4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第70章 里下がりと様々な儀礼
 年が明け綾乃が入内して一年になる頃、だいぶん綾乃のお腹が目立ってきた。健やかな御子の誕生を願って、着帯の儀が行われた。着帯の儀とは、九ヶ月目の戌の日に行われる宮中行事である。帯親である右大臣が前日に「生平絹(きのひらぎぬ)」と呼ばれる紅白の絹を帝と皇后から賜り、次の日の朝、右大臣の使者が東宮御所に届けた。東宮御所の女官長である籐少納言が受取り、小袖長袴姿の綾乃のお腹に巻いていった。そして最後に東宮が帯紐を結んだ。無事に着帯の儀が終わり、二人揃って清涼殿の帝と皇后にお礼を述べる。すべての儀礼が終わり東宮と綾乃はほっとする。


「もうすぐ里下がりか・・・。寂しくなるね・・・。」
「二条院にて里下がりをさせていただくことが出来ました。本当に右大臣様はお優しい方で、助かっております。」
「そうだね、本来なら右大臣邸なのにね・・・。最近内大臣殿は二条院にお住まいで、もう五条邸は別邸扱いだし・・・。でもいいの?母上も同じ頃の出産なのに・・・。」
「お父様は一人も二人も同じだと・・・。二条院でしたら、雅和様のお里です。」
「気軽に抜け出せるかな・・・。」


二人は里下がりまでの残り少ない時間を有意義に過ごした。二条院では着々と東宮妃出産準備と和子女王の出産準備を並行して行い、いつでもお迎えできるように整えられた。


 産み月に入り、綾乃は二条院に入る。身重ながらも和子女王は綾乃を迎える。やはり右大臣家の養女である東宮妃の出産のために白装束を着た女房が三十人以上東宮妃の産室に用意された。そして部屋中何もかもが真っ白に換えられ、真っ白な御帳台の中に綾乃は入り、その日を待つ。里親である右大臣も度々二条院を訪れ、内大臣と共に酒を酌み交わしたり綾乃の様子を女房に伺ったりする。丁度綾乃の出産と和子女王の出産が重なる可能性があるため、五条邸から、内大臣の母君がこの二条院に入り、北の方である和子女王の代わりに二条院内を取り仕切った。


「綾乃、いかが?」
「おばあさま・・・。」


と、綾乃は内大臣の母君に話す。


「小宰相、もうそろそろかしら・・・。」
「これは内大臣様の母君様。少しずつではありますが、産気づかれておいでです。初産であられますので、時間はかかります。少々お待ちを・・・。」


小宰相の言うとおり、綾乃は陣痛が始まっているようで、痛みの波が襲ってくる。小宰相は御帳台の脇息にもたれかかり痛みを我慢している綾乃の汗を拭いたり、腰をさすったりして、少しでも楽にして差し上げようと精一杯お世話をする。すると、綾乃はすごい痛みに襲われ破水してしまう。思ったよりも早い進み具合に小宰相は驚き、綾乃を御帳台から出して、北廂に誘導する。痛みが襲うたびに綾乃は立ち止まり、痛みが少しでも引くと、歩くという調子で何とか北廂にたどり着き、小宰相は手馴れた女房達を呼び、お産の準備を急がせる。綾乃はついに痛みの間隔がなくなり、お産の準備が整った途端、無事出産した。二条院中に可愛らしい産声が聞こえる。女房の一人が、寝殿にいる右大臣と内大臣に出産の報告をする。


