4年生、2年生のねえねと、幼稚園児の双子っちのいるママです。アメブロで発表している小説の倉庫として使っています。お好みの物があるかわかりませんが、覗いてくださいね^^ ご感想お待ちしております!

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一途 (78)雅、退職
 私は有給を一杯使い、半月休んで業務に戻った。やはり双子だから?ちょっぴりつわりも美咲の時と比べてきつめ。フライトのミールサービスの時はもう最悪。なんとか吐きそうになるのを我慢して乗り切った。クルーのみんなは私が妊娠中というのを知っているから色々気を使ってくれる。ホントにありがたい。




「ねえ、雅。来週のフライトで退職なんでしょ?」
「うん、まあね・・・。ホントならもう少し働くつもりだったんだけど・・・。」
「もう帰ってこないの?美咲ちゃんのときみたいに・・・。」
「うん。今回は双子ちゃんなの。だから育児が大変だしね、落ち着いたら国内線の登録をするかもね。」
「みんな言っているわよ。旦那さんの会社に移るんじゃないかなって。」
「ま、ありえるかもしれないけどね。一度引き抜きがあったのは確かだけど。でもね、今は赤ちゃんの事が大切なの。産休も考えたけど、無理っぽいし、来年美咲は幼稚園でしょ。そろそろ家にいてもいいかなって思っちゃった。」




ホント残念ねって同僚は言って何とかフライト終了。次のフライトで最後なんだって思いつつ、帰宅。そして病院に検診に。勿論双子だから半月に一度。先生は順調ねって言ってくださって、一応張り止めの薬を処方してくださった。



やはり立ち仕事と、気圧の関係の仕事だから、よくおなかは張っていた。痛みがないからいいやって思ってたけど・・・。帰りにお買い物。孝博は今日、訓練センターで年に一度シュミレーション訓練。だから早く帰ってくる。早く帰ってくる日は孝博が夕飯を作ってくれる。偶然広尾の駅前でばったり孝博と出会う。孝博は私の荷物を持って微笑んでくれたの。




「雅、だめだよ。買い物は俺がするって言ったろ?家に着いたら横にならないとね・・・。」




そうね・・・。相変わらず優しい孝博。私をいたわってくれる。勿論私たちの新しい命たちもよ。美咲は代官山のおばあちゃんちに遊びに行っている。夕方私たちが帰る頃までにいとこの静が送ってくれるって。今度のフライトはだいたい日程が同じ。違う会社だから、一緒にって言うのは無理だけど、帰りは一緒に帰ろうねなんて約束。寂しいな・・・。




「なあ、雅、美咲のお受験どうするんだ?お父さんたちは学習院って決めているみたいだけど・・・。幼稚園受験の時、保護者面接があるんだろ?俺休み取れないかもしれないぞ・・・。雅もおなか大きいし・・・。」
「まあなんかあったらきっとパパとママが行くっていうわよね。きっと大喜びで行くわよ。首相なのにね・・・。」




ホント、パパとママは美咲のお受験準備を進めている。美咲が公邸にいるとき、なんと家庭教師みたいな人を呼んで、お受験対策。受かったらいっぱい幼稚園に寄付をするぞって・・・。ほんとにもうって感じで。ま、美咲は楽しそうにお勉強しているからいいんだけど・・・。




最近美咲はひらがなの読み書きができるの。だからか知らないけど、パパとママったら美咲は天才!なんか言って、小学校受験もするぞって・・・。女の子なんだからそのままエスカレーターでもいいと思うんだけど・・・・。大学までついているしね。ま、お受験の事はいいとして・・・。さて最終フライト・・・がんばらなきゃね。

一途 (77)書類の中身
 ああやばかった。九條実朝の書類が雅や第3者に渡っていたら・・・・俺の身は破滅だった。



もちろん以前の浮気の件がはじめに書かれていたけど、なんとそのうちの一人、九條桜は九條実朝の妹だった・・・。きっとそれで俺に余計、敵対心を持っていたのか?そして遥の事。僕の隠し子、孝志について詳しく書かれていたし、遥としていた密会すべての写真。これがばれてしまうと、完全に離婚どころか・・・雅に殺されてしまうかもしれない・・・。



そしてあいつは以前いた会社の筆頭株主。それも50%という保有率。筆頭株主という権力を使って、俺を左遷。国際線から国内線に異動させ、そしてあのままあの会社にいたら、東京に戻ることができないどころか、出世も危うかったみたいだ。俺が今の会社に移ったことは正解。




 もちろん示談の際には今まで調べた俺の秘密を忘れるように言ったし、もうこれ以上雅にちょっかいを出すなとも言った。俺だって遥と話し合った上で、もう二重生活は辞めにしたし、完全清算は無理だけど、ほぼ清算。雅と家族のためにもう浮気をしないことに決めたんだ。だって、俺は年が明けると三児のパパになる。気合入れて働かないとね。遥には悪いと思っているけど、そうしようって二人で決めた。孝志の事も忘れられないけど、俺がお父さんだって名乗らないことに決めたんだ。もちろん遥は見合いをして相手が決まったことだし、これ以上彼女と会うことはない。まあ、雅の後輩として会うことはあるかもしれないけどね・・・。もう他人・・・。それでいいんだ。

