4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第50章 女童《第2部 序》
 時が過ぎ、帝在位十五周年の祝いが盛大に行われた。その祝いと並行して、東宮雅孝親王の元服式が行われ、今まで過ごした関白太政大臣(前左大臣)家を出て東宮御所に移った。帝は先代と違って、実力重視で官位を与え、都は大変栄えた。その反面栄華を極めた摂関家は以前に比べ、権力は衰退気味となった。帝の子供達は東宮を筆頭に三男三女で弘徽殿皇后綾子の御子が東宮雅孝親王、四の姫宮孝子内親王、五の姫宮常子(ときこ)内親王、六の宮雅哉親王の四人。麗景殿中宮和子が二の宮雅和親王、生まれてすぐ亡くなった三の姫宮雅子内親王の二人である。

 ある日、帝は右大将(前頭中将)を御前に呼び出す。

「帝、何か御用でしょうか?」
「右近殿、あなたの姫はいくつになられましたか?」

右大将は不思議そうな顔をして答えた。

「うちの姫でございますか?十歳になりました。」
「色々あなたの姫の噂は都中に広がっていますね。とてもかわいらしい上に、教養もきちんとされていると・・・。」
「私の母が躾や教養については厳しくしているからでしょうか・・・。何か?」
「お願いがあるのですよ。今私の内親王たちの相手をしてくれる女童を探しているのだけれど、なかなかいい姫がいなくてね。大人ばかりの後宮に住まわせている内親王たちがかわいそうでならない。ぜひ、あなたの姫を女童として後宮に出仕していただけないだろうか・・・。」
「考えさせていただいてよろしいでしょうか?私の子は姫だけですので・・・。」
「わかった、いい返事を待っていますよ。」
「御前失礼致します。」

右大将は深々と頭を下げると、下がっていった。

 大将が邸に帰ると、寝殿のすのこ縁に座り込んで考え事をする。すると大将の母君が声をかける。

「将直殿、そのようなところにいると風邪を引きますよ。さあ中に入って束帯を着替えなさい。何かあったのですか?あなたがこのようなところに座って考え事をするなど・・・。」
「母上、ご心配ありがとうございます。ちょっといろいろありまして・・・・。」

大将は着替えを済ますと、脇息にもたれかかる。すると母君はいつものように大将に言う。

「いつになったら縁談を受けてくれるのかしら?綾乃のためにも母君は必要よ。月姫が生きていてくれれば問題はないのだけれど・・・。」
「母上、またそれですか?」

以前、綾乃の母が戻るべきところに戻った後、大将は綾乃の母は急な病で亡くなってしまったといって母君と綾乃姫に伝えた。いまだに母君と綾乃は大将の言葉を信じている。すると綾乃姫が大将の所へやってきた。

「お父様、今日綾乃ね、おばあさまにお裁縫を教えていただいたのよ。見て、今日は人形のお衣装を作ったの。」
「おや、その人形どうしたのですか?」
「宇治のおばあ様のところにあったの。これは綾乃のお母様が使っていたお部屋においてあったって。お母様が綾乃のために作ってくれたのじゃないかなって宇治のおばあ様が言っていたの。見て、これお父様にそっくりよ。これは・・・もしかして綾乃のお母様?」

大将は綾乃から人形を見せてもらうと確かに姫の人形は綾乃姫の母君に似ていた。

(いつ、これを作られたのだろう・・・。本当にあの頃の私と綾子姫に似ている・・・。)

「そうかもしれないね。大事にするのだよ、綾乃。」
「うん!」

そういうと、乳母に連れられて綾乃姫は部屋に戻って行った。

「綾乃は母君に似ているのかしらね・・・。本当に器用で、何をさせても上達が早いわ。先日のお歌も見たでしょ。あなたに宛てた・・・。ますますあなたと母君によく似てきて・・・。」
「母上、実は今日、帝の御前で、帝に頼まれごとをされたのです。」
「まあ!帝から直接?」

大将は少し考えて母君に言った。

「綾乃を帝の内親王様方の遊び相手として出仕させたいと仰せで・・・。綾乃一人で後宮に入れるなんて・・・・。」
「何を言っているのです!今すぐ良い返事を帝にしなさい!」
「しかし綾乃がなんというか・・・。」

大将は立ち上がって綾乃姫の部屋に向かった。そして綾乃を膝の上に乗せると、優しく問いかける。

「綾乃、いいかい?お前は後宮の御年十二歳と六歳の内親王様のもとへ行って、一緒にお勉強したり、遊んだりしたいかい?もしよいのならば、あす帝にご報告しないといけないのだよ。どうする綾乃。」