「おめでとうございます。とても可愛らしい皇子のご誕生でございます。東宮妃様も安産でご心配はありません。」


二人の大臣は皇子の誕生に喜び、即内裏と東宮御所に使いを出す。そして落ち着いた頃に帝の使者がやって来て賜剣の儀が行われ、生まれた若宮に守り刀を贈った。賜った守り刀は、赤い布に包まれ桐箱に入れ、小宰相によって若宮の枕元に置かれた。命名の儀があるお七夜までの間、書読始めの儀や、御湯殿の儀など様々な儀式が執り行われ、命名の儀にて帝より親王の宣下と名前を賜る。東宮の二の宮、康仁親王と名づけられた。綾乃の回復も早く、産後十日目には東宮御所に二の宮と共に戻り、帝や皇后、東宮に二の宮をお見せする。丁度その頃、二条院では内大臣の北の方である和子女王が姫君を出産し、帝はお祝いの言葉を内大臣につげる。若宮も内大臣の姫君もどちらもよく似た顔をした可愛らしいお子達であった。東宮は自分の皇子の誕生と、自分の妹となる姫君の誕生を喜んだ。綾乃にとってもこの姫君は妹となる。


 生後五十日頃、賢所皇霊殿神殿に謁するの儀が行われ、しきたりに則った衣装を着せた若宮を東宮女官長の籐少納言が抱き、賢所皇霊殿神殿に参拝する。賢所皇霊殿神殿に入るまでは泣き止まなかった若宮は入った途端ピタッと泣き止み、籐少納言はほっとする。参拝が終了後、清涼殿へ東宮、綾乃と若宮は帝と皇后に儀礼が終わった報告と、お礼の挨拶をする。帝は若宮を抱き皇后と共に話をする。


「やはり東宮によく似た可愛らしい若宮だ。」
「本当に・・・。和子様似なのですね・・・。」
「もう私にも三十八で孫が出来るなんてね・・・。まだまだ私も若いと思っていたが・・・・。」
「そういえばそうですわね。東宮はまだ十七でお若いのに父君なのですもの・・・。しっかりなさいませ。綾乃もまだ十五ですもの・・・。」


東宮と綾乃は苦笑して帝と皇后の話を聞き流す。すると若宮はお腹がすいたのか、泣き出す。


「まぁ、乳母をこちらへ・・・。帝、若宮はお腹がすいているようですわ。」
「そうだね・・・長居をさせてしまったね・・・すまないね東宮。」


帝は籐少納言に若宮を預け、籐少納言は若宮の乳母に預ける。乳母と共に若宮は東宮御所に戻って行った。東宮と綾乃も帝と皇后に挨拶をして戻っていく。


 生後百二十日のころ、若宮のお食い初めが行われる。このころになると、若宮は寝返りもし、あやすとよく笑うようになった。東宮は公務の合間、よく若宮をあやし若宮も東宮によくなれた。


「もうそろそろ右大臣家に預けないといけないな・・・。本来ならもうすでに預けているはずを何とか言ってここに置いて貰っている。」


東宮は悲しそうな目をして若宮を抱きしめる。数日後、右大臣家の使者がやって来て、若宮を乳母と共に右大臣家に連れて帰る。もちろん若宮がいなくなることは承知の上であったが、やはり長い間一緒にいただけあり、東宮と綾乃は悲しむ。もちろん節目や様々な儀礼ごとに参内はするのだけれど・・・。


「しきたりだからしょうがないけれど、しきたりしきたりに縛られるのはね・・・。父上に相談してみるよ。」
「雅和様・・・。」


東宮は綾乃を引き寄せ、うす曇の月夜を二人寄り添って眺める。


「若宮は初めてのお邸で泣いているのではないだろうか?」
「大丈夫ですわ。あの子は雅和様に似ていい子ですもの・・・。」
「そうだね・・・。養育は右大臣家にお任せしたし、若宮の後見も右大臣家がしてくださる。これでよっぽどのことがない限り幸せになれるよきっと・・・。」
「そうですわ。きっと右大臣様なら、若宮を大切に養育してくださいますわ。」


二人は微笑みあいながら、今まで過ごした若宮のと思い出を話し合う。側についていた籐少納言と、小宰相は何とか悲しみから立ち直られたと思い、安堵する。綾乃は母である皇后が寂しさのあまり心の病となってしまったという気持ちがこの時よくわかった。綾乃にはずっと東宮が側で見守ってくれている事を心の支えとして、若宮が側にいなくてもがんばって行こうと決意をした。



《作者からの一言》

皇室の儀式は生まれたときから大変です^^;でも良くわからない場合が多いですね^^;
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