 話は変わるんだけど、ホント驚いた。いきなり僕宛に俺の会社から手紙。内容は「名義変更完了のお知らせ」。株数を見て驚いた。今の株価から計算して数百億の株券。うちの会社だけじゃない。銀行株、電鉄株、鉄鋼株、色々・・・。他の株はうちの株ほどの保有率じゃなく数%って感じかな・・・。俺はいきなり会社の個人筆頭株主になってしまったもんだから、会社では大騒ぎになっているらしい。個人どころか銀行などの法人を差し置いて筆頭株主だもんなぁ・・・。いちパイロットが筆頭株主なんだから、そりゃ大騒ぎになるよねえ・・・。もちろん株主総会では権限ありすぎ。どうなることやら・・・。



そしてある経済雑誌にも取り上げられる。28歳で筆頭株主なんだから・・・。それも大手の航空会社。いち社員。ホントどこから手に入れたの?っていう感じの制服姿の俺の写真。もちろん弐條家次期当主の事とか、色々書かれたよ。プライベートなことはなかったけどね。



そしてそれから初出勤の時、支店に出勤すると、会社の幹部クラスが俺を出迎えゴマをする。気持ち悪い・・・。まだここに入社して1ヶ月なのに・・・。もちろん俺は言ってやった。




「僕は会社の経営に口出しはしませんよ。僕はいち副操縦士ですから。まだまだひよっこの・・・。特別扱いしないでください。業務に支障をきたしますから。」




もちろんほっとした表情で立ち去っていった幹部クラスたち。まあ筆頭株主であっても、別にいつもと変わらないからね。お願いしますよ、いいですか?

一途 (76)緊急入院
 私は気がつくと産婦人科で有名な麻布の愛育病院にいた。わざわざ孝博はずっと側にいてくれたらしく、私は丸1日眠ったままだったらしいの。




「孝博。私達の赤ちゃんたちは?」
「んん・・・。それよりも誰にやられた?おなかにあざができるほど・・・。」
「ねえ孝博?赤ちゃんは?」
「ま、着物着ていたし、殴られたところが子宮からずれていたからなんともなかったけれど・・・。もう少し下だったら・・・。流産していたって先生が・・・。誰にやられたんだ?被害届を出さないと!これは立派な傷害罪だ。」




私はきちんと孝博にいったの。




「九條実朝・・・。色々孝博の事で強請られてたのね・・・。孝博の秘密を知りたかったら関係を持てって・・・。きちんといやだって断ったの。そしてつい赤ちゃんの事いったら・・・いきなりね。孝博の秘密って何?何か隠しているの?」




孝博は少し顔をゆがめたの。もちろん結婚指輪の件も聞いた。




「ああ、あれね。先輩に合コン誘われて、そこで落としたんだけど?」




本当かどうか定かじゃないけど・・・。すると孝博は私にあるものを渡すの。それは結婚指輪。実朝にパリで取り上げられた・・・。




「九條実朝から受け取った。なんかパリで何とか意味深な事いってたけどね・・・。何もないんだよね?あいつと・・・。」
「当たり前じゃない!ずっと断っていたの。これも実朝にフライト中に取り上げられたの。孝博の秘密って言う資料を渡すからって関係を迫られたけど、もちろんお断りしたわ。秘密って何?以前の浮気?その他に何かあるの?」




孝博は目を合わさない。もちろん何かありそうなんだけど、今はそれどころじゃない。

孝博は病院に診断書を書いてもらって警察に被害届を出していたの。

結局九條家は示談を持ち出してきた。だって実朝は大切な跡取り息子。孝博は示談を受け入れたの。もちろん実朝から秘密の書類を受け取ることを条件に・・・。そして私の治療費、慰謝料。示談成立っていうことで、警察は関与しなかった。いいようにもみ消されたって感じかしら?




私は孝博の書類の内容を聞いてみたんだけど、以前の浮気のことだよの一点張り。もちろん孝博は内容を確認してすぐにシュレッダーにかけて処分してたわよ。




まあ何とか私は検査入院の後、退院。きちんと会社に妊娠報告と、7月末付け退職を伝えたの。まあ色々嫌味言われたけど?孝博の会社に移るの?とか、引き抜き?とか色々ね。でもいいの。そう思われても仕方がないことだしね。何とか切迫流産の兆候もなく順調に育っている双子ちゃんたち。ひとまず安心ね。

一途 (75)籐華会2
 何とか籐華会はお開きへ向かっている。昨日までのフライトで疲れているはずの孝博は、一生懸命ホストとしてがんばっていた。パパもがんばっている孝博を見て微笑んでたわよ。お爺ちゃまもとても褒めていたわ。


「雅、孝博君の会社の持ち株、すべて孝博君名義に変えておいたよ。個人保有としては最高の40%。あと色々な株も、すべて孝博君名義に変えた。まあ言う生前贈与だと思ってくれたらいい。」

「お爺ちゃま・・・。」

「孝博君を次期当主として認めよう。本来なら、政治家になって欲しいのだけど、それは無理みたいだからね・・・。雅、はじめ私は孝博君を認めたくはなかったのだよ。いとこで結婚すると聞いた時は目の前が真っ暗になったよ。本当なら、どこかの政治家の息子か大きな会社の御曹司とでも結婚させようと思っていたが・・・。まあ孝博君はよくやってくれている。雅も大切にしてくれているしね。」




