4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第65章 綾乃へのご褒美
 綾乃が右大臣の養女としてお妃教育を始めて二ヶ月後、季節はもう冬になっていた。和子女王ももう臨月に入り、いつ生まれてもいい状態になった。


「お母様、何だか今日に限って二条院が騒がしいのですね。」


この日に限っていつも静かな二条院が慌しく、家の者達の出入りが激しい。


「大切なお客様がおいでなのですよ。だから朝から騒がしいのですわ。」
「大切なお客様?どなたですか?」
「綾乃には内緒よ。午後、宿直を終えられた殿と一緒にこちらへ・・・。」
「でももうすぐ来られるのですか?」
「そうなりますね。」


和子女王は綾乃付きの女房を呼んで唐衣装束に着替えさせる。


「まあ、よかったわ。わたくしが東宮女御として入内した時に一度だけ着たものなのですよ。大事においていて良かったわ・・・。まだまだいろいろありますのよ。そうそう、綾乃が女童で後宮に入ったときに来ていた衣も、縫い直ししたのですよ。」


綾乃は和子女王の思い出の衣だと聞いて、とても喜んだ。


(へえ・・・これで入内されたのね・・・。)


「綾乃、まだまだご褒美がありますのよ。楽しみに待っていてね。」


和子女王は微笑んで、綾乃を見つめる。すると表が騒がしくなると、しばらくして、右大将が顔を覗かせる。


「女王、綾乃の準備は整っていますか?」
「はい、殿。殿、いつまでも女王と呼ばないでくださいね。もうあなたの北の方です。遠慮なく和子とお呼びくださいませ。」
「そうだね・・・名前で呼ぶのがもったいなくてね。」


右大将と和子女王は照れながら会話をする。


(結構お父様とお母様はお似合いなのね・・・。)


「殿、お客様をお待たせではないのですか?」
「そうだそうだ、忘れていたよ。」


そういうと右大将はすのこ縁に座って深々とお辞儀をする。すると懐かしい香りが近づいてくる。その香りの持ち主は宮中でもただ一人。


「雅和様?」


香りの主は綾乃がいる几帳に近づき座る。


「綾乃、あなたへのご褒美ですよ。」
「お母様・・・。」


和子女王は綾乃に微笑んでうなずく。右大将と和子女王は立ち上がり言う。


「綾乃、私達は邪魔だから、別の部屋に移るよ。東宮、何もお構いは出来ませんが、綾乃とごゆっくりお過ごしを・・・。」


右大将と和子女王が別室に移ると、東宮が話し出す。


「久しぶりだね、綾乃。さあ、几帳からでておいでよ。」


いつまで経っても出てこないので、東宮は几帳を移動させて綾乃の手を握る。東宮になった雅和は品の良い直衣を着ているが、今まで通りの笑顔で綾乃を抱きしめる。


「綾乃、見ない間にまた綺麗になったね。この衣もとても似合っているよ。」
「お母様にいただいたの・・・。東宮女御入内の時に着ていらしたものをいただいたの・・・。」
「そう、母上の・・・。とても似合っているよ。」


綾乃は東宮に再会した喜びで涙が出てきた。東宮は綾乃の涙を拭き、綾乃にくちづけをする。


「ずっと綾乃に文さえ書けなくてすまなかったね・・・。綾乃、このまま御所に連れて帰りたいよ。これ以上綾乃と離れたくない。でもそれは今出来ない。綾乃を一番に入内させてあげられなくてごめん・・・。」
「わかっております。しょうがないもの・・・。私は駄々をこねるようなお子様じゃありません。ちゃんと私、お勉強したの。初めから歌もお琴も、香も礼儀作法もお母様に教わってやり直したのです。お母様はもう恥ずかしくないわとおっしゃってくれたもの・・・。」


東宮はさらに微笑んで言う。


「知っていたよ。綾乃が一生懸命お妃教育をしていたって。」
「え?」
「毎日のように母上が右大将を通じて文をくれてね。ある日の綾乃は失敗して泣いたとか、すごく喜んだとか・・・。毎日楽しみにしていたのです。父上である帝も、綾乃のお妃教育が終わりつつあるのをお知りになって、今日このように外出をお許しになったのです。名目上は和子女王のご機嫌伺いなのだけど・・・。ここは私が育った邸だから、里帰りのようなもの。三晩泊まってもいいと仰せでね・・・。」


