4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第76章 鈴華の入内
 新年の行事が落ち着き、如月の吉日。内大臣の一の姫泰子こと、鈴華が入内する日がやってきた。綾乃の入内の行列ほどではないが、堀川家が贅を尽くして入内の行列を催す。都の人々は久しぶりの入内の行列に見物にやってくる。鈴華は宇治の宮様の思い出を胸に抱きつつ、新帝の女御として入内する。入内前日に父君である内大臣は鈴華に言う。


「帝は御年十九歳。姫と同じ歳だ。先帝の二の宮様でとても管弦を好み、気さくでいい方だ。中宮様は御歳十七歳、琴がお上手な方。お二人の間には御歳二歳の東宮様がおられる。中宮様は性格もよく、とても裏表のない方だから、安心して仲良くな・・・。」
「はいお父様・・・。」


そして鈴華は入内の日を迎えた。無事に藤壺に入内すると、その夜に入内を祝う宴が行われる。もちろん鈴華は出席したが、厳重に群臣に見られぬように几帳や御簾で覆われ帝が出御していたとしてもわからない状態であった。毎日緊張と後宮の重苦しさで胸が締め付けられ、何度倒れそうになったか知れない・・・。鈴華は二階厨子においてある箱の中から絹に包まれた物を取り出すと、大事そうに包みを開けて懐かしそうに眺める。これは唯一の宇治の宮様からもらった扇で、今まで大切に持っていた。後宮に持っていこうか悩んだのだが、やはり大切な思い出なので荷物に忍ばせていたのだ。


(ああ、お名前だけでも聞いておけばよかった・・・。そうすれば宮様をお探しする手がかりとなるのに・・・。)


そう想いながらまた丁寧に扇を絹で包み、塗りの箱にしまいこんだ。


 婚儀の日がやってきた。本来ならこの日までに帝のお目通りがあるのではあろうが、まったくお目通りの許可が降りず、そのまま婚儀の日になってしまった。鈴華は真新しい衣装に入内を機に変えた新しい香を焚き染め、清めた体にその衣装を着付けていく。髪を整え、冠をつけるために結い上げる。緊張からか、何度も倒れそうになるが、大事な思い出の扇を胸に忍ばせて、宮中の婚儀の儀礼に挑む。賢所皇霊殿神殿に婚儀報告のための参拝を行う際も、帝は先に進み、ずいぶん後から鈴華が扇で顔を隠して神殿に入る。神殿内でも顔を合わすことなく、黙々と儀礼が進んでいく。もちろん拝殿終了後も二人はお互いの姿を見ようともせずに鈴華はうつむいたままで、扇で顔を隠しながら涙ぐむ。藤壺に戻った鈴華は脇息にもたれて泣き続ける。


(お母様はもうすぐ宇治の宮様と会えるといったけれど、いっこうに会えないわ。もう後宮にいる限りあえないのよ・・・。)


一方清涼殿の帝は藤壺の女御が鈴華であることも知らず、婚儀の夜を億劫に感じる。五位蔵人を兼任している左近少将源常隆は帝の側に控え、じっと帝を見つめている。もちろん常隆は藤壺女御が宇治で関係を持った鈴華姫であることは知っていたが、帝を驚かせようと内緒にしている。


「主上、もうそろそろ藤壺御渡りの刻限でございます。ご用意を・・・。」
「常隆、わかった・・・。もうお前は帰っていいよ。孝子が待っているのだろう・・・。」
「いえ、今晩は内裏で宿直ですので・・・。」


帝は女官達を呼び、着替える。藤壺女御も御渡りの刻限が近づくにつれ、緊張も最高潮となる。女官が現れ、帝のお出ましと伝えると、藤壷女御と女官達は頭を深々と下げたまま、帝を迎える。黙ったまま帝は御帳台の前で直衣を脱ぎ、御帳台に入ると女御も続いて入る。鈴華付きの女官により女御の装束を解いたあと、女官達によって衾覆が行われ、三箇夜餅の儀が行われる。ここで初めて暗がりの中で二人は顔をあわせる。


「え~~~~!」


二人は顔をあわせると、驚いた様子で同時に叫んだ。御帳台の側で控えていた女官達は何事かと驚き、籐少納言が声を掛ける。


「主上、どうかなさいましたか?」
「いやなんでもない・・・。もう下がっていいよ・・・。いつもの時間に起こしてくれ。」


不思議そうな顔をして女官達は下がっていく。静まったのを確認すると、帝は女御に声を掛ける。


「鈴華姫?内大臣の泰子姫って君のこと?」
「はい・・・。泰子は私の本名ですので・・・。」


女御は顔を赤らめて答える。


「香を変えたの?わからなかった・・・。しかし鈴華姫の縁談相手がこの私とは・・・。」


女御は微笑んで言う。


「私もたった今、宮様が帝と知ったのです。宮様も香を・・・。」
「ああ、即位してから香を変えたのです。だからか・・・婚儀でも気がつかなかったのは・・・。冷たくあたって悪かったね・・・。鈴華姫だと知っていたら冷たくはあたらなかった・・・。すまない・・・。もしかして泣いていたの?まぶたが腫れて・・・。」


帝は女御の顔に手を当てると、微笑んでそのままくちづけをする。


「一晩限りの関係だと割り切っていたはずなのに、姫のことが忘れられなかった・・・。」
「私もです・・・勘違いして別の方をお慕いしてしまって・・・。」


恥ずかしそうに女御はうつむく。


「誰?誰と間違ったの?」
「中務卿宮様です・・・。お父様に聞いたら宇治に縁のある宮様はその方だけだと・・・。」


帝は笑って言う。


「兄上を・・・勘違いして慕っていたと?宇治の邸主大叔母上は確かに兄上のお婆様であられるけどね・・・。あの別邸は弘徽殿中宮の縁でもあるのですよ。なかなか知っておられる方は少ないが・・・。兄上と私・・・どこか似たところがありましたか?」


女御は首を縦に振って恥ずかしそうに苦笑する。


「兄上は父上と皇太后に似ておられるし、私は父上には似ておらず、母宮である女王に似ているからね・・・。ところで・・・藤壺女御、あなたの事をこれから鈴華と読んでいいですか?」


女御は首を縦に振ると帝は微笑んで女御を引き寄せる。そして二人は横になると、帝は女御の顔を見つめて言う。


「鈴華、あなたにも私の皇子を産んで欲しい・・・。いいかな・・・。」
「はい・・・。鈴華は宮様の御子が欲しいです。」


帝は女御の気持ちを確認すると、帝は中宮と同様にこの女御を寵愛するのでした。



《作者からの一言》

帝と鈴華の再会です^^;後姿でもわからなかったのかい^^;鈴華は・・・。ホントに彼女は頑固でうっかり者^^;でも良かったですね^^好きな人と結ばれたのですから^^
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