4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第49章 いざ後宮へ~桜の木下で~《第一部完結》
 後宮に戻る日程が決まり、命婦がやって来て皇后に帝からの書状を渡す。そこには正式な文面のため、堅苦しい内容が書かれていた。後宮までの道中のこと、警護の者のことなどがこと細かく書かれていた。警護責任者の名前には兄である左近中将、例の頭中将の名前が記されていた。皇后は命婦に礼を言う。

「命婦殿、遠路はるばるご苦労様でした。帝にはよろしくとお伝えください。」

命婦はほっとした様子で皇后に申し上げた。

「受取って頂け、大変安堵いたしました。帝には皇后様にこの書状を直接受け取られるまでは帰ってこないようにと申されまして・・・。」

皇后は命婦の言葉に笑っているのを見て、命婦は安心して都に戻っていった。

 後宮に戻る日、その日のうちに後宮に入るということで、朝早く出立する予定となっていた。皇后は母宮がこの日のために新調してくれた十二単を着て、髪も綺麗に洗髪し、何もかもが最高の状態で、出立の時間を待った。すると左近中将が現れ、皇后の御簾の前に座って出立の挨拶をする。

「もう準備は整われましたか。車や警護の者も皆整いました。」
「はい、いつでも・・・。お兄様、道中よろしくお願いします。」

そういうと、萩が御簾を上げ皇后が御簾の外に出て、皇后の母宮に挨拶をする。一年ぶりに妹である皇后を見た左近中将は、今まで以上に華麗になった皇后を見て顔を赤くしてしまう。

(これがあの妹姫であろうか・・・。静養に入られる前も当代一といわれるほど大変美しい姫であったが、この一年で一段と品が出て美しい姫に・・・。妹姫でなく未婚の姫であったならば、必ず私はいや都中の公達がこの姫に求婚するだろう・・・。)

と思った。

「お兄様。」

と、皇后が声をかけると左近中将ははっと気がついて立ち上がり皇后の手を取って車まで案内した。警護のものは皆深々と皇后が車に乗り込むまで頭を下げて待っているが、頭中将は軽く頭を下げただけで、何もかも最高の状態で着飾った皇后をそっと見つめた。

(やはりあの方はこのような私にはつり合わない人なのだ・・・。)

そう自分に言い聞かせて、皇后との関係をきっぱり諦めて忘れようとした。

 皇后が車に乗り込むと、左近中将と頭中将は馬に乗り出立の合図をする。道中唐車の御簾越しに見える頭中将を見て、皇后は今までの事を思い出す。そして時折、頭中将は皇后の体調を気遣いながら現在地などの報告のため、声をかけてくる。

「皇后様、間もなく鳥羽を通過します。都までもうすぐです。ご気分はいかがでしょうか・・・。」
「お気遣いありがとうございます。別に悪くはございません。」
「そうですか。何かございましたら声をおかけください。このあと都に入り東三条邸に一時入ります。休憩後に輦車に乗り換えていただき、内裏、そして後宮へ入ります。よろしいでしょうか。」
「はい心得ております。この先のことよろしくお願いします。」
「はい。」

そういうと頭中将は頭を下げ、先導をしている左近中将のところへ走っていった。

 東三条邸につくと、左大臣がそわそわしながら待っていた。一旦皇后は車を降り左大臣と共に寝殿に向かう。寝殿に入ると、左大臣が皇后を上座に座らせて、うれしそうに話し出した。

「無事にご帰郷されて父はうれしい。長い間のご静養でこの先綾姫はどうなるかと思ったのですよ。帝もあなたのご帰郷をたいそう喜ばれて、このようにあなたのためにたくさんの護衛までお付けになられたのです。また長い間見ないうちに、さらに美しくになられるとは!きっと帝も驚かれるであろう。」

皇后は手をついて深々と頭を下げる。

「お父様、この一年間私のわがままでたいそう心配し、心を痛められたことでしょう。なんとお詫びを申し上げたらいいのか・・・。」

左大臣は今まで聞いたことのない皇后の言葉に驚いた。

「皇后はこの一年でたいそう成長されたようですね。私はこれであなたを安心して後宮にお返しすることが出来る。誤る必要はないのですよ。もう夕餉に時間になりますので、召し上がってからでもいいでしょう。護衛の者達にも何か出させるようにしましょう。」

そういうと左大臣は女房に夕餉の支度をさせ、護衛の者達にも夕餉を振舞った。寝殿では、御簾の中に皇后が入り、御簾の外には左大臣と左近中将、そして頭中将が座って一緒に夕餉を食べた。道中あった色々な事を左近中将が面白おかしく話したりして時間を過ごした。