東宮は顔を赤らめてしゃべるのをやめる。綾乃は不思議そうな顔をして東宮を見つめる。


「あのね、さっき清涼殿へ挨拶をしに行くと父上がこっそり耳元で私に言うんだよ・・・。やはり言うのやめる。また今晩ね・・・。あと三日もあることだし。これは私にとってもご褒美なのかな・・・。ずっと帥の宮兼教育係の兄上と籠もって色々勉強していたから・・・。」


東宮は、立太子してからの事をこと細かく話し出す。楽しかったこと、嫌だったことすべて。綾乃は微笑んで楽しそうに話している東宮を見つめる。東宮は思い出したように先日行われた豊明節会で見た五節舞の事を話し、五節舞を踊る舞姫をみて綾乃を思い出し、綾乃と会いたくなったと話す。東宮は大事な龍笛を取り出し吹き始めると、綾乃は龍笛に合わせて五節舞を踊る。


「やはり上手だね・・・綾乃。」
「いえ、雅和様も相変わらず龍笛がお上手で・・・。」
「暇さえあれば毎日龍笛を吹いているから、皆私を「笛吹き東宮」というんだよ。いい意味なのか悪い意味なのかわからないのだけれど・・・。そう、綾乃の入内が決まったよ。桜の花が咲く頃には入内できる。遅くても橘の花が満開の頃には・・・。」


楽しそうに東宮と綾乃の笑う声を聞いた右大将と和子女王は、微笑んで話をする。


「東宮の笑い声を久しぶりに聞いたよ。御所内では毎日つまらなそうな顔をして笛ばっかりお吹きになってね・・・。どうして東宮が三泊されるかわかっていますか?」
「さあ・・・。」
「帝が私に申されたのですよ。正式ではないが、結婚させてやれないかとね・・・。帝も色々過去にあった方だから女王もわかりますよね、帝のお気持ちが・・・。」
「ええ、せめて一番に初恋の姫と成就させてあげたいという親心でしょうか?」
「そのようですね。しかしこのことは里親の右大臣家や、一番に入内が決まっている三条大納言家には内緒なのですよ。まして身籠られたりなどは・・・・。」
「大丈夫です。まだ綾乃は月の穢れがありませんから・・・。そのようなことはないと思いますわ。」
「ところで女王、お腹のお子はいかがでしょう。」
「月が変わる頃には生まれてまいりますわ。」


右大将は顔を赤くして和子女王に言う。


「あの、もしよければ私の子も産んで頂けますか?わけあって私達は夫婦になりましたが・・・。」
「もちろんですわ、殿。この子が生まれたらきっと次は殿の子を・・・・。」


二人は寄り添い、とても綺麗な夕焼けを眺める。


 「えー!どういうことなのですかお母様!」


と、四人揃って夕餉を食べている時、綾乃は大きな声でいう。


「綾乃、声が大きいですわよ、はしたない・・・。ねえ、殿。」
「そうだね、さっきまで綾乃には内緒にしていたからね。驚くのも無理はないよ。」


東宮は真っ赤な顔をして、右大将にお酒を勧められのんでいる。


「綾乃、いいわね。これは帝の思し召しなのですよ。夕餉をいただいたら、お部屋に戻って仕度をなさいね。小宰相にはきちんと伝えてあるので・・・。雅和も別室に用意させていますからね・・・。」


東宮は杯を落としそうになり恥ずかしそうに和子女王にいう。


「母上!」
「お父上様が決められたことですよ、雅和。これを逃すと、綾乃が入内するまでありません!母はあなたと綾乃のためにきちんと準備しますから。正式なことではないのが残念だけど・・・。」


夕餉を終えた綾乃は、自分の部屋に入る。小宰相は待っていましたとばかり、綾乃の仕度に入る。綾乃は身を清め、髪を洗髪し、真新しい小袖に袖を通す。そして新調された唐衣装束に着替え、東宮が現れるのを待つ。身を清め綺麗になった綾乃を見て、乳母である小宰相は涙ぐむ。


