4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第60章 静養
 中務卿宮は右大将邸である五条邸につき、寝殿に通される。右大将は家の者に急いで客間の準備をさせ、準備が整うと中務卿宮を案内する。

「宮様、こちらを自分の部屋のようにお使いください。間もなく二条院の者達がこちらへ到着とのことです。何か御用がありましたら、この私の従者清原義信をいくらでもお使いください。」

右大将は従者の清原を紹介し、側につける。中務卿宮は清原に微笑む。すると二条院から中務卿宮の女房達が到着し、乳母である籐少納言が泣きながら中務卿宮に詰め寄る。

「ああ、宮様何と言うことでしょう。私がついておりながら・・・。帝や中宮様になんとお詫び申し上げたらよいか・・・。私がこれから宮様の食事などに気を遣わせていただきますので、ご安心を・・・。」
「籐少納言、心配しなくていいよ。ただの過労だから・・・。父上からも当分出仕しなくていいと仰せで・・・。ゆっくり休ませていただくことになった。そんなに心配すると白髪が増えますよ。」
「では、私は右大将様にご挨拶をしてまいります。ごゆっくり、お過ごしを・・・。さ、宮様の御召物を・・・。」

ずらっと正装した中務卿宮付の女房達は手際よく中務卿宮を直衣に着替えさせる。

(本当に籐少納言は僕のこと過保護なのだから・・・。)

着替えを済ませた中務卿宮は脇息にもたれかかって、苦笑する。それでもこの綾乃のいる邸にいるというだけで、清々しい気分となる。

「まぁ宮様、ご覧くださいませ。こちらの庭の橘はとても立派で綺麗ですこと・・・。心が洗われるようですわね。」

とある中務卿宮付の女房がふと宮に申し上げた。

「そうだね、実になる前にこちらに来ることが出来てよかったよ。」
右大将への挨拶を終えた籐少納言は、中務卿宮を見て驚く。
「まぁ!宮様!まだ横になられていないのですか?誰ですか!直衣を着せたのは!さ、宮様直衣をお脱ぎになって、寝所で横になられませ。」

籐少納言は中務卿宮の直衣を脱がせて小袖にし、寝所に押し込んだ。中務卿宮は言われるまま寝所に横になる。籐少納言は、女房達に静かにゆっくり眠られるように宮様に近づかないように指示した。籐少納言は侍医から処方された薬湯を持って寝所に現れ、中務卿宮に飲ませる。

「宮様、安静が大切なのですよ!良くなるまで綾乃様に会うことは禁止させていただきます!先程も右大将様にもそのように申し上げてまいりました。」
「籐少納言、私は子供じゃないのだから・・・。せっかく綾乃のいる邸に来たのに・・・。」
「宮様は私にとって帝や中宮様からお預かりした大事な宮様です。何かあれば私自害してお詫びをしないといけません。いいですか?薬師が起きてもいいと申されるまで我慢してくださいませ。」
「分かったよ。いつも心配してくれてありがとう。せっかく父上に休みを頂いたのですからね・・・。」

そういうと眠りについた。いつまで眠ったのか分からないくらい中務卿宮は眠り続ける。度々起こされて薬湯を飲んだり、食事をしたりする以外はほとんど眠っている。綾乃がお見舞いに訪れても気付かないくらいである。何日眠ったのか、やっといつものように寝起きが出来るようになったのは橘の花が終わった頃であった。

「宮様、今日薬師から床上げの許可を頂きましたわ。今日からは少しずつ普段の生活にもどされて・・・。そうそう!色々な方からお見舞いの文が届いておりますのよ。どのようになさいますか?」
「籐少納言に任せるよ。何日ぐらい横になっていたのかな・・・。せっかくの橘の花が終わってしまった・・・・。」
「半月くらいでしょうか・・・。」

すると中務卿宮はため息をついて起き上がると、直衣に着替えて脇息にもたれながら、お見舞いの文を少しずつ読んでいく。一部の者しか、こちらにいることは知らされていなかったので、すべての文は二条院に届けられたようだ。

「籐少納言、父上から出仕の許可が下りたら、お見舞いを頂いた方を招いて邸で快気の宴をしないといけないね・・・。孝子内親王の降嫁は無事終わったの?中務省から何か書状は来てない?母上からは?父上からは?」

籐少納言は苦笑して答える。

「宮様、慌てずに・・・ちゃんとご報告させていただきますから。孝子様は平穏無事に左衛門佐様のお邸に入られ、婚儀も滞りなく終わりました。右近大将様によると、とてもよい御成婚の宴だったそうですわ。とても幸せそうなお二人で・・・。中務省からは今のところ何も・・・帝も中宮様も・・・。皆様、宮様をそっと見守っておいでなのでしょう。綾乃様も何度もお見舞いにおいででしたが、宮さまがぐっすりと眠りあそばされたものですから、綾乃様は声も掛けずそっと見とどけて帰っていかれました。」
「そう・・・綾乃が・・・。本当にみんなを心配させてしまったようだね。」