そういうとお爺ちゃまは微笑みながら椅子に座ったの。そして籐華会はお開き。



私は妊娠中でしょ。孝博が招待客を見送りに行っている途中、会場の隅で一休みしていたの。双子を妊娠中だから、無理は禁物ってことで・・・。まだ公にしてないし・・・。




会場は誰もいなくなって、私も会場を出ないとって立ち上がり、出口へ向かう。そしてお化粧を直すために化粧室へ。着物だから、少し窮屈。少しつわりも始まっているからか、少し吐きそうになりながらも、化粧室を出る。早くこの着物脱ぎたいなあって思いつつ、ため息。すると前からにやけた顔の九條実朝。




「やあ、雅さん。相変わらず綺麗だね。今日のお着物もすばらしい。で、いついい返事くれるの?今日、ちゃんと例の書類持ってきているんだけど・・・。いつになったら僕の女になってくれる?書類とは別にいいもの持っているよ。これはきちんと返さないとね。」




というと、私に指輪を渡す。




「私の永遠の王子様・孝博へ・・・。」




と実朝が英語でさらっと言う。よく見ると孝博の結婚指輪。どうして実朝が持っているわけ?




「あのねそれ、旦那が単身赴任中にさ、ある女の子が持っていたらしいんだけど、渡そうと思ったら会社辞めたっていうから、巡り巡って僕のところへ来たってわけさ。また浮気してたんじゃないの?単身赴任中に。」


そういうと実朝は私を抱きしめて耳元で言う。




「僕の女になれば、今よりもずっと幸せにしてあげるよ。ホント君の旦那はよくあんなことやってくれたよね。僕は例の株で大損してしまったよ。ま、あれくらい僕の小遣い程度だから別に構わないけど。」




私は実朝を引き離し言うの。




「私は孝博と別れない。私はあんたとなんか一緒にならないし、不倫だってしない!」
「どうして?あいつは雅さんをだましているんだよ。いい夫の面して裏ではひどい事しているのに?」
「裏で?でもいいの。私は孝博を手放さないから。ホント残念でした。実朝君。私は孝博に愛されているの。私には美咲だっているし、おなかにはかわいい赤ちゃんがいるんだから。」
「そのようには見えないけど?ほんと?うそだろ?」
「うそじゃないわよ。ほら。」




私はバックから母子手帳を1冊出す。すると実朝は顔色を変えるの。そしていきなり!




 私はおなかに痛みを感じ、意識が遠のく。たぶん実朝が・・・。私のおなかを・・・。私は壁にもたれながら座り込んだ。遠くで私を呼ぶ声。この声は孝博?


「雅!どうした!雅!誰か!救急車を頼む!!家内は妊娠中なんだ!!!」
「孝博・・・おなか・・・。」


私は意識を失った。私の赤ちゃんたち・・・どうなるの?


一途 (74)籐華会1
 6月のある日、東京の某ホテルにて籐華会が行われる。籐華会とは元五摂家が集まって年に一度行う親睦会。今年は五年ぶりに弐條家が幹事である。もちろん俺は弐條家次期当主として、取り仕切らなければならないんだけど、週のほとんど仕事で日本にいない俺はほとんど義弟の彬にまかせっきりだった。




「ごめんな彬。秘書官で忙しいのに・・・。」
「いいよ。でも今回だけだからね。5年後はきちんと孝博にしてもらう。もう俺は弐條の人間じゃないしね。さ、早く着替えて。」




俺は言われたとおりブラックスーツに着替えて、髪の毛を整える。雅は妊娠中だけど、きちっと訪問着を着て、準備万端みたいだ。美咲はまだ子供なので、代官山の高橋家に預けてきた。




「孝博、大丈夫だって。パパも側にいるし、孝博は世渡り上手でしょ。何とか乗り切れるわよ。」
「そうかなあ・・・。緊張するよ・・・。」




俺は彬に誘導されて、会場へ向かう。続々と集まる籐華会のメンバー。やはり歳いった人が多い。俺なんかまだまだひよっこって感じ。28だもんなあ・・・。俺は叔父さん(もう義父だけど^^;)の側について、さまざまな人と挨拶を交わす。そして名刺交換も忘れない。




「ああ、航空会社にお勤めですか?パイロットで?ほほう・・・。あの会社はよく使っていますよ。プレミアムシートの乗り心地がいい。」
「あ、そういえば、あなた担当の飛行機何度か乗りましたよ。とても着陸が上手だと聞きました。北田機長とあなたの組み合わせが大変人気があると聞きました。私も欧州に出張の際はできるだけ選んでいますよ。あなた方のクルーを。」




結構オレって有名人?でもこういう人って社交辞令満載って聞いたから、どこまで信用できるんだろう。




籐華会が始まり、会食開始。緊張で食事がのどを通らないんだけど、ビール片手にあっち行ったりこっち行ったり。顔と名前を売りにいく。そしてある男の前にたどり着く。名前は九条実朝というらしい。雅と学習院時代の同級生。まあ俺も幼稚園は学習院だった。でもあそこは2年保育で、俺が入った時にはもう雅もこの男も幼等科にいたんだよね・・・だから知らない。




「へえ、あなたも幼稚園は学習院?」
「はい、小中学校は慶応に行っていましたが・・・。」




そんな何気ない言葉から、始まったんだけど、この男何かしら雅の事ばかり話してくる。そして最後には・・・。



「あ、これ雅さんの忘れ物です。」




といってこの俺にあるものを渡す。それは雅が無くしたって言っていた結婚指輪。どうしてこいつが持っているんだろう。俺は一瞬嫌な想像が過ぎった。




「どうしてこれを?」
「雅さんが忘れていかれたんですよ。フランスで・・・。旦那様にお返ししておこうと思いましてね。」
「雅いえ、うちの家内と何か?」




するとこの男はにやっと笑って立ち去ろうとした。




「いつこれを家内は忘れたんですか?」
「5月はじめくらいかなあ・・・。あなた単身赴任していたでしょ?その頃ですよ。大変寂しそうな顔をしていたねえ・・・。」




何でこいつは俺が単身赴任していたことを知っているんだ?

