4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第53章 東宮の求婚
 綾乃が後宮を去る日がやってきた。綾乃は朝から各所に右大将とともに挨拶に行った。麗景殿では中宮と二の宮が待っていた。

「まあ、もうそのような日が来てしまいましたのね。綾乃のかわいらしい笑顔が見ることが出来ないなんてね・・・。ねえ二の宮。」
「そうだね。寂しくなるね。綾乃、文を書いてもいいかな・・・。」
「もちろん。二の宮様なら大歓迎です。楽しみに待っています。ではまだまわらないといけないところがあるので、これで・・・。」

二の宮は悲しそうな顔で綾乃を見つめた。中宮は去っていく綾乃を見とどけると、二の宮に言う。

「雅和、あなたと綾乃の件は内定しているのですよ。元服さえ終われば、正式な婚約が出来るのですから。」
「そうですね・・・。」

一方弘徽殿に挨拶に来た綾乃は皇后をはじめ内親王たちに挨拶をする。皇后は綾乃を大変可愛がっていたので、後宮から去ることにとても悲しい顔をして対応をする。内親王たちも、綾乃の手を取り涙する。

「さあ綾乃、もういいだろう・・・。」
「はい、父様・・・。」

右大将と綾乃が退出しようとすると、前から東宮がやってきた。右大将は端により深々と頭を下げて東宮が通り過ぎるのを待った。

「綾乃、無礼ですよ、さ、こちらへ退きなさい。」

綾乃は右大将に言われたとおり、端に寄り座って頭を下げる。すると、東宮は綾乃の前で止まり、声をかける。

「間に合ってよかった・・・。綾乃、これを・・・。」

東宮は桔梗の花を綾乃に渡すと、微笑んで、もと来た方に戻っていった。桔梗の花には文がつけてあった。綾乃は帰りの車の中で、東宮に頂いた文を開き内容を確かめる。

『他の花になるそうだけど、春の花になってみるのもいかがでしょうか  東宮雅孝』
(他の人の所へ嫁ぐそうだけど、私の妃になってはどうですか?)

綾乃は東宮の歌を見て顔が赤くなった。その様子を見た右大将は綾乃に聞く。

「綾乃、何が書かれていたのでしょう。わざわざ直接東宮から文をいただくなんてね・・・。普通なら女童とか、殿上童を使うのでしょうが、よっぽどお急ぎであったらしい・・・。」

綾乃は右大将に文を見せる。

「父様・・・東宮様に求婚されちゃった・・・。どうしたらいいの?」
「きっと綾乃をからかっておられるのであろう・・・。弟宮様のほうが先に妃を迎えるものだから・・・。帝も東宮が何を言われてもお許しにはならないと思うから、そのままにしていいよ。変に返事したら求婚を受けてしまったことになるからね・・・。いいかい。父様に任せなさい。」

このあとピタッと東宮からの文は届かず、やはりいたずらか何かであろうと安心したが、、裳着を終えた途端また東宮からの文が毎日のように送られてくる。このことが都中に広まり、綾乃が東宮妃になるのではないかという噂が流れ始めた。右大将も、参内すると様々な人たちに声をかけられ、困り果てる。

「これはこれは右大将殿・・・。あなたの姫君は幸せものですなあ・・・。副臥役であった当家の姫を差し置いて・・・。」
「内大臣様・・・うちの姫は他に嫁ぐところが内定しておりますので・・・。東宮に入内など・・・。」
「またまた・・・。右大将殿は帝の信頼も厚く、どこに行くにもいつも側に・・・。従六位から始められたあなたがここまで上ってこられたのですから・・・。入内宣旨があるのも時間の問題ですなあ・・・。」
「いえいえ・・・そのようなことは・・・。」

(あるわけないだろ・・・異父兄妹なのだから・・・。帝も承知されているし・・・。ふう・・・帝にご相談してこの状況を何とかしていただかなければ・・・二の宮様がお可愛そうだ。)

右大将は早速帝に参内願いを出し、許可が出るのを殿上の間で待つ。待っている間も様々な殿上人が、綾乃の事を聞きに来る。

(ああ!うっとうしい!)

