4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第66章 右近の橘姫、左近の桜姫の入内
 年が明け、新年の行事が落ち着いた頃、三条大納言の二の姫の入内の式が行われた。さすが東三条摂関家の姫君。入内のための行列はとても華やかで、都中の人々を虜にした。東宮御所に運び込まれた調度や、女官、女童に至るまで、最高のものが用意される。この東宮女御の入内が終了し婚儀が終わると、次は続けて二月後に右大臣家の養女綾乃の入内が控えている。またまだ東宮女御入内申し入れが続いており、まだ内定には至ってはいないが、三人目の東宮女御として関白太政大臣の孫に当たる内大臣の一の姫が入内するという噂がたっている。東宮と同じ歳であり、内大臣家の一の姫もやはり土御門摂関家のすばらしい血筋の姫君である。将来どの三人の姫君が国母になられるかと公卿達は今から賭けをしている。東三条摂関家の姫君も、土御門摂関家の姫君も、右大臣の養女である源氏出身の綾乃を見下し、馬鹿にしている。もちろん東宮は右大臣の養女である綾乃を唯一の妃として扱おうと心に決めているが、何も後ろ盾のない宮家腹の東宮は嫌でもこの二人の姫君を妃に迎えないといけないという複雑な気持ちで、まずはじめの東三条摂関家の姫君桜子姫を迎えようとしている。


 東宮は別に二の姫に対し興味を持つわけではなく、いつも通りの生活をしている。春宮大夫が、東宮女御の入内された事を報告に来てもうなずくだけで、黙々と兄宮である帥の宮と共に書物を読み漁っている。入内の式や宴が済んで半月後、婚礼の儀が行われる。入内後一度も女御の前に顔さえ出さなかったので、女御の関係者はとてもやきもきして、婚礼の日を迎えた。桜姫は年が明けひとつ歳を取りますます姿かたちが大人っぽくよくなった東宮を見て、うっとりする。もちろん東宮はこの婚礼は形式上のことと思い、作法に則った形で事を済ます。


 一方二条院にいる綾乃は、この日が東宮と桜姫との婚礼の儀である事を知っているので、つい悲しくなり涙ぐむ。もちろんほぼ毎日のように右大将を通じて東宮から届く文が唯一の綾乃の心のよりどころであり、この日のような日は今まで贈られた文を読み返し、綾乃は心を落ち着かせる。さすがに婚礼の儀中の三日間は文が来なかった。


 婚礼の儀が終わり、宮中が落ち着きを取り戻すと、次は綾乃の番とばかり右大臣家のものが、入内の準備のためにたくさんの者達が二条院を出入りする。和子女王も産後ひと月休むとすぐに、綾乃のために色々と入内のためのお妃教育の仕上げを行う。入内の予定日十日前には、右大臣家のお邸に入り、精進潔斎をして入内の最終的な準備に取り掛かる。右大臣家も三条大納言家に負けないくらいいやそれ以上の物を用意して、決して養女であることや源氏出身者であることに恥ずかしくないように準備を整えた。


御簾越しではあるが年を越し、心身的にも大人になった綾乃を見て、里親である右大臣はとても感嘆し、これならば東宮様のご寵愛を一身に受けられるであろうと、確信する。


「これ程までにも理想的な姫君は今までいたのであろうか・・・。いや居まい。姿かたちがよく、何をやらせても完璧な姫君は滅多にいないであろう。」


と右大臣は我ながらこの右大将の姫、綾乃を自分の養女に迎えてよかったとうれしさのあまり涙を流す。

東宮御所でもとても日当たりがよく、一番大きな部屋を賜ったので、そちらの方に調度を運び入れる。徐々に揃って行く綾乃の立派な調度を見て、東宮は綾乃の入内を大変心待ちにする。もちろん婚儀の後、東宮の夜の御召のない東三条の女御は綾乃に対して大変嫉妬をする。


特に綾乃に関してはなのだが、入内後の予定がぎっしりと入っている。入内の日の宴を始め、婚儀の日までの四日間の間に後宮の挨拶回りからはじまり、皇后主催の宴が三日間も続く。婚儀後の数日間は、お休みをいただけるようだが、その後もちょくちょく後宮の出入りが予定されている。もちろんこれは綾乃のみ特別な行事である。後宮にいる皇后も、早く成長した綾乃に会うのを楽しみにしており、入内後の宴をどのように催そうか、女官達と楽しそうに話している。入内のあとの予定表を中宮職から渡された右大臣は異例尽くしの予定に驚く。