綾乃は少し考えて、返事をする。

「はい!綾乃ね、内親王様とお友達になってお勉強したり遊んだりしたいわ。きっと楽しいでしょうね。綾乃にはお姉さまも妹もいないからお二人になってもらえるのかな。」
「そうかもしれないね。当分父と会えないかもしれないけどいいかな・・・・。」
「それは嫌だけど、でも行ってみる。嫌なら帰ってきていいでしょ。」
「そうだね。いいよ。」

大将の母君は慌てて言い出す。

「じゃあ、例のお衣装を出して綾乃に合うように手直ししないといけないわね。」
「母上、頼みますね。きっと綾乃に似合うと思いますよ。」
「例のお衣装?」

綾乃は不思議そうな顔をして大将の顔を覗き込む。

「綾乃の母上が綾乃のために縫ってくれたお衣装なのですよ。」
「綾乃のお母様が、綾乃のために?それ着たい!」
「まあ、綾乃ったら。とても大きいかもしれないのでおばあ様がきちんと着られるようにしてあげるのを待ってなさいね。」

綾乃姫はとてもうれしそうな表情をして、乳母と寝所に入って眠りについた。

 右大将の姫君の女童殿上が決まり、帝の御前に挨拶をする日がやってきた。朝早くから綾乃姫はわくわくしながら、母君が作った晴れの衣装に袖を通した。すると姫の乳母が言った。

「まあぴったりですこと。姫様、とてもお似合いですよ。」
「ありがとう。あ、父様。」

すると束帯を着た右大将が姫の部屋に入ってきた。

「準備は整いましたか?ほう、見違えてしまったな・・・。よく似合っていますよ。これなら帝の御前に出してもおかしくはない。さあ、行くよ。」
「はい!」

そういうと右近大将と綾乃姫は車に乗り込んで内裏へ向かう。車の中では姫がとても緊張した様子で右大将に問いかける。

「ねえ父様、帝ってどんな方?内親王様方は?内親王様のお母様は良い方かしら。綾乃、皆様に気に入っていただけるかしら。」
「皆様は良い方ばかりですよ。帝はお優しいし、内親王様方もとても礼儀正しくて、内親王様の母君弘徽殿の皇后様はとてもお綺麗でやさしい方です・・・とても・・・。綾乃、礼儀正しくお勤めするのですよ。」
「はい!綾乃、父様が恥ずかしくないようにきちんとお勤めするわ。乳母の小宰相も一緒だし。」
「よい心がけです。何かあったらいつでも戻ってきなさいね。」

綾乃姫はうれしそうに扇を開いたり閉じたりして遊んでいる姿を見て、右近大将は微笑んだ。

 内裏に着くと、早速帝の御前に通される。綾乃姫は右大将に促されながら、帝の御前に座る。

「さ、綾乃、帝ですよ。ご挨拶しなさい。」
「はい。父様。」

すると綾乃姫は深々と頭を下げたあと、帝に挨拶をする。

「はじめまして。本日より女童として出仕することになりました、右近衛大将の娘源綾乃と申します。よろしくお願いします。」

すると帝はうれしそうに話し出す。

「よく来てくれましたね。噂どおりきちんとご挨拶できる姫君だ。おやその衣は私があなたの誕生を祝って差し上げた反物で作った衣装だね。」
「はい!お母様が私の小さいときに縫ってくれたのです。」
「そう、あなたの母君が?とてもお似合いですよ。橘、この姫を連れて後涼殿で遊んでいてくれないかな。ちょっと右近殿と話があるから。綾乃姫、この橘と一緒に遊んでおいで。」

綾乃姫は橘に連れられて、御前を下がっていった。下がったのを確認して帝は話し続ける。

「本当に可愛い姫ですね。先が楽しみだ。さて、右近殿、あの姫のことなのですが、あることが内定しています。私の二の宮雅和親王を知っているね。」
「はい中宮様の御年十二歳の若宮様ですか?」
「そうだ。昨年中宮の父、先右大臣殿が亡くなり、雅和の後見人が今いない。ぜひあなたに雅和の後見人になっていただきたい。」
「後見人ですか?」
「そう、三年後の雅和親王元服の時、あの姫を副臥役として、後々には雅和を代々中宮の実家である中務卿宮家を継がし、雅和の妃として迎えたいのだ。よろしく頼んだよ。」

右大将は深々と頭を下げて帝の言葉を賜る。帝と色々話していると橘が急いで御前にやってくる。

「申し上げます!綾乃様が・・・綾乃様が・・・。」
「橘、綾乃姫がどうした?」
「ちょっと目を放した隙にどこかへいかれました!右近様申し訳ありません!」
「御前失礼します!初めてのこのように広い内裏、どこかへ迷ってしまったのかも知れません。私が探してまいります。橘殿は屋内を!」

