4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第77章 鈴華の願い
 暖かい日々が続き、藤壺の藤がきれいに咲く。今日は珍しく主だった公務がないので、早めに切り上げて帝は鈴華と共に藤壺の藤を眺める。


「鈴華、ここの藤はきれいだね・・・。」
「はい・・。」


鈴華は帝の少し後ろに座って答える。


 鈴華は帝に大変寵愛され、幸せな日々を過ごしている。毎日ではないが、月の半分は清涼殿に御召になる。この日は帝が特別に藤壺にやって来て一緒に眺めている。


「鈴華、後宮に来てもうそろそろ落ち着いてきただろう・・・。どうかな・・・藤壺で宴を催してみては?中宮と仲良くして欲しいから・・・。入内後の挨拶以降顔をあわせたことがないだろう?」


鈴華はうつむいて返事をしなかった。


「鈴華・・・。」
「帝・・・どのような事をすればいいのでしょう・・・。」
「管弦の宴などどうかな・・・。何か得意なことはある?歌とか・・・得意な事をすればいいのですよ。」


鈴華は悩む。鈴華には自慢できるほどのものが無いのだ。もともと何をさせても中途半端であるので、父親である内大臣がせっかく良い血筋である姫の入内を諦めるほどで幼馴染の亡き東三条家の少将と結婚させるつもりでいた。しかし病で少将が亡くなり、だめもとで入内を申し入れると運良く決まってしまったからもう大変。急いで入内の準備をし、お妃教育を突貫工事的にした。鈴華は恥ずかしそうな顔をして帝に言う。


「私は得意なものが余りありません・・・。歌も苦手ですし、琴も・・・。恥ずかしくて・・・。」


帝は微笑んで鈴華を抱きしめて言う。


「そうか・・・。じゃあ無理して宴をしなくていい。でも何も得意なことがないからといって、あなたを嫌いになったりはしないから、安心して。宮中ではいろいろこなしていかなければならないことが多いから、少しずつなれて行けばいいよ。何でもこなす中宮は稀だ。中宮は後宮に女童として2年ほどいただけで後宮のすべての事を身につけてしまった。ほんとに稀な姫だよ。あなたはあなたらしくしていればいいのです。」
「帝・・・。」
「あと、二人きりの時は名前で呼んでください。その方がうれしいのです。でも公的なところでは今までどおり・・・。本当に中宮は出来すぎた見本なので、無理せず一つ一つ覚えていけばいいのですよ。」
「はい!」


鈴華は涙を拭き取ると、元気な声で答える。


帝は鈴華が後宮で恥をかかない程度に教育する女官を選んで藤壺に詰めさせることに決めた。もともと雅なことが得意な帝の家系は女官にも得意なものが多い。和歌は六歌仙にも選ばれた在原業平を祖に持つ女官、琴は源博雅を祖に持つ女官、あとは香が得意な女官など様々な女官を教育係として藤壺に詰めさせた。また、夜の御召の時は帝自らお妃教育の成果を見る。鈴華は大好きな帝のために一生懸命教育を受け、めきめきと上達していくのがわかる。


「本当にだいぶん上達したね鈴華。このひと月でここまで上達するとは・・・。もともと才能があったのでは?前から字のほうは綺麗だったし、この分では後宮で恥ずかしくはないと思う。よくがんばったね・・・。」


鈴華は恥ずかしそうな顔をして帝の胸に抱かれる。


「何かがんばったご褒美をあげようか。何かない?」


鈴華は少し考えていう。


「先日お父様が、雅和様はとても龍笛の名手だといっておりました。何度か宇治にて聞いたことがございます。私も笛をやってみたいのです。お教えいただけますか?」


帝は少し考えてうなずくと、二階厨子ところから袋に入ったものを取り出し、鈴華に渡す。鈴華は袋を開け中身を取り出すと、笛が入っていた。


「これは?」
「それは幼少の折に亡き中務卿宮であったお爺様から頂いた龍笛です。今はもう使いませんので鈴華に差し上げます。今もっている龍笛は亡きお爺様が亡くなった時に愛用のものを頂いたもの。その龍笛は今持っているのより小ぶりなので、鈴華には丁度よい大きさだと思います。これで練習したらいいでしょう。練習用といってもかなりの高価な品なので、大事にしてくださいね。」


鈴華は元気に返事をして、帝に笛を一から丹念に教えてもらう。なかなか音が鳴るまでに時間がかかったが、音が鳴り出しコツをつかむと、上達をするのに時間はかからなかった。だんだん上達する鈴華を見て帝は驚く。鈴華もだんだん面白くなって昼間も暇を見つけては帝に頂いた笛を取り出して練習をする。


「鈴華様、大変お上手になられましたね。」


と、鈴華付きの女官が言うとうれしそうに答える。


「帝の教え方が大変お上手だからよ。この頂いた笛もいいものだから良い音がでるし・・・。」


鈴華はうれしくてしょうがないようで、御召の日を心待ちにする。最近は立て続けに御召があったので、なかなか御召しがなく、御召がない日は綾乃が帝のもとにいる。綾乃の御召の日、清涼殿の弘徽殿中宮の御局に向かう途中に毎回一生懸命笛の練習をする鈴華の笛の音が聞こえ、綾乃は女御の一生懸命さに感嘆する。そしてこの日、清涼殿夜の御殿にて、綾乃は帝に言う。


