4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

第75章 鈴華
  師走の吉日に帝の譲位と新帝の即位が滞りなく行われた。新年早々、新帝即位により新年の行事が例年よりも慌しく盛大に行われる。あわせて臨時の除目も行われた。


 元旦の四方拝にはじまり、元旦節会では豊楽院にて新帝の出御し群臣に宴を賜う。その後、至る所の邸て新年の宴が開かれている。特に内大臣(前権大納言)の堀川邸では、一の姫の入内を来月に控え、盛大に行われる。もちろん様々な公卿達が招待されている。その中には鈴華がうっかり勘違いをしている前帥の宮であり現中務卿宮も招待を受けている。その事を知って、いつもは宴に出るのを嫌がっているのに、今回は喜んで出席する。もちろん寝殿の一番奥の御簾の中に控えている。ドキドキしながら続々とやってくる公卿たちを見つめる。一通り揃ったところで、薄暗い光の中で、宇治の宮様を探そうとするがなかなか見つからなかった。もちろん宇治の宮様は新帝であるので、来ているはずはないのである。姫は宴の半ばで退席し、自分の部屋でうなだれる。内大臣は心配して正室である姫の母君を姫の部屋に行かせる。


「鈴華、どうかしたのですか?あれほど今日の宴を楽しみにしていたのに・・・。」
「お母様・・・。私、会いたい御方がいるのです・・・。」
「会いたい方?」
「夏に私は家出をしたでしょう?その時に出逢った宮様がおられるのです。草履の緒が切れて足を挫いた時に助けていただいたのです・・・。入内する前にその方に会いたいのです。」


母君は困った顔をして泣いている姫をなだめる。


「お名前は?確かに宮様なのでしょうか?」
「はい・・・。小葵の文様の入った品の良いお直衣を着ておられたのです・・・。年は二十歳くらいまでの方で、とても笛のお得意な方なのです・・・。私その方が好きなのです・・・。」
「まぁ・・・。」


母君は困った様子で鈴華の話を続けて聞く。


「お父様にお年頃のいろいろな宮様のことなどを教えていただいたのです。そして宇治に縁の別邸がある方がお一人だけ・・・。もしかしたらその方かもしれないのです。先帝の一の宮様の中務卿宮様・・・その人かもしれません・・・。」


母君は困り果てて、宇治に一緒に行った女房に聞く。すると母君はほっとした表情で姫に言う。


「鈴華、もうすぐしたらその方とお会いできますわ。決して焦ってはいけません。必ず会えるのですから・・・。」


すると母君は姫を連れて宴の開かれている寝殿へ連れて行き、影からそっと指をさす。


「あちらでちょうど殿とお話になられているのが、中務卿宮様です。姫の思われている方はあの方ですか?」


姫は目を凝らして母君の指差す方を見つめた。


「違います・・・。似ておられるところもありますが、あの方では・・・。では宇治の宮様は誰なの?あ、中務卿宮様の横の方は誰?」
「あの方はですわね、弾正台宮様のご子息、左近少将源常隆様です。北の方が中務卿宮様の同腹の妹宮であられますので、とても仲がよろしいと伺っております。」
「そういえば、宇治の宮様の側に左近少将様がいらしたのです・・・。」
「そうなの?これでだいたいあなたの想っておられる方がどなたかわかったのではなくて?いずれお会いできます。近いうちに・・・。」


そういうと、母君は姫を連れて部屋に戻る。


「さあ、鈴華。あなたは入内を控えた大事な体です。殿もあなたが何事もなく入内できるよう毎日走り回っておいでです。殿のご期待にこたえるようにわかりましたね・・・。きっと新帝はあなたを気に入っていただけます。」


そういうと母君は姫の部屋を退室する。姫はまだ宇治の宮様が誰であるかわからなかった。一方清涼殿では東宮女御から立后し中宮となり弘徽殿を賜った綾乃が夜の御召で来ていた。


「本当にお父様ったら、兼任の内大臣を自ら返上なさって元の右大将のみ・・・。」
「綾乃、右大将殿らしくていいじゃないか・・・。」
「ところで今度入内される女御は新内大臣様ご息女藤原泰子様なのでしょ。雅和様と同じ年と伺いました・・・。こちらに一番近い藤壺を賜るとか・・・。」
「綾乃は情報が早いね・・・。堀川殿と呼ばれる方のご息女だよ。父上がお決めになったことだからしょうがない。どのような姫かは知らないけど・・・。帝になったからには綾乃一人というわけには行かないから・・・。土御門殿の二の姫も名乗りを上げているし・・・。気になるの?」


綾乃は苦笑して先に横になって眠ってしまう。ふと帝は宇治で出逢った鈴華姫の事を思い出す。


(鈴華姫はもうどなたかと結婚されたのであろうな・・・。今幸せかな・・・。)


などと考えながら眠りにつく。もちろん鈴華姫の本名が藤原泰子であることは、帝は未だ知らずにいた。まだまだすれ違いの生活が続くのである。



《作者からの一言》

鈴華は呼び名であって本名ではありません^^;本名は別にあって、泰子といいます。やっとうっかり勘違いが間違っていたことには気づいたのですが、なぜ本当の相手が新帝であるのかわからない点がうっかり鈴華の特徴かもしれません^^;もともと頭の中には前東宮である新帝という選択肢がないのです^^;新帝も鈴華という名前を本名であると思っているので、すれ違い^^;知っているのは一部のものかもしれません^^;
スポンサーサイト

Comment

 秘密にする

Track Back
TB*URL

Copyright © ねぇね2人と双子っちのママのお部屋。別館. all rights reserved.
さくらと空 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。