すると綾乃がひょっこりと顔を覗かせる。中務卿宮は満面の笑みで、おいでおいでと手を振り綾乃を呼び寄せると綾乃は恥ずかしそうに後ろに何か隠して中務卿宮の前に座る。中務卿宮は不思議そうな顔をして綾乃の後ろを覗き込もうとすると、綾乃はそっと後ろから何かを取り出した。

「綾乃の庭の橘は遅咲きなのです。こちらの橘はもう花が終わってしまったから、雅和様へお見舞いに持ってきたのよ。」

といって綾乃は中務卿宮に遅咲きの橘を渡した。

「ありがとう綾乃、綺麗な橘だね。まるで綾乃のようだ。籐少納言、これを何かにさしておいて。もうすぐしたら庚申待ちの日になるね。今回は綾乃と一緒にいられるからうれしいな・・・。あと半月か・・・。宮中では丁度庚申月と重なるから盛大に何かをするらしいよ。ちょっと楽しみだったけど・・・。」

すると綾乃は懐からある文を取り出す。そして中務卿宮に渡し、中務卿は内容を見る。

「病み上がりの雅和様に見せてもいい物かと思ったのよ。でもどうしたらいいものかと思って・・・。」
「三条大納言家の桜姫からだね。なになに・・・。」

手紙の内容は、庚申待ちの日に三条大納言邸で趣向を凝らした宴を行うので来て下さいというもの。綾乃はまったく面識もない相手からのご招待なので少し戸惑っている様子で中務卿宮に相談をした。

「何だかすごいものが見れそうだね・・・。面白そうだから私も行ってみようかな・・・。綾乃の付き添いで・・・。」

中務卿宮は笑いが堪えられない様子で、扇で顔を隠して笑う。

「雅和様、桜姫ってどのような姫様?」
「右近の橘、左近の桜・・・。そんな感じかな・・・・。あとは会ってみてのお楽しみ。あの姫のことだから何か考えのあることなのでしょうけど・・・・。綾乃は綾乃らしく振舞えばいいのですよ。なんでも得意じゃないですか。琴も、舞も、香も、歌も・・・。そういえば一昨年の五節の舞を真似してよく舞って見せてくれたよね。あれは良かった。さあ橘と桜の一騎打ちってとこかな・・・。でもこの僕を賭けたりはしないでよ。」
「行ってみないと分からないのか・・・。雅和様、ついてきてくださいます?」
「まぁあちらに聞いてみないとね。」

そういうと紙と筆を借り、何かを書き出す。


『何か面白そうな庚申の宴を催されるようですね。私も行ってみてもいいですか?もちろん私一人ではなくこの私は付き添いとしてですけど・・・。 中務卿宮』


これを文箱に入れて清原に「右大将家からです」と言わせるように仕向けて持って行かせる。

もちろんこう言わせると、綾乃からの返事だと思って開けるのだろう、そして中身は中務卿宮だと知ってどのような反応を示すのか、少し楽しみのようだった。

「雅和様、このように火に油を注ぐような行為をされて大丈夫?あなたらしくないわ。」
「いいのですよ。こうしてあなたに挑戦状を送ってくるのでしょうから、いまだあなたの座を狙っているのでしょう。直接対決を存分にやっていただいて、わからせて差し上げなさい。失敗しても僕が何とかするから安心して。しかも勝っても負けても綾乃としか結婚しない。何をされてもいいように一緒に練習しましょう。」

籐少納言が中務卿宮は病み上がりであるという理由で止めに入ったが、今まであなたの言うとおり横になって安静にしていたでしょうと、言って籐少納言を黙らせる。綾乃は中務卿宮に早く遅咲きの橘を見せようと、中務卿宮の手を引っ張って案内する。中務卿宮は満面の笑みで綾乃の後ろをついて行った。



《作者からの一言》

相当お疲れだったのでしょうか?いくら眠っても寝たりないのでしょう^^;私もずっと寝ておきたいですね^^;綾乃も眠り続けている中務卿宮を見てさぞかし心配したのでしょうね^^;

さて三条大納言邸では大騒ぎになっているのでしょうね^^;

さて右大将の従者清原君・・・。実は現代版番外編にご登場です。存分に働いてもらいましょう・・・。この章をもってひとまず休憩。次の更新は番外編から・・・。番外編は4章しかないショートなので、続きはまた・・・。
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