そういう右大将は立ち上がって内裏の庭に下りて探し始めた。

 「あら、どこからか泣き声が聞こえるわね・・・。」

そういうと皇后は立ち上がって弘徽殿の庭に降りると、声がするほうへ歩き出す。

「弘徽殿様!そのままではいけませんわ!私が行きます!」

と女房が急いで皇后のあとを追いかけ皇后の頭に衣をかぶせる。

「参議、私だけでいいわ。複数でいくときっと泣いている子は驚いてしまうわ。」

皇后は参議を残し、声の主を探す。するとあの満開の桜の下で小さな姫が泣いていた。皇后はその姫に近付き、声をかける。

「どうかしたの?どちらの女童かしら。」

綾乃姫は皇后の方を見るとさらに泣き出した。

「父様を探していたら迷子になってしまったの。私今日初めてここに来たから・・・。」
「そう、じゃ、私が一緒に探して差し上げましょう。」
「うん!」

そういうと皇后は姫の手を引き、弘徽殿に戻ろうとしたとき、声が聞こえた。

「綾乃!綾乃はどこにいる!」
「あ、父様!」

綾乃姫は声のするほうを向き、叫んだ。皇后もその声の方を向く。

(綾乃?綾乃なの?)

向いた先には右大将が立っていた。右大将は皇后の姿に気がつき、膝をつき頭を下げる。皇后はかぶっているものをはずすと、綾乃姫を右大将のもとに返し、微笑んだ。

(将直様・・・。)

と心の中でつぶやくと、皇后は弘徽殿に戻っていった。

「ねえ、父様。あの方はだあれ?」
「あの方は弘徽殿の皇后様ですよ。あなたのお仕えする内親王様達の母上様です。」

(そして綾乃の母様ですよ・・・。)

「そう。とてもお優しそうな方ね。」
「そうだよ。とても優しい方だよ。さあ、清涼殿に戻ろう。」

大将は綾乃姫の手を引いて清涼殿に戻っていった。

 弘徽殿では、皇后を筆頭に皇后のお子様達、中宮、そして雅和親王が歓談していた。相変わらず皇后と中宮は仲が良く、昨年の中宮の父宮が亡くなれてからはさらに親密になっていた。父宮がおられず、お邸は中宮の祖父宮が住んでいるだけで雅和親王は帝より後宮に一室を賜って元服までの間母宮と共に過ごしている。もちろん東宮御所に出入りしては東宮と一緒に漢学や帝王学を学んだり、東宮お得意の馬術を一緒にしたりしている。

「弘徽殿様、帝のお越しでございます。」

帝の先導の女官が言うと、女房達は帝を向かえる準備をし、他の者達も帝をやってくるのを待つ。

「ちょうど皆がお揃いでよかった。今日からこちらに仲間入りする女童を紹介しようと思ってね。さ、綾乃入りなさい。」

するときちんと身なりを整えた姫が乳母と共に入ってくる。そして皆の前に座ると、深々と頭を下げた。

「綾子、前々から言っておいたよね。この女童は内親王たちのお相手にと出仕させたのだよ。さあ、綾乃。」

「皆様始めまして、本日よりこちらに出仕してまいりました。右近衛大将源将直の娘、源綾乃と申します。よろしくお願い申し上げます。こっちは私の乳母の小宰相です。」

小宰相は頭を下げると皇后が言った。

「まあ、可愛いこと。この姫なら私の内親王のお相手にぴったりですわ。孝子、常子、仲良くしなさいね。」

すると綾乃は皇后に言った。

「皇后様、先程はこちらにお庭にて迷子の私を助けてくださりありがとうございました。父も大変感謝しておりました。」
「よろしくてよ。とてもかわいらしい泣き声が聞こえたものだから気になってついこちらを抜け出してしまったのですもの。何事もなくてよかったですわね。孝子、常子登香殿に戻って綾乃と一緒に遊んできなさい。参議、さ、姫宮たちを・・・。」

参議は姫宮たちと、綾乃を連れて登華殿へいった。そのあとをついて雅和親王も走って行った。

「まあ雅和も綾乃姫を気に入ったようですね。綾子様。」
「ええ、微笑ましいこと・・・。」
「そうだね、右大将殿も気にしていたからね。和子、あの姫なのだけど雅和の妃にどうかと思っているのですよ。あの中務卿宮家を再興しないといけません。代々和子の実家が中務卿宮を名乗ってきたからね。雅和しか再興できないと思うのですよ。今の状態では後見人がいないので再興が難しいが、右大将殿が後見人を引き受けてくれてね。元服の折も、あの姫を副臥役、そして成長された暁には妃として・・・。和子、いいかな・・・。」

