4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第37章 三人目の入内
 春がそこまでやってきた立春の前ある日、予定よりもだいぶん早くに右大臣家の四の姫入内の儀式が行われた。やはり右大臣が時期を早めた様で表向きは出産のため里帰りされるお二人の妃様との顔合わせのためとなっていた。もちろん裏向きは急いで入内させて思惑通りに皇子を懐妊していただくという右大臣の考えからである。

もちろんこの三人目の入内で、他の大納言殿や右近大将殿たちは自分の娘達もと考え、この春以降続々と尚侍やら更衣として後に三人ほど入内される。近年稀に見ない利発で姿かたちの良い帝であるのでこれほどの入内があって当たり前そしてこれほどの数は異例ではないということで、有力公達の入内争いはとりあえず収まったが、もともと綾姫以外は妃にしないと断言していた帝は、まあ和姫は良いとして他の姫君たちの入内を渋っており右大臣家の冬姫以降は形だけの妃として扱うよう心に決めていた。そしてこの右大臣家冬姫の入内により、和姫は女御を改め中宮に就いた。冬姫は宣耀殿を賜り、宣耀殿女御として扱われることになった。

 常寧殿に帝と御簾を挟んで皇后と中宮が座り、その下に女御が座った。

「綾子、和子、こちらが今度女御になられた右大臣家の四の姫冬子姫だよ。」
「まあ、なんてかわいらしい姫君ですこと。常康様、そういえば以前こちらの女房に大変お世話になりましたわね。私の女房の桔梗と共に・・・。」

帝は右近少将時代、綾姫と密通するために四の姫の女房桜を使ったことがあったことを思い出す。

「そういえばその様な事がありましたね。当時綾子に会うのに必死で藁をもつかも気持ちで妹と思っていた四の姫の女房を勝手に使ってしまっていたね。冬姫、あの時はすまなかったね・・・。あなたの女房を巻き込んでしまって・・・。」

すると女御は驚いた様子で言う。

「騒動の件は知っておりましたが、その様な事があったことなんて知りませんでした。」

中宮は何があったのかわからなかったようで、帝に伺う。

「何がありましたの?帝の少将時代に?」

帝は照れた様子で中宮に言う。

「もともと内大臣殿はそのような世間話を話すようなお人じゃないし、あなたは内大臣殿の箱入り娘でいらしたので、私と綾子の一騒動はご存じなかったようですね。また改めて和子にお話しますよ。」
「和子様いろいろありましたのよ。駆け落ち寸前までね・・・。」
「まあ帝も綾子様も・・・。でもきっと物語のような素敵な恋だったのでしょうね。」
「それはどうかわからなけれど、とりあえず今日からこの女御があなた方の仲間入りされるので、よろしく頼みますよ。そして綾子や和子が里帰りの間あと三人ほど後宮に入られる。」
「まあ和子様お聞きになった?」
「ええ綾子様。なんて心の広い帝なのでしょう。感心いたしますわ。」

お二人の嫌味な言葉に帝はあわてて常寧殿を出て行った。もちろん帝の状況をわかった上での言葉なので、皇后も中宮も帝の行動に和やかに笑っている。それを見て女御はいろいろお聞きになる。そのお聞きになる内容が姿形のわりになんとも子供らしい内容であることにお二人は驚かれる。

「皇后様、中宮様、その大きなお腹?・・・。」
「もうすぐ生まれるのですよ、帝の御子が・・・。私は二人目ですが、和子様は初めての御子様ですもの。二人で内親王ならかわいらしくて良いわねと楽しみにしておりますのよ。冬子様も時がくればわかりますわ。」

女御はもうひとつ理解できない様子でお二人の大きなお腹をじっと見つめる。もちろんこの女御はお妃教育に関するものすべては完璧なのですが、ただひとつ懐妊に関することはまったく初心でいるのを、お二人はなんとなくわかった。お二人は女御が下がった後に女御の話をする。

「もしかして冬子様って・・・御子は神様が運んで来られると思っておいでなのかしら?物語のように仲良く床を一緒にするだけで出来ると思っておいでなのかしらね・・・。」
「なんとなくそう思いますわ。今夜どうなさるつもりかしら・・・。あのような子供子供されておられるのですから・・・。ちょっと興味がありますわね綾子様。」

そういうとお二人は楽しそうに笑った。もちろんお二人が察知したように女御は結婚とはどういうことなのかまったくわかっていないのは明らかなのです。

 婚儀の夜が訪れ、帝の宣耀殿お渡りがある。新調された直衣を着込み宣耀殿に向かう。女御も真新しい小袖を着て帝のお渡りを待つ。女房達はそわそわして緊張感が宣耀殿中に広がっていた。女御は乳母に心得をいわれていた。

「冬姫様、よろしいですね。帝に気に入っていただけるよう、帝の行為を拒否されずすべて受け入れなさいますようお気をつけください。今までお父上様が、冬姫様のためにご教育されてきたことを無駄になさらないように・・・。」
「芳野・・・帝の行為って?」
「ま、おとぼけに・・・今日帝と結婚されるのですよ・・・。まあ、間もなくおいでですわ。」

