4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第52章 二の宮の初恋
 二年の月日が経ち、綾乃は後宮に馴染み楽しい毎日を過ごしていた。綾乃は女童には珍しく、桐壺を賜った。後宮の女官達は綾乃の特別待遇に色々噂をしたが、綾乃は気にせず有意義な毎日を送っている。

この日は内親王たちの呼び出しがなく、とても気持ちのいい風が流れてきていたので、すのこ縁に座って孝子内親王に借りた物語を読んでいた。

「綾乃!」

二の宮が、綾乃の姿を見るなり、綾乃のほうに走ってきた。そして息を切らしながら、手に持ったものを綾乃に渡した。

「二の宮様、これは?」
「橘の花だよ。綾乃が好きって言っていたから、父上に頼んで今年初めての右近の橘の花を頂いたのです。」

二の宮は顔を真っ赤にして綾乃に橘の花を渡すと、さっと立ち去って行った。すると橘の枝には文が付けられていた。一緒にいた小宰相はそれに気付き綾乃に言った。

「まあ、二の宮様ったら・・・。ちゃんと姫様の一番お好きな花をご存知でしたのね。それもあの右近の橘の花をわざわざ・・・。」

綾乃は恥ずかしそうについている文を読んだ。


『今年一番の花をあなたに差し上げます。あなたのようにとても可愛く、素敵な香りがするのですから・・・。 雅和』


(これって・・・)

綾乃は小宰相に文を見せると、小宰相は興奮して言う。

「まあ!二の宮様ったら、姫の事をお好きなのですわ。返事はどうなされますか?」
「これってやはり恋文なの?綾乃はまだ・・・。返事しなきゃいけない?どう返事すればいい?」

小宰相は首を縦に振ると、部屋から御料紙と筆を持ってきて返事を勧める。綾乃は何かすらすらと書き始めると、小宰相に梨壺の二の宮のところへ持って行かせる。それを受取った二の宮は大変喜んで返事を確かめた。


『まだつぼみです。もう少ししたら花が咲きよい香りがするのでしょうね。 綾乃』
(もうちょっと待っていてください。二の宮様と綾乃が大人になったらよい返事をしますよ。)


というような内容であったので、二の宮は残念そうな顔をして考え込む。すると何かを思いついたのか、立ち上がって母宮である麗景殿の中宮のところへ出向いた。

「母上、もう僕は十四です。早く元服できませんか。」

中宮は急な二の宮の発言に驚いた。

「雅和、何を急に言うのですか?来年の春と決まっているでしょう。まあ落ち着いて・・・。どうかしたのですか?」
「好きな姫がいて、まだ元服してない子供だからと・・・。」
「まあどちらの姫かしら?綾乃姫かしら?」

二の宮は赤い顔をして下を向いたのを見て、中宮はため息をつく。

「あなたにまだ言うべき事ではないのでしょうけれど・・・。帝にお聞きしないとねえ・・・。母の口からはいえないのですよ。」
「母上!」
「ですから、勝手に母が言えることではないのです。」

二の宮は麗景殿を飛び出すと、清涼殿に向かった。そしてこっそりと清涼殿に忍び込むと、何か話し声が聞こえた。

(何だ、先客かあ・・・ちょっとここで待っておこう。)

そう思うと清涼殿の帝の寝所に隠れた。帝の話している相手は東宮のようで、人を遠ざけてなにやら話しているようであった。二の宮はそっと耳を傾け、話の内容を聞く。

「東宮、話とは?」
「父上、ぜひお聞き頂きたいことがありまして、こうして参内したのですが。」
「人を遠ざけた上の話だから何か大事なことなのだろうね。」
「先日父上はこの私にもうそろそろ東宮妃を考えてはどうかと仰せでしたが、私も十七です。色々考えては見たのですが、ずっと想っていた姫がいるのです。」

(なあんだ兄上の縁談の話ね・・・・。)

「ほう、東宮にそのような姫がいるとは初耳だね。それはどちらの姫かな?元服の折副臥役の内大臣の結子姫ですか?それとも他に・・・。」

すると東宮は間をおいて話す。

「まだ裳着を済ましてはいない姫なのですが、とてもかわいらしい姫なのですよ。利発で明るくて、そう、橘の花のような・・・。小さくて可憐な可愛い姫なのです。その姫の裳着が済みしだいすぐにでも・・・・。」

(兄上の好きな人って・・・・。もしかして・・・。)

