4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

第40章 疑惑
 亡くなった内親王の喪が明けると、皇后と中宮は揃って二条院の若宮と東三条の姫宮を連れて参内し、帝の御前に挨拶に現れる。皇后の側には東三条の若宮を連れている。帝は東宮である東三条の若宮を呼び寄せ、膝の上に座らせる。帝の側には宣耀殿女御が座っていた。一通り皇后と中宮が挨拶を済ませると、帝の御簾の中に入りそれぞれの御子を見せた。

「父上、弟と妹はとても可愛いね。」
「そうだね。雅和と孝子というのだよ。雅孝はもう二人の兄上だから、可愛がるのですよ。特に孝子はお前と同じお邸に住むのだから仲良くな。」
「雅和は?」
「母君が違うので違うお邸だよ。」
「ふ~ん。でも遊びに行ってもいい?」
「内大臣殿か雅和の母君にお聞きなさい。良いと言われたら行ってもいいよ。」

すると東宮は中宮のもとに駆け寄って、小さな若宮の頬を触って言う。

「雅和の母上様、雅和が大きくなったら一緒に遊んでいい?」

中宮は微笑んで東宮に言う。

「東宮様は雅和のお兄様ですもの。誰も反対するものはいませんわ。必ず行く前に二条院に御文を書かれてから遊びにいらしてね。」

今度は皇后のところにやってきて姫宮の頬を触る。

「母上、孝子も連れて行っていいでしょ。ねえ。」
「まあ、孝子は姫宮ですのに?もうちょっと大きくなられてからね。」

帝は東宮の行動を見て微笑んだ。すると慌てて関白が御前にやってきたので、帝は皇后たちを後宮に行くように促し、下がったのを確認すると関白の言葉を聞いた。

「帝、側の者を遠ざけていただけませんか?」

帝が合図をすると、側についている者たちが下がっていった。下がったのを確認して関白は御簾の中に入って小さな声で帝に申し上げた。

「東宮様が当分の間滞在される予定の藤壺の床下からこのような物が・・・・。」

紙に包まれた物を帝に渡すと、続けて話し出す。

「これは人形。ただの人形ではありません。陰陽師に見せたところ、呪いの願掛けに使われる型の物。そしてこれが一緒に添えられていたものです。」

帝がその紙を開くと顔が青ざめた。

『怨 東宮雅孝様』

「すぐに陰陽頭をこちらへ・・・。」
「控えさせていますのですぐに・・・。」

陰陽頭を近くに呼び寄せると、詳しく人形について聞く。そして対処法を話し合うと都でも一番といわれる陰陽師を呼び、東宮に何事もないように対処させる。

「安倍殿、今のところ大丈夫と?」
「はい、東宮様には強い守護霊がついておられますので・・・。」
「これ以上何かが起こらないよう頼んだよ。誰か心当たりはないか・・・。」

関白も陰陽寮の者も首を横に振る。

「とりあえず、当分の間弘徽殿に東宮を・・・。」

帝は今参内している太政官を集め、この件について話し合った。
すると右大臣が言い出した。

「この中で一番怪しいのは内大臣ではありませんか?今日、中宮様が久しぶりに後宮に戻られたというのに来られていない。東宮が退位すると一番に得をするのは生まれたばかりの二の宮のいる内大臣。皆さんそう思いませんか?」

するとほとんどの太政官がざわつき、右大臣の意見に賛同をする。ただし関白と左大臣は反対の意を唱える。

「本日内大臣が休んでおられるのは内大臣殿の父宮のお見舞いによるもの。前々から聞いておりました。右大臣殿、あなたも怪しい面がございますよ。あなたの姫も入内されている。そして大納言殿、右近大将殿、式部卿宮殿・・・・。あなた方は決まっていた入内を急に白紙にされている。内大臣のみが怪しいわけではありません。調べもせずに勝手な事を帝の御前で言われるのではない。」

と関白が言うと、帝も続けていった。

「内大臣がそのような事をするわけはない。もともと内大臣にと勧めたとき、始めは中務卿宮として一生を終えるのが気軽で良いとお断りになった経緯がある。あの方は出世欲のない方だ。麗景殿が入内の際もあまり乗り気ではなかったし。私はあの方ではないと思う。ここのところ出仕もしておられないし・・・・。どうやって藤壷の床下に置けるというのか?今日はこの話はここまでにしたい・・・。何かわかれば報告を・・・。」

そういうと続々と太政官は下がっていく。すると左大臣は残り帝に申し上げる。

「この件は当家で養育しております東宮に関係あること、ちょうどうちの息子達が近衛府、衛門府におりますので、左大臣家が調査いたします。帝、時間をいただけますか。」
「わかりました、左大臣殿に任せます。内密に調査してください。何か必要なものがあれば、申し出ていただきたい。また政人や晃を使っていただいても構いません。そうそう、弾正台尹宮にも相談されたらいいと思います。きっとお役に立つ人物をお使いになるでしょう。よろしく頼みましたよ。」