もちろん俺は雅が浮気?っと思ったさ。でも雅に限ってと思った。もし、浮気だとすると、雅に宿っている子供は誰の子なんだ?俺じゃなく、あいつか?そんなことないよな。雅に限って・・・。俺と違って雅は俺に一途で・・・。浮気するような女じゃない。それはわかる。




ホントそれ以降、そのことばかり頭に浮かんでは消え浮かんでは消えるものだから、籐華会は上の空だった。


一途 (73)遺伝?
 俺と雅は美咲が生まれた表参道の産婦人科へ行った。そして雅の検診中待合室で待つ。




「弐條様の旦那様。診察室へどうぞ。」


と呼ばれるんだ。俺は立ち上がって、診察室へ入る。なんだこの空気は・・・。なんともいえない空気が流れている。俺は先生に促されていすに腰掛ける。


「おめでたですよ。順調です。あのですねえ・・・。実は・・・。」
「実は?」
「双子ちゃんですよ。見た感じ二卵生です。」




まあ雅はもともと双子で、遺伝かどうかわからないけど、双子と聞いて俺はびっくりしてしまった。この後仕事のこととか、生活面についてのアドバイスを受ける。もちろん双子はリスクが高い。診察後、雅は早速実家に連絡。もちろんあちらも驚いていた。




「仕事かあ・・・。ドクターストップかかるまでがんばってみていい?」
「うん別にかまわないけど・・・。無理はするなよ。で、次は辞めるの?双子だから産後の育児大変だろ?またやりたくなったら登録制で国内線をすればいいし。」
「考えてみるね。でもやっとできたんだもん。孝博もこれでパパやママからいろいろ言われることなくなるね。」




そういう問題じゃないだろ?
もちろん自宅に帰ると雅のお母さんが来ていたんだ。もちろん美咲をつれてきたというのもあるけど、いろいろ心配して・・・。




「雅、今すぐとは言わないけど、早く仕事やめなさい。」
「わかってる。でも急にやめることできないわよ。これから繁昌期に入るし、今ちょうど新人が入ってきたところだから、やめることができないのよ。一応今度出社した時に上には伝えておくけどね・・・。」
「もうのんきね・・・。雅と彬がおなかにいるとき、大変だったのよ。切迫早産になってその上一月以上早く生まれたんだから・・・。知らないわよ、流産したって・・・。」




ホント雅って・・・。はあ、せっかく宿った命・・・。どうするつもり?

一途 (72)体調悪いの?
 ほろ酔い気分で食事会を済ませ、フライトの疲れと酔いでそのままダブルベッドに潜り込んだ。もちろんすぐに眠ってしまって、気がついたのは雅からの携帯。時間を見ると待ち合わせ時間・・・。




「雅、ごめん、今起きたとこなんだ・・・。」
「じゃあそっち行っていい?何号室?」




部屋番号を教え、二度寝してしまったみたいだ。呼び鈴でおきる。俺はドアを開けると雅・・・。




「遅い。まだそんな格好しているの?」
「ホントごめん。二日酔いかなあ・・・。」




雅は俺がシャワーを浴びている間に俺のスーツケースから、着替えを出してくれた。やはりそういうところは気が利いている。俺は着替えて雅と話す。




「どこに行きたい?久しぶりのパリだろ?」
「そうね・・・ゆっくり美術鑑賞でもどう?」
「珍しい・・・。雅がそういうのに行くって・・・。」




ホテルを出て、美術館めぐりをし、食事をする。いつもならたくさん食べる雅が食べない。サラダとか中心・・・。ダイエットでもしているのか?

「ねえ孝博。日本についたら、一緒に病院へ付き合ってくれる?」
「どうかしたのか?病院なんて。体調悪い?ついてきて欲しいっていうんなら行くけど・・・。今日だってあまり食べてないじゃん。」




すると雅はおなかにてを当てて微笑む。




「実はね。ここに子供がいるの。この前いったらまだ小さすぎて、兆候のみだったけど、フライト終わったら行こうと思っているの。美咲に弟か妹ができるんだよ。」




そっか・・・。そういうことか・・・。
超うれしいはずなんだけど、でもなんだか喜べないところが・・・。
やはり遥のことかなあ・・・。
俺は幸せになってもかまわないの?俺たちだけ・・・。


もちろん帰国後、午後の診察時間にいつもの病院へ行ったんだよね・・・。するとすごいこと発覚してしまうんだ。


一途 (71)歓迎会!
 いよいよ歓迎会の開始。ちゃっかり俺の横には丹波由佳。にこっといつもの笑みで俺のことを見つめている。誰かが乾杯の音頭を取ると、歓迎会が始まる。もちろん前の会社のこととか、何で移籍してきたかとか、そしてプライベートまで。