と右大将が苛立ちの表情をすると侍従が現れる。

「右近衛大将源朝臣将直様、帝がお待ちです。」

右大将は立ち上がって、帝の御前に上がる。

「もう来る頃だと思いましたよ右大将殿・・・。東宮のことで大変なことになってしまったね。そこではちょっと話せないので中へ入りなさい・・・。」

帝は側にいるものを遠ざけると、右大将を御簾の中にいれて話し出す。

「以前東宮にはあなたの姫に対する気持ちを告白されたことがありましたが、決して承知はしないと答えたつもりでした・・・。しかし、諦められなかったようですね。東宮は皇后に似て思ったら行動に移す性質なので、少し心配です。いずれ東宮を呼んで話さなければならないと思うのです。二の宮も今回のことで大変心を痛めたようで、いつこの私が綾乃を東宮妃として入内の宣旨をするとかと焦っているようなのですよ。今朝も朝早くからこちらに来て、早く元服をさせてくれないかと言うものでね。来年春から繰り上げて年明けにでもと考えている。そろそろ二の宮と綾乃の件に関して、公式に発表しないといけないな。よろしいかな。」
「御意に・・・。」

帝は、橘と晃を呼ぶ。

「橘、常寧殿で内密な話がしたい。用意を頼む。また皇后もそちらへ。橘晃、東宮御所へいって東宮を常寧殿へ殿上せよと伝えなさい。右大将殿も来て頂きたい。」

帝は右大将とともに後宮の常寧殿へ向かう。途中橘晃が血相を変えて走ってくる。

「申し上げます!東宮が御所にいらっしゃいません。今春宮坊のものを使いお探し申し上げておりますが・・・。東宮侍従の藤原隆哉もおらず、東宮の馬が一頭消えておりました。」
「しまった!右近殿、今すぐあなたの邸へ。そういえばあなたの母君は、二の宮との件反対だったね・・・。」
「はい、東宮妃のほうがふさわしいと・・・。今回の文の件も大変喜んでおり・・・。」
「あなたの母君もこちらへお連れしなさい。そうだ場所は東宮御所に変更だ。さあ急いで!晃も頼んだよ。」

右大将と参議は馬を借りて五条にある右大将邸へ向かった。

 その頃右大将邸では、綾乃は部屋で物語を読みながら過ごしている。すると綾乃の祖母が入ってくる。

「綾乃、お客様ですよ。小宰相、綾乃を着替えさせなさい。その格好では失礼ですよ。」
「誰?二の宮様?」
「まあ。もうこちらに・・・。」

祖母の後ろには立派な直衣を着た男が立っていた。

「いくら待っても返事が来ないので、我慢できずに御所を抜けて来てしまいました。綾乃・・・。」

綾乃は声のするほうを向く。

「東宮様・・・。」

いつの間にか綾乃の祖母は下がっていて、綾乃と東宮そして小宰相のみとなっていた。

「恐れながら、姫様は東宮様の弟宮二の宮様の許婚であられます。このような事をされますと・・・。」
「小宰相は退いてなさい!二の宮はまだ元服もしていない半人前。いくら許婚だとしても、まだ正式には宣旨を受けていないのだから、この私の妃に迎えても・・・。」

