4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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第81章 鈴華の出産と失望
 鈴華の妹君の宣旨が下り数日経った頃、鈴華は更衣出仕宣旨を知らされないまま無事に姫宮を出産する。出産後すぐに賜剣の儀が行われ、帝から健やかな成長を願って「守り刀」が贈られ、姫宮のまくら元へ置いた。姫宮の場合は袴も贈られる。五歳のときに行う着袴の儀で使うため、今回は赤紫の濃色の袴の目録のみが贈られた。


とても帝によく似た可愛らしい姫宮で、お七夜の命名の儀にて「篤子」と名づけられ、同時に内親王の宣旨も行われた。もちろん皇子を期待していた内大臣をはじめ摂関家の者たちは落胆する。特に残念に思ったのは、土御門殿であって、娘の一の姫も姫君を出産したことにより、両家の密かな縁談話は水の泡となる。土御門殿は生まれた孫を東宮の妃がねとして扱うことに決めたのは言うまでもない。


 内大臣は鈴華の母や鈴華の女房達、そして妹君、その女房達に言う。


「女御は、鈴音の更衣出仕を知らない・・・。今、女御は産後に不安定な時期であるから、鈴音のことは引き続き内密にな・・・。後宮に戻られるまで、頼んだよ。」


しかしこのような話はどこからか洩れるようで、産養を終え後宮に戻る準備する女御の耳に入る。


(信じられない・・・。あれほど鈴音の入内はないと仰せだったのに・・・。)


鈴華は帝の行動に失望すると共に、後宮に戻る日を延期した。


「え!藤壺女御が戻らないと言い張るのですか!」


内大臣は鈴華が戻らないと言い張るので清涼殿にお詫びに来たのだ。内大臣は申し訳なさそうな顔をしてお詫びを帝に申し上げた。帝が毎日のように鈴華に戻るように文を書くが、再三の文にも返事はなく、帝は思い詰めて公務中に内裏を抜け出し、止めに入る中務卿宮と源常隆を連れて堀川邸に前触れもなく馬で訪れる。


「開門!私は左近衛少将兼五位蔵人源常隆と申す。中務卿宮、今上帝のお出ましである。内大臣様、女御様にお会いしたい!直ちに開門せよ!」


門衛は急に訪れた朝服等(帝は麹塵袍に烏帽子、中務卿宮は白浮線綾丸文固地綾に冠、少将の束帯は緋色の闕腋砲袍)を着た三人に驚き、前触れもなかった上、何が何だかわからないようで、なかなか応じようとしなかったが、帝は我慢できずに直接門衛に向かって言う。


「早く開けないか!私は今上帝雅和である。我が妃藤壺女御に話がある。」


門衛は帝の着ている袍の色に気付き、驚いて門を開ける。この騒ぎで内大臣の従者がやって来て中務卿宮と左近少将を確認すると、慌てて頭を下げる。


「これはこれは・・・中務卿宮様と左近少将様!」


そして帝の中務卿宮時代の姿を知っているこの従者は帝の姿に気がつくとさらに驚いて帝を馬に乗せたまま帝の乗った馬を引き、東中門を通り寝殿前まで案内する。帝は寝殿前で馬から下りると、急いでやってきた内大臣に言う。


「突然堀川邸に来て申し訳ない。女御に会いたい。今すぐにだ!」


この騒ぎで様々な女房達が集まってくる。もちろん女御の女房もやって来て急いで部屋に戻り鈴華に言う。


「女御様!み、帝が・・・。こちらにお出ましに・・・。」


急な帝のお出ましに、部屋中慌てて帝を迎える準備をする。


「いや!帝にはお会いしません!」
「女御様・・・。」


帝は内大臣に先導されて、鈴華の対の屋にやってくる。鈴華は塗籠に籠もり扉を閉めてしまった。帝は塗籠の前に座ると鈴華に話しかける。


「鈴華、どうして帰って来て頂けないのでしょうか?何処か体が良くないのですか?なぜです。」
「帝・・・お帰りください・・・。帝には失望いたしました・・・。」
「鈴華、この私の何に失望したのですか?」


鈴華は泣きながら帝に言う。


「帝自身が一番おわかりでしょう!」
「鈴華・・・。ひとまず塗籠から出てゆっくり話をしましょう。」
「嫌です・・・。」


すると帝は残念そうな顔をしたが、ふと何かを思いついて内大臣に言う。


「内大臣、今すぐ姫宮篤子の参内の準備をしなさい。今すぐ姫宮のみ連れて帰ります。姫宮は中宮のもとで育てさせます。鈴華、いいですね?」
内大臣は慌てて女房達に準備をさせる。もともといつでも後宮に入る準備が出来ているので、すぐに姫宮の参内の準備が整う。
「帝、内親王様の参内準備が整いましたが・・・。」
「ありがとう、内大臣殿。」