「弐條さんの奥様って、もといた会社のCAですよね。それもファーストクラス・・・。一緒に移籍してこなかったんですか?」
「んん?まあ妻は行かないといったんだよ。もちろん声はかかってたけどね。」
「綺麗ですもんね・・・奥様。こっちの会社でも結構有名だったんですよ。優秀だし、綺麗だし、ホント大和撫子って感じで・・・すごく憧れてました。やはり会社で知り合ったんですか?」




ここで従姉弟というべきか・・・。すると由佳がいった。




「実は、彼と彼女は従姉弟なの。従姉弟で結婚なんて馬鹿馬鹿しい・・・。」




CAたちはえ~~~~~~~って驚く。




「孝博君さあ、弐條家になんで養子に入ったわけ?財産目当て?それともあの女が無理やり養子にさせたの?」
「そんなんじゃないよ。何も知らないくせにいうなよ。」
「何も知らない?笑わせないでよ。私孝博君追いかけて、防大にも入ったし、CAにもなった。」
「このストーカー女。一歩間違えたら犯罪だったぞ。」
「うるさいわねえ。高校時代中途半端に私のことを振るからよ。」
「きちんと言っただろうが。ひと月付き合ったって言ってもあれは偽装だったんだよね。」
「偽装???じゃあ好きでもないのに付き合っていたってこと?ひどい!」




俺と由佳のやり取りにクルーは引いている。

偽装であっても由佳は俺の元カノで・・・。と言っても十三年も前の話だぞ!!!

手を握ったくらいでキスさえしてなかったんだから。


一途 (70)歓迎会?
 フライト中、ああそろそろおなか空いたなあと思うころ、ミールサービス。以前の会社の機内食はおいしいと評判だったが、ここはどうだろう。食事を運んできたのは丹波由佳。先に北田さんが食べる。俺はコーヒーのみをもらって計器類を監視。いくら自動操縦と言っても、いつ何時気象の変化で修正をしないといけない時があるからだ。まあ計器類、レーダー類も異常なし。気をつけないといけないのはアルプスあたりかなあ・・・。あそこはいつも気流が悪い。よくエアポケットに入る。一番緊張するんだよねそこが・・・。そしてそこで客室はミールサービス中だから、できるだけ揺れないように気を使う。




 北田さんの食事が済むと今度は俺。北田さんが食べたものを下げた後、丹波由佳が俺にミールを渡す。




「孝博君ゆっくり食べてね。今日のミールはおいしそうよ。コーヒーのおかわりがあればいってね。」
「んん・・・ありがとう。もういいよ。何かあったら呼ぶから。」
「あ、そうそう、機長に孝博君。クルーのみんなが歓迎会をしようってことになったんですけど、いいですか?ついてすぐで悪いんですが・・・。それとも次の日にします?」


歓迎会か・・・。


「丹波さんといったね、お任せするよ。弐條君、君はどうする?奥さんのところへ行くのかい?せっかく歓迎会をしてくれるって言うんだから、どうかな?」
「別に妻とは予定組んでいないので、いいと思います。ついたら妻に言っておきますよ・・・。」


由佳は少しむすっとした様子で、コクピットを出て行く。


「結構綺麗でいい子じゃないか。」
「そうでもないですよ。しつこいし、一時ストーカーぽいこともされましたよ。」


北田さんは苦笑。もちろん俺も。




 なんとか無事に空港へ着く。ちょっと天気が悪かったけれど、着陸は上手くいった。北田さんはさすがだねえって。ベルトを外し、計器類の最後の点検。チェックシートにチェックをしたあと、後片付け。フライトケースに資料類をなおし、ジャケットを着て制帽を被る。そして機体を出る。久しぶりのドゴール空港。雅はもうついているんだろうな・・・。そろそろ空港を出るころかなあ・・・。



あと俺は荷物を受け取って、運行乗務員室で簡単な反省会。その後に空港を出て、宿泊先へ・・・。一人に一室、ダブルルームを与えられた。いい待遇じゃないか。一人でゆっくり休めるよ。それとも雅を呼ぶ?もちろんついてすぐに雅に電話。明日デートの約束を取り付ける。気がつけば、集合時間が迫っている。急いでシャワーを浴び、着替える。そして集合場所のロビーへ。もうみんな揃っていたよ。




「弐條君遅いじゃないか・・・。」
「すみません。妻に電話をしていたんです・・・。」
「で、今日は?」
「明日会う予定を組みました。」
「そう、良かったねぇ・・・。ゆっくりしたらいいよ。羨ましい。ホントに。」




相変わらずむすっとした表情の由佳。雅の話をするからだろうねきっと・・・・。

一途 (69)嫌なやつ出現
 さあ、移籍後初めてのフライト。支店のロッカールームで北田さんと偶然出会い、一緒に着替える。まあ隣のロッカーなんだけどね・・・。


「さあ、がんばりましょうかねぇ。弐條君。」
「はい。ホント複雑で・・・。実は妻も一時間違いの便でパリなんです。」
「ほう・・・。よかったじゃないですか。では奥さんと同じホテルへ行く?多分同じ部屋だと思いますよ、私たち・・・。」
「ホントスケジュールほぼ一緒なんです。」


着替え終わると、フライトバックとスーツケースを持って運行乗務員室へ。事務員からフライトデータを受け取り、掲示板で変更点などがないか確認する。その後ブリーティングルームへ。すでに客室乗務員が集まっていて、俺達が入ってくると、静まりかえる。


「本日より、こちらにお世話になります、機長の北田と副操縦士の弐條です。さてはじめましょう・・・。本日のフライトスケジュールを・・・。」


客室乗務員たちは北田さんが説明するフライトデータをメモし、そして最後に俺が追加点を話す。チーフ客室乗務員が乗客数などを報告。本日は満席。俺は移籍後はじめての打ち合わせに緊張して、気がつかなかったことが一点・・・。それは・・・。




 打ち合わせが終了し、北田さんと共に荷物を預けに行く。カウンターで荷物を預けていると、俺の背中を叩くやつ。もしかして雅かな?って思ったんだけど、ここは競合会社のカウンターだ。振り返るとそこには・・・。

「久しぶり、孝博君。」


にんまりした丹波由佳。お前は関空支店じゃなかったのか?


