4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第79章 霜月の大節会
 今年の霜月に行われる節会は新帝即位の年であるので大変盛大に行われる。大新嘗祭は、即位に関する最も重要な儀礼のひとつであり、実質的に践祚(せんそ:帝の位を受け継ぐこと)の儀式にあたる。もちろん一代で一回きりの盛大な祭であるので、帝の兄宮である中務卿宮は先代即位の年に行われた儀礼について書かれた書物を持って清涼殿にやって来て帝と共に読み漁る。もう二十年も前のことなので、なかなかはっきりと覚えているものは少ないのである。もちろん帝も中務卿宮も生まれてはいないか物心ついた頃ではないので、まったく知らない。中務卿宮は宇治の院へ当時の様子を父院に聞きに行ったり隠居している前関白に聞きに行ったりと忙しく動き回ったりもしている。


 今年は盛大に行われるためか、五節の舞の舞姫も通常の四人から五人に増やさなければならなく、後宮から一人、公卿から三人、受領から一人と通達を出し、なかなか決まらなかったものの、何とか候補の姫君が出揃う。、後宮からは鈴華の妹姫である内大臣の二の姫、公卿からは左大臣の二の姫、権大納言と左大将の姫君たち、受領からは近江守の姫君が選ばれた。後宮の一室を借りて五人の舞姫と、お付の女童が集まり五節の舞の練習をする。この舞姫に出す家は相当財がかかる。身分は低いものの舞姫に出る受領はまだ裕福な家柄である。特に左大臣や権大納言、左大将は舞姫に出した我が娘が帝の目に留まり、入内があるかもしれないと財を惜しみなく使った。


霜月丑の日、舞姫参入後、綾乃は舞姫たちの練習風景を見て、気がついたところを意見したりした。鈴華も数年前一度だけ舞姫に出たことがあり、懐かしそうに舞を見つめる。


「鈴華様も出たことがあったのですか?」
「はい・・・十四の頃。恥ずかしながら・・・何度も失敗してお父様に恥をかかせてしまいましたが・・・。」


だいたい平均十五歳くらいの年頃の姫君が今回は集まっている。下は裳着したての姫もおり、可愛らしく一生懸命練習をしているのを見て微笑みながら二人は見ていた。


「鈴華様、どちらの姫君が鈴華様の妹君なのですか?」
「一番小さな姫ですのよ。」
「まあ、鈴華様によく似ていらっしゃること・・・。一生懸命で微笑ましいこと・・・。」
「妹のほうがわたくしよりも何をさせても上手にできるのです。わたくしは四人兄弟の仲で一番出来が悪くて・・・。」


鈴華は恥ずかしそうに扇で顔を隠して苦笑する。


「そんなことはありませんわ・・・。鈴華様は努力家ですもの・・・。」
綾乃は微笑む。すると綾乃は真剣な顔をして鈴華に言う。
「鈴華様、この中から数人入内される方がおられそうですわね・・・。」
「中宮様、どういうことですか?」
「帝のお気に召しそうな姫君がおられるって事です・・・・。なんとなくわたくしの勘ですけれど・・・。」


綾乃の勘はよくあたる。もちろん家柄がどうのこうのという帝ではない。もちろん中宮と女御のみではいけないということで、入内の申し入れが絶えないのは真実ではある。


「鈴華様、そろそろ帳台試が始まるわ。常寧殿へ参りましょう。」


そういうと綾乃は舞姫の控え室代わりの御殿を出て、常寧殿に向かう。もうすでに帝は常寧殿の上座に座っており、二人を待ち構えていた。


「お二人とも仲良くどちらに?」


帝は綾乃と鈴華に声を掛けると、二人は顔をあわせて微笑む。


「鈴華様と一緒に舞姫たちを見て来たのです。鈴華様も五年前に舞姫であられたとかで、盛り上がってしまって、こちらに来るのが遅れてしまいましたの。」
「え?鈴華が舞姫に?まだ私は元服前でよく覚えてはいなかったけれど・・・。」


鈴華は扇で恥ずかしそうに顔を隠す。綾乃と鈴華は帝の横に座り、舞姫についての話をしていると、帳台試が始まり、御簾越しではあるが、五人の舞姫たちの舞う姿を三人で歓談しながら見る。一番小さな姫が鈴華の妹姫である事を知り、帝は微笑む。


「小さい姫ではあるけれど、一番がんばっているね。鈴華。名前はなんていうの?」
「鈴音です。最近裳着を終えた四人の兄弟で一番小さい姫なのです。」
「ほんとにかわいらしい姫だね・・・。」


帝はその小さな姫に興味を持ったようで、鈴華に鈴音のことについていろいろ聞いてくる。綾乃はもしやと思ったが、帝が姉妹揃っての入内はさせないであろうと思う。もちろん帝もそのつもりは一切なく、ただなんとなく興味を持っただけだった。帳台試が終了すると、帝は舞姫たちに一言言い、常寧殿を退出していった。


 この日から毎日のように予行演習である清涼殿で行われる御前試、大新嘗祭の日に行われる童女御覧がある。毎回帝は舞を見てきちんと感想を述べていく。夜になると、帝は大新嘗祭の神事に向け、身を清め、儀礼の装束に着替えると、賢所に拝礼し、いろいろな神々や先祖代々の帝の霊に一年間の五穀豊穣のお礼と祈願を行うと共に、新帝として即位した事を正式に報告する。もちろん帝はこの日のためにいろいろ資料などを見聞するなどして勉強した。何とか滞りなく大新嘗祭が終了し、大変疲れた様子で、清涼殿に戻ってくる。綾乃は夜の御殿で帝を待ち、無事儀礼を終えて帰ってきた帝を笑顔で出迎える。もちろんこの光景は以前、帝が東宮時代に綾乃が夢で見た光景そのものであった。