帝が姫宮とその乳母を連れて部屋を退室しようとすると、塗籠が開き、鈴華が出てくる。


「篤子を連れて行かないでください!わたくしから篤子を取り上げないでください!帝!」


泣きながら鈴華は帝のもとに駆け寄ると、帝の袖を引っ張る。すると帝は鈴華の腕をつかむと引き寄せて抱きしめる。


「やっと出てきていただけましたね・・・鈴華・・・。すみません、こうしないと・・・。内大臣、二人きりにさせてください。」


内大臣は部屋にいるものたちを下がらせると、内大臣も退出して行った。帝は鈴華を部屋の奥に座らせると、鈴華の前に座る。


「何を失望したのか遠慮せずに言いなさい。」


鈴華はうつむいたままで何も話さなかったが、帝は鈴華を抱きしめて優しい言葉でさらに問いかける。


「どうかしたの?いってごらん。鈴華・・・あなたらしくない・・・。今まで何でもいってくれたじゃないか・・・。」
「鈴音のことです・・・。鈴音が更衣として入内する事を聞きました。」
「ああ・・・。本当のことだよ。でも純粋に更衣として来て頂きたいだけだから・・・。妃としてではありません。また私もそのように扱うつもりはありません。私には更衣という女官がいないので・・・今いる女官は父上の代からいる女官で、もうそろそろ院のほうにお返ししようと思っているのです・・・。もし、妹君に好きな人が出来て結婚されることがあれば、内裏を出られても構わないのです。もちろんまだ裳着を終えられたばかりというので、寂しいだろうから、お部屋は鈴華の御殿の隣にある梅壺と考えています。それなら鈴華と会えるのですから・・・・。わかっていただけますか?」


鈴華はまだ納得がいかないようで、下を向いたまま泣いている。


「もし、鈴音が帝の事を好きになった場合は?帝が鈴音の事をお好きになられた場合は?どうするおつもりですか?」


と鈴華は帝に言うと、帝は困った顔で言う。


「そうですね・・・。その時になってみないとわかりませんが・・・。今のところはありません・・・。今のところ更衣として出仕していただくのみです・・・。まだあと数人更衣として出仕していただくことになるのですよ。鈴華は私の妃です。とても大切な・・・。それだけはわかってください。何人更衣などの女官を側に置こうとも、鈴華への想いは変わりません。」


そういうと鈴華の顔を見つめ鈴華にくちづけをする。


「鈴華。いつになったら後宮に戻ってきていただけるのでしょうか?」
「雅和様・・・・篤子をこのわたくしからお取り上げにならないのでしたら、数日後、篤子を連れて後宮に戻ります。」


帝はほっとした表情で、鈴華を再び抱きしめる。


「すまない・・・さっきの姫宮のことは鈴華を塗籠から出す策だったのです・・・。あなたから姫宮を取り上げることなどできるわけありません・・・。姫宮ですので藤壺にて養育してもかもいませんよ・・・。それが鈴華の願いであれば・・・。」


鈴華はうなずくと、帝の胸に顔を沈める。二人は黙ったまま、時間が経っていく。


 数日後、鈴華は姫宮を連れて藤壺に戻ってきた。そして清涼殿に姫宮をつれ、改めて帝に姫宮篤子を見せる。


「鈴華、戻ってきてくれてありがとう・・・。一時はどうなるかと思ったよ・・・。」


鈴華は姫宮を帝に渡すと、帝は姫宮の頬を触ったりして微笑むと、側にいた綾乃にも姫宮を見せる。


「鈴華様、とてもかわいらしい姫宮ですわ・・・。とても帝によく似て・・・。」


綾乃は微笑んで鈴華に姫宮を返す。


「羨ましいですわ・・・鈴華様。藤壺で姫宮をお育てになるそうですね・・・。私の東宮もこの後宮でお育て出来たらいいのですが・・・・。」


すると、帝は綾乃に言う。


「綾乃。後宮の御殿がたくさん空いているので、右大臣邸から東宮を梨壺に移すようにしよう。そうすれば綾乃も寂しくはないだろう?」


帝はそのように決め、数ヵ月後幼い東宮は右大臣から東宮御所として賜った梨壺に移り、そちらでこの先ずっと過ごしていくこととなった。



《作者からの一言》

内裏から帝が抜け出すなんて^^;現実では絶対ないでしょうね^^;ホントに鈴華は納得したのかは疑問ですが、まあ後宮に戻ってやれやれでしょうね^^;
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