「この春から成田に来たんだ。孝博君が移籍してくるって噂で聞いたけど、本当だったんだ。同じフライトだね。よろしくね。」


そういうと由佳はCA仲間のもとに戻っていったんだ。そして楽しそうに話している。


「お知り合いですか?」


って北田さん。


「高校、防大と同級生で・・・。」
「へえ・・・珍しいね、防大からCAですか・・・。防衛訓練済みだから、何かあったときには安心ですね。」


ああ嫌な予感。

 税関では乗務員リストにサインして中へ入る。フライトバックをコクピットに置くと運行前安全点検。でかいB747-400を北田さんと手分けして点検。さすがだ、きちんと整備してある。以前の会社はリストラや何やらで手抜きがあったりしたんだよね。


「さすがだ・・・。」
「そうですね。」


と二人で確認を終了し、コクピットの中へ。滑走路手前には以前勤めていた会社のB747。


「あ、あの747、弐條君の奥さんが乗っているものでは?」


と北田さんが指を指す。まさしくそうだ。時間的に・・・・。俺は心の中で雅にいってらっしゃいという。俺はジャケットを脱ぎ、ハンガーにかけ、フライトバックから今回のフライトの資料を取り出し、操縦席に座る。そしてヘッドセットの無線をつける。点検の後、出発準備を・・・。


「さあ弐條君、いつもどおりにがんばりましょう。今回のフライトの着陸は君に任せるよ。君のほうが上手いからね。」
「そんなことないですよ。北田さんの操縦はパーフェクトですから。どんな気象条件でも離着陸できる腕をお持ちです。俺にはまだまだ・・・。」
「弐條君の腕ならあと5年ほどしたら機長になれるかもしれないね。」


満席のパリ行き。ここの会社は面白いサービスがある。それは事前にパイロットが誰か知ることが出来るサービス。まあいうお客様の知る権利かなあ・・・。(以前の会社もあったにはあったけどちょっと違う)HPのみだけど、日にちと便名をクリックするとなんと機長と副操縦士の苗字が出る。ということはそれを見てどの便に乗るか決めてしまうお客様がいるということか?最強タッグといわれる北田さんと俺。北田さんの適切な判断力と俺の離着陸の腕・・・。お客様はきっと安心して乗っていることができるんだろうね。だから閑散期なのにこの満席。そしてこれは評価につながる。


「さ、出発しよう!」


と、北田さん。管制塔に連絡を入れ、出発の許可を得る。滑走路へ静かに向かい、滑走路正面へ・・・。離陸許可が出ると、北田さんが操縦かんを握り、離陸・・・。ホントスムーズな離陸。さあ新たなパイロット生活の始まりだ。新天地でがんばるぞ!

一途  (68)入社式
 引き抜き組みの入社式当日。色々な人材を引き抜いてきたようだ。運行乗務員6名をはじめ、客室乗務員3名、整備士5名など・・・。総合職まで・・・。すべてもといた会社のメンバーだ。本来ならこの場に客室乗務員として、雅が入っていたんだろうけど、雅は辞退した。もうちょっとがんばってみるって・・・。



入社式前に、制服、IDなど一式が配られる。もちろん新品のフライトバックまで。すべてが新品。乗務員たちはそれぞれ着替えて、入社式に挑む。社長から直接配属先が書かれた辞令を渡され、その後、個々に別れて、スケジュールなどの資料が渡された。やはり俺と北田さんは一緒のクルーだ。当分は一緒に組んでのフライト。ああよかった籐華会の日は休暇だった。




「ああ、気が引き締まるねぇ、弐條君・・・。数ヶ月前までここの制服を着るとは思わなかったよ・・・。」
「そうですね。」




成田支店組の運行乗務員6名と客室乗務員3名で会社が用意したバスに乗って成田支店へ向かう。そこではもちろんロッカーが用意され、さらに何点かの制服がきちっと用意されていた。その後、社内を案内され、さらに詳しい説明会。そして最後に運行乗務員部へ挨拶に行く。部にいる運行乗務員や事務職の人たちは温かく受け入れてくれる。




「なんとかうまく行きそうですね、弐條君・・・。」
「はい・・・。」




俺たちのフライトは早速明後日のパリ、ド・ゴール行き。久しぶりの国際線。B747-400。何か忘れているような気がしたんだけど・・・・。何か忘れてたな。嫌なものを・・・。

一途 (67)気づかなかったこと
 いつもの表参道のエステへ行く。ここは最低月イチで来ている。すごく疲れたときは週一のときも。ここのところ忙しくてなかなかこれなかった。久しぶりのエステ・・・。全身コース。やっぱりいいよね・・・。パリに行きつけがあるけど、学生時代から通っているここは最高で・・・。




