4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第34章 取引
 帝は久しぶりに内裏を出て、山科の父宮である院のもとにご機嫌伺いに向かった。これは表向きであり、本当は山科にある人と会うためである。到着するとある女房が、客間に案内する。するとそこには院を始め、皇太后、関白太政大臣、そして右大臣の北の方が待っていた。すると院は女房たちを客間から遠ざけると、本題に入るようにいう。


「父上、先日文を書いたように、弾正尹宮の今までの行いの原因がわかったのです。」
「うむ、それは先日の文で詳しくわかった。これ以上浮名を流されるのも嫌なものだ。しかしどうして右大臣の北の方をお呼びしているのかがわからない。」
「私は叔母上に詳しくお聞きしたいことがありまして、お呼びしたのです。」


すると帝は右大臣の北の方の近くによってお聞きになる。


「叔母上は私の育ての親。以前この私に言われた事がありましたね。初恋の君はいる、本当はその方と結婚したかったと・・・。」


北の方はいうのを渋っている様子であったが、仕方がなく帝に申し上げる。


「そういえば、私が殿を受け入れないことでもめた事がありその折にちょうど邸に帰られていた五歳の頃の帝についもらしたことがありましたね・・・。もちろん初めての懐妊は仕方なく殿の御子を懐妊したのですが、懐妊中はとても生きている心地がせず、このまま生まれてこなければいいのにと何度思ったことか・・・。その気持ちのせいで若君を死産してしまったのかもしれません。その時はほっとしたのですが、我に返ると気性の激しい殿にどのように説明をすればいいのかと悩んだ末、ちょうど帝が生まれ私の子として引き取ったのです。この私にたいそうかわいらしい若君が生まれたということで殿はお喜びになられましたが、やはり所詮若君。次は姫をとしつこく言われました。もちろん出世のために姫を産めといわれ、それ以来殿を拒むようになったのです。もちろん初恋の君のことが忘れることが出来ずに・・・。もちろん初恋の君が誰であるかは知っていましたから、初恋の君が私の妹と結婚したと聞いたときは、泣いて暮らしました。日に日に初恋の君の似てこられる若君をお育てするのが生きがいでした。もちろん若君が私の子ではないのを殿に知られるのが嫌で、お兄様のお邸で預かっていただいたのは言うまでもありません。若君が元服した姿を見て、まさしくあの時の初恋の君によく似ていらっしゃったのには驚きました。」


すると関白は北の方に言う。


「妹姫が見合いの宴で見合い相手以外の方を気に入られたのは知っていました。しかし、もうその時点で相手が決まっていたのです・・・。もちろん父上は先が見えている親王よりも摂関家筋の右大臣を勧めるのは当然のこと。それがあの弾正尹宮がお相手だったとは。」


北の方は一息ついて続けて申し上げる。


「もちろんあの宴で気に入っただけではありません。あの方は私が裳着を済ましてからずっとこの私にいろいろ歌や贈り物をしていただいた方。それはもう熱心な方で、この方ならいいかと思いあの宴でどのような方か確認した上でお父様にお願いしようと思っていたのです。その日のうちのお父様にお願いしたのですが、ひどい剣幕で怒られてさっさとうちの殿との縁談を・・・。それは結婚の夜もその後もずっと人知れず泣き崩れておりましたが・・・。殿も感づかれた様子で、すぐにこの私を自分の邸に住まわせたのです。とりあえず一人懐妊するまで我慢しようと思っていました・・・。嫌いな方と一緒に過ごす夜ほど苦痛なものはありません。ですから懐妊を知ったときはこのまま自害してしまおうかと思いました。」


一同はため息をついて、北の方の泣き崩れていく姿を見ると、帝が言う。


「叔母上はまだその方を思っておいでか?私には切り札があります。もし想っておいでならその切り札を切りましょう。そうしないといつまで経ってもあの方は浮名を流し続けになる。そしてうちの妃達の身が危うくなります。あの方はずっとあなたを求めておられるのです。しかし右大臣の北の方なので手の届かないと思っておられます。先日わざわざ身重の麗景殿のために都では珍しい薬を用意していただいたのです。そのおかげで麗景殿は何とか持ち直しました。本当はお優しい方なのでしょう。私はあの方に恩返しをしたい・・・お救いしたいと思っております。叔母上・・・。」


北の方は黙り込んでしまったが、皇太后が寄り添って北の方をなだめると意を決したように帝に申し上げる。


「もちろん今でも想っております。しかし・・・うちの殿が・・・・。」
「ですから聞いて下さい。叔母上、私には切り札があると申し上げたはずです。」


関白は帝にあきれた様子で申し上げる。


「帝、また無茶苦茶な事を申されますな・・・。切り札とは例の四の姫のことですかな?」
「もちろん、右大臣ならきっと自分の利益になることを優先するでしょう。これがだめなら大宰府まで駆け落ちしてもらうことになりますが?」