左大臣は早速邸に戻り、自分の息子達と共に調査の方法を練っていった。とりあえず、滝口所に皇后の弟である衛門佐を宿直ついでにいかせ、数日不審な者がいなかったかと聞きにまわらせ、また内裏に出入りした者の調べをする。また、後宮に左大臣家縁の女官を入れ、徹底的に調べさせていった。

 数日が過ぎ、内大臣が出仕すると帝は内大臣を御前に呼んだ。

「内大臣殿、何か感じられましたか?あなたが宇治に行ってらっしゃる頃色々あなたに疑いがかかりましてね。」
「何かあったのですか?そういえば私が殿上するなり、殿上人がなにやら不審な視線で私を・・・。」
「今東宮が後宮に滞在しているのを知っておられますか?」
「いえ、こちらに来られるというのは聞いてありましたが、東宮御所の方に滞在されると思っておりました。それが?」
「それは本当の話ですか?」
「ええ、私はここ半月体調のあまり良くない父宮の側にいましたので、急についてこられることになった東宮様の滞在場所など知りませんでした。こちらに来られると知ったのも、中宮からの文で、文を読んだのは確か中宮が後宮に戻られる当日のはずです。」
「それは確かですか?」
「はい・・・当日文を持ってきた私の従者の源翔介に確かめていただけたら・・・。いったい何が?」

帝は少しほっとして今まで東宮の呪詛の話を内大臣に伝えた。内大臣は驚いて口を閉ざした。帝は即内大臣の従者に確認を取ると確かに内大臣の言うとおりであった。今度は左大臣が御前にやってきて、調べた内容を報告しようとする。帝は人払いをして報告の内容を記した紙を左大臣から受取ると、側に控えていた関白と共に読んだ。

『滝口所・・・人形発見される前日まで異常はなし。特に不審者もなし。
 該当日に内裏出入り者の中で、疑っておられる式部卿宮、右近大将関係者の出入りはなし。
 後宮に該当する縁の者・・・大納言家縁のもの一切なし。
 疑われる三家につきましては一切該当はなし。
 内大臣家・・・発見された日前後に内裏及び後宮に出入りした形跡なし。以上』

「よくここまで調べていただけました。感謝します。他の殿上人は調べましたか?左大臣殿。」
「もちろんでございます。ただ右大臣家のみはっきりしたことが掴む事ができず、悪い噂ばかり出てまいりました・・・。ただしこの件に関しての物は・・・。」
「引き続き右大臣について調べていただきたい。」

左大臣が下がると、関白が申し上げる。

「まさか右大臣殿が・・・。いくら出世のために手段を選ばないと言われた方でも・・・自分の首を絞めるような行為をなさるとは・・・。信じられません・・・。」

帝は脇息にもたれかかるとため息をついて考え事をする。

(あの人形に添えられていた文字・・・。どこかで・・・あまり印象はな
いけれど確か見たことが・・・。)

「どうかなさいましたか?」
「いや・・・この字、どこかで見たことがあるのですが・・・。関白殿はないですか?」
「いえ・・・このような字は・・・。」

帝は文箱を橘に持ってこさせると、今までの文を隅々まで見ていく。殿上人、役所、身内、最後に皇后、中宮、女御の文を一枚ずつ見比べていくとある一枚で帝の手が止まる。その一枚を握りつぶすと帝は立ち上がり、関白に言う。

「右大臣は参内しているのか?」
「はい、殿上しておりますが・・・。何か・・・。」
「これを書いた者がわかった・・・。今すぐ宣耀殿に参る。右大臣も呼ぶように!」

帝は、とても怒った様子で、宣耀殿へ向かった。宣耀殿に向かう途中、弘徽殿の前を通ると、東宮が飛び出してくる。

「父上、あそぼ、ねえ!」
「雅孝、父上は大事な御用があるから、摂津や萩と遊んでもらいなさい。摂津!萩!東宮を頼む!早く!」

摂津と萩は急いで東宮を抱いて弘徽殿につれてはいる。東宮の泣き叫ぶ声を聞きながら、帝は宣耀殿に急いだ。宣耀殿に入ると女御はきょとんとして帝の方を見つめる。帝は女御の前に座ると、紙を女御の前に置く。

