備をさせる。東宮のお二方は皇后にお礼の挨拶をすると、東宮とともに東宮御所に戻っていった。

 東宮御所に着くと、東宮はお二人を横に座らせて改めて中秋の名月を見る。

「宴ではこのように綺麗な月は見ることが出来なかったよ。やはりお二人が側にいてくれるからかな・・・。始めから三人で宴にも出ずに眺めておけばよかったよ・・・。」

というと東宮はお二人の肩を寄せてゆっくりと月見をしていると、慌てて橘がやってくる。

「まあ!東宮様このようなところではお二方のお体が冷えてしまいますわ!摂津殿、播磨殿!早くお二人をお部屋にお連れして。」

摂津は綾子姫を、播磨は和子姫を連れて部屋に戻っていく。

「東宮様、お二人のお体には東宮様のお子たちがおいでですよ!何かあったらどうなさるおつもりでしょう?それでなくても懐妊の兆候が出たばかりで不安定な時期ですのに・・・。御召もお控えに・・・。」
「ごめん、橘。今日いろいろあってね・・・つい綾姫と和姫を放したくなくなってしまった。」
「まああれほど和姫様のことお飾りだと言われておられたのに?」
「そういえばそうだね・・・。情が出てきたのかな・・・。綾姫に怒られそうだよ。でも綾姫も和姫も喧嘩ひとつせずにまるで姉妹や友達のように仲良くされているし・・・。それとなんだけど、橘は知っているのだよね、父上の弟宮のこと・・・。」
「はい・・・存じ上げております。何か?」
「今日、母上主催の宴でね、弾正尹宮が綾姫と和姫の姿を見てしまったのだ。いろいろあるお方だし、綾姫と和姫に興味を持たれた感じがする。あのお方のことだからどのような手を使って忍び込まれるかもしれないから、摂津や播磨に徹底させるように頼んだよ。特に内通者などはもってのほか。帝の使いだと来られてもこの私を通して欲しい。一応晃や政人には気をつけるように言っているが、晃にはここのところ休みをやってないからなあ・・・。私には公務があるから一緒には居てやれないし・・・。綾姫の女房達は心得たものばかりだから言いのだけれど、問題は和姫の女房達。とりあえず頼んだよ。」
「はい心得ました。」

(父上も警備を増やすとの仰せだから・・・でも・・・)



《作者からの一言》

ついに動き出した弾正尹宮・・・。なんでここまでする必要があるのか?東宮の気苦労が増える一方ですね^^;東宮の乳母で東宮御所女官長の橘はやはり東宮の和姫に対する心変わりをわかっていた様子・・・。しっかりした女官長の橘がいるおかげで、東宮御所は平穏無事なのでしょうね^^;摂津や播磨ももともと皇后付で、橘と同僚。しっかりした方々に見守られています。ちなみにこの三人は40前後のおばさん達です。お子様世代にもまだ登場してくるのです^^;ところで綾姫の女房萩はどこに行ったやら?
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