「東宮、もしかしてそれは・・・・右大将殿の?」
「はい、綾乃を・・・・。」

すると二の宮は隠れている帝の寝所を飛び出し、叫ぶ。

「だめ!兄上!綾乃だけはだめ!」

帝と東宮は不意に出てきた二の宮に驚き言葉を失った。

「綾乃は僕がずっと好きだった姫だもん。母上も、綾乃ならいいですよって言ってくれたもん。たまにしか綾乃に会わない兄上に綾乃のどこがわかるの?」

帝はため息をついて、話し始める。

「東宮、あなたの願いを聞いてやりたいのだが、いろいろあって承知できないのですよ。もともとあの姫は東宮のためではなく、二の宮のために後宮に出仕させたのです。表面上は内親王たちの遊び相手としてだけれども・・・。」
「どうして雅和なら良くて東宮の私がだめなのですか?納得がいきません。」

帝はため息をついて、話し出す。

「東宮にはいずれ話さないといけないですね。本当に東宮は弘徽殿に似て、思った事をすぐ口にされ、頑固だね・・・。二の宮はどうしてこちらに来たのですか?先触れもなく。」
「父上に大事な話があったのですが、兄上の前では話しません。だって恋敵だから。また話します。」

そういうと二の宮は清涼殿を出て行った。そして麗景殿の中宮のもとにやって来る。

「父上様はご承知になられましたか?雅和。」
「言ってないもん。」

中宮は困り果てた様子で二の宮に言う。

「雅和、言ってもいいものだかわからないのですが、秋になれば綾乃は後宮を去るのですよ。すぐに裳着をされるって聞いたのだけど・・・。雅和の妹宮孝子様の裳着も終わられ、同じ歳の弾正尹宮様の親王様に嫁がれるのも決まっているし・・・。ずっと後宮に綾乃を引き止めておく必要はないのですよ。雅和も年が明けたら、大おじい様のいる二条院に移ることにもなっているのですから・・・。」
「知っているよ。この僕が元服したら母上のご実家が代々受け継いでいる中務卿宮になるのでしょ。父上もそれを望んでいるって・・・。」
「わかっているのでしたら、東宮の兄上様のようにしっかりお勉強をなさらないといけないわね。来年の春には中務卿宮として父上様や東宮様を助けていかなければならないのですよ。」

二の宮はふくれた顔をして麗景殿を出て行った。そして桐壺の綾乃のところへ行った。綾乃は二の宮にもらった橘の花を、顔を赤らめて眺めている。そこへ綾乃のもとに見たことのある女童が文を持って訪れ、綾乃に渡すと立ち去って行った。そしてうれしそうに文箱を開けると、文を読み始める。二の宮はそっとすのこ縁に座っている綾乃の横に座ると一言言う。

「その文は東宮からですか?」
「え?二の宮様。」
「いつも綾乃が兄上を見るときの顔と同じだから・・・。」

二の宮はふくれた顔をして三角座りをしている自分の膝に顔をうずめる。すると綾乃は笑った。

「何か勘違いされていませんか?二の宮様。よく御覧になって。」

そういうと、綾乃は二の宮に文を見せる。

「これは?」
「皇后様からよ。皇后様は歌がお上手だから添削してもらっているのよ。だって綾乃は宮家に嫁ぐのだもの。父様が、宮家に嫁いだら色々な宮家の方々との付き合いが多くなるからって。綾乃は歌が一番苦手だから、皇后様にお願いして教えていただいているのよ。」
「宮家に?」
「そう。そう父様が言っていたの。だからおうちに帰って裳着が済んだら、お妃教育をするの。この後宮に来たのもその一環だってこの前聞いたのよ。二の宮様?」

二の宮は立ち上がって梨壺に戻った。すると梨壺には中宮がやってきていた。

「母上?」

中宮は微笑んで声をかける。

「雅和、気になってこちらに来たのですけれど、どこに行っていたのですか?」
「桐壺です。綾乃が宮家に嫁ぐって聞いたのですがどちらの宮家なのですか?」

中宮は困った顔をしていう。

「先ほど帝にお許しを得たので言いますけれど、それはあなた、雅和ですよ。中務卿宮家に嫁いでいただくのよ。良かったわね雅和。」
「うん!そうだね母上。」

二の宮は一気に気分が晴れ、大変喜んだのです。



《作者からの一言》

二の宮雅和親王の初恋の話です。雅和は綾乃に出会ったその日に一目ぼれしてしまって、この二年という月日の間に恋焦がれて見守って来たのです。綾乃はもともと東宮が初恋であったのだけれども、ただの憧れであったと気付き、その上父右大将に宮家との婚約の事を聞き、初恋はなくなってしまったのです。もちろん綾乃は二の宮に嫁ぐ事を知っているので、二の宮を慕っているのです。(本当に好きなのかは疑問ですが・・・・。)でも東宮は初恋の相手である綾乃を諦められないようですね^^;
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