4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第38章 若宮の成長
 もうすぐ皇后と中宮に御子が生まれるということで、皇后は左大臣家、中宮は内大臣家へ里帰りをした。もちろん皇后は久しぶりに東宮である若宮に出会えるというので、大変楽しみにしている。若宮は数え三歳となりしっかりとした言葉で、皇后をお迎えになる。皇后も大きくなった若宮を抱きしめ、大変可愛がった。

「母上、父上は?一緒じゃないの?」
「そうね、お父上様はご公務がお忙しいのでこちらにはお越しになられないのよ。雅孝、お父上様に母からお文を書きましょう。そうすればきっとお越しいただけますよ。もうすぐ弟君か妹君が生まれるのですからもう少しお兄様らしくなりましょうね。」
「はい!母上。雅孝も父上に何か書いてみたい!」
「そうね、いいことですわ、きっとお父上様もお喜びになられますわ。萩、若宮に御料紙と筆を・・・。」
「大丈夫ですか?」
「いいのよ、殴り書きでも若宮が書きたいといっているのだから・・・。」

文机に御料紙を置き、皇后は若宮の手に筆を持たせて書き方を教えると、若宮は袖や顔に墨をつけながらもすらすらと何かを書き出した。

「父上なの。」

御料紙には確かに人の絵が描いてある。まだ字が書けないので、絵で表現したようだ。

「雅孝は絵が上手なのね。母はこちらに文字を書きましょう。」

といって絵の隙間に内容を書き出した。

『常康様 若宮があなたに会いたい一心で初めて書いたあなたの顔です。出来るだけお暇を見つけて若宮に会いに来てやって頂けないでしょうか。帝というお立場上簡単に出歩くことは出来ないと思いますが、よろしく申し上げます。 綾子』

そのように書くと、庭に咲いている桜の花の枝にくくりつけて、萩に渡した。

「萩、必ず直接帝にお渡しするのですよ。若宮からの大事な文ですから。」

萩は早速内裏に向けて車に乗り出て行くと、今度は若宮が何か言いたそうな顔をしている。

「雅孝、どうかされたのですか?」
「母上、雅孝も字を書きたい。そして父上に母上みたいに文を書きたい。」
「そうね・・・大丈夫かしら・・・まだ早いかしらねえ飛鳥・・・。」

すると若宮の乳母飛鳥が皇后に申し上げる。

「いえとんでもございません。私の長男はもう三つで字を書くことが出来ましたので、やる気のある若宮様ならきっと上達されますわ。若宮様は本当に何もかも飲み込みがよく、先が大変楽しみなお子様ですわ。私と長男の隆哉で若君様に字をお教えいたしますので、ご安心くださいませ。」

飛鳥の家系は代々大学寮で博士の大江家であるので、若宮より五歳年上の隆哉は三歳で字をすらすら書き、漢学やいろいろな文学を八歳で習得しているたいそうな天才児で、いつも勉強の傍ら、若宮の子守役も務めている。少し運動には疎い点はあったが、若宮はたいそう気に入って隆哉の言うことはよく聞き、一緒に本を読んだりしている。字を読めるからか、若宮の字の上達はさすがに早く、ひと月ですらすらと字が書けるようになった。

 皇后が里帰りしてひと月の間、毎日のように若宮は帝に催促の手紙をお書きになる。帝も始めはミミズのはったような字が日に日に上達していくのを見て、大変喜んで、暇を見つけては若宮に文の返事をされる。毎日届く文を、関白や左大臣にうれしそうに見せるのが日課になっているので、関白は帝に左大臣邸に一泊していらしたらどうかとお勧めした。そして好き日を選んで若宮に文を出した。

『雅孝へ 父は明後日、雅孝のいる東三条邸に訪問いたしますので、楽しみにしていなさい。そして一泊できるのでゆっくり遊んだりいたしましょう。 父』

という文を政人に託して若宮の返事を待つと、早速とてもうれしそうな文字で返事が返ってくる。一方雅孝は、紙に帝と遊びたいことや話したい事を楽しそうに書き綴って皇后に見せた。

「まあ、雅孝。このようなことができる時間があるのかしら・・・。よほどお父上様が来るのが楽しみなのですね。母も楽しみですわ。さあ習字のお時間ですわ。隆哉が待っておりますよ。」

若宮は隆哉が待っている若宮の部屋に書き綴った紙を握り締めて走って帰っていった。若宮は昂った気持ちを抑えきれず、部屋に入るなり隆哉にしかられてしまった。

「若宮、廊下は走るものではありません。いいですか、明後日父上様がおいでなのでしょう。それまでに少しでも文章を書けるように練習しましょう。」
「はあい・・・隆哉。」

若宮は渋々文机の前に座り、学問の本を見ながら文章を写し書きしていった。乳母の飛鳥は若宮の姿を見てなんと素直でいい若宮なのかと微笑んだ。

 ついに帝が東三条邸に訪問する日がやってきた。家中帝を受け入れる準備のため大忙しのようで、隆哉も裏の手伝いに回っていた。若宮は皇后の部屋にきて落ち着きない様子で皇后に甘えていた。皇后も若宮のかわいらしい表情に顔を和らげ、若宮の頭を撫でる。

「雅孝、ほら母のお腹を触ってごらんなさい。お腹の御子もお父上様ご訪問を心待ちにしているのですよ。」

若宮は皇后のお腹に手と耳を近づけると、お腹の中の子の心臓の音と、時折動く感覚があり、さらに皇后のお腹を撫でて言う。

「僕が兄上だよ。弟かな、妹かな・・・弟なら一緒に遊んであげるよ。妹なら物語を毎晩読んであげる。早く生まれないかな・・・。早く会いたいな・・・。」
「まあ、雅孝・・・あまり急かすといけませんよ。でももう少ししたら会えますからね。あと他のお家にもあなたの妹か弟が生まれるのよ。一気に二人のお兄様よ。また生まれたら会いに行きましょうね。」
「うん。雅孝はきっといい兄上になるよ。」

すると表で騒がしくなり、気がつくと帝が立っていた。

「父上!」

そういうと若宮は帝に走って飛びついた。

「雅孝、久しぶりだね。本当に大きくなられた。つい綾子と雅孝がゆっくり話していたのでそっと入ってきてしまったよ。さあ、何して遊ぼうか。」

すると若宮は先日書き記した紙を取り出して帝に見せると、その中から選りすぐって遊びだした。皇后は帝の久しぶりに清々しい表情を見て、微笑んだ。



《作者からの一言》

天才肌の東宮雅孝親王。大好きな父や母の気を引きたいがために一生懸命努力している健気な若宮です。

帝の行幸は大変なことです。受け入れる側も大変だと思います。この東三条邸は内裏からそう遠くはありませんので、行き来はそう大変ではないでしょうが、お付の者達総動員になると思うのでその方が大変です^^;
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