「弐條さま?ちょっと太られました?」
「え?体重は変わらないけど?」
「ちょっと腰周りが・・・。」




ん?そういえば最近制服のスカートきついと思ったんだけど、体重が変わらないから気のせいだと思ってたんだ・・・。




「今回はあまり触らないようにしておきますね・・・。」




って、いつものエステシャン・・・。どういうことかしら?って考えながらフェイスエステをしていた。そしてこっそりいわれたの。




「弐條様、もしかして妊娠されていませんか?」




え?そういえばそろそろ来てもおかしくないんだけど・・・生理・・・。でも数日くらい遅れることはしょっちゅうだし、全然体調に変化がなかったから、まさかねえと思ったのよ。まあここは表参道だし、これ終わったら和気叔父様のお姉さまの病院へ行ってみようかなって思ったわけ。ここは美咲を産んだところだし、ママも弟の雅司を産んだところ。まあいう主治医さん。内科も見てくれるから、何かあればよく行くのよね。




 もちろんエステの後、近くの病院に行ってみる。ここはすごく混む病院だけど、一応親戚だから、特別に診察をしてもらえたの。




「うん、そうね。まだちょっと早いけど、兆候はあるわね。来週暇な時でいいから来てもらえる?まあ、美咲ちゃんは今年で3歳だから、ちょうどいいんじゃないかしら?もちろん産むんでしょ。」
「ええ、まあ・・・。」




まあ喜ばしいことではあるわね。パパもママも二人目そろそろどう?って聞いてくるしね・・・。私、三十路だもの・・・。ちょうどいいかな・・・。CA8年目・・・。もうそろそろ引退かな・・・。やりたくなったらパートで登録しておくっていう手もあるしね。まあはっきり確定するまで孝博には内緒にしておこう。


一途 (66)退職
 私の旦那様孝博は5月末付けで、退職が決まったの。私の勤めている航空会社を引き抜きで退職。なんと精鋭主力メンバー6人が一斉に引き抜き退職したために、うちの会社の株価は暴落。史上最低の株価を推移している。というより毎日取引停止状態。これくらいで株って動くんだろうかなんて・・・。私の大嫌いな九條実朝。うちの会社の個人筆頭株主。これはもう大損だね。罰が当たったのよ罰が・・・。損益十数億円単位じゃない???それでは無理かもね。

 孝博の最後のフライトの日、私は休みを取って引越し準備を整える。簡単な引越しだから、送れるものは宅急便で送って、後は孝博の愛車で東京まで一緒に帰ることにしたの。孝博は最後のフライトで制服、ID、名札、その他諸々を返却し、挨拶を済ませて大阪の自宅へ戻ってきた。そしてその足で、大阪市内のホテルで宿泊。朝一で東京に帰ることにしたのね。帰ったらすぐに形だけの入社式があるからもうバタバタ。

「最後の最後まで引き止められたよ・・・。伊丹支店の人はいい人ばかりだから、名残惜しかったけどね・・・・。」

美咲は実家に預けてきたからゆっくり二人きりの夜。夜景を眺めながら寄り添って思い出話をしていたの。退職した会社は思い出いっぱいなんだもんね。明日からは孝博と私は別々の会社。それも競合同士の会社でしょ。苦笑しながら、同じベッドで眠ったの。孝博の温かい胸に抱かれながらね・・・。

 孝博と交代で運転しながら東京広尾のマンションまで帰ってきた。まだ荷物は届いていなかったけれど、孝博は早速明日の入社式の準備に取り掛かってた。一緒に入社するメンバーと色々電話で話しながら、楽しそうにしている姿・・・。移ってよかったんだよねって思うことにした。念願の成田勤務だもんね。別に大阪勤務が嫌いではないんだけど、やはり国際線に戻りたかったからという理由で競合会社に移ってきた。

いまだ私の会社は混乱している。もちろん私は呼び出されて、色々嫌味言われたり、引き止められたりしているんだけど、孝博が決めたことだから、何にもいえないよね。

「雅、疲れたろ。まだ時間あるから、いつものエステでも行って来いよ。リフレッシュして来たらいいよ。俺も一眠りするからね。」
「うん。行ってくる。」

私は予約の電話を入れ、着替えて家を出る。孝博はきっとどっと疲れが出てきたんだろうね、すぐ眠ってしまった。いままでご苦労様、孝博・・・。これからもがんばってね。

一途  (65)大暴落!
 休暇を終え、大阪へ戻ってきた。今日は日曜日。天気は良好。なんて晴れやかな五月晴れ。いつものように今日は1502便からのフライト。クリーニングから返ってきた制服に袖を通し、運行乗務員部へ出勤。するとこの前の飲み会メンバーが詰め寄ってくる。

「弐條!聞いたぞ!退職するんだってなあ!」
「はい、今月末で退職になります。」

もちろん色々次の会社名、配属先まで聞かれる。もちろん俺の休暇中は社内大騒ぎだったらしい・・・。だってさ主力メンバーすべて引き抜かれたんだもの。1502便の機長高島さんにも色々聞かれる。

「はぁ、いいですねえ・・・。引抜きですか。私も移れるものなら移りたいですねぇ・・・。まああと残り半月がんばってくださいよ。」
「はい。」

まあ俺は真面目だから、あとの乗務は精一杯するよ。もちろんね。

その週の火曜日になんとこのクーデターというか、主力メンバー退職、移籍の記事がどーんと雑誌に載る。きっと誰かがリークしたのか?なんとどこから流出したのか年末の政府専用機の乗務の際に撮られた俺たち6人の顔写真と、経歴、などが載っている。きっと社内の者がリークしたんだなって言うくらい詳しくだ。まあ俺の私生活まで暴露されていなかったけどね・・・。