「綾乃様が先に入内できないのが残念ですわ。このように大変お綺麗で、品もあって教養もある姫様ですのに・・・。非公式ではありますが今日から綾乃様は東宮様のお妃様になられるのですもの・・・。早く正式なお妃様に・・・。」
「小宰相・・・。」
「今日のお衣装は産みの母君がご用意されたと右大将様より聞いております。」
「そう、母様が・・・。」


一方別室では東宮が仕度をしている。東宮御所から乳母である籐少納言がやって来て、真新しい小袖や直衣を取り出し、着付ける。


「東宮様、良かったですわね・・・。初恋を御成就され、本来ならとても喜ばしいことでございます。帝も本日の件、大変お喜びのご様子。後見役のことでこのように内密に事を運ばないといけなかったことには、帝もお悩みになられたのですが・・・。」
「ありがとう。籐少納言。みんな今日のことが外に漏れないように準備していたのですね。」
「そうですわ。好きでもない姫君が先に入内されるのをこの籐少納言も見ていることが出来なかったのですわ。やっと綾乃様と結ばれるのですから・・・。私はとてもうれしくて・・・。立派になられた東宮様・・・。綾乃様を大切になさりませ。あれほどの姫君様はいませんわ。」
「そうだね・・・。父上にも感謝しないといけないな・・・。」


綾乃付の女房がやって来て、綾乃の仕度が整った事を告げる。東宮は返事をし、籐少納言の誘導で、綾乃の部屋に向かう。今まで自分が元服前や中務卿宮時代に使っていた邸なのに、何だか今日は違う邸に思える。特に綾乃のいる部屋は幼少時代に育った部屋である。小さい頃によく柱にいたずらして籐少納言を困らせたりと、色々思い出のある部屋である。


「籐少納言、あの部屋にはまだ私が傷をつけた柱が残っているのかな・・・。」
「多分おありでしょう。明日、綾乃様と色々お探しになってはいかがでしょう。話も弾むかもしれません。」


東宮は微笑んで綾乃の部屋に入る。とてもいい香りのする香を焚き、部屋の中は綺麗に整頓されていた。


「これは綾乃の香りだね・・・。いい香りだ。皆下がっていいよ・・・。」


東宮は皆を下がらせ、綾乃と二人きりとなる。東宮は綾乃の前に座ると、手を取り話す。


「急なことで心の準備が出来ていなかっただろうね・・・。この私もそうなのです。今日父上から告げられてね・・・。」


(今日突然契ってこい、でもはらますなよと言われたが、そこまではいえないなあ・・・。)


東宮は苦笑し顔を真っ赤にしながら、綾乃を抱きしめる。東宮自身このようなことは初めてだったので、ギクシャクしている。綾乃は焦っている東宮を見て笑いがこみ上げてくる。そしてそれを見た東宮も照れ笑いをする。


「兄上に初夜の迎え方を教わればよかったかな・・・。」
「まぁ、雅和様・・・。ちょっと待っていて下さい。もうちょっと身軽になって来ます。」


そういうと、綾乃は部屋を出て行って、小袿に着替えてきた。


「小宰相、いつもの時間に起こしに来てね・・・。」
「はい、綾乃様。」


小宰相は戸を閉め、綾乃は東宮の側に近づく。そして微笑む。


「やはり唐衣は堅苦しくって・・・。肩がこりそうです。これのほうが楽で・・・。」


東宮はヒョイっと綾乃を抱き上げて、寝所に運ぶ。東宮は綾乃を横にし、直衣を脱ぎ、小袖になると綾乃の側に横になる。そして綾乃の長袴の紐を探り、紐を解く。東宮は真剣な顔で綾乃の顔を見つめると綾乃の前髪を掻き分け、手を綾乃の頬に当てるとそのまま綾乃にくちづけをする。綾乃は東宮を受け入れ、二人にとって長い長い夜が始まった。


 朝が来ると、綾乃は東宮の胸の中で目覚める。はじめて見た東宮の幸せそうな寝顔に幸せを感じ、そのまままた眠りにつく。少し経って朝日が差し込むと、東宮は目覚め綾乃の寝顔を確かめると、昨晩のことは現実であったのだと実感する。東宮は乱れた小袖を整え、直衣に着替える。そして帳台に腰掛けて、綾乃の寝顔を見続け、東宮は紙にすらすらと後朝の文を書いて、綾乃の枕元に忍ばせる。丁度その頃、小宰相が綾乃を起こしに来る。