小宰相はがんとして綾乃の側を離れず、泣きながら東宮に申し上げる。

「おやめください!綾乃姫様は恐れ多くも東宮様の妹君・・・・あ・・・。」
「小宰相、今なんていった?この私の妹・・・・?」

この一言と同時に右大将が綾乃の部屋に入ってきた。そして右大将は小宰相に言った。

「小宰相・・・。」
「大将様、申し訳ありません・・・姫様のためについ・・・。」
「父様、綾乃って誰の子なの?」

と、綾乃は右大将のもとに走ってしがみつき言う。

「とりあえず、この件に関して帝からご報告がある。東宮様も帝がお呼びです。母上も、来ていただきたいと・・・。さ、もうそろそろ車の用意が整うと思うので・・・。」

皆が東宮御所に到着し、帝の待つ一室に集まった。すると帝は関係者以外を遠ざける。そして帝は右大将にこの件に関して言わせる。

「恐れ多くも、帝の口からではとても失礼な内容ゆえ、この私がこの件に関して言わせていただきます。よろしいですか、東宮様。」

東宮は首を縦に振り、右大将の話に耳を傾ける。

「綾乃の父は私ですが、母は・・・母は皇后綾子様なのです。私は始め皇后様とは知らず、密通してしまい、皇后様と知ってからも気持ちが抑えられず私の子を身籠られたのです。そして生まれるまでの間、宇治の別邸でお預かりし、生まれた綾乃を私が引き取った。もちろんこのことは知られてはいけないことであったので、母は亡くなってしまった事にして、ここまで育てたのです。帝はこのことに関して薄々知っておられ、ある条件を呑むことで、密通の事実をお許しいただきました。この件に関しては帝、皇后様、私の秘密にしておこうと思っておりましたが、今回東宮様が綾乃を見初めてしまったことで、帝と相談した上綾乃の出生について話すこととなりました。」

すると御簾の中から皇后が出てきて右大将の母君の前に座る。

「将直様の母上様、ご無沙汰しておりました。綾乃のことお任せさせてばかりで申し訳なく思っております。」

そういうと皇后は深々と母君に頭を下げる。

「皇后様、そのようなことはやめてください。本当に皇后様はあの月姫様?確かにお顔は・・・。綾乃、確かにあなたの母様ですよ。」
「皇后様が母様?だから出仕していた時まるで母様のように接してくれていたのですか?」

皇后は綾乃を抱きしめて言う。

「綾乃、このような母でも許していただけますか?このような立場ではなかったら、あなたの父様と一緒に暮らせたのですがそれも出来ず、帝の思し召しであなたと二年間同じ後宮内で生活が出来ました。」

綾乃は首を縦に振り、母と会えた喜びで涙した。すると東宮が立ち上がり、部屋を出て行こうとした。

「東宮!」
「母上、私はそのようなこと認めません。」

東宮は部屋を出て自分の寝所に潜り込んだ。皇后は東宮を追いかけていった。

「雅孝・・・許してください。この母を・・・。」
「母上がそのような方だと思いませんでした。私が小さい頃より父上と母上はこの上ないほど仲が良く母上は私の理想でした。それが右大将殿と密通していたなど・・・。父上も父上だ。」
「あの時、私は精神的に病んでいたのです。あなたや孝子を側におくことが出来ず、帝も公務が忙しいために夜のお渡りもなかったのです。寂しさのあまりこのような大罪を・・・。しかし私はあの方のおかげで救われました。雅孝・・・。」
「母上、考えさせてください。急にいろいろありすぎて・・・。そっとして置いてください。」

皇后は東宮の部屋をそっと出て行くと、もとの部屋に戻っていった。そして少し経つと、東宮が現れ、言った。

「わかりました。綾乃のことは諦めます。ただし義理の妹として扱ってもいいでしょうか?父上。綾乃は二の宮の許婚ですからね。」
「東宮、それなら構わないよ。あなたの義理の妹としてなら・・・。」
「ありがとうございます父上。さあ私もそろそろ二の宮の許婚に負けないような美しい姫を選ばないといけませんね。まずは内大臣の結姫を・・・。」

東宮はいつもの笑顔に戻り、部屋に戻って行った。もちろんこのあと、綾乃には一切東宮からの恋文は届かず、内大臣家の姫の入内宣旨があったために、綾乃の入内の噂は都中からなくなってしまったのです。



《作者からの一言》

東宮の初恋は終わりましたまぁいろいろあったことに理解したのは確かですが、相当ショックでしょうね^^;理想の夫婦像であった帝と皇后の間にこのようなことがあったのですから^^;普通理解は出来ないでしょう^^;私ならグレます^^;もちろんこのことは二の宮は知りません^^;この先ずっと・・・。
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