「綾乃ずっとここで待っていてくれたの?」
「はい。はじめは鈴華様もいらしたのですけれども、身重の大事なお体ですので、先に藤壺にお帰りになりました。」
「そう・・・鈴華もいたのか・・・。」


綾乃は女官を呼び、帝の装束を着替えさせるように指示をする。大変疲れた様子で帝は御帳台に腰掛けると、そのまま横になってしまった。


「綾乃もこっちにおいでよ・・・。」
「いえ、私はこれから弘徽殿に戻ります。あと三日儀礼がございますので、ごゆっくり・・・。」


帝はふくれた顔をして綾乃が退出していくのを見る。そして疲れているからか、すぐに帝は眠ってしまった。


 普段の霜月の節会であれば、新嘗祭のあと豊明節会があるのだが、今年は即位後初めての大新嘗祭に当たるため、豊明節会のとの間に大嘗祭の翌日の悠紀の節会、翌々日の主紀の節会をはさみ、三日後の午の日に豊明節会が行われる。節会好きの群臣にとってはとてもうれしい限りではあるが、帝である立場上、楽しみたくても楽しめない。もともとあまり酒が得意ではないので、よけいにである。帝は特に今年は早く節会を終え、日常の生活に戻りたいと思う。


 豊明節会当日、豊楽殿にて節会が行われる。帝は黄櫨染御袍を着て出御し、様々な儀礼を行った後、群臣達に酒を振舞う。大歌や催馬楽を大歌所の別当が歌ったり、国(くに栖す)が供物を献じて歌笛を奏したりするのを帝が群臣と共に見る。帝の右横には帝の兄、中務卿宮が座り、お酒をあまり好まない帝の話し相手をする。また左横には几帳で区切って中宮の綾乃と女御の鈴華が座って楽しそうに話している。もちろん東宮である御年二歳の康仁親王も乳母に抱かれてきている。小さな東宮は何もかもに興味を示し、じっとしていないので、帝のところに行って膝に座り、父である帝の頬を触ったり、耳を引っ張ったりして遊んだり、母である中宮のもとに行っては何か耳元で話してみたりする。招待を受けていた先帝である院や皇太后もそのような微笑ましい光景を見てなにやら話しながら微笑んでいる。一番冷や冷やしているのは東宮の乳母である。節会は大変盛り上がり、最後に五節舞が披露される。舞姫たちは豊楽殿の庭に設置された舞台に現れ、緊張した表情で舞い始めの位置につく。舞が始まると、中務卿宮は帝に話しかける。


「帝、舞姫の中に気に入った姫君はおられますか?今年の姫君はなんとも麗しい姫君の多いこと・・・父上はあの中から好みの姫君を御側につけたらいかがなものかと仰せです。」
「兄上・・・。」


中務卿宮は帝の耳元でこっそりという。


「あの一番小さな姫君などいかがでしょうか?とても可愛いではありませんか・・・。あの真ん中の姫君は?とても表情豊かに舞っている。この二人の姫君が私のお薦めでしょうか・・・。」
「兄上、真ん中の姫はどの方の姫かは知りませんが、あの小さな姫は藤壺女御の妹君なのですよ。」
「ほう・・・ということは、女御様はとてもお綺麗な方なのですね・・・。羨ましい・・・。では気になっておられるのでしたら、あの姫も側に・・・。更衣としてでもいいではありませんか・・・。今まで姉妹で入内された例はたくさんあります。」


帝は困った様子で舞を見つめる。


「しかしね・・・女御がどう思うかな・・・。」
「帝、更衣をあと数人は必要ですよ。今はほとんどが父上の代からの女官ですからね・・・。そろそろ・・・。」
「兄上、考えておきます・・・。」


帝は苦笑して五節舞を見続ける。綾乃や鈴華は帝と中務卿宮がこのような話をしているとはまったく知らず、楽しそうに話しながら眺めている。五節舞が終了すると、帝は退出し、清涼殿へ戻る。院や皇太后は帝に挨拶をすると、今日はもう遅いので宇治には帰らず、後宮の一室に泊まって帰る事になっている。鈴華は院や皇太后に挨拶をすると、身重のため早々と藤壺に戻っていく。皇太后が帝に言う。


「とても麗しい女御ね・・・。とても寵愛されているのがわかりますわ。とても幸せそうなお顔をしていらっしゃるもの・・・。ところでもうそろそろ着帯をしないといけないのではなくて?」
「そうですね・・・。次の戌の日にしようと思っているのですよ・・・。その次は師走で忙しいですからね・・・。あと四日後ですので準備はしているのです。早めの里下がりもさせようと思っていますし・・・。」


皇太后は鈴華のためにお祝いの腹帯を用意するといい、帝も感謝して着帯の儀を行うことに決めた。この四日後、藤壺において鈴華の着帯の儀がしきたりに則って行われた。鈴華は益々もうすぐ生まれてくる帝との御子を大切に思い、師走に入るとすぐ早めに三条にある堀川邸に里下がりをした。



《作者からの一言》

新帝初の新嘗祭・・・とても盛大に行われます。本当に1代に1回なので、相当盛大だとききます。

5年前、まだ帝が元服前に鈴華は舞姫として出ていたのですが、覚えておらず、ぜんぜん鈴華は印象の薄い姫君でした^^;まあ当時鈴華は東三条家の右近少将と婚約していましたけどね・・・^^;

鈴華と対照的なしっかり者の鈴音・・・。この二人の行く末は???
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