「あら、東宮様、お早いのですね・・・。わたくし達がきちんとお直衣をお着せ致しますのに・・・。まだ姫様は寝ていらっしゃるのですか?」
「おはよう、小宰相。夜遅くまで起きていたからねきっと疲れているだろうから、そっとしておやり・・・。」


東宮は脇息に肘をついて、綾乃のほうを見ながら小宰相と話す。部屋が騒がしくなったことに気がついたのか、綾乃が目覚め、女房達が東宮と綾乃にお手水などを持ってくる。綾乃は後朝の文に気がつき、顔を赤らめて読む。


「さて、もう母上たちは起きられているのかな・・・。小宰相。」
「はい、もうすでに右大将様と北の方様は朝餉を召し上がっておられます。今こちらに朝餉をご用意いたしますので、ごゆるりとお座りになられて・・・。間もなく綾乃様のお着替えが整いますので・・・。」


綾乃は顔を赤らめつつも、少し眠そうな顔で起きてくる。


「綾乃、おはよう。さあ、こちらへ・・・。今日は何をして過ごそうか・・・。明日は?」


綾乃は真っ赤な顔をして東宮の側に座る。そして用意された朝餉を二人一緒に食べる。綾乃はあまり食が進まないようで、半分食べるとやめてしまった。多分疲れているのであろうと東宮は綾乃を一日横にさせるように小宰相に言う。小宰相は綾乃を寝所へ横にさせ、様子を伺う。そして小宰相は和子女王を呼びに行くと、帳台の綾乃に小さな声で微笑みながら何か囁いていた。東宮は気になって綾乃のほうを覗き込む。


「小宰相、綾乃にお祝いの用意を頼むわね。何が必要かしらね・・・。殿にもご報告を・・・。そうそう綾乃に痛み止めのお薬湯を・・・。」


東宮は不思議そうな顔をして和子女王に聞く。


「母上、綾乃は何か病気なのですか?」
「病気ではありませんわ。女なら必ず通る「初花」ですわ。まぁわかりやすく言えば初めての月の穢れというもの・・・。」


東宮は顔を赤くしておもう。


(月の穢れねェ・・・。)


「雅和、今晩明晩はお控えになられませ。何かとこの時期は気が昂る時期ですからね。まぁお祝い事が重なるとはいいことですわ。今日一日ゆっくりさせて差し上げて。」
「はい・・・。」


東宮は綾乃の側に詰め寄って、手を握り締める。


「雅和様、初枕の日にこのようなことになってしまって綾乃は・・・。」
「気にしなくていいよ。あれほどまだ月の穢れがないとずいぶん気にしていたのだから、良かったじゃないか。明晩はきちんと二人で三日夜餅を食べて身内だけで所顕をしよう。」


綾乃は薬湯が効いて来たのか、ずいぶん楽な顔つきになり、眠りにつく。東宮も寝不足だからか、御帳台に一緒に横になり眠った。


 夕餉の時刻になると、東宮は寝殿に呼ばれて帰ってきた右大将と一緒に酒を酌み交わしながら食べる。


「女王がいてくれて助かりましたよ。男親ならどうすればいいのか焦るところでした。これで安心だ。これで堂々と入内できますよ。ところで綾乃はどうかな?」
「綾乃は薬湯がよく効いたのか、だいぶん落ち着きましたわ。小宰相にも夕餉はお祝いの膳にするように申し付けました。」
「本当に女王のおかげで助かります。東宮、これでいつでもあなたの御子を身籠ることが出来ます。綾乃のこと頼みましたよ。」


東宮は顔を赤くして杯に注がれた酒を一気飲みする。明日は三日夜餅の前に身内だけの所顕をするようである。そのことについて右大将は話し出した。


「本日帝に東宮と綾乃の事をご報告しましたよ。とてもお喜びになられて、明日何かをお二人に賜るらしい。楽しみにしておきなさい。あと、女王のこともとても心配されてね・・・。わざわざ出産が始まる頃に大僧正と、陰陽師を使わせていただけるらしい。もうそろそろ産室の準備もしないとね・・・。本当にありがたいことです。」
「そうですわね・・・帝には感謝いたしませんと・・・。本当にこうしてお祝い事が重なるとは・・・。とても良い事がこれから起こるかも知れませね、殿。」