「このように後宮からお呼びがかかるとは・・・。さすが以前後宮に女童として出仕したことがある姫君だ。東宮だけではなく、皇后様にも可愛がられるとは、本当にこの上ない姫君である。先が楽しみな姫君であるな。」


と右大臣は家の者に言う。綾乃は東の対の屋にいて、同じ内容の文を受取る。小宰相は人払いをして、綾乃に話しかける。


「入内後、二泊のご予定で後宮にお泊りになるそうですね。皇后であられる綾乃様の母君様もさぞかし楽しみにされているご様子。早くその日が来るといいですね。綾乃様。」
「そうね・・・。母様は私を見てどう思われるのかしら・・・。」
「きっと驚かれると思いますわ。私も皇后様に久しぶりにお会いできるのですもの・・・。」


 入内の前日、様々な関係者を呼んで、右大臣邸では宴が開かれた。もちろん父親である右大将も招かれている。綾乃は明日夜が明け切らないうちから入内の準備に取り掛からないといけないので、早めに就寝する。寝殿の宴会場では、明日綾乃が着ていく唐衣やら、色々な物が盛大に披露されている。招待客はとてもすばらしい入内の準備に感嘆する。そして招待客すべての者に右大臣は最高の禄を持って帰らせる。


 夜明け前、右大臣邸前には、右大将をはじめ近衛府の者達が集まり、綾乃入内の行列警護の準備に取り掛かる。帝から直々に行列の責任者を任された右大将はてきぱきと護衛の者達に滞りなく東宮御所まで警備できるように指示する。そして陰陽師の者に順路の再確認をして、前駆者に指示をする。夜明け前から綾乃は起き、身を清め入内の唐衣衣装に着替えると、髪を結い、冠をつける。綾乃はもともと透き通るような白い肌であり、あまり化粧というものをしないのだが、この日に限っては綺麗に化粧をし、最高の準備を整える。今まで子供子供していた綾乃が、ここ最近で大変大人びて、十四とは思えない様子である。一緒に御所に入る者たちも最高の衣装を来て、出立の時刻を待つ。表ではやはり都中の者達がひと目入内の行列を見ようと集まってきていた。出立の時刻が近づくと、綾乃の部屋に右大臣と北の方がやって来て、挨拶をし綾乃もお礼の言葉を述べる。東の対の屋に綾乃が乗る車が着けられ、小宰相が綾乃を車に誘導し、一緒に乗り込む。出立の時刻が来ると、右大将が出立を合図すると行列が東宮御所に目指して進んでいった。年の初めに行われた三条大納言家の入内の行列よりも華やかで立派な行列を用意した右大臣家は、都中の者達を魅了させた。四条にある右大臣邸から出発し、東三条邸の横を過ぎ、二条院の前を通って、大内裏に到着する。二条院の前では、和子女王が車の中から、行列を眺めた。右大将は和子女王の車の前を通り過ぎると同時に騎馬の上からではあるが、深々と会釈をする。そして、車の中の綾乃に声をかける。


「女王様がお見送りされていますよ。二条院に戻り次第、改めてお礼を述べておきます。」
「はい。」


長い時間をかけて、東宮御所に入った綾乃は、入内の儀式を行い春宮大夫が東宮の元に報告に来る。東宮はいつもどおりだが微笑んでうなずく。


「やっとこの御所にも季節外れの橘の花が咲きましたね・・・。これで安心です。」


と、東宮の側にいた帥の宮が東宮に言う。


「そうですね、兄上。婚儀さえ終われば毎日のように会えるのです。それまで皇后様が綾乃を独り占めにされるのが悔しいくらいです。」
「そうだね、母上も綾乃姫に会いたくてしょうがなかったらしく、中宮職に無理を言ったらしいね・・・・。ところで右大臣殿はやはりすごい財力の持ち主だ・・・。土御門と東三条の摂関家をたしても及ばないかもしれないな・・・。これからは右大臣殿のような方々の時代かも知れない。」
「そうかもしれません。そのような家の養女になって綾乃は幸せですね。」
「さあ今晩の宴を楽しみにしているよ。」


そういうと、帥の宮は東宮御所を退出する。一方入内を終え、少し落ち着いた頃、綾乃は主だった女官達を連れ、東宮の寝殿の前を通り、西の御殿にいる東三条の東宮女御に入内の挨拶に行く。もちろん東宮は前を通る綾乃の一行に声を掛けようとしたが、籐少納言に引き止められる。御簾越しだが、綾乃の姿を見つめる。綾乃は東宮のいる部屋の前を通るとき、小宰相の指示で、扇で顔を隠してゆっくりと進んでいく。その姿を見て東宮はさらに綾乃と会いたいという気持ちが増してきた。