「藤壺女御様の一生懸命な人柄・・・。雅和様がご寵愛されるわけがわかりますわ。明日にでもこちらから出向いて藤壺女御様にお会いしようかしら・・・。」


あれほど鈴華にいい顔をしなかった綾乃がこのような言葉を言ったことに帝は驚く。帝の驚いた顔を見た綾乃は帝に言う。


「まぁ、雅和様。私は蛇でも鬼でもありませんわ。一生懸命な人が大好きなのです。」
「綾乃ったら・・・。では明日の御召は一緒にどうかな・・・。丁度良い、一晩中語らったらいい。」
「そうしましょう。お琴や笛がどれくらい上達されたか、見て差し上げますわ。」
「綾乃すまないね・・・。」


綾乃は微笑むと、帝はほっとした様子で眠りにつく。綾乃は帝に寄り添い一緒に眠った。


 次の日鈴華に突然清涼殿に来るように連絡が入る。もともとこの晩は中宮御召の日であったが、言われたとおり清涼殿へ向かう準備をする。いつものように帝から賜った大事な笛を持って清涼殿藤壺女御の御局に入る。急な呼び出しにドキドキしながら呼ばれるのを待つ。萩の戸をはさんだ東側の弘徽殿中宮のお局にも誰かいるようで、何だか騒がしい・・・。


「藤壺の女御様、帝がお呼びです。」


という帝の女官の声に鈴華はうれしそうに返事をして帝の夜の御殿に入る。入った途端、帝とは別の香の匂いがするのに気がついて、立ち止まる。


「鈴華、どうした?こちらにいらっしゃい。」
「でも・・・。」


帝は立ち上がって鈴華の手を引き、その香の主の前に連れて行く。


「さあ、鈴華座りなさい。」


鈴華は座って香の主にお辞儀をする。


「まぁ、お美しい女御様ね・・・。御簾越しでしたがお会いするのは二度目ね・・・泰子様。」


鈴華は頭を下げたまま、黙っている。


「鈴華様とお呼びしたほうが良いかしら?右大臣様の養女で右大将の娘、中宮源祥子です。綾乃とお呼びください。お顔を上げてください。捕って食ったりしませんわ。あなたにどうしても会いたくて帝に鈴華様を呼んでいただいたのよ。」


鈴華は恥ずかしそうに顔を上げて挨拶をする。


「私は内大臣の一の姫藤原泰子と申します・・・。中宮様にこうして直接お会いでき光栄でございます。」


綾乃は鈴華に満面の笑みで見つめる。


「中宮様、何の御用なのでしょうか?」
「こちらに渡る際にいつもあなたの一生懸命な笛の音が聞こえ、大変感心しています。毎回聞こえる度だんだんお上手になられるのですから・・・。どうかしら、今晩は私の琴とお手合わせいただけないかしら?お琴でも良いわ。得意な方を聴かせて欲しいの。」


鈴華は恥ずかしそうに言う。


「わたくし中宮様に比べてどれも下手で大変お上手な中宮様に御聴かせできるほどではありません・・・。」


すると帝が口を挟む


「鈴華はとても上手ですよ。綾乃、お手柔らかに頼むよ。」
「わかっています雅和様・・・。」


鈴華は渋々笛を取り出し、中宮の琴に合わせて笛を吹く。緊張のあまり、途中間違えたりしたが、何とか一曲合わすことが出来た。これが習い始めてひと月ほどなのかと言う出来で、帝と綾乃は驚く。


「鈴華、うまくなったじゃないか・・・。本当は才能あるじゃないか・・・。そう思わないか?綾乃。」


綾乃は微笑んで言う。


「そうですわ。最近はじめられたのでしょ。この私でもこのように早く上達しなかったわ・・・。」


鈴華は照れてうつむく。綾乃は立ち上がって帝の耳元で囁くと、弘徽殿にさがって行く。鈴華は何が起こったのかわからず、きょとんとしている。すると帝は鈴華の前に座り抱きしめる。そして耳元で言う。


「中宮は鈴華にどうぞと言ったのですよ。ご褒美・・・。」
「中宮様が?」


そして側に控えている女官に聞こえないように耳元で囁く。


(中宮はね、鈴華に次の御子を差し上げますといったのだよ。もうそろそろ東宮にも妹か弟が必要だから・・・。)


鈴華は真っ赤な顔をしてうなずく。


この日から毎日のように鈴華は帝に寵愛され数ヵ月後に無事懐妊することになる。



《作者の一言》

うっかり鈴華はやれば出来るのです^^;いままでやる気がなかっただけかもしれません^^;綾乃は典型的なA型・・・。綾乃は帝が他の妃を寵愛してもなんとも思っていない心の広い温厚な姫です^^;(気にはしているのですが^^;立場をわきまえてるのかな^^;)鈴華の登場で本当に出番が少なくなっていますね^^;またいろいろ出してあげたいです^^;
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