東宮は、右大将と和子女王がとても仲良く話しているのを見て、安心する。


 次の日の夕暮れ、右大将は帝より二人のお祝いを賜って二条院に戻ってきた。内密に行った婚儀であったので、あまり大きな物は贈れないという文までつけて、帝は二人のためにとても上等な白い絹の反物をお贈りになった。本当にごく身内だけであるが、東宮と綾乃の所顕を行った。


「本来ならば、色々な方々をご招待して所顕をするのではあるが、内密に行った婚儀だから、東宮、お許しください。」
「いえ、このような事をしていただいただけでもとても感謝しております。これから先、こちらには通うことは出来ませんが、度々母上のご機嫌伺いを口実に、足を運ぶぐらいは出来ましょう。綾乃には入内まで辛い思いをさせると思いますが、文のやり取りはさせていただこうと思っております。」


東宮は頭を深々と下げて右大将に綾乃の事をお願いする。右大将はとても恐縮して、頭を上げていただきたいと東宮に申し上げる。明日は東宮が東宮御所に戻る日である。所顕を早めに切り上げて、東宮は綾乃のいる部屋に向かう。御帳台の枕元にはきちんと三日夜餅が置いてあった。東宮と綾乃は作法に則って、二人で仲良く餅を食べる。


「綾乃、明日朝早く東宮御所に戻るよ。これから何とか理由をつけて、こちらに来るようにする。出来るだけ毎日右大将殿を通じて文を送ると思うけど・・・。明日、東宮御所に戻るとき、右大将殿も一緒に護衛でついてきてくれるらしいから、右大将殿に後朝の文を託しておくよ。他の者には頼めないからね・・・。」


東宮は綾乃を引き寄せて、抱きしめる。


「本当にいい褒美を帝にいただいたよ。本当に父上は心の広く、優しい御方だ。」
「そうですわね・・・。突然で大変驚きましたが・・・・。」
「離れたくない・・・。このまま時間が止まればいいのに・・・。」


いつの間にか綾乃は東宮の胸に抱かれながら眠っていた。東宮は微笑んで、そっと綾乃を横にすると、東宮自信も横になって、ずっと綾乃の頬を触ったり、額を触ったりして名残惜しそうに綾乃を見つめる。綾乃の幸せそうな寝顔は東宮をとても幸せな気分にさせてくれた。


 朝が訪れる前に、籐少納言は東宮を起こしに来る。東宮は綾乃を起こさないようにそっと起き上がり御帳台からでると、帰る準備を始める。乱れた髪を結い直し、烏帽子をかぶり直衣に着替えるとまだ眠っている綾乃の顔を名残惜しそうに眺めていたが、籐少納言が退出を促し、渋々対の屋の前に着けられた車に乗り込む。右大将は東宮の車の護衛につき、東宮御所まで馬に乗って東宮の車の側につく。


「右大将殿、これから先色々と頼みごとがあるかもしれませんが、お願いしてよろしいでしょうか?あと母宮のことも・・・。御所に着いたら早速二条院に文を届けていただきたい。」
「御意。」


二条院から御所まではそうたいして距離がないので、夜が明けきらないうちに到着する。到着すると、すぐに東宮は御料紙を取り出し、脇息にもたれかかって綾乃宛に後朝の文を書き文箱に入れて、右大将に託す。右大将は受取るとすぐに二条院に戻り、綾乃の乳母小宰相に渡す。小宰相はまだ眠っている綾乃の枕元にその文箱を置き、そのまま何もなかったように灯明の番をする。一方東宮は、何もなかったように自分の寝所に入り、朝が明けきるまで横になった。東宮は、朝一番に帝の御前に現れ、三泊四日の外泊のお礼を述べ、和子女王の様子などを報告する。帝は清々しい顔をした東宮を見て、内密に行った東宮と綾乃の婚儀を無理にでも行ってよかったなどと安心する。東宮は和子女王から託された文を帝に渡し、帝はとても喜んだ様子で文を読み、東宮に礼を言う。



 師走に入ってすぐ、和子女王はとても帝に似た若君を無事出産し、右大将家の祖から取った名前「博雅」と名づけた。



《作者からの一言》

ついに二人は非公式ですが結婚しました^^よかったよかった^^;さああとは入内を待つのみです^^;逆だよね^^;普通は?
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