『弐條孝博 28歳 東京都渋谷区出身 兵庫県立高卒、防衛大学校中退、航空大学校卒、20××年入社。現在B747-400、B777ライセンスを持つ副操縦士。数年前米国訓練センターにて胴体着陸を当時訓練生ながら成功させた。若手ながら着陸には定評がある。義父は現首相、弐條雅和氏。実父は元陸上自衛隊幕僚監部幕僚長、現兵庫県副知事(防災担当)の源博雅氏。現在国内線運行乗務員部勤務 主に大阪-羽田間のB777を担当・・・・』


詳しすぎるぞ!!!個人情報保護法に引っかからないか?

まあ関係ないと思っていたんだけど、この情報が流れた途端、会社の株価は大暴落。そして次移る会社は急騰。こんな情報でも株価が左右されるのか?まあ最近パイロット名が一種のブランドになっているからねぇ・・・。俺が国際線にいた頃、北田機長に弐條副操縦士という組み合わせは一番人気だったらしい・・・。ホントびっくり仰天!きっと株を大量に持っている人は大損しただろうねえ・・・。億単位・・・。すごい。あ、弐條家が保有する株!高騰しているから今売ったらすごい儲けだよね?はははは・・・。

一途 (64)一斉退職
 研修中の雅とお台場で待ち合わせして、適当なペアリングをチョイス。まあ以前のものに比べたらいいものじゃないけど、二人で同じデザインのものを選んだ。そして雅と別れ、俺は北田さんと待ち合わせの六本木ヒルズの焼肉屋。ここは個室がある。なんと引き抜かれ組勢ぞろい。北田さんがみなに辞表を書こうと誘ったみたいだ。

注文前、みんなで一斉に辞表を書き出す。きっと店員の人は変な輩だと思っただろうね。話し合って内容を確認。話を聞くと結局みんな6月1日付採用となったみたいだ。

「やめるなら一斉にやめようってことになってね、みんなで担当者に願い出たんだよ。もちろん快く受け入れてくれたんだよね。弐條は返事出したか?」
「いえ・・・。北田さんの意見を聞いてからと思いまして・・・。」
「じゃあ今すぐ担当者に電話入れておけよ。結構心配してたからね。辞めますって言われたらどうしようって・・・。」

早速夕方だけど、担当者の携帯に電話を入れておいた。あっちはもう大喜び。取締役に報告しておくとのこと・・・。次はいつ出しに行く?って話を、焼肉をつつきながら話したんだ。

「やはりさ、もう半月後のことなんだし、明日にでも出しに行こう。弐條もいるから、本社へ行こう。みんなで。」

もちろんそれに決まり・・・。きっと本社は大騒ぎだろう。まるでクーデターのようだ。明日10時に本社前集合となった。


 本社は品川区東品川にある。みんなピシッとしたスーツに身を包んで時間通りに集合。受付に行き、担当部署にアポをとる。すると受付嬢にある会議室に行くように言われ、みんなで向かう。一番の年長、北田さんがリーダーシップを取ってくれるという。すると現れる本社運行乗務員関係の部長。何事かという顔つき・・・。主力メンバーが揃っての本社訪問なんだから・・・・。

「君達、どうしたのですか?」
「私、北田をはじめ、光岡、武本、結城、松井、弐條、計6名の辞表を提出に参りました。」
「じ、辞表???ちょっと待て。君たち主力メンバーに辞められては困る。ちょっと待ってくれ。取締役、人事部長たちを呼んでくるから・・・。」

結構焦っているのを見て俺たちは笑いをこらえる。
少したつと、代表取締役社長をはじめ、本社にいるだけの取締役がずらっと並ぶ。そして社長が言う。

「何があった?こんなに優秀な面々が揃って退職希望とは・・・。」

俺たちは順番に社長に辞表を提出する。

「急で申し訳ありませんが、今月末を持って我々は退職いたします。長い間お世話になりました。」
「ちょっと待て、君たちに辞められては困る!君たちには固定客というものが相当いるんだ。この後どうするつもりだ。」
「もう次の採用が決定しております。みな希望通りの条件で・・・。6月1日付の入社が決定しました。」
「何が不満だ?」
「今まで我々はこの会社に貢献してまいりました。しかしそれだけに見合ったものをいただいておりません。特に弐條の場合はひどい。国際線から国内線へ急な異動、そしてこの後は不明と言うこと・・・。ある筋からの情報では、このままずっと大阪勤務とか・・・。まだまだ色々不満はございますが、退職をさせていただきます。」

もちろんこの後条件面での改善とか色々話あったんだけど、折り合いがつかないし、俺たちの意志が強かったから、なんとかみなの退職が決定。最後に社長の質問。


「みんなはこの後どこに行くんだね・・・。」

みんな揃っていう。
日本でもうひとつの大手航空会社ですよってね・・・。
ああ引き抜かれた!!!!って嘆く社長に、常務や専務取締役は運行乗務員部、オペレーション部、や人事部部長を怒鳴りつける。取締役はみな頭をかかえていたんだよね・・・。

もちろんみな退職金が出る。もちろん俺も少なからず出るんだよね・・・。さあ新天地でがんばりますか。
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