「冬姫!これはあなたが書いたのですか!これがどういうことかわかってやったことなのですか!」

ちょうど右大臣が入ってきて帝の怒り様に右大臣は驚いて女御に言う。

「冬姫、帝に何をされたのか!事によってはこのまま連れて帰り、尼にさせる!」

女御は泣きながら言う。

「だって・・・だって・・・帝は私のこと・・・。お父様もいつも・・・。」

帝は右大臣に紙切れを渡す。紙切れの字を見て、右大臣は女御の筆跡であると確認する。右大臣は起こって女御の頬を叩いた。

「これはどういうことかわかっているのか!このような呪詛状を書くなど!冗談でも許されないこと!私はこのような姫に育てた覚えはない!」
「だってお父様はいつも帝が通われないのは私が幼いとか・・・言うじゃない!この前だって若宮様さえいなければと・・・だから私・・・。」
「父はそういう意味で言ったのではない!つい口が滑って、もしいなければお前は寵愛されたかもしれないとは言ったが決して若宮をどうにかせよとは言っていない!宮中を騒がしたのだからそれなりのことは覚悟しないと・・・。申し訳ありません!謝っても済むことではありませんが、お許しください。」

まだ帝の怒りは収まらず、急に立ち上がって清涼殿に戻ろうとした。

「帝!」

側についていた関白は右大臣に言った。

「えらい事をいたしましたな。これから帝を交えてあなた方右大臣家の処遇を審議致さないといけません。これは帝に対し謀反に等しい行いです。右大臣殿、姫君が勝手に起こしたとはいえ、覚悟は必要ですぞ!かわいそうなのは結姫だ。関白家が引き取っておけばよかった。亡き院、常仁様もさぞかし姫宮の行く末に嘆いておられるであろう。行く末を託された帝もきっと・・・。では審議が終わるまでここで待機されよ。」

そういうと関白は急いで清涼殿に向かっていった。右大臣はたいそう落胆して女御に怒る気もしなくなっていた。

「分家ではあるが、摂関家の流れをくむ右大臣家は終わったも同然。四の姫の行いひとつで、二の姫、婿の参議殿、三の姫、婿の頭中将殿、そしてお前とお前の母君、この私は罪人として死ぬまで指を指される。当家の使用人、縁者に至るまで・・・。ここまで苦労して登りつめた位が一気に水の泡・・・。はあ・・・。何をどう間違ったのか・・・。」

女御はずっと泣き崩れて自分が起こした行いの罪悪感に苛まれ、嘆き悲しんだ。女房達も皆、同じように嘆き悲しんだ。

 一方、清涼殿では五位以上の太政官右大臣家縁者以外すべてが招集され、今回のことに関して一から十まで説明をし、右大臣家の処遇を審議した。もちろん以後このようなことがないように厳罰にするという意見が多く、その方向で進んだ。問題は亡き院の姫宮で参議の養女である結姫の処遇であった。帝は何とか守りたいと前もって晃に結姫と結姫の乳母を関白家に移すようにすぐ対処し、審議が始まる前に結姫を内親王皇籍復活の宣下をした。おかげで内親王と宣下したので審議にはかからなかった。即、右大臣邸は反逆罪として門が閉じられ、右大臣や女御も右大臣邸に閉じ込められ、正式な処遇を待った。

 次の日になってもなかなか処遇が決まらなかったが、やっと決まったのはその日の夕方になった。帝の勅使が、右大臣邸を訪れ処遇を告げた。右大臣を始め女こどもは縁のない寺にて出家を言い渡し、他のものに関しては北へ南へ流された。もちろん女御は称号を剥奪され、大原にある縁のない寺に母君と共に預けられ、出家をした。一通り処分が終わると、空いた位はそのままずらす形で皆が昇進していく。内大臣は右大臣に、大納言は内大臣に関白の嫡男である中納言は大納言に昇進した。そして結姫は大納言の養女として迎えられ、帝の妹宮が大切に育てることになった。後宮はまた皇后と中宮のお二人のみとなった。



《作者の一言》

やってくれました^^;四の姫・・・。ほんとに冗談半分だったのでしょう・・・。でもこういうことは許されませんよ・・・。右大臣家は散々な目にあいましたが、他の人達は目の上のたんこぶがひとつ消えてうれしいのでしょうか?元右大臣家から見たら、東三条の左大臣家は怨みの根源なのでしょうか?大怖い怖い・・・。何事もない様に願いますよ^^;

ところで二条院の位置ですが、設定としては、嵯峨天皇が院として過ごした冷泉院のあたりにしています。ほんとに大内裏の真横です。東三条邸は三小路向こうほどしか離れていません。どちらも二条大路に面しています。近いといえば近いかな・・・でも歩いたら結構あるよね^^;
スポンサーサイト

Comment

 秘密にする

Track Back
TB*URL

Copyright © ねぇね2人と双子っちのママのお部屋。別館. all rights reserved.
さくらと空 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。