というと女御の寝所から下がっていく。すると帝が宣耀殿に入ってきたようで、さらに慌しくなり騒がしくなる。

「ご苦労、下がってよい。」

橘以外の女房が下がり帝は寝所の前に行く。

「橘、いつもの時刻に起こしてくれ。」
「承知しました。」

橘が帝の直衣一式を脱がせ側にたたみ終わると、下がっていく。下がったのを確認して、帝は女御の寝所に入っていった。女御は深々と頭を下げて形どおりの挨拶をする。

「冬姫は今日いろいろあってたいそうお疲れでしょう。さあ顔を上げていいよ。」

女御は顔を上げて帝を見つめ、帝は女御を引き寄せると女御は何が何だかわからない様子でじっと不思議そうな顔で帝を見つめる。帝は少し気になったが、女御の唇にキスをすると、女御は驚いた様子で帝を離す。

「どうしたのですか?冬姫。」
「だってお兄様、いえ・・・帝。口をふさがれると苦しいのですもの・・・。」

帝は少々あきれた様子で、微笑む。

(なるほど、綾子が言っていた事ってこういうことか・・・。いくら礼儀作法などは完璧でも、こういうことはまったく知らないとは・・・まあその方が。都合がいい。)

「冬姫、私はもうあなたの兄上ではないのですよ。まったく血の繋がりはないし・・・。」
「でもずっと親王となられる前は私のお兄様でしたもの。裳着の前からずっと遊んでいただいていたもの。」
「そうですね・・・。あなたにとって私は最近まで兄上でしたものね。よく元服前に貝合わせや碁をして遊びましたね。さ、今夜は眠くなるまで何をしましょうか。橘に何か持ってこさせましょう。」

女御はうなずくと、帝は上に単を羽織り、寝所を出ると橘を呼び出した。

「橘、皇后のところに皇太后から頂いた珍しい絵巻物があったであろう。それを持って来てくれないだろうか。」

橘は不思議そうな顔をして弘徽殿に向かい皇后の許しを得ると、絵巻物全十巻を持って宣耀殿の帝の元へ届けた。帝は橘から受取ると寝所に持ち込んで女御と一緒に夜が更けるまで読み明かすと、いつのまにか女御は眠っていた。精神的に幼い女御の顔を見ながら帝は眠りについた。三日三晩かけて絵巻物全十巻を読み終える。

 次の日、帝は皇后に借りていた絵巻物十巻を返しにいき、婚儀の話をすると、皇后はわかっていたかのように微笑んだ。

「あのような物知らずの姫がいるとは知らなかったよ・・・。本当に助かった。」
「まあそのような姫も稀にいますわ。きっと右大臣様のお妃教育が徹底されすぎたのでしょうね。次はそうは行かないと思いますよ。覚悟なさいませ。」
「綾子は本当にはっきり物を言われる・・・。次は尚侍と更衣なので別に夜の御召やお渡りは無くていいのだよ。また何か借りに来るかもしれないけれど、いいかな。」
「ご遠慮なく。和子様にもそう言っておきますわ。」
「助かるよ。」

そういうと借りていた絵巻物を返して清涼殿に戻っていった。

清涼殿に戻ると、右大臣が機嫌悪そうな顔で待ち構えていた。帝は嫌な予感がし、とりあえず昼御座の座ると他の者を遠ざけた。

「何か御用でしょうか右大臣殿・・・。」

すると御簾近くまで近づき申し上げる。

「女御付の女房芳野に聞きました。この三夜一度も姫に手をつけられてないとのこと・・・。それどころか、絵巻物を一晩中見ておられるなどと・・・。そこまでこの私を蔑にされるおつもりでしょうか?」
「別に蔑にしたわけではない。あまりにも幼すぎる姫に手をつけるなど・・・。今日も雛遊びをしようと約束したところです。とてもかわいらしい姫君だ・・・。」
「帝が女御と雛遊びとは・・・。」
「麗景殿が持っているたいそう立派でかわいらしい雛があるのです。麗景殿はそれを宣耀殿にお譲りしようといっています。また弘徽殿にもさまざまな読みきれないほどの物語やとても綺麗な貝合わせもあります。何か?」
「いずれはと考えてよろしいのでしょうか?」
「まあそれはあなた次第という事でしょうか。もういいですか、これくらいで・・・。」

右大臣は苛ついた状態で御前を後にした。もちろん邸に戻ると邸の者に当り散らしていたことは言うまでもない。



《作者からの一言》

ほんとに世間知らずの姫、右大臣家四の姫冬子。もう立派なお年頃なのに・・・。そのおかげで関係を持たなくて済んだ帝・・・。それどころか妹のように可愛らしいと思っているのです。本当に子守り状態^^;でもこれが悲劇を生むのですが・・・。
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