関白は帝の意見を聞き大笑いをする。


「さすが帝、頭の回転が速いですな。右大臣の北の方と宮が恋仲になったと知れば、あの右大臣のことですから左遷だというでしょうね。切り札を切っても切らなくても一緒にさせるおつもりとは・・・・。この私も影ながら賛同いたしましょう。」


院や皇太后も帝の考えに賛同し、早速行動に起こそうと山科の院邸を出て右大臣邸に帝は向かった。突然の帝の訪問に血相を変えて内裏から戻ってきた右大臣は客間で待っている帝に深々と頭を下げると待たせたことのお詫びを申し上げる。帝はじっと右大臣を見つめると一息ついて右大臣に言う。


「お願いがあります。決して右大臣殿には悪くない話だと思いますが、訳を聞かずに承諾していただきたい。」


右大臣は不思議そうな顔をして、続きを伺う。


「叔母上いえ、北の方と離縁していただきたい。その代わり・・・・。」
「その代わりとは?」
「以前からあなたが進めたがっておられた四の姫の入内を認めます。離縁をお断りされるのでしたら、もう一切あなたの姫どころか、孫の姫にまで入内をお受け致さない状況になると思われよ。」
「しかし・・・なぜ・・・。」
「訳を聞かないで欲しいと申したはずです。まあ後になればわかることでしょうから、ここでは聞かずに今すぐ離縁をするという内容の文を北の方にお書きなさい。私もここであなたに約束した内容の文をあなたの四の姫にお送りします。そして今からでも四の姫と会いましょう。悪くはない取引ではありませんか?出世のためなら何でもなさるあなたですから。」


右大臣は深々と頭を下げ、女房に紙と筆を持ってこさせると北の方宛に離縁についての文を書いていく。帝はその内容の文を受取り確かめると、五位蔵人藤原政人に預けて山科にいる北の方に届けるようにいった。次は五位蔵人橘晃から帝用の御料紙と筆を受取り、入内承諾の内容の文を右大臣家四の姫宛に書き、橘晃が受け取ると右大臣に渡した。右大臣は内容を確かめると、女房に姫のもとに届けるように言う。


「正式な御料紙を使ったので、信じていただけるでしょうね。」
すると遠くで小さな子供の声が聞こえた。
「あれは?」
「二の姫養女の結姫でございます。もうしっかりと歩き、庭を走り回っております。」
「そう兄上の・・・会わせて頂けますか?」


右大臣は女房を呼ぶと、結姫を連れてこさせる。帝は結姫を抱き上げると、膝の上にのせ可愛がられる。結姫も帝を大変気に入った様子で、顔を触ったり、耳を引っ張ったりして右大臣をはらはらさせる。ますます亡き兄宮に似てきたようで、気品のあるかわいらしい顔をしているのを見て、帝は兄宮を思い出される。帝はいろいろ結姫と話すと姫を右大臣に返す。


「さて、四の姫に会って帰ります。これであなたとの取引も終わりです。このことは内密に。」
「いえいえ、こちらに四の姫とその母を呼びますので、少々お待ちを・・・。」


そういうと、右大臣は女房を呼ぶと四の姫を呼んでこさせる。帝は浮かない様子で脇息にもたれかかると、じっと考え事をしている。表がざわつき、まず四の姫の母君が現れ、うれしそうに挨拶をすると四の姫を帝の御前に出し紹介をする。四の姫は帝より4つ年下の十六歳。大して美しい姫とは言えないが、入内に向けて相当教育されたらしく、礼儀作法は一級品である。少し右大臣に似て時折のわがままでつんけんとした態度は気に入らないところがあるが、入内するのには申し分ない身分と礼儀は整っている。この入内が明日審議にかけられてもすぐに入内内定が決まるのであろうと帝は思う。


「これで左大臣、右大臣、内大臣の三人の姫君が妃になるのだからもう入内に関する争いは収まってくれるでしょうね、右大臣殿。弘徽殿も麗景殿もまるで姉妹や友達のように仲良くやっておられるので、四の姫君も、先に入られた姫君を立てて仲良くしていただきたい。またあなたが入内される頃は、弘徽殿も麗景殿も出産のために里帰りされていると思いますが、戻られたら私の言ったことを守って過ごされるように頼みますよ。ではこれで、内裏のものが心配しますので帰ります。右大臣殿、先程言った件よろしく頼みますよ。」


右大臣は深々と頭を下げると、立ち上がって車までお見送りをする。帝は車に乗り込むと、橘晃は騎馬に乗り、帝の列を先導する。ちょうど藤原政人も合流し、帝に文の件を申し上げると帝はうなずく。




《作者からの一言》

取引成立です。その代わり妹として育った四の姫を入内するはめになりましたね^^;まぁこの姫が曲者です^^;
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