中宮はうれしさのあまりほろほろと泣き出した。

「ありがたいことです。帝が私の実家の再興を思っていただいているなど・・・。昨年父が亡くなり、雅和の行く末を悩んでいたのですけれど・・・。これで安心ですわ。あとは雅和が綾乃姫を気に入ってくれるかでしょうね。大変感謝しております。」

中宮は帝の深々と頭を下げてお礼を言う。そして麗景殿に戻っていった。

「綾子、今晩話があります。いいですか。またこちらに参ります。」

そういうと、帝は清涼殿に戻っていく。皇后は胸騒ぎがしてたまらなかった。

 夜になると、帝がやってくる。

「綾子、今日はちょっと花見をしようと思っていたのです。橘や晃に色々用意させているから、おいで・・・。そちらで色々話したいことがある。」

そういうと、皇后の手を取り庭に降りると、例の桜の木に向かった。そこには敷物がしいてあり几帳も立てかけてあった。そして様々な料理や菓子が置いてあり、ちょっとした宴の様であった。

「さあ座りなさい。晃、例の者をこちらへ。」

皇后が座り、帝が座ると、暗がりより人がやってくる。そして膝をつくと頭を下げる。

「帝、お呼びでしょうか?」
「右近殿、話があってね。まあ座りなさい。」
「しかしこちらには皇后様が・・・。」
「気にしなくていい。二人に話があるのだから・・・。」

いつの間にか帝の側についていた参議橘晃は下がっており、三人だけになっていた。

「ずっと十年来いつ話そうか迷っていたのだが、後宮に綾乃姫が入られたことで今日あなた方に話すことにした。本当はこのまま死ぬまで胸の中にしまっておこうと思ったのだけれども・・・。」

すると一息ついて再び話し始める。

「綾子、あの綾乃姫はあなたの縁の姫でしょう・・・。ずっとあなた方の関係は知っていた。ちょうどこの頃かな・・・。綾子の笑顔がなくなったのは・・・。そして同時に右近殿が毎日のように宿直をして、私が右近殿とすれ違うたびに綾子の香の匂いがした。初めは気のせいだと思ったよ。しかし長谷寺から帰ってきた右近殿を見て確信したのです。そしてそのあと、急に綾子の里下がり・・・。文を書いても返事は来ず、何度も宇治に出向こうかと思った。でもできなかった。綾子と右近殿の関係を受け入れたくなかったらね。この気持ちをぶつけられず綾子に似ている藤壺を入内させたりしても見たが、気が晴れるわけもなく・・・。本当にあの頃の私はおかしくなりそうだったよ。綾乃姫が生まれた聞いてやっと綾子が帰ってきてくれるだろうと・・・。だから普通なら贈ることはしないお祝いをしたのですよ。綾子の姫だから・・・。」

すると皇后は大将と共にお詫びを申し上げる。

「常康様、ご存知でしたのね・・・。私なんてお詫びしたらいいのか・・・・。」
「帝、どのような罰でも受けます!この私の処罰を!」

すると帝はため息をついていった。

「あなた方はわかっていない。私は右近殿に感謝しているのですよ。きっと綾子の性格だったら後宮に戻ることはなかっただろうが、右近殿のおかげでこうして綾子は後宮に戻り、あのあとも私の一男一女産んでくれた。そしていつもどおりの笑顔に戻った。このようになったのは私にも少し原因があったからね。さあ、心に詰まっていたものが取れてすっきりしたよ。これで貸しが出来たね。」

まだ大将と皇后は頭を下げたままにしていた。

「右近殿、雅和と綾乃姫の件、頼みましたよ。さあ二人とも頭を上げて。せっかく花見の宴を用意させたのだから。今夜はゆっくりと・・・。」

三人はゆっくり花見の宴を楽しんだ。そしてさらに三人の絆が深まった。



《作者からの一言》

お子様編の始まりです。10歳のかわいらしい姫へと成長した綾乃が主人公です。

しかしながら帝である常康の心の広さ^^;人がよすぎます^^;普通なら皇后と右大将は罰せられるはずなのに・・・・。右大将はこれを機会にいろいろ帝に借りを作ってしまい、帝には頭が上がりません。(もちろん帝が相手なので上がらないのは確かですが・・・。)どうなることやら^^;
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さくらと空 
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