「さあ、もうこんな時間だ・・・。」

そういうと頭中将は立ち上がり、皇后に向かって頭を下げると、車宿の方に走っていった。左近中将は皇后に向かって言う。

「私はここまでなのですよ。ここから内裏までは彼が先導することになっています。そのまま宿直に入られるのでね・・・。本当に彼は真面目で仕事熱心な人でね。特に今年に入って姫が生まれてからさらに輪をかけて熱心に仕事をされるから、帝の覚えも良い。そしてとても周りに気配りをするから公達中にも評判は良いのです。これからの出世は間違いないでしょう。彼を見習わないといけませんね。この摂関家の流れをくむ家柄の私が・・・・。さあ、そろそろ参りましょうか・・・。」

そういうと、車まで先導して、輦車に皇后を乗せる。頭中将先導のもと、皇后を乗せた輦車は内裏目指して動き出した。そして無事皇后は後宮に到着する。弘徽殿に入ると、懐かしい顔ぶれが皇后を迎えた。摂津を始め、たくさんの女房達が、元気になって帰ってきた皇后に涙し、喜んだ。

「摂津、長い間心配をかけましたね。そして皆さんも・・・。私はこうして皆さんに会えた事をうれしく思います。」
「まあ皇后様、摂津はずっと帝のお側で皇后様のお帰りをお待ち申し上げておりました。。以前に増して麗しくなられて・・・。本当に静養されて正解でございました。今から帝にご報告してまいりますわ。」
「摂津。ちょっと時間をいただけないかしら・・・。ちょっと庭の桜を見に行きたいの・・・。」
「まあお一人で!それは・・・。」
「大丈夫。ある御方と約束しているのよ。」

そういうと、皇后は十二単を脱ぎ小袿になると、庭に降りて満開の桜の木に向かった。

一方清涼殿では、頭中将が帝の御前に座り報告をする。

「ただいま無事、皇后様お戻りになられました。」
「ご苦労であった。あなたには色々感謝する。」

そういうと帝は立ち上がって御簾から出ると、すのこ縁から庭に飛び降りて走り出した。

「帝!どちらに!私も参ります!」

帝は頭中将のほうを振り返って言った。

「頭中将、ついてこなくていいよ。約束があるのだよ。弘徽殿近くの一番綺麗な満開の桜の下で。」

その約束相手が誰であることに頭中将は気づいた。そして帝が清涼殿を抜け出された事を見て見ない振りをした。

(きっとお相手はあの方だから・・・・。心配はないだろう・・・。)

と、頭中将は思いそのまま清涼殿を後にした。

 帝が約束の満開の桜の木近くに着くと、もう皇后は帝が来るのを待っていた。皇后は満開の桜を見上げ、風が吹くたび散っていく花びらをうれしそうに眺めていた。その姿を見た帝は、一瞬見とれてしまった。そして次の瞬間帝は叫んだ。

「綾子!」

その声に皇后は振り返り微笑むと、帝は皇后の元に走っていき、皇后を抱きしめ嬉しさのあまり皇后にくちづけをした。そして帝は皇后の顔をじっと見つめると再び抱きしめた。

「綾子・・・約束通り戻ってきてくれたのですね。」
「はい。もうこれからこのようなことは致しません。常康様、許していただけますか?」
「許すも何も、帰ってきてくれただけで嬉しいよ・・・。綾子が側にいてくれたら何もいらない。」
「まあそれなら、雅孝も孝子も雅和様も和子様も要らないのですか?」

帝は少し苦笑して言った。

「やはり、そういうところ綾子だね・・・。いらないわけではないよ。」
「わかっていますわ。ちょっとからかってみたくなっただけです。」
「相変わらず綾子は意地悪だね。まあそういうところが好きなのだけど・・・。綾子、ずいぶん見ないうちにとても綺麗になったね・・・一瞬見間違えてしまったよ。そうだ、今年の夏は貴船に行こう。そして秋は嵯峨野、冬は・・・。まあいいとして二人でゆっくり過ごす時間を作ろう。」

皇后は微笑んで帝に言う。

「これからはずっと出来るだけ二人でいっしょに・・・・。」
「うん、そうだね。」

すると二人は内裏一綺麗な満開の桜の木の下で長い長い約束のくちづけを交わした。


《作者からの一言》

これでひとまず常康&綾子編は終わりです。次はお子様編です^^本当に桜というキーワードがよく出てきますね^^;次もそうですが・・・。今現在この物語は130章ほどで完結しているのですが、こう読み返してみると、同じようなパターンが多いのに気がつきます。

お子様編序章である50章はまだ常康&綾子&将直が10年後の設定で出てきます。お子様編では1章毎の長さが結構あります。まだまだ先はありますが、お付き合いください。
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