「籐少納言、今晩少しでも綾乃に会いに行っていいかな・・・。」
「なりません、しきたりでございます。婚儀さえ終われば、いくらでもお会いできますわ。」
「綾乃は少し背が大きくなったのかな・・・。髪も伸びたな・・・。」
「そうでございますね。以前に比べて歳をひとつ取られたからでしょうか・・・。」


東宮は脇息に肘をついて、書物を読む。少したつと、挨拶が終わったようで綾乃が引き返してくる。綾乃は少しうなだれた様子で戻っていく。気になった東宮は籐少納言を呼んで小宰相に聞きに行かせると、すぐに籐少納言は戻ってきて、東宮に報告する。


「やはり少し不都合があったようですわ。いろいろと東三条の姫が綾乃様に対して色々言われたらしく、途中切り上げて戻ってきたらしいですわ。東三条の姫の部屋を出た途端、綾乃様はお泣きになられて、何とか小宰相がなだめて戻られたそうで・・・。」


東宮は立ち上がって部屋を出る。


「東宮様どちらへ。」
「綾乃の所だよ。しきたりなんて関係ない。もうすでに綾乃は私の妃なのだから。」


東宮は籐少納言の制止を振り切って綾乃の部屋に入る。綾乃は御帳台の中で泣き崩れていた。


綾乃付きの女官達が、東宮に気がつくと、皆頭を深々と下げる。


「小宰相、綾乃はどこ?」
「綾乃様は御帳台の中でございます・・・。」


東宮は御帳台に中にいる綾乃に声を掛ける。


「綾乃・・・。」


すると綾乃は振り返り、東宮に飛びつく。


「綾乃、籐少納言から聞いたよ・・・。いろいろあったらしいね・・・。私のほうからきつく言っておくから・・・。」
「ううん、私・・・いいの・・・こうなることはわかっていました。」


東宮は綾乃を抱きしめて、泣き止むまで待つ。


「綾乃、今晩の宴は出なくていいよ。もう桜姫とも会わなくていい。」


東宮は綾乃の涙をふき取り、綾乃の頬にくちづけをすると、耳元で何かを囁く。綾乃は泣くのをやめて、微笑む。


「じゃあ、今晩の宴の準備があるから・・・。綾乃、無理しなくていいよ。いいね。」
「はい、雅和様。」


綾乃は笑顔で、東宮を見送る。


「姫様、東宮様は何を?」


と小宰相が綾乃に聞くと、


「内緒よ。とてもいいことなの・・・。」


といって微笑む。


 夜が来ると、入内の祝いの宴が始まった。群臣達が、集まり宴をする。宴が終盤になる頃、東宮は御簾の中にいる綾乃を連れて宴を抜け出す。そして東宮は綾乃を抱き上げて東宮御所の庭にある桜の木下に連れて行く。東宮は中に着ている衵(あこめ)を脱ぎ、桜の下に敷くと、そこに綾乃を座らせる。


「雅和様、大事な衣が・・・。」
「いいよ、綾乃の衣が汚れてはいけないから・・・。綺麗だろ、ここの桜・・・。先日兄上に教えてもらった。御所で一番大きくて綺麗な桜・・・。きっと綾乃が喜ぶだろうってね・・・。」
「とても綺麗ね・・・。今日はとても月が綺麗ですし・・・。」


二人は夜が更けるまで桜の木下でずっと色々な話をしながら、楽しい時間を過ごした。


「まぁ!東宮様、綾乃様!このようなところに!お二人ともお風邪を召されますわ!」


と、びっくりして籐少納言が二人を見つけ、寝殿に戻るように促す。東宮は残念そうに綾乃を抱き上げ、綾乃の部屋まで送る。そして寝殿に戻る。


「籐少納言、すまなかったね・・・。どうしても綾乃を励ましたかったから・・・。」
「わかっておりますわ。何年東宮様のお側にいると思っておられるのでしょう。きっとあそこだろうと思ったのです。」
「やはり籐少納言には頭が上がらないね・・・。」



《作者からの一言》

二人の東宮女御の入内が完了しました。もちろん綾乃は特別待遇です^^;先に入った桜姫に関しては、婚儀の日にのみ形だけの関係を持っただけ^^;まあ可哀想と言えばそうかもしれませんが、今までに桜姫が綾乃にしてきた行為からしたら自業自得なのでしょうか?綾乃の婚儀はまもなくです・・・。
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